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情報通信審議会



情報通信審議会
IT革命を推進するための電気通信事業における
競争政策の在り方についての特別部会
競争政策委員会 基本法制検討作業部会(第1回)





日時 平成14年3月8日(金)
    14時00分〜16時00分
場所 総務省401会議室(4階)




(議事録)








開会

川野事業政策課課長補佐  それでは、定刻になりましたので、基本法制検討作業部会第1回の会合を開催させていただきたいと思います。
 私は基本法制検討作業部会の事務局を担当しております総合通信基盤局の川野と申します。今後ともよろしくお願いいたします。本日は、主査に議事進行をお願いするまでのしばらくの間、僭越ではございますが、議事の進行を務めさせていただきます。
 まず最初に、本作業部会の設置の経緯について簡単に説明をさせていただきます。既に委員の皆様には事務局よりご連絡をいたしましたが、去る2月28日IT特別部会の決定により、競争政策ユニバーサルサービス委員会、こちらを廃止し、新たに競争政策委員会を設け、さらにその下に電気通信事業法に基づく事業区分の見直し等について審議を行います基本法制検討作業部会、こちらを設置することが決定されたところでございます。また同時に、お手元の資料1にございますが、本作業部会に所属いただきます委員の先生方、さらに主査といたしまして林先生にご就任いただくということが部会長の指名により決定されております。

基本法制検討作業部会所属委員、臨時委員及び専門委員の紹介

川野事業政策課課長補佐  まず初めに、事務局の方から基本法制検討作業部会の構成員の皆様をご紹介させていただきます。資料の1をご覧いただきたいと思います。本日ご出席いただいている先生から順にご紹介申し上げます。
 主査をお願いいたします林敏彦先生でございます。
 委員といたしまして、多賀谷一照先生でございます。
 臨時委員として舟田正之先生でございます。
 専門委員として佐藤治正先生でございます。
 もうお一方、関口博正先生でございます。
 この他、本日はご出席いただいておりませんが、委員といたしまして、齊藤忠夫先生、根岸哲先生。専門委員といたしまして、三邉夏雄先生、菅谷実先生の合計9名で本作業部会を構成することとなっております。
 それでは、これからの議事については、主査の林先生にお願いしたいと存じます。先生、よろしくお願いいたします。

主査の紹介、主査代理の指名

林主査  それでは、お手元の議事次第に従いまして議事を進めてまいりたいと存じます。初めに、本作業部会の主査に指名されましたので、一言ごあいさつを申し上げさせていただきます。
 ご存じのとおり、事業法が施行されてそろそろ20年近くになろうとしております。我が国の電気通信政策の根幹をなす法律として機能してきたわけでございますけれども、後でご説明があると思いますけれども、最近の諸情勢の変化を受けまして、事業区分の見直しということを考えた方がいいのではないかという機運が盛り上がりまして、特に本年2月の情報通信審議会のIT革命を推進するための電気通信事業における競争政策の在り方についての第2次答申、ここにおきましても、事業区分の見直しが本審議会において議論を深めていくことが必要であるという旨の提言がなされているところでございます。
 そこで、この作業部会では、事業者の新しいビジネスの展開を容易にするという目的、そして一方で公正競争条件を確保するということ、そして利用者保護という、この大きな三本柱に基づいて事業区分の見直しを含めた電気通信事業分野における新たな競争の枠組み作りについて、皆さんにご検討いただきたいというふうに思っております。私も精いっぱい努力させていただきますので、どうぞ委員の皆様方、臨時委員、専門委員の皆様方には何卒お力添えをよろしくお願いいいたします。
 以上をもちまして、ごあいさつとさせていただきます。
 次に、私が委員会を主催できない場合の代行をお願いする主査代理を決めておきたいと思います。主査代理は舟田臨時委員にお願いしたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」と声あり)

林主査  では、よろしくお願いいたします。
議題

  (1)審議の公開について

林主査  それでは、本日の最初の議題でございますけれども、これは基本法制検討作業部会の公開についてでございます。情報通信審議会では、IT革命を推進するための電気通信事業における競争政策の在り方についての特別部会の設置の決定(平成13年1月17日)において、「作業部会の運営に関し必要な事項は、部会長及び主査が協議して定める。」ということになっておりますが、公開の扱いについては既に作業部会の主査に判断を委ねられていますので、委員及び専門委員の皆様方に、本日ご議論いただいた内容を基に定めたいと存じます。
 事務局より資料の説明をよろしくお願いいたします。
川野事業政策課課長補佐  それでは、お手元の資料2をご覧いただきたいと思います。「基本法制検討作業部会の公開について(案)」という資料でございます。読み上げさせていただきます。
  1.情報通信審議会の公開については、情報通信審議会議事規則において、「会議を公開することにより当事者又は第三者の権利、利益や公共の利益を害するおそれがある場合その他の会長が非公開とすることを必要と認めた場合」等を除き、公開することとされております。また、IT革命を推進するための電気通信事業における競争政策の在り方についての特別部会の審議については、上記の議事規則の趣旨にのっとって会議は原則公開とし、例えば、電気通信事業者等の社内の内部情報を「委員限り」という前提で提供を受けて議論する場合、あるいは答申の取りまとめの段階の素案等を公表することにより国民の間に誤解や憶測を引き起こすといった場合には非公開とすることができることとされております。
 このような趣旨を踏まえまして、基本法制検討作業部会についても、IT競争政策特別部会と同様に、会議は原則公開とし、公開・非公開の判断が必要となる場合には、本作業会の構成員の協議により決定をする。また、緊急時、その他やむを得ない場合には、作業部会の主査が決定をするということにしたいという案でございます。
 また、審議の必要上開催されるヒアリングについては、極力公開する。
 2といたしまして、基本法制検討作業部会における審議を踏まえて行われるIT競争政策特別部会は、今説明したとおり原則公開となっておりますが、本作業部会に関係する議題について特別部会での議論を非公開とすることが適当と認める場合には、作業部会から競争政策委員会の主査及びIT特別部会の部会長に対して、当該議題の取扱いに関する参考意見を具申するということにいたしたいと思っております。
 なお、意見具申を行う旨の決定は、上記の会議の公開・非公開の決定と同様、原則本作業部会の構成員の協議により決定し、緊急時、その他の場合には作業会の主査が決定するということにいたしたいというふうに考えております。
 以上でございます。
林主査  ただいま読み上げていただいたところでございますが、会議の公開の取り扱いについては、このようなことでよろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
林主査  それではそのように取り扱わせていただきたいと思います。
 なお、議事概要及び議事録につきましては、情報通信審議会規則に従いまして原則公開することとし、かつ、議事概要の内容については、迅速な公開を図るという趣旨から、主査の私にご一任していただくということでよろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
林主査  では、概要については、そう取り計らわせていただきます。また、議事録そのものにつきましては、ご出席の委員等にチェックしていただいて、非公開とする部分については、主査の私にご一任いただくということでよろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
林主査  それでは、議事概要及び議事録の取扱いについて以上のように定めさせていただきます。

  (2)電気通信事業に係る競争の枠組みの現状等について

林主査  では、具体的な検討項目の審議に入りたいと存じますが、まずは事務局から本作業部会における検討の出発点として、電気通信事業に係る競争の枠組みの現状等についてご説明をよろしくお願いいたします。
谷脇事業政策課調査官  総合通信基盤局の谷脇でございます。よろしくお願い申し上げます。
 お手元の資料の3でございますけれども、「電気通信事業に係る競争の枠組みの現状等について」という資料をご用意させていただきました。これに沿いましてご説明させていただければというふうに存じます。
 1枚おめくりいただきまして、資料の構成でございますけれども、3つ掲げてございます。まず、1つ目がこの作業部会におきます検討の視点ということでございます。また、2つ目といたしまして、現在の電気通信事業法の概要につきまして簡単に取りまとめたものが2つ目の柱でございます。また、参考といたしまして、この事業区分の見直しにつきまして、様々な方面から規制緩和要望が寄せられております。その内容を最後に添付させていただいております。
 それでは、まず最初の本作業部会におきます検討の視点というところからご説明を始めさせていただければというふうに思います。3ページ目をお開きいただければと思います。
 この一種・二種の事業区分の見直しに関わります検討の経緯ということで書かせていただいております。左側に規制改革推進3か年計画、これは政府が決定をしておるものでございますけれども、その「注」のところにございますように、この情報通信審議会IT特別部会の第1次の答申、平成12年の12月でございますけれども、当時電気通信審議会という名称でございましたけれども、その中でこの一種・二種の事業区分の在り方について、速やかに見直しに向けた検討に着手することが必要であるというご提言をいただいたところでございます。このご提言を踏まえまして、この規制改革推進3か年計画の中で、電気通信事業における事業区分の見直しについて検討に着手をするということで、実施時期として平成13年度に検討を行うというお約束をさせていただいたところでございます。
 これを受けまして、その中ほどにございます「情報通信新時代のビジネスモデルと競争環境整備の在り方に関する研究会」、この研究会で昨年の8月からご検討をいただいてきたところでございます。この研究会におきましては、今年の1月の末に公表いたしました中間報告の中で、この一種・二種の事業区分の在り方について提言を頂戴しておるところでございます。要すれば2点でございまして、1つは、ブロードバンド時代の新たなビジネスモデルの登場を促す観点から、可能な限り規制水準の低下を図るとともに、明確で予見性の高い競争の枠組みが必要であるという、まず基本的な視点がございます。
 これを踏まえまして、一種・二種の事業区分の在り方については、一種・二種の事業区分の適用範囲の見直し、あるいはネットワーク部門とサービス部門の分離等、様々な選択肢を基に関係各方面の意見、法制的検討、主要先進国の動向等を踏まえつつ、さらに検討していくことが必要であるというふうに結論付けられております。詳細につきましては後ほど改めてご説明をさせていただきたいと思います。
 またその後、この情報通信審議会のIT競争政策特別部会の二次答申、先ほど主査の方からもご紹介ございましたように、先月2月15日にご提言を公表しておるところでございますけれども、その中におきまして、事業区分の見直しについては既に総務省において検討が進められているところであるが、今後は本審議会において議論を深めていくことが必要であるというご提言を頂戴したところでございます。この答申の中で、競争環境整備に向けた行動プログラムの一つといたしまして、事業区分の在り方については、本年6月までに一定の結論を得るようにというご提言を頂戴している。これが今回の基本法制検討作業部会の出発点となっているというふうにご理解いただければというふうに存じます。
 それでは次に4ページ目でございますけれども、現在の電気通信事業法におきます競争の基本的枠組みということで、簡単に図の形で整理をしてみました。現在の電気通信事業法に規定をいたします電気通信事業のカテゴリーでございますけれども、ご案内のとおり設備設置の有無に着目した整理をしております。すなわち、第一種電気通信事業は、事業者が自ら電気通信設備を設置する事業者ということで、参入に際しては許可をもって当たるということになっております。
 また、設備を設けない事業者は第二種電気通信事業ということで、これがさらに2つのカテゴリーに分かれております。1つは国際事業、もしくは、いわゆる音声公専公と言われております専用線の部分を他の一種事業者から再販を受けまして、公衆網と接続をすることによって音声サービスを提供する事業でございますが、この2つのカテゴリーのサービスについては、いわゆる特別第二種電気通信事業というふうにしております。この事業については参入時は登録が必要であるという制度でございます。また、この国際もしくは公専公以外の事業につきましては、一般第二種電気通信事業ということで届出をもって足りるということになっております。
 こういう第一種もしくは第二種という2つの電気通信事業の区分を設けておる基本的な考え方でございますけれども、第一種電気通信事業につきましては、インフラ設備を設置する事業ということで経済社会の基本的なインフラであるということから、その高い公共性を担うために許可事業として一定の規制をかけるということが電気通信事業法の制定当時の趣旨でございます。他方、第二種電気通信事業につきましては、このインフラを保有します一種事業者の回線を自由に利用し、多様なサービス展開ができるように最小限の規制にしておこうということで、登録もしくは届出という制度になっているということでございます。
 また、この参入の部分の規制のみならず、その下に概念的に整理をしておりますように、インフラ整備の円滑化の観点から一種事業には、例えば公益事業特権が付与される。道路占用許可について義務的に許可が与えられるといったような特権を付与しているということでございます。その他、公共性に鑑み、ネットワークへのアクセスについては接続義務を課す等々の、ある意味での規制を課しているところでございます。それに比べて、第二種電気通信事業の場合は、比較的この規制が少ない、必要最小限の規制にとどめているというような制度の枠組みになってございます。
 個別具体的に各事業区分ごとの規制がどういうふうになっているのかということをまとめましたのが次の5ページ目でございます。網掛けをしております部分が、いわば一種と二種で規制のかかり具合が違う部分を明示しているところでございます。この事業区分に関わります規制の体系につきまして、後ほどもう少し詳しくご説明をさせていただければというふうに思います。
 1枚おめくりいただきまして、6ページ目でございますが、この現在のスキームの中で、電気通信事業者の数も順次増加をしてきております。電気通信事業法が施行されました昭和60年(1985年)の4月と比べまして、第一種通信事業者の数も今年の2月1日現在で第一種は379社、また特別二種は114社、一般二種が9,800社超ということで、全体で1万社を超える事業者の方が電気通信事業に参入をしてきているという状況でございます。
 もう少し細かい内訳が次の7ページ目でございます。細かい図で大変恐縮でございますが、特にこの中で「地域系」というのが新第一種事業者の中にございます。「長距離・国際系」の下にございますけれども、特にこの地域系という部分が313社ということでかなり数が増えてきております。この中には、例えばCATV一種事業者、CATVネットワークを利用してインターネット接続を行うような事業者、こういったところの数が非常に増えてきているということが一つの特徴かというふうに言えようかと思います。
 さて、次に8ページ目でございますけれども、今申し上げました1985年(昭和60年)の4月に電気通信市場の全分野へ競争原理を導入することを目的とした電気通信事業法を施行したところでございます。ご案内のとおり、このときに併せてNTTにつきましても民営化をしたわけでございます。これを第一次の情報通信改革というふうにいたしますと、平成8年第二次の抜本的な改革を行いました。これは平成7年の当時の電気通信審議会の答申を受けて行った改革でございます。この中では接続ルールの制度化、あるいは一種事業の許可に関わります需給調整条項の撤廃、あるいはWTOの議論を踏まえた一種事業の外資規制の撤廃、また料金認可制につきましても、これを廃止し、一部についてプライスキャップ制を導入したというような改正を行ったところでございます。またその後、接続料へのLRICの適用といった制度整備を経て、一番最後の「改正事業法の成立」というところでございますけれども、先ほど申し上げました本審議会のIT特別部会の一次答申を受けて事業法改正を行いまして、非対称規制の整備、ユニバーサルサービス基金制度の整備、紛争処理委員会の設置等々を実施してきているところでございます。
 さて、次に9ページ目以降、先ほど申し上げました規制改革3か年計画を受けてビジネスモデル研究会の中間報告、すなわち今年の1月の末に公表されました中間報告の中で一種及び二種の事業区分の在り方についていただいております提言の概要を簡単に取りまとめてみたものでございます。まず、この報告書の中では最近の市場環境の変化として、電気通信事業におきます競争の枠組みの基礎を成します現行の一種・二種の事業区分についても、旧来の電話網を前提としたビジネス展開の枠組みを越えまして、IPベースの新たなビジネスモデルの登場を促し、これに柔軟に対応できるよう近年の市場環境の著しい変化を踏まえつつ、改めてその在り方を見直していくことが求められるという基本的な認識をお示しいただいております。その中で中ほどでございますが、今後とも新たにビジネスモデルの登場を促す観点から、規制水準の全般的な低下、それから市場参加者から見て、明確で予見性の高い制度運営を維持していくということが重要であろう。このため、通信・放送の融合や諸外国の動向等も勘案しながら、現行の事業区分についても必要な見直しを行う方向で検討する。こういう必要性が出てきているのではないかという問題意識でございます。
 ただ、現行の一種・二種の事業区分を廃止して、全面的に事後規制に移行すべきというような指摘もございますけれども、例えばアメリカのDSL事業者でありますノースポイント社が倒産することによりまして、数万人のユーザがインターネット接続ができなくなるといったような事態が生じたわけでございますけれども、すべてを事後規制に委ねた場合に、こういったユーザ保護が十分確保されなくなることが懸念されるのではないか。また、電気通信市場そのものが、先ほど申し上げました85年の自由化によりまして、独占から競争へのまさに移行の過程にある。そういう中で公正競争条件を担保とするための事前規制についても一定の合理性が存在するのではないだろうかというふうに指摘をされております。
 ただ、次のページにございますように、市場環境の変化ということで2つの視点をこの中では示しております。すなわち、まず1つ目が一種事業と二種事業の事業展開の多様化ということでございます。すなわち、近年登場しております事業形態として、一種事業の場合も先ほどご紹介しましたインターネット接続を行いますCATV事業者のように、地域限定的で比較的規模の小さい事業者が多数登場してきております。他方、二種事業の場合は、特に最近注目をされておりますVoIPサービス等を提供いたしますISP事業者、あるいはこれから登場することが特に期待をされておりますMVNOのように、全国規模で音声系を含む多様なサービスを提供する事業者が引き続き多数登場することが見込まれているところでございます。
 このようにIP化が進展する中で制度導入当初に予定をしていた一種・二種の事業区分の趣旨が必ずしも実態にそぐわなくなってきている面もあるのではないか。結果として一種と二種の間で異なる規制水準としていることにつきまして、改めて実態を踏まえた整理を行うことが必要ではないかという問題意識が1つ目でございます。
 もう一つの問題意識として、累次の規制緩和措置によりまして、実態的な事業区分の垣根が低下してきているというところがございます。すなわち、現行の制度を1985年に導入をいたしました後も、より柔軟なネットワーク構築を可能にするといった観点から継続的に、一種・二種の事業区分あるいは事業規制の在り方について、その見直しを実施をしてきております。結果としてネットワーク構築の柔軟性の向上が図られてきている、あるいは迅速な事業展開が可能になってきているということがある反面、実態としてこの一種・二種の事業区分の垣根が低下してきているという面も出てきているのではないだろうか。例えば、自ら設備を設置しているという意味で一種事業者でございますけれども、大半は他事業者の設備を活用するといったケースも登場してきているというところでございます。
 今申し上げましたネットワークの柔軟性向上のための措置ということで、次の11ページ目に時系列的に整理をさせていただいております。逐一は大変細かい中身でございますので割愛をいたしますが、ポイントだけ申し上げますと、この左側の第一種電気通信事業に関わります規制緩和ということで申し上げますと、例えば平成7年のIRUの導入がございます。あるいは平成8年の「業務委託の弾力化」というふうに書いてございます。冒頭申し上げましたように、第一種電気通信事業者は自ら回線設備を設置するということが原則ではございますけれども、IRUという概念を導入することによりまして、他社が所有をしている電気通信設備についても、使用権を設定するという形でこれを認めるという形にしております。また、業務委託につきましても、従来、第一種電気通信事業者のみが委託先、受託者というふうになっておりましたが、これを地方自治体、電力会社等第一種電気通信事業者以外の方も受託を可能にするといったような弾力化を行っているわけでございます。
 また今申し上げましたIRUにつきましては、つい先般、一番下でございますが、昨年の9月に運用の柔軟化ということでIRU契約に関わります期間を従来は10年以上の契約という長期安定的な使用権の設定というふうにしておりましたが、これを1年以上ということで、これを短期化するといったようなことも行ってきているわけでございます。
 他方、目を右側の二種事業の方に転じていただきますと、従来の特別二種、すなわち登録の部分でございますが、それと一般二種、これは届出で済む部分でございますが、この区分につきましても、随時緩和もしくは見直しを行ってきているところでございます。電気通信事業法が昭和60年に施行された時点におきましては、2つ目の「くろ●」にございますように、設備の回線収用能力で500回線以上のものが特別二種、それ以下のものを一般二種というふうにしておりました。これを平成8年の段階でこの基準を上げまして、いわば一般二種の、つまり規制がかからない部分の適用範囲を広げるというような改正を行いました。
 また、その次の「くろ●」でございますけれども、こういった回線規模によります基準というものを改めまして、提供しております役務による区分、すなわち国際サービス、それから公専公サービスを提供している事業者を特別二種、それ以外を一般二種というふうに変えたところでございます。こういう形で随時規制の緩和を行うことによって、より柔軟なネットワーク構築を可能にするといったような措置を講じてきているわけでございます。
 先ほど申し上げましたように、一種事業と二種事業の規模ということで申し上げますと、一例として次の12ページ目をお開きいただければと思います。そもそも1985年に電気通信事業法を制定いたしましたときには、やはりインフラ事業を行う一種事業というものが全国規模で事業展開をしている。その上でそのインフラを活用して自由な事業展開を行う二種事業ということで、比較的規模の小さい事業者を想定してまいったわけでございますけれども、ここにございますように、例えばインターネット接続サービスの場合でも、二種事業者がインターネットアクセスを提供している場合、一番大きいところでも400万弱というような規模でございます。対します、NTTコミュニケーションさん、KDDIさんのケース、ここに書いておりますけれども、そういった規模を上回っている、あるいは同等程度の規模になってきているというようなことも出てきているところでございます。
 以上のような市場環境の変化というものを踏まえまして、次の13ページ目でございますけれども、この研究会の中間報告では、あくまでたたき台という位置付けで2つのプランを示しております。そのプランと申しますのは、現行の一種・二種の事業区分の在り方についてどういうふうに見直しているのかという方向性を示しているものでございます。
 その1つ目が一種・二種の事業の適用範囲を見直すという考え方でございます。これは基本的に一種事業の適用範囲を縮小する。そして特別二種、一般二種の範囲についても見直すという基本的な考え方でございます。具体的にはその下にございますように、一種事業について公益事業特権をすべての一種事業者に付与するという現行のスキームから、公益事業特権を必要としない事業者については一種事業から除外をいたしまして、インフラを持っていても二種事業として位置付ける。それによって規制水準の低下を図るという一つの考え方でございます。また、二種事業につきましては、提供している役務の中身に着目をいたしまして、国民生活に重要な音声サービスを提供しているという意味において、国際サービス、もしくは公専公サービスと同等の重要性を持つと考えられますVoIP、あるいはMVNOといったようなものについても、現在は一般二種でございますけれども、例えば特別二種というふうに、これは規制強化の部分でございますけれども、位置付けるということもあり得るのではないだろうかというようなことが一つのプランでございます。
 ただ、このプランにつきましても、幾つかの問題点の整理をしております。それがその下にございます「検討すべき課題」というところでございますけれども、公益事業特権を付与するかどうかという点について、申請する事業者の意向により、これが結果としてかかってくる規制の水準が異なることになるというわけでございますけれども、これが果たして法制的に有効なのかどうかという観点、あるいは電力会社のように他の分野で公益事業を行っている事業者の場合、当該本来事業のところで公益事業特権を付与されております。従いまして、こういう方々が電気通信事業分野に入ってこられるときには公益事業特権は要らないということになれば、これはこのオプションの中ではタイプ2の事業者ということになってまいります。こうした場合に果たして公正競争というものが担保し得るのかどうかという懸念でございます。
 また、4つ目の「◆」にございますように、ユーザ保護の強化という観点からは、単に規制を緩和していくというだけではなくて、社会的に必要であると認められるものについては、ユーザ保護の強化という観点から考えるべき点もあるのではないだろうかというような点が指摘されております。
 以上が今の一種・二種の区分を現行維持しつつ、その適用範囲を見直していくという一つの考え方でございます。
 次に14ページ目でございますが、もう一つの考え方として今の一種・二種の区分の在り方を若干変えまして、ネットワーク部門、すなわち卸とサービス、別の言葉で言うと小売り部門に分けて事業区分を再構成するという考え方でございます。この場合におきましても、具体的な制度イメージに書いてございますように、ネットワーク部門とサービス部門は当然一種事業者の場合、これを兼業しているわけでございますので、制度的には兼業ができるというふうにする。ただ、このうちでネットワーク部門について許可制を維持するとともに、サービス部門については原則、登録又は届出制にするという考え方を示しております。
 ただ、このプランにつきましても、幾つかの検討すべき課題があろうかと存じます。その下に書いておりますように、例えば、このネットワーク部門とサービス部門を兼業する際に会計分離を求めるのかどうかという視点でございます。仮にこれを求めるということになりますと、現行の一種事業者の場合はネットワークとサービスを兼業しておりますので、すべての一種事業者について卸と小売の会計分離を求めるという形になってまいります。ある意味では規制強化という部分がございます。
 また4つ目の「◆」、中ほどでございますけれども、現在の一種事業者には一律に事業開始義務、あるいは役務提供義務等々の事業規制、あるいは料金変更命令等々が課されているところでございますけれども、こういったサービス部門全体に今の一種事業にかかっている事業規制と同じものをかけるとすると、現行の二種事業者が規制強化になってくる。そうなりますと、ある程度一定のメルクマールを設けて、こういった事業規制を設ける部分と設けない部分とに切り分けるメルクマールをどうするのかという問題が出てまいります。括弧書きにございますように、これを例えば役務の内容、事業の規模、あるいはパブリックサービスか、クローズド・ユーザ・グループのサービスかというふうに幾つかのメルクマールを立てていく必要があるのではないかというような視点でございます。
 他にも幾つかございますけれども、以上申し上げたように2つのプランをこの研究会の中ではお示しをしているということでございます。
 ちなみに、次の15ページ目にございますように、日本から目を海外に転じますと、主要国におきます電気通信制度につきましては、それぞれ多様な競争のフレームワークというものを形づくっております。
 右から2つ目にございます韓国につきましては、ある意味では我が国の電気通信事業と極めて類似した制度をとっております。すなわち、回線設備の設置の有無ということで分けまして、上の欄にございますように、回線設備設置事業者については基幹通信事業者という名称で免許。また、この基幹通信事業者から設備を借りてサービスを提供する事業者の中で音声サービスを行う事業者は別定通信事業者として登録。その他の事業者を申告というふうにしております。極めて日本の制度に近い形をとっております。
 他方、左から2つ目にございますアメリカのように日本とは全く仕組みが異なっている部分もございます。アメリカの場合は基本的にご案内のとおり、サービスをベーシックサービスとエンハンストサービスに分けております。ベーシックサービスにおいては連邦通信法の214条によりまして認証を取得しなければならない。それ以外については、こういった認証を取得する必要はないというような制度になっているわけでございます。
 そういうふうにアメリカの場合はベーシックとエンハンスというふうに分かれているわけでございますけれども、次の16ページ目をお開きいただきますと、つい先般、今年の2月にFCCが意見招請しておりますけれども、ブロードバンド政策のこれからの在り方についてパブリックコメントを求めているところでございます。この中ほどのところをご覧いただきますと、今回の意見招請文書の中でFCCはブロードバンドインターネットアクセスサービスをインフォメーションサービスと整理してはどうかという提案をしております。こういった議論が出てまいりますのは米国連邦通信法の中ではベーシックサービスについて基本的に規制をしていく、あるいはテレコミュニケーションサービスを連邦通信法の範囲に含めていくということでございますけれども、他方インフォメーションサービスの場合は規制をしない、規制の対象外ということになっております。従って、新しいブロードバンドサービスが出てくることを踏まえて、随時これが規制の対象内なのか外なのかということを検討しないといけないというような仕組みになっている。それを受けて今回もこのブロードバンドインターネットアクセスサービスというものがテレコミュニケーションサービスなのかインフォメーションサービスなのかといったような検討をしているわけでございます。すなわち、サービスの種類によって規制の程度を変えるということになりますと、これからのブロードバンド化が進んでいく中で、随時こういうふうな見直しも必要になってくるというようなことになろうかというふうに存じます。
 他方、目をEUの方に転じますと、次の17ページ目にございますように、現在EUで新しい指令が最終的に採択をされようとしている段階でございます。この中では従来の規制に比べまして、規制緩和を全般的に図っております。基本的にはその中ほどにございます「電子情報伝送ネットワーク」、ネットワークとサービスに分ける。つまり物理網とサービスレイヤに分けるという考え方をとっております。いずれの事業を行う場合もゼネラルオーソライゼーション、非常に届出に近い世界のようでございますけれども、こういう制度をとろうとしております。そういった意味ではサービスの特性に応じて規制を変えるというのではなくて、どちらかというとレイヤによって規制という、あるいは競争の枠組みというものを考えていく。
 またEUの一つの特徴は、その下にございますように周波数の利用権、番号の利用権あるいは線路敷設権、こういったものについて個別に申請に基づいて付与していくということを考えているようでございます。これは日本の場合には一種事業の許可とともに自動的に線路敷設権が付与されるといったような制度とは異なりまして、いわば線路敷設権の部分をアンバンドル化しているという特徴がございます。こういう新しい制度を既に理事会で採択をしておりまして、間もなく公布をされるというふうに聞いておりますけれども、今後、各国の国内法制化が進んでまいります。公布から15か月以内ということでございますので、来年の6月を目途にEU加盟各国におきまして、これに基づく国内法制化が完了していくというふうな状況にあろうかというふうに存じます。
 以上が諸外国におきます規制の枠組み、あるいは最近の動きということでございます。
 これらを踏まえまして、本日ご議論いただきたいところでございますけれども、この作業部会におきます検討の視点ということでたたき台をご用意させていただきました。先ほどのビジネスモデル研究会の中間報告の概要にもございましたように、昨今の電気通信市場を取取り巻く環境の変化といたしまして、いわゆるIP化の進展、あるいは電気通信事業、あるいはこの関連分野におきますビジネスモデルの多様化ということがございます。また、事業区分の実態的な垣根の低下ということも先ほど申しました。こういったような市場の環境の変化を踏まえまして、これからの枠組みの見直しの目指すべき方向性ということで書かせていただいておりますが、右側でございますが、規制水準の全般的な低下を図る必要がある、また、多様なビジネスモデルに対応可能なフレキシブルな制度を確立していく必要がある、また、明確で予見性が高い制度にしていく必要がある、この3つをここでは基本的なスタンスとして掲げております。
 これを踏まえまして、これからの競争の枠組みの見直しということでございますけれども、基本的には左の下にございますように一種・二種の事業区分の見直しをどう図っていくか。入り口論としての参入退出規制の在り方という問題がございます。また、これと一体になっております公益事業特権の付与の在り方という問題がございます。
 また、もう一つ電気通信事業の範囲の見直しというふうに書いておりますが、これは先ほどのEUの例にもございますように、物理的なネットワークというところに着目した一つのカテゴリーがございます。我が国におきましても、かつて、いわゆるゼロ種といったような議論もあったわけでございますけれども、現行の電気通信事業の範囲をそのままとらまえるのでよいのか、あるいは、もう少し柔軟に考える必要があるのかといったようなことも検討の視野に入ってくるのではないかというふうに思っております。
 ただ、この事業区分の見直しという問題につきましては、単に入口の参入規制のところだけを見るということでは、若干不十分な部分がございます。それが右側に書いておりますように、この一種・二種の入口のところを見直すことによりまして、関連する事業規律の在り方についても総合的に検討していく必要が出てまいります。それは幾つか例を挙げておりますけれども、接続ルール、料金規制をはじめといたします非対称規制の在り方、あるいはユニバーサルサービスがどういうふうにカテゴライズされていくのか、また技術基準、ユーザ保護、こういった観点がございます。いずれにいたしましても、この入口の事業区分の見直しが、これに関連する事業規制に与える影響についても、併せてこの作業部会におきまして論点を包括的に整理をしていく必要があるのではないかというふうに思っております。
 従いまして、この作業部会のミッションとして、一番下に書いておりますように競争の枠組みの見直しについて、今申し上げたような視点から一定の方向性をご提示いただくということではないだろうかというふうに考えているところでございます。
 こういうふうな基本的な考え方を踏まえまして、その次の19ページ目でございますけれども、(案)ということで主要検討項目ということでご提示をさせていただいております。本日、この部分につきましても、是非ご議論を頂戴できればというふうに思います。
 大きく4つに分かれておりますけれども、まず、電気通信事業分野におきます市場環境の変化ということで、先ほど申し上げましたブロードバンド化、IP化あるいはビジネスモデルの多様化といった市場環境の変化、これについて検証をした上で競争の枠組みをなぜ見直すのか、そういった必要性について整理をする必要があるのではないかということでございます。
 また、2つ目として、競争の枠組みの見直しにかかる目指すべき方向性ということで、多様な事業展開を促しながら、かつマーケットにおきます公正な競争条件の確保、あるいはユーザ保護の観点から現在の電気通信事業分野におきます競争の枠組みの見直しに当たってどういう方向を目指していくか、その基本的考え方ということでございます。
 おめくりいただきまして、次の20ページ目ですけれども、今申し上げました市場環境の変化の認識、あるいは見直しの方向性の基本的な考え方ということを踏まえまして、3といたしまして、事業区分の見直しについて一定の方向性をご提示いただければといいうことでございます。また、参入・退出規制の在り方、あるいは公益事業特権の付与の在り方、それから電気通信事業の範囲等につきましても、併せてご検討を頂戴できればというふうに思っておるところでございます。
 また4といたしまして、関連する検討課題ということで、今申し上げました事業区分という入口の部分と併せまして、この見直しが他の事業規律にどういうふうな影響を与えるのかという点につきましても、総合的に検討する必要があるだろうというふうに考えているところでございます。
 以上が私ども事務局として、本日(案)としてご提示をさせていただいております主要検討項目等についてのご説明でございます。
 続きまして、若干重なる部分もございますけれども、「現行電気通信事業法の概要」について、もう少し事務局の方からご説明をさせていただければというふうに存じます。
川野事業政策課課長補佐  それでは、次の現行電気通信事業法の概要というところで、22ページ目をご覧いただければと思います。
 まずは事業の開始、あるいは、その事業をやめるに当たっての参入・退出規制についてご説明申し上げます。この点につきましては、先ほども説明を申し上げましたとおり、我々、電気通信事業というものを第一種の電気通信事業と第二種の電気通信事業というものに区分を設けまして規律を設けているところでございます。第一種電気通信事業につきましては、電気通信回線設備を設置するということでございまして、国民生活や経済活動に不可欠な電気通信サービスのいわば基盤となる公共的な事業にあたるということで、参入・退出に当たっても許可制をとっているところでございます。
 一方、第二種電気通信事業につきましては、第一種電気通信事業者等の電気通信役務の提供を受けて、これを自由に利用して多彩な通信サービスを展開できるようということで、原則自由にするという観点から届出制という形をとってございます。ただし、第二種電気通信事業のうち、社会的・経済的影響が大きいと認められる第二種電気通信事業、具体的にはその下の1)、2)にございます、いわゆる音声公専公サービス及び国際通信サービス、こちらを行う第二種電気通信事業については、特別第二種電気通信事業という形にして登録制をとっているところでございます。
 一番下の表をご覧いただければと思いますけれども、第一種電気通信事業につきましては、参入に当たっても許可が必要となっておりますが、事業を休廃止する場合の、いわゆる退出の場合にも許可が必要ということになっております。この許可につきましては、当該事業者が事業を休廃止することによって、公共の利益が著しく阻害されるというおそれがあるとき以外は、原則として許可をするという仕組みになっております。一方、第二種電気通信事業者につきましては、退出に当たっての規制は事後の届出で足りるということにされております。
 続きまして、23ページにお移りいただきたいと思います。今、申し上げました第一種電気通信事業者については、電気通信事業の基盤となる電気通信回線設備、いわゆるネットワークを敷設する公共的な事業であるということに基づきまして、法律上様々な特権が与えられているところでございます。逐一説明することは省略いたしますが、下の表にございますように、いわゆる国有地や公有地の利用、また私有地を収用あるいは利用するに当たっても様々な法律上の特権が定められているところでございます。例えば「国有地・公有地の利用」のところでございまして、「道路占用」というところがございますが、一般に道路上に電柱等を設置する場合には道路管理者の道路占用許可を受けることが必要になりますが、第一種電気通信事業者の場合には約1月前に届けておけば、要件に適合すれば自動的に許可が付与されるというスキームになっております。またその占用期間も通常の場合ですと5年以下ということにされておりますが、第一種電気通信事業者については10年以内というような特権が付与されております。また、「私有地の収用・利用」というところで、電気通信事業法のところをご覧いただければと思いますけれども、第一種電気通信事業者が事業用の線路を設置するために他人の土地を利用することが必要であるという場合には、総務大臣の認可を受けた上で、その土地の所有者に対して、その土地の使用権の設定に関する協議を求めることができるという規定が電気通信事業法に設けられております。また、この協議が調わなかった場合には、総務大臣に裁定を申請することができるというスキームも設けられているところでございます。
 24ページに、その具体的な土地等の使用に関する電気通信事業法に基づく協議の認可及び裁定のスキームというものが表になっております。ここの詳細なフローの説明は割愛させていただきます。
 次に、25ページでございますが、一たび許可ないし届出・登録といった形で事業に参入した後、各電気通信事業者がユーザあるいは他の電気通信事業者に対してサービスを提供する際の業務規制についてご説明申し上げます。
 事業者のうち、より公共性が高い、あるいは国民経済にある程度影響が大きいと考えられる第一種電気通信事業者及び特別第二種電気通信事業者については、サービスの提供に関する料金、また、その提供条件に当たっての契約約款を定め、総務大臣に届け出なければならないということにされております。これにつきましては下の表をご覧いただければと思いますけれども、料金・契約約款につきまして、上から2段目、第一種電気通信事業者は事前届出、特別第二種電気通信事業者についても事前届出とされているところでございます。この料金につきましては、もともとは総務大臣の認可制でございましたが、平成10年の改正によりまして、認可が事前届出制に緩和されているところでございます。また契約約款についても、もともとは認可でございましたが、昨年の法律改正によって事前届出に改正されているところでございます。
 一方、第一種電気通信事業者のうち、第一種指定電気通信設備いわゆる東・西NTTが保有するボトルネック設備の地域通信網、これを設置する第一種電気通信事業者、具体的には現在ですと、東・西NTTが該当することになりますが、この事業者が当該設備を用いて提供する役務、これについては多少上乗せの規制となっております。具体的には、料金のうち利用者の利益に及ぼす影響が大きいと認められる特定電気通信役務、具体的には電話、ISDN、専用サービス、これについては原則事前届出とした上で、総務大臣の定めるある一定のキャップを超えた場合には総務大臣の認可が必要というプライスキャップ制となっております。また、第一種指定電気設備を設置する第一種電気通信事業者については、契約約款については認可というふうにされております。
 一方、一般第二種電気通信事業者については、料金・約款等に係る規制は特段設けておりませんで、事後の命令として利用者利益を阻害していると認められた場合に業務改善命令を出せるというスキームになっております。
 次に、26ページでございますが、今申し上げましたように一般的な事業者について類似の規制緩和を推進していく一方で、市場において、いわゆる市場支配力を有する事業者に対しては、その支配力を濫用した場合の市場に与える弊害というものが大きいということに鑑みまして、電気通信市場における公正な競争を促進するという観点から市場支配的な電気通信事業者をあらかじめ指定して、一定の反競争的な行為の禁止といった行為規制を課すという制度を昨年の事業法等を一部改正する法律によって導入されたところでございます。
 具体的に市場支配的な事業者としてカテゴライズされるのは2つのカテゴリーがございまして、1つ目は地域通信市場において独占的なシェアを保有する事業者、具体的には固定端末系伝送路設備で、シェアが50%を超える設備を第一種指定電気通信設備というふうに指定をいたしまして、これを設置する事業者が1つのカテゴリーとなります。もう一つのカテカテゴリーにつきましては、移動系の電気通信事業者の中で、いわゆる移動端末設備数のシェアが25%を超える設備、ネットワーク、これを第二種指定電気通信設備として設備をしました上で、それに加えて当該設備を設置する事業者のうち、市場における収益のシェアが25%を超えて、さらにそのシェアの推移その他の事情を勘案した上で必要があると認める事業者を市場支配的な事業者として指定を行います。これらの事業者に対しては、下に書くような禁止行為、いわゆる反競争的な行為が禁止されて、これに対する停止変更命令というようなスキームが設けられているところでございます。
 次に、27ページでございますが、各電気通信事業者が自らのネットワーク以外に、他の電気通信事業者のネットワークを活用した上でサービスを提供するということが十分に想定されるところでございます。こうしたために、電気通信事業法においては接続、共用、卸電気通信役務という3つの制度を設けているところでございます。このうち電気通信事業法においては、特に接続について詳細なルールを設けているところでございます。
 具体的には、先ほど申しました地域系のボトルネック設備である第一種指定電気通信設備、これを設置する事業者については、接続約款の作成またその約款についての総務大臣の認可、公表、またその接続料の算定に当たってのLRICに基づく算定、あるいは接続会計の分離といった様々な規律が課されているところでございます。また、先ほど申しました移動通信系の相対的に高いシェアを有する第二種指定電気通信設備、これについても接続約款を作成し、公表するという義務を課しているところでございます。ただ、こちらにつきましては、総務大臣の認可あるいはLRICといった義務までは課しておりませんで、事前届出で足りるということにしておるところでございます。その他の事業者については、原則相対で接続協定を契約することとし、その協定を締結する前には事前に届けるというスキームになっております。その他ネットワークの調達方法として、共用あるいは卸電気通信役務といったスキームも準備されておるところでございますが、接続ルールが十分に整備されてきたということを踏まえ、共用及び卸については非対称な規制は設けず、原則として事業者間の相対取引で行えるということにしております。
 次に、28ページでございますが、この接続、共用、卸役務につきましては、事業者間で協議をして契約、協定等を締結することになるのですが、もし電気通信事業者が他の電気通信事業者に接続等の協定の締結を申し入れたにもかかわらず協議に応じない場合、あるいは協議が調わなかった場合に、総務大臣に協議の開始を求める命令を求めたり、あるいは裁定を申請するというスキームが設けられてございます。
 左上の表をご覧いただきたいと思うのですけれども、網かけをしている部分がございます。こちら接続については、先ほども申しましたように、第一種電気通信事業者は様々な公益事業特権を利用しながらネットワークを構築しており、接続の義務も課されているということもございまして、原則として他の事業者から接続の協議をしたいという申し出があった場合には、総務大臣は、協議を開始しろという命令を出すというようなスキームになっております。以下については省略させていただきます。
 次に、29ページでございますが、このような総務大臣による協議開始命令、あるいはその裁定のスキームがある一方で、多数の電気通信事業者が市場に参入し、様々にネットワークを構築しながら事業展開をしていくという中で、事業者間の紛争事案というのが複雑化あるいは増大化しているという背景がございます。これに基づきまして、こうした事業者間の紛争事案を専門的に迅速かつ効率的に処理できるよう、総務大臣の許認可部門から独立した形で電気通信事業紛争処理委員会という委員会が昨年の11月末から設置されているところでございます。この委員会は具体的に電気通信事業者間の紛争に基づきます解決をするために、斡旋あるいは仲裁といったものを行うほか、総務大臣が電気通信事業者間の紛争に当たって、協議命令あるいは裁定を命令する際の諮問機関として機能しているところでございまございます。また、電気通信事業紛争処理委員会につきましては、こうした斡旋、仲裁あるいは諮問を受けた審議といった過程を受けまして、必要に応じて総務大臣に対して競争ルールを改善すべきといったような勧告をするという権限も有しているところでございます。
 次に、30ページでございます。以上のように電気通信事業において多数の事業者がお互いに競争をして、よりよい市場をつくっていくという一方で、ユニバーサルサービスの確保というものが新たな課題として上がってきたところでございます。ユニバーサルサービスとは、具体的には国民生活に不可欠で、あまねく全国における提供が確保されるべきサービスということでございまして、2つ目の「くろ■」にございますが、具体的には加入電話あるいは公衆電話、緊急通報といったようなものが該当しております。これらのサービスにつきましては、1985年以前であれば、電電公社が全国一帯として独占企業として提供しておった訳ですけれども、その後も東・西NTTが自らの地域間補てん、すなわち採算性の高い都市部からの収益によって、採算性の低い田舎の部分の不採算地域の負担を補うという地域間補てんによってユニバーサルサービスを提供しておった訳なんですが、昨今の地域通信市場における競争の激化ということで、こういった従来の枠組みではユニバーサルサービスを確保することが困難になってきたということで、この東・西NTTのユニバーサルサービスを確保するために、他の電気通信事業者も応分のコストを負担するという仕組みを設けたところでございます。具体的なスキームについては、ここでは省略させていただきます。
 次に、31ページでございますが、設備の技術基準についてでございます。国民生活に不可欠なインフラを提供する第一種電気通信事業者、また国民の社会的、経済的活動に影響が大きいと認められる特別第二種事業者について技術基準への適合性といった記述が課されているところでございます。具体的には、第一種電気通信事業者は、事業の開始前に技術基準適合確認というものを受けなければならないとされております。またその後も、第一種事業者、特別第二種事業者については、事業用電気通信設備を技術基準に適合するよう維持するような義務、また電気通信主任技術者を選任して置かなければならないといったような義務が課されているところでございます。
 次に、32ページでございます。こちら利用者が持ちます端末機器の技術基準についての説明でございます。原則といたしまして、利用者は端末設備を接続した場合、第一種電気事業者の検査を受けた上で、これが技術基準に適合していると認められた後でなければ、これを使用してはならないということにされております。しかしながら、個々の端末については、あらかじめ技術基準への適合性を確認することのできる技術基準適合認定制度、またあるいは設計ごとに認証を与える設計認証制度というような制度を設け、こうした個別の第一種電気通信事業者の検査を受けなければならないということを省略するスキームを設けているというところでございます。
 以上が現在の電気通信事業法に基づく制度の大きな内容でございます。
 次に、33ページ以降、参考といたしまして、事業区分の見直しに係る各種規制緩和要望というものを紹介させていただきたいと思います。
 こちらは1)、2)、3)と3ページにわたってございますが、例えば、最初の米国からの年次改革要望書の中で、I−Bにございますように、一種・二種サービスに対し提供者、事業からの申請を必要としないような分類の免許を設けるべきだというような意見、あるいは米国商工会議所からも、全部読むことは割愛いたしますが、一種・二種事業区分を排除すべきだといったような意見、またEU、オーストラリアからも同様の意見が寄せられておるところでございます。また36ページ、経団連様からは、事業の区分を廃止した上で、競争を促進する新通信法といった提言もなされているところでございます。
 以上でございます。
林主査  ありがとうございました。本件に係る経緯、法律の現状、要望等事務局の方で整整理したものをご紹介いただきました。きょうは第1回目の会合でございますので、ここからは委員の皆様方の忌憚のないご意見、自由なご議論の時間にさせていただきたいと思います。まず報告に関してのご質問やご意見等がございましたら、よろしくお願いいたします。
舟田臨時委員  4ページ、まず細かいところからいきますけれども、右側に特別二種と一般二種の区別がありますが、後の方でも詳しい説明はいただきましたけれども、私の記憶では、これはもっぱらITUのD1勧告というものがあって、それに対応しなければならないということがあったと思います。もちろん社会的に影響力がどうのこうの、先ほどの説明がありますけれども、今の実態から見ると、このような区別は必要なのかという。そういう意味では、実態と国際条約の両面から、ここは見直す必要があるのではないかという感じがいたします。この辺は半分質問なので、その辺はどうお考えなのか。
 それから2点目は、その下の方に公益事業特権の付与、接続義務、たくさん箱が並んでいて、この委員会は随分やることが多いなと、非常に範囲が広いなという感じがして、6月までにできるのかなという気がいたしますが、それはともかく、公益事業特権については、後の方の13ページにビジネスモデル研究会がプラン1として出した中に検討すべき課題とありますね。これは私もかかわったもので、プラン1、次のページのプラン2を踏まえて、今後検討としてはいかがかと思いますが、この13ページの検討すべき課題例でいいますと、公益事業特権の付与を希望するか否かということでいいのかということがありますけれども、これはまず希望するとしたら、すべて一種となるかどうかというのは、またちょっと検討の余地があるのかなと。それだけの実態があるかということも審査して、このものには公益事業特権を与えるという、私ちょっと研究会でどういう議論したか忘れましたけれども、そういうことを考えていいのではないか。そうしますと、後でEUのこともご紹介になられて、EUでは、公益事業特権と電気通信事業者の区分、ライセンスというのは別立てになっているご紹介いただきましたけれども、そういう方がいいのかなという気がいたしますが、一種・二種という区別なりライセンスの違いと別に、公益事業特権を与えるべき類型を別に制度化するという方向はいかがかなと。その場合にはどういう検討すべき課題例があるのか。これは質問というより、今後ここで検討すべきことかもしれません。それが2点です。
 余り長いといけませんので、ここで切りますけれども、それから3点は、4ページの下にある接続義務ですが、これについては、一つのアイディアですが、不可欠設備を持つような、先ほど後に説明がありました第一種指定設備事業者については当然接続義務がありますけれども、それ以外のものは一種・二種関係なく、外してはいかがかなと。その場合の実態はどうなんだろう。大規模一種事業者が接続拒否する。非常に問題が多いということが実態としてあるのか。それは私も知りませんので、ちょっとご検討いただきたいと思うんです。この場合には、支配的事業者については、26ページで先ほどご説明があったように、禁止行為の2)で、特定の電気通信事業者に対する不当優先的な取扱い・利益付与又は不当な取扱いは禁止されていますし、また独禁法上も不当な取引拒絶が違法となりますから、支配的事業者規制があれば、接続義務等は一般的に外していいのかなと。そういう意味では一種・二種の違いはそこではなくなるのかなという気がいたしますが、とりあえず3点、半分質問、半分検討課題ということで。
林主査  課題の点につきましては、ノートしておいていただいたので、今後の議論に役立てていきたいと思いますが、最初にありました法律の組み立て全体がITU、あるいは国際条約にのっとっている部分があるのではないかというご指摘につきまして、その後の情勢の変化等がもし情報をお持ちでしたら。
谷脇事業政策課調査官  ITUのD1勧告との関係でございますけれども、すみません、私、その部分、十分勉強しきれていない部分がございますので、その当時の状況をもう一度勉強した上で、この作業部会の場にお返しをさせていただければというふうに思います。
 ただ、舟田先生がおっしゃったように、今、役務の中身、役務形態によって特別二種と一般二種に分けているわけでございますけれども、先ほどご紹介申し上げましたように、VoIPのようなものが出てまいりますと、果たして公専公とVoIPは何が違うのかということになりますと、実際のところ違いがないということになります。そうしますと、特別二種と一般二種の取扱いについては、かなり近々に十分な検討を行う必要がある部分ではないかというふうに考えております。
 それから、追加的にもう少し申し上げますと、公益事業特権付与について、舟田先生がおっしゃられましたように、EUの場合は公益事業特権の付与を個別に与えるという形をとっております。日本の場合は、先ほどご説明申し上げましたように、一種事業というのは、非常に公共性が高いインフラ事業である。従って、許可にすると同時に、公益事業特権の付与というオートマティックな形で付与するという形をとっているわけですけれども、仮にこれをアンバンドルした場合に、参入規制と公益事業特権の付与を切り離しますと、公益事業特権の付与というものは、電気通信事業を所管しております総務大臣がどういうクライテリア、あるいはスタンダードで判断をしていけばいいのかという問題が出てまいります。すなわち、今は道路占用の義務許可にいたしましても、例えば国土交通大臣の判断ではなくて、公共性を総務大臣が認めたことによって、国土交通大臣の判断が入らない。それがゆえに、義務許可というふうになっているわけですけれども、引き続き、これをアンバンドルしたときに、総務大臣の判断で公益事業特権としてオートマティックに付与できるのかどうか。それによってEUと同じ形がとれるのかどうかという点については、法制的な検討も必要になってくるのではないだろうかというふうに思っております。
 それから、3点目の不可欠設備についてのご指摘がございました。これについては、先ほど細かい制度のご説明の中で、28ページ目で協議命令・裁定の話を申し上げたところでございます。28ページ目のところに、協議命令あるいは裁定というふうに書いておりますけれども、特に接続につきましては、申立人が誰であれ、第一種電気通信事業者が名宛人になっている場合には、すべて協議開始命令あるいは裁定の対象になっております。これは事業法38条の接続義務が前提となっているという仕組みでございます。つまり指定設備以外の事業者について、これを接続義務から外すということは一つの考え方だというふうに思いますし、この部会でもぜひご検討を頂戴したいというふうに思っております。そのときに、二種事業者から見た場合の利益の得失というものは、実態も踏まえて、あるいは意見を十分聞いた上で判断をしていく必要があるのではないかというふうに思っております。
林主査  若干細かい質問ですけれども、EUの公益事業特権の付与というのは、事業者に対して一括付与するのですか、それとも事業者から個別案件について、申請のあった都度判断するということになっているわけですか。
谷脇事業政策課調査官  指令案の中では、事業者の申請に基づいて付与するというふうに書いております。しかしながら、一定のライト・オブ・ウェイの権利を付与して、例えば、道路あるいは公用水面というふうに分けて与えるのか、あるいは一定のライト・オブ・ウェイという形で一括して付与する形をとるのか、指令案の中でまだ見えておりません。これからガイドライン化なりの中で見えてくるものではないかというふうに思っております。もう少し様子を見たいと思います。
舟田臨時委員  今の質問、アメリカの場合、ライト・オブ・ウェイは当然連邦ではなくて、州なり、その下ですよね。連邦の通信法上は、コモンキャリアという類型がありますけれども、それが直ちに州なり市町村に行くかどうか、またこれは別問題ですよね。しかも、先ほどおっしゃったように、コモンキャリアかどうかはFCCが判断しますけれども、ライト・オブ・ウェイを持つかどうかは州なり郡というか、市町村の誰の判断するのか、公益事業委員会なのか、それとも市町村長なのか、その辺を前から気にはなっていたんですけれども。
多賀谷委員  公益事業委員会じゃないの。
舟田臨時委員  恐らく違うでしょうね。
多賀谷委員  日本でいえば公物管理権に基づくような業務だろうと思うんです。
舟田臨時委員  そちらで情報お持ちですか。
谷脇事業政策課調査官  基本的には連邦通信法の第214条で線路の敷設もしくはエクステンションの時には、サーティフィケートを与えるということになっておりますが、それをベースとしてコモンキャリア規制というものが連邦通信法タイトル2で決まっているということでございます。それをベースに各州ごとに前提条件として、それが決まった上でライト・オブ・ウェイを州の公益事業委員会で付与するという形になっていたのか、あるいは前提条件という形ではなかったのか、ちょっと今定かなことを申し上げられません。もう少し調べさせていただきたいと思います。
林主査  どうぞほかのご意見お願いします。
舟田臨時委員  もう一点だけ。4ページでさっきの箱でいいますと技術基準はあんまり考えていない。その下の退出規制は前から気になっていたんですが、公益事業規制では一般に退出規制がありますけれども、伝統的な前提は、公正報酬率規制をして、利益を確保させてあげているのだから、勝手に出るなよというのが退出規制の前提なんですよね。ところが、電気通信事業法は、そもそも公正報酬率規制はやめましたから赤字になるかもしれないわけです。赤字になるかもしれないけれども、退出するなということはちょっとあり得ないですよね。ここは明らかに伝統的な公益事業規制と今の電気通信の制度の違いが出てきてしまったところだと思いますね。そういう意味で公的な意味での事業をちゃんと始めなさい、続けなさい、やめさないという意味での退出規制は、利益保障しない以上、削除すべきではないか。もしそうでないと、赤字だけど続けろというのであれば、国家補償の問題になると思うんです。それについては、ビジネスモデル研究会では、退出規制はなくていいのかという議論をしたんですが、ノースポイントの例はどこでしたか。アメリカのADSL事業者があってどうのという。
谷脇事業政策課調査官  9ページです。
舟田臨時委員  そのことも議論したんですけれども、しかし考えてみますと、ノースポイント社は、向こうではコモンキャリアとして位置付けているかもしれませんけれども、日本でいうと恐らく二種事業者になって、例えばニフティが突然やめたらどうか、そういう問題ではないかという気がするので、もちろん消費者保護、ユーザ保護の問題はあるんですけれども、それは一種・二種とは別に考えるといいますか、少なくとも従来の一種に課せられた参入、そうしたら開始せよ、開始したら続けろ、続けたら簡単に退出するなという仕組みとは違う形でユーザ保護を考えざるを得ないのではないか。それは基本的には情報公開しかないと思うんですけれども、情報公開と規制行政庁の報告徴取制度がどれだけやれるかということではないかなと思いますが、二種事業者に対しても、報告徴取制度というのはあったんでしたっけ。あんたちゃんとやっているのかと。規制行政庁として、どういう事業をやっているのか。最近ある事業者がちゃんとやっているのか問題になりましたけれども、ちゃんと体制を整えて事業拡大しているのか、あるいは、やめようとしているのか、その辺は規制行政庁としてきちんとデータを出せということはやってもいいような気がいたしますが、それ以上のことはやっていいかどうかですね。
林主査  関連する質問ですか。
多賀谷委員  はい。
林主査  どうぞ。
多賀谷委員  今の話で、基本的に先ほど舟田先生が特二について、特二というのは、もともとD1勧告のあたりの話で出てきたので、今日では、場合によってはその存在意義を失っ失っているのではないかという話なんですけれども、もともと特二のサービスというカテゴリーを使った場合には、それは不特定多数に対するサービスの提供という面でとらえてきた。そこで、最初からそれは不特定多数というユーザに提供するんだという、ユーザ保護の観点からの要素が多分あったのだろうと私は考えています。音声再販事業について特二の概念を用いたというのは、やはりその意味があって、一種・二種の区別が相対化する場合には、二種事業者の中でエンドユーザに直接サービスを提供する場合において、単に今おっしゃったような情報公開だけではなくて、何らかの意味で極めて薄い、事前規制ではなくなるかもしれませんけれども、薄い規制を事業法でかける必要がある。ほかのこの種のサービス事業でも、そういう形で2段階で薄い規制をかけていますし、ここで言えば、ヨーロッパとかほかの国でクラス免許制という形にしていますから約款的なシステムに近い。そういうものを残した方がいいのではないかというふうに思っています。
林主査  その点について若干個人的な感想を申し上げますと、不特定多数の人に極めて重要なサービスを提供している。そこで事業者が破綻をした場合の影響力は甚大であるというような場合、金融業のことを思い出すわけですけれども、その場合に、特定の銀行が業務を停止するということと、ユーザサービスとの間を切り離そうという考え方で、つまり銀行がつぶれてもユーザサービスに影響が出ないような仕組みを別途考えようという発想があると思うんですけれども、情報通信サービスに関して、そういうことは考えられないのでしょうか。
多賀谷委員  その場合に、既存の破綻しかかっている事業者が持っている、物理的にもしくはバーチャルなインフラを、新たな参入事業者が肩代わりして継続的にサービスを提供するという仕組みができればよろしいわけです。例えば通信ではないですけれども、イギリスでかつて放送局が5年か10年に一回必ず1局つぶれるというシステムが、許可を与えないというシステムがあったわけですけれども、その場合にどうするかと聞いたら、その場合にも、その設備を新規参入事業者がそのまま提供して、放送サービスが途切れることなく提供されるという仕組みがあるんだと。日本でも、そういう形になっていれば、おっしゃることはいいだろうと思うんですけれども、そのコストは結構かかるのではないかという気がします。
佐藤専門委員  ちょっと関連する話かどうか。私も舟田先生とビジネスモデル検討会で議論したので、近い考え方かもしれませんけれども、一種だから退出してもらっては困るというような議論とか、あと9ページとか13ページ、ユーザ保護というのがそういう意味では随分書かれていて、二種事業者、ADSLが何社も競争している中で1社つぶれたと。つぶれるものをつぶれないで残っていろというわけにもいかないし、一体ユーザ保護というのは何なのかと私なりに考えると、エネルギー分野でいうと、ラストリゾートの議論とか最終供給義務、他に代替できないようなコアになるサービスと、ADSLか、要するに電話以外でかなり競争的だったり、付加価値的なサービス等、一種でもいろんなサービスがあるわけですね。どちらかというと、本当に退出してもらっては困るというのはラストリゾート的なサービスで、NTTがこの値段ではこの島ではやっていけません、やめますよというようなときに多分ユーザ保護が問題で、それは一種・二種の規制というよりは、そういうサービスは不採算であったり、ビジネスがやれないときにどうするかの議論で、ある種それはユニバーサルサービスでやるのか、デフォルトサービスを用意して、別の仕組みで担保するのか、そういう議論ではないかなと思うんです。
谷脇事業政策課調査官  先ほど舟田先生からお話がございました電気通信事業者からの報告徴取権という件ですけれども、今の電気通信事業法の第92条で一種・二種を問わず報告徴取権というものはございます。そういった意味では必要に応じて、私ども行政が電気通信事業者さんからいろいろな報告をいただくということは可能というスキームになっております。
 それから、特に第一種電気通信事業の場合、退出の許可でございますけれども、確かに舟田先生がおっしゃったように、公正報酬率は確保されている中での事業法の退出許可であったというのは、おっしゃるとおりだと思います。すなわち、公益事業特権を行使することによって、非常に公共的なネットワークインフラを構築した事業者が、その後すぐにヒット・アンド・ランのような形で退出をするということは望ましくないという発想も背景としてはあったと思います。しかしながら、今ご議論がございますように、インフラの代替性と申しましょうか、複数の事業者さんがネットワークインフラを構築してきているような中で、いわゆる唯一無二のオルタナティブがないような不可欠インフラという時代ではなくなってきているということを考えれば、退出規制の在り方については、やはり柔軟に見直していく必要があるのではないかというふうに思います。
 ただ、ユーザの保護をどこまで考えるのかということは、これはいろいろな議論があるのではないかというふうに思います。つまりサービス供給において代替性が十分に確保されていれば、特定の事業者が市場から退出しても、それはユーザに任せておけばいいんだという一つの考え方もございますし、あるいはユーザが他の事業者に移行するのを一定程度支援する、あるいはサポートするという仕組みをある程度確保した方がいいのではないかという考え方もあろうかと思います。この辺は価値観に左右される部分もあろうかと思いますけれども、そういった部分は少しく判断を要する部分ではないかというふうに思います。
舟田臨時委員  ユーザはいろいろあるわけですけれども、例えばインターネット接続サービスの事業者はほとんど不特定多数に対して、お客さん、いらっしゃいと言っているわけで般二、特二のときには、般二というのは、昔の言葉で言うとVAN事業者で、特定の人から情報処理の委託を受けてやるから、それはいいだろうというような頭があったろうと思いますけれども、しかし、制度の当初から特定の名前を出してあれですけれども、IBMは般二で頑張ったんですよね。そんなのでいいのかという議論をしたのですけれども、つまりサービスの対象が不特定多数なのか、それとも特定企業なのかという区別はできない。それを制度上やるのは非常に難しいんですね。それが1つと。そういう意味で般二、特二については疑問があった。
 先ほど林先生は、銀行とおっしゃいましたけれども、銀行の場合、セーフティネットという社会における特殊性があるわけですけれども、インターネット接続サービスとか、あるいはVoIPもそうなのかもしれませんけれども、かなり代替性の強いサービスになってきた。そうしますと、佐藤先生がおっしゃったようなラストリゾートは最低限何かで確保しなければならないでしょうけれども、それ以外は基本的には自由な契約に委ねる。しかし、そうするといろいろな問題があるわけで、去年施行された消費者契約法はまさに自由に委ねておくだけでは不十分だということがあるわけです。何か法制度上サポートしないとユーザが不利益を被るということなる。しかし、あれについてはもちろん議論があって、不十分な立法だと思いますけれども、ここでも電気通信事業に特有なユーザ保護を、一般的な消費者保護と別にやる必要があるのかという問題があって、多賀谷先生がおっしゃるように、あるんだという意見もあるでしょうし、私は情報公開と報告徴取の程度かなという気がいたしますが、その辺も少し今後の話だろうと思います。
多賀谷委員  別件で。先生がおっしゃった公益事業特権の話なんですけれども、この問題について、基本的に将来どうするかということについては、ビジネスモデル研究会でプラン1、プラン2というふうにお出しになっているわけですけれども、その場合、私もどっちかというとイメージとして、ネットワーク部門とサービス部門を区分するという方が何となくすっきりするかなという気がします。仮にネットワーク部門というふうに考えた場合には、ネットワーク部門というのは、物理的なネットワークだけではなくて、バーチャルなネットワークを含めて法制度の対象になると思うのです。その場合には公益事業特権というのは、主として物理的なネットワークを設置する事業者についての問題なわけです。それでは、バーチャルなネットワークを敷設する事業者にとって、バーチャルなネットワークを敷設するについての何らかの障害に対する対応というのを考えて、それは基本的に接続義務だと思うんのす。要するにバーチャルネットワーク事業者に対しては接続義務的な仕組みでもって、そのネットワークを張ることを保証している。そうすると、物理的なネットワーク事業者に対する公益事業特権の仕組みと、バーチャルなネットワーク事業者に対する接続義務の仕組みがかなり違うわけです。その違いをある程度相対化して、それほど違わないということにしないと、恐らネットワーク部門とサービス部門、事業部門の区分けというものがうまくいかないのではないかという気がしますので、その点から両方の制度の仕組みを検討していただければと思います。
林主査  時間的な整理が必要だということですね。
佐藤専門委員  感想みたいなことになりますけれども、今おっしゃられた方向と同じような意見かもしれませんけれども、レイヤごととか、ネットワークとサービスとか、そういう形で分けてもう一回いろんな規制の在り方を見直すことが必要かなとは感じます。まずネットワークで見ると、公益事業特権とか、17ページ、周波数とか、電話番号の話があって、これはWTOだと稀少資源へのオープンなアクセスというところに、こういうものがみんな入っていて、ネットワーク構築するというと、こういう公的なものとか、あるいは稀少資源をどうやって割り振ってみんなで使い回していくかという話が一つ入って、後ろの方の三十何ページですか、ネットワークを維持する技術基準の話がありますよね。ネットワークつくるリライヤビリティとか、安定的にネットワークを運用できるような人じゃないと、そういうことは任せられませんというようなことがあれば、例えば、海外でパイプラインをつくるときは、ファイナンシャルの面でも要件があったようにも思いますけれども、そういう技術だったり、ファイナンシャルの要件を持った人に、こういう稀少資源を与えて、ある程度ネットワークをいろんな形に維持運営していただく、ネットワーク絡みの規制があるのかなと。
 もう一個私が公益事業論等で思うのは、サービスにかかわる規制があって、まだクリアにならないのですけれども、1つはプライベートとパブリック、コモンキャリアの概念、コモンキャリアの交通の概念で言うと、プライベートなバスでも相対でやれるプライベートなバスの提供と、コモンキャリアとしてのパブリックなサービスがあって、パブリックなコモンキャリアの要件というのはタリフと差別しない。この2つを持つとコモンキャリアの概念が入るわけです。こういうサービス概念では、パブリックとコモンとか、プライベートとかそういう分け方。それからもう一個は、マーケットでの上下両方ありますけれども、ドミナンスとかボトルネックみたいな議論、そういうことを少し縦横に切り分けて、規制の在り方とか、ルールの在り方を見直すといいのかなと思います。
 ひとつ質問は、アメリカでもコモンキャリアの概念があるんですが、要するにユーザにサービスを提供するというところで、特にコモンキャリアの概念が、さっき言ったタリフとか、ノンディスクリミネイトリーとか、そういうふうにかかってくるのか、設備をつくるところでも、コモンキャリアというのが要件で特権的にかかってくるのか、もしご存じだんだら、その辺、お話しいただければと思います。
谷脇事業政策課調査官  事実関係をもう一度確認してみたいと思いますけれども、連邦通信法の中では、たしかコモンキャリアのディフニションというのはございますけれども、基本的には、設備を設置もしくはエクステンドするというだけではなくて、テレコミュニケーションサービスというものを、チャージをとって提供するということをもってコモンキャリアというふうに定義するというふうになっていたかと思います。従いまして、そういった意味では、電気通信回線設備を設置するということに加えて、料金を徴収して、電気通信サービスというものを提供するということをもって、初めてコモンキャリアというものの構成要件に達するという形ではなかったかと思います。ただ、事実関係については、もう一度チェックをしてみたいと思います。
佐藤専門委員  再販事業者は、そうするとコモンキャリアじゃない。
谷脇事業政策課調査官  いわゆる単純再販の事業者についてはコモンキャリアになっております。しかしながら、インターネットサービスプロバイダーなどについては、これはコモンキャリアの対象にはなっておりません。
佐藤専門委員  キャリアズ・キャリアはコモンキャリア。
谷脇事業政策課調査官  キャリアズ・キャリアはコモンキャリアです。
佐藤専門委員  わかりました。
林主査  他に何か論点ございませんでしょうか。
 細かい議論に入る前に、少し大枠の話を確認しておきたいんですけれども、事業法というのは、情報通信産業のいわばルールブックみたいなもので、ルールを定めて究極の目的は、面白いゲームがそこで展開されるかということなわけですけれども、そういう観点からいいますと、今事業法の何がボトルネックになって、ゲームがつまらなくなっているかということを、ここに幾つか事業者の要望としては書いてあるわけですけれども、事務局の方で感想のようなものをお持ちではありませんか。
谷脇事業政策課調査官  大変難しいお話でございますけれども、一つ言えますことは、接続だとか、業務委託だとかいろんな制度があるわけでございますけれども、例えば、どういう場合に業務委託はいいのか、どういう場合、これは接続になるのかといったように、今の事業法に明文的に規定されておりますけれども、実際の適用関係が少しわかりにくくなってきているような部分があるのではないかというようなご指摘は時々いただくことはございます。他にも恐らく現実にはいろんな問題があるのかもしれません。そういったことも後ほどご説明をいたしますけれども、今後のご審議の過程で事業者さんのご意見も承りながら、もう少し具体的な意見も聞いてみる必要があるのではないかというふうには思っております。
林主査  いきなりばくっとした質問で大変恐縮でしたけれども、予見可能性とか、ルールである以上、公正でなければゲームが成り立たないという部分もよく分かるわけですけれども、何となくルールである以上、ルールのためのルールというよりは、面白いゲームが展開されるために、ルールをどう定めるかという根本的な視点が必要かなという気がいたしまして、テクノロジーやニーズが、あるいは国際関係が大きく変わっていく中で、どういうルールにすれば日本の通信産業が面白くなるかというのを、報告書の前文みたいことになるわけですけれども、やはり念頭に置きながら、これから議論を進めてまいりたいという気がいたします。
 他に何かご指摘ございますか。
佐藤専門委員  接続の議論が出たので、コメントだけしておこうかなと思いますけれども、接続という概念も多分いろいろあって、接続は一種の電気通信指定設備だけで、他は自由にしていいかどうかみたいな議論もありましたし、新しい一種・二種と違う枠組みになったとき、どういう接続のルールが必要かというのは多分議論しなければいけない。ただ接続というと中身がいろいろあって、例えばアンバンドルとインターコネクションとか、アンバンドルだと、どっちかというと設備のものに依存していて、ボトルネックだから開けましょう、コンポーネントとして機能や設備を他に使ってもらう話ですよね。インターコネクションになってくると、ターミネーションとか、トランスフォートとか、どんな事業者が出てきても、最後、相手のネットワークにターミネートしないと呼が成り立たないからターミネーションというのは常に残るわけです。ボトルネックがなくなっても、事業者が加入者をもって世の中に何社も出てくれは、必ずほかの国に、他の事業にターミネートしますから、ターミネーターミネーションというのは残っていて、そこは拒絶されると多分困る部分で、そういう意味ではターミネーション的な接続というのは、広く全加入者にかかるものかなとも思います。そういう意味で今一種に全部かかっていますけれども、一種・二種と違う枠組みになったときには、接続もそうやって中身を少し分けて新しいルールの中で再構築するのかなという気がします。
谷脇事業政策課調査官  大変貴重なご指摘をいただいたと思います。つまりネットワークというものに接続して、エンド・エンドのサービスを提供するというときに、確かに物理的なネットワークエレメントをどういうふうにオープン化していくかというような物理レイヤの話が1つございます。それからもう一つは、コール・ターミネーションという観点から、いわばサービスをエンド・エンドで完遂させるためにどうしていくのかというようなもう少し上のレイヤの話があります。そういった意味では、この2つをどういうふうに整理していくのかというのは大きな問題だと思いますし、その話は、先ほど多賀谷先生がおっしゃったように、リアルなネットワークとバーチャルなネットワークという問題とも対になっているものではないかというふうに思っております。そういった意味では、ネットワークとサービスというふうに分けるという先ほどビジネスモデル研究会の議論がございましたけれども、ビジネスモデル研究会では、ホールセールとリテールという分け方をしておりますけれども、ホールセールの部分も物理的なネットワークとまさにサービスとしてのホールセールというふうに概念的には分けられます。そういった意味で頭を少し整理しながら、先ほど佐藤先生からお話があったように、少しレイヤを分けながら、規制がどういうふうにマッピングできるのかという点については次回以降また資料の形でご提示をさせていただいて、またご議論を頂戴できればというふうに思います。
多賀谷委員  さっき佐藤さんがおっしゃっていたんですけれども、コモンキャリアの概念自体も物理的な回線ネットワーク、物理的なインフラを前提として、コモンキャリアと自営回線というような議論があるわけですけれども、電気通信の場合には、ネットワーク自体がバーチャルになった場合、コモンキャリアと自営の区別がバーチャルなところでは同じような議論が出てくる可能性があるだろう。その場合に、実際に今現在、事業法の適用になっている電気通信設備といいますか、電気通信ネットワークの他に、イントラネットを代表とするような、バーチャルにクローズドなサービスというものがあって、そこに事業法は直接適用になっていけないわけです。ただし、厄介なことに消費者保護ということを考えると、あるいは技術的適合基準ということを考えると、SDOCの話もありますけれども、その点は実際上、自営的なシステムの整合性を図りながら、こういう仕組みをつくっておかなければいけない。あるいは情報セキュリティの観点からもということなので、その点を考えながら、全体の制度を作っていかなければならないと思います。
林主査  特にセキュリティの部分というのは、オープンでIPベースになったときにも非常に重要ですよね。電話で、有線でつながっているときになかったファクターがたくさん入ってきますので、セキュリティの面からある種の公共性という概念をどう位置付けて、どう確保していくかというのは非常に大きな課題だと私も思います。
 関口委員、何かご意見ございませんでしょうか。
関口専門委員  もう少し勉強させていただきます。規制をどこまで緩めるかという議論と一緒に、やはりユニバーサルサービスであるように緊急通報まで議論の中に入っているというところから、規制として守らなければいけないところはどこなのかということをもう少し煮詰めて、それと、サービスがいかに普及していくかということとちょっと次元が違うことが議論の中に入っているなというのが、まだ頭の中に整理しきれていないところなんです。2つはやはり分けて最終ユーザにとって何がハッピーになるのかということと、それから守っていくところになるのかというところの2つの面は整理していきたいというふうに思っています。
林主査  今ご指摘の緊急時の対応についても、これも論点になるかもしれない。例えば卸と小売と分けたときに、緊急時の通報ないし情報伝達が確保できるかという話がありますので、これは通信に限らず、広い意味でいうと有事法制の中に入るのかもしれませんが、災害時のある種の公共性の確保、優先的な資源の利用とか、そういうものも考えておかないといけませんけれども、私の感じでは、それはこの場ではなくて、緊急時対応の話をきちんとやるべきではないかなという気がしまして、それをしやすくするように制度の方を整えておくというのは、どうも本末転倒ではないかという感じがするのですけれども、しかし、いざとなったときは非常に重要なことでありますし、私は兵庫県に住んでおりますので、阪神・淡路大震災の記憶がまだ生々しいわけですけれども、そういうときに、例えば道路の確保とか、ヘリコプターで飛ぶ道の確保だとか、水の確保だとか、同様に通信の確保というのを何らかの形で考えておかなければ、全体に自由にしていくということは賛成なんですけれども、緊急時には、緊急時モードに切りかえられるというところはスイックを一つ入れておく必要があるということは思いますね。
多賀谷委員  ちょっと無線のことについてお話ししたいんですけれども、今のような一種と二種の事業の相対化の議論は、どちらかというと有線、線路を使った電気通信事業を前提にしているような気がいたします。有線路の場合においては、公益事業特権を持っているかどうかはともかくとして、現在、一種事業者は大体自前の設備としてそれを持っていて、それについて設備を保有することについての直接の法規制は存在せず、設備を用いてサービスを提供することについて、電気通信事業法による規制というものがあるわけです。けれども、ご存じのように、無線の場合においては、電波法による無線局の免許というものがあって、その上に電気通信事業法による事業規制の仕組みが存在しているわけです。従って、前回、情報通信審議会で触れたのですけれども、MVNO的なものを特二としてとらえるというような仕組みは、有線の線路を前提とする議論だったらわかるのですけれども、無線の場合にはどこかでそこは若干矛盾が出てくるだろう。要するに無線の場合においては、それは電波というの有限貴重な資源ですし、基本的に電波法の免許のところで、無線局の用途についてある程度の限定をつけて無線局免許を行っている。電波法の仕組みと事業法で事業の規制緩和をするというのをどこかで食い違う可能性が出てくるので、その点で有線と無線と、少なくとも最初は区別して十分検討していただければと思います。
林主査  無線のことについて、事務局、何か感想ございますか。
谷脇事業政策課調査官  MVNOにつきましては、先ほどご紹介しましたビジネスモデル研究会の中間報告の中でも電気通信事業法上の二種事業として位置付けられるということで書いております。いずれにしましても、電波法あるいは事業法上の適用関係、MVNOについて明確にするという観点から、MVNO事業化ガイドラインのようなものをつくるべしというようなご提言をいただいております。このMVNOにつきましては、先ほど申し上げました音声ベースということで、エンドユーザ側から見れば、公専公と同じぐらいの社会的な認識ではないかというふうに思います。今の制度のままであれば、公専公と国際以外は一般二種ということでございますので、これから出てくるであろうMVNOも一般二種事業というふうに位置付けられようかと思います。問題は、一般二種事業のままで引き続きプレイしていただくのか、あるいは公専公とのバランス、これは固定・無線の違いがございますけれども、そういった意味で特別二種というようなリカテゴライズが必要なのかどうかという点については、若干議論していく必要があるのではないかというふうに思っております。
林主査  物理的なネットワークにつきましても、例えば電力会社が新たに光ファイバを敷設する場合は、従来どおりの枠内でおさまるかもしれませんが、電力線を使って通信を行うというような議論がどこまで実現性が高いかわかりませんが、もしかしてそういうことが起こってきた場合にも、対応できるように考えておかなければいけないのかなという気がいたします。
谷脇事業政策課調査官  今の点につきましては、ネットワークインフラというものが、例えば重要通信確保というお話がさっきございましたけれども、電気通信事業法の中では、電気通信事業者が重要通信を確保していくというオブリゲーションを持っているわけでございます。しかしながら、先ほどからお話が出ておりますように、例えば地方公共団体の光ファイバネットワークであったり、そういったような事業者以外の方が持っておられるインフラネットワークというものを電気通信事業者の方がご活用になって今ネットワークを広げていこうとしている、あるいは既にかなりの部分を依存しているものも出てきている。そういう中で、これからの事業者による重要通信確保というものを、どういうふうにすれば法制的に確保できるのかという意味において、電気通信事業法の適用範囲というものを、今の事業者が自ら設置しているネットワークを基本に考えるのでいいのか、あるいはもう少し社会的必要性がある部分については、エンハンスする形で考えるのかということも議論の対象になってくるのではないだろうというふうに思います。
多賀谷委員  規制強化。
林主査  それはそうでもないと思いますけれども。
 いかがでございましょうか。第1回目ですので、フリートークということでお願いしているわけですけれども。
 それでは、この審議会は非常に短い時間の中に大きな課題を整理しなければいけない。ただし、私の印象では、この部会のミッションは、最終的な答えを1つに絞って書き上げるということでも必ずしもないのかなという気がいたしますので、幾つかのオルタナティブを付随する条件等もあわせて整理してみるということがまず初めの仕事になろうかなという気がいたします。その意味で今後、諸外国の事情でありますとか、あるいは具体的に事業者からのヒアリングもさせていただくというような予定になっているというふうに伺っております。

  (3)基本法制検討作業部会における検討スケジュール

林主査  そこで、きょうは議論はこれぐらいにさせていただきまして、次に、本作業部会の検討スケジュール案について、事務局からご説明をよろしくお願いいたします。
谷脇事業政策課調査官  お手元の資料の4でございます。横長の資料でございますが、「基本法制検討作業部会における検討スケジュール(案)」という資料がお手許にございますでしょうか。それをご覧いただければというふうに思います。
 本日第1回の会合ということでございましたけれども、次回の会合を3月19日を予定させていただいております。その中では、きょうも若干ございましたけれども、主要国におきます最近の動向について、もう少しご紹介をさせていただきたいというふうに思っております。加えて、きょうご議論の中でいろいろとご指摘をいただきました点について、もう少し補強をして、改めて資料としてお示しをさせていただければというふうに思います。そういったことを踏まえながら、今後の検討の方向性について、審議を頂戴できればというふうに思っております。
 その後4月に入りまして、先ほど議論が出ておりましたけれども、関係する皆様方からのヒアリングを実施させていただきたいというふうに思っております。ここでは第3回ということで1回で書いておりますけれども、広く関係者からご意見を伺うという意味においては、2回ぐらいに分けて実施することが適当かなというふうに今事務局としては考えております。いずれにしましても、次回までにある程度具体的な中身を固めまして、この場にご報告をさせていただければというふうに思っております。
 その後、検討の方向性についてご議論をいただいた上で、5月半ばぐらいを目途にドラフドラフト的なものをご審議いただければというふうに思っております。また、この作業部会と連動しております上の競争政策委員会にも、この作業部会の検討状況については、随時ご報告をしながら、連携をとりながら進めてまいりたいというふうに思っております。
 以上が検討スケジュール案ということでございます。
林主査  ただいまのご説明につきまして、ご意見等ございませんでしょうか。
 それでは委員の皆様には大変ご苦労でございますけれども、3月、4月、大変立て込んだ日程で審議をお願いすることになると思いますが、よろしくお願いいたします。
 では、本日の議事は終了いたしましたけれども、次回のことについて、何か特段ございますでしょうか。
川野事業政策課課長補佐  次回は、ただいま申しましたとおり、3月19日火曜日午後2時から約2時間の予定で総務省6階の第三特別会議室において開催する予定でございます。よろしくお願いいたします。
 以上でございます。

閉会

林主査  それでは、本日の会合を終了したいと思います。ご協力ありがとうございました。




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