情報通信のトップへ

情報通信審議会



情報通信審議会
IT革命を推進するための電気通信事業における
競争政策の在り方についての特別部会
競争政策委員会(第1回)





日時 平成14年3月18日(月)
    14時00分〜16時12分
場所 総務省3階301会議室




(速記録)








開会

荻原電気通信技術システム課課長補佐  ただいまから、IT競争政策特別部会第1回競争政策委員会を開催させていただきたいと思います。
  私は、本委員会の事務局を担当しております総合通信基盤局の荻原と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

委員会の設置等について

荻原電気通信技術システム課課長補佐  本日は、主査に議事進行をお願いする前に本委員会の設置の経緯につきまして簡単にご説明させていただきたいと思っております。お手元の資料1及び資料2をご覧いただければと思います。
 既に皆様には事務局よりご連絡させていただいておりますが、去る2月28日、IT競争政策特別部会の決定ということで資料2の1枚目をちょっとご覧いただきたいと思いますが、「競争政策・ユニバーサルサービス委員会」を廃止いたしまして、新たに競争政策全般についてご審議いただきます「競争政策委員会」を設置いたしました。さらにその下に、事業区分の見直し等につきましてご審議いただきます「基本法制検討作業部会」を設置するということが決定されたところでございます。また、同時に、2枚目をご覧いただければと思いますが、競争政策委員会に所属する委員の先生方が藤井部会長より決定されまして、同時に醍醐委員に主査になっていただくということが藤井部会長より決定されたところでございます。
 競争政策委員のメンバーの方々は、従前の競争政策・ユニバーサルサービス委員会にご参加いただいておりました先生方と同じでございます。
 それでは、これからの議事は醍醐主査にお願いしたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
醍醐主査  どうも依頼されてもいないうちからしゃべりかけてしまって大変失礼いたしました。
 それでは、藤井部会長のご指名によりまして、本委員会の主査を務めさせていただきます醍醐でございます。よろしくお願いいたします。主査といたしまして、精一杯努力していきたいと思っておりますが、メンバーの委員の皆様並びに専門委員の皆様方にも何とぞ議事運営にお力添えをいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

主査代理の指名

醍醐主査  それでは、お手元の議事次第に従いまして、議事を進めていきたいと思います。
 初めに、私が委員会を主宰できない場合の代行をお願いする主査代理を決めさせていただきたいと思います。
 主査代理は、規定によりまして主査が指名することとなっておりますので、私の方から指名をさせていただきたいと思います。
 主査代理には、酒井専門委員にお願いしたいと思います。酒井専門委員よろしいでしょうか。
酒井専門委員  はい。
醍醐主査  それでは、酒井専門委員に主査代理をお願いしたいと思います。

議題

  (1)審議の公開について

醍醐主査  次に、本委員会の審議の公開についてでありますが、特別部会では情報通信審議会議事規則第11条第4項に基づき、同規則第9条(議事録等の公開)でありますが、この規定が準用されることとなっております。本委員会でも基本的には、この規定に沿って審議を公開していきたいと考えております。
 なお、去る2月13日の情報通信審議会総会において、答申案作成の過程における「論点整理」段階の審議については、原則公開とする運用方針が確認されたところでございます。
 それでは、事務局から資料の説明をお願いしたいと思います。
荻原電気通信技術システム課課長補佐  それでは、お手元に資料3とございます1枚ものをご覧いただければと思います。
 情報通信審議会議事規則、これは平成13年1月17日に審議会決定第1号として決定されたものの抜粋でございます。 第9条に会議の公開とございますので、こちらの方を読み上げさせていただきたいと思います。
  第9条 会議は、次の場合を除き、公開する。
    一  電気通信事業法第九十四条各号(四号、八号、十号、十六号、二十号及び二十一号を除く)に掲げる事項に関する審議
    二  有線テレビジョン放送法第二十六条の二第一号、第三号及び第四号に掲げる事項に関する審議
    三  会議を公開することにより当事者又は第三者の権利、利益や公共の利益を害するおそれがある場合その他の会長が非公開とすることを必要と認めた場合
ということでございます。
 それから、第2項といたしまして、議事録等は、審議会の事務局において閲覧その他の方法により公開する。ただし、議事録等を公開することにより当事者又は第三者の権利、利益や公共の利益を害するおそれがある場合その他の会長が非公開とすることを必要と認めた場合、その全部又は一部を非公開とすることができる。
 第3項といたしまして、第一項第三号の規定により会議を非公開とする場合又は前項ただし書の規定により議事録等を非公開とする場合は、その理由を公表する。
 第4項といたしまして、議事録が公開されるまでの間、審議会の事務局は、議事概要を速やかに作成し、会長の承認を得て公開する。
 第十一条 第4項で部会の議事の手続その他部会の運営については、第二条から第九条までの規定を準用する。
 以上でございます。
醍醐主査  ありがとうございました。ただいまの説明につきまして、ご質問、ご意見等ございませんでしょうか。
 それでは、ございませんようですので、資料3のとおり、会議に公開につきまして準用してまいりたいと思います。
 なお、これまでの競争政策・ユニバーサルサービス委員会と同様に、議事概要の内容につきましては、迅速な公開を図るという趣旨から、主査の私にご一任いただき、また、議事録につきましては、内容をご出席の委員等にチェックをしていただき、非公開とする部分等について、主査の私に一任いただくということでよろしいでしょうか。それでは、そのように取り計らせていただきたいと思います。
 それでは、次の議題に進みたいと思います。

  (2)第二次答申のフォローアップについて
     1) プログラムで提言された事項に関する各種研究会、協議会等における検討の進捗状況について
  2) 事業区分の見直しについて
醍醐主査  本日は競争政策委員会として第1回の会合となりますが、事務局より、第二次答申のフォローアップと諸外国の競争政策の見直しの状況について資料を用意いただいております。まずは、それらをご説明いただいた上で議論を行っていきたいと思います。
 2月に情報通信審議会から公表された第二次答申の第1章「競争政策」のうち、「競争環境 整備に向けた行動プログラム」というものを、盛り込んでおりますが、そのプログラムで提言 されました事項については、資料の4としてお手元にお配りしておりますが、そのうち、各種 の研究会、協議会等における検討の進捗状況について事務局から説明をお願いしたいと思います。
吉田料金サービス課長  料金サービス課長の吉田です。今、主査の方からお話ございましたように、資料4の(a)、(b)、(c)、(e)につきましては3つの研究会、協議会がございますので、それぞれにつきましての進捗状況についてご説明させていただきます。
 資料5でございます。1ページ目でございますけれども、まず一番初めに「公衆網再販の導入のための協議会」ということで、これは「構成」のところに書いてございますように、佐藤先生他3人の先生にもお入りいただきまして、そこに書いてあります事業者、後は次のページをめくっていただきますと、総務省から私が入りまして、このメンバーで冒頭の「目的」のところに書いてありますように、競争事業者側がどういうことをやって欲しいのか、それをやっていくためには、どういうシステム開発が必要なのか、そのために体制、あるいはお金が幾らかかるのかという前提条件を整理するという趣旨で、この協議会を発足させております。
 2ページに、これまでの開催状況ということで、都合4回ほど開催いたしておりまして、本年6月を目途に報告書をまとめていくというスケジュールになってございます。
 主に、これまでどういうことを検討してきたかということでございますが、まず第1回目は、NCC側の方からこういった形で公衆網再販というのを導入していただきたいというプレゼンテーションがございまして、それにつきまして、NTT側の方からの考えを説明したのが2回目でございます。3回目、4回目からは、それと並行いたしまして、そういった前提条件によって若干システム開発費用というのは変わってくるわけでございますが、では幾らあるいはどのくらいの期間がかかるのだということについて説明がございまして、それに対して質疑を行っているということでございます。
 大きく分けまして2つの案というのが出ておりまして、まずは、一つ目は競争事業者はNTT東西と卸売の契約を結ぶということで、それを受けまして、競争事業者がエンドユーザに対してサービスを提供するということで、NTT東西とエンドユーザとの契約関係は一切なくなるということで、故障移転あるいは契約のオーダーなど全てお客さんは競争事業者との間でやり取りをするというのが一つ目なのでございます。
 ただ、今一切というふうに申し上げましたけれども、ちょっと詳細な説明は省略いたしますが、施設設置負担金の扱いの関係で、一部契約を残した方が全体の契約関係がスムーズにいくのではないかということで、そこについては2つの意見があるという点がございますけれども、基本としては、先ほど申し上げたとおりということでございます。それがまず1点目でございまして、ただ、この方式でございますと、非常にシステム開発の関係の費用がかさんでくる、あるいは期間がかかってくる、2〜3年かかってくる、そういう問題点が生じてくるということがあるわけでございます。
 そこで、第4回の1)のところに、異名義割引の拡大により云々と書いてございますが、これはどういうことかと申し上げますと、そもそもその公衆網の再販というのがでてきた一つのきっかけといたしましては、いわばマイラインが導入され、全ての区分についてNTT東西以外の会社にマルをつけたとしても請求書は依然として基本料の部分等につきましては、NTT東西から送られて来るということで、ワンビリングというのを実現したいということが一つの理由、きっかけというふうなことでございますので、先ほど申し上げたような形にしなくても、今異名義割引というようなサービスがございまして、主にこれは二種事業者が利用しているわけでございますが、これを若干アレンジすることによりまして、ワンビリングという形は実現していくのではないか。そういう形になりますと、システム開発等々に必要な経費とか、期間とかはかなり軽減されるのではないかということで、そういった案がテレコムサービス協会及び一部の事業者から提案をされている。今のところ出てきている案としては2つということでございまして、いずれにいたしましても、それぞれの案につきまして、契約関係あるいはシステム開発あるいはお金が幾ら、期間が幾らというような条件を整備していくというのが、この協議会の目的ということでございます。
 2つ目が3ページでございまして、「IT時代の接続ルールに関する研究会」ということで、それは資料4の(1)で申し上げますと、(b)のOSSの開放、それと利用者料金と接続料の関係の在り方につきまして、「3 構成」のところに書いてございますが、酒井先生に座長ということで、この5人の先生にお願いをいたしまして、研究会を2月21日にスタートをしたという状況でございます。
 検討のテーマとしてはOSS、ただこの場合、電話の関係につきましては、先ほどの再販との関係が非常に深いということで、まず当初はインターネット関連のOSSの開放というところからスタートいたしておりますが、それともう一つ利用者料金と接続料の関係の在り方の2点に絞りまして、短期間の間に議論をしていこうということでございます。
 これまで2回ほど開催いたしまして、1回目につきましては、4ページに書いてあるような形で事務局の方から論点、あるいはこれまでの経緯、論点等について説明をし、意見交換を行った。2回目につきましては、利用者料金と接続料の関係の在り方につきまして、NTT東西を初めとする事業者からヒアリングを行って議論をしたというのが2回目でございます。3回目はまだ日時は決まっておりませんが、3月末に開催する予定でございまして、もう一つのOSSの方について利用者からヒアリングをしていこうというふうに考えているところでございます。
 最後は、5ページ以下でございますけれども、消費者支援策に関する研究会ということで、これは明治大学の新美先生に座長をお願いいたしまして、1月の末にスタートいたしまして、これまで3回ほど開催いたしてございます。
 目的といたしましては、最初のところに書いてあるとおりでございまして、消費者の自立と合意的選択を支援する環境整備ということで、検討を行っているところでございます。
 第1回目、第2回目、それぞれどういうことを議論したかということにつきましては、6ページ、7ページ目に書いてございますとおりでございまして、第1回目につきましては、主な論点につきまして、検討事項のオペについて事務局からご説明をした後、意見交換を行い、2回目につきましては、NTT東西、KDDI、テレコムサービス協会から、どういう苦情相談等の取組体制で取り組んでいるかということにつきましてご説明をいただいた後、議論を行ったということでございます。
 以上3つの協議会、研究会につきまして、簡単ではございますが、これまでの検討状況についてご説明させていただきました。
醍醐主査  はい、ありがとうございました。ただいまのご報告につきまして、ご質問、ご意見等ございませんでしょうか。
 この委員会のメンバーで公衆網再販の研究会につきましては佐藤委員、接続ルールにつきましては酒井主査代理と佐藤委員、それから消費者の支援策に関する研究会につきましては加藤専門委員にご参加いただいておりますが、何か補足とか、追加等ございませんでしょうか。3つありますのでどこからでも結構ですが・・・。
佐藤専門委員  ちょっと、私なりに出席した感想なり、コメントをつけ加えたいと思います。
 再販の協議会ですが、ざっくり言うと考え方が3つぐらい入ってきまして、1つ目は競争ルールの話です。どういう仕組みでどういう競争をさせるんですかと。これは基本的な再販の話から、異名義割引的な簡単なものまで議論します。2番目は、NTTと話をすると時間とお金がかかりますよという議論になりまして、時間とお金の問題、最後は、それをだれがどう負担するかの問題です。この3つぐらいのレベルで議論が始まっています。ところが時間やお金で、私からすると暗礁に乗り上げて、非常に高いお金と時間がかかります。あまり、しゃべってどうかわからないんですけれども、いろいろと議論をしていくと、結局、NTTが努力しても、それはどうしようもありません。コムウエアを使っている限り、時間もお金もかかって、世間の相場より高いのはいたし方がないという結論になって、そこが本当のボトルネックなのか、そこがボトルネックでできないのであれば、簡易型の異名義割引か何かでも競争が入れられるかどうか、時間、コストが言われるとおり高くて、そういう議論で、2つのやり方で議論が進んでいるところです。再販は以上です。
醍醐主査  接続ルールの方はいかがでしょうか。
酒井専門委員  接続ルールはそこにありますように、2つのかなり違うテーマなんですけれども、1つはOSSの開放で、1つはスタックテスト等の話ですが、OSSの開放につきましては、電話のOSSの開放が先ほどの検討会で進んでいるものですから、こちらの方ではインターネット関係ということで、特に最初DSLの名義人情報を公開するという話について検討を始めているところでございます。ただ、どちらにしましても、とりあえずはDSLの名義人情報を公開するかどうか、番号からだれが名義人になっているか、公開するかどうかという話でございますけれども、それ以降どういう課題があるのかは、段々それについてはつけ加えて検討していこうというスタンスにはなっております。スタックテストについては、むしろ佐藤先生からの方がいいのかもしれませんけれども、現在、もちろんヒアリングをやっている段階で、少なくとも、料金と接続料で逆転が生じるのか、そこのところで営業費をどう入れるのか、営業費の割引まで考えるかということにつきまして、いろんな議論がありましたので、それをもとに、これから委員の間でざっくばらんに議論をしていこうという段階でございます。佐藤先生、その辺をつけ加えていただきたいと思います。
佐藤専門委員  スタックテストは卸と小売の関係で競争のルールをきちっとつくっていきましょう。イギリスやアメリカにあるけれども、まだ日本ではきちっとしたものがなかったので、ボトルネックを持っている人が卸を上げて、新しい割引サービスをするとライバルが同じような条件で競争できなくなりますので、そういうものをチェックしようということで始めたんですが、感想だけ申し上げますと、答申でやるべきと書いたのに、やるかやる必要がないかのヒアリングをNTTを含めて事業者でやると、中身の議論に入るんじゃなくて、やるべきかどうか、やる必要がないかみたいな議論で前回は終わってしまったと思っています。これからが中身の議論になんとか入れるところかなと思っております。
醍醐主査  消費者支援策の結果につきましては、加藤専門委員、何かコメントはございませんでしょうか。
加藤専門委員  資料の最後の2ページ分がこの研究会の議論で出てきたところでありまして、今まで事業者間調整の話というのは、非常に役所の方でも長年の伝統があるんですが、消費者の問題をどうするかというのが初めてだったものですから、本当に手さぐりの中から、参加されている事業者も、私どもも討議を始めたという状況です。その中で消費者が他の商品に比べて、この電気通信分野の事業者の選択をどうしたらいいのか。自分の需要に見合ったものをどういうふうに選択したらいいのかということの情報提供を非常に公平に受けるといいますか、そういうシステムについての関心がまず1点と、そのためのシステムをどう構築していくかということと、もう一つは、今プライバシーマークの方を電気通信分野の方で始めているわけですが、3年ぐらいになるんですが、余りはかばかしくないんです。これだけでいいのか、二種事業者さんの場合は非常に数が多いので、これだけで済む話なのだろうかというところから、2回目の議論の下の方にもございますけれども、ただのプライバシーを守るというだけの信用担保をするマークで済むのだろうかとか、そういったような議論が出てきています。大変、雑駁ですけれども、こんなことです。もし、不足がありましたら山田室長の方から、どうぞ。何にしても、まだ固まっておりませんから。
 それと1つ非常に特徴的なのは、私たちと事業者との間では、普通すごい力の格差がある。例えば、最近できた消費者契約法なども、そこに着目して、消費者との契約については一定の配慮が事業者の方に求められているわけですけれども、事業者の場合でも、お客様サービスの方たち自身が、どんどん新しい技術が自分の会社から提供されていくために、外のお客様との間で、自分たちも追いついていくのに大変苦労している。こういう実態がわかりました。それは大変参考になったので、一緒にどういうふうにすれば、情報教育、技術、販売、消費者の選択が誤らずにできて、メリットを受けられるかということのネットワークというんでしょうか、そういうことを考えていくときのスタンスではないかと思いました。
醍醐主査  山田室長何かございましたら、どうぞ。
山田電気通信利用環境整備室長  今、加藤先生からお話のあったとおりでございますが、今までの現状の主なご報告ということでございまして、第3回を今週の金曜日に予定しておりますけれども、その中で内閣府ですとか、あるいは国民生活センターとか、そちらの方から全体的な消費者行政の方向性みたいなことも若干ご報告いただく予定でございますので、そういう中でだんだん論点を詰めてまいりたいと考えております。
醍醐主査  余り時間があるわけでもございませんが、簡単に1つずつご意見等を伺いたいと思いますが、まず、公衆網再販の導入のための協議会につきまして、ただいまの事務局からの経過のご説明、あるいはその付近からのコメント、何かご質問、ご意見ありますか。
山本専門委員  質問というよりも要請なんですけれども、1つ考えなければいけないのは、ファシリティベースの競争が問題になったときに、やはり2つやり方があったと思うんです。1つは部分的でもいいから、とにかく、ファシリティをきちんと入れて競争をさせようというやり方。これをとったのはイギリスだと思います。CATVでファシリティベースの競争をやらせる。アメリカはどうやったかというと、主に公衆網再販という形でやったと思うんです。日本において競争を促進する場合、やはり2つの道があるわけですから、公衆網再販はもちろん大事な問題だと思いますが、ファシリティベースの競争というのも、きちっと同時並行して視野に入れてやっていくというのが、競争政策上大事ではないか。これが1点です。
 それから、もう1点は、今OECDが政策を出していて、何を言っているかというと、やはり、先進国を見ると公衆網再販のやり方に2つある。1つは小売価格から割り引いていくやり方、もう一つは、コストベースで再販価格のプレミアムとか、ディスカウントを定めていくやり方。どちらのやり方も一長一短あるということなんですが、緊急にやらなきゃいけないということならば、小売価格カット方式というのですか、小売価格から公衆網再販の価格はこれぐらいが適当とカットしていくやり方。こちらの方が費用においても、それから時間においても、迅速性という点においても、良い案ではないかと思います。OECDの理論と政策がありますので、参考にしていただきたいと思います。
醍醐主査  私の方から少しお伺いしたいんですが、2つの方式があるということで、卸契約を結ぶやり方と異名義割引の拡大のやり方と、それで現在前者でやるとした場合に、このシステム立ち上げのコストと期間がかかって、なかなか実行可能性が少し劣るんじゃないかという議論が出ているということで、異名義割引の拡大ということを1つの案として出ているというお話でしたが、前者の場合に、システムの開発の立ち上げと期間につきまして、特にコストにつきましては、細かなコストまで出る段階ではないかと思うんですが、それぞれ公衆網再販を受ける側と申し出る側というのがあると思うんですが、両者の間でざっくりとしたシステム立ち上げのコストは、この程度かかりそうだというすり合わせというんでしょうか、だれが見てもこれぐらいはかかりそうで、なかなかこれは大変だという、そういう大体の認識は共有されているのでしょうか。それともう一つは、その場合にコストが絶対的に大きいという意味で、実行可能性が難しいということなのか、投資のリスクをだれがどれだけ分担するのか、なかなか了解が難しいそうだということなのか、そのあたりはいかがなんでしょうか。
佐藤専門委員  コストの問題については、ざっくりしたものしか出てきていません。ざっくりしたものが出できて、新聞報道でも800何十億かと出てきて、もうちょっと中身を見せてくださいというお話をして、4つの区分なり、そのサブカテゴリーに分けたものが出てきました。それでも、事業者の皆さんで議論すると、もうちょっと細かいものがないと本当にどの機能にどのぐらいお金がかかるか議論させてほしいと。NTTに言うと、細かい資料をとるにはお金がかかるんだ。見積を依頼するとお金がかかるからお金を出してくれるのなら、細かい数字を持ってきてもいいけれども、出してくれるんですかとかという話もありまして、ざっくりしたものしか出ません。ざっくりしたものに対して、ある人は、この機能のこの改造は要らないんじゃないかというような議論もするし、ある人は、マーケットでこういう機能が、多分3分の1なのか、5分の1なのか、もっと安くできるのではないですかというような意見を出してきます。それに対してNTTは、私の理解では認めて、確かにマーケットで普通の人に頼めば、もしかしたら5分の1ですよ。でも、コムウエアしかできないんです。うちはコムウエアを使っていて、コムウエアの特別な言語なり、特別なシステムを使っていて、それ以外に市場に幾らいいところがあっても使えません。従って、NTTの問題ではなくて,コムウエアが高いという問題なんですと言われたように理解しているんですけれども。
醍醐主査  それから、もう1点なんですが、2つの方法がありますが、卸の場合、これは料金設定権の移転ということも伴うものであろうと思うのですが、異名義割引の拡大ということになると、これはワンビリングというお話でしたが、ビリングが動く、変わるということですが、その場合のレートメーキングは、移譲はないという前提の方式と理解していいんでしょうか。
佐藤専門委員  事務局に聞いた方がいいと思いますけれども、基本的には異名義割引というのは料金徴収代行に近いというか、そういうサービスのように私は理解していて、再販で何かいろんなものをパッケージも含めて、自分のブランドにして全く新しいサービスとして提供する。例えば、JALの航空券をJTBがいろんなものを組み合わせて、新しいサービスにしていくような、そういう完全な再販よりは、名寄せというか、グループをつくって料金徴収の代行をやっているようなサービスに近いもののように理解していますが、多少、イメージがはっきりしないので、事務局に少しまとめてくださいとお願いしている段階だと思います。何かつけ加えることがあれば・・・。
吉田料金サービス課長  今、佐藤先生から説明ありましたように、前回、テレコムサービス協会がある事業者から説明があったということで、佐藤先生からも、そのときよくイメージが分からないので、もうちょっと確認するようにということで、今確認していますが、おっしゃったように、料金回収代行的なものなので、料金設定権は移らない。NTT東西の方にあるんだという理解でいますけれども、今確認中なので、一応私が受けた印象としては、そちらが動かないという理解でおります。もちろん、いろんなやり方があると思いますので、動くやり方があるのかもしれませんが、それが1点目でございます。
 それから、先ほどのお金の話もございますけれども、もう一つ、お金といってもNTT側が幾らかかるかというのが、先ほど佐藤先生からお話がありましたが、それとともに、NCC側が幾らかかるかという話もございまして、それは今のところ協議会の場で、NCCに幾らかかるという話は聞いておりませんが、かなり額的にNCC側もかかってくる。ただ、それは各社が判断する。多分、社内では計算していると思いますけれども、まだ、事務局の方で確認をしているというわけではございません。
 それから、もう一つはNTT側のお金というのも大きな話としてございますが、もう一つは、期間が2年とか、3年かかるということで、そちらの方も問題点としては出てまいりまして、要は2、3年先のことを競争側の事業者として、そのときに自分も投資をして、NTTの費用も負担して決断するということを、今の時点で確約というんですか、さっき回収コストというふうに言われましたけれども、それができるのかどうかという話が、次の段階としては議論が出てくると思います。いずれにしても、そういうことも含めまして、協議会の段階ではそこまで議論をするというよりは、協議会はその前の段階として前提条件を整理する。そこから先を判断するのは、各事業者がどう判断するかということだと私は理解しておりますが、まだそういったような状況でございます。
佐藤専門委員  1点だけ醍醐先生の質問にまだ答えていないところで、負担の話はどうですかというのがあったんですが、現実に額が余りにも、皆さん商売をやられるときに大き過ぎるというか、負担に成り過ぎる額なので、負担の細かい議論には至っていませんが、基本的には原因者負担なり、受益者負担である程度分けるとか、あるいは、もう一つ、二つ別の観点から議論が始まっているのは、これは再販だけの追加コストですから、OSSと共有できるコストがあるんですかとか、あるいはネット型でいうと、私たちの概念でいうと、基本機能で広く取るような改造なんですか、それとも個別の商売なり、事業者から取るべき個別費に近いような概念ですか。そういう入口の議論は多少しております。
醍醐主査  この件で何かご質問、ご意見ございませんでしょうか。
 それでは、ちょっと時間も余りございませんが、接続ルールの研究会につきまして、何かご質問、ご意見ございませんでしょうか。
直江専門委員  接続ルールのところで、OSSの問題について、まだ議論は進んでいないということですけれども、移動体通信の方の問題は、議論の対象にはしているんでしょうか。
酒井専門委員  先ほど申し上げましたように、固定の電話網については公衆網再販の方でやっていただく。続きまして、インターネットを中心にしまして、先ほども申し上げたDSL等の名義人情報の話を第一番目の課題として選んで、それをやった後というか、特に移動体を明確に入れていることはございません。
直江専門委員  多分、無線LANと結びつけて議論するようになると思いますから、最大のポイントは交換機の中にあるホームロケーションレジスターをどういうふうに扱うかという問題ではないか。それを分離できるのかどうか。それがないと多分何もできない。どこかが独占する形になりますので、その辺について議論をしていただければありがたいと思います。
酒井専門委員  わかりました。
山本専門委員  ここでも、多分アームストロングとラフォン・ティロルのモデルが今一番経済学の文献では有力で、政策当局はOECDをはじめ多くがこの理論を取り入れていると思います。そこで何を言っているか、その要点だけを言いますと、利用者料金と接続料金の関係の在り方というところがポイントになるのですが、OECDはこういうふうに言っています。最終財の小売価格のところで、料金体系が差別されているならば、接続料金も差別的にしないと非合理である。だから、最終財の電話の小売価格のところが二部料金ならば、アクセス料金も二部料金で設定しろと。また、ピークロードでやっているならば、アクセス料金もピークロードでやりなさい。顧客別に差別しているのなら、アクセス料金も顧客別でやりなさい。それが経済学理論が示唆するところである、と。
 この点に関して、各国の当局は差別しない方針で今までやってきたのだけれども、それはおかしいというのが、今の大きな理論的な流れになっていると思います。差別を嫌い、非差別で同一のアクセス料金でなければいけないと考えている国が圧倒的に多い。そういう国はどうすればいいかとえば、プライスキャップにしなさい。アクセス料金をプライスキャップにしなさいというようなことを言っております。それに関して、かなり重い問題ですので、少し経済学的過ぎて申しわけありませんけれども、考えてみてください。
醍醐主査  何かございますか、今のご意見につきましては、この4ページの第1回の研究会の概要の最後のところでしょうか。そこでユーザ料金は料金体系が多様である一方で、接続料については多様性がないということを、どう考えたらよいかというふうな議論もされているようでございますので、このあたりの議論を、先入観を持たずに論理的進めていただけたら非常にありがたいと思っております。
 その他、接続ルールに研究会につきまして、いかがでしょうか。
 それでは消費者支援策の研究会につきまして、まだ始まった段階というお話でございまして、これから本格的な議論ということでございますが、何かご意見、あるいは要望といったものがございましたらいかがでしょうか。
清原委員  今の公衆網再販の導入のための協議会のお話や、接続ルールに関する研究会のお話を聞きまして、消費者にとっては、料金が請求されてくるときに、どういうような額が自分にとって負担すべきものかとわかってくるんですが、改めて、消費者支援の取組みをしっかりしておかないと、その根拠だとか、どういうことになっているのか、契約関係とか、そういうものもがわかりにくくなっていくのではないかということが推測されます。それで、そういうことのないように、公衆網再販の協議会におきましても、できる限り競争を推進しつつ、事業者の方の負担も考慮しつつ、しかし有効な料金の回収ができるような仕組みをということで、お考えいただいているようなのですが、そうした取組みとまさに連携を強くもっていただきたいと思います。消費者支援といいますときに、消費者にとってわかりやすく伝えるというのは、なかなか難しそうでございますけれども、どういう優先順位で、どういう枠組みをきちんとお知らせすることが、かえって疑惑とか、混乱とかを招かないかというような手法というんでしょうか、それも非常に大事かなと思いまして、ご議論をしていただく必要があるなと思いました。
 2点目に申し添えますと、7ページのところで、もうご議論があったようなんですが、電気通信分野の消費者と事業者との間で生ずるトラブルは、一般的には金銭的には小額であり、なかなか訴訟になりづらいものである。確かにそうでございまして、誤って5千円とか、1万円とかが請求があったとしても、ほとんどの消費者は、ひょっとしたら誰か家族が使ってしまったかもしれないという思いで、自ら交換機の中を調べることもできませんし、いわゆる検定というか、それができないために、何となく不信感を持ちつつも「おおごと」にしてこなかったという積み重ねがあるように伺っております。そういう意味で、ここでも論点になっておりましたけれども、消費者の視点ですと、トラブルは事業者間の紛争処理と違いまして、また、違う観点からの紛争処理ということが必要になってくるかもしれませんし、消費者が被った不利益がひょっとしたら事業者間のやり取りの中での不整合とか、ミスとかというものから生じていくことも、この公衆網再販や接続の新しい、いろいろな複雑な在り方の中で生じるかもしれませんので、そのあたりのサポート体制というか、相談体制というか、そんなこともご議論いただけたらなと。2点申し上げましたけれども、ご無理なこともあるかもしれませんけれども、優先順位にご配慮いただきながらご検討いただければという要望です。
醍醐主査  今の点は要望ということですから、今後に生かしていただいたらと思うんですが、何か本日の段階で、それについてご説明いただくことはございますか。よろしいでしょうか。吉田課長なり、山田室長なり、あるいは加藤専門委員。
加藤専門委員  大変頼もしい支援のお言葉をいただきましたので、いただいて帰って、次の研究会に生かさせていただくように努力したいと思います。山田室長、よろしいですよね。
山田電気通信利用環境整備室長  貴重なご意見でございますので、徐々に議論の中に反映させていただきたいと存じます。
加藤専門委員  言い忘れましたが、この間も国民生活センターの方からのご報告いただいているわけなんですけれども、要するに、消費者が被るトラブルの原因が、一種事業者の部分なのか、プロバイダーの部分なのか、パソコン自体、あるいは自分の技術によって、そうなってしまったのか、そこが整理することすら困難なことにというようなところがありますので、おいおいそういうことも、今の大きな大所高所からのご意見をいただいて、みんなで議論していきたいと思います。ありがとうございました。
浜野専門委員  私も余りイメージがつかめていないで、こんな発言をするのはどうかなと思うんですけれども、よく自立する消費者ということが言われているわけですが、自立するということは、とにかく、一々行政の方で保護するんじゃないということみたいなのですけれども、現実に今行われている改革の中で、私が最近感じていますのは、どうも自立するというのは放り出すというようなイメージが強くて、あとは消費者自身で解決しなさいというような感じのイメージを私はもっています。というのは、今行われている改革というのは、確かに行政をスリムにして、選択の幅を広げてというようなことを言われていますけれども、どこかで消費者をある程度、ここは保護しなきゃいけないという線がありそうな気がするんです。そこはやはり厳しく、最低限ここは必要ですよと。それがないと消費者は自立できないよというところはルールの中にある、土俵みたいなものがあると思うんですが、そこがどうも余りきちっと線が引かれていない。これは実際、技術の発達もあって大変難しい問題だろうと。具体的には、私のイメージにありますのは、前にもここで発言したことがあるんですけれども、携帯電話のいたずらというか、あれはもう、規制の動きがあるようなご説明がありましたけれども、新聞報道によるとあまりうまくいっていないようなことも聞いていいますし、その後の動きは知りませんけれども、検討を迫られているのになかなかうまく対処できない。その辺は広告事業なのか、それとも、それを迷惑とするか、場合によっては、メールを電話の携帯でやっている人たちは、どうしようもないと言っている部分があるんですね。その辺のところが頭にちょっとあるんですが、その問題はともかくとしまして、基本的にはそういうところで、何かね・・・。
 もう一点、ここも私も余りイメージがつかめないで言っているんですが、消費者から苦情が出た。それに対して行政が、こう対応したというパターンだけではなくて、それはもちろん非常に大事な機能だと思うんですけれども、例えば、国民生活センターなんていうのは、今度は独立行政法人に移行するらしい。そうすると、あそこで直接苦情相談を受け付けないということを、実際には今日からうちは受け付けませんというようなことはできないと思うんですが、主な機能は各地方自治体の消費生活相談の窓口でということになるらしいんです。そういう対応等を考えてみると、「行政対自立する消費者」というパターンだけじゃなくて、そこの間にある事業者の組織する中立的な、あるいは場合によっては、両者の間に立つ機関みたいなもの。業界団体という言い方でも言えるかもしれませんが、それがもうちょっと公的なものになる。そのための権限みたいなもの。権限といっても大した権限じゃないでしょうが、行政がある程度、そこに与える。ルールは非常にはっきりしている。
 ちょっと話はそれますが、今の食品の表示の問題なんていうのは、極めてプリミティブな消費者問題でありまして、何も複雑なことはないんです。多分、この話だって、そういうものはあるんです。だから、そういうことについては、業界団体の中立的な機関で、きちっとそこで取り締まれる。取り締まれるというか、ある程度そこでできる。もっともアウトサイダーみたいなものが出てきて、それが一向に従わないとか、そういうのはよくある話ですけれども、何もかも行政で背負ってやるというのは、やはり無理だと思うんです。そこで、多層な段階でというか、行政対消費者ではなくて、そこの間に幾つかそういうものを設けて機能を振るう。アメリカでは割とそういうことが行われているように思うんですけれども、そういったことも知恵の出し方の1つとしてご検討いただければと思います。
醍醐主査  どうもありがとうございました。ただいまのは、大変含蓄の深いご意見ではないかなというふうに思っております。
 それでは、一応、第二次答申で行動プログラムといたしました事項の中間的なフォローアップは、本日は以上とさせていただきたいと思うのですが、今回の場合は、お尻を切ったと言いましょうか、いつまでにまとめていただくということを申し上げておりますので、大変ハードなスケジュールかと思いますけれども、関係の委員の皆様方、あるいは関係事務局の皆様方には、精力的な議論を引き続きお願いしたいと思います。
 それでは、次にこの委員会の下に設置されております基本法制検討作業部会におきまして、既に3月8日より事業区分の在り方を中心に議論が始めておられます。そこで、事務局より作業部会での審議状況を中心に事業区分の見直しについて説明をいただきたいと思います。
谷脇事業政策課調査官  お手元の資料の6でございます。横長の資料「電気通信事業に係る競争の枠組みの現状等について」という資料につきまして、ご説明をさせていただきたいと存じます。
 1枚おめくりいただきまして、1ページ目に全体の構成でございますが、事業区分つまり、電気通信事業法に定めます第一種、第二種の電気通信事業の区分につきまして、見直しを図る際の検討の視点。それから、今主査の方からご指摘がございました本委員会の下に設けられました基本法制検討作業部会の概要についてご報告をさせていただきたいと思います。
 3ページ目をお開きいただきたいと存じます。現在スタートいたしました一種・二種の事業区分の見直しに関わります検討の経緯ということでございますけれども、左の上の囲みの中に小さい字で脚注を付けてございますが、本IT特別部会の第一次答申におきましていただいたご提言をもとに、昨年の3月に、規制改革推進3か年計画を政府として閣議決定をしています。その中で、電気通信事業におきます事業区分の見直しについて、見直しに向けた検討に着手をするということで、平成13年度に検討を行うというコミットメントをさせていただいたということでございます。
 これを受けまして、総務省の中に「情報通信新時代のビジネスモデルと競争環境整備の在り方に関する研究会」という研究会を設けまして、昨年の8月から検討をいただいてまいりました。その中で、ブロードバンド時代の新たなビジネスモデルを促す観点から、可能な限り規制水準の低下を図るとともに、明確で予見性の高い競争の枠組みが必要ではないかということで、今年の1月の終わりに取りまとめていただきました中間報告の中でも、2つ目の四角でございますが、一種・二種の事業区分の在り方について様々な選択肢をもとに、関係各方面の意見、法制的検討、主要先進国の動向等を踏まえながら、さらに検討をしていく必要があるだろうというふうなご提言をいただいております。
 また、先ほどからお話が出ております、先月2月13日に公表されました本IT特別部会第二次答申の中で、事業区分の見直しについては、既に総務省において検討が進められているところであるが、今後は本審議会において議論を深めていくことが必要であるといたしまして、先ほどから出ております行動プログラムの中で、電気通信事業法の基本的フレーム、事業区分の在り方について本年6月までに一定の結論を得るようにというようなご提言を頂戴したというような中身でございます。
 それでは、次の4ページ目でございますが、現在の電気通信事業法におきます競争の基本的枠組みということで、先ほどから申し上げております第一種電気通信事業、そして第二種電気通信事業という枠組みでございますが、これは1985年に現在の電気通信事業法ができて以来、設備を設置しているかどうかという観点に着目をして、設備設置をしている事業者は第一種、それ以外の事業者は第二種というふうに分けているわけでございます。
 ご案内のとおり、設備設置をしております第一種の事業者については、参入時においては許可、また、第一種電気事業者から設備を借り受けて再販ベースで役務を提供している事業者については、登録もしくは届出という形になっております。
 こういった現行の制度の基本的な考え方といたしまして、第一種電気通信事業、インフラ事業者につきましては、経済・社会の基本的インフラとして、公共性が非常に高いという観点から、許可事業として一定の規制をかけている。それに対しまして、二種事業の場合は、この一種事業者、インフラ事業者の回線を自由に利用して多様なサービス展開ができるように、規制については必要最小限のものとするというような形になっているわけでございます。
 従いまして、例えば一種事業の場合は、インフラ構築に当たりましては、その下にございますように、通常、公益事業特権というふうに言われておりますが、例えば、道路占用の許可についても、自動的に必ず許可が与えられるといった義務許可と言われているような仕組みになっている。そういったように、幾つかの権利、そして義務が併せて課せられているという形でございます。それに対しまして、二種事業の場合は一種事業と比べまして相対的に義務等が軽くなっている、こういうふうな構成になっているわけでございます。
 1枚飛ばしていただきまして、6ページ目をご覧いただければと思います。現行の枠組みの中で今の第一種電気通信事業、それから第二種電気通信事業、非常に事業者の数が増えてきております。今年2月1日現在で、この一種・二種を合わせまして事業者の数が1万社を超えたというような状況になってきております。
 特に最近の動きといたしまして、その次の7ページ目でございますけれども、小さな字で恐縮でございますが、「新第一種事業者」の中の「地域系」といういうところがございます。具体的に申しますと、一番右側の数字でいうと313社というふうに書いているところでございますけれども、例えば、CATV事業者がインターネット接続をやるというような形で、現在どんどんその数が増えてきているというような一つの例があるわけでございます。
 先ほど、この現在の仕組みが1985年、昭和60年にできたというふうに申し上げたわけでございますけれども、次の8ページ目をお開きいただきますと、1985年以降も累次にわたりまして制度改革を行ってきているところでございます。
 今申し上げました1985年、電気通信事業法施行によりまして、電気通信市場の全分野への競争原理を導入するとともに、NTTの民営化を行ったわけでございます。平成8年、通常「第二次情報通信改革」といわれておりますが、この一連の改革の中で接続ルールの制度化、プライスキャップ制の導入等抜本的な改革を行いました。また、このIT特別部会の第一次答申を踏まえまして、昨年の6月に改正事業法が公布されまして、非対称規制あるいはユニバーサルサービスファンド等々、本委員会でもいろいろとご議論をいただいた中身について、具体化に向けた検討がなされたというようなことでございます。
 さて、次の9ページ目以降、先ほど申し上げました総務省の中におきます検討ということで、今年の1月末にビジネスモデル研究会の中間報告の中で、一種・二種の事業区分の在り方について、何点かのご提言を頂戴しております。その内容について簡単にご紹介をさせていただきたいというふうに思います。
 まず、この研究会の中では、近年の市場環境の変化ということで、現在の一種・二種の事業区分について、旧来の電話網を前提としたビジネス展開の枠組みを越えまして、いわゆるIP、インターネット・プロトコルベースの新たなビジネスモデルが登場してきている。この登場をさらに促すとともに、これに柔軟に対応できるように近年の市場環境の著しい変化を踏まえながら、改めてこの事業区分の在り方について見直していくことが求められているのではないだろうかというような問題意識でございます。
 こういった問題意識をもとに中ほどでございますが、規制水準の全般的な低下、明確で予見性の高い制度運営を維持していく必要があるのではないだろうかというご指摘をまずいただいております。ただ、現在の事業区分を完全に廃止し、全面的に事後規制に移行すべきというようなご意見も規制緩和要望等々で寄せられているわけでございますけれども、全てを事後規制に委ねた場合に、先ほどからご議論が出ておりますが、ユーザ保護が十分確保できるのかどうかといったような懸念がございます。また、電気通信事業自体が独占から競争への移行過程にある中で、公正競争条件を担保するための事前規制について一定の合理性があるのではないかというような、まず基本的なご指摘をいただいております。
 その上で次のページでございますけれども、市場環境の変化ということで、具体的にどういう環境変化がでているのかということでございます。
 一つは一種事業と二種事業の事業展開は非常に多様化をしてきているということでございます。特に近年登場している事業形態ということで、例えば一種事業についても、先ほど申し上げましたようなCATV一種事業者のように比較的地域限定的で、規模の小さい事業者さんが多数登場してきている。
 他方、二種事業の場合につきましては、例えばVoIPを提供するISP事業者さんですとか、あるいは昨今話題になっております移動系の二種事業者、MVNOのように全国規模で音声系を含む多様なサービスを提供する事業者が出てきているのではないだろうか。あるいは、出てくるのではないだろうか。こういった点が市場環境の大きな変化ということで認識をされております。
 また、もう1点、累次の規制緩和措置の中で、実態的な事業区分の垣根が低下をしてきているというような例もございます。
 具体的には、次の11ページ目をお開きいだければと思います。大変小さな字で恐縮でございますけれども、一種事業あるいは右側にございます二種事業それぞれについて累次の規制緩和措置について時系列的に整理をしてございます。
 詳細につきましては、ご説明を割愛させていただきたいと存じますが、例えば一種事業につきましては、二つ目のくろ●IRUの導入ですとか、業務委託の弾力化といったように、いわゆる一種事業者は設備を設置するというメルクマールがあるわけでございますけれども、一定の要件の下に他の事業者あるいは事業者以外の者が保有をしております設備を自社設備の設置とみなすといったような、設置概念の弾力化を図ってきております。また、右側の二種事業の方に目を転じていただきますと、従来特別二種と一般二種の区分け、区分をどこに設けるかという点について、回線規模をメルクマールとしておりました。これについて平成10年の見直しによりまして、こういった従来の回線規模によるメルクマールから役務の中身による区分に変えております。すなわち、いわゆる公専公音声あるいは国際サービスをやっているものを特別二種、それ以外を一般第二種事業というふうに区分をしておるわけでございます。
 また二種事業者につきましても次のくろ●にございますように一定要件下で自前回線設備を設置することも可とするといったような制度改正をやってきているということでございます。そういった意味で、一種であれ二種であれネットワークの構築についての柔軟性が向上してきているというわけでございますけれども、他方、この一種と二種の区分というものの垣根が低下してきているという面もあるのではないだろうかということでございます。
 また、次の12ページ目にございますように、従来インフラ事業者たる一種事業者が全国的に非常に規模の大きい事業者さん、二種事業の方は比較的規模が小さい事業者というようなイメージもあったわけでございますけれども、近年のインターネット接続サービスの順調な発展の中で、ここにございますように二種事業者さんの方が、逆に一種事業者さんに比べて加入者数が多いといったようなケースも出てきているという一例でございます。
 このビジネスモデル研究会の中では、二種の事業区分の見直しについて、2つのプランを試案という形で提示をしていただいております。それが次の13ページ目でごさいますけれども。
 まず1つ目のプランが、プランの1)というものでございます。従来一種事業、許可事業の方につきましては、インフラを構築するために道路占用の義務許可のように、公益事業特権を全ての一種事業者に付与するという仕組みで現在まできているところでございます。このプランの1)では、全ての一種事業者が公益事業特権を必要とするものでもないのではないかというふうに考えますと、公益事業特権を必要としない事業者については、一種事業の規制からむしろ二種事業として位置付けた方が適当ではないか。また逆に二種事業の中で、VoIPあるいはMVNOといったような現行の制度の中では一般二種事業というふうに位置付けられる事業につきまして、ユーザ保護の観点から公専公等々、同等程度の重要性を持っているという意味において、特別二種というふうにこれは規制強化という局面もございますけれども、位置付けてはどうかというようなご意見が1つ目のプランでございます。
 それから、もう一つのプランと申しますのが、次の14ページ目でございます。これは基本的なコンセプトとして、ネットワーク部門とサービス部門で事業区分を分けるという試案でございます。この場合のネットワーク部門といいますのが、他の事業者へ卸サービスを提供する、いわゆる卸部門、そしてサービス部門の方がエンドユーザに対して、サービスを提供する小売部門ということでございます。従いまして、ネットワークとサービスに分けるという考え方は、卸業務と小売業務とに事業区分を分けるというような一つの考え方でございます。
 当然のことながら、現行の一種事業者につきましては、この卸と小売というものを兼業しているわけでございますので、具体的な制度イメージにございますように、ネットワークとサービスの部門につきましては、兼業ができるとした上で、卸部門については、例えば許可制、サービスについては原則登録または届出制にしてはどうかといったようなプランをお示しいただいております。
 ただ、いずれのプランにつきましても、それぞれ検討すべき点が多々あるということで、一定の方向性が望ましいといったような形での方向付けは、この研究会でもなされていないというような状況でございます。
 それでは、目を海外に転じますと次の15ページ目でございますけれども、日本のように設備を持っているかどうかという観点から事業区分をしている国といたしまして、この15ページ目の右側の方にございますが、例えば、韓国が非常に我が国と近い制度をとっております。設備を設置して、サービスを行っている事業者が基幹通信事業ということで免許制でございます。また、日本の二種事業に当たる部分につきまして、基本的に音声サービスを行う事業者が登録、それ以外が申告制度という形になっております。
 他方、左の方にございますようにアメリカの場合ですと、ご案内のとおりベーシックサービスとエンハンストサービスというふうに分けております。線路を設置しベーシックサービスを提供する場合には、連邦通信法上認証を必要とする。他方、エンハンストサービスを提供する場合には、こうした認証はいらないという規制がない枠組みになっているというような形でございます。
 次の16ページ、17ページにつきましては、後ほどご説明もございますので、割愛をさせていただきまして、18ページ目をご覧いただければというふうに思います。
 先ほど主査からご紹介ございましたように、3月8日にこの本委員会の下にございます基本法制検討作業部会というものの第1回の会合を開催させていただきました。その中で、今後この事業区分の見直しについて、検討の視点についてご議論を頂戴したところでございます。簡単に事務局からご用意した紙が、この18ページ目でございますけれども、いわゆる市場環境の変化ということで、先ほど申し上げましたIP化の進展、あるいはビジネスモデルの多様化、あるいは事業区分の実態的な垣根の低下というものが生じてきているのではないだろうか。そういう中で、規制水準の全般的な低下、あるいは多様なビジネスモデルに対応することができるようなフレキシブルな制度の確立、あるいは明確で予見性の高い制度を作っていくということを基本的な目的としてはどうだろうかというようなことでございます。
 こういった市場環境の変化、あるいは基本的な考え方をもとに電気通信事業分野におきます競争の枠組みとして、左側にございますように基本的な検討課題ということで、まずは一種・二種の事業区分の見直しということで、入り口論ということになりますけれども、参入・退出規制をどう考えるか。また、特に参入の許可等々と密接に関連をしております道路占用義務許可等の公益事業特権の付与の在り方についてどう考えるか。また、特に最近のビジネスモデルの特徴として、上位レイヤーを含めたビジネスモデルが展開されているという中で、電気通信事業の範囲について、現在の電気通信事業法の適用範囲で十分と考えるのかどうかといったようなことがございます。
 こういった基本的な検討課題、つまり事業参入の際の規制の在り方のみならず、その部分を見直すということになりますと、右側にございますように関連する事業規律の在り方についても総合的に検討する必要が出てくるだろうということでございます。具体的には、接続ルール、料金規制を含みます非対称規制の在り方、あるいはユニバーサルサービス、技術基準、ユーザ保護といったように、事業区分の見直しが事業規制に与える影響について論点を整理していく必要があるのではないかということでございます。
 いずれにいたしましても、この作業部会そして本委員会におきましても、こういった観点から競争の枠組みの見直しについて一定の方向性をご提示いただければというふうに思っているところでございます。
 こういった基本的な論点の中で、次の19ページと20ページにおきまして、基本法制検討作業部会の中で主要検討項目として挙げられている項目を列挙をしてございます。見出し的な部分だけ追わせていただきますと、今も申し上げましたが、電気通信事業分野におきます市場関係の変化はどうなっているのかという点をまず整理した上で、2つ目にございますように、競争の枠組みの見直しに関わります目指すべき方向性としてどういうふうに考えればいいのかということ。
 次の20ページ目にございますように、こういった方向性を踏まえて具体的に基本的に競争の枠組みをどういう方向で見直していくのか。また、それに関連して事業区分の見直しと併せて事業規律に与える影響としてどういうふうな観点から検討していけばいいのか。こういった大きく4つに分けたブロックからご検討をいただきたいというふうに思っているところでございます。
 以上が、事業区分の見直しに関わります検討のバックグラウンドといったようなこと、あるいはビジネスモデル研究会でのご議論の成果ということでございますけれども、続きまして、基本法制検討作業部会について若干ご説明をさせていただきたいと思います。
 22ページ目をお開きいただければと思いますが、先ほどから申し上げておりますように、本競争政策委員会の下に基本法制検討作業部会を設置をさせていただいております。主査につきましては、林敏彦先生にお願いをしているところでございます。この作業部会の検討スケジュールでございますけれども、続く23ページ目に整理をしてございます。第1回の会合を踏まえて第2回の会合を明日開かせていただこうと思っております。その後、後ほどまた全体のスケジュールご説明を申し上げたいと思いますが、関係者のヒアリングを踏まえて来月4月の下旬に検討の方向性についてご議論をいただきたいというふうに思っております。随時この作業部会のご議論の状況については、本委員会にご報告をし、また、ご議論を頂戴できればというふうに思っております。
 若干、敷衍する形で24ページ目以降に、3月8日に開催をいたしました作業部会におきます主な意見を整理をしてございます。内容については、非常に細かい部分から多岐にわたっておりますけれども、例えば、先ほど申し上げました特別二種と一般二種の区分につきまして、2つ目の四角にございますように、ユーザ保護の観点から、特別二種事業についてはやはり一定の規制が必要なのではないかといったようなご意見もございます。
 また、ユーザ保護という観点から多数のご意見が出ておりますけれども、例えば1つ目の四角にございますように、電気通信事業法におきましては、従来想定をしておりました公正報酬率規制が廃止をされているということで、赤字になって事業継続をすることが困難になった場合にも、退出を許可しないといったようなことはそもそも不可能ではないかというようなご意見。
 また、4つ目の四角でございますけれども、代替性が高いサービスについては、ユーザ保護の観点からの規制はもう必要ないのではないか。他方、代替性が低いサービスについてはラストリゾート的なユーザ保護の規制が必要ではないかといったようなご意見がございました。
 また、続く25ページ目でございますけれども、参入許可と密接に関連をしております公益事業特権の在り方について、1つ目の四角にございますように、公益事業特権を付与を希望する事業者すべて自動的に与えるのではなくて、事業者の事業能力を審査した上で、要件を満たす者に限って付与する。あるいはEUで行われているようなアプローチでございますけれども、公益事業特権の付与と事業のライセンスというものを分離するといったようなこともあり得るのではないかというようなご意見がございます。
 また、駆け足でございますが、次の26ページ目をおめくりいただきますと、ネットワークとサービスといったようなものを区分して考えるアプローチ、レイヤーに着目したようなアプローチが考えられるのではないかというようなご議論がございました。
 また、一番下の【その他】のところでございますが、いずれにせよ時間的な制約がある中から、幾つかの選択肢を示しながら、その論点を整理するということが、作業部会としても重要なミッションとなってくるのではないだろうかというような議論が、この第1回の会合の中で行われたということでございます。
 以上簡単でございますが、事業区分の見直しに関わります検討の背景、それから作業部会におきます第1回の会合の模様等についてご報告をさせていただきました。
醍醐主査  ありがとうございました。このテーマはIT競争政策の特別部会の第一次答申から、この事業区分の見直しにつきましては、一つの論点として挙げておりました。二次答申でも謳っているところでございまして、非常に関心を持っていたわけでございますが、具体的には二次答申の最後のところで、最終答申に向けまして、この事業区分の問題をこの特別部会の場で、この競争政策委員会の下で本格的に審議をするということになりまして、基本法制検討作業部会というものを発足させたところでございます。
 そういう意見がございまして、今、お話をお聞きいただいても分かるかと思いますが、いわゆる事業区分の見直しということが、規制の在り方全般に非常に大きなインパクトを与えるということで、非常に重要なテーマを、この私ども委員会の下での作業部会が引き受けたということになっております。
 作業部会で精力的に審議をしていただくということでございますが、本日この委員会が最初の会合ということもございまして、出発点の段階でどのような論点をどのような方向で議論していくのかにつきまして、この委員会全体でも少し理解を深めておく、あるいはまた、いろいろなご意見、ご要望があれば、これを作業部会にもお伝えしたいということもございまして、このテーマを本日議題にしたわけでごさいますが、作業部会にご参加いただいている根岸委員、それから菅谷専門委員、それから三邊専門委員、佐藤専門委員がいらっしゃいますが、本日ご出席の中では、そのようなメンバーの方々から補足的なご意見、あるいはそれ以外のメンバーの方からいろいろご意見、ご質問等本日ぜひ伺いたいと思っております。いかがでしょうか。
菅谷専門委員  私、前回1回もこの基本法制の方に出ていないので、ちょっと基本的な私のスタンスについてお話ししておきたいと思いますけれども、やはり、一種、二種という制度の成り立ちを考えていますと、85年ということで、今のような通信・放送の融合とか、IPネットワークみたいなものは少なくとも前提をしていなかったかと思うんです。そこで、前提をしていたのは、コンピュータと通信の融合みたいなものが本格的に起こってくるというようなことが前提だったと思います。
 これから先、さらに融合を進んで、少なくとも電気通信事業法の分野だけではなく、さらに幅広い情報通信の分野での競争が広がっていくということを考えると、やはり事業区分というのは非常に重要な問題じゃないか。ですから、そういう点でいくと、これまでの85年の制度に捕らわれるよりも、もう少し新しい考え方というものも検討していく必要があるんじゃないか。今日のこの後段の話というのは、実は、多分前段の研究会、協議会の問題とも非常に大きく絡んでくると思うので、ここら辺が、この会合の場で、うまく整理されていけばいいかなというふうに思っております。
直江専門委員  今、部会での検討というのを聞いて、もう少し検討を細かにしていただきたいところが2つあります。
 1つは26ページの上にありますレイヤーに着目した区分についてというところですけれども、ここに出ているのはネットワークとサービスというふうに、非常に大雑把にレイヤーを分けているんですけれども、多分、事業区分でいくと、ネットワークといってもハードの回線の部分と、それから交換機みたいなノードの部分というのがある。それから、交換機の中のものも回線をOSSみたいな部分と、OSSの中も2つに分かれて、ネットワークをマネージする方法とお客さんの情報を管理する部分が2つあるわけです。それ以外に端末みたいなプラットフォームがあるということになりますので、そういうような、少し将来の在り方を考えて、レイヤーをもう少し細かに分けて、何がエッセンシャルで、どういう分野はもっと変えられるのかというようなことを考える必要性があるのではないか。多分、もう既に情報として、ここに入っていますけれども、例えば、ADSLの装置のようなもの、それからCATVのケーブルモデムのようなもの、端末もそういう部類に入るかもしれませんけれども、こういうのは、FCCでは情報サービスの1つですというふうに位置付けましょうということで、ネットワークテレコミュニケーションから外そうという話になっているわけです。ブロードバンドというのは、そういうところは規制から完全に外して、自由に競争させて、一種事業、二種事業が提供しよう。そういう事業者の規制の範囲から完全に外そうというような形になっているわけです。実は、携帯の端末も同じことが言えるだろうし、それ以外の通常の電気通信の端末も入れるだろうというふうに思います。そのときに、一体どこまでになるの、これから光が入ってきたときに、光DSUみたいなものは入るのかどうか、それも自由なのかどうかというようなことも含めて、少し将来のネットワークのレイヤーをもう少し細かに考えていただければありがたいんです。例えば、プラットフォーム系のものであれば、例えば、DSLの問題なんかは、公益事業特権だと全く要らないわけです。各個人のあれでというような話になりますから、競争上も自由に競争させて問題はない。しかし、一方でプラットフォームでネットワーク側のプラットフォームと言われている交換系やルーターのようなものは、完全にそれを競争上フリーですよという形にすると、別の問題が起こる可能性があります。二種が持っている限りは全くフリー、一種が持っているとそれは規制の対象、というような、今と同じものでも全然別のやり方がなされているわけです。その辺をどうやったら整合性がとれるようになるのかということを考えていただきたい。これが1つです。
 もう一つの視点は、伝統的に一種、二種と決めた最大の問題は、基本的な問題だと思いますけれども、実は83年にこういう改正考えてつくったわけです。そのときに発想というのは、サービス別ということになっているんです。産業というのは、どうしても音声の電話サービス、それから、データ通信のサービスというようなサービス別になっていたわけです。ISDNみたいなものが出ておりましたけれども、アイデアとして統合化していきますよというようなものが出てきましたけれども、ISDNというサービスという形で出てくる。すべてサービス別にものを考えるという発想だったわけです。ところが、サービスというのはどんなサービスにするかは、これからかなり大きく変わっていく話です。交換機とルーターと認証用のサーバー、こういうような組み合わせになっていくようなときに、一体サービスってなんだ。認証だけをやるサービスというようなものもあるわけです。サービスという形で従来ずっと制度ができてきたんですけれども、従来、経済学でいう産業区分というようなものとはちょっと違う視点を持って、ぜひ新しいことを考えていただければというふうに思います。
醍醐主査  適宜事務局から、それについてご意見がございましたら・・・。
佐藤専門委員  今までビジネスモデル研から参加していたのでご報告も兼ねて。11ページを見ると随分いろいろ競争の新しい時代に向かって、いろんな一種、二種のもとでいろんな新しいものを入れたりしてきたんだなというのはわかると思います。多分、いろいろ技術が出てきて、新しいサービスが出てきて市場の競争が変わっている。そうすると、一種、二種でも残したままでも、こういう幾つかのマイナーチェンジをしながら、新しいものに、これから3年とか対応していくのは可能かもしれない。やはり、そろそろIPも音声からデータとか、あるいは映像が随分流れる時代。そういう時代に向けて、企業からすると毎回新しい問題が起こって、それに今の事業法の下で対応していくかというよりは、予見性の高い、3年、5年先がわかるような新しい競争ルールを作っていった方がよくて、そういう議論に入りかけたのかなと思います。その中の議論の私の問題意識は、やはりレイヤーをもう少し見た方がよろしい。例えば、物理的なネットワークをつくる。それをオペレーションでネットワークをオペレーターみたいにオペレーションするわけです。それから、サービスのプロバイダーがいる。そういうふうに分けると、例えばモバイルで言うと、MVNOみたいな新しい競争の仕方が出てくる。
 それから、その上にプラットフォームで課金や認証の機能がついて、さらにインターネットへの接続やコンテンツと結びついて新しいビジネスが出てきて、それが去年、一昨年で言うと、iモードとか、Lモードとか、新しい競争の在り方の議論でいろんな宿題がこちらにきたんだと思います。
 例えば、レイヤーに着目したような形で3年、5年もつような形の新しい競争時代のルール作りを始めるという意味で、非常に大事な作業部会かなと思っています。ただ、ちょっと心配なのは、6月までに何ができるのかなというところだけ非常に心配しております。
 以上でございます。
村上専門委員  後ほどの議論でも出てくるのかもしれませんけれども、16ページの米国のFCCの動きについての記述に関連して意見を申し上げます。詳細な説明はまだ行われていませんが、FCCが、今後ブロードバンドアクセスサービスをインフォメーションサービスと定義するとしますと、コンピュータ・インクワイアリーのときと同じように、事実上FCCは、ブロードバンドアクセスサービスをアンレギュレーション、つまり、「非規制」の対象にしていくと考えられます。こういう競争政策のスタンスの変化の兆しに加えて、日本のあるいは韓国のブロードバンドの立ち上がりに対して、米国政府あるいは産業界が危機感を持っていて、どちらかというとこれまで避けてきた、産業政策的な側面の考え方がかなり強くなってきているという兆しも気になります。日本の2005年ブロードバンド人口、1千万、3千万という目標に対して、米国では、2010年・1億人・百メガというような話も出てきているようです。これはまだ私の持っている仮説というレベルの話ですが、こういうガバメントインターベーションとアンレギュレーションの、産業政策的な組み合わせが、これまでの純粋な競争政策と置き換わっていくということになるのだとすると、これまでの、この委員会や情報通信審議会、さらにはIT戦略本部での、情報通信政策は、オープンアクセス・ドミナント規制・第三者規制機関の設立を基調とする競争政策を確立し、事業法的な方向性から競争促進法的な方向性に変えていくんだという政策の基本方向と、食い違うような動きが出てこないとも限らない。今のところは、まだ仮説の段階なわけですけれども、今後この傾向がもっとはっきり出てこないとも限らない、という感触を持っております。この委員会での検討におきましても、そういう国際的な動向といいますか、国際的な常識と無関係ではいられないわけでありまして、もし、米国が全くこれまでと違うような産業政策的な基調の政策をとっていく中で、わが国が従来の方向性を継続してとっていったとき、IT関連産業がどうなるかという視点、あるいは消費者がどういう立場に立たされるかという視点も出てきます。今申し上げました、米国で起こっている変化の兆しにつきましては、手厚くこの会にも報告をして頂きたいと思います。そういう変化が、もし根本的なものであるとすれば、この委員会としても、スタンスを明快にした対応をしていくことが必要だと思います。
醍醐主査  ありがとうございました。その他いかがでしょうか。
根岸委員  私もそのメンバーの1人ですけれども、前回は欠席をしておりまして、明日は出席するということで、明日述べればいいのかもわかりませんけれども、このビジネスモデル研究会の中間報告における提言の概要の9ページの下のところに、現行の一種・二種の事業区分を廃止し、全面的に事後規制に移行すべきとの指摘もあるがということがありまして、しかし、1、2ということで、必ずしも、そういうわけにはいかないということで、恐らくプラン1と13ページ、14ページのプラン2、こういうふうに出てきているのではないかというふうに、ビジネスモデル研究会の中間報告は理解することができると思います。
 今もお話ございましたけれども、電気通信事業法そのものが、従来と相当変わってきまして、たしか二次答申の中にもあったと思いますが、競争促進法だと名実ともに変わりつつあるといいますか、変わったというようなことも指摘されておりまして、そのような観点から、今回の事業区分の在り方も検討すべきだというふうに思います。ここでは現行の一種、二種の事業区分を廃止し、全面的に事業規制に移行すべきという指摘もある。しかし、問題があるというわけですけれども、恐らく、この間に、この事業区分を見直す、あるいは廃止も含めた見直し、しかし、一定の競争政策の観点から、事後規制に全面的に移行するのには依然として問題がある。従って、一定の事前規制というのは多分必要であろう。こういうような方向に考えることができるのではないかというふうに思っています。それがプラン1かプラン2になるのか、ちょっとよくわかりませんけれども、1)にノースポイントの事件が挙がっていますけれども、これは、もちろん日本でも起こり得るわけでありますけれども、これはある意味でユーザ保護ということなんですけれども、ユーザ保護は必ずしも一種か二種かということで決定的に違わないと思います。もちろん、影響度というのが違いますので、多少違いますけれども、しかし、基本的な考えは、どのような仕組みをとってもユーザ保護というのはあり得べしというふうに考えます。
 それから、事前規制を仮にとって、今のような許可制をとっても、このような事態は避けられないわけであります。実際に一種の許可を審議している中でも、もちろん、すべての事業者は一定の近い将来には黒字になるというような形で提出されてくるわけですけれども、しかし、そのようになるという保証は全くないし、それに対して、行政として何か特別のことをするということはできない。そういう仕組みになっているわけでありますから、これは避けられないことであると思います。
 しかし、ユーザ保護というのはもちろん必要であって、一種と二種とは必ずしも区分がなくなって、残っても依然として必要であるというふうに思います。従って、ユーザ保護というのは事業区分の廃止と、あるいは見直しということとは切り離し基本的には考えるべきものではないかと思います。
 それから、もう一つ、2)のところでありますけれども、電気通信市場は独占から競争の移行過程であって、公正競争条件を担保するための事前規制についての合理性が存在する。これは私もそのように理解しております。従って、一定の参入のときに、事前規制ということが必要であろうと思いますけれども、そこでの事前規制の在り方というものについて、これは一種、二種に必ずしもつながらないというふうに考えられる。もちろん、十分検討しなければなりませんけれども、いわゆる、競争にとって一番問題なのは、ボトルネックの設備というか、物理的なものだけかどうかちょっと問題ですけれども、ボトルネックの設備とか、そういうところが問題なのであって、その点に着目して、参入の段階で公正条件の担保のための一定の規制はあり得べしと思います。これは、必ずしも現在の既存の電気通信事業のみならず、例えば、この間、東京電力が参入したというようなこともあって、あの場合にも一定のボトルネック設備を持っているわけであって、そこでの参入について公正条件のための確保の措置が必要であったというふうに理解しておりますけれども、そのような意味で考えるべきではないかというふうに思います。
 それから、これも既に意見が出ておりますけれども、公益事業特権というものと、一種というのが今までは必然的に結びついていたわけですけれども、これは基本的には切り離すことが可能であるし、そうすべきであって、一種の場合にも、もちろんいろいろなものがあり得るわけですから、切り離して議論をすべきだというふうに、今のところ思っております。
 以上です。
加藤専門委員  今、根岸先生のお話を伺って、13ページの一番下の2行ですね。これから、事業者の区分をどうするかという議論と、消費者のユーザ保護のところは、また別だとおっしゃっていましたが、前例があります銀行の撤退で迷惑をしている。あるいは合併で迷惑している消費者はいっぱいいるわけで、まだ銀行の場合は確かに明日というわけにはいかないで、ちゃんと前々から言われるわけですが、事業者が翌日から使えなくなるなんてとんでもないことなので、この辺のことは、またぜひ検討の中に入れていただきたいと思っています。
 質問なんですけれども、15ページの各国の比較があるわけで、ご専門の皆さんはその辺が十分理解していらっしゃると思うんですが、申告と届出の違いとか、日本の場合だと、参入は事業許可で料金は認可というふうに何となくわかっているんですが、実態的に国際的なレベルで言葉が違うだけの差がどれだけあるのかなということを勉強したいと思っています。というのは、段々ボーダレスになっていって、日本も進出する、先方の国からも来るといったときに、やはりどれだけお互いの市場開放性のレベルがあっていくかということも大事な視点ではないのかと思いまして、下に免許の区別だけの説明がついているんですが、他の場合の言葉の英語で言った場合は全部違って、その内容はお互いに国際的に共有の言葉の内容になっている。例えば、ITUでそれが共有されているのでしょうかとか、その辺ちょっと教えて下さい。
醍醐主査  今のは具体的なご質問ですので、これは事務局からご説明いただけますか。
谷脇事業政策課調査官  大変重要なご指摘をいただいたと思います。15ページの中では、設備規制、役務規制、それから退出規制に分けて、それぞれ書いておるわけでございますけれども、例えば、退出規制のところをご覧いただきますと、日本の場合、特別二種、あるいは一般二種の届出について、遅滞なく事後届出でというふうに退出した後に届出をするという形になっております。しかしながら、韓国の場合ですと、事前、つまり30日前に事前に届け出なさいというような形になっております。これは退出だけではございませんで、例えば参入の際の規制につきましても、単に申告、あるいは届出といったときにも、要件がどうなっているのかというところをきちんと見ないと、加藤委員ご指摘のように、必ずしも同じレベルの規制かどうかというとこは言えないわけでございます。この辺は、もう少し私の方でも調査をいたしまして、その辺も含めてご議論を、国際的な比較をするというときには、確かに必要になってくると思いますので、その辺も含めて、これからまたやらせていただきたいというふうに思います。
山本専門委員  私もこの第一種、第二種の事業区分については、廃止したらどうなのかというような意見を言ってきたので、非常にこういう検討は大事だと思います。先ほど、根岸委員が言ったことに私は基本的に賛成したいので、具体的には、一種、二種の区分にこだわらずに、レイヤーにもう少し即して新しい規制をという考え方は、私も必要じゃないかと思いますが、基本的にはドミナント規制をひいた時点で、やはり公益事業特権の問題もコモンキャリアの方に限定すべきなのであって、そういう点で言うと、規制はドミナントな事業者に限定し、あとは規制緩和の方向に大きく持っていってもらいたい。自然独占で具体的になぜ参入とか、退出を規制してきたのかというと、規制しないと、非効率な、過剰な参入が起こる。それは社会的にとって資源配分ロスを生む。これが唯一の経済学的な理由だと思うんですが、今のような競争状況になってくると、本当に非効率な参入とか、過剰な参入があるのか問題になると思います。そういう点で言うと、参入・退出規制自体の重さがなくなっている。むしろ、コンテスタビリティというようなことが言われ始めているわけですから、そういう点で言うと、やはり一種、二種というのはドミナント規制を導入した段階で、これは廃棄すべきなのです。新しい形態で、どうしても事前規制が必要だというならば、公益事業特権というのをどのように考えて、どのような事業者にそれを被せるかという形でもって議論してほしい。大きな方向はそういう方向でいってほしい。これは要望です。
三邊専門委員  私も根岸先生、菅谷先生と同様、前回出られなかったんですけれども、私は根岸先生がおっしゃったことは、ほぼ賛成なんですけれども、しかし、ニュアンスが相当違うのかなという気も実はしているんです。というのは、根岸先生が先ほどユーザ保護というようなことを言われましたけれども、私は電気通信事業とか、電気事業とか、ガスとか、いわゆる公益事業というものを、私は行政法学が専門なので、やはり憲法体系からとらえてしまうということがありまして、やはり、ここは憲法25条の問題であろうということがあるので、従って、憲法25条で国民が健康で文化的な最低限度の生活を送れるか、それを提供するのが国の義務なんだというようなこと。ただ、国が義務を負うということは、国がすべてやれということではもちろんないし、どういうものがそれを担うかという問題、それとまた全然別なわけです。ただ、私はやはり憲法25条から捉えると、やはりこれは消費者問題であろうというふうに思います。そうすると、ユーザと言われたけれども、その観点から見たユーザ、憲法25条の観点から見たユーザというのは一体どの範囲なんだろう。従って、先ほど加藤先生が明日目が覚めたらサービスがなくなってしまったといっても、ある部分、そんなのいいじゃないかということを前も申し上げたこともありますし、従って、どの部分を守らなくてはいけないのか。実は、一種・二種の問題は、あまり根岸先生はとらえるべきじゃないと言われましたけれども、私も全くそのとおりです。どういうようなサービスを提供しているのかによるわけです。それから、公益事業特権の問題についても、まさに公益事業特権は与えるということは、それはまさに消費者、ある部分の消費者に対して、どういうようなインフラ、それを保護するために特権を与えて、ネットワーク構築をさせるかという問題であって、むしろ、今まで議論がちょっと逆じゃないか。要するに、公益事業特権があるからおまえたちはサービスをしろというような議論でやられているような気がします。ただ、全体が競争政策というようなことになっていますので、私とちょっと違うのかもしれませんけれども、ただ、競争政策をなぜ入れるかというと、それが消費者の保護になるから、しかも効率のいいサービスが提供できるからということで、競争政策なんだろうと思いますので、その辺、少し消費者、あるいはユーザというものについて、一体本当に保護すべきところはどこなんだという議論が必要なんではないかと思いますし、ある意味では、私は非常にドラスティックでありまして、そうじゃないところは何でもいいじゃないか。金網デスマッチでやればいいじゃないかというような気さえしているところであります。
 以上です。
醍醐主査  どうもありがとうございました。少し時間が押していますが、何かここでということは・・・。
菅谷専門委員  今、三邊先生の話の続きといいますか、多分、ここで利用者保護とかと言われている議論は、ユルバーサルサービスとかなり関係していると思うんです。一応、ここではユニバーサルサービス基金を前提に議論をしているということで考えると、そこら辺は多少、楽観的に私は考えてもいいのかなと。多分、これからは自然独占、設備拘束型というよりかは、高コスト地域の利用者をいかに救っていくかということが問題じゃないのかなという気がしました。
醍醐主査  私、お聞きしておりまして、事業区分の見直しというのは、結局、規制を量的には全般的に引き下げるということが基本理念になっている。その中で、なお必要な規制については、もう少しきめ細かに重層的なものに、実態にかなったものに組みかえをしようというのが基本理念だろうと思っているわけです。
 その中で目的として、1つはユーザ保護ということと、それから競争環境にもよいインフラになるようにしようということがあると思うんですけれども、両者はユーザ保護ということと競争環境の整備ということとは、非常に不可分な面が当然ございます。ただ、具体的な中身で、どういう区分でどういう規制を残して何をやめるかとなると、両者は必ずしも1対1ではないという部分もあるかと思いまして、両者をそれぞれなりに、例えばユーザ保護であれば、どんなサービスを提供しているのか、三邊委員のお話であれば、これだけは不可欠なものというものについて、ユニバーサルサービスと関わらせながら保護していくということもありますし、競争環境の中で見れば何が最もエッセンシャルなもので、そこにドミナントな資源の偏在というのがどの程度あるのか、あるいは代替性がどの程度あるのかという観点からの捉え方ということになるのではないかなと思われまして、その両者、ユーザ保護ということと競争環境の整備ということとを、両にらみで議論をお願いしていただきたいし、この委員会でも議論をお願いしたいと思っております。
 本日は一応このテーマはここまでとさせていただきます。この後作業部会におきましては、先ほどから非常に限られた期間ということでございますが、精力的にご審議をお願いして、また随時この委員会でも中間段階でお話を伺って、ご質問、ご意見を委員会のメンバーからもいただけるように機会を設けたいと考えております。

  (3)欧米諸国における競争政策の見直し状況

醍醐主査  それでは、次に3つ目、本日のメインの議題であります。今度は資料7でございますが、欧米諸国における競争政策の見直し状況につきまして議論をお願いしたいと思いますが、それに先立ちまして、このテーマについて事務局からご説明をお願いしたいと思います。
南事業政策課調査官  それではお手元に資料7という横の紙をお配りしておりますので、時間が押しておりますので手短にご紹介をさせていただきたいと思います。
 先ほど村上委員からご指摘のとおり、いろいろ現在進行形で競争政策の見直しが動いておりますので、私どもが把握している範囲でございますけれども、第1段としてご紹介をさせていただきたいと思います。
 まずファクトでございますが、1ページ目はアメリカの競争の進展状況についてでございます。FCCが半年に1回レポートを出しておりますので、それをベースにしたものでございます。これをご覧になっていただきますとわかるとおり、地域の特に足回りの加入者アクセス回線数というのは、アメリカの場合、毎年少しずつ増えておったのですけれども、2001年の6月になりまして初めてアクセス回線数の総数が減少したという結果になって1億9千万ぐらいということでございます。このアクセス部分の競争相手のシェアでございますけれども、この2年間ぐらいの間に少しずつ増えておりまして、2年ほど前には4.3%とありましたのが現在9%、これは全米平均でございますけれども、そういう数字になってございます。競争相手が実際にエンドユーザ向けにアクセスを提供しているその内訳でございますが、右側に書いてございますとおり、自前の自己設備で提供をしているというのは、大体全体の3分の1ぐらいでございます。残りの3分の2がいわゆるリース回線で提供している。そのリース回線のうち、UNEと書いてありますのは、アンバンドルの提供を受けて提供しているもので、ここの割合が最近非常に増えているというのが顕著な傾向でございます。それに対しまして公衆網の再販で見られるような、いわゆるリセールベースの割合はどんどん減ってきているというのが傾向として言えようかと思います。
 それから2ページ目にお移りいただきまして、最近のアメリカの競争政策の見直しの大きな動きでごさざいます。ご承知のとおり、共和党政権になりましてパウエル新委員長の下、あくまで今の通信法の枠内でございますけれども、特にブロードバンドの競争政策を包括的に見直そうということで、昨年の11月ぐらいから今年の3月にかけまして、相次いでレポートを発表しているところでございます。これは村上委員先ほどご指摘のとおりでございます。
 それで原則は4つございます。これはFCCが掲げている原則でございまして、アメリカの全国民がユビキタスなブロードバンド利用可能性を確保するということ。それから2つ目はできるだけ多様なプラットフォーム(DSL、CATV、衛星等)といったようなものを提供するということ。それから3つ目でございますが、最低限の規制環境に置くということ。4つ目はこういった異なるプラットフォーム間において、できるだけ一貫した整合的な分析のツールを提供する。この辺が大きな目標として掲げられているものでございます。
 大きな現在の見直しの動き、これは見直しのスタートラインに立ったというふうにお考えいただければ結構だと思いますので、具体的な方向性が出ているものもあれば、出ていないものもあるということでございます。1)と下の方で書いてございますが、これは各州で今バラバラにRBOC、ILECのいろいろなパフォーマンス、接続をしたり、そういったサービスを提供するというパフォーマンスを評価するための尺度というもので、全米で統一的なものがつくれないかどうかという意見招請がスタートしております。
 それから2)としましては、このILECというような既存事業者がブロードバンドサービスを提供する際に、そのドミナント規制を適用すべきかどうかというのが2)でございます。
 それから3)、これは時系列な順番でございますが、いわゆる接続ルールUNEのアンバンドルルールにつきまして、3年目の見直しが行われたということでございます。この1から3までは、具体的な方向性を出すというよりも、今いろいろな意見についてコメントを求めているという状況でございます。
 4)については、これは若干方向性を出し始めている意見招請でございまして、固定系のブロードバンドインターネットアクセスの部分について、法律上の分類学上の整理、いわゆる先ほど村上委員からご指摘のように、情報サービスとするのかしないのかということについて、一定の方向性を出しているものでございます。この上の方の固定系ブロードバンドアクセスにつきましては、情報サービスだというふうに暫定的に結論付ける。それから下の方のケーブルモデム、これは一番新しいものでございまして、先週の金曜日に出たばかりでございます。土曜日にホームページ上に出まして、これから告示になっていくだろうという新しい動きでございますが、これにつきましては、ケーブルモデムを使ったブロードバンドサービスが情報サービスであるというふうに一定の結論を付けた上で規制の在り方を問うているというものが出たところでございます。一つ一つ簡単に概要をご紹介します。
 3ページ目でございますが、これはパフォーマンス評価基準と申しまして、ILECが自分の自社内でやるのと同等の設備ですとか、サービスを競争相手に提供する際に公平性を担保するという意味もございますし、今、州毎にいろいろパフォーマンスのスタンダードが異なっておりますので、負担が凸凹になっておりますので、負担を軽減するという意味で規制緩和とも言えるのですけれども、連邦レベルでこういう基準がないと言う意味では、単純な規制緩和とも言えないという面も持っていようかと思っています。
 そして12項目のパフォーマンススタンダードといわれるものを提案をしております。ご覧になっていただきますとわかるとおり、例えばOSSに関しましてクイックレスポンスが確保されているかどうか、あるいは開通工事につきまして、一定の予定期限までに完了した割合がどのくらいなのか、あるいは遅延した場合の平均遅延時間がどうなのか、あるいは回線が障害を起こした場合の割合というのは、どの程度あるのかということにつきまして、これは多分レポートを求めていって一定の水準を下回っているような場合に、何らかのエンフォースメント、自己是正措置を求めていくよというようなスタイルになろうかと思っております。
 一番下に書いてございますように、州レベルにおきましては、現在全米で10の州におきましてRBOCがいわゆるLATA間通信の許可を得ております。以前5州ぐらいだったのがちょっと増えまして10州ぐらいに増えておりまして、今後続々増えてこようかと思いますけれども、その許可をする際に詳細なパフォーマンスデータの月毎の報告というのを州委員会に求められているわけでございます。この州委員会に求められているレベル内容が各州によってバラバラなものですから、連邦レベルで一つ一つ統一的な基準ができないかどうかということについて意見招請がスタートしたということでございます。
 それから4ページ目をめくっていただきます。これは、いわゆる既存事業者がブロードバンドサービスを提供する際に、そのサービス提供面でのいろいろな、いわゆる電話サービスについてかかってきたドミナント規制というものを、同じようにストレートに適用すべきなのか、あるいはそれをモディファイすべきなのかということについて意見招請が行われているということでございまして、この検討の手法で書かれておりますとおり、関連サービス市場をどういうふうに分けたらいいのか、あるいは関連地域市場をどういうふうに画定をしていったらいいのかということについてコメントを求めております。例示で書かれておりますとおり、ビジネス市場と公衆向けの市場を分けるべきなのか、あるいは規模によって分けるべきなのか、先ほどの卸と小売というふうに分けるべきなのかどうか、あるいはそういったものをお互いのサービス間の代替性というものをどういうふうに考えていったらいいものなのだろうか。右側の方に書いてございますとおり、マーケットパワー市場支配力を分析する際に、同一の市場の中で支配力はあるのかないのか、あるいは異なるプラットフォーム技術間において、代替性があるのかどうかというのを検証すべきだということでございまして、どういうケースで、どういう形で、ドミナント規制を外していく必要があるのかないのかというのを検証しましょうというNPRMがスタートしたということでございます。
 それから5ページ目でございますけれども、これはいわゆる接続ルールの見直しの意見招請がスタートしたということでございます。連邦通信法251条に基づいてアンバンドル提供義務が課せられております。それに基づいて96年にFCCがルールを作りました。それで99年の最高裁の差戻し判決を受けまして、一旦見直しを行っておりまのす。その見直しを受けた際に見直したもののルールを3年毎に見直そうということになっておりまして、その見直しが今回スタートしたという意味合いでございます。
 下の方に括弧の中に書いてございますとおり、今アメリカでは7つのネットワーク構成要素というものをアンバンドルしなければいけないというふうに定義付けておりまして、これが99年の見直しの中で一部変更をしております。その中で特徴的なものは、まずサブループというものが新規に付け加わったということ。それからここには書いてございませんが、このときに合わせてラインシェアリングのルール化ですとか、ダークファイバーというものが入るのだということが初めて明確化された。それから1つ消えておりますのが、オペレータサービスあるいは番号案内といわれるものにつきましては、アンバンドル化義務は必要ないだろうということで、これは削っております。これが今の現状でございます。
 そして、この現状でありますこの7つの構成要素、数としては変わっておりませんけれども、中身は一部変わっているこの構成要素は、はたして妥当なのかどうか、251条にあります「最低限必要」かどうか、あるいはこれが他の事業者のサービス提供を「阻害」するかどうか、この必要性、阻害性の要件に基づいて、より詳細な分類に基づく検討をすべきではないかということでございまして、いろいろな例示がレポートの中に書いてございますが、例えば光ファイバーのようなものを除外すべきかどうかとか、大都市かどうかということで区別すべきかどうか、住宅用のお客さんか、事業用のお客であるかによって区別すべきかどうかというようなことを、様々な検討の可能性を提示しておるところでございます。それでFCCはこの中でいみじくも言っておりますが、グラニュラルレビューをするのだ、グラニュー糖のように粒状にきめ細かいレビューをするのだというような言い方をしているように、極めていろいろなケースに細分化して、その中で規制緩和すべき項目があるかどうかというのを検証しようとしているのではないかというふうに推測されるところでございます。
 6ページ目でございますが、これが先ほど申し上げましたとおり、一定の方向性は前提として出しているものでございます。まず、固定系のブロードバンドインターネットアクセスサービスというものは、電気通信サービスなのか、情報サービスなのかということにつきましては、情報サービス。ただし裸の情報サービスではなくて、電気通信のコンポーネントというものを使った情報サービスであるというふうに、暫定的に結論付けようというのが検討の前提でごさいます。
 仮にこういう前提を置きますと、効果といたしましては、連邦通信法のタイトル2というところに、いわゆるコモンキャリアのいろいろな規制があるわけでございますが、これがかからなくなるという効果が考えられるということでございますが、ここはあくまで暫定的な結論でございますので、そういう分類がそもそも適当かどうかということも含めて、現在意見招請が行われている。あるいはxDSLの卸売の部分のところは、そうはいっても、やはり電気通信サービスとして捉えるべきなのかどうかです。あるいはこういった分類の見直しに伴って、コンピュータ裁定といわれているところの、いわゆるオープンネットワークアーキテクチャーとか、いろいろな情報サービスにかかっている規制の要請というのがモディファイされるべきなのかどうか。あるいは特色的なこととしまして、ユニバーサルサービス基金の拠出義務につきましても、電気通信キャリアだけではなくて、そういったブロードバンドインターネットアクセスを提供している人からも、全部または一部の売上について拠出を求めるべきかどうかという意見招請もあわせて行われているということでございます。
 最後に書かれておりますのは、先週出たばっかりのケーブルモデムを用いたブロードバンドサービスにつきましては、これはケーブルサービスでもなければ電気通信サービスでもない。これは州をまたいだ情報サービスであるというふうに一定の結論付けた上で、必要な規制の枠組みについて意見招請を求めているものでございます。
 7ページ目は、ベライゾンの機能分離の話でございますけれども、当初構造分離を求めていたものが、その後機能分離に変わって昨年の11月に決着をしましたということのご報告だけでございます。
 8ページ目をめくっていただきまして、これは、先ほど申し上げましたのは、既存の法律の中でのいろいろなFCCの自主的な見直しの動きでございますが、法律の枠組みそのものを変えるべきだという連邦議会の動きを8ページ目にお示ししております。これは前々からご説明しているとおり、規制緩和に向けた動きと規制強化に向けた動きの2つの動きがパラレルであるということでございまして、このインターネット自由化法案H.R.1542につきましては先月、2月の末に連邦下院を通過しております。これは成立をいたしましたが、上院で待ち構えております商業委員会の委員長が右側の法案のホリングスさんでございまして、この人は明確に反対だというふうに申し上げておりますので、前途は非常に多難であるという状況でございます。
 法案の概要は先ほど村上委員からご指摘ありましたとおり、インターネット自由化法案というのは、アンレギュレーションということで、ブロードバンドサービス部分については非規制だということで、例えば光ループだとか、パケット交換のアンバンドル義務はもう規制すべきではない。あるいはLATA間のサービスを提供する際に、例の14項目のチェックリストの規制というのはかけるべきでないと言いつつ、他方で産業振興的な意味合いもあるのだと思うのですけれども、5年以内にブロードバンドサービスの普及義務というようなものも課しているというのが特色でございます。片やホリングス法案の方はご存知のとおり、卸・小売の分離、まずは機能分離をしっかりさせる。その間で何らかの形で接続ルールに違反するような事態があれば、小売部門の別会社化、構造分離も含めてFCCが命ずるような権限を制定しているという法案でございます。これはまだ審議のめどがたっていない状況でございます。
 9ページ目でございますけれども、ちょっと駆け足で申し述べさせていただきます。まず、イギリスの状況でございますけれども、大体16パーセントぐらい新規参入者の割合が増えている。主としてCATVオペレーターの方々が、この分野に積極的に参入しているということのようでございます。
 ページをめくっていただきまして10ページ目でございますが、これはイギリスの競争政策見直しの一つの新しい動きでございまして、有効競争のレビューといわれるものを本格的に取り組んでいるということでございまして、2005年ぐらいまでの間に8つの市場を画定をいたしまして、順次レビューをしていくという方向を出していくものでございまして、まずキックオフとしてレビューを開始しますと言ってコンサルテーションドキュメントを出して、最終的に政策の変更を伴うような声明文を発表するというプロセスをたどるものだそうでございます。
 11ページ目にありますとおり、この有効競争をレビューする際の1つのインディケータ、指標を4つほど示してございまして、特徴的なことは、この消費者の利益、消費者の行動と言われるようなものを、自分なりに意識調査というような形で調査を実施して最良なサービスが十分な品質に基づいて提供されているかどうか、あるいは消費者に対する十分な提供の情報の提供がなされているかどうかといったような消費者サイドの指標、それからサプライヤーサイドの供給者の行動、市場構造といったようなものも併せて審査をするという仕組みになっているものでございます。
 12ページ目には、今までの競争レビューの実施状況でございまして、先ほど申し上げた8つの市場というものがございますが、その順番に取り組んできているわけでございまして、まず一番最初に移動通信分野について取組みがなされまして、まだ有効競争には至っていない。しかしながら、競争が進展する見込みがあるので、ボーダフォン、BT Cellnetに対して、ドミナントとしてのSMP指定は継続するのだけれども、一部イギリス独特のMI(Market Influence)規制というものは解除しますというような規制の見直しが実施されたところでございます。
 それから、ダイヤルアップのインターネットアクセス市場につきまして、2)でございますけれども、ここにつきましては、まだBTが依然として強い力を持っているので、ドミナント規制を継続すべきだという結論に至ったものでございます。
 それから3)でございますが、これは、固定の加入者回線サービスの部分でございますけれども、まだ結論は出ておりませんが、有効競争に至っているとはやはり言えないということで、日本と同様な議論でございますけれども、基本料金の請求権の移譲を含む加入者回線卸売サービス、これは公衆網再販のようなことを提言しているのかもしれません。あるいは、プライスキャップ規制の将来的な撤廃といったような規制の見直しを提案をしております。まだこれは結論は出ていないということです。
 専用線についても、基本的に現行の小売料金規制を継続すべきであるという最終的な結論になっているという状況でございます。後、順次関連する見直しを行う予定でございます。
 13ページ目に移っていただきまして、これはEUの動きでございます。既にご承知のとおり、今まで指令が非常に多岐にわたっておりました。28個くらいに指令がまたがっておりましたものを、ここに書いてある5つの指令に統合して簡素化し、各国の規制のハーモナイゼーションといいますか、規制をできるだけ統一していくという方向での見直しが行われたものでございまして、去る2月14日に一応理事会で採択をされまして、現在公布に向けて準備中ということでございまして、これが公布をされますと、これから15か月、1年半ぐらいかけて各国国内法制がこの指令に沿って行われる義務が発生するという状況になってございます。聞くところによりますと、イギリスが先頭を切って何らかの見直しを行うのではないかというふうにいっております。
 それから14ページ目でございますが、これはその中で先ほどはちょっと説明を省略しましたが、規制の枠組みのパッケージの1つとしまして、いわゆるハード、ソフトに分けて参入のハードルはできるだけ個別免許は止めて、ジェネラルオーソライゼーションと言われるような、非常に簡易な参入の手続に変えるということでございます。それに伴って一定の権利もあれば、一定の義務も発生するということでございますけれども、先ほど申し上げたような線路敷設権、番号利用権、周波数利用権、こういったものは、参入のハードルとは個別に申請をして、その権利を与えられるという仕組みを提案しているということでございます。
 15ページ目以下が、EUにおいて、先ほどイギリスでとられたと同じような有効競争レビューを、EU委員会がいわば主導する形でガイドラインをつくって、関連市場を画定して、それに沿って各規制当局が有効競争のレビューをしなければいけないということで、イギリスでやっているようなことをEU加盟国各国も従いなさいというようなことを義務付けておるということでございます。
 16ページ目は、これは同じような動きがOECDの中にもあるわけでございまして、イフェクティブコンペティションということで、有効競争を評価するための尺度づくりと言われるものが、OECDのTISPと言われる作業部会において、現在進行形でございまして、ここでは幾つかのカテゴリーに分けて指標を設定して、その細かいパラメーターというものを、現在議論しているということでございます。これはご参考までにしていただければと思います。
 最後に17ページ目でございますけれども、これはITUのレポートでございまして、これはIP電話が競争政策に与える影響と言われるものでございまして、真ん中ほどにありますとおり、IP電話がPSTNといずれ統合的に運用されるわけでございますけれども、このハイブリッドな環境というのが、しばらくは継続するのではないか。そして、ラストワンマイルの競争というのは引き続き重要であるということが提言されているものでございます。
 一番最後に、ご参考までにということで、DSLに限って競争の進展状況を比較したチャートでございまして、若干数字をとった月は変動がございますけれども、特色的なことはイギリス、ドイツ、フランスは意外とDSLが普及をしておりません。そして、競争事業者のシェアも大変低いということでございまして、これはラインシェアリングといいますか、ローカルループアンバンドリングのルールがまだまだ十分機能していないということなのだろうというふうに思っております。
 アメリカ、韓国はそれなりにDSL加入者増えております。アメリカは260万、韓国は400万近く。ただ、アメリカの場合の特色的なことは、ケーブルモデムを使ったDSLサービスの加入者の方がむしろ多いというところが大変特色的でございまして、その辺が違うということでございますが、ご承知のとおり、DSLを提供する提供事業者はどんどん倒産をしておりますので、結果としてみるところの競争事業者のシェアは非常に低いというのが現状でございます。
 以上、駆け足でございましたが、簡単にご紹介をさせていただきました。
醍醐主査  はい、ありがとうございました。それでは、ちょっとご提案なのですが、これをまた議論をいろいろし出しますと、20分かもう少しかかりそうな気配なのですが、ちょっと時間が押しておりまして、このようにさせていただけないかと。今日は事務局からご報告いただいたということで、次回も実はいろいろ議題は押しているのではございますけれども、私どもの議論にとって参考となるようなことがたくさん入っていると思いますので、質問、ご意見、議論は次回に回させていただくことにして、きょうお聞きいただいて、さらにこういうことについてちょっと調べて、もう少し追加の説明をして欲しいというふうなご要望がありましたら、それを受けたいと思うのですが、いかがでしょうか。もう少しわからないということがございましたら。
村上専門委員  先ほど申しましたような変化の兆しがある訳ですが、FCCの取組みの中で、これから大きなインクワイアリーや報告書の提出のようなイベントがあって、そこでいよいよ方向性が明確になるという分岐点のようなものがあるのか、ないのか。あるのであれば、どんなものがいつ頃ありそうなのか、ということにつきまして、もしわかりましたらお教えいただければと思います。
醍醐主査  今ご説明いただけるのであれば、この場で結構です。
南事業政策課調査官  先ほど申し上げましたとおり、個別ばらばらの意見招請をテーマごとに求めておりまして、その意見招請の期限が5月とか、6月とか、大体この夏ぐらいにあらゆるパブリックコメントの結果が集約されるだろうということでございまして、そこから、まさにFCCの本格的な検討がスタートすると思うんですけれども、それが一体いつまでに、自分なりにスタンスを決めて、個別散発的に結論を導いて世の中に問うていくのか、パッケージで問うていくのかというのは我々もよくわかりません。ケーブルモデムの場合は、今回、それなりに結論を出しているんですけれども、これは伏線がありまして、1年あるいは2年以上前から、それなりのインクワイアリーをスタートして、いろんな意見を既に集約していたものについて、一定の結論を出したということでございますので、通常パブリックコメントを締め切ってから1年ぐらい検討期間がかかる場合もあるようでございますので、一体、どのタイミングでFCCがスタンスを固めて、世の中に政策の変更なり、何なりを打ち出していくのかというのは、今の時点ではわからないという状況です。

  (4)その他

醍醐主査  その他ございませんでしょうか。
 それでは、できれば今日議論をしたかったんですけれども、ちょっと時間の関係で次回ということにさせていただきたいと思いますので、次回この資料に基づいて、いろいろご質問、ご意見を準備いただきたいと思います。

  (5)当面のスケジュールについて

醍醐主査  それでは、最後のこれからの審議のスケジュール案につきまして、事務局からご提案をいただきたいと思います。
南事業政策課調査官  資料8、最終答申に向けたスケジュール案というものをご提示をさせていただいております。
 先ほど基本法制検討ワーキンググループのスケジュールはご説明をさせていただいたとおりでございますので、適宜WGの状況は委員会の方にフィードバックをさせていただく。それから、先ほど吉田課長の方から説明のあった公衆網再販、接続ルール、消費者、それぞれの関係の研究会の方向性も出た、あるいは出そうな段階で、逐一委員会の方にフィードバックをさせていただきまして、5月上旬ぐらいには、委員会としての検討の方向性をお取りまとめいただいて、順次、起草検討会なりを適宜お開きいただいて、5月下旬ぐらいに委員会としての取りまとめをいただけないかというふうに考えているところでございまして、それを受けまして、最終答申の草案を特別部会にお諮りをして、6月の上旬ぐらいからパブリックコメントにかけ、最終的に仕上がりますのは、6月中は物理的に難しいだろうというふうに考えておりますので、7月の上旬以降、最終答申としてファイナライズさせていただくようなプロセスをお願いできればというふうに考えているところでございます。
醍醐主査  このようなスケジュールでございますが、よろしいでしょうか。当初は6月末までにすべてを終わるという予定だったんですけれども、私も事務局と議論をしておりまして、率直に言ってとても無理です。それではやれませんということを申し上げまして、いろいろ事務局は様々全体的な日程等がございまして、かなり無理を聞いていただいたというところもございました。これでもご覧いただいて、5月に検討の方向性とかが4回目で出ておりまして、きょうが1回目ですから、それと様々な検討会、協議会があって、検討作業部会がありまして、いろいろご報告を伺ったりしていくと、この委員会としての議論の実質というのは、1回、1回が答申に向けた議論の場だというおつもりでご意見をいただきたいというふうに思っております。
 それでは、最後の次回のことは一番下のあるこの紙でよろしゅうございますね。第2回4月9日火曜日、午後2時から4時、9階ということになっておりまして、議題は基本法制検討作業部会の検討状況等でございますが、本日追加で海外の動向につきましても議論をしたいと思っております。
 その他委員の皆様、事務局から何かございませんでしょうか。

閉会

醍醐主査  それでは、15分余り延長になってしまいましたが、第1回の会合は以上とさせていただきます。どうもありがとうございました。




トップへ