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開会 |
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○ | 醍醐主査 それでは、ただいまから第5回競争政策委員会を開催いたしたいと思います。本日は前回の会合でとりまとめの骨子案を議論いただきまして、本日はその全体を通して、文章化したものをとりまとめ案という形で事務局に用意をしていただいております。これに沿ってディスカッションを行ってまいりたいと思います。なお今後の予定といたしましては、このとりまとめ案の議論を今回、本日と次回28日の会合の2回にわたりまして議論いただき、この委員会としてのとりまとめの案として確定をさせていただきたいという予定でおりますので、本日を含めまして2回のフルテキストでの議論をお願いするということですので、忌憚のないご意見をいただきたいと思います。 それでは、まず事務局から一通りのご説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
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○ | 南事業政策課調査官 それでは、お手元に資料1、「競争政策委員会とりまとめ(案)」という100ページ近くの大部でございますので、要領よくご説明をさせていただきたいと思います。 まず、目次でございますけれども、第1章から第5章までということで、「今後の競争政策の在り方に関する基本的考え方」、それから二次答申等で提言されました競争政策の積極的な展開、それから第3章として、章を独立させまして「消費者行政の充実」、それから第4章でWGでご議論いただいております「新たな競争の枠組みの方向性」と、第5章にその結論部分という形で「新たな競争政策の確立に向けて」という章立てになっているところでございます。 それでは、第1章、ページをおめくりいただきまして、2ページ目から順次、大部でございますので、便宜上、事務局の方で下線部分を引かせていただいておりますので、その下線部分を中心にご説明をさせていただきたいと思います。 まず、最近の市場動向はもうご承知のとおりでございまして、料金の低廉化、サービスの多様化が競争の進展によって実現してきておりますが、他方、地域アクセス市場においてはまだ依然としてボトルネック設備と言われる事実上独占的な状態が続いていると。他方、IP化ということで、ブロードバンド化が急速に進展しているのはもうご承知のとおりでございます。 3ページ目、4ページ目で、そのブロードバンド化の進展ということでいくつかの例を述べさせていただいておりまして、ご承知のとおりDSL、特にDSLサービスにつきまして、大変競争が進展をしているところでございまして、委員会でもご紹介させていただいたとおり、4ページ目の下の方でございますけれども、諸外国と比較したDSL市場の状況でございまして、ご覧になっていただきますとわかるとおり、NTTのシェアというのは4割近くということでございまして、他の諸外国と比べますと、競争事業者のシェアが非常に高いという状況になっているところでございます。 それから、5ページ目から6ページ目にかけて、更にそういったブロードバンド化の進展状況ということで、光アクセスサービスもNTTにおいて始められましたし、電力会社本体との競争も始まりつつあるということでございます。それから第3にケーブルインターネット、これも着実にブロードバンド化を推進する手段として増えていると。移動通信分野におきましても、いわゆるホットスポット無線LANのような形で新しいブロードバンドサービスも登場しつつあると。 最後に6ページ目のところで、そういった中で新しいビジネスモデルがたくさん登場してきていると。IP電話はもちろんのことでございますけれども、それ以外に様々な事業領域を組み合わせたようなCDNといったContent Delivery Networkですとか、iDCとinternet Date Centerのような新しいビジネスモデルも普及段階にあるという状況の変化を述べさせていただいております。 それから7ページ目以降が、主要国におきます新たな競争政策の動向、これも繰り返しになりますので、説明は簡略にさせていただきたいと思いますが、大きくヨーロッパとアメリカの動向に触れさせていただいております。アメリカにおきましては、ご承知のとおり、何回かに分けまして、競争政策の見直しの意見調整がスタートをしております。それでブロードバンドの基本原則と、ここに書いてあります4つの原則を提示をしまして、競争政策の見直しに着手をしたということでございます。 8ページ目の方に飛んでいただきまして、この中で特に注目をしておりますのはブロードバンドアクセスサービスと言われるものを、通信サービスじゃない情報サービスだというふうに暫定的に位置付けてはどうかと。それからアンバンドル義務と言われるものを緩和するなり、免除するということの適否について検討をスタートしたと。また、連邦議会におきましても、こういったような法案を出されている他方におきましては、産業振興的な側面とはまた別に、逆にRBOCに対する規制を強めようというようなこの相対立する動きも見られるところでございますと。アメリカの特色としましては、この4)のところで書かせていただいておりますとおり、競争政策を継続していくのか、もう少し産業振興的な側面から政策転換を図っていく必要があるのかということが議論の中心になっているということでございます。 それからブロードバンドサービスの市場検証と言われるものも大変重要な位置付けでございまして、今後ともこういった方向性、今年末か来年頭ぐらいになるかもしれませんが、アメリカがどういう政策スタンスを固めていくのか注視していく必要があると。 それから、9ページ目、10ページ目、EUの競争政策の動向にさせていただいておりまして、EUの新指令の枠組みと言われるものが、この4月に公布がされたところでございます。従いまして、ハード・ソフト分離を中心としまして、規律の仕組みを全般的に規制の水準を低下させるという枠組みに従いまして、これから15カ月以内に各国が国内法制の見直しを義務付けられているところでございます。その中でイギリスがいち早くこの5月に新しい通信法のドラフトと言われるものも公表したところでございまして、そういった中で新しい特色が見えてくるのかなという実感がわいております。 特にEUのパッケージの中で特色的なことは有効競争レビューといったような形で競争をある程度細分化をしまして、レビューすることを各国に義務付けるような仕組みをやっているというところが大変特色でございます。EUにおきましても、そういった形でブロードバンド化に向けた投資意欲を損なうことのないように規制水準を大幅に下げていくという方向で検討が進められているところでございます。 それから11ページ目以降は今後の競争政策の在り方に関する基本的考え方でございます。競争政策の分類は前回ご説明したとおり、二次答申で概念として3分類をしていただいたところでございましたけれども、そういった点を踏まえまして、今後3つの点、この答申の中では第1としまして、新規参入の更なる促進と公正競争環境の整備が必要だということで、後ほどまた公衆網再販、OSSの開放といったような論点につきまして論じていただく予定でございます。それから第2としまして、消費者の自立と合理的な選択を支援する環境の整備と。これにつきましても、章立てでご説明を別途させていただきます。第3がIP時代に対応した新しい競争の枠組みの導入に向けた検討、これも大きなボリュームを占めているところでございます。こういった形で事業区分の在り方を含めます枠組みそのものについて今日的観点から見直しを図っていく必要があるということの大きな3つの観点から競争政策を考えていただくということをご提言をしていただいているところでございます。 第2章でございます。13ページ目以降でございますが、これが競争政策の展開ということで、14ページ目以降に、まず一番最初に新規参入の促進を書かせていただいておりまして、基本的考え方はご承知のとおり、設備ベース、サービスベース、双方の見地から競争進展を図っていくことが必要であるということで、まず設備ベースの競争に関しましては、固定・移動、有線・無線を問わず、ネットワークの更なる多様化を促進していく必要があると。特に無線系のアクセスにつきましては、3Gのサービスも始まっている他、ホットスポット無線LANが最近とみに、急速に進展をしつつありますし、そういった電波利用環境整備も進みつつあるところでございます。 15ページ目以降、順次書かせていただいておりますが、PHSにつきましてもブロードバンドに対応した新しいサービスのスタートが図られているところでございます。それから固定系アクセス分野につきましてはご承知のとおり、東京電力が既に本体で市場参入を果たしているところでございまして、これによって利用者料金、利用者の選択の幅が広がることが期待されるというふうに書かせていただいております。それから電柱・管路等の線路付設のガイドラインも、これも一層進めていく必要があると。 それから16ページ目でございますが、国ですとか、地方公共団体、あるいは電力といったような公益事業者が保有する光ファイバー、こういったものも積極的に活用させていただく必要があると書かせていただいております。それから別の観点、サービスベースの競争でございますが、これもNTTのアンバンドル等のネットワークのオープン化と通じてサービスベースの競争が進んでいくことが期待されると。 それから、VDSLにつきましても研究開発の推進が必要であると。更には移動通信分野でMVNOと言われるもののガイドライン、17ページ目にかけて書かせていただいておりますが、これも今準備中でございまして、これによって新規参入の促進が一層図られることが期待をされるということでございます。あるいは、ネットワークのキャパシティー、余裕の部分を売買、仲介するような新しいビジネスと言われるもののサポートしていくような環境整備も必要であろうと。更には、移動体通信の番号ポータビリティー、あるいはUIMカードのロック解除といったようなことにつきましても、別途専門家等で構成される検討の場を設けて、実現に必要なコスト、導入の効果などにつきまして早急に検討に着手することが必要だというふうに書かせていただいております。じゃ、続きましてネットワークの方。 |
○ | 吉田料金サービス課長 それでは、その次の個別の3つの課題につきましてご説明をさせていただきます。まず 19ページにつきましては、上の方に線を引いてございますがOSSの開放が必要になってくると。それから、その次の論点といたしまして、そのマイラインの機能を入れる、入れないであとの開発費との関係が非常に違ってまいりますので、そこをどうするんだということで、結論としては20ページに書いてございますが、原則としてはそういった機能を入れた方が望ましいとは考えられますが、じゃ、その費用をだれが負担するかということが検討が必要になるということで書いてございます。 20ページのその他の話はいろいろこういったことを検討する必要があるということで書いてございまして、次の21ページにつきましては、じゃいくらお金がかかるんだということで、まず1)でございますが、基本条件(a)(b)(c)という中で計算をすると全体として別紙1のとおりお金がかかると。それに加えまして、2)に(a)(b)(c)(d)ということで、それぞれ機能とか、NTTに委託する内容を少し逆にNTTに委託をしていくという形にするとか、あるいは最後の場合ですと、単に料金回収代行というような形にすると。いろいろなケースが考えられますので、それぞれに応じまして値段が必要な経費がかかってくるということで、書いてございます。 それから22ページの3)につきましては、前回ご質問がありましたことで、今は1,500万加入という前提で書いてございますが、それがそこまで達しなかった場合には、もう少し少なくて済むんではないかということで、その点を整理してございます。 それから23ページにつきましては、前回、これはなかった話でございますが、じゃ割引の額がどの程度になるかということで、大雑把な試算をいたしましたところ、12年度決算に基づきますと、3)のところに書いてございますように、約18〜27の割引率という形になるということでございます。それから、それを受けまして、じゃ年経費はどうなるんだということでございまして、現行の算定、簡易な方式に従いますと、仮に回収期間を5年ということになりますと、当初のシステムの回収期間、あるいは毎年の運用費等々で、仮に最初のお金が400億とすれば10億円と。これは400掛ける0.3掛ける12分の1ということでは毎月10億という趣旨でございます。それを回線数で案分をしていくというと、24ページの最初の方になると。ただ、これはもちろん分母がどうなるかによってかなり変わってくるという話でございます。ただ、24ページはアメリカの再販の事例、まだちょっと完全に調べ切っていないところもございますが、現時点で分かっている範囲で24ページに書いてございます。 それから25ページに、先日もちょっとご説明いたしましたが、OFTELが1月末に新たな案というものを公表して、今パブコメが終わって、OFTELの方で検討中ということがありますので、それを書かせてございます。 最後にまとめという形で26ページに書かせてございますが、まずはどういうメリットが期待されるんだと。それから最近の環境の変化、それから今、多々ご説明しましたシステム開発に用する経費、あるいは期間がかかりますので、それをどう評価するんだということを書いてございまして、最後に結論といたしまして、27ページの「今後について」ということで書いてございますが、今回の協議会というのは一定の前提条件を整理したということでございますので、それを受けまして、各社がNTTにもし必要だということであれば、協議を求めていくと。仮に話し合いがまとまらないときは、法律上一定の手続が用意されていると。その際、(a)の行政としてはそういった裁定等の申請があった場合には、上記の点を考慮をして判断を行うことになるんだろうということで書いてございます。それが1点目でございます。 それから、2点目の29ページ目からは先日お話しした点を文章化したということでございますが、その接続料と利用者料金の関係ということで、別途研究会を設けまして、検討を行ってきましたという話でございまして、検証の必要性というところが一番大きな話かと思いますが、結論といたしましては接続料をより適切なものにするという観点から認可の際にあわせて検証を行うことが適当だという形で書いてございます。 次に30ページに行きまして、対象サービスにつきましては、市場の実態に応じて何を優先順位とすべきかということを判断すべきだということで、結論としましては、インターネット関連サービスを特に注視していくのが必要ではないかということになっております。 30ページから31ページにかけましては検証の単位、あるいは時期をどうすると。時期は先ほどお話ししましたように、基本的には利用者料金届出時じゃなくて、接続料の認可時の際ということが適当だということで書いてございます。 それから、32ページにつきましては検証の方法ということで、結論といたしましては、一律に何%の営業費ということを事前に決めておくというのは適当ではないんではないかということで、個別のケースに応じて判断をせざるを得ないという形になっております。 以上が利用者料金と接続料の関係ということでございまして、その次がOSSの関係は33ページからでございまして、まず経緯が書いてございまして、34ページに今どうなっているかという現状の仕組みが書いてございます。その次に35ページにこれは前回ご説明したとおりでございまして、事業者からの要望、それを踏まえまして、研究会として結論を行いまして、前向きに検討すべきもの、その他の項目という形で整理をしてございます。 34ページのところがDSL関連と。35ページ以降は同じことを光ファイバについても行いまして、37ページにその結論が書いてございます。前向きの検討すべきもの、それからその他ということで、真ん中から下の方に書いてございますが、同じような整理を行ってございます。中身的には前回と変わってございませんので、ご説明は省略させていただきたいと思います。以上でございます。 |
○ | 南事業政策課調査官 続きまして、39ページ目に構造問題への対応と言われるパラグラフをご用意させていただいております。構造的な競争政策の必要につきましては第一次答申から、あるいは第二次答申にかけまして、ご提言を各種いただいておりまして、特に資本分離型競争政策と構造分離型競争政策というふうに大きく2つに分けて構造的競争政策はご検討いただいたわけでございまして、特に第二次答申の中では東西NTTが一体的に保有している卸と小売と言われるものを構造的に分離するという方策につきまして検証を行っていただきまして、そのメリット・デメリットについてここに述べられておりますような整理が行われたところでございます。 これを受けまして、40ページ目でございますけれども、第二次答申におきましては、第1ステージ、あるいは第2ステージと言われることに区分をいたしまして、この政策展開につきましてご提言をいただいたところでございます。それを受けまして、41ページ目でございますけれども、第1ステージで十分に進展をしない場合は、2年経過してもなお十分な競争の進展が見られない場合は速やかに第2ステージということがご指摘をいただいたところでございまして、今後はこういった提言を踏まえまして、昨年法改正をいたしました非対称規制の整備をはじめとする様々な公正競争ルールの実施状況、あるいはこれから新しく講じられるであろう競争ルールの今後の実施状況といったようなもの、あるいはそれらの成果、あるいはファイヤーウォールの遵守状況等々を見極めながら、今後とも地域通信市場における競争の進展状況を多角的に注視をしつつ、市場の変化に柔軟かつ弾力的に対応していくことが重要であるということを述べさせていただいているところでございます。続きまして、第3章分でございます。 |
○ | 山田電気通信利用環境整備室長 第3章は消費者行政の関係でございますが、この部分は前回の会議で詳細にかなり説明させていただきましたので、主として前回からの変更点のみご説明を申し上げたいと思います。 まず、43ページでございますけれども、そこの3)のところで消費者支援策の意義ということを書いてございます。こちらの方で、この競争の進展で一層の消費者利益の実現の可能性があるわけですけれども、その中で情報収集力の格差の拡大、あるいは消費者トラブルの増大ということが考えられるので、消費者と事業者の情報の非対称性の解消、それからトラブルを迅速に解決するための適切なセーフティネットの整備ということを書いてございます。 それから、下線は引いてございませんが、4)のところで同様に競争政策上の意義、あるいはIT社会という、IT化の中での消費者支援策の意義というものが書いてございます。 続きまして、44ページの5)のところでございますが、こちらの方で関係者の果たすべき役割ということで、政府、特に総務省において総合的な政策立案というその制度の導入・運用、それから関係者の連携が必要であると。それから事業者、それから電気通信事業者団体等、その業界全体としての適切な取り組みが必要であるということを書いてございます。 それ以下につきましては、文言の整理等はしておりますけれども、基本的に大きな点で変更はございませんので、53ページまで飛んでいただきたいと思います。53ページからが消費者支援強化のための具体的方策というところで、こちらの方で人材育成、それから2番目、情報提供、それから消費者対応体制、それから消費者対応ルールということで、4つの項に分けて書いてございます。53ページの2)のところでございますけれども、人材育成の意義というところで、今後消費者の電気通信サービスに関する情報ニーズは増大するということとともに、それから消費者の中でもいろいろ多様化してくるということを若干付加して書かせていただいております。そういった意味で情報ニーズに対応したきめ細かな対応する人材の育成が不可決となるということを書いてございます。 54ページでございますが、3)のところで、資格制度のことを書いてございますけれども、資格制度の意義ということで、電気通信の活用に関するアドバイスを得たいというニーズがあるので、それを組み上げて、資格として明確化するということによって、こういったアドバイスするというサービスについて一定の市場化を図るといった意義があるということを書かせていただいております。 それから、情報提供の推進というところが55ページからしばらくずっと続きまして、59ページまで飛んでいただきまして、消費者相談窓口との消費者対応体制の充実というのが58ページから書いてございます。59ページのイの1)のところでございますが、先般の研究会の会合もございます。そちらの方で指摘のあった事項でございますけれども、1)の最後のところで総務省における苦情相談の処理要領を明確化して公表するという手続きの透明性の確保ということについてご指摘がございましたので、この点を書かせていただいております。 それから、61ページまで飛んでいただきまして、61ページのここは消費者相談窓口につきまして横断的な窓口をつくる必要があるということを60ページから61ページについて書いてございますけれども、その中でADRについて視野に置くということで、特に理由として電気通信サービスについては個々の損害が場合によっては司法的な解決に見合う額に達しない場合というのも結構多いんではないかというご指摘も研究会でございまして、その点を書いてございます。 それから、最後の点でございますけれども、62ページから以下が消費者対応ルールということで書いてございますが、63ページのイのところで、これは電気通信事業者の方で消費者対応ルールとしての自主行動基準というものを策定を推進するというものでございますけれども、そのイの1)のところでその最後の部分でございますが、策定段階において消費者側の意見を反映させる仕組みというのが重要であるというようなご指摘が消費者側、それから内閣府からございましたので、その点についても付加させていただいております。 最後の1点でございますが、65ページの方に一応ご理解を助けるという意味で若干の関係者の今後の体制について絵で整理をさせていただいております。以上でございます。 |
○ | 谷脇事業政策課調査官 続きまして、第4章でございますけれども、「新たな競争の枠組みの方向性」という部分でございます。早速67ページ目からご覧いただきたいと思いますが、まず1といたしまして市場環境の変化と競争枠組みを見直す必要性について記述をしております。まず(1)のところは現行制度の基本的枠組みでございますので、割愛をさせていただきます。また次のページ68ページでございますが、(2)でこれまでの制度見直しの経緯ということで、累次にわたります規制緩和、あるいは接続ルールの整備といった公正競争環境整備の観点からこういう行政措置について列記をしております。割愛をします。 次の69ページ目をご覧いただきたいと思います。(3)のところで市場環境変化に対応した競争の枠組みの見直しということで、昨今生じております市場環境変化について改めて整理をしております。大きく2つに分けられるかと思います。この69ページの下の2)の部分がまず1点目でございますが、IT化、ブロードバンド化を軸とするネットワーク構造及び市場構造の変化ということでございます。 具体的には70ページ目をお開きいただければと思います。まず一番上のところで下線を引っ張っておりますが、ルータ等の汎用的な設備を活用したネットワーク構築に係るコスト低下、新規参入の容易化、また既存事業者についても従来の回線交換網ベースの設備投資からIP関連投資へと力点が移りつつあるということ。また(イ)のところでございますが、ネットワークの構成要素の機能分離、アンバンドル化が実現をして、特定のネットワーク機能に特化したビジネスモデルが登場したり、あるいは複数の機能を縦断してサービスを提供するといったようなビジネスモデル、垂直統合的なビジネスモデルが出てきているということでございます。 また3)の部分でございますが、第2点目の市場構造の変化ということでございますけれども、現行の制度の枠組み、すなわち一種と二種という枠組みが競争実態と必ずしもそぐわない部分が出てきているということで、具体的には(ア)にございますように、一種事業者につきましてもネットワーク構成から見て、二種事業者と明確に区別することが困難な事例が出てきているということ。 またおめくりいただきまして、71ページ目ですけれども、地域限定的で比較的規模が小さい一種事業者が多数登場してきていると。他方、ISP事業者さんのように、全国規模で音声系を含む多様なサービスを提供する一種事業者の方々が登場してきているというようなことがございます。このように一見市場環境の変化を踏まえますと、現在の一種・二種の事業区分は回線設備施設の有無に着目して事業区分を設定し、事業区分ごとに事業規制が一体として課されているというものでございますけれども、規制水準の更なる低下を図るとともに、制度の明確性を維持するためには、一定の限界があると。また新たなビジネスモデルが登場してきている中、これに対応した新たな観点から構成競争条件の確保を図るとともにユーザー保護の充実を図ることが求められている。現行の競争の枠組みについて今日的視点に立って、包括的に見直しを図るべき時期に来ているという認識を示させていただいております。 次に72ページ目で、2つ目の点として、競争の枠組みの見直しについての基本的視点ということで、3つ書いてございます。具体的には2)以降の3つの項目でございます。すなわち1点目といたしまして、競争の進展状況を踏まえながら、十分に競争が進展をしている分野を中心として必要最小限の規制環境、規制水準の全般的な低下を図っていく必要があるという点。2点目として市場支配力を有する事業者が存在する場合など、公正競争確保の観点から必要だと、あるいはユーザー保護の観点から必要であるという場合にはマーケットメカニズムを補完する観点から所要の競争ルールを適応する必要があるという点でございます。この点、4)にございますように競争の枠組みについて柔軟に見直すことができ、特定のビジネスモデル、あるいは特定の技術を不当に差別することにならないような仕組み、すなわち、競争中立性、技術中立性の確保が適当であるということを書かせていただいております。 それから3点目として次の73ページ目の一番上でございますが、競争の枠組みの見直しの一方で行政当局の恣意的な制度運用がないように透明性の確保ということが必要だということでございます。以上を要約をいたしまして、競争政策の基本的考え方としては引き続き設備面とサービス面の双方から事業者間の競争を促し、その利益を国民利用者に広く還元していく仕組みを目指すことが適当であるということでございます。 次に74ページ目以降で、少し具体的な枠組みの在り方についての記述でございます。(2)の参入規制のところでございますけれども、まず1)の部分で現行の参入規制の枠組みについて解説をした上で2)の部分でございますが、回線設備の設置の有無に着目した現行の一種・二種の事業区分を廃止し、参入規制の大幅な緩和を図ることにより、柔軟な事業展開を可能とすることが適当であると考えられるという方向性を書いております。 次の75ページ目でございますが、現行の一種・二種の事業区分を廃止することによりまして、現行の一種事業の参入について一律許可制を適用しておりますが、この許可制を廃止するという点で大幅な規制緩和が実現をいたします。また二種事業者につきましても、それぞれの判断に基づきまして、自前で回線設備を設置するといったようなことが可能となりますので、経営戦略に応じた柔軟な事業展開が可能となるということでございます。 4)以降でこういった参入規制の緩和、あるいは事業区分の廃止という点におきまして留意事項ということで書いております。それはまず5)の部分で現行の参入許可に際しましては、他の公益事業におきます市場支配力をもっている事業者さんが、電気通信市場に参入する際の公正競争要件の担保のための条件付けということがございます。従って、参入規制を緩和した場合であっても、社会的影響が大きいと考えられる場合には公正競争確保、あるいはユーザー保護の観点から事前に何らかの措置を担保する必要があるのではないかという問題意識でございます。 このため、具体的な参入規制の緩和の方向性ということでございますけれども、例えば登録制を採用して必要と認められる一定の要件に該当する場合には、登録に条件を付すという手法、もしくは事前届出により事業参入を可能とした上で必要と認める場合には事業開始に際して所要の措置を講じることを可能とするという手法等、いずれにしましても規制水準の低下を図るという観点から、法制的観点も含めた更なる検討が必要だということでございます。要すれば、現行の一種事業の許可制を登録、もしくは届出制に緩和をしていくという趣旨でございます。 それから次の76ページでございますけれども、留意すべき事項として7)のところにございますように現行の一般二種の事業者につきましては参入時は事前届出という形になっております。従いまして、特段の配慮が必要であろうということで、社会的影響が相対的に小さい事業者については引き続き事前届出制をもって足りるといったような一定のメルクマールのもとに現行の制度、枠組みを維持するということでどうかということでございます。なお、具体的な範囲については現行の一種事業者さんの事業展開の実態などを踏まえながら、その具体化を図っていく必要があるだろうということでございます。 (3)のところで、この参入規制と一体となっております公益事業特権の付与の在り方ということでございます。2)のところで基本的考え方として、今後ともこの公益事業特権につきましてはインフラ構築を迅速・円滑に推進していくという観点から必要であろうという基本認識を示しております。 その上で次の77ページ目でございますけれども、参入規制を緩和することに伴いまして、市場に参入した全ての事業者の営む事業について一律に公益事業特権を付与するということになりますと、法制度の運用に係りますバランスを著しく失する恐れがございます。従って、参入規制と直接リンクした公益事業特権の付与という現行の枠組みについて改めて見直しが必要になるということでございます。 具体的には4)でございますけれども、公益特権の付与を参入規制と直接リンクさせております現行制度を改めまして、公益事業特権の付与を希望する事業者からの申請に基づいて当該事業の内容を審査した上で付与するという新たな認定制度の導入について検討が必要だということでございます。 留意点として6)以降を3点書かせていただいております。まず1点目として公益事業特権を付与する仕組みとしては現行の仕組みと同様、事業ごとに特権の付与の適否を判断するという仕組みが適当であるという点でございます。また2点目として、公益事業特権の付与を受けた後の事業内容の変更について、一定の適合性を確保する仕組みが必要ではないかという点でございます。 また8)の第3点目といたしまして、次のページでございますけれども、公益事業特権の付与を受けて事業展開を行う事業者につきまして、役務提供義務、あるいは接続義務を課すといった措置について検討が必要であろうということでございます。 次に(4)の退出規制の在り方でございますけれども、まず現行制度をご説明をした上で、2)の部分でございますけれども、特に一種事業の休廃止につきましては許可制をとっておりますが、現実問題として経営危機に陥った事業者に事業継続を強制するということは実効性を欠くものでございますし、また競争進展によりまして、代替的なサービスの利用が可能となってきているということを考えますと、一種事業に関わります参入の許可制を大幅に緩和することとあわせて、出口の部分、つまり事業の休廃止に係る許可制についても、例えば事前届出制に移行することにより規制水準を引き下げるということが適当であろうということでございます。ただ、留意事項がございまして、ユーザー保護という観点が当然大変重要になってくるわけでございます。従いまして、79ページ目でございますけれども、ユーザーに対してサービスを提供している事業者の事業の休廃止に当たりましては、例えばユーザーの意向を十分に把握するとともに、事前に事業の休廃止について周知する義務を課すといったような措置を講じることを検討することが適当であろうということでございます。 それから(5)の部分で、参入・退出規制案の見直しに伴って検討すべき事項ということでございますけれども、2)の部分、すなわち現行の一種事業者は参入時の許可制と平仄を取る意味で、事業内容の変更をする場合にも許可制を採用しております。具体的には役務の種類の追加、あるいは業務区域の変更といったような部分でございます。下線を引っ張っておりますが、参入規制を緩和するのに併せて、参入後の事業内容の変更につきましても現行の許可制を見直し、変更手続について規制緩和を行うことが適当であるというところでございます。既存事業者についても規制の緩和を図っていくということでございます。 3)のところで現行の役務区分、現在は音声・専用・データというふうに分けております。これを追加する場合には事業変更許可が必要でございますけれども、役務変更についてもこういった変更手続きを要しないことをするといったような規制緩和措置を検討する必要があるのではないかと。またIP化の進展の中で、役務区分自体を廃止することについても検討する必要があるのではないかということでございます。 また4)の2点目でございますけれども、合併等につきまして、現行は認可制を採用しておりますけれども、これについても規制水準の引き下げが必要ではないかということでございます。 また3点目として非営利の電気通信事業の取り扱いということでございます。即ち電気通信事業におきます営利・非営利のメルクマールをどう考えていくかということでございます。最近出てきております例として、地方自治体が無料のインターネットサービスを地域住民に提供するという例がございます。こういった場合には現行の事業法の中では電気通信事業者としての規律の適用外としております。他方、6)にございますように、無料インターネットサービスを提供する電気通信事業者の方も出てきているということでございます。 この辺、平仄をとりながら、7)でございますけれども、他人の通信を反復継続的に扱っているという点においては、例えば地方公共団体の無料インターネットサービスのような場合につきましても通信の秘密の保持、技術基準を適合性の確保といった最小限の規律を課すということについて検討していく必要があるんではないかということでございます。 続きまして、81ページ目でございますけれども、今ご紹介しました参入・退出及び公益事業特権付与の枠組みの変更に伴いまして、枠組み全体についての目配りが必要になってくるわけでございます。基本的考え方として、2)のところでございますけれども、利用者向けのサービス、つまりエンドユーザー向けのサービスにつきましては競争の利益をユーザーに最大限還元することが望まれるという基本的視点でございますけれども、3)の部分で利用者向けのサービスに関わる規制につきましては、原則としてネットワークと切り離した形でその在り方を検討する必要があるということでございます。これは利用者を保護する観点からはマーケットメカニズムを補完するための所要のルール整備が必要という観点でございます。 他方4)にございますように、電気通信事業者間の問題につきましては、他事業者にとって接続することが必要不可決なボトルネック設備等に着目したルール、すなわち現行の制度でございますけれども、こういったことは必要であろうということでございます。そういった意味では5)にございますようにボトルネック設備のオープン化等によって事業者のネットワーク構築の柔軟性を確保する一方で、利用者向けのサービス市場、エンドユーザー向けの市場についてはユーザー保護のための必要最小限の規律を確保することによってユーザーは市場において多様な選択肢から適切なサービス選択ができるようになるんじゃないかということでございます。 具体的には(2)以降でございますけれども、まずエンドユーザー向けのサービスに関わります規制の在り方ということでございます。まず(a)で現行制度の概要を簡単に記述をした上で(b)で制度見直しの方向性について書いてございます。具体的には83ページ目をお開きいただければと思います。 ここでは2)の部分で柔軟なサービス提供の確保ということで回線設備、あるいはボトルネック設備の設置の有無によって一義的に異なる推進の規制を適用する。すなわち一種・二種で適用水準を変えると。あるいはドミナントかドミナントでないかという制度の違いということでございますけれども、基本的にはユーザーに提供される同種のサービスについては原則として同等の規制を適用することが競争中立性の観点から適当ではないかということでございます。 3)に具体的な施策を書いておりますが、料金等の提供条件につきましては、市場における当事者間の相対取引に委ねることを原則として、提供条件に関わります契約約款の作成公表義務、あるいは役務提供義務を不要とするといったような、いわゆるデタリフ化と呼ばれております大幅な規制緩和措置を講じることを考えてはどうだろうかということでございます。 具体的な効果ということでございますけれども、例えば4)にございますようにボトルネック設備であります一種指定設備を設置している事業者、すなわち東西NTTでございますけれども、自らのネットワークについて実効性のあるオープン化を実現し、エンドユーザー向けサービス市場において競争が十分に進展した場合には、このサービスに関わります料金契約約款等についても規制緩和を行うなど、市場の競争進展度を反映した柔軟な競争の枠組みを実現していくということを書いてございます。 次に84ページ目でございますが、留意点としてエンドユーザー保護の観点から、十分な情報提供が必要だということ。また2点目として業務改善命令、あるいは料金変更命令といったような事後の改善措置のスキームが必要だということでございます。留意点としてこの(2)の(a)と(b)というふうに書いてございますけれども、今申し上げましたようなデタリフ化ということを前提といたしましても、任意に提供条件をマスユーザー向けのサービスについて電気通信事業者が定める場合にはこれを事前に届け出ていただくと。あるいはまた、現行の一般二種事業者については現行どおり非規制とするというようなことを書かせていただいております。 それから、ドミナント、ノンドミナントという観点から、この84ページの7)の部分でございますけれども、ドミナント事業者については予め契約約款を定めて、これを公表していただくと。また契約約款ベースのサービス提供を拒否してはならないという現行の枠組みを維持することが適当であるということでございます。ただ、85ページに留意点として書いてございますけれども、ドミナント事業者のみ現行の料金契約約款の遵守義務、それから提供拒否を禁止するといったようなことにして、相対を認めないということにいたしますと、競争上の地位を著しく劣位に置くことになろうかと思います。従いまして、正当な理由なく契約約款によるサービス提供を拒否してはならないとした上で、相対取引も認めるという方向でどうだろうかということでございます。 また、「第二に」のところで、現在一種指定の、つまり東西NTTの契約約款については認可制としておりますが、この部分についても緩和の余地がないかどうか検討していく必要があるということを書いております。 また、コンテンツ・アプリケーション・レイヤーとの関わりでございますけれども、次の86ページ目をご覧いただきますと、11)のところで、現在、ドミナント業者に対して、不当な規律・干渉を禁止する対象事業者というものを法律で明定をしております。それにその適用対象範囲を追加するという意味でコンテンツ・アプリケーションを提供する事業者を追加するといったようなことも含めて、特にプラットフォーム機能のオープン化という観点から所要の措置について検討する必要があるということを書かせていただいております。 それから(c)のところで、エンドユーザー向けサービスに係りますドミナンスの評価ということでございまして、基本的には各サービスの特性、代替性を勘案して適切なサブマーケットごとに市場を画定し、サブマーケットごとにドミナンスを評価していくということが適当であろうというふうに書かせていただいております。 そういった意味で次の87ページ目でございますけれども、定期的な有効競争レビューといったようなものをやっていく必要があるんじゃないかということで、なお詳細については別途の検討の場を設けて、更に検討を深めていくという必要性について指摘をしております。 またエンドユーザー向けサービス等から目を転じまして、いわば事業者間の取引に関わります「接続ルール等の在り方について」が次の(3)の部分でございます。1)の部分は現行制度の現状についてのご説明でございます。 これを踏まえて次の88ページ目でございますけれども、一種・二種の事業部門を廃止して、新たな枠組みに移行した場合におきましても、公益事業特権を活用してネットワークを設置する事業者等につきましては、従来と同様に接続義務を課すということでどうだろうかということでございます。また一種・二種の指定を受けていない事業者、つまりノンドミナントの事業者の接続協定、あるいは卸役務の契約につきましては、更に一層の規制緩和ができるかどうか検討していく必要があるんではないかということでございます。 また「第三に」ということで、指定設備の内容、あるいは規制の程度につきましても市場の競争進展度を踏まえながら、必要に応じて見直しておく必要があるだろうということでございます。 また、その他目配りすべき事項としてユニバーサルサービスの確保ということで書いております。この点につきましては次の89ページ目で来月新しいユニバーサルサービス基金の制度が施行されようとしているところでございますけれども、基本的には現行制度の考え方を維持をして、自らインフラを設置して業者向けのサービスを提供する事業者を適格事業者の指定の要件とするということでよろしいのではないかということでございます。 それから、(5)の番号付与の在り方につきましても、現行の一種・二種の枠組みをベースとした番号付与の在り方から、事業区分の廃止によりまして一定の考慮が必要となってまいります。 また、次の90ページ目でございますが、(6)の技術基準の在り方というところでございますが、3)のところで現行制度におきまして、事業の開始前に技術基準適合確認を受けることを義務付けております。これを改めまして、廃止を含めて視野に入れながら、技術基準の適合維持義務をそれではどのように担保していくのかという規律の在り方について検討が必要だということでございます。 また、91ページ目にございますようにベストエフォート型のサービスが普及している中、技術基準につきましても包括的な見直しを図っていくことが適当であるということを書かせていただいております。また重要通信の確保についても十分な目配りが必要であるということでございます。 92ページ目で、今回提示した改革案につきましては一種・二種の事業区分を廃止をいたしまして、参入・退出規制の緩和を図る、またエンドユーザー向けサービスについて柔軟に市場を画定し、それぞれの市場におけるドミナンスを適格に評価した上で必要最小限の規制を課すという意味で全般的な規制緩和、ユーザー利益の最大化を図るという意味で抜本的な改革案ということでございます。4)で書いておりますように行政当局においてはこの案につきまして、引き続き法制的な検討を深め、可能な限り早期に実現し得るよう、必要な法改正を実施する方向で検討を進めていくことが期待されるというふうに、案として書かせていただいております。 最後に「第5章 新たな競争政策の確立に向けて」という結びの部分でございますけれども、94ページ目をご覧いただきますと、今回の最終答申の全体のトーンとしてブロードバンド化、IP化というものを全面に出しながら、そのメリットを公平で可及的速やかに国民利用者に還元していくと。そのためにも競争政策の果たすべき役割がますます重要なものになってきているという基本認識に立っております。この答申では一種・二種の事業区分を廃止して、規制水準の全般的な低下を図るとともに、市場の競争進展度に応じた柔軟な規制緩和を実施することができる新たな枠組みを確立することが適当であるというふうに書かせていただいております。事業者の自由な事業展開を確保する仕組みを前提として公正競争確保、ユーザー保護の観点から問題が生じた場合には速やかにこれを排除し得る仕組みを構築していくことが適当であるということでございます。 こういった競争政策の観点から市場補完的な政策が必要とされる背景として、電気通信事業におきますネットワークの経済性が存在しているということから、顧客の囲い込みによる市場支配力が発生し、競争阻害的に働く可能性があるという市場特性、また技術革新等によりまして市場構造が急速かつ継続的に進展をしているということを考えますと、単に当該市場において公正競争を阻害する要素を事後的に排除するのみならず、市場支配力が現実に発生し、または発生する蓋然性が高いと認められる場合には速やかにこれを排除することにより、公正競争やユーザー利益の確保を実現し、ユーザー利益の最大化を図る必要があると書かせていただいております。 また4)で競争政策の推進とともに、一体的に消費者行政の充実を図る必要性という点を書かせていただいているということでございます。 最後に95ページ目でございますけれども、5)の部分で振興策との関係について記述をしております。すなわち電気通信事業分野において、公正競争確保、あるいは利用者保護を前提として、事業者間の活発な競争を促すことにより、ブロードバンドサービスの充実を図る競争政策の推進とともに、ブロードバンドインフラの整備促進、コンテンツ産業の育成等の多様な各種振興策、公的支援策を講じることにより、これら両者が有機的に連携して需要と供給の両面から市場創造の好循環を生み出し、トータルとしてブロードバンド市場の発展を実現することが可能となるものと考えられると。 6)でございますが、この点、電気通信事業が我が国産業の全体の設備投資面でも電機機械等に次いで実質第2位の地位を占めておりまして、当該市場の発展はIT革命の中で、すべての社会経済活動の取引コストの低廉化や、構造改革をもたらすことが期待されると。またグローバル市場の中での国際競争力の向上という意味からも、戦略的に最も高いプライオリティーが与えられるべきであると。従って本答申で提言した競争政策の抜本的な転換に加えて研究開発、あるいはブロードバンド化の推進、国際競争向上のための公的支援等、新たな総合的IP政策を確立していくことが求められようというふうに結ばせていただいております。以上でございます。
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○ | 醍醐主査 どうもありがとうございました。 それでは、ただいまのとりまとめ案につきましてご議論いただきたいと思いますが、順序ですけれども、これまでは1章から順番に進んでいっていたんですが、それでやりますと、どうしても時間の関係で最後の方が非常に窮屈になってきていたというのがこの2回ほどの傾向でございますので、本日は全体の流れは頭に入れていただけたといたしまして、議論の順序は4章から入らせていただきたいと思うんです。ただ、4章といいましても、それは1章のところの全体の枠組みの議論等関わりますので、その限りにおきましては、1章、4章を一体的に議論いただきたいと思います。その後に2章、3章と進んでいきたいと思います。できれば、本日はあと次回と2回というふうに一応予定しておりますので、具体的な内容に立ち入ったご意見等をいただければありがたいと思います。 それでは、4章も含めた形での1章につきましてご意見をいただきたいと思います。なお、議論のきっかけと言うと失礼かもしれないんですが、本日ご欠席の藤原専門委員からペーパーでご意見をいただいて、皆さんにお配りしております。これは準備の関係上、藤原先生には第4章のところを事前にお届けし、その部分につきましてコメントをいただいているということでございます。 なお、ここにただいまございますが、バージョンが少し変わっているところもあり得るということで、藤原先生の引用されている表現と本日お手元にある表現と、私もちょっとまだ照合しておりませんが、もしかしたら違っているところもあるかもしれないというところはご了解いただきたいということでありますが、かなり具体的な論点につきましてご意見をいただいておりますので、このあたりについて、先生いらっしゃらないところで、ちょっとやるのはどうかとは思いますが、せっかくの機会ですから、少しここで挙げられております論点につきまして事務局の方から一当たりの少し説明とか、回答をいただけるでしょうか。 |
○ | 谷脇事業政策課調査官 それでは、簡単ですけれども、いただいたコメントについて若干ご紹介をさせていただきながら、ご説明させていただきたいと思いますけれども、まず、3の(2)の新しい登録制、届出制について法律論として疑義があるということでございますけれども、「(ア)に関して」というのは、先ほどご紹介しました現行の許可制を登録制にするということについての論点でございます。これにつきましては藤原先生がここでご紹介しておられるのは登録要件等、あるいは条件付けとの関係、法的論拠をどう考えるのかというような点でございます。私どもとしては、当然のことながら現行の一種事業の許可制というものを緩和するということになれば、当然登録要件、あるいは登録時の条件付与の在り方について、条件付与の根拠を電気通信事業法の中に設けないといけないということになりますので、そういった意味では法律を改正する中で先生のご疑義についても十分な担保をしていくという必要があるだろうというふうに思っております。 それから「(イ)に関して」という部分は、これは届出制に移行した場合の論点ということかと思います。これにつきましても届出制というものの法制的な根拠をどう考えるかということでございますが、これも法制的な検討の中で進めていくべき問題ではないかなというふうに思っております。 それから、第4章の中でこの小規模事業者と書いておりますが、これはある意味では社会的な影響ということから見て、比較的規模が小さいような事業者を念頭には置いてございますけれども、そういった要は大多数の一般二種事業者の方について規制を強化しない、つまり、今の規制の水準を維持するということを念頭に置いております。事業者概念を用いる必要があるのかということについては事業者として最小限の規律というものは必要ではないか。つまり一般二種の現行の並びで規律は必要じゃないかというふうに思っておりますし、また事業者と位置付けることによって、例えば接続に関する紛争処理等のスキームは活用できるといったようなメリットもあるんではないかというふうに思っております。 それから公益事業特権の認定制度についてご議論がございますけれども、これについては現在の許可制と、それから公益事業特権付与の在り方を切り離すということを現在想定しておりますので、こういった切り離しができるかどうかということかと思います。これについてもやはり法制的な観点から、もう少し検討していく必要があるんじゃないかというふうな受けとめをさせていただいております。 それから、先ほど営利・非営利のメルクマールの中で地方公共団体のサービスについて必要最小限の規律を課すということについて、経済的規制ではなく、社会的規制かということでございますが、これは必ずしも二分できないかなというふうには思っております。ただ、中身的には通信の秘密の維持、あるいは検閲の禁止、あるいは技術基準の適合性といったようなものは考えられますので、そういった意味では両方にかかわってくるものかなというふうに思っております。 それから料金契約約款をなくすようデタリフ化の際の個別契約情報云々ということでございますが、要は個別取引について事後届出をお願いをする、報告をお願いするという点が過剰ではないかということでございます。これはある意味では大臣発意の業務改善命令、あるいは料金変更命令をかける上で、情報を十分に収集しておく必要があるという観点でございますけれども、これについては事業者負担という観点も含めて、この可否を含めて検討していくというふうに、今回の中でも書かせていただいたところでございます。 最後に市場の画定について、ご指摘はサブマーケットごとに市場を画定していくというふうに書いていただいております。これについてはまさに今回の草案のとりまとめ案の趣旨と全く同じでございます。具体的にこの有効競争レビューをどのようにやっていくのか、またその中で市場画定をどうしていくのかという点について、慎重かつ総合的な判断が必要だというコメントでございますが、これはまさにそのとおりでございまして、そういった意味でも別途この競争レビューについて検討の場を設けて検討していくべき内容ではないだろうかというふうに思っております。概略、以上でございます。 |
○ | 醍醐主査 はい、どうも。 それではただいまの論点をめぐってのご意見でも結構ですし、第4章でのそれ以外の論点につきましてもご意見をいただきたいと思いますが。はい、酒井先生。 |
○ | 酒井主査代理 その他でもよろしいんでしょうか。 ブロードバンド化に関する1章と4章の対応なんですけれども、1章の方では、これはどうなのかわかりませんが、趣旨が若干ブロードバンド化についてはある種のアンバンドル化へ免除した施策もとるかもしれないという形になっておりまして、いずれにしても多少産業政策をやらなきゃいけないと。一番最後の4章の方では、これに対して最後の5)のところでどちらかというと、産業政策でしょうけれども、公的支援という、要するにお金を出すという方になっているんですけれども、むしろ5章の方でもどうするかわかりませんけれども、ブロードバンド分けについては少し光の引きやすいような形にするような何らかの手段も今後考え得るかもしれないという、それを言うと、ちょっとこの前のと合わないところもありますけれども、多少そういう含みをもたせてもいいんじゃないかという気はいたしますが、如何でしょうか。 |
○ | 醍醐主査 そうすると、今のは95ページ5)ですと、何かお金の支援ということにかなり狭くとらえられてしまわないかと。もう少し広い……。その意味では前回あったような産業振興的な、産業政策的な観点ということをブロードバンド政策の中ではそういう観点を次でも入れてもいいんじゃないかというご指摘でございますか。 この点、非常に大きな議論になると思いますが、他の委員の皆さん、あるいは事務局からのお考え等もいただきたいと思いますが、如何でしょうか。 |
○ | 佐藤専門委員 前回出ていないんで、どういうことが産業政策的というのかまだちょっとわからないんですけれども、アメリカでもいろんな議論があって、いろんな利害関係者が多分議員を通じていろんな要望を出していて、いろんな議論が起こっているのは確かだと思います。日本の話で見ると、今のところ、ブロードバンド化は要するに1章等の流れで言うとADSLとか、あるいは無線LANを含めて、我々が進めてきた競争政策の中でかなりの成果が上がりつつあるというのが1章に入っていると思いますね。 更にこれからブロードバンド化の中で競争政策を含めて、内側の視点での議論も必要じゃないかと。海外でも起こっているという話がありますけれども、その点に関しては有効競争レビューで市場を見てきますから、それの中でブロードバンドがもうボトルネックじゃないから、今度はぎりぎりとNTTに対して競争のオープン化でやっていくんじゃなくて、もしかしたら設備競争型で、ここはもうボトルネックじゃない形の競争政策をやるとか、例えばそういうことを含んだ議論であれば、有効競争レビューをきちっとやることでそういう対応もできるのかなという気もしています。あるいは東電がかなり将来的に出てきて、競争状態が変わったということで、競争政策が変わるという意味で、ある種アメリカ型の産業政策というか、規制を少し緩めてというようなことであれば、そういう有効競争レビューの中でできるかなとも思っています。 |
○ | 直江専門委員 多分、今2人の先生の質問なり疑問というのは、アメリカの場合、今、多分当面の間という、日本みたいに制度を決めてそれでガッチリやっていきますというんじゃなくて、しばらくは猶予していたらどうだと。その先である程度形が決まってきたら、その先にもう一回考えればいいという発想になっているんじゃないかと思うんですね。ですから、CATVケーブルモデムにしても、ADSLにしても、ある程度もう少し自由なものにしてしまっておこうと。だけど、それは長期的に永遠に自由なものというふうに考えているわけじゃないと思うんですね。だから日本の場合は法律論的にそういうことが可能かどうかという若干英米法と大陸法との違いがあるので、問題があるんだと思うんですけれども。 その辺の法律のというか、制度の作り方の問題でブロードバンドに関してもう少しこういう規制の範囲を自由化してあげるというような必要性もあるのじゃないかなと思ったりしているんですけれども、それは多分今ADSLが中心ですけれども、それ以外のDSL系、それから光も今考えられているものではなくて、別の形のものが出てくるんじゃないかと。別の利用の仕方が出てくるんじゃないかというふうに思っているんですけれども、そういうことを考えると、何か最初は野放し的にやってあげて、ある程度進展した段階でどこかで判定をいたしますというようなやり方が不可能なのかなと。光のアクセスのところは別として、その先につく、いろいろな技術は何だという問題についてはもう少し自由度が与えられるような方法があればなという感じがしたんですけれども。 |
○ | 醍醐主査 ここはおそらくインフラ整備も電力系統も含めて、競争的なインフラ整備自体も競争的にやっていただくということの意味は当然あるわけですね。ただ、それが社会資本整備という観点とか、最近、実際に地方自治体等もこういう問題について積極的に乗り出してきていただく、それは非常に歓迎すべきことなので、そこをあまり対置的に言うよりは、ここには好循環とか、相乗的な形で進んでいくことを期待したいというトーンで書いていただくということでどうでしょうか。 確かに酒井先生がおっしゃるとおり95ページ、これだけですとちょっと舌足らずのところが感じられますので、少し今のような議論を踏まえまして、このあたり次回にもう一度議論していただけるような内容に。できれば、それに至るまでにご意見いただいた先生方に少しすり合わせをしていただいたものを次回出していただくということで如何でしょうか。よろしいでしょうか。 |
○ | 山本専門委員 ちょっと関連して。 これは2年前の対日OECDの規制改革の「対日審査報告書」とありまして、そこで勧告がなされているんですが、その項目にちょっと関わっているんですね。すなわちそこで何が言われているかというと、特に電気通信に関してある意味で言ったらば、独立規制機関の問題とも絡むんですが、政府の中における規制という機能と、産業振興政策機能というのを分離すべきであるというのがOECDの提言というか、勧告なんですね。特に政策立案と産業振興と競争政策、規制政策というのを日本はみんな一体でやっていると。それはよろしくないんじゃないのかという勧告を受けているわけです。そうすると、この文章がまたそのまま本答申で法律に生かされるということになってくると、やはり規制政策、競争政策プラス産業政策で日本は相変わらずやっているんだというふうに受け取られる可能性が高いんだと思うんですね。 従って私もこの内容は非常によくわかるんですが、今競争政策ということを中心に言っていますので、先ほど言われているように、ブロードバンドのネットは電力系を含めて多様な形で出てくると。そういう点で言うと、競争環境の中でそういうインフラも整備していくというトーンにして、これはこれでまたこういう公的支援という考えがあったとしても、あまり全面に出さないで、主は競争政策におくということで、産業政策的なものというのはよそでやるか、ないしは落とすにしてもあくまでもブロードバンドインフラ整備、競争環境整備という形で、なんとかそういう枠の中に押さえた方が誤解を生まないんじゃないかというふうに私は思います。 |
○ | 村上専門委員 おそらく今の問題というのは、今山本先生がおっしゃったようなOECDの勧告に対して、例えば米国が違うトーンの政策をとり始めたときに、日本はどういうふうに対応するかという問題ではないかと思います。直江先生がおっしゃいましたように、今この検討は国際環境を考慮しつつ、国内の競争政策というところで詰めていっているかと思いますけれども、そのとき国際環境はこれまで我々認識しているものでギブンだということで進めてきていると。これからも注視しつつ根本的な変化があったときには根本的な見直しの可能性があるというような考え方を入れておく。いま現在、アメリカが変わったとか、ヨーロッパがどっちに行っているとかいう判断をすることは難しいわけですから、そういう含みを入れるような扱いができないだろうかということなんですけれどもね。 |
○ | 醍醐主査 そんなにおっしゃっていることの違いはないと思っているんですが、振興策という場合にそれが何か競争政策を減殺するようなものになってはいけないということで、ここでも競争中立性、技術中立性というふうなことが強調されておりまして、そこのところはこのトーンは十分留意されていると思うんですが、読み手に誤解がないようにと真意が正しく伝わるようにということではないかと思うんですが、主に海外で言われている振興策と競争政策をごっちゃにするなというのは、事業者、特に事業者保護政策と競争政策を競争を非中立的にやるとおかしなことになるというのが多分トーンではないでしょうか。 アメリカだって、別にもう日本以上にこの国家的戦略として公的な振興策をむしろ大々的にやっているわけですから、そういう国としてやるべきことは当然、それは競争政策はあるにせよ、やっていくということは何らためらうことではないだろうと思うわけですが、それが事業者保護政策という形で、例えば既存の事業者と新規事業者とか、そういうところで非競争中立的にならないようなことであってはいけないということではないかと思っているんですけれども。 そのような趣旨で、もう少しその趣旨がより伝わるように練っていただくということでよろしいでしょうか。 それから、あと先ほどの藤原先生から多岐にわたる論点ではあるのですけれども、できればこの4章、いろいろ今回法制の抜本的な見直しということをうたい文句にしておりますので、少し議論を是非とも、ここは内容に立ち入ったご意見をいただきたいのですが、法律家として藤原先生がいくつか問題を出していただいたんですが、このあたり、三邊先生とか、吉原先生、法律の分野の先生としてこれ以外でも結構ですが、如何でしょうか。 |
○ | 三邊専門委員 この藤原さんのペーパーは古いバージョンについて、それを前提に言われていまして、この新しいバージョンでは藤原さん以外にも同じような意見が他のところでもなされまして、それを取り入れられていますので、先ほどご説明されたことで、かなり解消しているんじゃないかと。ただ、立法技術上の問題というのはいろいろと難しい問題があろうかと思いますけれども、やはり新しい制度を作るんですから、何かちょっと大胆にやってもいいんじゃないかというのが私の感想です。 |
○ | 吉原専門委員 参入規制の緩和のところで、75ページのところになると思うんですけれども、参入規制を緩和するということについてはそれはもちろん望ましいことで、認可や許可から登録・届出に移行するという場合には、それは認可や許可であれば、最初の入口の段階でかなり行政庁に裁量が入るというような事前規制から入るところは自由にして、事後のところで適切に押さえるという型に移行するというところですから、登録制に移行するけれども、登録のところでいろいろ場合によっては条件を付けられるというのはやはりおかしいと思うんですよね。むしろ登録制に移行するというんだったら、できるだけ裁量はなく、一定の条件を満たしたら参入を認めるという方向に行かなければいけないはずで、ただ、もちろんこういう事業を開始するに当たって、こういう条件を備えておかなきゃいけないということはあると思うんですけれども、それは登録に当たって条件を付すという形ではおかしいのではないか。たしか、証券業の参入のところで、以前の認可から登録に変わったと。緩和されたと思うんですが、そこでは登録は拒絶要件だったんじゃないですかね。細かいところは登録するということにしておいて、一定の場合、こういう場合には登録を認めませんというふうにしておいて、それ以外に当たる場合にはむしろ登録しなきゃいけないということにして、認めなきゃいけないということにしている。だからもし、参入規制が思いっきり変わったというふうにするんだったら、そのような形でむしろ一定の条件を挙げておけばいいけれども、むしろそれに当たったら拒絶するけれども、それ以外は原則としては認めるというような書き方をするのがいいんじゃないかと思うんですけれども。 |
○ | 醍醐主査 はい、わかりました。ちょっと藤原先生のを見ましたら、この1枚目の一番下、「(イ)に関して」というところで、登録制に条件を付すことが本来の登録制という趣旨に照らして疑義がないかと。いわんや、その届出制の下で、その届出に当たって条件を付すことは何もないんじゃないかと。もしそういうふうに不具合が起これば、事後の変更命令、排除命令という形でやるのが本来の姿ではないかというようなご意見かと思うんですけれども、法律家としてそういう疑義があるというふうにご指摘を受ければ、答申とりまとめ案としても、そういう法律上疑義のないような形のものをやはりすっきりとした形で書く必要があると思われるのですけれども。このあたりは事務局、どうでしょうか。 |
○ | 谷脇事業政策課調査官 ただいまご指摘がございますけれども、この場合登録に条件を付すという書き方をさせていただいておりますけれども、用例は少ないんでございますけれども、今ご紹介があったように、登録の際に拒否要件を明確化した上で、加えてその必要最小限の条件を付すことができるというような立法構成をしているような例はございます。ただ、その場合も必要最小限とは何かというような問題は当然出てまいります。従いまして、そういった意味では75ページ目でございますけれども、6)の下の方で条件付与、あるいは措置を求める場合の基準について、予め明確化を図ることにより行政の透明性を確保するということについても検討することが適当というふうに書いております。 いずれにしましても、要は事後でいいのか、あるいは参入時点で条件付与が必要なのかという点については当然議論があろうかと思います。また法制的にこれがフィージブルでないということであれば、当然これはできないわけでございますけれども、いずれにしても私どもの問題意識としては例えば東京電力さんが電気通信市場に参入したときに、私どもは一種事業の許可に条件を付したわけでございます。これは参入時に条件を付したわけでございます。これが事後でいいのかというような問題意識はございます。私どもとしてはなるべく規制の水準を下げていくというのが大前提でございますけれども、条件付与を確保するということであるならば、登録ということも1つの選択肢になり得るというふうな観点からこう書かせていただいているという趣旨でございます。 |
○ | 醍醐主査 このあたりは先ほど三邊先生ですと、いろいろご意見を経た上でこういう形で本日出てきているということでよろしいんでしょうか。 |
○ | 三邊専門委員 藤原さんのこの登録というもののつかまえ方が、これは我々もほとんど共通なんですけれども、かなり行政法学になってしまいますけれども、準法律行為的行政行為の中の公証行為であって、従って意思が入らないんだというような古いカテゴリーを前提にして言われればそうだというふうになるというだけの話ですから、この登録という言葉にどういうような意味内容を盛り込んでいくかは今後の立法技術だろうと思っております。 |
○ | 醍醐主査 あと、今の75ページと関連しまして、私は法律家ではないのですが、少し議論になるかなと思いますのは、この6)のところで(ア)と(イ)という形で、手法としてこういうものが例えばあるという形で選択肢として提起されているわけですが、その中の(イ)の方で事前届出でまずは参入はフリーにすると。その上で公正競争確保、利用者保護の観点から必要と認める場合には事業開始に際して、所要の措置を講じるとあるんですが、事業開始というのも事前は事前だと思うんですが、事前届出と事業開始というふうにこの2つの時点を更に切り分けて、最初の届出の段階ではフリーとなっておる。事業開始の場合には必要があれば、所要の措置というんですが、このような2段階的な法律構成というのは、そういう例はあるということでよろしいんでしょうか。 |
○ | 谷脇事業政策課調査官 (イ)で書いておりますのは、この事前届出の意味合いでございますけれども、例えば事業を開始する前に何十日前には届け出てくださいと、例えばこういう形をとります。そうしますと、実際に事業を開始するまでの間に必要と認められれば、何らかの措置を講じるというような形でございます。前例は、用例はあるのかということでございますが、要は外為法の海外直接投資が行われるときにこういった事前届出のスキームをとっております。ただ、これにつきましても実はかなり用例が少のうございまして、そういった意味で法制的にはかなり厳しい面もあるのかなというふうには私ども強く認識をしております。 |
○ | 醍醐主査 おそらく、ここはいくつかの過去の先例がないわけではないという意味でいくつかの選択肢、しかもこの2つだけと別に言っているわけじゃなくて、いくつかの考え得る選択肢として今の段階でこういうものを出されているということでよろしいわけですよね。 |
○ | 佐藤専門委員 法律的なことはちょっと分からないんですが、要するに規制緩和を参入規制で例えば非常に大幅に進めたいという方向はよくわかります。ただ、事前にいろんなことを審査するより、基本的に登録だったり、届出であるとすれば、誰でもかなり簡単に入っていくと。じゃ、東京電力が入ってきたようなケースとか、もっと違うケースがこれから起こるときに大丈夫ですかという心配が多少残るのかなと思います。そういう意味では入り口を非常に楽にしたので、一定期間なら一定期間で何か皆さんが問題だと言ったときには、入るときに合わせて何か入る瞬間なのか、入った後でいいのかわかりませんけれども、追加の処置が必要だろうという意図はわかります、ここのところは。 |
○ | 醍醐主査 東京電力の例を頭に描けば、あのような措置で許可したということについては大半の方々が理解をし得るものではないかというふうに思っております。 |
○ | 佐藤専門委員 そういう意味では、ここだけ文章を読むと、もしかしたら、あ、登録と言っておいて、またいろんな要件をつけるのかと見られるところが逆に書き方が上手くなくて、東電のことを書けないかもしれないけれども、これはこういうことなんですよというのがもう少し本当はわかっていただければ、いろんな方々の理解は得られるんじゃないかとは思いますけれどもね。 |
○ | 鍋倉総合通信基盤局長 ごく例外的にという感じが両方要るのかもしれませんね。 |
○ | 佐藤専門委員 そういうケースもあるということじゃないですか。 |
○ | 山本専門委員 これはこういう例があるという、例えばということで(ア)(イ)ということで登録制とそれから事前届出と2つ項目が挙がっているわけで、具体的にはどちらかに絞っていかないといけないわけですよね。これを2つやるというのもおかしいでしょう。となってくると、私の意見としては例えば事前届出って、今公取委は、合併規制法は事前届というのをやっているんですが、あれ、内実はほとんど相談ですよね。これこれこういう条件で合併を認めるという、ある意味で言ったらば、審査も同時にその事前届出の中で行っている感じなんですね。となってくると、事前届出そのもの自体に行政裁量が相当働くのではないかというふうに見られちゃうんじゃないのかなというのがありまして、そういう点で言うと、登録制の方が優れているんじゃないかというのが私の意見です。しかもなおかつ、ミニマム要件とか、拒否要件を挙げてできるだけオープンにするというふうにやらないと、規制緩和されたというふうになかなかストレートに伝わらないんじゃないかなと思います。私の意見としては当録制の方を重視していただきたいということです。 |
○ | 谷脇事業政策課調査官 登録制の場合であっても、あるいは事前届出制の場合であっても、先ほどご指摘がございましたように基本的にはこれこれこういった場合という、その要件に合致していれば、自動的に登録もしくは届出の法的効力が発生するという意味において、裁量性は少ないというものだと思います。 また、現行の届出制の行政運営上の考え方でございますけれども、私どもは少なくとも総務省におきましては一般二種事業の届出ですとか、あるいは料金の届出といったような形で事前に相談をしてというような形はとっておりません。従いまして、届出についてはその要件に適合していれば、私どもとしてはアクセプトするという形でございますので、裁量はないというふうに思っております。 それから先ほど東京電力のケースということでご指摘がございましたけれども、今の75ページ目の5)のところで、今なぜ条件を付する必要があるのかという問題意識として、現在一種事業の参入許可に際しては、例えば他の公益事業分野においてドミナンスを有する事業者が電気通信市場に参入する際にはということで、ここで頭出しをさせていただいております。従って問題意識としてはここである程度書けているんじゃないかなというふうにも思っております。 |
○ | 直江専門委員 ちょっと質問よろしいですか。 今の問題点のところで、多分情報通信の分野ってすごく難しいところがあると思うんですね。というのは技術的にビジネスモデルが変わるという形で新規参入が行われますから、要件を予め決めておいても、それに一部は合致しているけど、一部は合致しない形というか、予めそのビジネスモデルが完全にわかっていれば問題はないわけですけれども、かなり異なるビジネスモデルが入ってくるようなケースのときにはやっぱり何らかの議論が必要になる可能性があるんじゃないかというふうに思うんですね。それはかつて、今でも騒いでいますが、相互接続というような問題が起こったときに、今から15年ぐらい前は非常に簡単に考えていたわけですけれども、技術革新が進むに従って非常に難しくなってくるというような、次々と変わっていくわけです。今回もそういう意味では新しいビジネスモデルで登録をしてくるというか、様々な形で市場参入を認めるという形になってきているわけですから、それについてはあまりこれは拒否しますよとか、これも拒否しますよというよりは、むしろ行政の方に裁量権を与えて、行政の中で行政官が裁量するんではなくて、審議会みたいなものがあるわけですから、そういうところで問題点があれば検討するというような形で自由度を与えていく必要性があるんじゃないかなと思うんですけれども。 |
○ | 谷脇事業政策課調査官 登録の際の要件ということでございますけれども、逆に言いますと、登録については例えば現行の電気通信事業法におきましても、拒否をする際の要件というものを欠格要件的に明確にしているところでございます。それは今直江先生からご指摘がございましたような個別のそのビジネスモデル、事業形態について細かく審査をするといったようなことは現行法上でも想定をしておりません。すなわち申請者が刑事罰を受けて、その後、量刑が終わるまでの間ですとか、あるいは事業を的確に遂行するに足りる経営的基礎、技術的能力を有しない者の場合には拒否をするということでございますので、そういった意味ではこういった要件に合致をしなければ登録を拒否してはならないということでございますので、基本的には認めるということだと思います。 その際に登録に仮に要件を付すと、条件を付すということで、条件付けをするとするならば、当然のことながら、事業法上、現在許可と認可の場合しか条件を付することができませんので、そういった法的根拠を置く必要がございます。置くとするならば、条件付けをする際の具体的なガイドライン的なもの、あるいは場合によっては奨励という形になるのかもしれませんが、明確化を図ることが必要になってくるだろうと考えております。 |
○ | 醍醐主査 あと、私から言うのも何ですが、70ページから71ページのところにかけて一種・二種の事業区分がそういった競争の現行の枠組みが実態に沿っていないというようなことを書いておりますが、その70から71にかけてのあたり、一口に二種事業者、一種事業者と言っても、実体は様々であるというふうなことがずっと書かれておりますが、このあたり実務の世界にいらっしゃる渡辺委員などは少しご意見、ご感想をぜひとも伺いたいと思うんですが、如何でしょうか。 |
○ | 渡辺専門委員 一種事業者、二種事業者と一口にいっても色々なところがあります。例えば一種事業者では、垂直統合によってインフラからサービス、コンテンツまですべてを自前でやろうとするところもありますし、逆に一種事業者でもオープンにサービスやコンテンツは二種事業者に開放しているところもあります。最近はワイヤレスLANによるホットスポットというサービスがアメリカでもアジアでも普及し始めていますが、垂直統合をしようとする一種事業者が利用者を囲い込んで、利用者が自分の所属している一種事業者のホットスポットしか使うことができないようですと、各地を移動したときホットスポットが身近にあるにもかかわらず、新たに入会しないと他の一種事業者のホットスポットを利用でないということになり非常に不便になります。消費者からみると、一種、二種事業者の区分というよりは、このように垂直統合されるかどうかの方がより心配です。 |
○ | 醍醐主査 その他如何でしょうか。 |
○ | 直江専門委員 ちょっと質問なんですけれども、藤原さんの出された問題点で公益事業特権の付与に関する新しい枠組みをつくるというところで、かなり難しい問題だろうと思うんですけれども、現在は相互接続という形である一定の公益事業特権をもって設備を作った人に対しては、それをオープンにしなさいというようなことも可能になっているわけですよね。それは特にボトルネックに近いものであれば……。 これからの問題というか、事業者に一定の基準が与えられないとしてくると、そういう公益事業特権をもって作った設備というのが一部に存在している。そういうものをオープン化してください、公益事業特権を付与されてつくったものについての一定の公的な責任がありますというようなことは書けないのかなと思ったりしているんですけれども、その辺は如何でしょうか。 |
○ | 谷脇事業政策課調査官 現在は公益事業特権を付与されているのが一種事業者でございますけれども、その公益性ということから、権利義務関係ということも勘案しながら、接続義務、あるいは役務提供義務というものが今電気通信事業法で課されているという形でございます。今回一種・二種の事業区分を廃止するということでございますので、一種に対して接続義務も役務提供義務も課すという形が崩れるということになります。その際にはやはり公益事業特権を付与される。付与する場合にはやはり認定のような制度によって公益性、公共性というものを判断した上で付与する仕組みが必要だと思います。従いまして、公益事業特権を付与された場合には接続義務、あるいは役務提供義務が自動的についてくるというような形が今のスキームから見ても連続性があるんじゃないかなと思っております。 それから今ご指摘がございました藤原先生のメモでございますけれども、特にこの中で電力事業、あるいはガス事業について指摘をしていただいております。要は自由化をした場合、つまり許可から届出もしくは特に規制緩和をされた場合に公益事業特権がなくなってくるといったようなことじゃないかというようなご指摘かというふうに理解しておりますけれども、可能な限り調べてみた限りでは、例えばガスにつきまして卸供給事業は事後届出でございますけれども、公益事業特権付与が認められているだとか、必ずしも法制的には一対一対応をしているものでもないのではないかというふうに考えております。 |
○ | 醍醐主査 あとの78ページのところの退出規制のところ、ちょっと私の確認なんですが、ここでは2)で一種事業の休廃止とあるんですが、この場合の休廃止というのは一種事業としてのですから、事業全体の休廃止というふうな読みとり方になるのかと思うのですが、また他方で退出規制というのはこの業務区域の変更、全体の業務エリアの中である部分につきまして、具体的には例えば不採算地域のところは業務区域から撤退するというようなものもこの休廃止、つまり退出規制の対象となり得ると思うのですが、仮にそうだとしますと、その退出規制につきましても許可制というんですか、認可制から届出制への変更も考えられるという趣旨だと思うのですが、その理由として他事業者による代替的なサービスの利用可能な状況が整いつつあるとあるんですが、仮にこの業務区域の変更、一部からの撤退というには不採算地域からの撤退だと思われるんですね。そういうようなエリアについてはおそらくは他事業者による代替性ということはあまり期待できない場合がほとんどじゃないかと。 そういう実情のもとで一律に退出規制というものを緩和届出制にするということについてユニバーサルサービスとの関係で問題はないだろうか、懸念はないだろうかと。例えば電力であるような、そういう場合ではどのようにそれをユニバーサルサービスだとしたら担保するのか、最終保障約款とか、ラストリゾートのようなそういう措置を別途加味した形での緩和とかいう検討は必要ないのだろうかという点は如何でしょうか。 |
○ | 谷脇事業政策課調査官 特に不採算地域における基礎的な、あるいは代替性がないサービスをどういうふうに確保していくかという観点でございますけれども、先ほど説明を省略した部分がございました。すなわち89ページ目をお開きいただきますと、ユニバーサルサービスを提供する事業者は適格電気通信事業者というふうに構成上書いております。その中で5)でございますけれども、適格事業者については市場支配力を有するか否かにかかわらず、ユニバーサルサービスについては契約約款の作成・公表を義務付けるとともに、当該契約約款に基づく役務提供義務を課すというふうに書いております。 それから、退出規制という観点で申しますと、やはりそのユニバーサルサービスを提供している事業者というものが市場から直ちにいなくなってしまうという点が問題でございますので、今申し上げました5)の上でございますが、一の適格事業者のみが存在している地域については米国で採用されているように当該事業者の退出を認めないこととし、引き続きユニバーサルサービスの提供を確保するといった退出規制を設けることについても検討する必要があるというふうに論点として提示をさせていただいております。 |
○ | 醍醐主査 そうですね。ですから、こちらにこういうのがあるわけです。そうすると、78にこう書いても89ページに行けばこうあるからいいんですけれども、多少どこかでクロスレファレンスみたいなことを注か、ちょっと小さくでも少ししておいた方がなお良いかなと思うんですけれども。 |
○ | 谷脇事業政策課調査官 79ページ目をご覧いただきますと、退出規制の一番最後のところでユニバーサルサービスについて、特に記述をしております。すなわち適格事業者の退出規制の在り方については今後検討していく必要があるということで、ユニバの確保の在り方については第4節参照でクロスレファレンスをつけさせていただいております。 |
○ | 醍醐主査 そうです。ありましたね。はい、わかりました。 |
○ | 山本専門委員 ちょっと先ほどの登録制と事前届出の問題に戻るんですが、これはやっぱりちょっと長短を、メリット・デメリットをもう少し書いてもらわないと、ちょっと私も法律、全然素人なもので、この2つのどこが違って、どういう長所と短所があるのかちょっとわからないんで、そこのところを少しお願いしておきたく思います。 それから、私が聞きたいのは80ページの4)というところですが、事業の譲渡・譲受、それから合併・分割、相続等については参入退出規制の見直しにあわせて現行の認可制を見直し、規制水準を引き下げる方向で検討するということは、できるだけ合併・分割を含めて、こういったものは規制しないでいこうということだと思うんですが、ここのところ、電気通信事業者の合併等の権限は総務省のここにあるというふうに考えているんですか。それとも公正取引委員会と重なるのかどうか。例えば大きな合併事件なんかの場合。その点はどうなんでしょう。 |
○ | 谷脇事業政策課調査官 私ども電気通信事業者の合併等につきましては電気通信事業者同士、あるいは電気通信事業者が他の非電気通信事業者に合併をするとかいろんなケースが考えられるわけでございますけれども、私どもは電気通信事業法として役務の安定的な供給の確保という観点から、これを総務大臣の認可という形にしております。当然、公正取引委員会は独禁法の観点から合併について個別事案について審査をするという形になろうかと思います。そういった意味で観点の違いというようなところがございます。 |
○ | 醍醐主査 それは重畳的な審査になるということでございますよね。 |
○ | 山本専門委員 場合によっては。 |
○ | 醍醐主査 そういたしましたら、ちょっとこの4章のところも本日は大体このあたりでおさめさせていただきたいんですが、ただ、先ほど山本委員、あるいは藤原委員以降ありましたように、75ページの6)の登録制、届出、事前届出制というのにつきまして、慎重に法制化に当たっては検討するということなのですが、慎重に検討するということがどういうメリット・デメリットを勘案しながらなのかということをもう少し書き込んだ方がわかりやすいだろうというのはご指摘のとおりだと思いまして、いろいろなご意見が出ましたので、ここをもう少し今のようなメリット・デメリットと、どういうことを検討しなければいけないのかということをもう少し詳しく書いてはどうかと思うんですが、如何でしょうか。そのようにそこをもう少し書き加えていただけるでしょうか。 |
○ | 谷脇事業政策課調査官 メリット・デメリットということになりますと、実は非常に難しい宿題を頂戴することになるのかな、というふうに思っております。と言いますのが、登録のメリット・デメリット、事前届出のメリット・デメリットになりますと、それは規制は緩い方がいいわねという話になりますので、もう少しこの趣旨を明確にするといったような観点から修正を考えさせていただければというふうに思いますけれども。 |
○ | 醍醐主査 でも別に規制を維持するとか、別の形に置きかえても、それが事後に問題が起こってから何だかんだ言われるよりかは、それはそれで規律としていいということでありましたら、それはある種のメリットですので、そこはあまり予断をもたずにやはり書いた方がいいんじゃないでしょうか。 |
○ | 三邊専門委員 これはまさに登録制にするんだったら、その登録要件をどうするかという具体的な話がないと、あと届出を受け、ちょっと単純なメリット・デメリットということにはならないし、登録制と届出制、これはどういう具体的なものから法律学上のその性質分けとかということでやれば、またそれは話は別かもしれませんけれども、ちょっと何か具体の要件が定まらないときにメリット・デメリットというのは難しそうな気がしますね。大変なこと……。 |
○ | 醍醐主査 それはわかるんですけれども、それはこういうある意味条件をつけるといいますときに、(ア)か(イ)かは作って、その上で個々の案件ごとにどんな条件をつけるかという中身は個別ケースなんですよ。ただ、今は(ア)とか(イ)という制度そのもののどれを選択するか、採用するかという議論ですので、その制度選択に当たっての判断材料なんですね。できた制度について個々にどんな条件をつけるかというのは、まさにおっしゃるとおりだと思うんですが、やはり制度選択をするときには、出てこなきゃわからないというんでは、ちょっと足りないかなと思うんですけどね。 |
○ | 三邊専門委員 ここで登録と届出、どっちかを採用するというような議論にするんだったら、先生のおっしゃることがわかるんですけれども、今むしろここでの力点は許可制と登録制、どっちが規制緩和になっているのかというような流れで書かれているんで、もしそうだとしたら今までの許可制ではこういうようなことがあって、それがなくなるんですよというような書き方はできるんじゃないかと思いますが。 |
○ | 醍醐主査 ただ、一種・二種の事業区分の廃止ということは早くから謳ってるわけですね。これでも非常に画期的だと思うんですが、ただそこで終わりじゃなくて、じゃその先何になるのかということがまさに新しい枠組みなんですよね。やはり先がない。単に廃止したらいいという議論ではないということなので、やはりそこは非常に大事だと思うんですね。それで(ア)か(イ)かという、何か選択肢が2つに絞り込まれているということでないんであれば、今考える方法としてという形でもう少し慎重にいった方がいいと思うんですが、いずれにしてもこれまでに替わる方法とし、制度として検討として俎上に乗せるのであれば、こういう良い面があるからなんだということはやはり必要じゃないんでしょうかね。 |
○ | 三邊専門委員 いや、そうしたら、登録と届出のメリット・デメリットじゃなくて、やっぱり規制緩和の方向に対する……。ただ規制緩和して許可制をなくすんだ。ただ野放しにはしないんだぞということですよね、これ。 |
○ | 醍醐主査 だから、この登録制と事前届出制、あるいは他にも第3があるかもしれません。それぞれそんなに別に大差のないものでありましたら、そんなに拘わらなくていいと思うんですが、そういうものだという理解なんでしょうかね。 |
○ | 山本専門委員 分けてあるから。分けてあるとどっちか選択しなきゃいけないような感じになってくる。 |
○ | 醍醐主査 (ア)か(イ)というのはそんなに別に大差のないことなんですか。 |
○ | 三邊専門委員 作り方なんです、これ。 |
○ | 醍醐主査 こういうふうに書くと、何かメリ・デメを言って、さあどちらにしようかなんていう議論になるような流れみたいに思えるんですが。それがちょっとまた違うんだというんであれば、それもわかるように言っていた方がいいんじゃないでしょうか。ちょっと事務局如何でしょうか。 |
○ | 谷脇事業政策課調査官 こういうふうに6)のところで(ア)(イ)というふうに明確にパラを分けて書いておりますので、特にお薦めは(ア)と(イ)ですみたいな感じに見えているのかもしれないというふうに思いますので、その見え方の努力というものはちょっと考えてみたいと思いますし、それからもう少し趣旨の明確化ということは考えさせていただきたいと思いますが、ただ立法技術論的な問題が相当程度ございますし、現時点で確たることがなかなかまことに申しわけないですが、言えない部分もございます。従って、そうは言っても、じゃ参入許可をなくすんだと言ったときに、何を考えているんだという部分を書かないことにはアカウンタビリティーの問題も出てくるかと思いますので、そういった意味で表現の工夫ということは若干汗をかかせていただければというふうに思います。 |
○ | 醍醐主査 それじゃ、少しそのあたり次回、まずはちょっと案を出していただいて、それで議論をさせていただくということでよろしいでしょうか。 それでは、第4章にきょうはちょっと時間をかなりかけていただきましたが、それはこのあたりにいたしまして、次に第2章のところにつきまして、公衆網再販とOSSのところと、それから利用者料金と接続料の関係と、細かに言いますと3つの柱がございますが、ここにつきまして一括的に第2章としてご意見をいただきたいと。ここもあまり中身に立ち入った議論が今まで不足しておりましたので、本日は是非ともご議論いただきたいと思います。このそれぞれの研究会、協議会にご参加いただいている酒井先生、佐藤先生から何かちょっときっかけのご意見ありましたら、いただきたいと思いますが。 |
○ | 酒井主査代理 もちろん利用者料金等のチェックなら佐藤先生がよろしいでしょうから、私の方はOSSの開放で発言いたしますと、具体的にはOSSの開放につきまして、特にここで扱っておりますのはDSL、IP系の話と、それから将来的なファイバの話がございますが、DSLの方につきましては使用している回線がメタリック系ということで、ある程度NTTの方も既存の電話のOSSの方に引っかかるところが、相当かんでおりまして、ある程度他の業者がNTTとほぼ同等な条件でOSSを使うというか、OSSの情報を選べるという形に大分持ってきておられたんじゃないのかというふうにも思っております。 その料金等について、これからの問題なんですけれども、最初は実は先般加藤さんの方からご指摘がありました入金情報の個人の保護とか、そういった話で相当金がかかるという話もあったんですけれども、それについてもそれほどでもないんだろうということで、この辺については少しある程度先が見えてきたんじゃないのかと思っております。 光につきましてはこれからの話ですので、構築するときには少なくとも、もうちょっとOSS自体が他事業者とNTTと相当平等に使えるような形で配慮してくれということをここに書くという形でおさめております。 |
○ | 佐藤専門委員 どこまでお話しすればい如何ちょっとわからないんですけれども、一応どれも会議に出ていて、議論に参加しているんですけど、公衆網の再販の方がとりあえずネットワークを使ったサービス競争を進めていくというので、いろんな形がやっぱりタイプありますので、異名義割引型から、完全な再販型から、いくつかに分けて、事業者によってそれぞれ関心が違いますので、それぞれの形でいろいろコストややり方を考えて、最後、もう一つはどうそれを負担するかの問題で整理はしていると思います。これは基本的には事業者間で協議する形になっていますから、私はその先どうするのか知りませんけれども、事業者間で協議したものを我々がある程度中立な立場で見守りながら整理して、次まとめた後はそれぞれ協議したり、また何か問題があればこちらへ持ってくるということかなと思うんですけれども。 接続料と利用者料金の問題というのはちょっと内容的には整理が難しいところが理論的にはあります。ただ基本的にはNTTがやっぱりボトルネックを持っていて、ユーザーサービスもやっていますと。ライバルはボトルネックを使わせてもらってサービスを提供しますと。そこで卸、小売の料金の関係でNTT以上に効率的かもしれない事業者が市場から不当に排除されることがないようにというルールが必要だろうということで、ルールの中身についていろいろ整理しております。 ただ、これも接続料金がきちっとできている部分、できていない部分、増分費用が入っている部分も入っていない部分、そこで競争状態が随分違うだろうと。要するにそういう差別的な行為をできる状況が違うだろうと。あるいはユーザー料金のところで、かなり競争が進んでいて、プライスリーダーシップが発揮できないような市場と、そうじゃない市場、あるいはイギリスなどで言うと、プライスキャップをかけるべき市場とかけない市場とか、そういういくつかの市場条件を見ながら、どういうところにこのテストが一番使われるべきかとか、どういう形で実際には使う必要があるかというのはこれからのパブコメを得て、また議論が進むものだと思います。とりあえず用意しておいて、何か問題があったら、やっぱりこういうものでもう一つ補完的に見ていきましょうというテストを用意することだと思います。 |
○ | 醍醐主査 少し、今切り出しのご意見をいただいたんですが、じゃ皆さんのご意見は如何でしょうか。 |
○ | 直江専門委員 ちょっと2つほどあるんですが、最初の問題は佐藤先生の提起している卸売というか、接続料金と小売料金なんですけれども、これに関しては何らかのルールが必要なんじゃないか。アメリカで多分19世紀にいろいろとこういう議論が、鉄道事業における抱き合わせ販売というのがたくさん行われて、ルールが作られたものがありました。例えば1つはスエズ運河ができたときに、サンフランシスコへの大陸横断の料金が途中のデンバーだとか、そこへ行く料金を安くするということをやって、それはおかしいんじゃないかということで、公益事業をやっている人たちの間では、もうそれは長短料金と言って、必ず長いものよりも短いものが安くなるよというような原則というのがあるわけですね。ですから卸売料金よりも小売料金が安いというようなことはディスカウントショップではあり得るんですけれども、そういうことをこういう分野でも認めるかどうかという、料金の一般ルールみたいなものが1つはあるんじゃないかというのがあります。そういうことをやっぱり抱き合わせ販売とか、いろんな形で出てきたときにとか、それからある特定の業者を排除、市場から蹴り出すようなときに手法として使われますので、そのことを何かやっぱり原則が1つは必要なんじゃないかというのが1つ。 もう一つは全然別の話なんですけれども、1章、2章の中でつながっている問題で先ほど渡辺委員の方からあったホットスポットというのが多分ロケーションプロバイダーという形でこれから出てくると思うんですが、それが利用者の側から見たときにはどこでも使えることが望ましいけれども、ある一定の範囲、囲い込みで行われている。ああいうロケーションプロバイダー的なというか、ホットスポットを持つ人って、今は2.4も、5でも自由につけられるという形になっているわけですけれども、将来かなり公共財的になっていく可能性は高いわけです。 ローミングという形でホットスポット間ローミングというのは技術的には可能なので、そういうことも起こってくるとは思うんですけれども、そのときにあるところだけはローミングを拒絶するとか、そういうことが行われる可能性があるわけですね。多分に今ヤフーBBとNTTコムとの間ではそういう問題が起こるし、またドコモとの間でも起こってくるはずです。そういうので、陣取り競争をやる可能性はあるわけですけれども、全くそれは自由でいいと、それは関係ないという形、ADSLのような有線でつながっていない問題についてもADSLと同じ発想でいいのかどうかということについてちょっと考えていただければと、この2つです。 |
○ | 醍醐主査 後の方は、これは4章ではなくて2章ですか。 |
○ | 直江専門委員 2章ね。4章の中でやるよりは、2章の中でこういう問題もあるよと問題提起さえしておけば、今すぐに問題はなかったと思います。 |
○ | 佐藤専門委員 まず問題の本質というか、問題とかちょっとよくわからないところがあったんですけれども。それは例えば再販とか、利用者料金の関係と、それからOSSがありますが、そのどこに収容されていく論点ですか。それは全く違った論点ですか。 |
○ | 醍醐主査 別なんですかね。 |
○ | 佐藤専門委員 ええ、ですよね。だからどこか入りにくいんですよね。今のこの章立てですとね。ホットスポットの中で4章の方で新しいビジネスモデルという形で出ているので、それに際しての……。 |
○ | 直江専門委員 僕は最初1章の中でもう少しそういう問題点が将来起こり得るというような問題提起をしておく必要性があったのかなと思ったんです。 |
○ | 醍醐主査 いや、過去形じゃなくて、まだこれからですから。 |
○ | 酒井主査代理 多分、これで結論はもちろん出せるはずじゃないんですけれども、これだけじゃなくて、そういう話がいろいろ出てくるということは確かに1章か何かに……。 |
○ | 渡辺専門委員 再販的なこともあり得るんですかね。ただ、そこで通信業の収入がありますよね。その分は一切私たちは受けられないみたいな。そういうことになると、ちょっと再販的な問題にもなるんじゃないかなと思うんですが。卸売業みたいなことをやるわけですから、自分は身勝手なことかもしれませんけれども、そこの収入は全くISPには入ってこないということになると、やっぱり再販できないという状態になって使わせてもらいたいと。サービスはお客様は受けられる。だけど、私たちはそこの部分の収入は全くないと。ここの部分は課金のところだけやってくれるんでしょうけれども。そこは自分でつくれという話になっちゃうんですよね。それを全国的に全部やんなくちゃならないとすると、これもうほとんどやっていられない話なんです。そこのお客さんに対しては場所を変わるごとにもしかしたら違う。多分、我々考えるのは自分たちの中でそういうクリアランスセンターみたいなものをつくって、業者ごとによって違うのをうまく分配するかとか何か考えなくちゃなりませんね。その辺が将来大変かなと。だけど本当はすごい立派なインフラで、これも本当に重要なものだと思うんですけれども。 |
○ | 醍醐主査 そういたしましたら、今のは1章の1の最近の市場動向のところで、そういう問題が起こっている、あるいは今後起こり得るというようなことをこの3)の中あたりにまず書き込むということはよろしいですね。 |
○ | 直江専門委員 問題提起をしておけば、将来何か起こったときにこういうことも考えてあったんだよと言えるんじゃないかなと思うんですよね。 |
○ | 醍醐主査 それは1章で書くということで、もしくは4章で何か更にそれを退出措置として書く必要が……。どうしますか。 |
○ | 直江専門委員 いや、ないですね。要するに4章で言わなかったのは、そういう問題としてクリアになっていないので、1章で問題提起さえしておけばいいのかなと思ったんで、1章か2章の何かどこかでやっていただければという。 |
○ | 谷脇事業政策課調査官 無線LANにつきましては、1章で現状として出ておりますけれども、併せまして第2章の1の「新規参入の促進」、例えば14ページの下のところで出てくるところでございます。今ご議論いただいています無線LANはまさに基地局を設置して事業を行う場合には、これは第一種の電気通信事業と、現行の枠組みではそういう形になります。その場合の電波の無線局免許は不要という形になっているわけでございます。ローミングサービスの場合も基地局を持っていれば一種ですし、あるいはローミングだけをやるということであれば二種というような位置付けもあり得るかと思います。もちろん認証課金だけということになりますと、また事業に該当するのかどうかといったような問題がございます。 いずれにしても一種事業者と二種事業者というカテゴリーの中で考えるならば、そういった問題が出た場合には現行の紛争処理のメカニズムを活用していただくということが可能だと思いますので、そういったことをどういう形で盛り込めるのかと、ちょっと私ども具体的なイメージがわきにくい部分はございますけれども。 |
○ | 醍醐主査 そうしたら、ちょっと書き込む場所を含めて、少し事務局に検討いただくということでよろしいですか。 |
○ | 直江専門委員 1章の中で問題提起をしてもらえればいいのかなという感じがしたんですけれども。何らかのことをやらないと、多分ISPさん、将来非常に大問題になっちゃうだろうと。 |
○ | 渡辺専門委員 問題になりますね。今、現実にあるものでも結構なかなか大変なんで、開放と言っても実際の開放にならないような感じのことも起こり得る。その辺はまた次に。 |
○ | 醍醐主査 それじゃ、今出ているのをちょっと1つずつ言っておきますと、利用者料金と接続料金の関係が少し出ましたが、今回のこのドラフトでは32ページのところである一定程度の方向性を打ち出しているわけでありまして、32ページの2)のところで先ほど直江先生は逆転していることだけはきちんとしないとおかしいと。それは法律的なものではないんですが、現在総務省としては通知という形で逆転することはいけないと。逆転するようだったら、直ちに接続料金を下げてくださいということまでは言っていて、現状そこまでは守られてきていると思われるんですね。 このあれは、多分その先の差をどのように合理的に見積もれるのかという小売コストの話をずっとやってこられたわけですが、この32ページの2)に書いてあるのは、小売コストはこれぐらいの割合ではあるべきだという水準を一般的なルール化をすることは適当ではないんじゃないかと。営業費と言っても、それはそのサービスにより、あるいは事業者によって様々あり得るということで、あまり一般ルールをつくることはむしろ適当ではないんじゃないかと。 それで、ここでは例えばNTT東西において、新しいサービス、あるいはその料金の変更が出てきたときに、その小売コストについて接続料が合理的なものかどうかということについて、個別にNTTからまずは説明をしてもらって、それを審査するという形で行くのが適当ではないかという書き方に……。ある意味では当たり前と言えば当たり前になっているんですけれども、そういう形で進めていくことが適当ではないかという、今の一応の結論を出していただいているんですよね。そういうことで、この委員会としてとりまとめ、よろしいでしょうかという、ある程度煮詰めていかないといけないものですから、如何でしょうか。 スタックテストとか、いろいろ言ってはきたんですけれども、それは必ずしもすべてがうまくワークするわけでもない、あるいは適当でもないんじゃないかという議論だと思うんですが、如何でしょうか。 |
○ | 佐藤専門委員 何かコメントをちょっとつけておきますと、さっき言ったようなプライススクイーズができる状況というのは、極めて経済学者としてはインタレスティングなケースで、でも理論的に整理が難しくて、いろんなケースがあります。その辺、接続料が高くてとか、接続料の方から例えば小売料金に内部補填ができる場合とか、あるいは接続料が下がっているんだけど、他の独占分野との内部補助ができて、料金をある水準に下げられるとか、いろんなケースがあります。 NTTからしても、じゃ電力が入ってきたときに電力の料金って、これは本当にこんな料金でやれるのというような議論が出て、そのとき例えば電力が他の本業のどこかからもってきてこんな料金を作っていて、これは競争排除的じゃないかとか、NTTの中にも他の独占サービスがあって、そういう料金のつけ方をする場合があります。ただ、ここで言っているのは小売と卸の関係だけ、僕らはテストを作って、もしサービス同士とか、別産業からの内部補填は有効競争レビューの参入のときの要件だったり、あるいは別の条件でもう一回見ていくことになります。ここでは接続料と小売料のところで起こってくる問題に特化して、このテストを使っていこうと。 それから、今でもNTTはそこを逆転しないようにということをある程度意識して料金を作ってきています。それをもう少し明確化して。 それから全部のサービスをやることはないですから、多分そういう問題が起こってきそうな特定のマーケットというのはこれから新しい競争の中であると思いますので、なるべくたくさん全面的にやるんじゃなくて、やらないで、非常に大事なところだけいくつかケーススタディーをやって、それを置くことによってそういう不当なものがあれば、事後的でもかけられるし、あることによってそういう料金があまり出てこないようなことをやっています。 |
○ | 直江専門委員 僕の想定はかなり昔ですけれども、タリフ12というのがありました。このタリフ12というのは個別のある特定の企業に対して通信事業者が専用線及びそこのためのネットワークをつくってあげますと。そうすると通常の公衆電話通信サービスも割引になるという形になっていたんですね。そういうようないろんなものを組み合わせるときに、多分ここでもそういう想定をされていると思いますけれども、特定の大口の利用者にこういうパッケージで提供しますといったときに、そのパッケージに自分のところのサービスが足りないときは、他から卸で買って、それを組み合わせて提供するといったときに、それについては安くしてもいいと。他でちゃんと確保できるからいいんだというようなやり方もあり得るし、それからアメリカではそういうことが起こったときに、ある特定の利用者に負担がかからないようにということで、タリフ12は決めると公表義務というか、後で届けてくるわけですね。それは他のところが要求した場合に同じ条件をその事業者は提供しなければいけないというルールを作ったためになくなっているわけですね。 |
○ | 佐藤専門委員 あまり、僕ちょっと覚えていないんですが、タリフ12とか、タリフ15、16とかあって、それは昔 これは論理的にというか、この報告書を読むと、4章の方でデタリフの話があって、独占力かドミナント企業かどうか知らないですけれども、そういうものでなければ基本的に自由で、今やっていきそうなのは自治体に特別な割引を出すとか、みんなマクドナルド全部入ってくれたらいくらだよというのは、多分この4章の中での議論に入り込んでくるのかなとも思っていますけれども。 |
○ | 山本専門委員 ちょっといいですか。いくつか、ちょっとわからないところがあるんですよ。1つはこれNTT東西が3に書いてあるんですが、これは別段NTTじゃなくたって問題になるわけですよね。要するに、小売価格が卸売価格よりも安いというのが問題だっていうのが一番原点の問題ですね、接続料金と小売料金との関係で言うと。となってくると、やはり基本的にインピテーションルールってありましたよね。ああいうような形で、まず考え方の根本として要するに小売料金の方が卸よりも安いというのはおかしいじゃないかと。これは許さないと。そういう原則を作った上での話なのか、そういう原則もいらないのかというのがまず第1点ね。 それから、もう一つ例えば日本の場合の接続料金の話で言うと、固定はそれなりにアクセス料金を規制しているからわかるけれども、接続料金の水準がわからないサービスだっていっぱいありますよね。そういうところはどうするつもりなんですか。 |
○ | 醍醐主査 まず前者について、先ほど申し上げましたとおり、小売の方が安いということがあってはいけないということ。法律的な担保ではないんですが、総務省の通知として、これはもう出ていて、それは個々の申請ごとに逆転関係していないかどうかって、必ずデータとして示していただくと。これは変えるのは利用者料金の方はもう届出制ですから、どうこう言えませんので、接続料金の方をそれに逆転しないうちに下げてもらうと。あるいは下がっている……。 |
○ | 山本専門委員 だからルール化していいわけですよね。実際行政でやっているんですから。 |
○ | 醍醐主査 もうやっています。 |
○ | 佐藤専門委員 山本先生の私の理解は、卸と小売の関係はもしかしてボトルネックでなくて、自由競争の中では何の基礎もできないと思いますよ。ただ、そこのボトルネックがあって、そこの接続料金なり、卸料金があって、そことの関係でそこを使わざるを得ない人たちにとっての要するに公正競争を見ていますから、そういうボトルネックじゃないところがそういう値上げをしたら、他のものに移ることが可能で、ボトルネックじゃありませんので。このインピテーションルールがやっぱり効いてくるのは、ボトルネックの価格だけであってのところだと思います。そういう意味では実態的には今はNTTで、電力はどうかとか、ドコモはどうか。そこは多分ネットワークとしてはボトルネックがないんで、基本的にそういうルールから外れるのかなと思います。 それからNTTにしてもどんどんブロードバンドの競争が起これば、もしかしたら、そこのボトルネックから外れた段階にこのテストの対象から外れるというんなら、論理的にそういう状況になってくるのかもしれないと思っているんです。 |
○ | 醍醐主査 山本先生の後段の方、どうですか。接続料金のわからないものがあるんじゃないでしょうかという。 |
○ | 吉田料金サービス課長 わからないものという意味はちょっとわからないんですけれども。 |
○ | 山本専門委員 例えば、こういう事態が想定されるんですね。携帯の電話事業者でもって定額制にすると。それはドコモ以外で例えばJ−フォンとか、auで……。auなんかその可能性があると思っています。定額にしたら即安くなったとします。そこで接続料金はどうなっているのという話になったときに、例えばauの人だって、ドコモを使っている人と話すし、そこは接続料金相互にその水準があるわけでしょう。私、よく知りませんが。大体2割から3割が接続料金じゃないかと思うんですね。例えば固定とモバイル。モバイルとランドを結んでいくときに、そこのところの料金が130円とか、70円になっているわけでしょう。そこで二、三割が接続料金だと言われていますよね。そういう水準がわからないとインピテーションルールも……。例えばドコモはボトルネックかもしれませんよ、携帯でシェアを6割持っているのですから。 |
○ | 佐藤専門委員 僕、一応接続、長く勉強していなんで……。 |
○ | 山本専門委員 ただ、事実だけちょっと先に確認していかないと問題ですから。 |
○ | 佐藤専門委員 要するに一種事業者はみんな接続の義務がありますね。ただ、ここはドミナント企業はないから約款化はしていません。ただ接続料金相対でやって、料金が決まれば、それは総務省に届けているというか、料金として接続料金を届けているはずですから。 |
○ | 吉田料金サービス課長 多分、携帯については現実問題としますと、携帯の接続料というのが生じるケースというのは非常に少のうございまして、要は携帯・携帯間とあと国際電話をかけたときに、国際電話会社が携帯に払うと。日本ですと、その2つしか実はございませんで、前者について言いますと、お互い様ということですので、差し引きするとほとんど問題にならないということで、後者は若干ありますが、いずれにしてもその携帯につきましては接続料というケースが問題になると。ある国際電話だけやっている会社にとると大きい問題なのかもしれませんが、非常に少のうなっておりますので、今のところ先生がおっしゃるような問題というのが生じている形にはなっているとは認識していないんですけれども。 |
○ | 佐藤専門委員 いや、山本先生の言われたところにシンパシーが私あるとすると、ドコモがある種、そこに接続の力を持ったとする場合に、それはボトルネックじゃなくて、着信のネットワークの外部性から来るドミナントキャリアとしての力だと思うんです。ドミナントキャリアの議論をきちっとそこはして、ドミナントキャリアであれば、どういう接続の義務なり、料金の公共区分なり必要かという議論で、今はどちらかというと、我々はボトルネック設備との関係で小売を見る議論をしていますので、その点は別のところでもしかしたら議論が必要だと思いますけれどもね。 |
○ | 醍醐主査 それじゃ、ちょっと時間的な……。私としては本日と次回ですので、書いてあることがこれでいいとか、ここをこうしろとか、そういうふうにできれば言っていただきたいんですよね。それで、例えば今の利用者料金との関係につきましては特段この原案で、本日のとりまとめ案で大きな修正、ご意見はないようだということで、先ほど直江先生がおっしゃった点は加えると。 あと、公衆網再販が少し人によっては暗い議論になって入るんじゃないかという方があるんですが、端的に言うと、この横長の28ページにいくつかの実現形態、似て非なるものもあると言えなくはないんですが、左側4つがいわゆる再販で、右側がワンビリングのようなものだということなんですけれども、いろいろこれこそコストも含めてニーズがどれぐらいあるかと、あるいは現在の市場動向に照らして、どれぐらいこれが意義があるかというようなことをるる議論を書いていただいて、この委員会としては最終的……。 これは卸制度ってあるわけですから、どの事業者も協議は申し込めるわけですから、やるな、なんていうことは絶対言えないわけなんです。ここにも書いてある協議が整わなかったら、意見申し入れができるということになっていて、それは総務大臣が受けて判断をされなければいけないと。これはもう制度としてあるわけですから、これをなくせとかいうことはあり得ないわけですね。そこは確認的に書いていただいているんですが、そのような書き方に止めていくということなのか、あるいはいろいろ議論した結果、先ほど言ったようないろんな要素を絡めて、このまま委員会のとりまとめ案としては今後このような方向で実現形態を考えていくことが実際的ではないかと。あるいは意義があるんじゃないかというようなところまで、もう少し書くのかどうかだと思うんですよね。 事務局としてはあまり制度としてあるものについて、これはあまりもう意味がない、しぼんでいくとか、そういう書き方はなかなかちょっとしづらいところがあって、私ども委員会として、そのあたりの皆さんのご意見をいただいて、その参考となるデータはここで書いていただいたと思うんですね。これでやったら、これぐらいコストがかかりますとか、今これをやることにどれほどの意味があるのかとか、書かれておりますので、最後のまとめ、今後の方向というようなところで、この原案のような書き方で最後いくのか、もう少し何か書き加えるのか、そのあたりご意見是非今日いただきたいんですけれども。 |
○ | 佐藤専門委員 とりあえず、気持ちのどこかにはもっとこういうものが出てきてほしいし、もっとやる気の人がたくさんいてほしいし、ポジティブに書きたいと。だけど私は事業者じゃないし、ポジティブに書いて、だれも手を挙げないようなことも困るわけですし、かといって、今協議会に来ている方々以外の事業者もいろいろあって、来ている方々も再販もいろんな形に関心があって、私は市内のところの普通のサービスに関心がありますよという方もおられれば、いや、私は月額料金のアクセスのところの再販に関心がありますよという方もおられるし、随分それぞれの関心が事業者によって違っております。 それから例えばここは多分外資系も来ていなかったのかな、そういう意味では出てきていない事業者もありますから、淡々とここは議論をまとめて、パブコメをやっぱりきちっと取って、それでよろしいんじゃないかと。あまり方向性までここはネガティブであるとも、ポジティブであるとも書かないで、議論を整理してパブコメに出したらどうかなと思いますけれども。 |
○ | 醍醐主査 まずね。今回、今まとめようとしているのはまだ中間ですから、パブコメを取りますから。 |
○ | 佐藤専門委員 あるいは外に出るときに、淡々と事実をまとめて出したらよろしいかと思います。 |
○ | 醍醐主査 そうですね。今の段階での書き方と、最終の答申でどこまでいくかはちょっと分けた方がいいという考えですかね。それは確かにそういうふうなやり方をとっているケースはこれまでありましたので、それは1つの知恵だと思います。このような状態でパブコメに出すという趣旨で、パブコメに出すための案でよろしいかということですよね。如何でしょうか。何かご意見はございますか。如何ですか。 |
○ | 山本専門委員 ちょっと、これは佐藤さんにお聞きしたいんですが、これやっぱり事業者が出てきて、再販需要というのは相当あるんですか。 |
○ | 佐藤専門委員 事業者じゃないんで、いろいろしゃべりにくいですね。例えばメインの事業者と総務省の外で話をすると、というようなことを言うのかもしれない。ちょっと遅かったかなと。GCにかなり投資を打っていますから、GCに投資を打つ前にこういうものが入っていれば、もしかしたら投資戦略を変えたかもしれんというような企業もあります。 そういう意味ではその事業者側からすると、その市内網がもう、GCを打って市内競争が始まった段階ではメリットはその前の段階よりは落ちています。ただ、例えば長距離系でIPネットワークなんかで入ってきた会社は市内までネットワークを作る気はありませんから、そうすると市内料金のところの再販を一緒にして、長距離と組み合わせてサービスしたいと思うところも出てきます。あるいはトータルのパッケージで市内まで入っているけれども、アクセスのところもやっぱり自分のブランド名にして、売りたいと思っているところもないわけじゃないです。 それから、ここに来ていない事業者がもしかしたら今までの、やっぱり僕らからするとNCCとか、この頃オールド・コモン・キャリアと呼ばれているのかもしれないですけれども、そういう人たちの会議以外の本当の外に新しいこういうビジネスを考えている人がいないとも限らないから、来ている人だけの意見で判断するのも私はちょっと危険だと思って、淡々と外に出して、いろんな人がこれを見てどんなビジネスを考えるか、見た方がよろしいかなと思っていますけれども。 |
○ | 醍醐主査 これ以上、今日は言うのをやめましょうか。これでとにかく意見を聞いていただくということにいたしましょうか。ただ、気持ちとしては、答申しても誰もこんなものやらない、見向きもしないようなことは出したくないということと、それとやりたいという人が今後出たとしても、その人が非常に少ないと、べらぼうな金額になりますと。そしたらやりたい人だって、結局腰が引けちゃうという、そういう意味で言ったら、悪循環になっちゃうんですね。 |
○ | 佐藤専門委員 あと「思い」としてはやっぱりいいことはできるだけやるつもりで、僕ら汗をかきます。事業者がもしかしたら、最後それに乗ってくれなくても、やるべきこととして競争政策をやって、ただそのタイミングやいろんなことで、何故できなかったかも我々反省材料として分ければよろしくて、これもやったけど、やっぱりコストの問題でね、NTTが言ってきたこのコストではできないという判断なのか、マーケットがどういうふうに考えるのか見て、次のいろんな制度改革に生かす必要があると、私は思います。 |
○ | 醍醐主査 わかりました。最初、佐藤委員がおっしゃったとおり、これからパブリックコメントを取るわけですから、あまり我々の何かどうこうで、ここなんかへは行かずに、やはり機会として存在しているものについては意思を問う、というふうにさせていただきたいと思います。 あと、今日はちょっとあまり時間をかけられないですし、やむを得ないかなと思って、これまで2回、かなり議論していただいた消費者行政の3章のところなのですが、ここの内容につきまして、次回までに是非とも検討を、ということがございましたら、伺いたいのと、あともう一つ全体の目次構成なのですが、これは二次答申のときも少し議論になったかと思うのですが、並べ方が2章と4章の間に3章が入っているんですけれども、このような原案の構成どおりでよろしいでしょうか。それとも、例えば2章と4章はくっつけると。そして4章を少し場所を移動するというふうな考え方も、もしかしたらあるかもしれないと思うんで、そこの皆さん……。皆さんと言っても、今日は割合と残っていらっしゃる方は少ないんですが、これは次回にやりましょうか。次回に最後、もう少しお集まりいただいたときに、少しそのあたり考えていただきたいと思うんですが、何かご意見ございますか。 |
○ | 浜野専門委員 次回に持ち越されたんで、第3章について意見を言おうと思っていたんですが、今の構成から言えば、私はやっぱり3を後ろに下げるなり何なりして、独立させた方が……。独立ということはないですが、何かこうサンドウィッチみたいになっているという感じがいたします。 ちょっと一言だけ感じましたことを3章について申し上げたいんですが、私、前回出なかったんで、前々回のころから見ますと、もう画期的に変わっているんで、すごく内容が充実してきたなと思っておりますけれども、私が感じましたことを2、3申し上げますと、1つはこの消費者不満の苦情、あるいは相談、そういうのが1万3,500件とか書いてありますけれども、おそらくこのOFTELか何かの話のようにすぐ10万ぐらいにはなるぐらいのものだろうと思うんですね。そのことを想定して何か考えないといけないんじゃないかなということが1つ問題意識としてあります。 その中の1つはやっぱり同じ総務省の管轄の中に、前に申し上げたんですが、自治体ごとの例の消費生活センターがあるわけですから、そこをもっと積極活用する。しかし、あそこでは相談員がそういうリテラシーを持っていないということもありますので、その点では今度通信サービスプランナーという資格を作ろうというアイデアが出ているのは非常におもしろいと思うんですけれども、ただこの場合、通信サービスプランナーというのは単なるこういう問題にリテラシーを上げるためにというんじゃなくて、消費者サイドのいろんな苦情、不満に答えられるというか、ある程度それはこうだということがわかる、こういう被害が起こりやすいからこうした方がいいよという、そういうサイドの資格にした方が私はいいんじゃないかと思うんですね。そうしますと、それにこれからおそらく何倍にも増えるであろう不満に多少とも答えられるかなと。そういう資格を持った人が消費生活センターに配置されている。 それからもう一つはADRとも書いてありますが、それにも使えるし、あるいは場合によっては少額裁判所というのはこれに書いていないんですけれども、これは小額裁判所の制度の中にもそれは活用できるんじゃないかなということを感じました。また次回までにもうちょっと考えてみますが、いずれにしても私、前に使った言葉で言うと、もっと多層的な取り組みが要るんで、単なるこの総務省だけで、しかもこの電気通信の部門でやるというじゃなくて、本当にいろんなところからの力を寄せてもらって一緒にやらなきゃいけないという、そこの考え方を打ち出された方がいいかなと思います。 |
○ | 醍醐主査 事務局、如何でしょうか、今のご意見。 |
○ | 山田電気通信利用環境整備室長 まだ十分に書ききれていないのかもしれないんですけれども、先生のご指摘の考え方でいろんなところの力を結集してやるという方向で考えております。総務省の方でいろいろなところと連携を取りながら推進するということにしております。 それから、先ほどのプランナーの考え方についても、おっしゃるとおりでございますし、それから全体的に消費者相談等もどんどん増えていくであろうという中で、やはりその受け皿を場面を利用していくということで、既存の消費生活センターを活用し、場合によってはまた別の横断的な紛争処理の仕組みというのも必要じゃないかというようなことも指摘させていただいております。そういうことをいろいろ組み合わせながらやるということで、上手く書ければと思っております。 |
○ | 醍醐主査 たまたま、今日は電車の来るときに読売新聞の論点で国民生活センター理事長さんが書いていらっしゃるんですね。具体的なアイデアもいくつかあって、多層的とおっしゃいましたけれども、要するに人材という場合も、もちろん人というか、ネット上でそういう相談窓口というものを自分がぶつかったトラブルについての解決策というようなことをネットで検索できるというふうな仕組みがあるみたいでして、それでまずユーザーからとしては消費者トラブルメール箱というのをネット上でも作ると。それからそれについてQ&A形式で消費者生活相談情報プラザ、仮称ですけれども、それを設けて、自分の問題において引き出して、呼び出してもらうというふうなネット上のでそういう1つのやり方というのも確かにあるんじゃないかと。 もちろんネットをうまく使えない人のために文字どおり相談窓口というフェース・トゥー・フェースのそういうものも必要だとは思うんですけれども、まさにこのあたりはいろんなやり方を多層的にやるということはいいことじゃないかと思うんですが、このあたりも少し、せっかくここまで来ているんですから、ネット上でのそういう対応というようなこともあり得るんじゃないかと思うんですが、そのあたりどうなんでしょうか。 |
○ | 山田電気通信利用環境整備室長 ネットの活用ということで言いますと、いろいろやられている取り組みを1つの入口を作るということで、ポータルサイト的なものをどこかに用意したらどうかということもアイデアとしては盛り込ませていただいておりまして、更に総務省のホームページからの情報提供としてはいわゆるQ&A方式でいろいろなデータが蓄積されて、自分の行きたいところに行けるというような情報提供のやり方も1つ提案しておりますけれども、ネットを積極的に活用していくということについても検討してまいります。 |
○ | 醍醐主査 今おっしゃったのは、私、事実上そういうものは実態としてはそれに近いものが出ているということですよね。 |
○ | 浜野専門委員 関連で一言。Q&Aというのはこれに書いてありますし、今座長もおっしゃいましたけれども、とにかく、これすごく効くと思うんですね。私がいくつかのホームページを見ていて思ったのは、ペイオフの方のQ&Aが全部印刷をしなかったんですけれども、したらおそらく本1冊分ぐらいになるんですね。そのぐらい内容が豊富に入っています。だから非常によくわかります。ただ、それでもわからないところがありますけれども。だから、これでももっとこのQ&Aでもう全部印刷したら本2冊分になるぐらいのものがあってもいいと思うんですね。分類されていればアクセスしやすいです。参考に。 |
○ | 醍醐主査 それでは、ちょっと最後……。あ、吉原先生、どうぞ。 |
○ | 吉原専門委員 第3章に関して、電気通信事業者に情報提供のところなんですけれども、27ページのあたり、特に契約。これは契約当初の情報提供の話だと思うんですが、こういう電気通信事業の場合には目まぐるしくサービス内容とか、料金体系とか変わっていくので、契約当初だけではなくて、その後も情報提供というのが非常に重要であるということ。 それから退出なんか、サービス終了時の退出規制との関わりになるかわかりません。サービスが終わりというところの情報提供をきちっと義務付けるということが大事だろうという気がするんです。これは情報提供の仕方にも一般的に情報提供をすればいいか、事業者のホームページ上に情報を出していればいいかという話と、個別に消費者に情報を通知しなきゃいけないかという話があると。そういう区別があると思いますね。特に重要な場合、契約当初の段階でもそうですし、それから、これは第4章の退出規制のところで情報の徹底を図る義務を課すとありましたが、そのような場合には多分やっぱりホームページに載せているだけでは足りないので、個別に通知をするというのは必要があるんだろうと。だからどういう情報は……。 それからあと自主的な情報提供と法律で義務付ける情報提供の区別というのもあると思うんです。どういうのを義務付けて、更にどういうことを知らせなきゃいけないか。更にそれを個別に通知しなきゃいけないかどうかというようなところを気をつけて考えていかなきゃいけないと思うんです。 |
○ | 醍醐主査 今の点、この段階で既にご説明いただけることと、少しそのあたりも今のご意見を踏まえて書き加えていただくようなことが考えられるかどうか、ちょっとご意見いただけますか。 |
○ | 山田電気通信利用環境整備室長 退出の方につきましては第4章の方で書いていただいておりまして、一応そちらの方に書かせていただいたところで全体の理論的な流れの中で書いているということで如何かなとは思っております。契約当初の部分については確かに第3章のところで触れさせていただきました。更にそのサービスの中途段階での情報提供ということについては、あくまでパッシブなサポートという意味での情報提供というのは書かせていただいておるんですけれども、積極的にこういうものについてやるべきだということまでは書いていないんですが、そういう制度的なものと、それから事業者の自主的な取り組みというものでどこまでカバーするかと。両方あるかと思いますので、そこを整理してみたいと思います。 |
○ | 醍醐主査 今の退出規制とかいうのは4章は競争政策で書いているんですが、その体制に当たっての利用者に対するケアということは、それはそれでそれぞれの箇所で必要とあれば、書くことは特段いいというか、むしろ必要だと思いますので、確かにサービス開始だけでは今もう足りないということは明らかですので、そのあたりおっしゃるというのは確かに重要な点だと思いますので、今後むしろ競争の相手がいろいろ入れ替わりが起こりますので、それがないと、入口だけでは足りないと思うんですね。そこは少しやはりもうちょっと書き加えていただいた方がいいかと思うんですが。 |
○ | 山田電気通信利用環境整備室長 承知いたしました。 |
○ | 醍醐主査 それでは、ちょっといつものことながら、最後は駆け足になって恐縮でしたが、本日の議論はこれぐらいとさせていただきまして、次回の予定を事務局からお願いできるでしょうか。 |
○ | 荻原電気通信技術システム課課長補佐 次回の予定ですけれども、資料2をご覧いただきたいと思います。次回は来週火曜日5月28日午前10時から総務省の3階301会議室で開催させていただきます。今日いただいたご意見を踏まえまして、再度とりまとめ案につきましてご議論いただきたいと考えております。下の方に参考で書いてございますけれども、そこでご了承いただければ、6月4日に予定されておりますIT競争政策特別部会の方にご報告していただくというような形で考えております。以上です。 |
閉会 |
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○ | 醍醐主査 ということですので、じゃよろしくお願いいたします。本日はどうも30分近く超過してしまいまして、申しわけございませんでした。以上で終わらせていただきます。 |
―― 了 ―― |