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IT革命を推進するための電気通信事業における競争政策の在り方についての特別部会
(第7回)



平成14年7月30日(火)








藤井部会長  それでは時間でございますので、部会を始めさせていただきます。大変お暑いところご出席を賜りまして、大変ありがとうございます。最初に厚く御礼を申し上げます。
 それでは、ただいまから「IT革命を推進するための電気通信事業における競争政策の在り方についての特別部会」第7回会合を始めさせていただきます。
 まず定足数の確認でございますが、本日は委員及び臨時委員13名中8名が出席されておりますので、定足数を満たしております。また、専門委員の酒井主査代理にもご出席をいただいております。なお本日の会合は、本特別部会の最終答申(案)の審議を行うものであり、審議の公開により、これらの内容に関する憶測を招く可能性があるため、非公開といたします。
 それではお手元の議事次第に従いまして、議事を進めてまいりたいと思います。本日は去る6月4日〜7月2日にかけて行われましたパブリックコメントの結果を踏まえ、最終答申についてご議論をいただきたいと思います。
 それでは最終答申(案)について、草案からの修正部分を中心に、競争政策委員会の醍醐主査よりご説明をいただきます。
 醍醐さん、お願いします。
醍醐委員  それではただいま部会長のご指示にありましたとおり、前回の草案部分からの修正点を中心にご報告、ご説明させていただきたいと思います。お手元の資料で、まず資料1として、今回の最終答申(案)の概要版がございます。次の資料2が最終答申(案)の本体というものです。資料3が、草案に対しまして寄せられた主な意見の整理です。それから資料4が、その寄せられた意見の詳細版とそれぞれのご意見に関しての競争政策委員会の議論に基づいた考え方(案)というものでございます。
 本日は最終の会合ということでございますので、最終答申本体の(案)、資料2に基づきまして、前回6月4日の特別部会でご説明いたしました草案を経てパブリックコメントで寄せられたご意見と、その後の2回にわたる競争政策委員会での議論を踏まえて修正をいたしました箇所を中心にご説明いたします。
 まずページがまだついていない上から4枚目でございます。アンダーラインが引いてあるところ、これは見え隠しということになっておりますが、修正前と修正後に分かれております。ここは端的に言いまして、時間の経過に合わせて所定の修正をしたというものでございます。具体的にはパブリックコメントに付す草案の段階では、「関係各方面から積極的な意見等が寄せられることを期待する」としていたわけでありますが、時間が既に経過いたしましたので、現時点といたしましては、「政府と関係事業者が本答申草案の提言を真摯に受け止め、一刻も早く実現に移されるよう強く期待する」、このように時勢に合わせて表現を変えている。以下、このような時間の経過に合わせて所要の修正をしました部分につきましては何箇所かございますが、説明は省略させていただきたいと思います。
 まず順番に、第1章というのは今後の競争政策のあり方に関する基本的考え方、市場の動向等を説明しているところであります。4ページのところでアンダーラインがございます。これも時間の経過に合わせた修正と言えばそうなんですが、データ的に少し注意を促させていただきたいということでございます。ここではDSLサービスの普及度ということで、草案の段階では238万加入(平成14年3月末現在)となっていたわけでありますが、現時点といいますと、聞くところでは、あす総務省として正式に公表されると伺っておりますが、その意味で時間の経過に合わせまして、平成14年6月時点というふうに、時点が3カ月経過いたしましたところで、238万加入が330万加入に伸びているというような新しい状況を盛り込んでおります。以下、同様の数字の更新がございますが、重立ったところ以外は省略させていただきます。
 次に第2章です。25ページです。ここは競争政策の積極的な展開ということで、一次答申、二次答申で定めた行動計画に沿った審議の状況であります。25ページの下の3)のところで、再販につきまして、この間イギリスのOFTELが新しい最終決定を公表したということで、それを盛り込んでおります。そこでは「BTは再販を要望する事業者に対して無差別にこの再販を行うべきであるとして、免許条件を改正して8月1日から適用することとしている」ということと、26ページに進みまして、「再販料金についてプライスキャップ制を導入することにしている」と、このような新しい動向を紹介しているところであります。それ以外につきましては、内容的な変更は2章についてはございません。
 次に3章でありますが、消費者行政の充実というところであります。ここにつきましてはかなりのご意見が寄せられておりますが、一部の事業者からはそういった保護のために過剰な規制をすることには反対というご意見が出ております。他方、我が国では消費者行政、自立支援を促す行政は立ちおくれているので、この答申草案に盛り込まれた内容は支持するというご意見が多数寄せられています。そういうことを踏まえまして、競争政策委員会ではこの部分に、2回にわたりまして、かなり熱心なご意見をいただきました。
 それを踏まえまして修正した箇所といたしましては44ページ。第3章の出だしのところで、この第3章でいう消費者とは何かという定義をきちんとすべきではないかというご意見が委員会で出されまして、さまざま議論した結果、注2をもう少し文意を明らかにするために、修文いたしました。少し読ませていただきますと、「変化の激しい情報通信分野ではサービスに関する技術的専門的知識の面で消費者と事業者の間に顕著な情報力・交渉力の格差が存在する。本章では、競争政策の目指す消費者利益の最大化を実現する観点から、そうした情報格差を是正し、消費者の合理的なサービス選択を支援することを主たる課題として消費者の自立を促す支援策を検討している。そのため、本章では電気通信サービスの利用者のうち、事業者との相対関係で特に顕著に情報劣位の立場にある個人たる消費者からなるマスユーザを『消費者』として記述している。なお中小企業等のビジネスユーザに対する支援策については、後出の脚注17を参照」ということで、56ページに、これは従前から掲げているものでございます。
 この修文の趣旨は、消費者といっても、個人あるいはマスユーザがある。あるいはここにあるビジネスユーザも含まれている。つまりBtoC、BtoBとか、さまざまな組み合わせがユーザと事業者の間ではあるわけでありますが、種々、議論をいたしました結果、そもそも第3章でいう消費者行政は、通信分野に限らず国の最近の消費者保護法、消費者契約法等の流れの中では、事業者との間の情報の大きな格差ということが、消費者がさまざまな被害に巻き込まれたり、自立をしにくくしている状況にあるというのが基本認識であるということを踏まえまして、この第3章ではそうした情報の格差が、対事業者との関係で、特に顕著な個人たる消費者、その個人の集合体であるマスユーザ、このような消費者を対象に、自立のための支援策を検討し、提言する、そのような文脈の修正を施したということでございます。
 なお第4章でいうところの新しい競争の枠組みの中でいう消費者とか、利用者の場合には、必ずしも重ならない部分があるということを後ほどご説明いたしたいと思います。第3章の消費者支援策では、それ以外のところでは特段の修正はございません。
 次に第4章でありますが、新たな競争の枠組みの方向性というところでございます。主に事業区分の見直し廃止と、それにかわる新たな競争政策の枠組みというところを検討した章であります。まず79ページです。これは78ページから続いてきているところでありますが、78ページの一番下の7)の文章のつながりでありますが、79ページに行きまして、社会的影響の大きい事業者が、例えば一般二種事業においても登場している。修文前は「一方、極めて小規模な社会的影響の小さい事業者も依然として多数存在している」と表現をしていたわけでありますが、議論の中で、規模の大小と社会的影響の大小は必ずしも対応しないのではないか。一般論としていえば、規模の大きい事業者は社会的影響が大きいということは、蓋然的には言えると思われますが、規模の小さい事業者であるということが、社会的影響が小さいという表現をすると、やや不正確な嫌いがある。ちょうど昨日、一昨日、関西方面でワン切りで何か非常に通話がしにくくなっているということです。これもおそらく現在、事業者が特定されているようでありますが、規模的にはかなり小さな事業者ではなかったか。しかし社会的影響という点では、極めて大きい。このような状況も直近、起こっているところからも、このような修文が適切であったと思われると思いますが、修文いたしております。
 なお、同じ79ページの注7のところで、新しく表現を、少し手直しをしております。それは社会的影響の大きい、小さいということから、参入規制、退出規制、さらには利用者向けサービスにかかわる提供条件の報告義務とか、そういったような種々の局面でのルールづくり、あるいは義務化のあり方と社会的影響の大小ということがあるわけですが、例えば社会的影響の大きい事業者、小さい事業者であることによって、どのような規制が必要であり、または必要でないかというときに、参入、退出規制とか、サービス提供条件、それぞれの局面ごとに必ずしも一律ではないという状況が考えられるということで、各規律の目的に照らし、現在の市場の実態等を踏まえつつ、その具体化を図っていく必要があるというふうに、より趣旨を明確化するような注に修文しているということでございます。
 次に80ページの注8でありますが、こちらにつきましては一種、二種の事業区分を廃止したことに伴って、従来であれば一種事業に参入する事業者については自動的に公益事業特権を付与するという仕組みになっていたわけでありますが、その個別の対応関係をやめるとして、個々的に公益事業特権については、新たに申請に基づき審査をし、付与をするという仕組みに変えているわけであります。そうなりましたら、既に一種事業者としてのこれまでの時代に公益事業特権を付与されている事業者が、新たな枠組みのもとで公益事業特権の付与を申請し、認可を受ける手続きがどうなるのかにつきまして、パブリックコメントの中で、当該事業者からは複雑な手続きがないような簡素な処理を可能としてほしいというご意見が寄せられました。
 それを踏まえましてどのように表現するかということで、種々、競争政策委員会ではご議論がございましたが、ここでは「現在の一種事業者は、既に事業認可の際に経理的基礎、技術的能力、事業計画の確実性・合理性等について審査済みであることに鑑み、これらの事項について、新たな公益事業特権の申請に際しての手続きを簡素化するなど配慮が必要である」、このように表現をしております。この趣旨は既存の公益事業特権取得者に対して新たな枠組みのもとで再取得をするときに、既得権かのように、これから特権を申請する事業者に対して、何か優位に置くとか、そのような趣旨は毛頭ないということを明らかにする。ただ既に、事業認可の際に公益事業特権を取得したときに審査を終えている部分については、重複的な手続きは省略するということは当然の措置であるという趣旨に表現を明確化したということであります。
 次に87ページでございますが、ここは一種、二種の事業区分を廃止したことに伴ったサービス提供条件のあり方に関わる部分でございます。少し前後の関係がございますので、3)のところからご説明をいたしますと、ネットワークを保有する事業者(現行の一種事業者)も含め、全事業者について料金等の提供条件は、市場における当事者間の相対取引に委ねることを原則とする。当該提供条件に係る契約約款の作成・公表義務や役務提供義務を不要とする規制緩和措置、これを通常「デタリフ化」と呼んでいるわけでありますが、これを講じることが適当という提言をしております。ただ括弧の中で、市場支配力を有する事業者については、これとは別の枠組みが必要と示しております。
 このような記述をいたしましたことについて、パブリックコメントの中で、相対取引を認め、柔軟な事業展開、サービス提供条件を可能とすることは歓迎していただいたわけでありますが、とはいいながら、幾つかのご意見として、マスユーザ向けにはタリフ化ということは存続するべきではないかというご意見もかなり寄せられました。去る6月4日の草案をご審議いただいた特別部会におきましても、それと同種の議論がなされたということがございました。従いまして競争政策委員会では、この部分については、かなり議論をしたところでございます。
 議論の結果といたしまして4)のような表現にしたわけであります。「当該規制緩和措置については、パブリックコメントにおいて、特にマスユーザ向けサービスについて利用者保護の観点から、契約約款の作成・公表義務を残すべきではないかとの意見も少なからず寄せられた。この点については、競争が十分に進展している市場であれば、各事業者に対して一律に料金等の提供条件について契約約款による画一的な提供を求めなくとも、各事業者がそれぞれの経営戦略に応じたサービスを提供することにより、市場メカニズムを通じて利用者にとって必要なサービスが提供されると考えることもできる」という形で、基本的には草案の考え方を維持しているということであります。
 そこで具体的にどのようなことが、市場メカニズムを通じた利用者利益の維持・増進が図られるかという想定といたしまして、注10で「例えば、現在の料金・契約約款と同様に広くマスユーザを対象として一定の提供条件を作成・公表することによってサービスを提供する事業者もいれば、提供条件を予め作成・公表はせず、各ユーザの個別ニーズにきめ細かく対応したサービスを提供する事業者も出てくる」。ここは、対ユーザとの獲得競争の過程で、事業者はさまざまな創意工夫、差別化の提供条件が生まれてくる。そのことによって、いうなればレディーメードの提供条件と合わせて、オーダーメードの提供条件によるサービス、相対取引を認めるということは、利用者の利益にとってもプラスの効果が期待できるのではないかということを、ここでうたっております。
 その次に、ただここで終わってはおらずに、その後でありますが、ではボトルネック設備等を持っている第一種指定電気通信設備を配置する事業者等についてはどうなのかということでは、次の新しい5)でありますが、このような事業者においても、その事業者が提供するサービス市場において、競争が十分に進展し、当該事業者がもはや市場支配力を有する事業者とは言えなくなった場合には、料金・契約約款等について規制緩和を行うといったような、新しい枠組みを実現していくことが望ましいと、ここでは考えているところであります。
 次に新しい6)でありますが、パブリックコメント等で寄せられたご意見、危惧に対しまして、どのように対応するか、考えるかということであります。ここの6)の(ア)、(イ)というところは、かなりさまざまに込み入っているわけですが、そのためにまず本日、構成員限りということで、横長の「最終答申(案)における利用者向けサービス提供に係る規律の在り方について」というペーパー、1枚物をごらんいただきたいのですが、縦軸は従来型の契約約款とあるいはオーダーメードな相対取引というものの選択ということであります。横軸が事業者あるいは市場の性格・違いということです。まず一般的に相対取引を原則とするといってきておりますのは、一般の電気通信事業者です。ここに書いてありますとおり、契約約款の作成義務なし、相対取引可能であります。
 その横、今度は各市場ごとに判断された市場支配力がある事業者については、引き続き契約約款の作成・公表義務が必要ということであります。ただ、この後出てまいりますが、当事者が、つまり事業者と利用者が合意するならば、合意を条件として相対取引も可能という規制の部分についても、緩和を図るのが望ましいとしております。その趣旨は、例えば大口のユーザ向けのサービスという場合には、むしろ相対取引が大いに想定されるし、それがそういったユーザにとってはニーズにかなっているという部分があることは間違いないということで、そのような道も当然開くことが望ましいという姿であります。
 その横の適格電気通信事業者についてはユニバーサルサービスを提供しているということで、契約約款の作成・公表義務は当然必要で、契約約款の遵守義務がある。このようなサービスについては、基本的には相対取引は不可とするのが適当としております。
 その下の部分は検討が必要な論点ということで、これは今申しました88ページの6)から書かれていることをまとめたわけであります。そうなりますと利用者保護のためにどのような措置が必要となるかで、まず88ページの6)の(ア)では、「第一に」といたしまして、「利用者に対して適切かつ十分な情報が提供されることが必要」ということで、「このため、契約約款の作成・公表義務は課さないこととしても、契約に際してサービスの提供条件に係る一定の事項について利用者への情報提供・説明を義務付けることは必要となる」。
 ただその際に、その説明の義務を課す対象となる利用者の範囲につきましては、大口ユーザもあれば、ビジネスユーザもあり、個人からなるマスユーザもあるということで、必ずしも同等の義務づけが必要かどうかについては検討の余地がある。ということで、その対象となる利用者の範囲については、今後も検討をさらに詰めていただきたいとしております。この部分は第3章で先ほど申しました、自立を支援するための対象となる個人たるマスユーザとは、範囲が重ならない部分もあります。もちろん重なる部分もあるということで、ご留意いただきたい部分であります。これがデタリフ化をするのに対応した利用者保護のための一つの方策。
 次に2番目、(イ)といたしまして、仮に料金等の提供条件が、特定のものに対して不当な差別的取扱いをするといったことが考えられなくはない。それに対してどのように対処するかにつきましては、現行制度と同様、業務改善命令や料金変更命令等を発出し得るスキームが必要となる。その際に迅速に所要の措置を講じることができるように、情報収集の面でどのような措置を講じることが望ましいか、あるいは必要か、必要でないかというところであります。この部分につきましては、さらに2つの考え方を書いておりまして、利用者等から意見、申し出がなされた場合に、行政当局がその都度アドホックに、個々的に、事業者に報告を求め、調査を行うというやり方が一つ。もう一つはそれで足りないということが考えられるのであれば、問題が起こる都度ではなくて、個別の契約ごとに契約・提供条件の報告を求めることは、明らかに過重な義務化だということで、これはやらないというのが、まず基本であります。その上で個別の契約ごとではない形の、つまり定期的な報告を、提供条件について求めていくことも考えられるということであります。
 草案では定期的な報告を求めるという場合に、以下の3点に留意する必要があると書いていたのですが、一方のやり方をとった場合の留意点をこれだけ膨大に書くと、2つのやり方があるといっていても、一方に非常に重心を置いているかのような印象を与えるのは適当ではないのではないかというご意見がございまして、留意する3点というのを、今回、注に回したというのが修正点であります。その注の留意点の内容自体は、草案の段階と変わっておりません。この部分はかなり込み入っておりますので、少しご説明をさせていただきました。
 その次に91ページから92ページのところであります。設備の設置を基準に一種、二種と分けて、それに基づいて規制の水準・内容を分けていたという現行の枠組みを変えまして、新しい枠組みのもとでは、利用者向けサービス市場を一定のサブマーケットに分けて、それぞれのサブマーケットごとに市場支配力を定期的にレビューする。それに応じて規制の水準について、その存続、あるいは撤廃の必要を検討するという枠組みでありますが、そうなりますと91ページの(c)の1)に書かれているような「各事業者の市場支配力の有無によって異なる水準の規制を課す際には、利用者向けサービス市場における各事業者の市場支配力を的確に評価する」必要がでてまいります。これは極めて重要な問題となってくるわけであります。
 この点につきましてパブリックコメントの中で、ではどのように市場支配力を判断するのかについて、予見可能性、透明性の確保を求めるご意見がかなり寄せられました。草案の段階におきましては、その91ページの(c)の新しい3)、旧2)でありますが、市場支配力の評価に当たって、考慮すべき要素として(ア)、(イ)、(ウ)という一定の指標を示しているところであります。
 こういったことを踏まえまして、92ページの新しい5)といたしまして、パブリックコメントで寄せられました予見可能性・透明性ということについて、審議会としても配意すべきということで、そういった細則については、今後、行政において検討がなされることが予定されております。そのような運用細則の策定や制度運用に当たっては、透明性・予見可能性を確保するよう、審議会としても行政に強く要望したいという趣旨の文章を、ここで少し草案の段階より長く書き込んでいるところであります。またその際においては、関係者の意見を十分踏まえたものとして、デュープロセス・透明性の確保に努めていただきたいと申し添えることにしております。
 以上が草案の段階からの主な修正箇所でございます。以上でございます。
藤井部会長  ありがとうございました。ただいま個別具体的に、線で引っ張っているところについてご説明がございましたが、その点につきまして、もしいろいろご議論がございましたら、順にひとつ、ご議論をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 これは、この修正意見のところだけについて、これからやるわけ? あと全体的なものもやるのかな。今、極めて個別具体的に丁寧な説明がありましたけれども、修正の場所だけについて意見をやると、非常に早く済むんだけれども。(笑)よろしいのかな。
南事業政策課調査官  別にそれに限定するものではないと感じておりますけど。
藤井部会長  そういうことでございまして、今度の意見をぱらぱらっと見ますと、特に修正せないかんようなところは、今、醍醐先生からご説明もありましたが、そうないようにも思いましたのですが、どちらにしろ特に問題点にあると少なくとも思われている点について、細かい説明がございました。特に消費者行政のところの問題についていろいろございましたわけですが、この前も舟田先生、林先生から携帯電話の話がありましたけれども、実際、お取引の取り決めというような個別具体的になると、いろいろなややこしい問題があると思うんです。
 それからついでに申しますと、ぱらぱらっと見ますと、検討するとか、見直すとか、決まったか決まらんかわからんような表現が結構あるんです。だけど、こういう方向でございますと、技術もどんどん進んでいますから、よく慎重に伺った上で不都合があれば、その時点で考えますということだろうと思って理解しているわけでございます。どちらにしろこれから、予定の時間によりますと、醍醐先生の説明が1025分まででございまして、質疑応答が1155分まであるんです。
 考えてみますと、これは一昨年の12月に第一次答申が出まして、第二次答申が今年の2月、それから第三次答申と来たわけです。その途中で、考えてみたらマスコミにも色々と取り上げられて、電気通信事業法の改正から始まって、NTT法の改正とか、一種、二種なんかでも最初は、お役所は全然、頑張っとったつもりやったんですが、あけてみると知らぬ間にこれもすーっと消えてなくなっております。なかなか文章は非常に難解で、ビジネスであればこんな膨大な資料に私はならんと思います。やっぱり法案というのは非常に難しいんだなと思いまして、しかも非常に右か左か方向性で、常にやっぱり最終の何か担保しているような書き方が多いわけですが、それにしても随分、時の流れの中で私は思い切った案が得られたんではないかと思っているわけです。
 どうぞ皆さん方の活発なご意見を1155分までお願いをしたいと思いまして、よろしくお願いします。
 先生、どうもありがとうございました。
齊藤部会長代理  ちょっと1点よろしいですか。
藤井部会長  なければなしでいいんですよ。(笑)
齊藤部会長代理  さっきここでご説明があった利用者向けサービス、料金の話です。ドミナント事業者と適格通信事業者について契約約款を公表するとか何とかというこの一枚紙ですが、理屈からすると、こういう話なのかなと思うんですけれども、ユニバーサルサービスをする適格通信事業者について相対取引は不可となっていますね。これ、今のユニバーサルサービスの仕掛けは、私の理解する範囲では、地域会社でユニバーサルサービスをということで、ユニバーサルサービスのお金が欲しいと言って、適格通信事業者になるということでございます。例えば具体的には東西NTTだとすると、西日本がそうなっているんですか、なる可能性があるんですか。そうしますと、西日本全体にこれがかかってしまうんです。西日本全体がお金をもらっているんだから、どこかで安売りをして赤字になったから何とかだというので、ユニバーサルサービス基金のお金をたくさんもらおうというのは理屈に合わないというのは、そのとおりだと思いますけれども、こういう義務が課されてしまうと、適格通信事業者になりたいという人は多分、あらわれませんよね。ユニバーサルサービスの仕組みを変えないと。つまり県別とか何かにして、そこがもらうという話になれば、何とか県はユニバーサルサービス事業者はうちなんだから、その県については相対をしないということになるのかもしれませんが、何か今のまま、こういうふうに決めてしまうと、ユニバーサルサービスというのは具体的にはなくなってしまう。要するにそういう仕掛けは機能しなくなるおそれが大いにあるような感じがするんですが、そこら辺のところはどんな議論で、どんな見通しで、私の理解は正しくなければ、正しくないとおっしゃっていただければいいんですが、そこのところが気になったもので、ご議論いただきたい。
醍醐委員  それではまず私からご説明させていただきたい。新たなところを補っていただきたいんですが、まずユニバーサルサービスの事業者が確保されるかどうかについては、新しい事業法のもとでは、まずは申請に基づき手を挙げていただいて、そしてその提供主体としての要件、例えばエリアカバー率とか、そういうものを満たしているとかいう場合には、それが認められるわけです。仮に申請がない場合には、総務大臣が最低1社を指定するという仕組みで、空白が生じるということはないという仕組みにはなっているということでございます。
 それからこの部分に、ユニバーサルサービスの事業者が営むユニバーサルサービスの範囲に入っているサービスについては相対取引を不可としているという意味は、文字どおりユニバーサルサービスの本来の意味から来ていると理解されまして、ユニバーサルサービスというのは、あまねく利用者に同一の利用可能な条件で提供するという趣旨に照らして、各利用者ごとに異なる条件で提供するということは、基本的には想定されないサービスだという趣旨から、このようなあらわし方になっていると理解しております。したがってユニバーサルサービスを提供している事業者であっても、それ以外のサービスについては別途の規律が課されることは当然のことなんですが、提供するサービスの内容がUSであれば、このようになるのは本来の趣旨から自然な流れではないかと考えているということです。
藤井部会長  何か補足等がございましたら……。
吉田料金サービス課長  基本的に醍醐先生のお話しされたとおりですが、1点だけ、法律上は申請する人がいない場合には、現行法ですと、役所がだれか指定するということにはなっておりません。法律は6月に施行されまして、まずは支援機関ということで、実際に金を徴収して配る団体が手を挙げるということがあります。その次に、今度は実際問題としてNTT東西という形になると思いますが、それが手を挙げるかという順番になっておりますので、そこで手を挙げられなければ、実際、対象となる事業者は出てこないということになります。それからサービスにつきましてはおっしゃったとおりでございまして、事業者全体ではございませんで、NTT東西のやっているサービスのうちの一部ということになります。
 それからもう一つ、相対の話につきましては、きょうお配りした紙に括弧ということで書いてございますが、答申の書き方といたしましては、考え方もそうですけれども、94ページの役務提供義務を任すことは適当だという形にはなっておりますが、そこから先、相対がどうこうというところまでは答申の中には書いてはございません。ただ考え方としては、ユニバーサルサービスということであまねく提供するという中で、個々に変えていいという話がなじむかどうかという話はございますので、方向としては、ここの括弧で書いた形になろうかとは思っておりますが、もう少しそこのところは検討させていただきたいと思います。場合によっては相対という義務をそこまで課さなくてもいいのではないかという議論もあり得ると思いますので、そこのところは検討という形にさせていただければと考えております。
藤井部会長  今のは94ページの5)のところですね。
齊藤部会長代理  今のご説明は多分、理屈どおりだと思うんですが、現実にはドミナント事業者で、具体的にいうと例えば電話サービスというのが一部ですね。事業用電話サービスと住宅用電話サービスが分けられるならば、住宅用だけはこうだというぐらいだったら、申請する事業者があらわれるかもしれないけれども、全部、電話サービスを一くくりで相対取引不可と言われてしまうと、多分もし東が申請しなくて、西が申請するというような状況になると、おそらく西はしないのではないか。これはあんまりそういう予見で言ってはいけないのかもしれないけれども、何かドミナントとユニバーサルの間のギャップが、もらえるお金に比べて大き過ぎるという感じが現実にはしますね。ですから、今からそんなことを言ってもだめなのかもしれませんが、何かあまり現実的ではないような感じが私にはするんですが。
醍醐委員  今のところドミナントということとボトルネックを持っているということを、この表をご覧いただいてお分かりのとおり、今回は切り分けております。先ほど私がご紹介したと思うんですけれども、88ページの上の5)のところですが、ボトルネックを持っている事業者であっても、当該事業者が提供するサービスがその市場において、市場支配力を有する事業者でなくなった場合については、料金・契約約款についての規制緩和を行うといったような柔軟な対応が必要だという認識はきちんと持っております。
齊藤部会長代理  ドミナントの事業者について私は申し上げているんで、ボトルネックについて申し上げているわけではない。
醍醐委員  そこでドミナント事業者について言うと、電話全体を一つのマーケットにするかどうかがまさに問題です。そのマーケットをここでサブマーケットといっているわけですが、どのようにサブマーケットを置くか、確定するかということが非常に重要でして、それが有効競争レビューを行う際の単位にもなるということなんです。ただ今回の答申(案)ではサブマーケットをこのように区分けするところ、細目までを提言するには至っておりません。こういうことは今後の細則にゆだねられている。しかしそこはご指摘のとおり非常に重要なので、相当なデュープロセスを踏まえて、慎重に透明にやっていただきたいということを付記しているというところで、おっしゃるように電話サービス全体が何かマーケットとなって、そこで一律の規制になるものと決まっているわけではない。
齊藤部会長代理  ユニバーサルサービスの範囲についても、そのサブマーケットという考え方が同じように適用されると理解してよろしゅうございますか。
醍醐委員  ユニバーサルサービスについては、サブという考え方は現行制度のもとではないわけでありまして、ただ前回の二次答申のときに指摘しておりますとおり、2年後に範囲を見直すということになっておりまして、そのときに新しいIP化の流れ等の中で、現行の制度を見直すことについては、かなり可能性が高い。特に現行で市内通話サービスと言っているものについてIP化が進展すれば、市内サービスをユニバーサルサービスの範囲にとどめておくことが、かなり時代と合わなくなる可能性が強いということは指摘しておりまして、その場合にはユニバーサルサービスという概念からユニバーサルアクセスという概念に変化していくという見通しは示したところでございます。
舟田臨時委員  今の約款と相対取引の関係は非常に重要な点なんですけれども、まずこの分厚い意見の中で、例えば齊藤先生が心配したことを当該当社言っているかどうか。どうなんですか。例えばユニバーサルサービスで相対取引は不可というふうに読めたら困るとか、何かそういうことを言っているんですか。
醍醐委員  この1枚の横長の88ページの辺りは、競争政策委員会でかなり込み入っています。そこで委員の皆さんに理解を共有していただきたいために、率直に言って、私のほうから、事務局にわかりやすい1枚物のような概念図を作成してもらえないかと要望したんです。事務局としては1枚にするということはかなり簡素化が起こりますので、正確を期しがたい部分があるということで、これは委員限りとして、対外的にも出すことについては検討させてほしいと。私はそれで結構だということで、今ご指摘があったようなところで、横の3つの事業者ごとに、どこが共通で、どこが違いが起こるかにつきましては、細かなところが詰めていない部分があります。特に今出たユニバーサルサービスを提供する事業者について相対取引は不可というのは、先ほど事務局からありましたように、本文で特段書いているわけではなくて、このような考え方になるのではないかと。というのは、ではどうなるんだという質問が想定されますので、それについてはこのような考え方になるのではないかということを、一応ここで示していただいた。しかし本文ではそれを明記しているわけではありませんので、書いていないことについてはおそらくパブリックコメントも出てきてはいないということです。
舟田臨時委員  さっき契約約款を申し込んだら遵守義務があるということは書いて……。90何ページでしたっけ。
藤井部会長  94ページ、5)です。
舟田臨時委員  だからユーザから約款に基づく役務を提供してくれと言ったらそれに応じる義務がある。これはもう、はっきりしているわけです。
醍醐委員  それは90ページの9)の(ア)のところです。ここでは市場支配力を有する事業者についてはどのような規律になるかという考え方と提言を示しているところでして、この(ア)の中では、正当な理由なく契約約款によるサービスの提供を拒否してはならないということ。それと、しかし当事者間の合意があるならば、相対取引によることも認めるのが適当という書き方でございます。これは素案の段階と変わっているところはないということであります。
舟田臨時委員  これをどう考えるかは、前から大きな問題だと思っていたんですが、ドミナント事業者の場合もユーザが約款に基づいてサービスを提供してくれと言ったら、一旦それについては応じる義務があるということですから、それと違う条件でサービスを提供してくれというのは、先ほど醍醐先生がおっしゃったように、おそらく交渉力が強い事業者から来た場合が想定されます。ドミナント事業者としては、これこれの需要があるから、ではこれは少し安くても応じよう、提供しましょうということになるので、逆に言えばそれはどうもユニバーサルサービスの適格事業者の場合にも、家庭用ユーザが申し込んだら基本的にはそれでやらなくてはいけない。しかしそれよりも申し訳ないんですけれども、さっき先生がおっしゃったように、大きな事業者が電話のサービスをこうしてくれと申し込んだと。契約約款と違うようにしてくれと言って、当該適格事業者がオーケーしたということであれば、私はユニバーサルサービスの仕組みをよく覚えていませんけれども、お金をもらう以上、何らかの財務的なチェックがおそらく事後的にあるんでしょうね。それさえあればいいような気もするんです。きょう、そういうことを議論する場かどうかわかりませんけれども。
醍醐委員  それは相対もいいということ?
舟田臨時委員  相対もそうです。ですから契約約款に従って、いわばミニマムこれだけの条件では提供しなさいという義務は課すと。しかしそのことは同時にそれ以外の相対取引をいけないという理由にはならない。そういう意味ではドミナント事業者の場合でも適格事業者の場合でも同じように考えていいのではないかと今の感じでは思います。
醍醐委員  ユニバーサルサービスというのは、一般的には大口ユーザ向けのサービスということは想定しておりませんで、加入電話の中のこれこれというふうに限定的に書いてありますね。
舟田臨時委員  事業者はもちろん加入電話はあるわけですけれども、そのことを問題にしているわけですよね。
醍醐委員  そうなんですけれども、別に本文には書いていないわけで、おそらくこの議論は議事録に残していただいて、今後、総務省においてこの部分の詰めをやっていただくときのご参考にしていただくということだと思うんです。ただユニバーサルサービスということの本来の趣旨というのは、やはり踏まえなければいけない。それが例えば相対でよしとなりますと、ほとんど個別ごとの提供条件ということにどんどんなっていくと、ユニバーサルサービスの意味というのが、そもそもどうなのかということにもなりかねないのではないかという考え方だと思っております。
 そしてボトルネックを持っている事業者であっても、その事業者が提供する市場で市場支配力がないとなれば、それは一般の事業者と同じレベルでの提供ができるし、市場支配力があっても当事者合意があれば、契約約款に基づかない相対取引を認めるということになっているわけですので、その限りではこの提言の中身でも、ご指摘のようなことが全くできないような枠組みではないという仕組みだと思っているんです。ただユーザが契約約款でやりたいというときに、それを拒んではいけないということは、やはり担保としては必要ではないかということになっているわけです。
酒井専門委員  ユニバーサルサービスの場合、ユニバーサルサービスを一般家庭と事業者電話と分けるかどうかという問題は確かに一つあると思うんですが、一旦ユニバーサルサービスと認めたとしますと、その範囲では当然赤字が出たら、ほかから基金をもらうわけです。例えばどこかに非常に安売りをして、その分当然、赤字になりますから、その分を他事業者からお金をもらったときに、他事業者がそれを納得するかどうかという問題が出てきますので、ユニバーサルサービスと限定した範囲では、あまり安売りはしない方が全体として納得がいくのではないかという気はいたします。ただしユニバーサルサービスの範囲を、例えば電話全部というのではなくて、一般家庭用の電話ということでサブマーケットを限定して、事業者用電話と分かれるのかどうかわかりませんけれども、それは別だという形にすれば、それはその範囲でまた別になってくると思うんです。むしろ範囲をはっきりしておいたほうがいいのではないかという気がいたします。
 それからユニバーサルサービスは、たしか県単位可能でしたね。最小単位は幾つでしたか忘れてしまったんですが、県単位で適格事業者になれるんですよね。違いましたっけ?
醍醐委員  都道府県単位です。
酒井専門委員  都道府県単位ですね。先ほどの最終(案)で全体とおっしゃっていましたけれども、たしか都道府県単位で、東京都なら東京都だけでユニバーサルサービス適格事業者になれましたね。
醍醐委員  都道府県単位というのは、適格事業者になるエリアです。エリアは都道府県単位で、例えば極端に一県であっても、そこについてあまねく提供するということを申請すれば、他の条件を満たせればオーケーなわけです。
齊藤部会長代理  だけど、現実にはそういう事業者はあらわれない。
酒井専門委員  まあ、東西しかないでしょうね。
齊藤部会長代理  東西は全体として。とにかくある県だけ提供するという事業者がいたら、それはなれるということですね。
醍醐委員  今ご指摘の点は、酒井さんのおっしゃったことをもう少し詳しく言うと、ユニバーサルサービスであることを前提にして、かつ相対というより、相対取引を認めていいような市場というのは、もはやユニバーサルサービス的な市場ではないという考え方に、そちらを組みかえていくことのほうが、合理的ではないかと思われるわけです。相対取引を大いに認めていい市場というのをユニバーサルサービスということの前提で議論するというのは、少しそぐわないように思います。
齊藤部会長代理  私もユニバーサルサービスの考え方からすると醍醐先生のおっしゃるとおりだと、その点については全く同感なんです。ですから家庭用と業務用と分ければ、そういうことはあり得るのかもしれないですが、恐ろしいのは家庭用と業務用と分けてそれぞれに収支を出すと、赤字の範囲がものすごく広がる。そうすると、それもまた現実のことを考えると、現実的でない。
 もし一つのバスケットにしてユニバーサルサービスというと、例えば西日本はその地区において相対取引で、ほとんどすべてのところで負けるという事態が発生すると、西日本の赤字は大幅に増える。ですから理屈はそのとおりなんですが、実際にこれをやるときには現実的にどうなるかということをよく想定してやらないと、よかれと思って言ったことが、変なことを起こすおそれがありますということだけ申し上げます。理屈はこのとおりでいいし、この文章として94ページの5)にも契約約款に基づく役務提供義務がある。これはドミナントであっても、ユニバーサル適格であっても、みんなそれはあるので、そこの点においては、この文章としては多分、今、この紙に書いてあるほど、厳しくは書いていないように思いますので、この文章はこれで全く問題がないと思いますが、今後これを具体的にやるときにまさにユニバーサルサービスの理屈と安売り競争という話は相反するところがあります。安売り競争を認めないというのは一つの考え方ですけれども、認めないとますます悪くなるという現実が予想される中で、具体的にどうするかということについて、これは具体化するときによく検討する必要があるということだけ議事録に残しておいていただければ、この場はこれでよろしいと思います。
吉田料金サービス課長  齊藤先生もおっしゃるように、その点は実際に制度を具体化するときに双方の考え方があると思いますので、その辺をよく検討した上で制度設計をしていきたいということで、さっき私が申し上げたということでございます。書き方といたしましては、ドミナントとユニバーサルどちらも約款の作成・公表義務がある。ですから最終担保という意味では、そこは保障されている。ドミナントのほうは相対取引が可能と書いてありまして、今のところそこまで触れていないわけですが、考え方としては、やっぱりユニバーサルという概念と相対というのはなじまないのではないか。先ほど醍醐先生が言われたように、ということであれば、そもそもそういうものは対象としないのかもしれないと。
 ただ一方で齊藤先生がおっしゃるように、実際に競争が、特に市内電話で生じていることを考えると、対象といっても基本料のいわゆる線の部分と市内の電話のところと、多分、分けて考えるとわかりやすいのかと思います。基本料のところは、それほど皆さん、相対はだめだといっても、そう異論はないのかもしれませんが、市内のところは確かにおっしゃるように競争が起きている。そうすると片方の人に縛っておいて、それで競争が十分成り立つか。逆にそれで負けると赤が増えるのではないかというご指摘も十分あろうかと思いますので、その辺、実際、制度設計をするときに、どのような形にしていったらいいのかということは十分検討させていただきたいと思っております。
舟田臨時委員  ここはむしろドミナント事業者のほうを私は議論したかった。ユニバーサルサービスについては、いろいろと議論をまたやるとして、ただ言いたかったのは、ここで約款と書いてありますけれども、ドミナント事業者の場合はデタリフ化と言っておきながら、ここで約款と言っているのはちょっとおかしいんですけれども、非常に緩い約款。前回アメリカでスタンダードオファー、標準……。
醍醐委員  標準メニューとおっしゃっていた。電気事業法ではそうでしたね。議事録を確かめたんです。
舟田臨時委員  すごいですね。準備万端。そういう意味では約款というのは、そういう弱いといいますか、ドミナント事業者のところからお話ししますと、ここで書いてある約款といっても相対取引も可能な意味での約款だと。その意味はさっき言いましたように、ある条件で取引してくださいと言ったら、最低それは飲まなければいけない。「いや、あんたは個別コストが高いから、もっと高くなければ提供しないよ」というのは基本的に許さない。89ページの8)で、約款作成・公表義務をつけて、「正当な理由なく契約約款によるサービス提供を拒否してはならない」と書いてある。この「正当の理由なく」というのは、もちろん個別具体的に考えなくてはいけないんでしょうけれども、原則はむしろ正当な理由があるというのは、あんまり考えられないぐらい狭く解して、とにかく約款条件でいいからやってくれと言ったら、応じなければいけない。それより高い条件、ユーザに不利な条件は認めませんと。だから逆にユーザに対してもっと安い条件で、「あんたは大口だから」あるいは「何か関連取引と一緒にやりましょう。だからもっと安くします」そういうのを認めようということではないかという気がするんです。だからそういう意味では、これは私の見方かもしれませんけれども、むしろこの「正当な理由がなく」を狭く解する。
 いつごろ昔だったかは覚えていませんけれども、昔はNTTさんも特別供給区域というのがありました。山の上とかね。今はなくなっていますかね。
齊藤部会長代理  今もあると思いますよ。
舟田臨時委員  今もありますか。
齊藤部会長代理  だって建設費は出さなければいけない。
舟田臨時委員  しかしそれは、それ自体も約款に載っけておけばいいんですけどね。ただあまり……。
齊藤部会長代理  電信柱一本幾らというのは今でもありますよね。
舟田臨時委員  ありますか。
齊藤部会長代理  と思いますけれども。
舟田臨時委員  しかしそういうふうに、きちんとそれを主たる約款に載っけておけば問題はないと思うんですけれども、約款以外のことで「あんたは何々だから約款より高い料金でなければ応じないよ」というのは基本的に認めないというぐらいに読まないと、うまくいかないんではないかという気がいたします。
 この辺については何かこの意見では出ていましたか。
吉田料金サービス課長  意味合いとしては、狭い、広いという言い方が適当かどうかはありますが、今、舟田先生がおっしゃったような意味で考えておりまして、たしか前回もお話しさせていただいた最低保障という意味で使っているということでございます。
藤井部会長  今までのところは一応、これで大体、私もよく理解できましたので、次へ進ませていただきますが、ほかにどなたかありませんか。
齊藤部会長代理  もう一ついいですか。消費者保護のところが今回あんまり変わっていないと思うんですが、ちょっと私は教えていただきたいんです。いろいろな消費者の問題というのがあると思いますが、最近よく品質が悪いとか、接続がおくれる、なかなかしてもらえないとか、あと迷惑メールの類とかという話もありますが、要するにいろいろ問題になっていることを、ずっと何か分析があって、そのほとんどはこれで対応できると考えられているということでよろしいんですね。
 ちょっと私が心配なのは、通信事業者がいけないのか、消費者がいけないのかということで、見方によっては詐欺的な高請求が発生するようなトラブルというのが時々、報道されたりするわけです。海外の電話番号に紛らわしい電話番号を出すとか、あるいは電話詐欺的なものが発生したときに、その被害を全部、名義人に転嫁するとか、そういう類のことで、事業者だけが悪いわけではないのかもしれませんが、そういった問題が、この中でどういうふうに扱われているのかを教えていただきたい。
藤井部会長  では事務局。
吉田料金サービス課長  今、齊藤先生がおっしゃいましたように、大きく2つあるかと思います。特に最近多くなってきておりますのは、単に電気通信事業者対消費者ということではなくて、電気通信ネットワークの上で、いろいろ問題がある行為をする人がいる。国際電話に勝手につながってしまう話もそうですし、迷惑メールの問題もあるいは最近議論になっておりますワン切りなどもそうです。ある意味で電気通信事業者が提供しているネットワークというか、サービスを悪用している人がいるという問題と、もう一つ単に事業者の提供しているサービスの内容が、例えば適切でないとか、きちんとした情報を提供していないとか、品質が悪いとか、そういう旧来の問題と、大きく2つに分けられるのではないか。答申の中でも問題の所在に応じて、それぞれ適切に対応していく必要があるというような形で述べているという認識でおります。
山田電気通信利用環境整備室長  45ページの6)というところがございまして、ちょうど真ん中あたりですけれども、電気通信事業者が消費者に対して電気通信サービスを提供することに伴う問題を中心に検討を行っているけれども、一部の利用者が行う不適正な利用によって他の消費者に被害等が生じる問題についても必要に応じて検討を行っているということです。この問題は類型が2つございますということを指摘した上で、必要に応じて後者の類型に属する問題について、特殊な部分についてはそこを指摘しつつ、議論をさせていただいているという構成になっております。先ほど先生がおっしゃった、特に利用者対利用者の問題については、やはり事業者のほうのご対応も非常に重要なんですけれども、それだけではない部分もあるということも指摘はしております。
醍醐委員  要するにBtoCCtoCで、CtoC、利用者相互間、一部の利用者が一般の利用者に対して非常に被害を及ぼしているという実態があるということで、今、おっしゃっている。これは競争政策委員会でも、そっちのも重視するべきではないかというご意見がございまして、本文でも今、紹介があったようなことが書いてあるわけです。第3章は基本的にはBとCの関係で、Cというのは個人からマスユーザということを想定しているわけであります。しかしCとCの間で生じる問題というのは、これは対事業者にそのようなものに対するルールづくりを定めるなり、今回NTT西日本が講じるということがあったような措置で、事業者としてできる措置を当然とっていただく。あと事業者の範囲を超えたものについては、行政が個々の具体的な苦情、あるいはそれに巻き込まれないような消費者に対する啓発、回避をやる。その仕組みをどうするかということを基本に書いております。個々に迷惑メールについてとか、そういったコメントは49ページのところで、既に法制化されたものについては、それを紹介しているということを、個別的な、典型的な事柄については書いているところでございます。
斉藤部会長代理  一般論としてはそれでいいんだと思いますが、事業者のシステムの構成が不備であったり、あるいは約款が消費者にとって不利にできているために、一部の消費者がそういうことで迷惑を受けるというケースが従来からもあるんではないかと思います。でも今度、特にデタリフ化とかいう話で、約款その他がかなり緩くなるとすると、従来でも特に二種業者のこの手のサービスについて、そういう話が散見するかに、新聞情報等でございますが、時々耳にします。いずれそういう方面に関して、またいろいろなルールづくりが行われるんだと思いますが、そのときに十分ご留意いただくようにということで議事録に残していただければ、この文章については結構でございます。
醍醐委員  ご指摘のとおりでして、デタリフ化ということは、タリフベースでないサービスの提供を柔軟に認めるという意味では積極的にあるわけですが、その際にタリフの内容が何か薄まるとか、そういう中身の希薄化ということを想定しているということは全くないわけで、提供条件を少し柔軟にするということであります。むしろ59ページの(ウ)で書いておりますとおり、そのような新しい競争の枠組みで、デタリフ化といったような自由化が進展していくならば、それと反射的に消費者の判断に不可欠な情報提供については、むしろ徹底する。そして説明にも課すことについて検討しなければならないというふうに、ここはむしろ強調しているところだと思っておりまして、この59ページと先ほど申し上げたデタリフ化に対応する消費者保護策というのは表裏の関係にあるということで、ここにつきましても種々、競争政策委員会で議論がございましたが、今、齊藤先生がおっしゃったとおりの、このような保護支援策は、やはりきちんと盛り込んでいくべきだという考え方で、最終、取りまとめたところでございます。
齊藤部会長代理  ありがとうございます。
藤井部会長  ほかによろしゅうございますか。
舟田臨時委員  今回修正がなかったところなんですが、前から気になっていたんです。例えば資料3のパブリックコメントの要約版の12ページのところに、コンテンツ・アプリケーション、12ページの真ん中あたり、プラットフォーム等についてはオープン化することを義務づけるというのが上にあって、それからその下が、主にNTTドコモさん以下ですけれども、プラットフォームなどはもともと規制のない分野だから云々とある。その下にはコンテンツやASPなどの情報サービス全般にまで規制を広げるような姿勢があって、危ないのではないか、そういうことではないかと思うんです。これだけのことが13ページの真ん中よりちょっと下に、サブマーケットの区分についてコンテンツ等、原則自由であるべき上位レイヤーまで範囲が拡大しないようにすべきという意見がありまして、これについてはこの答申では規制すべきとか、あるいは法改正すべきとまでは言っていないんです。
 醍醐先生、場所は90ページのところでいいんですかね。最後の12)、プラットフォーム機能についてオープン化を図る観点からということで、コンテンツ・アプリケーションを提供する事業者を追加することも含めて考えるという文章があって、これに対する批判がパブリックコメントに出たと思うんです。これについてこのままでいいかどうか、ここはむしろ純粋な質問です。こういう意見が出たわけですけれども、このまま90ページの文章を維持するかどうか。
醍醐委員  競争政策の議論を申しますと、ここについては率直に申しまして、特段の議論は交わされませんでした。それが率直な実情です。ただ、ここについては所要の措置を検討する必要があるということで、先ほど部会長が検討する必要があるところが多いとおっしゃったんですが、何せこの第4章というのは、ものすごく広範でありまして、この短い期間中に全部細目までもっと立ち入るということは到底、不可能であったというのが実情で、それは総務省におかれましても、ここまで細部を詰めていくことがなかなか困難だったわけでございます。それと法制化の段階で、さまざまな議論が担当の法制局等々と交わされるということから、なかなか細目にまで入って方向づけをすることが困難な面があったということが実情です。
 ただ、舟田先生は個別具体的にコンテンツとかアプリケーション、かなり上位のレイヤーのところをどうするのかという非常に具体的なご指摘だと思うんですけれども、もう少し一般論で言わせていただくと、事業者に課す規律、特に消費者保護のための規律と市場の発展、活性化ということと、一部の事業者さんは対立的にとらえておられるんですけれども、競争政策委員会の中ではむしろ消費者に被害を頻発させるような、そういうサービスが繰り返し起こるような市場というのは健全に発展していかないのではないか。だから消費者を保護し、支援するような体制を整備するということは、事業者から見ても自分たちのサービスが健全に発展していくための、これは相乗的なものではないかという考え方が出ております。
 我々としてはそのような好循環が生まれていくことを期待しているわけでして、考え方は、今回は一種と二種と区分を廃止しましたところ、規制のレベルとか規律のレベルをどこに置くかということで、場合によっては二種の事業者にとっては、今までよりは例えば届出、公表義務等が増えるという場合もあり得るわけです。どこで線を引くかによって下がるところもあれば、増えるところもあるということになると、これはなかなか利害が調整できない。キーワードとしては規制水準の全般的な低下ということで、規制水準が下がるということはあっても、従来以上に規制が過剰になることは、基本的にはないようにするという哲学で今回はつくられている。その上で市場支配力のある事業者、それからユニバーサルサービスを提供する事業者について、どのような規制にするかということについて、約款の話については、一定の方向づけをしている。
 あと今後の検討といたしましたのは、さまざまな約款とか個別契約の事前、事後の報告、提供義務をどのようなものにするかについては、それはまさに、ほとんどこれは特段、方向づけはできておらず、そこは率直にいって、今後の検討という形になっているというのが実情です。
 十分に舟田先生の個別具体的な質問にはお答えできていないんですが……。
根岸委員  今、90ページの本文ですよね。10)から始まっているわけですけれども、12)は具体的というか対策と考えて、11)です。その11)に書いてあることがどうかということだと思うんです。これに書いてあること自体はこれでいいのではないかと私自身は思います。以前、当初の段階では、例えばレイヤごとに切り分けて検討するということもありまして、それが規制をかなり拡大するのではないかという懸念も表明されたと思いますけれども、それはここではとっておりませんで、しかし11)のところでは、これらのプラットフォーム機能の提供自体については事業法で規制を課すことは適当でない。けれども例えば利用者向け市場において市場支配を置く事業者が、コンテンツ・アプリケーションを提供する事業者に対して不当な規律・干渉等の場合には、電気事業者間の公正な競争を阻害することになる、あるいはコンテンツ・アプリケーション市場の発展を阻害するおそれがある。したがって、もしそうであれば、この12)とつながっているわけですね。したがって11)の認識がおかしいというのであれば、多分12)も変えなければならないと思うんです。私自身は11)は、もちろん具体的な場合どうなるかという問題はありますけれども、一般論としては、こういう認識でいいのではないかと思うんです。それはどうなんでしょうか。12)は11)からつながっているわけなので、私自身としてはよろしいのではないかと思うんですけれども。
醍醐委員  最後の2行ですね。私もこういう利用者向けサービスについて一定の規律を求めるということは、その市場のコンテンツ・アプリケーションの健全な発展と調和する問題ではないかという趣旨で書かれているんだと思っております。
舟田臨時委員  11)は、この文章を読みますと、「不当な規律、干渉や不当な差別的取扱いといった行為を行った場合には電気通信事業者間の公正な競争を阻害することになる」、そこまではいいんです。その後、「将来性の高いコンテンツ・アプリケーション市場の発展を阻害する」。するかもしれませんけれども、逆にこういう規定を置くと、コンテンツ・アプリケーション市場の発展を阻害するのではないかというのがパブリックコメントの皆さんが懸念しているところなので、特にコンテンツは非常に微妙な分野ですから、その11)からの流れという意味ではわかるんですけれども、雑駁に言いますと、それと別に総務省がコンテンツまで規制するのかと。
 ではここで言っているコンテンツ、ここの主役は何か。例えば一番わかりやすいのは、ここで頭に置いているのは、おそらくドコモのiモードですから、ドコモがコンテンツ事業者に対して「あんたのは、もうからないから入れないよ」と。これはいいのか。じゃあ、ポルノはいい、ポルノはいけない、そういうことはドコモが判断するのか。そういうことを頭に置いているんでしょうけれども、しかしそのことを電気通信事業法で規定するか。それはちょっと公正競争を阻害するというか、別のことですね。ちょっと危ないところへ入っているかなという心配があって、まずは醍醐先生がおっしゃったように、「これは検討するというだけであって、何も対象事業者に追加すると提案してはいない」。そのとおりですけれども、しかしなぜこんなことを書くのか。削ってはどうか。
醍醐委員  ご指摘は、内容についてはわかるんですが、従来でも例えばLモードを認可するときの公正競争条件として、さまざまな段階でのオープン化ということを認可条件としたというケースがございまして、ここではそういったオープン化に当たっての差別的な対応等について規律を求める必要があるのではないかということを想定している。コンテンツの中身について、「これは公序良俗に反するポルノだ、どこの線なんだ」というようなことを、総務省が何か関与するという方向性の規律ではないと思っているわけで、あくまでも公正競争上、イコールオープン化のための所要の措置を必要とするのではないかということをうたっているのだろうと理解しております。
南事業政策課調査官  1点だけ補足させていただいてよろしゅうございますか。
藤井部会長  どうぞ。
南事業政策課調査官  この中の記述で、不当な規律・干渉と書かせていただいておりますが、今、現行法の事業法の中で、いわゆる東西NTTとドコモグループがいまして、受けておりますので、NTTドコモグループがいわゆる事業法上の一般禁止行為といたしまして、他の電気通信事業者ですとか、あるいはコンテンツプロバイダですとか、製造業者、販売業者あるいはそういう代理店みたいなところも含めてですけれども、そういった方々に不当な規律・干渉を及ぼしてはいけないという禁止規定を置いております。ですからコンテンツを扱うような方々に対して、不当な規律・干渉を加えることによって、公正競争を阻害するような場合は、当然禁止をされるという趣旨のところを、確認的にその意義といいますか趣旨を書かせていただいているということでございます。
舟田臨時委員  確認?
南事業政策課調査官  今でも現行法上、そういう不当な規律・干渉というのは禁止しております。
舟田臨時委員  ただコンテンツ事業者は入っていないですよね。製造業者と販売業者……。
南事業政策課調査官  コンテンツプロバイダは入っております。
舟田臨時委員  プロバイダが入っている。
南事業政策課調査官  適用除外二種は入っております。ただコンテンツ製作者みたいな人たちは今、入っておりませんので……。
舟田臨時委員  それを追加しようというんでしょう。
南事業政策課調査官  それを追加するかどうかは検討する必要がありますということでございまして、そこは断定的にそう決めているわけではありません。そういう問題があるなら追加すればいいということだと思います。
齊藤部会長代理  ここの私の解釈は、10)に書いてあるプラットフォーム機能が重要だからだということです。このプラットフォーム機能というのは、狭くいえば、ポータル機能といってもいいと思うんです。要するに電話機を上げて、どこかのボタンを押したらそこにつながるというようなことは、ドミナント事業者は非常にやりやすい。それが一般化する、普及する可能性が高い。これを支配力を有する事業者がプラットフォーム機能を通して、そういうことをやるということですね。それが現に問題になっているわけで、その点について、ではそのプラットフォーム事業をしている市場支配力を有する事業者は、全体としての発展のために不当な規律・干渉をしてはいけないというのが今、制度化されていることだと思うんですね。それが書いてあるというのが南さんのご説明だと思ってよろしいですか。
南事業政策課調査官  11)のところはそういうことを申し上げている。
齊藤部会長代理  10)から来ているわけですね。「これらの機能の提供自体と」と、こう受けているわけですから、10)から来ているということですよね。それでよろしいですね。
南事業政策課調査官  それで結構です。
齊藤部会長代理  そうすると、それについては現にあるルールどおりだと思います。これはプラットフォーム事業はやってはいけないとは書いてないですね。プラットフォーム事業をやっている人が、コンテンツ・アプリケーション市場の発展を阻害するおそれのないようにしてくれと言っているんですから、これでいいように私は思います。
舟田臨時委員  禁止規定の規定は、ご存じだと思うんですけれども、経緯がありましたね。なぜ製造業者と販売業者が入っているかというと、はっきりいって独禁法違反行為、あるいはそれに近い行為をしたからですね。ですからそういうこともあって、製造業者、それから販売業者が入ったと僕は思うんです。それは立法者がどう考えたかはそこまではっきりしていませんが。ですからこの2つについては、はっきり公正な競争を阻害するおそれがある。ドミナント事業者が、市場における優越的地位を使って、製造業者にああしろ、ああしたらいかん、販売業者に対して再販価格を守れとか言うことは、私は非常にわかりやすいんです。
 コンテンツ事業者については今おっしゃったとおり、プラットフォーム機能、あるいはポータル機能について不当にああしろ、こうしろと言ったんではないかということが問題になっていたんでしょうけれども、現行法上はコンテンツ事業者あるいはアプリケーション事業者に対して不当干渉というのは書いていないと思うんです。だからこれは追加したらどうかという提案なんですけれども、しかしそうしなくてはいけないものかどうかですね。今までiモードとLモードはそういう形で個別に対応を図ってきて、それはそれなりにできたわけで、それと別に禁止行為としてまた挙げる必要があるのか、ここで言う必要があるのか、私はちょっと疑問があるものですから、申し上げているわけです。
醍醐委員  少しずつわかってきたんですが、先生のはもっと個別具体的でして、ここでいう90ページの下から3行目、「適用除外事業を含む」ではなくて「製造・販売業者に加えて、これらに該当しないコンテンツ・アプリケーションを提供する事業者も含める」ということの是非を指摘されているという、極めて個別具体的なご指摘だと思われるんです。それについては、ここでは含めることを適当とするという言い方はしていないんですけれども、しかし検討はしなければならないことがあるのではないかという形で、今後の検討課題としているわけでして、ここは含めることが必要というふうな言い切り的な表現ではないというのが、ここの趣旨だと理解しております。
 ただ検討していく必要性はあり得るんではないかということだと思っております。ですからその段階で、先生のおっしゃるような懸念とか、あるいは必要性とかが相互に議論が交わされるのではないかと思うんです。
根岸委員  舟田先生にちょっとお尋ねしたいんですけれども、この11)のところで、「例えば」と書いてありますね。「市場支配力を有する事業者がコンテンツ・アプリケーションを提供する事業者に対して不当な規律・干渉や不当な差別取り扱いを行った場合には」と書いてありますね。こういうことがないということなんでしょうか。あるいはあっても、そういうものを電気通信事業法で問題にするのはおかしいという趣旨でしょうか。どっちでしょうか。
舟田臨時委員  そういうことはあり得るし、そういう場合、電気通信事業法でやってはいけないとは思いませんけれども、コンテンツ事業者に対する不当な干渉を禁止行為として挙げるかどうかですね。これは事務局にお聞きしますけれども、この追加規定を入れない場合、コンテンツ事業者に対してドミナント事業者が不当な干渉をした場合に、それを規制する根拠規定はないですか。まさか業務改善命令しかない? 何かありますか。もうないんですかね。
根岸委員  iモードなんかのオープン化の場合はどうでしたですかね。
舟田臨時委員  あれは根拠規定は何でやったんですか。
根岸委員  必ずしも法的には……、そういう問題はあったんではないかと私は思いますけれども、間違っているかもしれません。
 そうすると、そもそもそういう場合には、要するに独禁法でやればいいという趣旨ですか。
舟田臨時委員  業務改善命令は、一般的に別にドミナント事業者に限らずあるわけです。
南事業政策課調査官  私どもが先般の事業法改正で、この禁止行為を入れさせていただいた趣旨は、その行為類型を明確に、できるだけ具体的に書くことによって、速やかに是正が可能なようにしようと。要するに業務改善命令というのはもちろんあるんですけれども、これはある反競争的な行為が行われても、それが利用者利益を阻害するという結果をもたらさない限りは発動できない仕組みになっております。そうやって全事業者に共通にかかっております。
 これに対しまして事業法でつくりましたのは、ドミナントに限っては、より公正競争を阻害する蓋然性の強い行為を3つ書かせていただいた一つがその製造業者、販売業者への不当な規律・干渉でございまして、これをやれば速やかに停止変更命令がかけられるようにしている。その行為があれば、その行為をもって速やかに停止変更がかけられるようにするというのが趣旨でございますので、当然、利用者利益を阻害する結果をもたらせば、あらゆる業務のサービス提供行為について業務改善命令の対象になり得るんですけれども、なかなか立証は難しい面があるだろうということでございまして、もしそういう自体が生じた場合に、それを速やかに除去する必要があるのであれば、禁止行為の中に明記する必要がある。ただそこは我々もそうすべきだと今この段階で結論が出ているものでもございませんので、そこは検討させていただきたいということでございまして、何か予断をもって今、結論をお示しできるということではないと理解しております。
林委員  質問ですが、よろしいですか。これは確認なんですけれども、答申全体が事業法、事業者に対して物を言っているわけですね。そうすると最後のところで、コンテンツ・アプリケーションを提供する事業者を追加すること等も含めて言うんですが、例えばべリサインという通信事業は営んでいない会社があって、これが課金・認証等のプラットフォームサービスを提供している。そこで何か不当なことが起こっていたとして、そもそもこれは事業法の対象にはならないわけですね。したがってここにコンテンツ・アプリケーションを提供する事業者と書いたときには、電気通信事業者であって、同時にコンテンツ・アプリケーションを提供するというところに限定して、それを追加するかどうかを考えるという意味なんでしょうか。それとも一般的にソフト事業者ということに拡大すると、これはやや事業法の範疇を越える話になりますから、大変、問題が大きくなるので、そこのところの解釈をもう一度確認したかったわけです。
根岸委員  多分、それは90ページの「利用者向けサービス業において市場支配力を有する事業者」ですから、これの禁止行為の対象ということですが、その主体自体は市場支配力を有する電気通信をやっている事業者ということなので、その相手先の対象範囲を広げるかという問題ですね。
齊藤部会長代理  そういう意味では12ページに書いてあるニフティ以下が言っていることは、今の林先生の心配のようなことが書いてあるんですが、これは心配には当たらないと。
古市事業政策課調査官  そうです。今、根岸先生がおっしゃったとおりです。ここではコンテンツ・アプリケーション事業者自体に規制の客体、あるいは対象を広げるということではないんです。例えば市場支配力を持っているような電気通信事業者が、同時にそのコンテンツ・アプリケーションに対して、そういった電気通信事業における市場支配力によって、その反競争的な行為を及ぼすとか、そういったことを防止するということでございまして、そういった点の誤解が、こういったパブリックコメントに反映されていると思うんですけれども、そこについては誤解に基づくコメントであるということでございます。
舟田委員  そのとおりなんですけれども、しかし電気通信事業者とコンテンツ事業者との取引について、不当な干渉かどうかを判断するのは総務大臣なんですから、そういう意味ではコンテンツにかかわるといえばかかわるんですね。非常に微妙だと言ったのはそのことで、だからこそ、ここも結論を出していないんでしょうけれども、とにかく電気通信事業者とコンテンツ事業者との間の取引で、もちろん規制の対象とするのは不当な干渉ですけれども、不当な干渉かどうかを見るときに、干渉の内容が「あんたのコンテンツはこことここだから」ということを言っているわけですから、どうしてもコンテンツが増えざるを得ない。そこがちょっとややこしいところだなということで、私は腰が引けているんです。今これを削除してくれというほどの強い意見ではございませんで、ただここは必ずかどうか、もしかしたらここはなぜこういう検討をしなければならないのかという質問が部会等で出るかもしれませんので、(笑)そのときにはこういう議論の末……。
藤井部会長  お話を伺っていますと、こっちの人のを聞いていると、ああ、なるほどそうかいなと思って、こっちの人を聞いていると、いや、それもあるなと、だんだん法律用語よりも現実の商売をやっとる人は、次から次、考えますからね。そうすると最初、私は検討する必要があるというのがえらい多いなと言っていましたけれども、こんな話を聞いていると、やっぱり商売のやり方も技術もどんどん世の中が進むものですから、やっぱりこういうふうに検討する必要があるという言葉がやっぱり要るのかなと思っているところであります。どこかの時点で私も文章はそれぞれ読みようがあるし、どうしてもあれであれば議事録に残せばいいわけでございまして、一応検討する必要があると書いているわけですから、これでいったらいかがと思っておりますけれども、よろしゅうございますか。
(「結構です」と言う者あり)
藤井部会長  ありがとうございました。
 議論を深めていくと、ほんとにこういう文章をつくられた方のご苦労が、今さらのように思われるわけでして、こう見ているよりも、議論を深めていただくとほんとに大変だなと改めて委員の方々、あるいは事務局の方にお礼を申し上げるわけです。お話を伺っていますと、それなりにしっかり詰めておられると思いますし、今後の進展の中にはいろいろな問題が当然出てくると思いますが、それはそれといたしまして、一応、この最終答申の扱いでありますが、できれば次のようにしたいと考えております。皆さん方の今のお話を伺いまして、特に今回修正する点は一応ないといたしまして、この会合終了後の部会長会見の場において、最終答申として配付するとともに8月7日の情報通信審議会総会に報告したいと思いますが、よろしゅうございますか。
(「異議なし」と言う者あり)
藤井部会長  ありがとうございます。
 今後の予定でありますが、8月7日の情報通信審議会総会において、ご了解いただければ、片山総務大臣に対して答申を行う予定であります。
 それでは最後となりましたが、8月7日の総会において予定どおり答申がなされた場合には、平成12年諮問第29号「IT革命を推進するための電気通信事業における競争政策の在り方」について集中的に審議すべく設立された本特別部会は、委員の皆様の多大なご協力によりまして、その役目を終えることになります。ある意味において感慨無量でございますが、最後に鍋倉総合通信基盤局長よりごあいさつがあるとのことでございますので、鍋倉局長、よろしくお願いします。
鍋倉総合通信基盤局長  今、部会長からございましたように、平成12年7月だったと思います、もう丸2年になりますけれども、その間に先ほど部会長からお話がありましたように、一次答申、二次答申、で、今回の最終答申ということでいただきました。8月7日の総会でご了解を得られれば、この3つの柱、一つは更なるネットワークのオープン化、もう一つが消費者の支援、もう一つがこれはある意味では今度のメーンになるわけでございますけれども、電話時代からIP時代への競争政策の転換ということで、今後、私どもは第3番目を中心にしまして、できれば来年の次期通常国会におきましては電気通信事業法の抜本的な改正ということで、部会に提出をさせていただきたいと思っております。
 ただ事業法をつくるのにも、これは先生方もご承知の亡き官房長の高田が、事業法は1年半にわたる用意でつくった法律でございますけれども、ある意味ではそれをがらがらっと変えてしまうような法律の中身になると思います。そういう意味であまり期間はないわけでございます。白地にまた絵をかくような感じでございますけれども、1年ありません。先生方、またきょうもいろいろご議論ございましたけれども、いろいろな面で積み残しているというか、今後検討して、法案化する上においては、詰めておかなければいけない問題というのがいろいろございますので、またいろいろご支援、ご鞭撻をいただきながら、国会への提出に向けて頑張ってまいりたいと思います。よろしくお願いをしたいと思います。
 ありがとうございました。
藤井部会長  委員の皆様におかれましては、これまで約2年間にわたり、精力的にご審議をいただきまして、ありがとうございました。特に私のようなど素人の部会長でございまして、皆さん方のご協力によりまして、とにもかくにもこの答申案にこぎつけるまでに来たわけでございますが、最初考えていたことと今でき上がった案を見ると、私は結構皆さんのご議論の中でいい方向に行ったのではないかと、先ほど齊藤さんと話していたんです。時代の流れというのは、やっぱり船に乗ると太平洋に出るものでございまして、時代の流れの中で先生方の非常に貴重なご時間をおとりいただきまして、こういう答申案をまとめていただきましたことにつきまして、重ねて厚く御礼いたします。
 それではこれをもちまして、本日の審議は終了いたします。どうも大変いろいろお世話になりました。ありがとうございました。

  ── 了 ──




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