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発表日  : 2000年10月20日(金)

タイトル : 日本交信網有限会社と東日本電信電話株式会社との接続に関する裁定






            −電気通信審議会からの答申−


 郵政省は、本日、電気通信審議会(会長 那須 翔)から、日本交信網有限会社
(代表取締役 岩崎 信)と東日本電信電話株式会社(代表取締役社長 井上 秀
一)との接続に関する裁定案に係る本年9月26日付けの諮問(別紙1)に対し、
諮問のとおり裁定することが適当である旨の答申を受けました(別紙2)。この答
申は、本年9月26日に同審議会が実施した意見聴取の結果を踏まえて行われたも
のです。
 郵政省では、この答申を尊重して、裁定を行います。




                  連絡先:電気通信局電気通信事業部業務課
                     (担当:藤野課長補佐、寺村係長)
                  電 話:03−3504−4831
                  FAX:03−3595−2008


別紙 1

            接続に関する裁定案について

I 当事者
  日本交信網有限会社(申請者)(以下「日本交信網」という。)
  代表取締役    岩崎 信
  東日本電信電話株式会社(以下「NTT東日本」という。)
  代表取締役社長  井上 秀一

II 裁定の申請の概要
  8月11日に受理した日本交信網による裁定の申請の概要は次のとおり。
 1 NTT東日本豊四季局において、NTT東日本のMDFと日本交信網の電気
  通信設備を接続する際に、MDFを設置するフロア(地下1階)に空きスペー
  スが十分あるにもかかわらず、日本交信網の電気通信設備を当該フロアに設置
  することについて合意が得られない。

 2 相互接続点調査費用について、当事者双方の算定額に相違がある。
   NTT東日本の算定額
    移動時間                8人・時間
    現地作業                4人・時間
    机上計算                1人・時間 
    合 計                13人・時間
     ×作業単金(8,844円)   114,972円

   日本交信網の算定額
    現地作業                2人・時間
    机上計算                1人・時間 
    合 計                 3人・時間
     ×作業単金(8,844円)    26,532円

III 裁定案
  別紙のとおり。


 別紙 

        電気通信設備の接続の条件について(裁定案)

 電気通信事業法(以下「法」という。)第39条第3項の規定に基づき、日本交
信網有限会社(以下「日本交信網」という。)の電気通信設備と東日本電信電話株
式会社(以下「NTT東日本」という。)の電気通信設備との接続に関して、別紙
(略)の日本交信網の申請に係る接続協定の細目について下記のとおり裁定する。


                  記

1 NTT東日本豊四季局における日本交信網の電気通信設備の設置場所について

  NTT東日本は、同社豊四季局の地下1階に日本交信網がその電気通信設備を
 設置することを認めるものとする。

 (理由)
  日本交信網はその電気通信設備を、NTT東日本豊四季局内において主配線盤
 (MDF)の設置される地下1階に設置することを要望している。当該地下1階
 には当面他の用途での利用予定がなく、日本交信網の希望する電気通信設備の設
 置に十分な広さの空き場所が存在し(別添参照)、かつその場所でコロケーショ
 ンを行うことでNTT東日本等の電気通信回線設備を損傷したり、その機能に障
 害を与えたりする特段のおそれがあるとは認められない。

2 「相互接続点の調査」の費用負担額について

  NTT東日本が同社豊四季局において行った「相互接続点の調査」について日
 本交信網に負担を求める費用総額は、61,908円を超えない額とする。

 (理由)
 (1) NTT東日本が本件「相互接続点の調査」の費用の算定を、接続約款に規
   定される工事費の算定方法に準じて、個別に「作業単金×作業時間」によっ
   て行っていることは、必要以上に時間がかかるような事態を招き接続事業者
   の負担を過重なものとするおそれを否定出来ず、又、その際の作業単金を時
   間当たり8,844円としていることは、その作業の内容等に照らして適正
   であるかについて議論の余地なしとはしないが、これらについては当事者間
   での争いとなっておらず、現状においては不当とは断じ得ない。

 (2) NTT東日本は調査員2名が豊四季局の調査のために平成12年2月28
   日9時52分に千葉みなと局を出発し、豊四季局での作業を終えて17時0
   3分に千葉みなと局に帰着したこと、その要した時間7時間11分のうち千
   葉みなと局・豊四季局間の往復85kmの移動に4時間00分を要したことを
   当該調査員がその旨を申告したことを根拠として、移動時間1人当たり4時
   間、現地作業時間1人当たり2時間を(1)の作業時間に含めて算定している。

 (3) このうち、NTT東日本が現地作業において2名を要するものとしてこれ
   を算定上考慮したことは、必要な作業の内容と効率性・安全性への配慮の必
   要性にかんがみて、明らかに必要以上に人員を投入したものとまでは認めら
   れない。

 (4) 次に、NTT東日本が算定上作業時間に調査員による豊四季局への移動の
   時間を含めたこと自体は、豊四季局が無人局であることを考慮すれば相互接
   続点の調査のために必要やむを得ない工程と認められることから、不当なも
   のではないと認められる。

 (5) しかしながら、移動時間として豊四季局との間の85kmの距離の移動に1
   人当たり4時間を充てていることについては、仮にこれが実時間であったと
   しても、千葉みなと局からの往復時間としている点について妥当性が認めら
   れない。調査員2名は、相互接続点の調査のためのスキルを有する人員を配
   置しているとNTT東日本が主張する最近接の局(浦和局)から1名、豊四
   季局を管理する千葉支店の人員として配置されている最近接の局(柏局)か
   ら1名を充てることで足りると考えられること、浦和局からであれば豊四季
   局まで往復100分程度で移動出来ること、柏局からであれば豊四季局まで
   往復10分程度で移動出来ること等を考えれば、1人当たり1時間を超える
   時間を充てる理由はないものと考えられる。

 (6) 以上から、次のとおり「相互接続点の調査」の負担額が61,908円を
   超えるものとは考えられない。
                            
  移動時間               2人・時間  
  現地作業               4人・時間  
  机上作業               1人・時間  
  合 計                7人・時間  
   ×作業単金(8,844円)   61,908円  


 別添 

              NTT東日本豊四季局 地下1階平面図

NTT東日本豊四季局地下1階平面図

*:NTT東日本は、「架として区画される60cm×60cmの単位で見れば、空き
  スペースがあり、日本交信網設備の設置に必要とする60cm×60cmに前後6
  0cmの保守スペースを加えたスペースの確保ができない訳ではない」としてい
  る。


別紙 2

                        平成12年10月20日

 郵政大臣  平 林  鴻 三 殿

                    電 気 通 信 審 議 会
                     会 長    那 須  翔


               答 申 書(案)


 平成12年9月26日付け諮問第46号をもって諮問された事案について、調査
の結果、下記のとおり答申する。

                  記

 本件、日本交信網の東日本電信電話株式会社との接続に関する裁定案については、
諮問のとおり裁定を行うことが適当と認められる。
 なお、提出された意見及びそれに対する当審議会の考え方は、別紙のとおりであ
る。





 別紙 



             接続裁定案に関する意見聴取結果及びそれに対する考え方
I.NTT東日本豊四季局における日本交信網の電気通信設備の設置場所について
意見・質問
考え方

意見1−1 NTT東日本に具体的な事業計画がない以上、日本
交信網の希望する地下1階にコロケーションを認めるべき。
1 地下1階に日本交信網の設備設置スペースが確保されることが適当
 と考えられる。
  (日本交信網)
 
2 弊社としましては、郵政省殿の裁定案を支持いたします。まず、1
 点目の日本交信網殿の電気通信設備をNTT東日本殿の豊四季局に設置
 する件につき、日本交信網殿の希望する地下1階にスペースがある限
 りは、そこへの設置を認めるべきです。NTT東日本殿は地下1階にお
 いては新ノードの増設計画及び将来の需要によるMDF及びFTM増設の予
 定があると答弁されていますが、その計画について具体的な事業計画
 がないのであればその場所への設置は可能とすべきです。
  (レベルスリー)
意見1−2 将来的に移設する可能性があることを了承した上で
地下1階に日本交信網設備をコロケーションする。
3 地下1階において、NTT東日本が今後の増設・需要対応に伴い計
 画している区間に設置する場合には、将来的には新ノード等への更改
 が予定されているスペースであることから、その際には移設いただく
 必要があります。
  (NTT東日本)
 
考え方1
 
 
 コロケーションは「例えば可能な限り
接続点から最短距離にあること等、最も
低廉になる条件にあることを基本とする
もの」(平成12年8月31日電気通信
審議会答申、郵通議第3076号)であ
るべきであり、この趣旨に照らして日本
交信網の要望する地下1階におけるコロ
ケーションは認められるべきである。
 又、コロケーション開始後の日本交信
網設備の移設に関しては、NTT東日本
から郵政省に対しては同社豊四季局地下
1階における空き場所を利用するという
事業計画の存在は示されておらず、又、
それに類似する具体的で一貫性のある使
用計画も提示されていないとのことであ
り、将来における日本交信網の設備の移
設が必須であるということはできないた
め、これをコロケーションを行う上での
前提条件とすることは認められない。

意見2 地下1階にコロケーションする場合には相応の期間と追
加コストが必要となる。
4 3階については、既に他事業者様がコロケーションしていて、電力
 設備等の共用可能なインフラ設備があり、早期に設置できるスペース
 となっております。地下1階にコロケーションを行なった場合は、3
 階にコロケーションを行なう場合と比較して、コロケーション設備工
 事費は地下1階の方が安くなりますが、他方、コロケーションを可能
 とするためのインフラ設備(電力設備、ラックなど)が設置されてい
 ないことから、日本交信網殿専用にインフラ設備の新設が必要となる
 ものと想定されます。その場合には新設に伴う工事の期間については
 、お待ちいただくことになること、及び、インフラ設備利用のため日
 本交信網殿にご負担いただく額が既存設備との共用が可能な3階と比
 較して増額されることとなります。
  (NTT東日本)
 
考え方2
 
 
 局内の既設電力設備の容量を提供する
こと等により、電力設備等の新設は必ず
必要なものとは言えないため、新設工事
や負担額の増加が必須であるということ
はできない。

II.相互接続点の調査の費用負担額について
意見・質問
考え方

意見3−1 裁定案どおり1人あたりの移動時間は1時間以内と
すべき。
5 郵政省殿の裁定案にあるとおり、相互接続点の調査のスキルを有す
 る人員を配置している最近接の局から派遣すべきです。したがって、
 一人当たりの移動時間は1時間以内と考えるべきです。
  (レベルスリー)
意見3−2 相互接続点調査費については実費回収であり、裁定
案に示されているような仮に移動したとみなした時間で算定され
るべきものではない。
6 県内通話を役務の提供範囲とする弊社としては、県内業務集約に伴
 い、当該業務に必要な情報及び技能を有する要員を県内業務集約拠点
 から派遣し、その実費をいただくことは認められるべき範囲と考えま
 す。
  弊社は他事業者様との激しい競争下にあり、長期増分算定方式やプ
 ライスキャップの導入に対応するため、徹底的にコストリダクション
 を図ってきております。弊社は県内通信を行なうものであることから
 、計画・設備情報管理体制なども、効率性を鑑み県単位で集約を図っ
 ております。これに伴い、局舎等の管理・貸付権限者は当該県域支店
 長としているところであります。
  平成11年度における千葉支店管内のDSLも含めた相互接続点調査
 件数は、総計でわずか12件であることから、相互接続点調査業務に
 ついても、千葉支店では1箇所(千葉みなとビル)に集約実施してお
 ります。また、発生頻度が比較的高い東京支店でも5箇所に要員を集
 約配備し運用しているところです。
  この業務集約により、一方ではご指摘いただいているように県境に
 近い豊四季局への相互接続点調査では、集約拠点である千葉みなとビ
 ルからの派遣となり移動時間がかかることとなりますが、他方では集
 約による業務効率化によりユーザ料金や接続料金の低減化を進めるこ
 とが可能となり、日本交信網殿を含む広く社会一般に還元できること
 となります。以上のことからも、当該移動時間とそれに係る費用につ
 いては、受忍されるべき範囲内ではないかと考えております。(県や
 市町村といった「行政区画」に準拠して業務を集約する結果、それに
 伴い一部に生じる不利益は、税務署への確定申告、パスポートの取得
 手続き等、一般の行政事務でも受忍の範囲内とされております。また
 県単位で権限を持たせて、管理・貸付権限を移管することについても
 行政及び他社においても一般的に行なわれており妥当であると考えて
 おります。)
  また、相互接続点調査業務には基本台帳の調査・確認〜現場調査〜
 貸付決定という一連の流れがあり、更には相互接続のための建物内外
 の設備建設業務等がこれに続くといったケースもあります。現場調査
 のみを他支店に委託実施することはそのための情報のやりとり等、下
 記のように別途稼動を要することとなり、また期間的にも増加要因と
 なります。
  したがって、相互接続点調査業務は当該ビルを管理し、必要な権限
 を付与されている県域支店において実施されることが最適であると考
 えます。
  [他支店に委託実施する場合に別途要すると想定される稼動]
 (1) 千葉支店で管理している、豊四季局の情報を千葉支店にて収集
   ・取りまとめを行ない、結果を埼玉支店の派遣担当者に通知す
    る業務
 (2) 相互接続点調査を行う埼玉支店における、豊四季局情報(基本
   台帳)などの事前把握業務及び事後の報告書等作成業務
    (NTT東日本)
 
7 相互接続点調査費に関しては、「実費」回収が原則であり、裁定案
 に示されているような仮想の費用で算定されるべきものではないと考
 えます。
  裁定案で指摘いただいている県間を越えた業務の実施については、
 相互接続点調査のように日常的に生じる業務では、支店間支援に伴う
 作業調整稼動の発生及びそれに係る費用が新たに生じることから、現
 状の運営体制上では作業性において非効率であると考えます。
  従って、県内通話を役務の提供範囲としている弊社としましては、
 県内業務集約に伴い、当該業務に必要な情報及びスキルを有する要員
 を県内業務集約拠点から派遣し、その実費をいただくことは認められ
 るべき範囲と考えます。
  また、県内業務集約により、県境に近い局に対する調査業務等にお
 いては移動時間がかかる場合もありますが、一方では集約による業務
 効率化により、ユーザ料金や接続料金の低減化を進めることが可能と
 なり、広く社会一般に還元できることとなります。以上のことからも
 、当該移動時間とそれに係る費用については、認められるべき範囲内
 ではないかと考えております。
  (NTT西日本)
 
考え方3
 
 
 「作業単金×作業時間」という費用負
担額算定方式は、必要以上に作業時間が
かかることが負担額に反映されることを
排除し難いという問題があるが、この方
法を採る場合にも合理的な範囲を超えて
長期に亘る作業時間を算定上前提にして
良い訳ではない。
 NTT東日本において「相互接続点の
調査」のために2人の調査員を千葉みな
とから派遣することになったというのは
NTT東日本の事情によるものであり、
当然に費用負担額の算定に反映すべきと
いうことにはならない。
 最近接の局からの移動時間を考慮する
裁定案は作業時間を合理的な範囲で算定
する上で適当と考えられる。

意見4 豊四季局は無人局ではなく、移動時間は作業時間に含め
るべきではない。
8 「豊四季局が無人局」ということであるが、実際には無人ではなく
 、有人であり、その広大な駐車場には多数の車が出入りしている。夜
 10時までも3階窓の明かりは消えないことは、豊四季局に赴いてみれ
 ばわかる。NTT豊四季局は、地図によっては「千葉ネットワークセン
 ター」と記されており、その敷地面積の広大さは日本有数である。
  (日本交信網)
 
9 今回のような、移動時間の算出の根拠は、もともと、豊四季局が無
 人で無いということが交信網様の調査による写真等により明らかです
 。よって、交信網様が主張されているとうり、移動費等の原価発生は
 ありえないこととかんがえます。局舎で有人であるからには、電気主
 任技術者がいる筈です。
  (筒井)
 
10 勤務のために会社に移動する時間について、その時間は勤務時間は
 ならず、会社から給与対象時間とはならないのが普通である。本件に
 ついては、仮に千葉みなと近辺の社員が豊四季まで勤務(移動)した
 としても、毎日朝9時に千葉みなとに出勤していることを、豊四季に
 出勤することになったものと考えることができ、その移動時間は毎日
 の出勤及び退勤時間同様に給与支払対象時間とはならないのが当然と
 考えられる。そもそも、公共の福祉増進のための電気通信事業者によ
 る相互接続にともなう作業について、一方に対してのみ課金されるこ
 とは不当であるものと考えられる。公正競争環境を整備促進し、公共
 の利益の増進を計るためにも、相互接続に伴う費用は支配的事業者に
 負わせることとするべきである。
 http://www.mpt.go.jp/pressrelease/japanese/denki/000922j60
 4.html
  独占的事業者に対してより厳しい制度を創造することがIT革命を促
 進しようとする政府の役目である。独占的事業者を保護するような政
 府にはIT革命などできるはずはない。
  IT戦略会議 http://www.kantei.go.jp/jp/it/index.html
  IT 時代に対応したネットワークインフラに関する競争環境の整
 備、制度改革
  Http://www.miti.go.jp/feedback/data/i00818aj.html
 
  NTT東日本による提出資料を検討した結果、相互接続点調査費用な
 るものが存在するとすれば、次のいずれかの額になるものと考えられ
 る。
 1. 0 円
 <理由> そもそも、接続申込(接続約款第11条 事前調査申込htt
  p://www.ntt-east.co.jp/info-st/constip/index.html)手続
  きにより、NTT東日本は、その接続が可能かどうかについて1ヶ月以
  内に回答を行うために必要な調査を完了しているのであるから、同
  様の調査作業を繰り返すことは不要であり、費用は発生しないこと
  になる。NTT東日本による、単なる儲け口を増やすための方便と考
  えられる。
 2. 13,266円(移動時間算入なし、1人による0.5時間現地作業、
  フロアまたがり作業なし)
   現地作業 1人x0.5時間
   机上作業 1人x 1時間 
   合計     1.5時間
   x作業単金(8844円)=13,266円
 <理由> 現地作業は1人により0.5時間以内で完了する内容である。
  MDF上に設置される端子盤スペースを確認し、そこから最短距離で
  なければならない接続通信設備設置場所(60cmx60cm)を特
  定確認するのみ。その場所はいずれも地下一階であり、異なるフロ
  アに設置する場合に伴う作業は削除される。ケーブル配線等は、30
  メートル以下の距離を歩きながら目で確認できる。 通勤(移動)
  時間は算入されない。(移動時間を最小にし、コスト削減努力をす
  る意欲を損なう。ビル内人員で作業可能。)
 3. 万が一、通勤(移動)時間が算入されるとすれば、最小単位の1
  時間以下に限定することが適切である。仮に札幌から通勤したとし
  ても。同一目的のための2重作業は必要ないので作業時間は発生し
  ない。
 (日本交信網)
 
日本交信網
NTT東日本
裁定案
移動時間
 
8人・時間 
(2人、往復4時間)
2人・時間 
(2人、往復1時間)
現地作業
 
0人・時間 
 
4人・時間 
(2人、2時間)
4人・時間 
(2人、2時間)
机上作業
 
0人・時間 

1人・時間 
(1人、1時間)
1人・時間 
(1人、1時間)
合計
0人・時間 
13人・時間 
7人・時間 
×作業単金
(8,844円)
0円 
 
114,972円 
 
61,908円 
 
 
考え方4
 
 
 NTT東日本は豊四季局には常駐社員
がいないとのことであり、その意味で豊
四季局は無人局であって、同局への業者
等の出入りがあるといった事情のみを以
ってNTT東日本の要員を他局から派遣
すること及び合理的な範囲内での移動時
間を作業時間に算定することが不当であ
るとは言えない。

意見5 フロアをまたがる作業は現地作業時間に含めるべきでは
ない。
12 裁定案により、コロケーション場所(設備設置場所)はMDF(回線
 端子盤架)と同一フロアであるべきことから、日本交信網の要望に反
 して、あえて異なるフロアに設置させようとしたことに伴う、作業時
 間(フロアをまたがることに伴う作業時間)は削除されなければなら
 ないので、現地作業時間は1時間以下となる。
 
 (中略)
 
  フロアをまたがる場合に伴う作業時間は削除されなければならない
 。
 <理由> 同一フロアに設備設置可能であるにも関わらず、NTT東日本
  の自己責任により、異なるフロアに設置強制しようとしたのである
  から、そのことに伴う作業時間は自己負担としなければならない。
  現地作業は1時間以内で終了せざるを得ない内容となる。MDF上の端
 子盤設置予定場所が存在することと、接続通信設備設置場所が存在す
 ることを確認することのみで、相互接続点設置が「可能」という回答
 を作成するための必要最小限の作業であり、それは同一フロアを50メ
 ートル以上歩く時間とはならない。0.1〜0.5時間が適当である。それ
 以外の作業は実際に接続工事が行われることが確定した後に必要に応
 じて行われればよいものと考えられる。
  (日本交信網)
 
13 電源等の設備については、今回改めて調査がなされているが、元来
 管理されていることがあたりまえであり、そのような調査が必要であ
 るということは現実的でございません。よって今回の調査の内容がそ
 もそも本当に、反競争的意図以外の目的をもってして、すべて必要な
 事項であるかどうかも疑わしく考えます。
  (筒井)
 
考え方5
 
 
 現地作業時間は本件裁定申請において
争いとなっておらず、今回の裁定により
判断されるべき事項ではない。
 なお、今回の裁定案はMDFの設置場
所と同じ階でのコロケーションが認めら
れるべきとしているが、本件における「
相互接続点の調査」の時点(平成12年
2月)においては、コロケーションの場
所が明白に特定出来る状況にあった訳で
はなく(この時点ではコロケーション場
所についてのルールも明確ではなかった
。)、様々な可能性が想定されたのであ
るから、別の階の場所を候補の場所とし
て調査したこと自体は必ずしも不合理で
はない。
 従って、本件に関してはフロアをまた
がる作業について現地作業時間に含めて
いることはやむを得ない範囲内と考えら
れる。

意見6 現地作業は1人で十分な作業である。        
14 2人で行ったと仮定されている作業は、それが実際に行われたので
 あれば、1人で行われたであろうこと、1人で十分な作業内容であった
 ものと考えられる。
  NTT局舎の構造、ケーブル配線等はすべて図面で確認可能であり、
 それをさらに確認することがあるとしても、1個以上の目によって現
 場確認されることは過剰であり、その過剰な目のコストはNTT自らに
 よって負担されるべき性質のものである。
  (日本交信網)
 
考え方6
 
 現地作業については、NTT東日本は
高所作業や距離の測定等のために2人を
要するとしているのであり、このこと自
体、特に不合理とまでは言えない。

意見7 作業単金の妥当性についても改めて議論すべき。   
15 建設物価調査会 http://www.kensetu-bukka.or.jp 発行の「建
 設物価」によれば、平成12年6月調べ、「通信工事技術者賃金実態調
 査」データとして、「監督又は主任技術者」の平均賃金1日8時間、
 27480円であり、1時間あたり、3435円となっている。相互接続点調
 査作業は「通信技術員B」に相当する者でも可能であるものと考えら
 れることから、1時間あたり作業単金は2300円程度とすることが適当
 である。
 
1人1日(8時間あたり賃金)
 
全国平均
 
人員
年齢
平均額
 1時間当 
たり賃金
監督又は主任
通信技術員A
通信技術員B
通信工
1,605 
1,278 
1,376 
2,444 
47.7 
41.2 
33.3 
27.3 
29,530 
23,740 
18,940 
15,480 
3,691 
2,969 
2,367 
1,935 
監督又は主任技術者:通信工事の施工にあたって計画、設計、積
算ができ、さらに通信技術員A及び通信工の行う作業に精通し、
班員を指導、監督できる優秀技術者
通信技術員A:工事会社の工事部門に所属し、当該機器の試験、
調査及び設置工事に関する十分な試験(高卒10年以上、大卒7年
以上の経験を基準とする)と技能を有し、監督又は主任技術者を
補佐する一方、班員の技術指導に当たれる優秀技術者
通信技術員B:工事会社の工事部門に所属し、工事作業に関して
、通信技術員Aに準じた経験と技能を有する者
通信工:工事会社の工事部門に所属し、監督の指導管理もとに、
当該機器の設置、配線及び接地、空中線の取り付け、配線及び充
電、蓄電池の取り付け、ケーブルの接続及び配線、発動、発電機
の添え付け、屋外における通信ケーブルの敷設、建柱、管路、マ
ンホールの設備、架空線の敷設、接続などの作業に直接従事する
者
 (日本交信網)
16 なお、今回は当事者間の争いになっていないということですが、作
 業単金の1時間8,844円という金額に対してたびたび疑問が呈されて
 いることから、相互接続点の費用の算定方法(「作業単金×作業時間
 」)が適切であるかとともに、この作業単金の妥当性についても改め
 て議論が必要と考えます。
  (レベルスリー)
 
17 指定電気通信事業者の相互接続にかかる手数料に関するサービスコ
 ストですが、その算出根拠が、建設物価、通信工事技術者賃金実態調
 査に基づいたものではなく、サービスの貿易に関する一般協定、第四
 議定書、第9条商慣習に違反している虞があります。指定電気通信事
 業者の相互接続にかかる手数料において、反競争的価格設定がなされ
 ています。
  1.まず、単金設定という考え方がおかしいと思います。実際に作
 業性の難易度に応じてコスト査定されるのが現実的と思います。2.
 また、この種の局舎内工事にかかるような特殊な工事は、日常的に行
 われるものではないので、実費精算されるのが実情でございます。
  3.その算定根拠として、財団法人建設物価調査会の調査に基づく
 建設物価等により算出されるべきであり、官公庁調達等はすべてこれ
 に基づいています。
  (筒井)
 
考え方7
 
 現行作業単金の妥当性は今回の裁定申
請において争いとなっておらず、今回の
裁定により判断されるべき事項ではない
。
 なお、「相互接続点の調査」の費用の
算定を個別に「作業単金×作業時間」に
よって行っていることは、必要以上
に時間がかかるような事態を招き費用負
担を過重なものとする虞を否定できない
上に、作業単金を8,844円としてい
ることは、その作業内容等に照らして適
正性に議論の余地があり、その適正な在
り方について、モデル化の是非も含めて
検討する必要がある。

III.その他
意見・質問
考え方

意見8 今回の裁定に際して、郵政省がNTT東日本から答弁書
以外に情報提供を求めたのは手続としておかしいのではないか。
18 裁定理由の中に東日本電信電話の答弁書に記載されていない事項が
 含まれている。(無人局云々、移動時間について等)これは法に基づ
 く答弁書提出以外の方法で郵政省と東日本電信電話との間で聴聞のよ
 うなものが行われたことを想像させるが、それは法に基づく聴聞であ
 るのか、そうであるとすれば、日本交信網に対して聴聞がなかったの
 は不公平ではないか。法に基づかない聴聞であったとすると、今後も
 そのようなことが行われて良いのか。
  (日本交信網)
 
19 一つ確認させていただきますと、今回の電気通信事業法第39条の3
 に基づく大臣裁定にあたりましては、電気通信事業法、第39条の5な
 らびに6に基づく手続きが取られることになります。ところが、電気
 通信事業法、第39条の5ならびに6は、電気通信事業法施行規則第62
 条、並びに第63条とは、異なり、意見の聴取会ではなく、第39条5に
 規定されているように、当事者に裁定の受理を通知し、期間を指定し
 て「答弁書」を提出する機会を与えなくてはならないと規定していま
 す。答弁書は、あくまでそれが文書的手続きとして法的に位置付けら
 れるものと理解しております。通常大臣は、そのような手続きに直接
 かかわることはございませんが、それを代行している監督省庁が、
  「豊四季局の調査のために平成12年2月28日9時52分に千葉
 みなと局を出発し、豊四季局での作業を終えて17時03分に千葉み
 なと局に帰着したこと、その要した時間7時間11分のうち千葉みな
 と局・豊四季局間の往復85kmの移動に4時間00分を要したことを
 当該調査員がその旨を申告した」
  というような、法廷にのっとった手続きを経ることなく、特殊な利
 害関係にある利害関係人と、何らかの、答弁書によらないコンタクト
 を、書面以外の形で取ったことを示唆する内容を含み、利害関係人の
 答弁書からは預かり知りうる内容ではないことを記載した裁定が「郵
 政大臣」の名前で発動されることは前代未聞であり問題です。電気通
 信事業法、第39条の5は、書面による答弁書以外の形では、他の当事
 者からは、意見聴取する手続きを与えていません。
  仮に、そのようなコンタクトがあったとしても、「大臣裁定」の内
 容は、中立の立場から、答弁書によらないコンタクトを排除した形で
 裁定が行われるのでなければ、それは憲政の常道を踏み外した手続き
 として、サービスの貿易の自由化協定第四議定書、日本国の約束に係
 る事項、追加的な約束事項において約束されたセーフガード措置
  1.1 Prevention of anti-competitive practices in telecom
     munications
      Appropriate measures shall be maintained for the pu
     rpose of preventing suppliers who, alone or together,
      are a major supplier from engaging in or continuing 
     anti-competitive practices.
 1.2 Safeguards
     The anti-competitive practices referred to above shal
   l include in particular:
  (a) engaging in anti-competitive cross-subsidization;
  (b) using information obtained from competitors with an
    ti-competitive results;  and
  (c) not making available to other services suppliers on
     a timely basis technical information about essential
     facilitiesand commercially relevant information whic
    h are necessary for them to provide services.
 に反するものであると外国政府から批判されても仕方が無いのではな
 いでしょうか? また、そのような手続きは、指定電気通信事業者の
 相互接続料に関する、小渕クリントン会談における合意事項
  ・Open new points of access ("unbundling") to NTT's net
   work and enact rules to ensure fair usage rates and con
   ditions in order to allow new entrants to compete in pr
   oviding high-speed Internet services.
  ・Enhance new entrants' ability to build new networks b
   y 1) eliminating restrictions on new competitors' abili
   ty to construct their own networks in the most efficien
   t way, and 2)removing certain road construction restric
   tions and promoting measures to improve access to under
   ground tunnels controlled by NTT and electric utilities.
 に反しています。諸外国政府の考えから致しますと、セーフガード措
 置は、指定電気通信事業者に必要なのではなく、今回のこの大臣裁定
 における公平を欠いた取り扱いを示唆する事例が物語るように、監督
 省庁そのものにチャイナウォールの設置を義務付けることにより、約
 束したセーフガード措置を履行すするのでなければ、監督省庁として
 の地位を疑われても仕方が無いでしょう。
  また、今回の裁定内容は、日米間の規制緩和及び競争政策に関する
 強化されたイニシアティブにおけるレギュレーションリフォームによ
 る改善要望
 
  その他の障壁
   米国はまた、日本が、NTTのネットワークへ相互接続するため
  に必要なNTTの建物内のスペース(コロケーション・スペース)
  へのアクセスや、日本各地の民間の建築物の屋内配線へのアクセス
  が困難であり費用がかかるとの新規参入者の不満に対処することを
  求めた。最後に、1999年7月1日にNTTが再編によって4社に分
  割されたことに対して、米国は、日本が再編後のNTT各社による
  反競争的な相互補助に対するセーフガードを強化することを求めた
  。
   これらの課題のいくつか、特に相互接続原価計算、差別的料金設
  定、アンバンドリング、そして賃借設備の利用は、日本のWTOで
  の確約に関連するため、問題解決に向けた日本の努力は厳しく監視
  される。
 
 にも反しています。電気通信事業者はたとえ、指定電気通信事業者で
 あろうと同等に扱われるべきであり、監督省庁としての中立なお立場
 の保持のためのチャイナウォール措置等の厳密な履行が期待されてや
 みません。
 (筒井)
 
 
考え方8
 
 
 電気通信事業法第39条において、裁
定の両当事者は申請書又は答弁書によっ
て各々の主張を書面で述べることが出来
ることとされている。裁定に当たっては
、その公正性の確保のため、これらの主
張に関して事実認定を行う必要があり、
そのためには当事者に対して報告を求め
たり検査を行うことが不可欠である。
 郵政大臣は電気通信事業法第92条に
より同法の施行に必要な限度において、
職権で報告を受け、検査をさせることが
できるとされている。本件に関しては、
日本交信網の申請書及びNTT東日本の
答弁書の内容につき両当事者に対し所要
の事実確認が行われている。
 それにより、NTT東日本の答弁書中
では明らかでなかった「移動時間」の根
拠やコロケーション場所等につき所要の
事実認定が行われ、明確となったところ
である。この件に関しては、事実認定が
行われたのであり、聴聞等が行われたの
ではない。



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