発表日 : 9月13日(金)
タイトル : 9/13付:専用線の利用自由化(「公ー専ー公」接続)の実施
1 専用線と公衆網の接続については、平成7年(1995年)4月から専用線
の片端に公衆網を接続すること(いわゆる「公ー専」片端接続)が可能となっ
ていますが、郵政省としては、専用線の両端に公衆網を接続すること(いわゆ
る「公ー専ー公」接続)についても平成8年(1996年)中の完全自由化の
方針を明らかにしており、この方針は「規制緩和推進計画の改定について」
(平成8年3月29日閣議決定)にも盛り込まれているところです(別紙1参
照)。
2 この方針に沿って、郵政省では、「公ー専ー公」接続についての検討を行う
ため、「公ー専」片端接続の評価等について、本年7月中旬から下旬にかけて
関係者からのヒアリングを行いました。
3 ヒアリングの結果、「公ー専ー公」接続を実施することについては、電話サ
ービスを提供していない第一種電気通信事業者並びに第二種電気通信事業者及
び企業ユーザーからは、早期に実施すべきとの意見が大勢を占め、また、電話
サービスを提供している第一種電気通信事業者からは、接続付加料の設定を前
提としてやむを得ないとの意見が表明されました(概要は別紙2のとおり)。
4 本件ヒアリング結果を受け、郵政省としては、規制緩和推進計画における実
施期限の2ヶ月前倒しを行い、本年10月末までに、「公ー専ー公」接続を可
能とすることとしました。
5 これによって、ネットワークの利用や新サービスの提供が促進されることが
期待されます(別紙3参照)。
連絡先:電気通信局電気通信事業部業務課
(電話)03−3504−4830
規制緩和推進計画の改定について
(平成8年3月29日閣議決定)
2 情報・通信関係
(1)通信
事項名
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(4)ネットワークの相互接続規制
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措置内容
|
(b)音声系の専用線と公衆網の接続を、第一種電気通信事業者
の経営への実態的影響を踏まえ、段階的に可能とする。
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実
施
予
定
時
期
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平成7年度
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8年中 (完全自由化)
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平成8年度
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一部措置済 7年4月1日
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平成9年度
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備考
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「公専」片端接続可能化
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既定計画との
関係
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2(1)(4)(b)実施時期の前倒し
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所管官庁
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郵政省
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(略)
別 紙2
「公ー専ー公」接続についての関係者ヒアリングについて
1 期間
平成8年7月21日〜8月1日
2 ヒアリング対象者
(1)電話サービスを提供(移動系を除く)している第一種電気通信事業者
(5社)
○ 日本電信電話株式会社
○ 第二電電株式会社
○ 日本テレコム株式会社
○ 日本高速通信株式会社
○ 東京通信ネットワーク株式会社
(2)上記(1)以外の第一種電気通信事業者(10社)
○ 株式会社日本サテライトシステムズ
○ 宇宙通信株式会社
○ 大阪メディアポート株式会社
○ 中部テレコミュニケーション株式会社
○ 日本移動通信株式会社
○ 関西セルラ−電話株式会社
○ NTT中央パーソナル通信網株式会社
○ DDI東京ポケット株式会社
○ 東京テレメッセージ株式会社
○ 中部テレメッセージ株式会社
(3)第二種電気通信事業者(1団体、4社)
○ 社団法人テレコムサービス協会
○ 日本電気株式会社
○ 株式会社リクルート
○ 株式会社インテック
○ 三菱電機情報ネットワーク株式会社
(4)企業ユーザー(17社)
○ 日本電気システム建設株式会社
○ 日本電気株式会社
○ 松下電器産業株式会社
○ 富士通株式会社
○ 日本通運株式会社
○ 日本郵船株式会社
○ 東京海上火災保険
○ トヨタ自動車株式会社
○ 日産自動車株式会社
○ 凸版印刷株式会社
○ 東京電力株式会社
○ 日本精工株式会社
○ 富士ゼロックス株式会社
○ 日本電装株式会社
○ 三菱商事株式会社
○ 大倉商事株式会社
○ 株式会社ダイエーオーエムシー
3 ヒアリング結果の概要
I 電話サービスを提供している第一種電気通信事業者
1 平成7年度における「公ー専」片端接続の実施が経営に及ぼした影響につ
いて
・ 市外通話料の減収に対して、足回り通話料、接続付加料及び新規専用線
需要による増収の結果、約10億円の減収となった。
・ 経営に及ぼした影響はほとんど無い。
2 接続付加料の水準についての評価
・ 実際の回線の利用状況を調査した結果、回線群の多少と実際の1回線当
たりの利用通話料との間に相関関係が見い出せないことから、今後、接続
付加料を回線群の多少によらない一律料金とすることを検討する。
3 「公ー専ー公」接続を実施する場合の経営に与える影響について
・ 「公ー専」片端接続の影響と併せて最大約900億円程度の影響が及ぶ
可能性がある。
・ 「公ー専」片端接続の影響を見る限り、影響は小さいものと思われる。
・ 料金値下げが加速される。
4 「公ー専ー公」接続を本年中に実施することについて
・ 国内外からの実施要望、ネットワークの高度化、マルチメディア化の動
向等に鑑み、やむを得ない。
・ 現行の「公ー専」片端接続と同様に、ローカル赤字が残る間は、その補
償必要額を接続付加料として接続の各々両端に設定する必要がある。
5 第二種電気通信事業者の網接続に際し、事業者番号を利用可能とするため
の網改修にかかる費用及び期間について
・ これまで「平成7年度電気通信の番号に関する研究会」において示され
ている番号体系による場合、交換機等ソフト開発に最短21ヶ月必要。ソ
フト開発に必要な費用については算定していない。
II その他の第一種電気通信事業者
1 平成7年度における「公ー専」片端接続の実施が経営に及ぼした影響につ
いて
・ 経営への影響はない。
・ 公専接続目的での専用線の増設又は新設の申込みがあった。
2 「公ー専ー公」接続を実施する場合の経営に与える影響について
・ 経営への影響はない。
・ 中長距離の収入減が想定される反面、ユーザの利用間口が広がり、また
二種、再販事業者、ユーザのアプリケーション開発等により、電気通信業
界全体の活性化が期待される。
・ アクセス用専用線が公衆網に代替される可能性があるが、中継用専用線
の需要が増えるため、影響は不透明である。
3 「公ー専ー公」接続を本年中に実施することについて
・ 国際的な流れ、ユーザの利便向上、通信コスト削減や電気通信全体の活
性化のため、早期に実施すべきである。
4 その他
・ 不正防止、個人情報の守秘等の通信秩序維持のための施策が、今後の大
きな課題と考えられる。
・ 通信品質等が低下しないように、技術的な検討が必要である。
・ 接続付加料については、必要最小限の料金とすべきである。
III 第二種電気通信事業者
1 「公ー専」片端接続の利用状況について
・利用している(10社)
・検討中(4社)
・利用しない(3社)
※ テレコムサービス協会において実施したアンケート調査に回答のあっ
た17社の数字を含めている。以下同様。
2 「公ー専ー公」接続開放の場合の利用計画について
・利用する計画がある(12社)
・利用する計画はない(3社)
・未検討(2社)
3 「公ー専」又は「公ー専ー公」の利用方法について
・自社網の災害時通話確保
・自社網障害時バックアップ
・安い電話サービスの提供
・ビル間、事業所間転送電話サービス
・企業網構築のためのインテグレーション・サービス
4 接続付加料に対する評価について
・廃止すべきである。
・存続させる場合は、料金水準を見直すべきである。
・回線数の増加に伴い、付加料が高くなる料金体系を見直すべきである。
5 「公ー専ー公」接続を本年中に実施することについて
・賛成(10社)
・公衆網利用の競争条件整備が前提(7社)
・現状のままでは効果が疑問(2社)
6 網間接続と事業番号の使用計画について
・利用する計画がある。
・網間接続に係るコストや接続ルールが不明であり、計画を立てられる状況
ではない。
・網改修に最低2年を要すると言われる今の状況では、実事業としては期待
できない。
IV 企業ユーザー
1 「公ー専」片端接続の利用状況について
・利用している(10社)
・利用を検討中(4社)
・利用していない(3社)
2 「公ー専ー公」接続開放の場合の利用計画について
・利用を前提に検討中(12社)
・利用する計画はない(5社)
3 「公ー専」又は「公ー専ー公」の利用方法について
・企業内、顧客、取引先への電話料金削減
・従業員の福利厚生目的
・通信販売等、遠隔地へのテレマーケティング
・在宅勤務(サテライトオフィス)
4 接続付加料に対する評価について
・廃止すべきである。
・存続させる場合は、料金水準を見直すべきである。
・契約者回線数の増加に伴い、1回線当たりの接続付加料が増加する点は是
正すべきである。
5 「公ー専ー公」接続を本年中に実施することについて
・賛成(11社)
・通信事業者側に支援窓口の開設を希望する。
別 紙 3 提供可能となる新規サービス
+−−−+ +−−−+
神奈川県−−+ |アクセス アクセス| +−−−兵庫県
| |ポイント 専用線 ポイント| |
埼玉県−−−+電話網+−−□−−−−−−−−□−−+電話網+−−−
| | 東京都 大阪府 | |
千葉県−−−+ | | +−−−京都府
+−+−+ +−+−+
| |
| |
● ●
● ●
●
○ 企業内通信網の構築
○ 自社網障害時のバックアップ
○ 安い電話サービスの提供
○ ビル間、事業所間の転送電話サービス
○ 企業網構築のためのインテグレーション・サービス 等
(参考) 「公−専−公」接続の経緯について
○ 昭和59年7月
「日本電信電話株式会社法案、電気通信事業法案、日本電信電話株式会社
法及び電気通信事業法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案に対す
る附帯決議」(衆議院逓信委員会)
(関連部分抜粋)
1 政府は、現行の専用線の料金体系の下では第二種電気通信事業者による専
用線の単純再販が日本電信電話株式会社の経営に支障を及ぼすことにかんが
み、単純再販を禁ずる約款についても認可すること。
○ 平成6年7月 「今後における規制緩和の推進等について」(閣議決定)
(関連部分抜粋)
(別紙2)情報・通信関係規制緩和事項
1 通信
(3)ネットワークの相互接続規制
2.音声系の専用線と公衆網の接続を段階的に可能とする。
実施予定時期 平成7年度以降
○ 平成7年2月 「専用線の利用自由化に向けての具体的方策について」
(郵政省発表)
(関連部分抜粋)
1 国内専用線
(1)音声系の専用線と公衆網との接続については、遅くとも1997年
中の完全自由化を目指し、段階的な開放を促進する。
(2)具体的には、本年4月から、専用線の片端に公衆回線を接続する、
いわゆる「公−専」片端接続を可能とする。
(3)上記(2)による第一種電気通信事業者の経営への実態的な影響を
1年後に評価する。
(4)次の段階への移行時期、内容については、上記(3)の評価を踏ま
えて決定する。
(5)「公−専」接続に対して第一種電気通信事業者が接続付加料を合理
的な範囲で設定することについては、具体的な認可申請があれば適切
に対処する。
○ 平成7年3月 「規制緩和推進計画について」(閣議決定)
(関連部分抜粋)
2 情報通信関係
(1)通信
4.ネットワークの相互接続規制
(b)音声系の専用線と公衆網の接続を、第一種電気通信事業者の経
営への実態的影響を踏まえ、段階的に可能とする。
平成7年度 7年4月(「公ー専」片端接続)
平成8年度 (評価)
平成9年度 9年度(公衆網との接続の実施時期及び内容を決定)
○ 平成7年4月 「公−専」片端接続を実施
○ 平成8年1月 「第2次情報通信改革」に向けた規制緩和の推進について
(郵政省発表)
(関連部分抜粋)
II 具体的措置
1 電気通信事業の規制緩和
(6)情報通信ネットワークを活用したニュービジネスの展開や料金の低
廉化等を促進する観点から、平成9年中に実施予定とされている公専
公接続の実施について、平成7年度の公専片端接続の開放の影響の評
価を踏まえ、平成8年中の完全自由化を目指し、可能な限り早期化す
る。
○ 平成8年3月 「規制緩和推進計画の改定について」(閣議決定)
(関連部分抜粋)
2 情報通信関係
(1)通信
4.ネットワークの相互接続規制
(b)音声系の専用線と公衆網の接続を、第一種電気通信事業者の経営
への実態的影響を踏まえ、段階的に可能とする。
平成7年度 一部措置済み(7年4月1日)
備考:「公専」片端接続可能化
平成8年度 8年中(完全自由化)