条文
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趣旨
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指定電気通信設備接続会計規則案
目次
第一章 総則(第一条−第六条)
第二章 資産並びに費用及び収益
(第七条−第九条)
第三章 接続会計報告書の公表等
(第十条−第十二条)
附則
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第一章 総則
(目的)
第一条 この省令は、指定電気通信設
備との接続に関する会計の整理の方
法を定めるとともに、当該接続に関
する収支の状況等を明らかにし、も
って接続料の適正な算定に資するこ
とを目的とする。
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○ 法第38条の2第9項の規定(「指
定電気通信設備を設置する第一種電気
通信事業者は、郵政省令で定めるとこ
ろにより、(略)接続に関する会計を
整理し、(略)接続に関する収支の状
況その他郵政省令で定める事項を公表
しなければならない。」)に基づき本
省令を定める旨を規定。
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(用語)
第二条 この省令において使用する用
語は、電気通信事業法(以下「法」
という。)及び電気通信事業会計規
則(昭和六十年郵政省令第二十六号)
において使用する用語の例による。
2 この省令の規定の解釈について
は、次の定義に従うものとする。
一 「指定設備管理部門」とは、指
定電気通信設備及びその管理運営
(開発、計画、設置、運用、保守
、撤去及びその他の活動並びにこ
れらに付随する活動をいう。以下
同じ。)に必要な資産及び費用並
びに当該設備との接続及び当該設
備の提供に関連する収益を整理す
るために設定される会計単位をい
う。
二 「指定設備利用部門」とは、電
気通信役務の販売その他の電気通
信事業に属する活動(指定電気通
信設備及びその管理運営を除く。)
に必要な資産及び費用並びに当該
活動に関連する収益を整理するた
めに設定される会計単位をいう。
三 「支援設備」とは、指定電気通
信設備が有する機能を支援するた
めに使用される電力設備、総合監
視設備及び試験受付設備等に関連
する資産及び費用を整理する補助
部門をいう。
四 「全般管理」とは、営業所等に
おける共通的作業及び本社等管理
部門における活動に関連する資産
及び費用を整理する補助部門をい
う。
五 「設備区分」とは、指定設備管
理部門又は指定設備利用部門のそ
れぞれに帰属させた電気通信設備
を、別表第一勘定科目表資産の項
(建物から建設仮勘定までの各項
を除く。)を基礎として階梯別又
は用途別に分けた会計単位の細区
分をいう。
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○ 用語について、事業法及び会計規則
との整合性を確保することを規定。
○ 社内外同一条件(接続料)での接続
に関する収支計算を行うのに必要な会
計単位である「指定設備管理部門」及
び「指定設備利用部門」を規定。
○ 正確な資産、費用の帰属計算を行う
ために必要な補助部門である「支援設
備」及び「全般管理」を規定。
○ アンバンドルされた接続料原価算定
の基礎データとして電気通信設備に基
づき、会計単位を細区分した接続会計
上の「設備区分」を規定。
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(遵守義務)
第三条 指定電気通信設備を設置する
第一種電気通信事業者(以下「事業
者」という。)は、この省令の定め
るところにより、指定電気通信設備
との接続に関する会計を整理しなけ
ればならない。ただし、特別の理由
がある場合には、郵政大臣の許可を
受けて、この省令の規定によらない
ことができる。
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○ 事業者に対し、接続に関する会計の
整理に当たっての本省令の遵守義務を
規定。
○ ただし書の「特別な理由」としては
、例えば、初年度における接続会計報
告書の提出期限を繰り延べる等の場合
を想定。
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2 この省令に定めのない事項につい
ては、電気通信事業会計規則その他
一般に公正妥当と認められる会計の
原則に従わなければならない。
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(会計の基準の整備等)
第四条 事業者は、次の各号に掲げる
ところにより指定電気通信設備との
接続に関する会計を整理しなければ
ならない。
一 資本的支出と収益的支出との区
分に関する適正な基準を定めるほ
か、この省令の規定に基づく資産
並びに費用及び収益の計算を正確
に行うための規程その他経理に関
する制度を整えること
二 設備区分において直接に発生す
る費用を正確に把握するよう努め
ること
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○ 適正な接続会計の整理を確保するた
めに、事業者内部の経理制度の整備を
規定。「制度」とは、接続会計に関す
る社内規程、計算システム等を想定。
○ アンバンドルされた接続料原価の算
定を正確なコストベースのものとする
ため、設備区分単位で直接に発生する
費用を正確に把握し、設備区分と費用
との関連性の向上に努めることを規定
(設備区分単位で直接に発生しない費
用は、因果性を考慮した適正な基準に
よって設備区分に帰属させる)。
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(会計単位の区分)
第五条 事業者は、電気通信事業に関
連する資産並びに費用及び収益を、
指定設備管理部門と指定設備利用部
門とに適正に区分して整理しなけれ
ばならない。
2 前項の場合において、指定電気通
信設備の利用に関する指定設備管理
部門と指定設備利用部門との取引は
、法第三十八条の二第五項に規定す
る認可接続約款等に記載された当該
取引に適用することが相当と認めら
れる接続料の振替によって整理しな
ければならない。ただし、当該接続
料が認可接続約款等に定められてい
ないときは、指定電気通信設備の接
続料に関する原価算定規則(平成九
年郵政省令第 号)の規定を準
用して算定した金額の振替によって
整理しなければならない。
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○ 接続会計制度における整理の対象を
電気通信事業に関連する範囲に限定す
る旨を規定。電気通信事業以外の事業
(電気通信事業会計規則において「附
帯事業」として電気通信事業と区分さ
れる。)に関連する資産、費用、収益
は接続会計の対象外。
○ 指定電気通信設備の利用に関し、指
定設備利用部門は接続約款に記載され
た他事業者と同一の接続料を指定設備
管理部門に内部(振替)取引により支
払う旨を規定。ただし書においては、
例えば他事業者の利用が見込まれない
ため指定設備利用部門のみが利用する
指定電気通信設備等で接続約款に接続
料の定めのないものについても、約款
の接続料と同様の方法により内部(振
替)取引価格を計算して経理する旨を
規定。
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(勘定科目、接続会計財務諸表及び
接続会計報告書)
第六条 事業者は、別表第一によりそ
の勘定科目を分類し、かつ、別表第
二の様式による損益計算書その他接
続に係る会計の計算に関する諸表(
以下「接続会計財務諸表」という。
)及び別表第三による接続会計報告
書を作成しなければならない。
2 別表第一の勘定科目の項に属する
資産若しくは費用又は収益で、当該
勘定科目の項を細区分して経理する
ことが適当であると認められる場合
には、当該細区分により会計を整理
しなければならない。
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○ 別表第一により、電気通信事業に関
連する資産、費用、収益について、科
目、款、項の階層区分を規定。
別表第二により、損益計算書、使用
平均資本及び資本報酬計算書、固定資
産明細表、固定資産帰属明細表、設備
区分別費用明細表から成る接続会計財
務諸表の各様式を規定。
別表第三により、公表の対象となる
接続会計報告書(上記の接続会計財務
諸表及び第11条の計算証明等を収録
予定)の書式を規定。
○ 適正な会計の整理を確保するため、
適当な場合には項の下に細区分(事業
者の実態に応じた「目」を想定)を設
定して整理することを規定。
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第二章 資産並びに費用及び収
益
(資産の整理)
第七条 別表第一の勘定科目の二以上
の項に関連する資産は、回線数比そ
の他の適正な基準によりそれぞれの
項に整理しなければならない。
2 支援設備及び全般管理に整理した
資産は、適正な基準により指定設備
管理部門又は指定設備利用部門に帰
属させなければならない。
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○ 項の単位で資産額を正確に把握する
ための会計の整理を規定。例えば、複
数階梯の伝送路として用いられる同一
のケーブルについて、回線数(64K
bpsの論理回線換算を想定)比によ
り階梯別の設備区分に相当する価額を
計算して整理するような場合を規定。
○ 電気通信設備の管理運営のために投
下した資産額を正確に把握するために
、補助部門である支援設備及び全般管
理に整理した資産を適正な基準により
指定設備管理部門と指定設備利用部門
とに整理する旨を規定。
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(費用及び収益の整理)
第八条 別表第一の勘定科目の二以上
の項に関連する費用及び収益は、適
正な基準によりそれぞれの項に整理
しなければならない。
2 支援設備及び全般管理に整理した
費用は、別表第二に掲げる基準によ
り指定設備管理部門又は指定設備利
用部門に帰属させなければならない
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○ 項の単位で費用及び収益を正確に把
握するための会計の整理を規定。
○ 電気通信設備の管理運営のために費
消した原価を正確に把握するために、
補助部門である支援設備及び全般管理
に整理した費用を適正な基準により指
定設備管理部門と指定設備利用部門と
に整理する旨を規定。
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(設備区分への費用の整理)
第九条 前条の規定により整理し又は
帰属させた費用のうち電気通信設備
の管理運営に関連するものは、適正
な基準により設備区分に帰属させな
ければならない。
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○ アンバンドルされたコストベースの
接続料原価の算定基礎とするため、第
8条の規定により会計単位に整理した
設備の管理運営費用を設備区分に帰属
させる旨を規定。
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第三章 接続会計報告書の公表
等
(接続会計報告書の公表等)
第十条 事業者は、第六条第一項の接
続会計報告書を、毎事業年度経過後
四月以内に書面又は別に定める磁気
ディスクにより郵政大臣に提出しな
ければならない。
2 事業者は、接続会計報告書の写し
(磁気ディスクである場合は印字し
たもの。以下同じ。)を、営業所(
商業登記簿に登記した本店又は支店
に限る。)に備え置き、接続会計報
告書を郵政大臣に提出した日から五
年を経過する日までの間、公衆の縦
覧に供しなければならない。
3 事業者は、接続会計報告書の写し
を、刊行物の発行その他の適切な方
法により公表しなければならない。
4 前二項の規定にかかわらず、事業
者は、郵政大臣の許可を受けて、そ
の事業上の秘密の保持の必要により
接続会計報告書の一部を公衆の縦覧
に供しないこと又は公表しないこと
ができる。
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○ 接続会計報告書の郵政大臣提出時期
・方法を規定。接続会計財務諸表が、
電気通信事業会計規則に基づく事業者
の財務会計の結果(決算)を踏まえて
作成されることから、電気通信事業会
計規則に基づく財務諸表の郵政大臣提
出期限(事業年度経過後三月以内)よ
り一月長い期間を設定。提出方法は、
電気通信事業会計規則に同じ。
○ 接続会計報告書の一般への公表の方
法を規定。本支店備置及び公衆縦覧並
びに刊行物発行等の適宜の方法による
開示を以て公表する旨を規定。
○ 郵政大臣が許可した範囲で接続会計
報告書の一部を不公表とすることがで
きる旨の規定。第3条ただし書の場合
と異なり、会計の整理自体は、本省令
の規定どおり行われていることが前提
。不公表の範囲については、具体的な
許可申請を受けた段階で慎重に検討す
る方針。
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(計算結果証明)
第十一条 事業者は、第六条第一項の
接続会計財務諸表が、この省令の規
定に基づいて適正に作成されている
ことについての職業的に資格のある
会計監査人による証明を得なければ
ならない。
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○ 接続会計における収支計算、設備区
分別費用帰属計算等が適正に行われて
いることを確保するため、接続会計財
務諸表について職業的会計監査人(公
認会計士)による計算証明を取得する
義務を規定。電気通信事業会計規則附
則における役務別損益明細に関する計
算証明等と同様、計算の正確性に関す
る特別な調査報告(Special Purpose
Auditor's Report)の位置付け。
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(会計記録の保存)
第十二条 事業者は、第六条第一項の
接続会計財務諸表の作成に用いた帳
簿その他の会計記録を毎事業年度経
過後五年間保存しなければならない
。
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○ 後続年度においても、接続会計報告
の内容を遡って検証できるよう、接続
会計財務諸表の作成に用いた基礎資料
の5年間保存を義務づける。保存期間
は接続会計報告書に同じ。
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附 則
この省令は、公布の日から施行し
、平成十年四月一日以後に開始する
事業年度から適用する。ただし、事
業者の事業年度の中途に郵政大臣が
法第三十八条の二第一項の規定によ
り指定を行ったときは、当該指定に
係る指定電気通信設備との接続に関
する会計については、当該指定の日
以後に開始する事業年度から適用す
る。
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○ 省令の施行時期を公布日と規定する
とともに、平成10年度分の接続会計
報告に適用する旨を規定。
○ 年度途中で指定電気通信設備の指定
を受けた場合には、次年度から接続会
計報告を行う旨を規定。
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