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4 「電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン」の改訂案(平成
 10年9月3日公表)への意見(抜粋)

(全体に対する意見)
○ インターネットの世界では、迷惑通信、違法情報発信等の問題が多数発生して
 いる。個人情報の保護という点では、発信者も受信者も平等であるべきだが、被
 害者たる受信者の権利利益が損なわれたときに、受信者として何をすることがで
 きるのかといった受信者の利益保護の観点も必要。
○ インターネットにおいては、違法・有害情報、迷惑通信(SPAM等)が発信
 されると、プロバイダー同士で通信ログを交換してSPAM等の受信を防止する
 対策を講じる必要が出てくる。そのため、個人情報の共有に伴う発信者のプライ
 バシーの侵害を最小限にしながら、なおかつ効果的な情報共有を行うことがそも
 そも可能なのかという問題も含めて踏み込んだ検討が必要であり、考慮すべき課
 題の一つ。
○ 個人のプライバシーという基本的人権を保護することは重要であるが、違法行
 為により著作者が権利侵害を受けてることが明らかな場合でもプライバシーを保
 護する必要性に疑問を感じる。プライバシー保護に偏重することなく、被害者
 (=権利者保護)の立場にも配慮すべき。

(第1条関連)
○ 改訂案第1条とその解説では、「個人情報侵害」「情報主体の権利利益」の表
 現に見られるように、情報主体の自己情報コントロール権を認め、絶対的権利と
 して位置づけていると読むことができる。絶対的権利と解釈するか、そうでない
 か、いずれの考え方をとるにしても、情報主体の権利をどのようなものと理解す
 るのかという考え方が、ガイドラインの全体を通して首尾一貫していることが必
 要。

(第2条関連)
○ 個人情報の定義が「個人に関する情報であって、特定の個人が識別され又は識
 別され得るものをいう。」となっているが、「他の情報と照合することによって
 容易に当該個人を識別できる情報」は含まれるのか。

(第3条関連)
○ 第4項「正当な理由がある場合はこの限りでない」との文言は社会的差別につ
 ながりかねない事項であるにもかかわらず曖昧な例外規定と思われる。「正当な
 理由」を各事業者が判断することになれば、運用の仕方により大きな問題が生じ
 るおそれがあるため、限定した適用除外規定を設けるべき。
○ 「個人情報を本人から直接収集する」について、本人から直接収集するに当た
 っては、事業者として収集目的を明らかにした上で協力をお願いする必要がある
 と思われる。
○ ガイドライン本文には通知義務が明記されておらず、「特定」すべきことにと
 どまっている。解説では事前通知まで課さないとしているが、事後的な通知義務
 が必要という解釈か。電気通信事業者の一般の事業運営に期待される範囲を超え
 て収集しない限り、事前事後に関わらず、収集目的を特定しての通知は不要と思
 われる。

(第4条関連)
○ 照会に対して、個々の通信とは無関係の加入者情報であっても原則情報提供不
 可とし、公共的利益が勝る等違法性阻却事由がある場合のみ提供できると考える
 方が適当。
○ どのような場合に「情報主体等の権利を不当に侵害することになると認められ
 るとき」となるのか、具体的な判断基準がないと、情報主体等の権利と照会の必
 要性の比較という実体法上の判断を迫られることとなり、事業者にとって多大な
 負担が生じる。
○ 「「通信の秘密」に属する事項については正当防衛の要件をみたす必要がある
 と考えられる。」について、正当防衛の場合にのみ認めるのは、通信の秘密の解
 釈によっては狭すぎる。
○ 電子計算機損壊等業務妨害罪に該当するような、大量無差別DM等不正利用の防
 止対策としての個人情報の利用と提供は、違法性が阻却される旨明記してほし
 い。

(第5条関連)
○ 過剰支払いの苦情に対応するなど、顧客からのクレームを想定して保存する請
 求関連情報は、少なくとも商事消滅時効の5年間は保存する必要がある。

(第8条関連)
○ SPAMメールへの対応等のために、発信側プロバイダーに通信ログ等を提示
 して対処を依頼することが必要となるが、第8条第3項の規定ではこのような対
 応が簡単にはできなくなり、プロバイダー事業の円滑な運営に支障をきたす可能
 性がある。一方の通信当事者の承諾による開示の可能性など違法性が阻却される
 場合について、さらに説明を追加すべき。
○ 「加入者が通信履歴を残さないことを特に望んだ場合には、これに従って記
 録・保存しない扱いをすることは可能と思われる」について、通話料請求訴訟の
 場合、証拠として通信履歴を提出するため、通信履歴を残さないことを望んだ加
 入者は料金明細について争うことができないことが、法制上担保されない限り、
 通話料が支払われるまで保存せざるを得ない。
○ 「保存期間については、提供するサービスの種類、課金方法等により各電気通
 信事業者ごとに、また通信履歴の種類ごとに異なり得るが、その趣旨を没却しな
 いように限定的に設定すべきであると考えられる」について、最低基準として何
 ヶ月と設定してもよいのではないか。

(第9条関連)
○ 移動通信においては加入者からの申告がない限り、恒常的利用者の存在を知る
 ことは困難。

(第11条関連)
○ 「位置登録情報」は、電気通信事業法第2条で定義する「電気通信」に該当す
 るので、その内容は通信の秘密として保護されるべき。

(第13条関連)
○ 電話番号情報において、加入者に対し、電話帳への記載又は電話番号案内を省
 略するかどうか選択の機会を与えることは当然であるが、電話帳に掲載された場
 合、氏名や住所も公開され、電話番号案内以外にも利用されるリスク(CD−R
 OM化された電子データによりパソコンやカーナビゲーションシステムで利用さ
 れている。)があることをあらかじめ伝えておくべき。伝えることで電話帳掲載
 率が減少してもやむを得ない。



「電気通信サービスにおけるプライバシー保護に関する研究会」開催要綱

 1 目的 


  近時の電気通信サービスの高度化・多様化は、国民生活に大きな利便をもたら
 している反面、これらのサービスに伴い収集される個人情報の取扱いや、これら
 のサービスを利用したプライバシー侵害のおそれが大きな社会問題となりつつあ
 る。
  こうした問題に対しては、郵政省としても、平成3年9月6日に「電気通信事
 業における個人情報保護に関するガイドライン」(以下、「ガイドライン」とい
 う。)を策定し、その周知・徹底に努めるなどしてきたところである。
  しかしながら、ガイドラインは、一般的な指針を示すにとどまっている面があ
 り、具体的な問題に対してどのように対処すべきかが必ずしも明らかにされてい
 るとはいえない。また、ガイドライン制定から7年を経過しており、時代の変化
 に応じて見直すべき点もあると思われる。折しも、個人情報の流出事件等を契機
 にプライバシー保護に関する世論が高まってきており、ガイドラインに具体的な
 規定や解説を追加すること等により、これをより実効性のあるものとしていく必
 要がある。
  そこで、電気通信サービスにおける個人情報保護問題について、ガイドライン
 の改訂等を行うことを目的とする。

 2 名称 


  本研究会は、「電気通信サービスにおけるプライバシー保護に関する研究会
 (以下「研究会」という。)」と称する。

 3 検討項目 


 (1) 国内外の個人情報保護の在り方の現状
 (2) 電気通信事業者における顧客情報や通信履歴等の管理の在り方
 (3) 顧客情報や通信履歴等の外部提供の在り方
 (4) その他電気通信サービスにおけるプライバシー保護に関する諸問題

 4 運営 


 (1) 研究会の構成員は、別添1に掲げるとおりとする。
 (2) 研究会には座長1名及び座長代理1名を置く。
 (3) 座長代理は、座長の指名によりこれを定める。
 (4) 研究会は、座長が主宰する。

 5 開催期間 


  平成10年5月から同年10月までとする。(開催経緯については、別添2)

 6 事務局 


  郵政省電気通信局電気通信事業部業務課電気通信利用環境整備室において行
 う。



                                  別添1

「電気通信サービスにおけるプライバシー保護に関する研究会」構成員
                           (五十音順、敬称略)

      イノウエ マサヒト
      井上 正仁    東京大学法学部教授

      オオタニ カズコ    社団法人テレコムサービス協会
      大谷 和子      事業者倫理委員会副委員長
               (株式会社日本総合研究所法務部長)

      ササキ   タロウ    日本テレコム株式会社
      佐々木 太郎      取締役経営企画部長

      タグチ ヤスヒロ    NTT移動通信網株式会社
      田口 泰弘       虎ノ門支店長

      ニイミ  イクフミ
座長代理  新美 育文    明治大学法学部教授

      フジタ キヨシ     日本電信電話株式会社
      藤田 潔        取締役法務考査部長

      フジワラ ヒロタカ
      藤原 宏高    弁護士

      ホリベ マサオ
 座長   堀部 政男    中央大学法学部教授

      マツモト ツネオ
      松本 恒雄    一橋大学法学部教授

      ムラカミ トオル     国際電信電話株式会社
      村上 透        総務部法務室長

      ヨシダ リョウコ
      吉田 良子    国民生活センター消費者情報部長



                                  別添2

             研究会開催経緯

      
   日 程   
       議 題        
 第1回会合 
      
 5月29日(金)  
         
 ○ 国内外における現状      
 ○ プライバシーをめぐる諸問題  
 第2回会合 
      
 6月12日(金)  
         
 ○ 携帯電話・PHS事業者間の  
  不払い者情報の交換       
 第3回会合 
      
      
      
      
 7月17日(金)  
         
         
         
         
 ○ 通信履歴等の記録・保存    
 ○ 電話番号情報の取扱い     
 ○ 携帯電話・PHSの位置情報  
 ○ 携帯電話・PHS事業者間の不 
  払い者情報の交換        
 第4回会合 
      
      
      
 8月27日(木)  
         
         
         
 ○ 通信履歴等の記録・保存    
 ○ 携帯電話・PHSの位置情報  
 ○ ガイドライン改訂案(一次案) 
  の検討             
      
      
 9月3日(木)〜  
  9月24日(木) 
ガイドライン案の公開、意見募集  
                 
 第5回会合 
      
      
      
      
 9月28日(月)  
         
         
         
         
 ○ 携帯電話・PHSの位置情報  
 ○ 「代理」の扱い        
 ○ 電話番号情報の取扱い     
 ○ 「発信IDガイドライン」   
 ○ 報告書(案)の検討       
 第6回会合 
 10月13日(火) 
 ○ 報告書(案)の検討       

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