発表日 : 10月24日(木)
タイトル : 10/24付:衛星携帯電話の早期実現に向けてITUで合意
−国際電気通信連合(ITU)第1回世界電気通信政策フォーラムの結果について−
国際電気通信連合(ITU)は、第1回世界電気通信政策フォーラムを 10
月21日(月)から23日(水)までの間、スイスにおいて開催しました。我が
国からは、山口憲美郵政審議官を初め、郵政省、日本衛星電話株式会社等の電気
通信事業者、電気通信機器製造業者等から32名が参加したほか、全体で世界1
29か国13国際機関からGMPCS事業者であるICO、イリジウム等を含む
約1000名が参加し、衛星携帯電話(GMPCS:Global Mobile
Personal Communications by Satellite)
について活発な議論が展開されました。
世界電気通信政策フォーラムは、1994年10月に京都で開催された IT
U全権委員会議における日本提案に基づき設置されたもので、第1回のテーマで
ある衛星携帯電話については、1995年6月のITU理事会で日本の提案に基
づき採択されたものです。今回の第1回フォーラムでは、衛星携帯電話の早期か
つ円滑な実現に向けて必要な各国の電気通信政策・規制の調整を行っていくこと
が、政府のみならず産業界を含んで合意され、GMPCSが事業の実現に向けて
大きな一歩を踏みだし、ITUとして歴史的な大成功のうちに閉会しました。
今回の合意の内容は、以下のとおりです。
1 電気通信サービスのグローバル化におけるGMPCSの役割
ITUの基本目的(電気通信を改善して新技術がもたらす利益を世界のより多
くの人々に提供するため諸国が協力すること)の下、GMPCSの早期導入のた
めに、各国規制当局とGMPCS事業者がITUの下で協力していくことなどを
合意しました。
2 GMPCSに関する共通認識と指針
各国の通信主権を尊重しつつ、GMPCSを早期に実現するためには、ITU
を通じた国際協調が重要であり、また、GMPCS導入に対する適切な対応が規
制当局に望まれているとの認識の下、各国規制当局(及びGMPCS事業者)が
GMPCSを導入(提供)するに当たって考慮すべき原則として、1.早期の導
入、2.国際協力、3.グローバルなサービス、4.GMPCSに関する規制、
5.投資への参加、6.非合法利用、7.利用者端末及びその越境利用、8.ユ
ニ バーサルアクセス、9.相互接続、10.今後の協力、の10の指針を明ら
かにしました。
3 GMPCSの早期導入に当たってのITUの役割
GMPCSの早期導入のため、ITUの無線通信部門、電気通信標準化部門及
び電気通信開発部門に対して研究の促進を要請し、各国に対し研究への一層の貢
献を求めました。
4 GMPCS端末の越境利用の促進
GMPCS端末の越境利用を可能とし、端末の自由な持ち込み、自由な利用及
び自由な販売を実現する必要があることを認識し、そのための枠組みを提供する
ものとして、主管庁、GMPCS事業者及びメーカーを当事者とするMoU(メ
モランダム オブ アンダスタンディング)を作成していくことに合意しました。
5 GMPCSの実現のための開発途上国の支援
GMPCSは、開発途上国、とりわけ基本的な電気通信インフラが欠如してい
る地域に大きな便益をもたらすこと、また、GMPCSシステムへの開発途上国
の参加が奨励されるべきであること等の考慮に立って、GMPCS事業者に対し
て、開発途上国や辺地において料金水準の設定に努力すること、また、ITU−
D(電気通信開発部門)に対して、開発途上国が直面する技術、規制及び運用上
の課題について専門家による研究を通じて支援していく
ことを求めました。
連絡先:大臣官房国際部国際機関室
(担当:山崎課長補佐、瀬戸係長)
電話:3504−4792
参 考1
10の指針の概要
1 早期の導入
各国の通信主権を考慮しつつ、すべての国民がGMPCSの便益を分かち合
えるよう、各国はGMPCSの早期導入に努める。
2 国際協力
各国の規制当局は、1.利用者端末の免許及び越境利用、2.ITU各セク
ターの協力及びITUの手続きに従った周波数調整の促進、3.開発途上国の
GMPCSシステムへの参加に関して政策を調整するよう協力する。
3 グローバルなサービス
周波数の制限と電気通信政策の基本的枠組みという制限の下、GMPCSサ
ービスの提供において可能な限り競争がなされるようにするとともに、GMP
CS事業者は、いかなる国も、いかなる利用者も差別しない。
4 GMPCSに関する規制
各国の規制当局は、GMPCSサービス、地球局免許、相互接続、利用者端
末等に関し、簡素、非差別、透明かつ必要最小限の規制とし、サービス及び端
末機器に関する世界的な競争の促進及び効率的な事業経営を通じて、低廉な料
金でサービスが提供されるようにする。
5 投資への参加
GMPCS事業に多くの国から資本参加がなされるようにする。
6 非合法利用
GMPCS事業者は、そのサービスの提供が認められていない国でのシステ
ムの利用がなされないようにする。
7 利用者端末及びその越境利用
GMPCS端末は、技術基準の認証及び必要な無線局免許を関係国で受ける
ものとし、端末の認証、端末の越境利用、グローバルローミングのための国際
的な取り決めを促進する。
8 ユニバーサルアクセス
合理的なサービス料金、合理的な地球局利用料及び開発途上国のGMPCS
事業への参加を通じて、これまで基本的な電気通信サービスが提供されなかっ
た地域にサービスの提供をもたらすことになり、開発途上国の便益に資する。
9 相互接続
規制当局とGMPCS事業者は、サービスの品質等の維持、ユニバーサルサ
ービスの確保、GMPCS事業者間の競争を図りつつ、GMPCS間及びGM
PCSと公衆網との相互接続を確保するよう協力する。
10 今後の協力
規制当局、GMPCS事業者及びメーカーは、GMPCSの完全な形での実
現に向けて協力していく。
参 考2
MoU(Memorandum of Understanding)
1 導入までのスケジュール
1997年早々に、MoU案に関する専門家会合を開催し、その内容を
確定する。
1997年前半に、MoU署名当事者の第1回会合を開く。
2 政策フォーラムに提出されたMoU案の概要
第1条 端末の型式認定
当事者は、端末の型式認定の基本的条件及び相互認証の方法について取
り決めを結ぶ。型式認定の技術基準はITU勧告に準拠するものとする。
第2条 端末の無線局免許
当事者は、一般的な免許に基づき免許に関する取り決めを検討する。
この取り決めは、免許の相互認証を含むものとする。
第3条 端末の認定証
当事者は、端末の認定証に関する取り決めを結び、型式認定及び無線局
免許の相互認証を行っていることを示すこととする。
第4条 税関手続き
当事者は、承認された端末の訪問国又は通過国の税関規制の免除のため
に、関係当局に勧告するものとする。