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発表日  : 7月8日(火)

タイトル :  7/ 8付:ITU決議に基づくコールバックに関する国内措置の実施





 平成8年10月、ITUでコールバックに関する決議が採択されたことを受け、
郵政省ではコールバック関係事業者からのヒアリング等を通じて、ITU決議の
趣旨を踏まえた国内措置のあり方を検討してきたところでありますが、このたび
次の措置を講ずることとしました。

 1 諸外国のコールバックに関する規制の状況やITUの決議の趣旨をコール
  バック事業者に対し文書で周知するとともに、郵政省ホームページを利用し
  て広く国民全体に周知する。

 2 将来、日本国内にコールバック回線提供事業者(いわゆる「コールバック・
  プロバイダ」=日本から外国に対して呼び返しを行う事業者。別紙3参照。)
  が出現し、コールバック禁止国(平成9年7月1日現在60ヶ国。別紙1参照。)
  に対し、サービスを提供するような事態が生じれば、その段階で、ITU決
  議を踏まえて、厳正な停止措置を検討する。

 3 コールバックに関する実態を正しく把握し、ITU決議の適正な履行を確
  保するため、コールバック事業者から今後、定期的な通信量等の報告を求め
  ることとする。


(添付資料)
   別紙1:コールバック禁止国一覧
   別紙2:ITU第2回世界電気通信標準化会議(WTSC-96)(平成8年10月)
       決議29 国際電気通信網における代替通話手段
   別紙3:コールバックプロバイダの定義


     連絡先:(施策関係)電気通信局電気通信事業部データ通信課
                    (担当:長谷川補佐)
                     電話 03−3504−4836
         (コールバック禁止国関係)郵政大臣官房国際部国際機関室
                    (担当: 山本 補佐)
                     電話 03−3504−4791



別 紙 1
           コールバック禁止国一覧

アラブ首長国連邦、アルジェリア民主人民共和国、イエメン共和国
インド、ヴィエトナム社会主義共和国、ヴェネズエラ共和国、ウガンダ共和国
エクアドル共和国、エジプト・アラブ共和国、エリトリア国、オマーン国
オランダ領アンティーユ諸島、ガーナ共和国、カザフスタン共和国、カタル国
ガボン共和国、ガンビア共和国、カンボディア王国、キューバ共和国
ギリシャ共和国、キルギス共和国、クウェイト国、ケニヤ共和国
コロンビア共和国、サイプラス共和国、サウディ・アラビア王国
ザンビア共和国、ジブティ共和国、シリア・アラブ共和国、ジンバブエ共和国
スペイン、タイ王国、大韓民国、タンザニア連合共和国、中華人民共和国
トルコ共和国、ニカラグァ共和国、ニジェール共和国、西サモア独立国
パキスタン・イスラム共和国、パナマ共和国、バハマ国、バハレーン国
パプア・ニューギニア独立国、ハンガリー共和国、フィジー共和国
フィリピン共和国、ブルキナ・ファソ、ブルネイ・ダルエスサラーム国
ブルンディ共和国、ベラルーシ共和国、ポーランド共和国、ポルトガル共和国
ホンデュラス共和国、マリ共和国、マレイシア、マダガスカル共和国
モロッコ王国、ラトヴィア共和国、レバノン共和国

                        (平成9年7月1日現在)

 今後郵政省ホームページに最新情報を掲載の予定。


別 紙 2

            国際電気通信連合(ITU)
  第2回世界電気通信標準化会議(WTSC−96)(平成8年10月)
        決議29 国際電気通信網における代替通話手段


第2回世界電気通信標準化会議(WTSC−96)(1996年ジュネーヴ)は、

 a) 通信網上の代替通話手段に関する全権委員会議(1994年京都)決議
    21が、
  i) ITU連合員の国内法と規制が尊重されることを確保する上での困難
     を解決するため連合員同士の協調を求め
  ii) 国際電気通信連合電気通信標準化部門(ITU−T)に対し適切な
      解決と勧告を作成するとの観点から研究を加速化することを指示し
      たこと

 b) 国際電気通信網に係る代替通話手段に関する理事会(1996年ジュネ
    ーヴ)決議1099が、代替通話手段に関する適切な勧告をできるだけ
    早期に作成することをITU−Tに強く求めていること

 c) 調和の取れた通信の発展のための連合員間の協調を後見し、最も低い価
    格でサービスが提供されるようする連合の目的
を想起し、

 a) コールバックがある国では許され、ある国では許されていないこと
 b) コールバックがユーザに対し魅力的であり得る代替通話手段を提供して
    いること
 c) コールバックが、認められた事業体(ROA)(注)の収入に影響を与
    えており、特に通信網と通信サービスの調和のとれた発達のための努力
    に対して深刻な妨害をする可能性があること
 d) コールバックによるトラヒック・パターンの歪みはトラヒック管理とネ
    ットワーク計画に打撃を与えること
 e) コールバックのいくつかの形態は公衆電気通信網の性能と品質を深刻に
    低下させることを認識し、

   通信の規制は各国の主権であり、各国はその領域内でコールバックを許可
  し、禁止し、あるいは規制してよいこと
を再確認し、

コールバックの影響を最小限にするためには、
 a) ROAは、各国の国内法の範囲で、国際電気通信規則6.1.1項及び
    ITU−T勧告D.5を考慮して、コスト指向ベースで収納料金のレベ
    ルを設定するよう最大限努力すべきであること
 b) 主管庁及びROAは、ITU−T勧告D.140の原則とコスト指向な
    計算料金及び計算料金分収の原則の実現を断固として追求すべきである
    こと
に留意し、

 1. 主管庁とROAは、コンスタント・コーリング(ボンバードメントまた
    はポーリング)方式及びアンサー・サプレッション方式のように公衆電
    気通信網の品質と性能を深刻に低下させるコールバックの方式と慣用を
    停止するよう、その国内法の範囲で、あらゆる合理的な措置を執るもの
    とする。
 2. 主管庁とROAは、他の国家主権を尊重するため協力的で合理的なアプ
    ローチを採るべきであり、協調のためのガイドラインとして附属書が提
    案される。
 3. 採択された課題A/3、3/2及びV/11の下、
 3.1できる限り早期に、代替通話手段に関する適当な勧告を作成すること、
    とりわけ、コンスタント・コーリング(ボンバードメントまたはポーリ
    ング)方式及びアンサー・サプレッション方式のような、公衆電気通信
    網の品質と性能を深刻に低下させるコールバックの方式と慣用の技術的
    側面に関する勧告を作成すること
 3.2代替通話手段の他の側面に関する研究を継続すること
    のために、更なる研究が必要である。

と決議する。


                      WTSC−96決議29附属書

   コールバックに関する協調のための主管庁とROAへのガイドライン

 国際通信のグローバルな発展のため、主管庁とROAが互いに協力し協調的で
合理的なアプローチを採ることが望まれる。どのような協力もまたそれに基づく
措置も国内法の制約を考慮しつつ行われなければならない。以下のガイドライン
は、コールバックに関する国X(コールバックユーザー所在国)と国Y(コール
バック回線提供事業者所在国)に適用されるよう勧告される。コールバックのト
ラヒックが国X又はY以外に着信する時は、着信国の主権と規制状況が尊重され
るべきである。
        国X        
 (コールバック・ユーザー所在国) 
                  
        国Y       
(コールバック回線提供事業者   
(プロバイダー)所在国)     
一般に協調的で合理的なアプローチが望
まれる               
一般に協調的で合理的なアプローチが
望まれる             
コールバックの規制又は禁止を望む主管
庁Xは明確な政策的立場を確立するもの
とする。              
 
主管庁Xはその国としての立場を知らし
めるものとする。          
                  
                  
主管庁Yは、あらゆる可能な公的手段
を用いてこの(左)情報を領域内のR
OAとコールバック回線提供事業者の
注意にかけるものとする。     
主管庁Xは、領域内で運用するROAに
対しその政策的立場を指示するものとす
る。これらのROAは、その国際運用協
定がその立場に合致するよう段階を追っ
て進めるものとする。        
Y国のROAはあらゆる国際運用協定
の必要な改正の検討について協力する
ものとする。           
                 
                 
  主管庁Y及び(又は)Y国のROAは、
領域内で運用を確立しているコールバ
ック回線提供事業者が以下を確実に認
識するようするものとする。    
 a)禁止が表明された国ではコール
  バックは提供されてはならないこ
  と              
 b)コールバックの方式は、国際公
  衆電気通信網の品質と性能を低下
  させないようなタイプでなければ
  らならないこと        
主管庁Xは、その法的管轄と責任の範囲
で                 
 a)禁止された          
及び(又は)            
 b)通信網に対して有害な     
コールバックの領域内での提供及び(又
は)利用を停止するためにあらゆる合理
的な手段をとるものとする。     
X国のROAはそのような措置の導入に
協力する。             
主管庁Yは、           
 a)禁止された国おける     
及び(又は)           
 b)関係する通信網に対して有害な
コールバックを提供するコールバック
回線提供事業者を制止するためあらゆ
る合理的な手段をとるものとする。 
                 
                 
                 

ノート: コールバックを国際電気通信規則に定義する「国際電気通信サービス」
     であると考える国の間では、関連するROAの間に、コールバックの
     運用条件に関する二者間運用協定が必要である。
=====================================
(注)認められた事業体(ROA:Recognized Operating 
   Agency)
    公衆通信業務又は放送業務を運用する事業体で、その主たる事務所の所
   在地がある連合員によって、又は自己の領域において電気通信業務に関す
   る設置及び運用を当該事業体に認可した連合員によって、ITU憲章第6
   条に基づく義務を課せられたもの。(ITU憲章附属書)
  ITU憲章第6条(第2項)
    連合員は、また、自己が電気通信に関する設置及び運用を許可した運用
   体で、国際業務を行うもの又は他国の無線通信業務に有害な混信を生じさ
   せるおそれがある局を運用するものにこの憲章、条約及び業務規則を遵守
   させるため、必要な措置をとる義務を負う。


別 紙 3
 コールバックプロバイダの定義 
 第三国からの「呼出要求」(専用線方式の専用線経由によるデータ伝送や不完
了呼方式の公衆網経由による不完了呼を指す。)に応じて日本国内から当該ユー
ザを呼び返すとともに着信先を呼び出し、双方の接続を行う事業者。(日本には
現存しない。)

【概念図】
コールバックプロバイダの定義概念図

(参考)
           国際電気通信連合(ITU)
         全権委員会議(平成6年10月京都)
    決議21 国際電気通信網に係る代替通話方法に関する特別措置


 国際電気通信連合全権委員会議(1994年京都)は、

    国際電気通信連合の連合員の間の発信電気通信料金の相違
を考慮し、

 a) 国際電気通信事業者間の二者間協定の範囲外で国際電気通信網を利用す
    る事業体の存在
 b) そのような行為は、いくつかのITUの連合員が提供する国際電気通信
    サービスから得られる収入に不利な影響を与えていること
 c) そのような行為は、いくつかの連合員の国内法によって、電気通信網の
    誤用として見なされていること
 d) そのような行為は、いくつかの連合員の国内法に抵触すること
に留意し、

 a) 憲章(1992年ジュネーヴ)第35条が規定するITUの連合員の国
    際電気通信サービスを停止する権利
 b) 国際電気通信規則第1条の第1.5項に従って、ITUの連合員の主管
    庁又は認められた事業体の間の電気通信トラフィックの国際交換に関し
    二者間協定を締結するITUの連合員の権利
にさらに留意し、

 a) 連合員は、その主管庁により認可されたサービス以外のサービスの提供
    のために及び他人による使用を目的として料金を支払わずに情報伝送を
    行うために網を使用することを防ぐための措置をとるべきこと
 b) 事業体は、利用者ができる限り安価な料金で利用できることを確保する
    ような料金及び運営政策を可能な限り定めるべきであること、及び国際
    電気通信規則の第6条の6.1.1項は、主管庁に対し、同一の関係で
    各方向に適用される料金の間に著しい不均衡が生じないよう努めること
    を要請していること
をさらに考慮し、

 1.国際電気通信事業者間の二者間協定の当事者は、そのような二者間協定に
   適合しない行為を排除するため、国内法の範囲内であらゆる手段をとるこ
   と
 2.事業体による行為が連合員の国内法に抵触する場合であって、当該連合員
   が、その事業体を管轄する連合員に通報した場合には、後者の連合員は、
   国内法の範囲内でその問題を調査し、適当な措置
   をとること
を決議し、

 連合員に対し、
   ITUの連合員の国内法及び規則が尊重されることを確保するために、こ
  の決議の適用により生じる困難を解決するよう互いに協力すること
を要請し、

 電気通信標準化部門に対し、
   適当な解決策及び勧告を作成するために、このような行為に関する研究を
  加速化すること
を指示し、

 電気通信標準化局長に対し、
   これらの研究の進展について連合員及び理事会に報告書を提出すること
を指示する。



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