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発表日  : 4月8日(月)

タイトル : 電気通信審議会NTTの在り方についての特別部会第23回会合議事要旨(平成8年4月8日公表)






1 日時
  平成8年2月13日(火) 午後2時〜4時

2 場所
  郵政省審議会会議室(郵政省12階)

3 出席者(敬称略)
 (1)特別部会
  ア 委員・臨時委員
    伊東光晴(部会長)、月尾嘉男(部会長代理)、新井明、加藤真代、
   後藤守正、酒巻英雄、園山重道、林敏彦、藤井義弘、舟田正之、齊藤忠夫

  イ 専門委員
    浅野正一郎、岩原紳作、鬼木甫、黒川和美、酒井善則、醍醐聰、
   多賀谷一照、直江重彦、若杉敬明

 (2)事務局
    佐村知子審議会室長

 (3)郵政省
    五十嵐三津雄電気通信局長 ほか

4 議事
  討議

 (1)再編成後の各社のイメージについて
 (2)KDDの在り方について
 (3)接続に関する政策の推進について
 (4)再編成コストについて

5 模様
  伊東光晴部会長から、第86回電気通信審議会総会(平成8年2月8日)に
 おける主な議論について紹介が行われた後、次のとおり討議が行われた。

 (1)再編成後の各社のイメージについて

   月尾嘉男起草委員長から、「再編成後の各社のイメージについて」説明が
  行われ、その後討議が行われた。説明の概要は次のとおり。
   起草委員会の議論では、仮に再編成を行う場合の案としては、〔例1〕の
  長距離NTTと複数の地域NTTに再編成するという考え方がいいのではな
  いかという方向になった。NTTの問題を考える大きな視点は、利益相反的
  な構造をなくし、地域独占による弊害を除去することであり、長距離も地域
  も一緒にして2つもしくは3つに分けることは、現在抱えている問題が同じ
  ように継続する側面が非常に強いので、長距離を分離した上で地域分割をす
  ることが望ましいということになったものである。また、NTTドコモ、N
  TTデ−タ及びNTTパーソナルは、NTTの公正競争上、及び長距離系N
  CCとのバランスから、分離した長距離NTTが株式を承継することが望ま
  しいということになった。
   資料の内容及び主な意見等は次のとおり。

  ア 「再編成後の各社のイメージについて」の内容(項目)
   1 基本的視点
   2 具体的再編成イメージ
   〔例1〕 長距離NTTと複数の地域NTTへの再編成
       (1)長距離NTTの姿
       (2)地域NTTの姿
       (3)再編成各社をめぐる規制緩和
       (4)NTT研究所の姿

   〔例2〕 複数の地域NTTへの再編成
       (1)新NTTの姿
       (2)再編成各社をめぐる規制緩和
       (3)NTT研究所の姿

  イ 主な意見等

   A 私自身としては、今の時代は競争という見地よりも、国際的にナショ
    ナルフラッグを掲げていく状況になりつつあるから、この問題は急ぐべ
    きでないという意見だが、特別部会として案をまとめて出さねばならぬ
    以上は、今の案でやむを得ないと思う。

   B 自らの営業エリア外でクリームスキミング的に参入し、収益性の低い
    ところには参入しない場合に、ユニバーサルサービス維持のために事業
    者に何らかの負担を課すことは考えられるのではないか。

   C 地域通信部門への参入は最も困難なことであるが、新規参入してより
    安く提供できるのであれば、それは結構なことである。自営業エリア外
    への進出を制度的に認めれば、例えば光ファイバとかケ−ブルテレビ事
    業との関連において現実に参入が十分あり得る。

   D ある地域の地域網を独占する会社がその独占の利益を競争部門につぎ
    込むことは望ましいことではない。

   E 研究所の在り方について、例えば長距離通信に関する研究開発を長距
    離会社に付けるとすると、ほとんどの研究開発は長距離会社に行くこと
    になり、地域会社には加入者線の研究開発くらいしか残らないのではな
    いか。研究所の帰属については、NTTに考えさせればよい。

   F 隣接都道府県と通信する際必ず他社を経由するのでは、ネットワーク
    の構成がいびつになるかもしれないので、できる限り早く長距離と地域
    の相互参入を実現させる方がよい。

   G 競争の促進によって情報通信市場の発展を図るための基本的なスタン
    スは「自由化」であることをうたって、それと再編成とをセットとすべ
    きである。

   H 県間であれ隣接MA間の通信は地域会社ができるということにしても
    問題ないのではないか。

   I 今日までNTTの研究所が日本の技術発展、開発に果たしてきた役割
    は、今後とも薄れることはない。基礎的研究を含めて、今の研究所はど
    こに配属するにせよ一体のまま残すべきである。

 (2)KDDの在り方について
 (3)接続に関する政策の推進について
 (4)再編成コストについて

   月尾嘉男起草委員長から、「KDDの在り方について」、「接続に関する
  政策の推進について」及び「再編成コストについて」説明があり、その後討
  議が行われた。説明の概要は次のとおり。
   「KDDの在り方について」は、国内と国際の相互参入を積極的に進め、
  国際通信についても競争を活発にするため、KDDに国内通信の提供を認め
  てもいいのではないか、また、KDDは国際NCCが提供していない多数の
  国へのサ−ビスの提供や緊急事態のときの通信のカバ−を行っており、様々
  な企業によってそうした対応ができるという見通しが立った段階で、KDD
  法を廃止して完全な民営会社にすることを考えたらどうかという議論を行っ
  ている。
   「接続に関する政策の推進について」は、誰にも公平な接続条件を提供で
  きるような形でル−ルを策定していくということをまず行えばいいのではな
  いか、また、郵政省内部に監視・裁定などを行う部署を設置するとともに、
  審議会の中にも接続についての問題を討議する部会、場合によっては監視・
  裁定などに関与する部会を作り、接続の公平な実行が保証される仕組みを考
  えていかなければいけないのではないかという議論を行っている。
   「再編成コストについて」は、NTTから再編成コストは 4,500億
  円との試算が出されているが、NTTの試算では償却を一時に行うことにな
  っており、それを数年に分けて償却し、当面不要な経費を繰り延べる等行え
  ば、再編成初年度のコストは 840〜 860億円と計算している。

  〔主な意見等〕
   A 接続について一定のルールをつくって裁定を行うことは、現在の料金
    規制以上に行政コストはかかるとされている。競争に中立的に機能する
    ので、市場メカニズムに対していい影響を与えてコストダウンに結びつ
    くが、今後は技術革新でケースが増える可能性が大だと考えておいた方
    がいい。規制緩和をするにしたがって行政コストがかかるという事態が
    どこの国でも起こっている。

   B FCCは、ルールの策定や裁定に関して資料を公示しており、それに
    より、当事者以外の事業者にとっても、事業の不確実性が減ることにな
    る。

   C 英国のオフテルも、接続ルールの策定等、接続に関する政策立案機能
    と遵守状況の監視・裁定という行政機能を一体で行う必要があると考え
    ていると聞いている。すなわち、技術革新が非常に激しいために次々と
    新しい問題に対応しなければいけないこと、監視により適宜ルールが守
    られているかどうかを判定し、これを反映してルールを変更するという
    やり方をしていくことから、やはり一体的な必要性があるだろうという
    ことである。

   D ルール策定機能と監視・裁定機能を分けるべきかどうかのポイントは、
    ルールをつくる人と監視する人の間に利益相反が存在するかどうかであ
    る。存在するのであれば分けるべきであるが、この場合、利益相反は存
    在しないと思う。

   E 再編成初年度のコストだけでなく、トータルとしてのコストについて
    も、NTTの試算と比較する必要がある。

 (5)「再編成を想定した場合の各社の財務健全性 補足説明」について

   若杉敬明専門委員から、第22回の特別部会で報告した「再編成を想定し
  た場合の各社の財務健全性」について、その際の報告内容を再確認する観点
  から、補足説明資料に基づき説明が行われた。資料の主な内容は次のとおり。

  〔「再編成を想定した場合の各社の財務健全性 補足説明」の主な内容〕
   1.試算は様々な前提・仮定の下で、過去の数字を機械的に将来に引き延
    ばしたものであり、その間に生ずるかも知れない事象(市内網開放によ
    る減収、マルチメディア分野での増収、料金値下げ・値上げ)や再編の
    効果は考慮されておらず、その意味で十分注意して見る必要があるもの
    であること

   2.したがって、試算をいかに精緻化しようと、試算の数字は再編の前提
    が満たされているか否かの判断材料であって、それ以上のものではない
    こと

   3.経済環境等の外部要因についてはシナリオ分析は行われておらず、再
    編各社の財務見通しについて、より楽観的又はより悲観的な推移があり
    得るものであり、この点でも注意が必要であること

 〔その他〕
   次回は、平成8年2月16日(水)午前10時から開催。
   委員間の討議が行われる予定。

  (文責:電気通信審議会事務局。速報につき、事後修正の可能性あり)



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