発表日 : 4月16日(火)
タイトル : 衛星間隔の精密監視装置を開発―静止衛星の混雑を緩和へ―
通信総合研究所・鹿島宇宙通信センターでは、静止軌道にある衛星どうしの間
隔を精密に監視する装置を開発した。2つの衛星から来た電波を受けて、その方
向の違いを観測することにより、衛星間隔を数十メートルの精度で測定できる。
このような監視装置の開発は世界で初めてである。
最近、各国が打ち上げる通信衛星の数がどんどん増えて、静止軌道が多数の衛
星で混雑する問題が心配されるようになった。今回の技術開発は、衛星のニアミ
ス防止を正確に行うことで、この問題の解決をねらう。
実験では、衛星方向の違いを十万分の数度という精度で観測できた。これを軌
道上に換算すると、数十メートルの精度で衛星間隔をとらえることに等しい。つ
まり衛星サイズに近い精度で衛星どうしの接近を監視できる。従って、万が一衛
星どうしでニアミスしそうになっても、少しだけ衛星の燃料を使って安全な軌道
へ回避させる、ということが難なく行えるようになる。
この装置は電波を受けるだけで働くから、対象とする衛星はどんなものでもよ
く、各国の衛星が入りまじっていてもよい。今後、静止衛星の数が今の数十倍に
増えても、この開発した技術を用いるならば混雑の問題は心配なくなる。また、
色々な衛星を軌道上の一箇所に集めて運用することによって便利なサービスを提
供する、ということも可能になる。
問合わせ先
通信総合研究所 鹿島宇宙通信センター
宇宙制御技術研究室
TEL:0299−84−7149
FAX:0299−84−7160