発表日 : 4月19日(金)
タイトル : 電気通信審議会第89回会合議事要旨(平成8年4月19日公表)
1 日時
平成8年3月21日(木) 午後2時00分〜3時10分
2 場所
郵政省第二特別会議室(郵政省3階)
3 出席者(敬称略)
(1)委員・臨時委員
那須翔(会長)、浅尾宏(会長代理)、新井明、一力健、岩山保雄、
加藤真代、後藤守正、篠原滋子、園山重道、月尾嘉男、西井昭、堀内和夫、
増澤高雄、百崎英
(2)事務局
佐村知子審議会室長
(3)郵政省
山口憲美通信政策局長、五十嵐三津雄電気通信局長、
楠田修司放送行政局長、内海善雄総務審議官、岡井元技術総括審議官ほか
4 議題
(1)諮問事項
プログラムの開発に係る電子計算機利用高度化計画について
(2)報告事項
ア 有線放送部会報告
イ 電気通信事業部会報告
ウ 通信政策部会報告
エ 電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する法律案の国会提出につい
て
オ 通信・放送機構法の一部を改正する法律案の国会提出について
(3)その他
ア NTTの在り方を巡る動きについて
イ WTO基本電気通信交渉の概要について
5 議事模様
(1)諮問事項
堀内情報処理部会長から、「プログラムの開発に係る電子計算機利用高
度化計画について」(平成8年諮問第2号)の答申案について説明があり、
質疑の後、本案をもって答申することが了承され、答申が行われた。
ア 説明概要は以下のとおり。
・ 情報処理部会では、1月18日、2月20日及び3月18日に会合を
開催し、コンピュータのプログラムの現状、今後のプログラムの開発の
方向性について審議し、平成8年度から平成12年度に至る期間のプロ
グラムの開発に係る電子計算機利用高度化計画の答申案をとりまとめた。
・ 今般の計画策定に当たっては、コンピュータのネットワーク化の進展
やデジタル化・マルチメディア化の進展により、コンピュータの利用者
層や適用分野がますます多様化しているとの観点から、「オープンなネ
ットワーク環境における通信機能の高度化、セキュリティの確保」、
「多様な情報を統合的、効率的に処理する技術、プログラム開発技術の
高度化」、「様々な分野におけるアプリケーションプログラムの開発、
ユーザインタフェースの向上」及び「情報リテラシーの向上」といった
点を重視している。
・ 今般の計画案では、アプリケーション分野のプログラム開発に特に重
点を置くとともに、プログラム開発においてこれから重要性が増すと思
われるキーワードを多数盛り込んでいる。
イ 主な質疑応答は以下のとおり。
・ 本計画は、今後どのように活用されていくのかについて質問があり、
以下の説明があった。
郵政省及び通商産業省において本計画に関する答申がなされた後、プ
ログラム開発に関する指針として、両省で共同告示を行うこととなる。
本計画に基づき開発されるプログラムは、租税特別措置法の規定にし
たがい税制上の恩典を得ることが可能である。また、行政及び民間にお
けるプログラム開発の指針として活用されることが期待される。
・ 本計画に関して、郵政省と通商産業省との間での調整は行われている
のかについて質問があり、本計画の策定に当たっては、郵政省と通商産
業省間で随時情報交換を行いながら進めているとの説明があった。
(2)報告事項
ア 有線放送部会報告(堀内部会長)
第82回部会(2月9日)について、次の報告があった。
・ (株)ケーブルテレビ足立等2件の有線放送テレビジョン放送施設の
設置許可の諮問について審議を行い、許可を与えることが適当と認めら
れる旨の答申などを行った。
イ 電気通信事業部会報告(園山部会長)
第134回部会(1月26日)、第135回部会(2月23日)につい
て、次の報告があった。
・ 第134回部会においては、「(株)東急ケーブルテレビジョンの第
一種電気通信事業の許可」ほか11件の諮問について、また、第135
回部会においては、「日本電信電話(株)の電話サービスに係る料金の
変更の認可」ほか8件の諮問について、審議した結果、それぞれ申請の
とおり許可又は認可をすることが適当と認められる旨の答申などを行っ
た。
ウ 通信政策部会報告(通信政策局)
第48回部会(2月8日)及び専門委員会(第1回〜3回)について、
次の報告があった。
・ 第48回部会においては、椎名委員が部会長に互選され、藤井委員が
部会長代理に指名された。また、今後の進め方として、現状、課題等を
踏まえ、具体的推進方策について調査し、取りまとめを行うため専門委
員会を設けるととした。
・ 専門委員会においては以下のテーマについて検討をおこなった。
第1回 「21世紀に向けた我が国の社会経済目標と情報通信の高度化
による対応」
第2回 「情報通信の利活用(1)−アプリケーション総論−」
第3回 「ネットワークインフラ(1)(放送を除く無線系ネットワー
ク)」
エ 電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する法律案の国会提出につい
て(放送行政局)
本法律案は、高度情報通信基盤の整備を促進するために、支援の対象を
拡大しようとするもの。
・ CATV事業者を信頼性向上施設整備事業の対象事業者に追加。
・ 光ファイバ網の整備事業者に対する特別融資の対象施設を拡大。
オ 通信・放送機構法の一部を改正する法律案の国会提出について(通信政
策局)
本法律案は、高度情報通信社会の構築に向けて、産官学の緊密な連携に
よる研究開発体制の整備を行うことを目的。
・ 通信・放送機構が自ら研究開発を実施する方法に加え、外部の機関の
設備や研究者等の研究開発能力を活用することにより一層効果的な研究
開発の実施を可能とするため、研究開発の委託を行えるようにする。
・ 研究開発資金の担保がないために研究開発が進まない民間企業等に対
して通信・放送機構が債務保証を行えるようにする。
・ 併せて関連規定の整備を行う。
主な質疑の概要については次のとおり。
・ 通信・放送機構の業務に関して委託の規定が入っていなかった理由に
ついて質問があり、平成4年度の法改正で研究開発業務を追加しており、
委託研究もできると解釈できるかどうかとの議論もあったが、NEDO
(新エネルギー・産業技術総合開発機構)などでは研究開発の委託につ
いて規定を設けており、今回それにならい規定の明確化を図る観点から
改正するものとの説明があった。
(3)その他
ア NTTの在り方を巡る動きについて(電気通信局)
NTTの在り方を巡る政府与党の動きについて説明があった。
主な意見については次のとおり。
・ 政府与党のNTTの経営形態に関するワーキングチームにおいて公正
取引委員会の研究会だけが呼ばれて、当審議会が呼ばれないのは公平性
を欠くのではないか。
イ WTO基本電気通信交渉の概要について(内海総務審議官)
・ 現在、ウルグアイ・ラウンドの積み残し案件として、電話等の基本電
気通信サービス市場への外資の参入条件等について継続交渉中であり、
交渉期限は4月末。
・ 我が国の対応としては、免許手続き等の実質的参入障壁により、我が
国事業者の欧米市場への参入が困難なため、この実質的参入条件の改善
が不可欠というスタンスで各国と交渉。
・ 米国やEUの日本に対する要求の中身は、外資規制の緩和等。
・ 外資規制緩和は世界的な流れ。
主な意見については次のとおり。
・ 外資規制の問題について、日本の場合は、日本政府の主体性によって
拒否ができるような体制が一切ないという法体系だが、米国や欧州には
安全保障等の理由でそれがあり、日本もそうした体制を作ることが望ま
しい。
(文責:電気通信審議会事務局。速報につき、事後修正の可能性あり。)