発表日 : 6月25日(火)
タイトル : 電気通信技術審議会第4回総合政策部会議事…2
○ 藤原専門委員 次世代マルチメディア符号化や画像映像処理技術があり
ますが、これらはどちらかというとコンテンツの表現技術の話なので、
ここははずして、ジェネリックな情報表現という欄を設けるか、あるい
は、ジェネリックネットワークを3層から6層まで広がる表現にするか
どちらかだろうと思います。
○ 安田部会長 最初の方がよいかもしれませんね。ただ、横断的な表現と
して、そこまで大きくなるでしょうか。
○ 藤原専門委員 Information Presentationと
いう範疇があるのではないでしょうか。提案にあるようにバーチャルマ
シンやジャバのような技術を一つの範疇にするのであれば、必要だと思
います。インターネットも今ホットなのは情報表現の部分、コンテンツ
の部分だと思います。
○ 鬼頭技術政策課長 資料がでてきたプロセスだけご説明しておきたいの
ですが、ネットワークインフラ技術、アプリケーション技術、基礎先端
技術と分類し、それに5つの社会目標をうまくかぶせた分類ができない
だろうかと考えました。アプローチしやすいのが、アプリケーション技
術だろうと、そこでアプリケーションのイメージがきれいに分類できれ
ば、整理できたものができるというのは蝶野政策課長が申した通りなの
ですが、現在途中のプロセスとお考えいただきたい。問題は、アプリケ
ーションには横断的なものがあるし、ネットワークにも共通普遍的な用
途が非常に多い。今、ネットワークインフラ技術に分類されていて、個
別社会課題の方に分類し直せるものはないかとのアプローチをしてみま
した。ある社会課題から見れば、こういうアプリケーションがある。そ
れにはこういう技術が必要だと。それが他の社会課題の別のアプリケー
ションにも使われるということもある。ネットワークの中にもそういう
ものがある。そういうものを無理矢理押し込んだもので、ご不満が出る
ことを覚悟して今日お出しした訳です。今提案されている課題が、数的
にも内容的にもアンバランスで、こういった分類で張り付けてみて、バ
ランスを見てみたいと事務局では考えています。
○ 安田部会長 今言われた5つの目標のバランスをとる必要はかならずし
もないと思います。実際に提案の多いところと少ないところがあるが、
無理に数あわせはしない方がよい。逆に数が少ないところは、目標にあ
げること自体が適当かどうかとの問題もあります。
○ 宮脇専門委員 一応2次元に分けたのですから、事務局でマトリックス
を作ったらどうでしょうか。ここに挙げてある項目とこの大項目とでマ
トリックスを作れば、全貌がわかると思います。
○ 葉原専門委員 ATRでは臨場感通信会議や自動翻訳電話をやってきま
したが、例えば臨場感通信会議は目的システムでもありますが、むしろ
3次元画像通信など非常に多くの個別要素技術を効率的に研究するため
の、共通の場としてのシステムイメージとして想定したものです。各要
素技術は他のシステムにも当然適用可能です。プロジェクトの対象を特
定のシステムとするか汎用性のある要素技術とするかでやり方がかなり
変わると思います。いずれにしても、各要素技術についてこれこれのシ
ステムに強く関係する、こちらにも多少関係する、この特定システムに
はこれこれの要素技術が関係するというように特定のシステムと要素技
術とをマトリックス式に整理した方がわかりいいのかなと思います。
○ 横山通信総合研究所次長 技術体系化はこれでいいと思います。この部
会から外に向かって出すとき、こういったプロジェクトで進めた方がい
いというメリハリの部分はこれとは別にあった方がいいと思います。
ACTSでマジックワンドという言葉でワイアレスATMを進めている
プロジェクトがあります。ワンドは Wireless ATM
Network Demonstration の頭文字をとったもの
です。ワイアレスのATM について、様々な要素技術を全部開発しま
しょう、最後にデモンストレーションまでやりましょうということを象
徴的に集めた言葉なんです。実際には、コンソシアムを作って研究開発
を進めようということなんですけれども、葉原委員がおっしゃったよう
に、一つの言葉を象徴的に使って、そこに入っている技術を全部やりま
しょうということも必要な気がします。
○ 高畑専門委員 質問ですが、研究開発課題は例示とありますが、以前の
アンケートの結果はどう反映されているのでしょうか。
○ 雨宮技術政策課課長補佐 本日の資料は、どういった分野があるかにつ
いて分類整理したもので、重要課題につきましては、ここにはまだとり
こんでおりません。
○ 高畑専門委員 反映はされていないということですね。わかりました。
○ 安田部会長 今後アンケート結果を参考にして課題を入れ直す訳ですか。
○ 雨宮技術政策課課長補佐 具体的プロジェクトについては統合化する事
も含めて整理します。
○ 横山専門委員 この5つの社会的目標については皆さん御異論ない。ア
プリケーションの分類も外に対するアピールという点で意味あると思い
ます。ここでアプリケーションやプロジェクトを指摘するのが目的なの
か、あるいはそれを実現するための技術をピックアップするのが目的な
のか、どちらかはっきりさせる必要があると思います。
○ 安田部会長 電気通信技術審議会の場ですので、技術の方だと思うので
すが。
○ 横山専門委員 そうだとしますと、そこのところを明確にさせておかな
いと、どのプロジェクトがいいの悪いのでは技術につながりません。
○ 安田部会長 おっしゃる通りと思います。ここで言っているプロジェク
トいうのは技術で支えているものばかりと思いますので,プロジェクト
=技術と受け取っている面もあると思いますが、考え方として分けない
と混乱しますね。
○ 横山専門委員 産業創出の項目にはすでに企業ベース、コマーシャルベ
ースで相当進んでいるものもある。国としてやるべきものはなにか、公
共性などの社会的目標からのプライオリティづけなどの観点から、ある
程度の意見の整理が必要と思います。
○ 安田部会長 これからそのような整理が必要だと思います。メリハリを
つけるときに区別をしてやる必要があります。
(5)研究開発推進体制等の審議
○ 安田部会長 次に、研究開発推進体制等の審議をお願いします。
○ 坂庭専門委員 制度的に外国国籍の人でも簡単に国家公務員になれるの
しょうか。
○ 塩見専門委員 国の研究機関ではすでに外国人研究者を採用することが
できるようになっています。通信総合研究所でも10人以上の人がパー
マネントで働いています。
○ 横山専門委員 基盤促進センターの整備についてですが、発展的に拡大
すればかなりカバーできる。さらに成果や資金の範囲を拡大すれば、基
盤センターのイメージで、実質的に取り入れる可能性があると思います
が、この点はどう考えるのですか。また、これは意見ですが、その他の
促進策ですが、我が国の新しい技術の芽を社会ニーズに結びつけて具体
的にアプリケーションに展開させることは非常に大きなプロモーション
になると思いますので、是非進めて欲しい。デファクトについて、海外
との連携を深めるとありますが、連携の中味をもう少し具体的に意味づ
けることが重要です。
○ 安田部会長 基盤センターの制度ですが、あれは学が入ってなく、官民
だけですね。それを拡大して学も含めるようにということでしょうか。
○ 鬼頭技術政策課長 基盤センターの制度の改善が必要と考えています。
課題をかかえていることは事実ですので、それらを明らかにして検討し
たいと考えています。
○ 蝶野政策課長 去年基盤センターを担当していましたのでお話をしたい。
民間の方がなさることに関して、5割から7割、認可法人から金を出す
ということです。お金自体が一般の税金ではなく、政府の特別な会計か
ら出資をいただいています。この出資金は返却することが前提になって
おります。最先端の難しい分野を研究していただいているということで、
帳簿上2000億円をつぎ込んでいますが、返却の見込みはほとんどな
いという状況ですから、基盤センターのスキームはもうやめた方がいい
という意見が財政当局からでているのは事実です。これは、産学官で共
同研究する場合に常に出てくる問題なんですが、知的所有権や研究成果
物で資金のリターンをしようとする形にしますと、そうとう幅広く、か
つ直接に商売に結びつく研究をやってもらわなければならなく、そうな
りますと、そういうところは当然自分の会社でなさるという話になって
しまいます。今、鬼頭課長が申しましたように、見直す必要があるとの
機運にはなっています。それを見直すとした場合、こういう研究がやり
たい、こういうことが必要だから基盤センターをスクラップしてでも、
新しいこういう制度をつくりましょうというのが求められているのでは
ないかと思います。こういうことに使える産学官を含めたスキームを是
非ご提案いただきたいと思います。
○ 甕電波部長 審議会で倉内委員から指摘されている「地方から研究活動
に参加できるように」ということについて、地域にも研究ポテンシャル
があるので、それを大いに活用してゆくことが重要だと思います。地方
のポテンシャルがどんなものがあるのか、日本全体のいろんなポテンシ
ャルを含め、そのために何が必要か、例えば倉内委員が指摘するような
情報ネットとか、あるいは研究環境整備とかが必要と思います。
○ 歳弘専門委員 研究開発テーマを選んで、研究者同士が広帯域ネットワ
ークで繋がっているというイメージがボーンと飛び込んでくるんですけ
れども、ニーズをふまえて研究がどういうふうに進んでいるかとか、時
代が変わってくると途中何かを変えなくては行けないとか、そのような
ことに関して様々な分野の方々が50名ぐらい選ばれてインターネット
のようなところで進捗状況や他のシステムとの整合性をチェックしなが
ら世の中に広く知らしめて行く。知的財産権や漏洩などはメンバシップ
やファイヤウォールによって保護して実験を行う。そのような事を共同
研究ネットワークの中に入れたいと思います。
○ 藤原専門委員 今の件で実践していることをご紹介しておきますと、N
TTさんのマルチメディア共同実験でオンラインユニバーシティという
のがありまして、全国18大学が参加して様々な実験を行っています。
私共は分散マルチメディア処理グループをつくって、MPEGなどに共
同提案をするということで研究を行っています。155Mbpsの回線
はファイル転送するにも速くて便利だと思いますので、非常に有効な手
法だと思います。
○ 高畑専門委員 ポスドク、大学院生への支援により、ドクターコースに
残る学生も増えてくるのではないかと思います。
○ 塩見専門委員 通総研では、大学院生を研修生という形で大変たくさん
引き受けています。研究者のパワーとしても大変役にたっています。研
究者として活動している分については、是非支援をしたいと考えており
ます。例えば、外国にありますような研究補助者としての、給料とはい
かないまでも、人材育成ということでも役に立つのではと考えています。
諸外国ではポスドクでいろいろな機関を移動する研究者も多く、また日
本からもポスドクとして呼ばれたというようなこともありました。日本
でもポスドクの人をちゃんと処遇する制度を作って行くことによって、
外国からも優秀な研究者が日本に来るようになると思います。
○ 安田部会長 ちゃんとした処遇というのは、パーマネントなものであれ
ば、それはポスドクではなくなってしまうんですね。あくまで短期的な
ものがポスドクに対する処遇なのでしょうね。日本でもだんだん変わっ
てきていますが、日本では短期的なところに勤めて、また正規なところ
に勤めると、いろいろな意味で損をします。ほかにちゃんとした就職口
があるのならば、それはあまり薦められないという状況があります。
○ 塩見専門委員 おそらく、ポスドクで採用する場合には研究経歴として
きちんと残る形、制度にする必要があると思います。国の研究機関であ
れば、ちゃんとしたポスドクであれば、1年間の研究経歴は1年間の職
歴として認められる。民間の場合はどうかはわかりませんが、きちっと
した制度として作って行くことが大事だと思います。
○ 小舘部会長代理 ポスドクや重点研究のテーマを設定した場合に、研究
者の確保に関して公募の形がとられているのでしょうか。行われていな
いのであれば、地方も含めた形で、開かれた形で参加できる体制をとる
ことは意義があると思います。
○ 塩見専門委員 通総研では、ポスドクの公募はよく科技庁の制度を使っ
ております。この制度は世の中に公開されており、募集プロセスも公開
の形になっております。
○ 小舘部会長代理 文部省の重点研究では、あらかじめ7割程度は重点研
究テーマに近いところ、あるいは参加する大学の先生方で構成されても、
残りの3割を一般的な公募の形で参加を決めて行く。情報通信分野でも
こういう方向も考えらます。
○ 鬼頭技術政策課長 公募研究の強化の取り組みが平成7年度より各省で
開始されました。それまでもいろいろな制度がありましたが、これから
は予算的にも研究テーマ発掘の段階から力を入れていこうということに
なりました。平成7年度の補正予算では科技庁と通産省が始めており、
平成8年度からは郵政省でも公募制度を始めようと準備を開始しており
ます。これはほかに厚生省、農水省も入り、文部省でもさらに充実強化
する形で始まります。郵政省では情報通信分野で運用できる広範な制度
にしたいと考えております。
○ 小舘部会長代理 公募制度などは、これからの若い大学院生にとって夢
を与えるような将来の方向性、可能性を示すことができます。
○ 安田部会長 公募制度などのポスターを学生が日常的に見ていると、理
科系や情報通信系へ進む大学院生が増えるようになるかもしれませんね。
○ 中川専門委員 大学の問題なのですが、知的所有権について米国の大学
では大学自身が防衛していますが、日本の大学では、国立大学は制度的
にあってもあまり機能していないということですし、私立大学にいたっ
ては庶務課に持っていったら自分で勝手に取って下さいということです。
知的所有権に関して国から何らかの支援があると、国としてもあとで利
益を得るということもあります。そのへんご検討いただいたらと思いま
す。
○ 古川専門委員 Standard Research Institute
に15年くらい前にいった時に、非常にびっくりしたのは、完成した研
究をそこで売りに出しているだけではなしに、大学の先生がここまで仕
上げたのだけど研究予算が尽きたと、ついては残りのお金を出す人はど
うぞという形で自由に閲覧できて、出したお金で権利あるいは使用権を
買うことができる。その時、お金を積んだのは3分の2くらいは日本の
企業だった。そういう公募の仕方が、そこに集う学生たちの呼び水にも
なっていて、新しい学生を引っ張る要素にもなっていた。完成して商品
に繋がるかわからないものに、研究予算をすべてつけて完成させて終わ
りにするのではなしに、最後に完成度を高めるためにベンチャー資金な
りビジネスをやっている方に投資してもらうところで止めておく。日本
の企業がそういうところに行っているのであれば、日本の大学において
もそういう制度ができれば、健康的な産学の関係ができると思います。
○ 安田部会長 限られた会議の審議の中だけでは皆様のご意見をすべて集
約しきれない面もございますので、事務局に委員、専門委員の意見のと
りまとめをお願いしたいと思いますが、専門委員の皆様には個別に御意
見伺ったり、作業をお願いしますこともございますので、その際はご協
力のほどよろしくお願いします。是非とも盛り込んでおくべき項目など
は今週中に事務局までご提出をお願いします。以上で本日の審議予定は
すべて終了しました。事務局からの連絡事項はありますか。
○ 雨宮技術政策課課長補佐 課題整理につきまして、体系図につきまして、
それぞれ分野に横断的ものもあるのではないかとの本日のご指摘を踏ま
えて、マトリックスなどの手法もご提案いただいておりますので、充分
な整理ができるかわかりませんが、作業をしてみたいと思います。部会
の専門委員にご意見を頂戴しながらやっていきたいと思います。もうひ
とつ高畑先生からのご指摘がございましたが、皆様方のご意見を次回の
検討資料に盛り込んでいきたいと思います。最後に事務連絡ですが、次
回会合は4月19日(金)14時から郵政省11階電気通信技術審議会
会議室で予定しております。
3 閉会
○ 安田部会長 本日は、熱心な審議を頂きましてありがとうございました。
これをもちまして、本日の会合を終了致します。
第6 議決事項
なし