発表日 : 6月25日(火)
タイトル : 電気通信技術審議会第4回総合政策部会議事…1
第1 開催の日時及び場所
平成8年3月26日(火)午後2時から 於、郵政省12階第三特別会議室
第2 出席した委員及び専門委員等(敬称略)
1 委員
安田 靖彦(部会長)、小館 香椎子(部会長代理)、羽鳥 光俊
2 専門委員
石黒 公、井上 彰、川田 隆資、河野 文男、坂庭 好一、塩見 正、
島袋 徹、高畑 文雄、高柳 登、歳弘 卓也、中川 正雄、葉原 耕平、
藤原 耕平、古川 享、松下 操、宮脇 陞、村山 英敏、横山 清次郎
3 その他
高木 東(シャープ(株))、平出 賢吉(NTT移動通信網(株))、
清水 孝雄((株)東京放送)、樫出 正行(日本テレコム(株))、
小林 善和(日本アイ・ビー・エム(株))、益子 豊(日本放送協会)、
関根 徳蔵((社)電波産業会)
第3 出席した関係職員の所属及び氏名
1 大臣官房
岡井 元(技術総括審議官)
2 通信政策局
蝶野 光(政策課長)、鬼頭 達男(技術政策課長)
3 電気通信局
重田 憲之(電気通信技術システム課長)、甕 昭男(電波部長)、
竹田 義行(計画課長)
4 放送行政局
菊池 紳一(放送技術政策課長)
5 通信総合研究所
横山 光雄(次長)、飯田 尚志(企画部長)
6 事務局
雨宮 明(技術政策課課長補佐)
第4 議題
1 前回議事録の確認
2 電気通信技術審議会への報告の結果
3 提案された研究開発プロジェクトの分類
4 重点プロジェクト設定の審議
5 研究開発推進体制等の審議
第5 審議の概要
1 開会
○ 鬼頭技術政策課長
電気通信技術審議会総合政策部会の第4回会合を開催致します。
2 議事
(1)前回議事録の確認
○ 安田部会長 前回会合の議事録(案)が事務局から示されていますので、
ご確認願います。
(2)電気通信技術審議会への報告の結果
○ 安田部会長 昨日の電気通信技術審議会でこの部会の審議状況報告を致
しました。その結果、委員から多少のご意見が出ておりますのでご紹介
します。西澤会長からは、あまりイメージを明示し過ぎると、若い人が
ものを考えなくなってしまうこともあるので、若い人の独創性を失わな
いようにしなければならない。倉内委員からは、既にある通信ネットワ
ークを利用して、遠隔地からリモートで、実質的に研究に関与できるよ
うな仕組みが必要であるとのことでした。
(3)提案された研究開発プロジェクトの分類
○ 安田部会長 第2回会合で調査をお願いした研究開発プロジェクトの整
理について、皆さんからの意見を基に事務局で分類してもらいましたの
で、これについて事務局から説明願います。
○ 雨宮技術政策課課長補佐 ネットワークインフラ技術、アプリケーショ
ン技術、基礎・基盤技術と3つの大項目に分類し、それぞれを小項目に
分類しました。内容的に重複または類似するとのご意見をいただいたプ
ロジェクトについては整理してあります。現在までに提案いただいたす
べての課題のタイトルが上げられておりますので、必要に応じてご活用
いただきたいと思います。
○ 安田部会長 ただいまの説明に対して、質問、意見等はありますか。
今言った趣旨で分類したということですので、意見がないようでしたら、
次に進みます。
(4)重点プロジェクト設定の審議
○ 安田部会長 情報通信技術の体系及び重点プロジェクトの整理について、
審議のたたき台として事務局に資料を用意してもらいましたので、これ
について事務局から説明願います。
○ 雨宮技術政策課課長補佐 先ほどの技術的観点とは別の切り口を用意さ
せていただきました。前回の審議におきまして社会的目標の観点からの
分類も必要とのご意見もいただきましたので、事務局と一部の委員との
相談により案を作成しました。社会的目標として、環境保全、豊かな国
民生活、産業のダイナミズムの創出、高齢者・障害者の福祉、安全性・
災害対策の5つの社会的目標を挙げております。その社会的目標を達成
する技術として共通なジェネリックネットワークがあり、それらの土台
となる部分として新しいシーズを生み出すファンダメンタルリサーチが
あります。技術的な課題をプロジェクトの集約表の中からあてはめてみ
ましたので、この分類が適当かどうか皆様からご意見をいただきたいと
思っています。また、基本的に今まで提案していただいた集約表からさ
らに重点プロジェクトとして技術課題を抽出してみましたので、これに
ついてもご議論いただければと思います。
○ 安田部会長 情報通信技術の体系、重点プロジェクトの整理の2点につ
いて、自由に意見をお願いします。
○ 宮脇専門委員 英語のタイトルについては、日本語の方が中味を代表し
ているように思えます。今後の重要テーマの選択や予算獲得のための資
料とするためには、日本語としたほうが使いやすいと思えます。
○ 安田部会長 これは、コミュニケーションという言葉で全部を表そうと
し、少し変な言葉の方が後で生きてくることもあるとのことだったので
すが、ご意見があったことは念頭におきたいと思います。
○ 宮脇専門委員 ジェネリックネットワークのGeneric というの
は日本語に直すとすればどうなりますか。
○ 雨宮技術政策課課長補佐 汎用とか基盤という言葉かなと思っています。
Gene−ric Service という用語がEUのACTS計画
のACTS 2000+にあり、ベーシックサービスとしての電話を広
げて移動通信等も含むサービスを意味します。この概念をネットワーク
に当てはめたものです。
○ 古川専門委員 Generic Network については、Full
Service Network、FSN という言い方を最近使うケ
ースが多くなってきているように思います。個別に存在しているネット
ワークそのものを融合してゆくという意味と、どのネットワークでも、
音声、通信、放送もやりとりできるという意味の両方の意味があると思
います。つまり、シームレスにつないでゆこうというだけでなく、どの
ネットワークも通信にだけ使うのではなく、あらゆるサービスがのっか
ってくるという意味です。Generic Net−work という
のはFSN の事ですということであれば、海外の方とも話が通じると
思います。
○ 安田部会長 今いっているFull Service Network
とGeneric Network とは同じなのですか。
○ 雨宮技術政策課課長補佐 FSN はここでいうネットワーキング技術
におけるネットワーク融合ですとか、インターネットの中で提供するサ
ービスと考えています。全部がフルサービスネットワークになりますと
個別のネットワークでの研究開発がなくとも繋がってしまうことになり
ますので、個別のネットワークは個々に残ると考えています。それを階
層化して書いており、Generic Network はネットワー
ク全部をさすもので、総称するものです。
○ 藤原専門委員 漢字とカタカナが適当に混じった方がよい。どっちかだ
けだと違和感があるような印象があります。
○ 歳弘専門委員 通信技術の体系となっていますが、ここでは今後の社会
に求められるニーズのかたまりについて述べているように思いますが、
グローバル化、国際化についてはどうですか。
○ 安田部会長 ここでは5つあげておりますが、社会的目標としてもう1
つ加わるような気がします。
○ 歳弘専門委員 この中に横断的に入ってくるのか、新たに項目を立てて
ネーミングするのでしょうか。
○ 安田部会長 ネットワーク技術については横断的な技術があるのですが、
アプリケーションインフラにも当然そのようなものもあるはずです。ア
プリケーションにも例えば、コンテンツ技術、コンテンツ作成技術、マ
ルチメディアデータベース技術、画像など横に長く伸びるものがあって
よい気がしますがどうでしょうか。
○ 鬼頭技術政策課長 今、安田先生がおっしゃったような点については、
十分に検討できていない点です。5つの社会目標は、多分にアプリケー
ションを意識して、アプリケーションを支える技術、先行的公共的アプ
リケーションの開発そのものが入っています。技術の分け方は横断的に
なってくると思います。それを整理するのにはどうしたらよいかという
ことで、縦に分けているのが、前回部会の7つの例示にそって分けてみ
たものです。ただし、7つの目標のうち、2つを除いております。その
一つが国際化への対応で、なかなか一つの箱にくくりにくかったという
ことです。もう一つは教育機会の多様化でして、国民生活の中に一緒に
しました。技術の分類につきましては、今までの延長線上にあるのです
が、前回のご議論を踏まえて社会的目標のようなもの、研究開発は何の
ためにやるのかという位置づけからの切り口ができないかという観点で
ご提案申し上げた次第です。
○ 川田専門委員 コンテンツの観点からの情報通信の整理が必要だと思い
ます。製作の技術、配信、あるいは利用の技術開発が非常に大事になっ
てくる。1つのコンテンツをいろいろなメディアを通して見るというこ
ともありますし、コンテンツの切り口、観点からの情報通信の在り方と
いう分類も重要じゃないかと思います。
○ 鴇田専門委員 私も川田委員がおっしゃったことは非常に重要だと思い
ます。これまでは日本ではハードという視点からが多かったのですが、
今後情報社会となってきますとコンテンツが一番重要になってくると思
います。その時にデジタルコンテンツについて情報通信ネットワークに
乗せるのにふさわしいコンテンツの制作方法、流通とか利用の仕方とい
うものが重要になってくると思います。
○ 安田部会長 コンテンツは放送ネットワーク技術の中に入っていますね。
当然、横断的技術だと思うのですが、分類の体系と今のご意見とは簡単
にはマッチングが取れないのでどうすればよいでしょうか。
○ 高畑専門委員 私はこのように見てますが、上の方にコミュニケーショ
ンがありまして、それを支える技術が下にある。この支える技術という
のはどちらかというとハードイメージが非常に強い。実際には、ネット
ワークができても、流すものが何であるか、そこがかなりキーポイント
になります。それでないとネットワークは発展しない。そこに横断的な
情報関係の技術が入ってこないとうまくいかないんじゃないかと思いま
す。
○ 蝶野政策課長 並行して検討している電通審の通信政策部会の観点から
ご説明させていただきたいと思います。今、上にあげています5つの社
会目標が21世紀に向かってあるとしますと、情報インフラの整備をや
ってゆくことにより、その対応が可能である。そのストーリーまでは同
じなんですけれども、ネットワークを作って行き、具体的な分野でアプ
リケーションをやっていかければならない。その具体的なアプリケーシ
ョンへのステップが飛んでしまって、対応すべき課題とか方向性に直接
結びついてしまっていますので1段階欠けた議論になっています。具体
的なアプリケーションをやる場合に、アプリケーションとしてコンテン
ツが必要であるということになります。それが、情報通信全体として対
応してゆかなければならない話との飛躍がある。現在アプリケーション
としてどういうものを展開し、進めてゆかなければならないか、その際、
技術開発としてどういう分野が必要かの整理が途中でありまして、どう
にか材料を昨日の審議会の場で提出させていただいております。通信政
策部会では、この3段階というより、もう1段階、具体的なアプリケー
ションが方向性とネットワークの間に入っているというような審議の進
め方をさせていただいています。
○ 安田部会長 この部会で最初に言われたことは、「科学技術基本計画」
と電通審で検討しているものと整合性をとるようにということでした。
現在は分類整理をやったという段階で、今後、重点プロジェクトを選択
する段階で、抜けたステップが入るのではないかと思います。いかにき
れいに体系化しても、どれをやりたいんだという時にすぐに出せるよう
にウエイトづけがなってなければいけないと思います。
○ 雨宮技術政策課課長補佐 どのようなアプリケーションがあり、なぜや
らなければいけないのか、今後どのような技術が出てくるのかについて
無理矢理分けてしまったということでございます。共通的技術について
整理しまして、個々のアプリケーションにどう役立つのかという方向で
再度整理をしたいと思います。
○ 安田部会長 我々が科学研究費を申請するときには、研究目的、研究計
画、諸外国の動向、これまでにどんなことがやられているか、どこまで
やられているかを書かないと研究費がもらえません。いきなり、これが
大事だと並べただけでは説得力に問題があると思います。3段論法的に
これこれだからこれが必要なんだ。社会的に非常に重要な目標であると
いう点が、現在の時点では抜けています。今後5年ないし10年の中長
期的に見た時に、この辺の技術を開発しないと目的が達成できないとい
うことをきちんと述べる形にしないとなかなか説得力という点では問題
だと思いますので、これから審議が3回ありますのでやっていきたいと
思います。
○ 羽鳥委員 このように整理していただくと、何が抜けているのか探すの
には便利だと思います。2次元だけでなく3次元もあるので、場合によ
って、縦軸と横軸と並べるのは難しい。整理することが大事なのではな
く、抜けを探すのに便利な表として活用できると思います。
○ 安田部会長 抜けているものを探す時に、一生懸命見なければわからな
いようなものは、本当に大事かどうかわからないわけでして、分類整理
学よりも何が大切かをメリハリをつけて出すことが大事だと思います。
10年を見通した5年の計画を考えなければいけないのですが、5年で
できることは割と限られていると思います。そんなに難しいこと、進ん
でいないことはできない。これはこれでいいとして、次のステップでは
メリハリのついたものを作る必要があると思います。
○ 塩見専門委員 重点プロジェクトが挙げてありますが、最初の提案がそ
のまま生きている。今後、似たものを整理統合するなどのプロセスをた
どって行くのですか。
○ 雨宮技術政策課課長補佐 ご提案のテーマは、所要額が数百億から数億
円と幅広く、同一線上で考えていいのか等の問題もございます。今後適
宜、整理集約することになると思います。