発表日 : 6月25日(火)
タイトル : 電気通信技術審議会第6回総合政策部会議事録
第1 開催の日時及び場所
平成8年5月13日(月)午後3時30分から
於、郵政省11階電気通信技術審議会会議室
第2 出席した委員及び専門委員等(敬称略)
1 委員
安田 靖彦(部会長)、小館 香椎子(部会長代理)、高橋 寛子、
羽鳥 光俊
2 専門委員
石黒 公、井上 彰、川田 隆資、河野 文男、坂庭 好一、塩見 正、
島袋 徹、鴇田 正春、歳弘 卓也、中川 正雄、西澤 台次、
葉原 耕平、古川 亨、松下 操、
3 その他
高木 東(シャープ(株))、平出 覧吉(NTT移動通信網(株))、
井上 勇三((株)東京放送)、樫出 正行(日本テレコム(株))、
佐藤 友美((株)アスキー)、石原 直(日本電信電話(株))、
岡崎 宏(日本電気(株))、都倉 満((社)電波産業会)
第3 出席した関係職員の所属及び氏名
1 大臣官房
岡井 元(技術総括審議官)
2 通信政策局
鬼頭 達男(技術政策課長)、吉田 昇(技術開発推進課長)、
松井 房樹(宇宙通信政策課長)
3 電気通信局
甕 昭男(電波部長)、竹田 義行(計画課長)、
寺崎 明(移動通信課長)
4 放送行政局
菊池 紳一(放送技術政策課長)
5 通信総合研究所
横山 光雄(次長)、福地 一(企画部企画課長)
6 事務局
雨宮 明(技術政策課課長補佐)
第4 議題
1 前回議事録の確認
2 情報通信に関する研究開発基本計画答申(素案)の審議
第5 審議の概要
1 開会
○ 鬼頭技術政策課長
電気通信技術審議会総合政策部会の第6回会合を開催致します。
2 議事
(1)前回議事録の確認
○ 安田部会長 前回会合の議事録(案)が事務局から示されていますので、
ご確認願います。
(2)情報通信に関する研究開発基本計画答申(素案)の審議
○ 安田部会長 それでは、情報通信に関する研究開発基本計画答申(素案)
の審議に移りますが、事務局が事前に各委員に送付致しましたものに、
若干修正を加えたものが本日の資料となっています。これについて、事
務局から説明願います。
○ 雨宮技術政策課課長補佐 答申(素案)につきましては、皆様からのご
意見等を踏まえて、修正を加えております。重点プロジェクト集約表は
暫定版であり、現在見直しをしているところです。研究開発実施スケジ
ュールについては、2件例示させていただきました。
○ 安田部会長 全体の構成についてご意見がありましたらお願いします。
ないようでしたら、各章ごとに分けて審議を進めたいと思います。
○ 西澤専門委員 「はじめに」に、「情報通信は、電信や電話に代表され
るように、単に音声や文字を伝えるだけのものであり」とありますが、
「情報通信」には「放送」もあります。「放送」についての記述を入れ
ていただきたい。「高品質の映像を視聴者に確実に送るように技術開発
を行ってきた」というような文章を入れてはいかがでしょうか。
○ 安田部会長 文言は事務局で検討して下さい。
○ 葉原専門委員 要点の整理では、「欧米」とひとくくりになっています
が、工夫が必要ではないでしょうか.
○ 安田部会長 事実と異なるということでしょうか。
○ 鬼頭技術政策課長 ヨーロッパと米国で違うのは確かですが、要点の所
では、あくまでおしなべて、全部を評価した結果として「欧米」として
います。「米国」と「欧州」として、分けて修正したいと思います。
○ 安田部会長 「はじめに」には、科学技術全般が大事、情報通信が大事
という記述が適当かと思います.
○ 鬼頭技術政策課長 第二段落で、そのようなトーンが表現できないか検
討致します。
○ 西澤専門委員 (豊かな社会の実現のためには)に、障害者向けの放送
など放送に係わる言葉も入れていただきたい。
○ 安田部会長 これについても考えさせていただくことにします。
○ 葉原専門委員 第1章に「高度なアプリケーション」や「アプリケーシ
ョンの高度化」という言葉がありますが、「使い勝手をよくするために
高度な技術が必要」ということだと思います。表現の整理が必要と思い
ます。
○ 安田部会長 「高度な」という代わりに、「多様で使いやすいアプリケ
ーション」という表現が適切だと思います。「研究開発」の前に「高度
な」という言葉を入れればよいのではないでしょうか。ユーザから見て
「高度な」と言わない方がよいので、工夫をお願いします。
○ 西澤専門委員 「1−3」に「情報通信技術の研究開発力は低下傾向に
ある」とありますが、これは絶対的に見たものなのか、相対的に見たも
のなのでしょうか。
○ 安田部会長 アンケートでも明らかになったのですが、欧米との相対比
較で低下ということです。
○ 葉原専門委員 「標準化」についての記述がありますが、これまで「単
なる情報収集」だけをやってきた訳ではないので、「これまで以上に」
ということに訂正願いたい。また、「学会を主導する」といった表現が
ほしい。
○ 安田部会長 「単なる情報収集」をとればいいと思います。「学会」の
方も検討したいと思います。
○ 佐藤 米国でR&Dが進んでいる理由に、個人が特許を取ったときに事
業化しやすいことがあげられます。日本でも参考にできるのではないで
しょうか。
○ 古川専門委員 特定の国名や企業名をあげて、対抗するために政府がお
金を出すとなると反発が予想されます。無色にして、「海外に対して遅
れている」などの表現にしておいた方がよいと思います。
○ 安田部会長 先ほどの所も、もとに戻させていただいてよろしいですか。
○ 塩見専門委員 今、国の研究機関で問題になっているのは、予算項目に
しばりが強すぎる点です。柔軟に予算の活用ができるように書いていた
だくとありがたい。また、研究所の組織の変更についても、郵政省や総
務庁に説明していかなければなかなか実現しません。産学官が共同研究
を行うにしても、柔軟な組織化ができないと効果的な対応ができません。
○ 雨宮技術政策課課長補佐 ここではポイントを絞るということで、この
ような記述にしておりますが、3章では2の(1)で政府資金の拡充と
柔軟な活用、(2)で研究開発を推進する体制、施設等の整備という形
で、その問題の記述があります。
○ 西澤専門委員 通信総合研究所に関する記述に「研究開発プロジェクト
に対する評価者としての役割」とありますが、どういう意味でしょうか。
○ 塩見専門委員 研究所では、外部評価を導入するとの議論がありますが、
この文章ではトーンが違います。もう少し広い立場からやるように整理
した方がよいと思います。
○ 鬼頭技術政策課長 専門家の方々に集まっていただいて、研究開発の評
価を行う時に、研究所にその中核となって組織的な運営を行ってもらい
たいとの期待からこのような表現になっているものです。
○ 安田部会長 主導的な役割を果たせることを期待するという意味で、そ
のままでもよろしいでしょうか。
○ 横山通信総合研究所次長 「評価者としての役割」は、国研の役割のひ
とつと考えられますので、言うまでもないことです。削除してしまった
方がよいと思います。
○ 安田部会長 そう神経質にならなくとも、「評価能力の向上」としては
いかがでしょうか。
○ 横山通信総合研究所次長 将来像を含めたビジョン形成のやり方を、第
2章に盛り込むべきではないでしょうか。
○ 安田部会長 第2章にそれを入れるには、相当の検討が必要です。この
報告書を提出して、政府をそのような方向にもって行くことが、この報
告書の使命ではないでしょうか。
○ 雨宮技術政策課課長補佐 途中経過で、社会的目標に向けてとしてあっ
たのですが、視点がたくさんありすぎて、短期間でまとめることができ
ませんでした。全体の方向性として、4章あたりにそれが表現されれば
と思っております。
○ 安田部会長 そこまでゆくと、単に郵政省だけの問題でもなくなってき
ます。検討するための組織をきちんと作らないと、そこまで議論できな
いと思います。よろしければ、第3章に移りたいと思います。
○ 石原 「我が国全体の研究開発をリードしてゆく」というのは表現とし
て強すぎます。「リードし、支援し、分担し」としてはいかがでしょう
か。
○ 安田部会長 そのように訂正してよろしいでしょうか。
○ 葉原委員 金額が際だって大きいものがあります。慎重に対処する必要
があると思います。
○ 雨宮技術政策課課長補佐 現在調整中です。最終的には誤解を与えない
ようにしたいと思います。
○ 安田部会長 金額が大きいものが、目玉だと思われても困ります。
○ 葉原専門委員 「システム全体として現在の2500倍以上」とありますが、
このように断言しないほうが安全ではないでしょうか。
○ 雨宮技術政策課課長補佐 これはニューラルネットによる通信ネットワ
ークに関する技術目標で、ダイナミックルーティングにより50倍、トラ
ヒック技術により50倍、両者で2500倍の処理を実現するとのことです。
これについても検討致します。
○ 羽鳥委員 大学に委任経理金という制度があります。これは民間からの
寄付を一旦国庫に入れて、後は比較的自由に使えます。そのようなもの
が、国研あるいは本省にあってもいいのではないでしょうか。
○ 安田部会長 大学だからできるのでしょうか。
○ 佐藤 米国の研究者が私どもの研究所で働いていますが、法制度上の手
続きが非常に煩雑です。また、日本では大学の教授がベンチャーを起こ
すことが難しい。現状はこうで、このように変えるという視点でまとめ
ていただくと助かります。
○ 安田部会長 それをすべてやると大変です。これまでの会議で議論があ
りましたが、それは議事録を参考にすることとしたいと思います。
○ 雨宮技術政策課課長補佐 ベンチャーを起こすまでは書いてありません
が、関連した記述が3−2にあります。
○ 鬼頭技術政策課長 もう少し踏み込んだ記述をしたいところですが、科
学技術基本計画との整合性を考えて、あえて具体的な記述はしておりま
せん。今後、毎年見直していく中で、修正していきたいと思います。
○ 安田部会長 わかりやすい解説書がつくといいですね。第4章はいかが
ですか。
○ 塩見専門委員 「マルチメディアバーチャルラボ」は唐突な気がします
が、政府の資金を投入するような具体的な案があるのでしょうか。
○ 雨宮技術政策課課長補佐 どのプロジェクトをこのバーチャルラボでや
るかまではまだ考えておりませんが、研究者の状況などを考慮して、今
後検討が必要と考えております。
○ 安田部会長 具体的な構想が説明できるようになっていないと思います
が。
○ 雨宮技術政策課課長補佐 親会の方で、ネットワーク上での研究開発、
地方の研究開発力を活用するとの議論がありましたが、それだけではあ
まりインパクトがありません。インターネットがあれば、つなげばいい
だけの問題ではないかとの意見もでてきます。
○ 安田部会長 ネットワークを使って、地方の人材を活用できないかとの
ことがあります。
○ 古川専門委員 「マルチメディアバーチャルラボ」はある町にというよ
うなスポット的なことでは意味がありません。この会議室でも電源がな
くて、今パソコンが使えないのですが、ネットワークの線もありません。
それらが整備されていれば、どこへ行っても、すぐにプレゼンができま
す。海外のホテルや会議室ではそれができます。日本では、そのような
通信インフラはごく一部にしか整備されていません。整備の一環として
「バーチャルラボ」を考えてはどうでしょうか。
○ 安田部会長 「マルチメディアバーチャルラボ」とは少々違いますが、
全体的にインフラが遅れているのは確かですね。
最後に、全体をとおして何かありますか。
それでは、皆様からのご意見をふまえて必要な修正を加え、次回20
日には、答申案をまとめたいと思います。本日の答申(素案)及び審議
に関し、後でお気づきになられた点や、是非とも盛り込んでおくべき項
目等のご意見がありましたら、明日(14日)中に事務局まで文書で提
出して下さい。以上で本日の審議予定はすべて終了致しました。
○ 雨宮技術政策課課長補佐 次回会合は、来週の月曜日、14時から郵政
省12階の第三特別会議室で予定しております。
○ 安田部会長 本日は、熱心なご審議をいただき、ありがとうございまし
た。これをもちまして、本日の会合を終了致します。
第6 議決事項
なし