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発表日  : 8月30日(金)

タイトル : 8/30付:「貯蓄に関する日米比較調査」結果






 郵政研究所は、本日、「貯蓄に関する日米比較調査」結果の概要を取りまとめ
ました。この調査は、日本と米国の両国における世帯の貯蓄や遺産・相続に関す
る考え方、資産・負債の実態等を把握するとともに、日米の比較を通じて、我が
国の家計貯蓄行動の特色を明らかにすることを目的として、平成8年1〜3月に、
日米両国の世帯を対象として、同一内容の質問表によるアンケートを実施したも
ので、今回が初めての試みです。
 調査結果の概要は、次のとおりです(以下、日米間での金額データの比較に際
しては、便宜的に米国のデータを1ドル=110円で換算して、円表示していま
す)。

1 貯蓄習慣は日米間で大差なし
  貯蓄をしている世帯の割合は、日本(77%)の方が米国(69%)よりも
 若干高いが、定期的に貯蓄をしている世帯の割合は、日米ともほぼ同じ(40
 %)。
  貯蓄をしていない世帯のその理由(複数回答)については、「収入が少なく
 て貯蓄をするだけの余裕がない」の回答割合が、日米とも8割を超えて最も多
 く、次に多い回答は、日本では「現在豊かな生活をするのが第一で、貯蓄は二
 の次である」で、米国では「金融資産ではなく、実物資産を購入している」。

2 金融自由化については日本では変わっていない、米国では選択の幅が広がっ
 たと評価
  金融自由化の評価として、「貯蓄商品の選択の幅が広がり、以前より便利に
 なった」と回答した世帯の割合は、日本(12%)の方が米国(41%)より
 も圧倒的に低い一方で「サービスの内容は以前とあまり変わっていない」の回
 答割合は、日本(35%)の方が米国(11%)よりも高い。

3 金融資産保有額の平均値は日本の方が若干大きく、ばらつきは米国の方が大
 きい
  金融資産保有額の平均値は、米国(978万円)より日本(1,039万円)
 の方が大きく中央値も、米国(196万円)より日本(471万円)の方が大
 きい。また、標準偏差の数値も合わせてみると(米国 3,297万円、日本
 2,011万円)、米国の方が金融資産保有額のばらつきは大きい。なお、平
 均値が調査対象世帯の平均年収の何倍に相当するかの値(対年収比)をみると、
 米国(2.1倍)の方が日本(1.5倍)よりも高い。
 (注)調査対象世帯の平均年収額は、日本が686万円、米国が477万円。
    以下、「年収の○倍」と示す場合の年収とは、日米各調査対象世帯の平
    均年収額を指す。)

4 貯蓄目標額は米国の方が大きいが、達成予定年数も長い
  金融資産の貯蓄目標額の平均は、日本が2,166万円(年収の3.2倍)、
 米国が3,512万円(年収の7.4倍)。目標額の達成予定年数の平均は、
 日本が11.6年、米国が24.4年。

5 貯蓄目的の上位3つ(老後の備え、不時の出費、安心)は日米共通
  目的別にみた貯蓄の保有割合(複数回答)では、日米とも、「老後の生活に
 備えるため」(日本55%、米国57%)、「病気、災害、その他の不時の出
 費に」(日本44%、米国52%)、「特に目的はないが貯蓄をしていれば安
 心だから」(日本47%、米国45%)が上位を占める。

6 負債保有世帯が多い米国、住宅ローン等負債残高が大きい日本
  何らかの借入金・ローンがあるという世帯の割合は、米国(59%)の方が、
 日本(36%)よりも高い。一方、住宅ローン保有世帯の残高の平均は、日本
 (1,778万円、年収の2.6倍)の方が米国(745万円、年収の1.6
 倍)より大きく、負債保有世帯の負債総額の平均も、日本(1,305万円、
 年収の1.9倍)の方が米国(578万円、年収の1.2倍)よりも大きい。

7 持家率は大差ないが、土地・建物の広さは日米間の差が歴然
  集合住宅(マンション等)まで含めた持ち家率は、日本が63%、米国が6
 5%。居住土地の面積の平均は、日本が255m2、米国が4,047m2
 (1エーカー)。
  居住建物の面積の平均は、日本が95m2、米国が160m2(1,600
 平方フィート)。

8 子供のために遺産を残す意向は米国の方が強い
  子供に残す遺産(生前贈与を含む)についての考えとして、日米とも「子供
 に遺産を残すための努力は特にしないが、結果的に財産が余れば遺産として残
 す」と回答した世帯が最も多く(日本が56%、米国が48%)、「子供が老
 後の面倒をみてくれるか否かにかかわらず、遺産を残すための努力をしたい」
 と回答した世帯の割合は、日本(16%)よりも米国(40%)の方が高い。

9 主たる相続資産は日本では不動産、米国では金融資産
  相続資産の種類(複数回答)をみると、日本では、住宅用の土地(85%)、
 住宅用の建物(59%)が中心。米国では、金融資産(88%)が中心。
  相続資産の時価評価額の平均は、資産の種類を問わず日本の方が大きく、総
 相続資産の時価評価額の平均は、日本が5,521万円(年収の8.1倍)、
 米国が1,089万円(年収の2.3倍)。


<参考> 調査の概要
    (1)調査地域
       日本及び米国
    (2)調査対象
       世帯主年齢20歳以上の世帯(単身世帯を含む)
    (3)調査時期
       平成8年(1996)1〜3月
       (日本:1月31日〜2月16日)
       (米国:2月9日〜3月6日)
    (4)サンプル数・回収率
       日本:1243(回収率 69%)
       米国:1508(回収率 69%)
    (5)調査方法
       日本:訪問留置、訪問回収法
       米国:郵送法(督促1回)
    (6)実施機関
       社団法人日本リサーチ総合研究所


        (連絡先)      郵政省郵政研究所第二経営経済研究部
                             (担当:蟹江)
                        03−3224−7327
             E−mail:kanie@iptp.go.jp



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