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発表日  : 2月5日(水)

タイトル :  2/ 5付:WTO基本電気通信交渉





1 WTOの概要

 (1)WTO(世界貿易機関:World Trade Organization)は、ウルグア
   イ・ラウンド妥結を受けて平成7年(1995年)1月1日に成立した、
   多角的貿易協定の実施のための国際機関。

 (2)従来からモノの貿易を規律していた「関税及び貿易に関する一般協定」
   (GATT)に加え、新たに「サービスの貿易に関する一般協定」(GA
   TS)を締結。

 (3)いずれも、各国の貿易障壁を最小限とすることを目的とし、各国に残さ
   れた貿易障壁を交渉の積み重ねを通じて縮減を図るもの。


2 WTO基本電気通信交渉

 (1)意義
  ア ウルグアイ・ラウンド後の継続交渉の1つ(金融、海運等についても継
   続交渉が行われたが、十分な成果は得られず)。
  イ 電話事業等の基本電気通信サービスの世界的な自由化により、各国にお
   いて競争の導入、料金の低廉化、サービスの多様化等を図ることが目的
   (VAN等の付加価値通信分野については、ウルグアイ・ラウンドにおい
   て既に交渉終了)。

 (2)交渉期限
    各国の自由化約束の内容について交渉を行う期限は、平成8年(199
   6年)4月30日とされていたが、各国の自由化約束の内容及び数が不十
   分であると米国が主張したため、交渉期限が平成9年(1997年)2月
   15日に延期。

 (3)各国の自由化約束の状況
  ・ 1月会合において、多くの国から自由化約束の提出、改善が行われ、W
   TO加盟130か国中54か国が何らかの自由化を約束(資料1)。
  ・ マレイシアなど主要な発展途上国の中にもまだ約束を行っていない国が
   あるほか、約束は行っても外資規制や個別の分野での自由化時期の遅れを
   留保している国が多い(資料2)。

 (4)我が国の取り組み
    我が国は、新規参入に関し一切の外資規制を撤廃するという主要国の中
   でも最大限の自由化を既に約束済み。


3 交渉の現状

 (1)交渉の状況
    米国が隣国であるカナダ、メキシコ及び発展途上国に対し、外資規制を
   中心に自由化約束の改善を強く要求。不十分と判断すれば、交渉を成立さ
   せないことも示唆。

 (2)米国の相互主義的な参入制度
  [1]米国市場への外国事業者の新規参入に関し、現在、相互主義的な事前
    審査制度(ECOテスト)を実施。
  [2]また、[1]に代えて、国際計算料金(事業者間の精算のための料金
    :国内における接続料に相当)を一定水準以下とすることを参入条件と
    する規制を導入することも検討。


4 交渉スケジュール

  1月28日〜2月15日:基本電気通信交渉最終交渉(ジュネーブ)
  2月10日〜15日  :同ハイレベル交渉(ジュネーブ)

(参考)
 合意(「サービスの貿易に関する第4議定書」)発効:来年1月1日

               連絡先:大臣官房国際部国際政策課国際経済室
                   (担当:柴山課長補佐、萩本係長)
               電 話:03−3504−4386


資料 1
         WTO基本電気通信交渉 オファー提出国

                       (平成9年1月31日現在)

 1 アルゼンティン          31 アイスランド
 2 オーストラリア          32 インド
 3 ボリヴィア            33 インドネシア
 4 ブラジル             34 イスラエル
 5 ブルガリア            35 日本
                    36 韓国
 6 カナダ              37 モロッコ
 7 チリ               38 モーリシァス
 8 コロンビア            39 メキシコ
 9 コートジボアール         40 ニュー・ジーランド
10 チェッコ             41 ノールウェー
11 ドミニカ             42 パキスタン
12 エル・サルヴァドル        43 ペルー
13 エクアドル            44 フィリピン
   (EU)             45 ポーランド
14  オーストリア          46 ルーマニア
15  ベルギー            47 シンガポール
16  デンマーク           48 スロヴァキア
17  フィンランド          49 南アフリカ
18  フランス            50 スイス
19  ドイツ             51 タイ
20  ギリシャ            52 トルコ
21  アイルランド          53 米国
22  イタリア            54 ヴェネズエラ
23  ルクセンブルグ         
24  オランダ              計 54ヶ国
25  ポルトガル           
26  スペイン               (EUを15ヶ国とする)
27  スウェーデン          
28  イギリスデン           
29 香港ギリス
30 ハンガリー

(注)WTO加盟国:129ヶ国と欧州共同体
  (下線:1月31日にオファー提出)


資料 2
            主要国のオファーの概要
国名 概要
日本 電気通信事業の開始、無線局免許ともに一切の外資規制(直接・
間接)を撤廃                       
 ※ 例外として、NTT、KDDに対してのみ20%の外資規
  制を留保                       
米国 無線局に対する20%の直接投資の外資規制を留保      
 ※ ほとんどの電気通信事業者は、無線局も使用することから
  、無線局に対する外資規制は、事実上、ほとんどの電気通信
事業者に対して外資規制を行うのと同じ効果         
外国政府、外国人、外国企業による無線局保有の制限を留保  
インテルサット、インマルサットへのアクセスを制限     
EU フランス:無線局に対する20%の直接投資の外資規制を留保 
ポルトガル:25%の外資規制を留保            
      2003年まで自由化を留保          
ギリシャ:2003年まで自由化を留保           
アイルランド:2000年まで自由化を留保         
 ※ この他、既存の基幹事業者について、国が経営権を維持す
  るための枠組みを維持                 
  BT(英)−政府が定款の重要事項の変更権等を留保する黄
        金株制度                 
  FT(仏)−政府による過半数の株式所有の法律による義務
        付け                   
  DT(独)−政府による3分の2以上の株式所有の法律等に
        よる義務付け               
カナダ 20%の直接投資(間接投資を含めて46%)の外資規制を留保
1999年まで国際通信の自由化を留保           
2002年4月まで固定衛星通信の自由化を留保       
メキシコ 40%の外資規制を留保                  
オーストラリア 49%の外資規制を留保(テルストラは政府所有)      
韓国 33%の外資規制を留保(韓国テレコムは20%の外資規制) 
2001年まで国際単純再販の自由化を留保         
香港 2006年9月まで国際通信の自由化を留保         
シンガポール 49%の外資規制を留保                  
2000年4月まで自由化を留保              
タイ 20%の外資規制を留保                  
地域通信のみ自由化                    
フィリピン 49%の外資規制を留保                  
再販(国際単純再販を含む)は自由化せず          
経済上の需要の考慮により事業者数を制限          
インドネシア 自由化は約束せず                     
外国企業は合弁により参入可能(35%の外資規制)     
マレイシア オファー未提出(今後提出の意向)             



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