発表日 : 4月1日(水)
タイトル : 第104回電気通信技術審議会議事録
第1 開催の日時及び場所
平成10年2月9日(月) 午後2時00分から 於、郵政省3階第2特別
会議室
第2 出席した委員(敬称略)
西澤 潤一、生駒 俊明、金子 尚志、川田 隆資、坂田 浩一、
高橋 寛子、名取 晃子、長谷川 豊明、羽鳥 光俊、原島 博
第3 出席した関係職員等の所属及び氏名
1 大臣官房
甕 昭男(技術総括審議官)、高原 耕三(官房審議官)、
高祖 憲治(専門調査官)、有薗 徹(専門調査官)、
岡田 克行(主計課長)
2 通信政策局
濱 俊之(通信事業振興課長)、寺崎 明(技術政策課長)、
久保田 誠之(標準化推進室長)、竹内 芳明(宇宙通信政策課課長補佐)
3 電気通信局
谷 公士(電気通信局長)、田中 征治(電波部長)、
竹田 義行(計画課長)
4 放送行政局
小林 哲(放送技術政策課長)、吉田 昇(デジタル放送技術開発課長)
5 通信総合研究所
古濱 洋治(所長)、箱石 千代彦(次長)
6 事務局
渡辺 信一(審議会室長)
第4 議題
(1)一部答申 諮問第74号「デジタル放送方式に係る技術的条件」のうち
「11.7GHzを超え12.2GHz以下の周波数の電波
を使用する衛星デジタル放送方式の技術的条件」
(2)新規諮問 「宅内の高度情報化の将来像と研究開発の推進方策」(諮問
第97号)
(3)新規諮問 「デジタル放送導入のための地上放送の置局に関する技術的
条件」(諮問第98号)
(4)審議開始 「2.6GHz帯衛星デジタル音声放送における技術的条件」
の審議開始(諮問第74号関連)について
(5)報告 「平成10年度情報通信行政関係予算(案)の概要等につい
て」
(6)報告 「国際電気通信連合(ITU)無線通信総会(RA−97)
及び世界無線通信会議(WRC−97)の結果について」
(7)報告 「通信放送技術衛星(COMETS)の打上げについて」
(8)報告 「熱帯降雨観測衛星(TRMM)及び技術試験衛星VII型
(ETS−VII)の運用状況について」
(9)その他
第5 審議の概要
1 開会
○渡辺審議会室長 それでは定刻になりましたので、第104回電気通信技
術審議会を開催いたします。
それでは、議事の確認をいたします。本日の議事は、議事次第にありま
すように、まず一部答申として、諮問第74号の一部答申「11.7GH
zを超え12.2GHz以下の周波数の電波を使用する衛星デジタル放送
方式の技術的条件」。次に新規諮問といたしまして、「宅内の高度情報化
の将来像と研究開発の推進方策」及び「デジタル放送導入のための地上放
送の置局に関する技術的条件」。また、審議開始といたしまして、「2.
6GHz帯衛星デジタル音声放送における技術的条件」の1件についてご
審議いただきます。
次に報告といたしまして、「平成10年度情報通信行政関係予算(案)」。
また「国際電気通信連合(ITU)無線通信総会(RA−97)及び世界
無線通信会議(WRC−97)の結果」。また、「通信放送技術衛星(C
OMETS)の打ち上げ」。「熱帯降雨観測衛星(TRMM)及び技術試
験衛星VII型(ETS−VII)の運用状況について」の4件でござい
ます。
次に配付資料の確認をいたします。お配りしております資料は、上から
順に議事次第、資料104−1 デジタル放送システム委員会報告概要、
資料104−2 委員会報告でございます。資料104−3は答申書の案
でございます。続きまして資料104−4、諮問第97号関係の諮問書。
次の資料104−5、委員会の設置について。資料104−6 委員会の
委員長及び所属委員、専門委員の指名(案)でございます。続きまして、
資料104−7 諮問第98号諮問書。資料104−8 委員会の設置に
ついて。104−9 委員会の委員長及び所属委員、専門委員の指名(案)
でございます。続きまして、資料104−10は、2.6GHz帯衛星デ
ジタル音声放送における技術的条件の審議開始について。そこまでが一部
答申、新規諮問、審議開始の資料でございます。
以下が報告案件の資料でございまして、資料104−11 情報通信行
政関係予算の概要。資料104−12 平成10年度科学技術関係予算の
概要。次の資料104−13 テレコム税制改正要望の結果。資料104
−14 ITUの無線通信総会の結果。資料104−15が世界無線通信
会議の結果でございます。資料104−16が通信放送技術衛星の打ち上
げにつきまして。また資料104−17が熱帯降雨観測衛星等の運用状況
でございます。最後に資料104−18 専門委員の変更について、とい
うことでございます。
配付資料で漏れているものはございませんでしょうか。
よろしければ、早速ですが、西澤会長よろしくお願いいたします。
2 議事
○西澤会長 それでは、議事に入らせていただきたいと思います。
前回会合の議事録につきましては、既に委員の先生方にはご確認をいた
だきまして、昨年12月初旬に公開されております。前回から間があいて
おりますので、そういう結果になっております。
(1)一部答申
「デジタル放送方式に係る技術的条件」のうち「11.7GHzを超え
12.2GHz以下の周波数の電波を使用する衛星デジタル放送方式の技
術的条件」
○西澤会長 議事(1)一部答申、「デジタル放送方式に係る技術的条件」
のうち「11.7GHzを超え12.2GHz以下の周波数の電波を使用
する衛星デジタル放送方式の技術的条件」の審議に入らせていただきます。
最初にデジタル放送システム委員会の検討結果につきまして、委員長代
理であります羽鳥先生の方からご説明をいただきたいと思います。羽鳥先
生、よろしくお願いします。
○羽鳥委員 委員長代理を務めさせていただいております羽鳥でございます。
本来は委員長の安田先生がご説明なさるところでございますが、所用でご
出席になれませんので、私が代わりにご説明させていただきます。
お手元に104−1という報告の概要、それからかなり厚い104−2
という報告の本文。それから参考資料、これも大変厚いものでございます。
報告の概要の方に重要な部分を抽出しておりますので、1の報告の概要を
使ってご説明させていただきたいと存じます。
1ページめくっていただきますと、審議事項といたしまして、この委員
会は諮問第74号、すなわち衛星放送、有線テレビジョン放送、地上放送
といったさまざまな放送メディアのデジタル方式について統合的に審議を
行っておりまして、今回は11.7GHzを超え12.2GHz以下の周
波数の電波を使用する衛星デジタル放送、これは大変長い名前でございま
すが、通称「BSデジタル放送方式」の技術的条件について取りまとめを
行ったものでございます。
それで、一番最後のところにBSデジタル放送方式の特徴という参考資
料がついてございますが、イメージをつかんでいただくために、一番最後
のBSデジタル放送方式の特徴という資料からご説明させていただきたく
思います。
まず1番目に、衛星放送としては世界で初めて高密度デジタル変調方式、
8相PSKを採用すること及び周波数帯域を広く設定したことにより、正
味伝送容量として最大約51Mbpsを実現できること。CSは約34M
bpsということでございます。
それから2番目といたしまして、世界で初めて一つの中継器で2チャン
ネルのデジタル高精細度(デジタルHDTV)放送等の高品質サービス及
び多様で柔軟な多チャンネルサービスを実現できること。
3番目の特徴といたしまして、複数の伝送方式の切りかえ、あるいは併
用を可能にし、階層化伝送方式とすることで、降雨時においても最小限の
伝送能力を確保できること。
4番目といたしまして、映像表示方法として5つの方式を採用すること
により、コンピューターとの整合性のよいサービス等、サービスの多様性
が確保されることになり、受信機の高機能化が可能になること。
5番目といたしまして、音声についても世界で初めて高効率符号化方式
(MPEG−2Audio(AAC))を採用することにより、従来の半
分の128kbps程度でCD並みの高品質ステレオ放送を実現できるこ
と。
それから6番目といたしまして、現在、アナログBS放送で利用してい
る受信アンテナと端末の組み合わせにアダプターをつけることで、デジタ
ル放送を受信できること等の特徴を有しております。
その辺のイメージは下の絵についているとおりでございます。
最初のページに戻っていただきまして、委員会の構成としては、そこに
ございますようなワーキンググループをつくって検討いたしました。その
結果をシステム委員会で審議し、本日ご報告させていただくところでござ
います。
それから審議経過といたしましては、1番にございますようにCSデジ
タル放送方式の技術的条件につきましては、平成7年7月18日に一部答
申が既に行われたところでございます。
それから2番目のデジタルCATV放送方式の技術的条件につきまして
は、平成8年5月27日に一部答申がなされたところでございます。
そして、今回、BSデジタル放送について取りまとめたところでござい
ますが、そのうち暫定方式及び実験計画につきましては、102回の本審
議会にご報告申し上げたところでございまして、本日はBSデジタル放送
方式について、ご報告申し上げるということでございます。
なお、映像入力フォーマットにつきましては、アドホックを設置いたし
まして、延べ8回にわたり大変熱心にご審議いただいた結果を、ご報告す
るところでございます。
4番目、BSデジタル放送方式策定に当たっての基本的考え方は、先ほ
どご説明いただきました特徴と重複するところもございますので割愛させ
ていただきまして、5番目の主な技術的条件の内容の説明をさせていただ
きます。
伝送帯域幅、シンボルレート、でございますが、その下のところに細か
い字で書いてございますが、同じものが3ページのところに表になってお
ります。27MHzの帯域幅、これは従来の帯域幅と同じものであります。
あるいは33MHzの帯域幅。34.5MHzの帯域幅という3種類の帯
域幅が検討されておりまして、そこで可能になる情報ビットレートは39
Mbps、48、51Mbpsという、このTC、トレリス・コーディン
グ、8相PSKというのを使った場合の正味の情報レートが情報ビットレ
ートのところに書いてございます。
この27MHz、33MHz、36MHzという帯域につきましては、
いずれの場合でもRR、レディオ・レギュレーション、の規定値内にEI
RPが入る。60デシベルワットのEIRPを想定したときにRRの規定
値内におさまることから、36MHz帯域まで国際調整が完了する可能性
が高く、欧州では33MHz帯域幅で国際調整が完了し運用している例が
ございます。衛星に搭載されるTWT増幅器の、入出力マルチプレクサの
フィルター温度特性による周波数変動等を考慮いたしますと、34.5M
Hzの帯域幅が実用的であると考えられます。
それから、デジタルHDTV放送における高品質のサービス。これには
18〜22Mbpsが必要と考えられますが、それに加えまして、音声放
送、データ放送等を実現するためには、27MHzの帯域幅では不足する
ということでございます。
先ほどご説明いたしました表でございますが、18〜22Mbpsとい
うことを考えますと、27MHzで39Mbpsの場合2つのHDTVで
専有されます。34.5MHzで51Mbpsまで持ってくると、2つの
HDTVに加えて超短波放送やデータ放送が可能となります。
それから、(2)番の伝送路符号化方式でございますが、これは5ペー
ジ目のところに絵で説明してあることを文章で説明しているものでござい
ます。変調方式としてはトレリス・コーディング8相PSK、QPSK、
BPSKの切りかえが可能、併用が可能ということでございまして、限ら
れた帯域で、できる限り高い伝送容量を確保し、デジタルHDTVの放送
を可能とするとともに、変調方式を切りかえることによって降雨減衰時の
安定受信に対応できるという理由でございます。
それから、誤り訂正方式といたしましては、外符号をリードソロモン、
内符号を8相PSKはトレリスでやるということでございまして、QPS
Kは畳み込み符号化、BPSKは畳み込み符号化を行い、受信機の方の誤
り訂正方式としてフォワードエラーコレクションを行うという方式でござ
います。
それからウの伝送フレームの構成でございますが、MPEG−2TSに
外符号誤り訂正を付加した204バイトの信号(スロット)を変調方式の
選択単位とし、かつ48スロットで構成するフレームを基本伝送単位とす
る構成でございます。
エのBPSKバースト信号でございますが、C/Nが低いとき、TMC
C信号及び映像や音声等の主信号を受信可能とするために、TMCC信号
部分を除く203シンボルの主信号ごとに4シンボルのBPSK信号を付
加するというものでございます。
それから、いま、TMCCと申し上げましたのは、次のページにござい
ますように、Transmission and Multiplexing
Configuration Control信号のことでございまして、
伝送多重制御信号のことでございます。各伝送スロットに対するTSの割
り当て、それから伝送されている変調方式の種別、それから符号化率など
に関する情報を伝送いたします。これにより一つのトランスポンダ内で複
数の論理的なTS(トランスポート・ストリーム)を構成でき、かつ階層
化伝送制御等が可能となることになります。
その様子が5ページのところに絵にしてあるところでございます。
次に、6ページでございますが、多重化方式としては、MPEG−2シ
ステムズを使うということでございます。
それから(4)番、限定受信方式といたしましては、MULTI−2と
いう方式を使いたいということでございます。これはCSデジタル放送で
実績のある方式でございまして、メディア整合性の確保、それからLSI
化によるコストの低減等を考慮いたしまして、MULTI−2を選択した
ところでございます。
それから5番目の情報源符号化方式でございますが、映像符号化方式と
しては、MPEG−2 Videoで、映像入力フォーマットはその下に
書いてある5種類ということで、ここはご議論の大変あったところでござ
いますが、3種類に分けてございまして、実証実験済みの映像入力フォー
マットといたしまして、1080i、480p、480i。このiと申し
ますのはインターレース、飛び越し走査でございます。それからpと申し
ますのはプログレッシブ、順次走査でございます。それから、そこに書い
てある数字は有効走査線数でございます。
それから実証実験を必要とするものといたしまして、720pと、それ
から技術的実現性の確認を必要とする映像入力フォーマットといたしまし
て、1080pを挙げております。
次のページをお願いします。そこに参考といたしまして、デジタル時代
における受信機のあり方ということで、民間標準化・実用化活動の自由裁
量確保を条件としつつ、以下の考え方を前提としております。まず、[1]
といたしまして、デジタル放送では各種映像フォーマットが出現してくる
ことから、ディスプレイの表示方法は画一性にとらわれなくてもよい。
[2]といたしまして、柔軟性がデジタル放送の特徴であることから、種
々の受信機が市場に供給され、視聴者の選択の自由度が広がる。それから
[3]といたしまして、多様な受信機の出現が予想されることから選択の
ための的確な情報が提供されるなど、視聴者への十分な配慮が望まれるこ
と、というあり方がそこに参考として書いてございます。
それから、イ、として音声符号化方式でございますが、これにつきまし
ても、MPEG−2 Audio、その中でAAC(Advanced
Audio Coding)という方式、これは最近国際標準化されたも
のでございますが、それを使いたいということでございます。
想定される受信装置を8ページのところに絵にしてございますが、1枚
めくっていただきますと、8ページのところにBSのコンバータ、それか
らHDTVの受像機、その間にBSデジタルチューナー、これが最初から
組み込まれたものとアダプターとして付加される場合がありますが、既存
のハイビジョン受信機につきましても、このアダプターを使えば引き続き
使えるということでございます。アンテナやBSコンバーターについては、
基本的に既存のものが使えるようにしたいということでございます。それ
から新しいものにつきましては、これが一体化されたものが出てくるとい
うことでございまして、さらには標準テレビ受像機等にダウンコンバート
して見るということも考えられるわけであります。
今後の課題といたしまして7点ほど挙げてございますが、そのうちから
3番目、実証実験・技術的実現性の確認未実施の映像入力フォーマット、
すなわち750p。この表記の仕方が少し6ページと違っておりまして、
750pというのは720pと同じものです。それから1125pという
のは1080pについての実機による検証。前のページは有効画素数で示
しておりますが、7ページでは走査線数で示しておりますので、数字が少
し違っておりますが、中身は同じものでございます。
それから5番目にデータ放送符号化方式の標準化の推進。それから7番
目に受信装置の機能・性能の標準化の推進を挙げております。
時間の関係で省略いたしましたが、(1)、(2)、(4)、(6)と
いうような今後の課題とあわせて、今後の課題を解決するように推進した
いということでございます。
○西澤会長 どうもありがとうございました。それでは、ただいまのご報告
につきましてご審議をお願いしたいと思います。
○原島委員 こういうデジタル関係は、ほかのメディアとの間の共通性とい
うのは非常に重要であることから、基本的な考え方として、CS放送、地
上放送、CATV、蓄積メディア等のさまざまなメディア間でできるだけ
共通性を有するということ。特に情報源符号化についてはそれが重要かと
思いますが、いろいろな事情で、もし共通性を持たせることができなかっ
たところがあればお教えいただけないでしょうか。
○羽鳥委員 CSデジタル放送については既に動き始めているものでござい
まして、BSデジタル放送がこういうことをやるんだったら、CSデジタ
ル放送もこういうこともできるようにしたいというようなご希望があるこ
とは承知しております。今後、そういうご希望が非常に強くなってきたと
きに、CSデジタル放送を見直すこともあり得ることかと思いますが、と
りあえずそのメディアの特徴を活かして、CSは多チャンネル放送でいこ
うということでございます。それから、BSの方はともかくハイビジョン
を狙っていこうということでございますので、CSの基準とBSの基準が
違っているところはあると思います。ご指摘のようにMPEG−2という
枠組みで一緒にしてあるわけでございますが、その中で違っている部分に
ついては、また見直すということがあるかもしれないということかと思い
ます。関連で事務局の方からご説明いただけることがありましたらよろし
くお願いします。
○吉田デジタル放送技術開発課長 事務局からご説明させていただきたいと
思います。事務局を担当しました吉田でございます。
原島先生ご指摘の点は、細かいことを除いて、大きく実際いまのCSデ
ジタル放送と比較した場合に違っている点が3つございまして、1つはH
DTV放送をBSの場合は前提といいますか、主としてHDTV放送とい
う前提に立ったものですから、まず映像フォーマットが多くございます。
1080iを入れているということ。それから先ほどの議論にございまし
たような、より先進的な720pとか1080pを入れたという意味でフ
ォーマットの数が多いということです。基本的にはみ出すというより、C
Sデジタル放送に対して、もう少し拡げたということでございます。
それから2点目は、同じくHDTVのような高密度伝送が必要だという
ことから来たわけですが、変調方式がCSの場合はQPSKのみになって
おりましたが、BSではこれに加えまして、先ほどの8相PSKというの
を入れさせていただいて、BPSKも加わっておりますが、いずれにして
も少し拡大したということでございます。
それから、もう一つの大きな違いが音声の符号化方式でございまして、
これは先ほどご説明がありましたような、MPEG−2 Audioまで
は一緒なんですが、BSについてはAACというのを採用したということ
でございます。CSデジタルではBCというのを採用しております。これ
はBCよりもAACの方が後からできた標準でございまして、具体的には
去年の4月に国際標準化されたと聞いておりますが、いろいろ中ではご議
論はございましたが、今後のことも考えて、効率のいいこれを採用しよう
ということでございます。完全なコンパティビリティーという意味では、
若干課題がありますが、いずれにしてもワンチップの話ですから、あとか
ら入れようと思えばすぐに入れられるということかと思います。
以上でございます。
○西澤会長 よろしゅうございますか。
(暫時)
海外の基準規格等と同じか、どこが違ってくるかという点についてはい
かがでしょうか。
○羽鳥委員 海外ではBSを使ってHDTVというか、ハイビジョンを初め
ているものは現在ございません。地上放送ではアメリカでATVというの
がございますが、それはHDTVでやりたいという計画であって着々と進
んでいるように承知しておりますが、ハイビジョン受信機をこれだけ持っ
ており、また1千万台という衛星受信機を持っている日本でハイビジョン
と衛星放送の組み合わせを、ぜひ世界に先駆けてやりたいということでご
ざいます。また、多分そういうことになるんじゃないかと期待しておりま
す。
○西澤会長 ぜひ現実にそうなっていただきたいとお願いしておきたいと思
います。
よろしゅうございましょうか。
(暫時)
それでは、デジタル放送システム委員会報告を了承することにいたしま
して、資料104−3に示します答申書(案)にありますように、諮問第
74号に対する一部答申としたいと思います。ご異議ございませんでしょ
うか。
(「異議なし」の声あり)
○西澤会長 どうもありがとうございます。それでは、ご異議ないようでご
ざいますので、本件を答申することにさせていただきます。
羽鳥委員、デジタル放送システム委員会の検討と取りまとめ、大変あり
がとうございました。
ただいまの答申に関しまして、答申後の行政上の措置につきまして、郵
政省側からご説明を伺えるということでございます。よろしくお願いいた
します。
○高祖官房専門調査官 放送行政局長に代わりまして、一言御礼のごあいさ
つを申し上げます。
ただいまBSデジタル放送方式の技術基準につきましてご答申をいただ
き、まことにありがとうございます。
ご案内のとおり、現在BS放送につきましては、いわゆるBS−4先発
機を使用いたしまして、我が国に割り当てられた8つの周波数のうち4つ
の周波数によってアナログ放送が行われているところでございます。
そこで残りの4つの周波数をどう使うかという点は課題でございました。
これを使用するBS−4後発機につきましては、数年間にわたりまして、
アナログ、デジタルの議論がございましたが、その議論の末、昨年5月に
電波監理審議会から平成12年を目途にデジタル放送を開始する等を内容
といたします放送普及基本計画の一部変更についてご答申をいただいてお
ります。この答申、これらの経緯を踏まえまして、本審議会におかれまし
ては、BSデジタル放送方式の技術的条件につきまして、デジタル放送シ
ステム委員会の委員の方々の精力的なご審議をいただいたところでござい
ます。先ほどもお話がございましたが、映像表示形式をめぐっては、活発
な議論が行われ、あるいは電波産業界において実証実験が行われた等を経
まして、実質わずか8カ月という短期間で衛星放送における高密度デジタ
ル変調方式であるとか、あるいは1つの中継器で2チャンネルのデジタル
高精細度放送が実現する等の、世界で初めて実用化する技術を採用した放
送方式のご答申を取りまとめいただき、感謝を申し上げる次第でございま
す。
郵政省といたしましては、本日いただきましたご答申を踏まえまして、
新たな放送ビジネスの創設に貢献するよう、実用化のための関係省令の整
備等を早急に進めてまいる所存でございます。
以上でございます。ありがとうございました。
○西澤会長 どうもありがとうございました。
(2)新規諮問
「宅内の高度情報化の将来像と研究開発の推進方策」
○西澤会長 それでは、次の項、新規諮問でございます。「宅内の高度情報
化の将来像と研究開発の推進方策」でございます。
まず省側からご説明をお願いいたします。
○寺崎技術政策課長 資料104−4に基づきましてご説明させていただき
たいと思います。
1ページめくっていただきまして、2ページでございます。宅内の高度
情報化の将来像と研究開発の推進方策ということでございます。そこに諮
問理由が書いてございます。光ファイバ、このようなものが今後家庭まで
導入されていくといった、いわゆる高度情報社会の実現に向けまして、で
きるだけ早期の光ファイバの全国整備完了に向けて、その促進が図られて
いるところでございますが、一方でまたデジタル技術を中心に、今もご議
論いただきましたが、放送のデジタル技術の進展に伴いまして、通信と放
送の融合という問題も指摘されているところでございます。
このような観点から、これを、今後、宅内、特に家庭内ですが、さまざ
まな端末、サービスが導入され、配線が複雑になること等の理由から、宅
内のシステムをネットワーク化し、より高度化、効率化の実現に向けた取
り組みについても、各方面において行われているところでございます。
このような宅内の高度情報化の実現によりまして、宅内のマルチメディ
ア化が一層促進されると同時に、各種宅内機器の実用化による新たな市場
の創出、ひいては省エネルギーへの貢献も期待される、ということでござ
いまして、この資料の5ページですが、住宅の概念図が書いてあると思い
ますが、各部屋にディスプレイが置いてありまして、それらが通信回線で
入口の接続ユニットといろいろな機器が接続されている状況でございまし
て、例えばテレビで申しますと、いわゆる放送を専用に見る画面というよ
うなイメージですが、恐らくこれから先は各部屋に大型の画面が置かれま
して、その画面でパソコンなり、いわゆるテレビなり、いろいろなビデオ
映画なり、いろいろなものを見られるような状況になってこようかと思い
ます。そういった意味で、これからいわゆる情報家電といったような形態
もあろうかと思いますが、こういう情報通信機器の間がネットワーク化さ
れ、通信機器に結ばれまして、さらに電力線等もうまく活用されながら、
より効率的なシステムが構築されていくものと想定されます。
そういった観点から、本諮問は、このような宅内の高度情報化の将来像
を明らかにするとともに、研究開発の推進方策も明らかにすることにより
まして、より一層新しい市場の創出に貢献していきたいという趣旨でござ
います。
答申を希望する事項といたしましては、(1)宅内の高度情報化の将来
像。(2)研究開発の推進方策、でございまして、特に標準化指針の策定、
研究開発指針の策定といった点でございます。
答申を希望する時期としましては今年6月頃、答申が出たときの行政上
の措置といたしましては、情報通信技術政策への反映と書いてございます
が、各種支援措置の策定に活用させていただければ、というふうに考えて
おります。
3ページ目に参考資料がございます。話が前後して申しわけございませ
んが、通信・放送メディアの普及状況と発展動向ということで、光ファイ
バの進展状況。それからCS、BS放送のデジタル化の状況、地上放送の
デジタル化の状況、CATVのデジタル化の状況を1枚に書いてございま
す。
それから4ページ目に、宅内の高度情報化に関する海外の動向というこ
とで、宅内のネットワークに関する代表的な規格として、アメリカと欧州
でそれぞれ1992年に策定された規格がございます。日本でも、198
8年に郵政省で開きました家庭の情報化に関する研究会の成果を受けまし
て、民間レベルでHBS規格といったものが決まっておりますが、いずれ
も電力線搬送を主体としていたり、あるいはペアケーブルの電話回線とい
ったものを主体として標準化されたものでございまして、今後、光ファイ
バといった大容量のものが本格的に導入されていく中で、それに対応した
宅内の高度情報化について検討しておく必要がある、という状況でござい
ます。
2番目に、現在検討中の関連規格の代表的なものですが、いわゆるパソ
コン通信レベルでは、800Mbpsだとか1Gbpsというようなかな
り大容量の規格も今審議されている状況でございますが、当審議会におき
ましては、パソコン通信に限らずいろいろなメディアを想定していろいろ
ご検討いただいて指針をまとめていただければというふうに思っていると
ころでございます。
以上でございます。
○西澤会長 どうもありがとうございました。ただいまのご説明に関しまし
て、ご質問、ご意見お願いいたします。
○川田委員 宅内の機器を接続する場合に、ワイヤレスという方法もあろう
かと思うんですが、ワイヤレス化も検討内容の一部でしょうか。
○寺崎技術政策課長 電波を使うものもございます。5ページ目に家庭の図
がございますが、一番左上の部分は電波がおりてきているというつもりで
書いてございます。無線を使ったり、あるいは光ファイバ、高級なもので
はなくて、いわゆるプラスチックタイプの光ファイバをお使いになる場合
も想定されますので、伝送線につきましてはいろいろなケースを想定して
検討していただければというふうに思っております。
○西澤会長 変なことを伺いますが、経済規模としてどれぐらいを予想をし
ていらっしゃるんですか。
○寺崎技術政策課長 この辺ちょっとよくわからないんですが、また審議会
の中でよくご検討いただければと思いますが、仮にこういうネットワーク
部門だけでも1家庭当たり大体20万円程度。それから、つなぎ合わせる
部分で約20万円程度。それから画面がかなり新しく3画面なり4画面な
り入っていくと、ワンセット当たり100万円から120万円という想定
もございますので、それが仮に1千万家庭に入りますと、それはそのまま
掛け算になりますので、ゆうに10兆円というような規模にもなると思い
ます。ですから、既存の家庭にこれが入っていくのはなかなか難しいと思
いますので、ケースとしては建てかえの場合が想定されます。また、新し
いマンションの建築費用を1坪当たり大体50万円ぐらいとすれば、それ
に対して1割増しぐらいでかなりいいものが、情報通信基盤を含めてでき
てしまうような、そんな状況になろうかと思います。
○西澤会長 これはもう海外輸出ができるかできないか大きいですね。
○原島委員 我々は、家を買うときに大体少なくとも20年ぐらいはそこに
住みたいなと考えます。それに対して、家を買ったときに入れた情報シス
テムが20年もつだろうかということを考えると、なかなか難しいような
気がするんです。こういう技術は、だんだん成熟段階に達してきた。した
がって標準化、ということなんでしょうか。
○寺崎技術政策課長 実は諮問させていただくと同時に、我々も部内的にマ
ルチメディアホームリンクの研究開発に関する研究会を開きまして、いろ
いろ検討させていただいているんですが、その段階で、もういきなりこう
だというのではなくて、例えば放送のデジタル化が進展した状況だとか、
それから次に光ファイバでもより高速のものが加入者系に入ってきた場合
だとかというので、2段階か3段階あるんじゃなかろうかということがあ
りまして、ですから逆に言うと、いま建設会社の方から言われている点は、
要するに最低限何をしておけば建物としてはいいんだろうかというので、
光ファイバの導管を引くとしたらどのくらいにやっておけばいいんだとか、
そういう非常に物理的に基本的なところから、先ほど先生がおっしゃられ
たような通信機器のレベルにいきますと、技術がどんどん発展していくん
で、多分2段階、3段階に分けて、それで目標をうまく決めて乗り移って
いけるように考えておかなくてはいけないだろうというような、そんな粗
い検討が行われております。そういった点もいろいろ加味しながらご審議
いただければというふうに思っております。
○原島委員 ぜひ、そういう進化できるシステムを考えていただきたい、と
いうふうに思っております。
○西澤会長 文化程度をあらわす一つのバロメーターが国民1人当たりのフ
ァイバの長さだというような時代も来るんじゃないかと思いますが、よろ
しくお願いいたします。
ほかにございませんでしょうか。
(暫時)
次に進んでよろしゅうございましょうか。
それでは、郵政省側からの説明を了承いたしまして、本件諮問をお受け
することにさせていただきたいと思います。
この諮問に対する審議体制といたしましては、資料104−5に示すと
おり、宅内高度情報化委員会を設置することとしたいと思いますが、よろ
しゅうございましょうか。
(「異議なし」の声あり)
また、本件の調査審議に当たっては、専門的な事項について調査をする
ことが必要と考えられますので、分科会等を置くことができることにした
いと思います。よろしゅうございましょうか。
(「異議なし」の声あり)
どうもありがとうございました。それでは、ご異議がないようでござい
ますので、宅内高度情報化委員会を設置させていただくことにいたします。
ただいま設置いたしました委員会の委員長及び所属委員、専門委員の指
名につきましては、既にお手元にお配りしてございます資料104−6の
とおりといたしたいと思います。ご承知おきください。
(3)新規諮問
「デジタル放送導入のための地上放送の置局に関する技術的条件」
○西澤会長 それでは議事の3番目でございます。同じく新規諮問「デジタ
ル放送導入のための地上放送の置局に関する技術的条件」でございます。
まず省側からご説明をお願いいたします。
○小林放送技術政策課長 放送技術政策課長の小林でございます。資料10
4−7に基づきましてご説明させていただきたいと思います。
諮問のタイトルでございますが、「デジタル放送導入のための地上放送
の置局に関する技術的条件」でございます。地上放送のデジタル化という
ことでございます。
諮問理由でございますが、現在行われております地上放送のうち、地上
テレビジョン放送について見ますと、その置局に関する技術的条件につき
ましては、昭和30年代後半の答申に基づきまして置局の技術的条件が定
められておりまして、その後の都市化の進展、あるいは放送用機器の性能
の向上等がございますし、また難視聴対策のため、全国で1万5千局近い
中継局が設置されているなど、現在、地上テレビジョン放送を取り巻く環
境は、昭和30年代から比べ大きく変化しております。現行の技術的条件
が必ずしも実態に合っていない。実情に合わなくなってきている、という
状況も見られております。
このような中で、現在、地上デジタル放送の導入が検討されておりまし
て、導入に当たりましては、いろいろな要素を検討中でございますが、そ
の一つの要素として、地上のアナログ放送と並行してデジタル放送を導入
していく、いわゆるサイマル放送といったことも考えられております。非
常に短期間に非常に多くの新しいデジタル放送の無線局を置局していかな
ければいけないという状況が起こるのではないかと想定しております。そ
のような地上デジタル放送の導入に当たりまして、最新の技術動向、それ
から受信環境等を考慮した上で、電界強度の計算方法等の技術的検討を行
う必要がございます。ここで申しております最新の技術動向ということに
ついては、最もこれを反映しているのは、現在、当審議会のデジタル放送
システム委員会でご検討いただいております地上デジタル放送の放送方式
だろうと思っておりますが、その放送方式の検討の外でも、例えば受信環
境としまして、都市雑音といいますか、電波雑音の状況等がございます。
また、現在、検討されております地上デジタル放送システムの中には、
移動受信も検討の対象になっております。このような受信環境の面が必ず
しも従前の地上テレビジョン放送とは同じではないというふうな状況もあ
りますので、このようなことも考慮して、電界強度の計算を行い、放送区
域を推定し、また混信があるかなしかといった判定をしていく。そういっ
たことを行って実際の置局を行っていくことになります。そのようなとき
に必要な技術的条件を検討する必要があるということでございまして、こ
れについての審議をお願いしたいというものでございます。
答申を希望する事項としまして、簡単に書いてございますが、デジタル
放送導入のための地上放送の置局に関する技術的条件。放送方式等につい
ては、別途の検討が行われておりますので、ここでは置局に関するものに
限定をしてご審議いただければと思っております。
3番目の答申を希望する時期でございますが、方式等の取りまとめの時
期を考慮いたしまして、平成11年4月頃にご答申をいただければと思っ
ておりますが、現在の地上デジタル放送の導入の検討のスケジュールから
申しますと、4の方に少し書いてございますが、平成10年末、今年の年
末にチャンネルプランの案を策定することを予定しておりまして、そのチ
ャンネルプランの案を策定するに際し、この置局に関する技術的条件の途
中段階の審議状況をお知らせいただければと思っておりますので、今年6
月頃には中間報告をいただければと思っております。
答申が得られた後の行政上の措置につきましては、関係省令等の改正が
必要かと思っております。その関係省令等の改正に資するということを考
えております。
先ほど申しましたように、中間報告をいただきますれば、その中間報告
をもとに本年末までにチャンネルプランの案を作成したいというふうに考
えている次第でございます。
以上、よろしくお願いいたします。
○西澤会長 どうもありがとうございました。ただいまのご説明に関しまし
て、ご意見、ご質問お願いいたします。
(暫時)
既に設置されている局の方については、この線に合わせてしまうという
ふうにお考えですか。
○小林放送技術政策課長 先ほど少しご説明いたしましたが、例えば電波雑
音といいますか、都市雑音の状況等は都市化の進展等によって変わってき
ております。現在の置局においていろいろな検討をするに当たりましても、
都市雑音に基づいて所要の電界強度の値を告知をしている制度がございま
す。したがいまして、どのくらいの電界強度が必要かということは、町々
ごとに変わってきているわけですが、その電界強度の見直しが必要になる
場合もあろうかと思っております。このもとになるものが都市雑音、電波
雑音でございますので、電波雑音の検討をする中で既存のアナログのテレ
ビジョン放送の方にも影響を与えるものが出てくるだろうと思っておりま
す。それもあわせてご審議をいただければと思っております。
○西澤会長 いま、一番大きな電波雑音の発生源は何ですか。
○小林放送技術政策課長 従来言われておりましたのは、自動車からのイグ
ニッションノイズが一番だろうというふうに言われておりましたが、それ
が現在も同じであるかどうか。測定を実地に行いまして、それで確認をし
ていきたいと思っております。
○西澤会長 何かほかにございませんでしょうか。
(暫時)
それでは、ないようでございますので、省側からの説明を了承いたしま
して、本件諮問をお受けするということにさせていただきたいと思います。
この諮問に関する審議体制といたしましては、既にお配りしております
資料104−8に示しますとおり、地上テレビジョン放送等置局技術委員
会を設置することにさせていただきたいと思います。
また、本件の調査審議に当たっては、専門的な事項について調査をする
ことが必要と考えられますので、分科会等を置くことができることにさせ
ていただきたいと思います。
よろしゅうございましょうか。
(「異議なし」の声あり)
○西澤会長 どうもありがとうございました。それでは、ご異議がないよう
でございますので、地上テレビジョン放送等置局技術委員会を設置いたす
こととさせていただきます。
ただいま設置いたしました委員会の委員長及び所属委員、専門委員の指
名につきましては、先ほど申しましたとおり、資料104−9に示します
とおりにさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
(4)審議開始
「2.6GHz帯衛星デジタル音声放送における技術的条件の審議開始」
○西澤会長 議事の4番目でございますが、本件は本審議会で既に設置され
ておりますデジタル放送システム委員会において、新たに2.6GHz帯
衛星デジタル音声放送における技術的条件の審議を開始したいというもの
でございます。
まず、郵政省からご説明をいただきまして、引き続いてご意見をお伺い
することにさせていただきたいと思います。省側からよろしくお願いいた
します。
○吉田デジタル放送技術開発課長 それではご説明します。資料104−1
0でございます。まず、大変恐縮ですが、1枚お開きいただいて、2ペー
ジ目の絵を見ていただければと思います。2.6GHz帯を使いまして、
衛星の方から、どちらかというと狭帯域といいますか、デジタル音声放送
と書いておりますが、そういったものを計画しているということでござい
ます。
サービスイメージの図でございますが、左側に枠がありまして、サービ
スエリアは全国。移動体受信を前提にしております。また固定受信も可能
でございます。サービス例示としましては、CD並みの音声放送であると
か、あるいはニュースの専門放送であるとか、簡易な動画像であるとか、
あるいは各種のデータ放送、気象情報、道路交通情報などでございます。
このようなものが考えられるという想定でこの審議を進めていただければ
と思います。
1ページ目に戻っていただきまして、審議開始の背景でございますが、
最初のパラグラフ5・6行は先ほど羽鳥先生からご説明がございましたよ
うに、本審議会のデジタル放送システム委員会で、これまでこのようなデ
ジタル放送方式の検討をされていたということを書いております。まず、
CSデジタル放送の方式、それからCATV、それから先ほどのBSのデ
ジタル方式でございます。
次のパラグラフでございますが、移動受信可能な衛星デジタル音声放送
については、1992年に開催された世界無線通信主管庁会議(WARC
−92)において、国際的な周波数分配が決定され、最近になって世界的
にサービス開始の動きが表面化し、欧米のみならずアジアも準備を開始し
ております。特にアジア諸国は日本が使用することのできる周波数帯と同
じ周波数帯において衛星システムの導入を計画し、その周波数使用のため
の国際的な手続きを開始しております。このような背景のもと、先日、2
.6GHz帯を使用する衛星放送に関するヒアリングを実施した結果、民
間の事業参入の意向やニーズの高まり、サービスの形態、その技術的な実
現可能性についての動向が明確化してきております。またその後、事業参
入に関心の有る者において、具体的な事業化の検討もなされているところ
であるということでございます。
これは当審議会におきまして、昨年の10月に入ってからだったと思い
ますが、9月に行いましたヒアリングの結果をご紹介しております。同じ
ものでございますが、4ページ目をちょっとあけていただきましたらご記
憶されているかと思います。9月2日から9月30日まで官報掲示をした
上でヒアリングを行いましたら、3のところに書いてありますアール・エ
フ・ラジオ日本以下、全部で11社からこういうことを考えているという
ような提案があったところでございます。
1つ前の3ページに海外の動向を紹介させていただいております。まず、
アメリカでございますが、ワールドスペース社が、アフリカ、中東、それ
からアジア及び中南米という3つの地域に対しまして、1.5GHz帯を
使った同様な衛星デジタル音声放送を計画しております。ITUには既に
事前公表済みで、いま国際調整中でございます。
それから(2)でございますが、昨年の4月、アメリカでFCCがこの
2社に対しまして、サテライトCDラジオ社、それからアメリカンモービ
ルラジオ社に対しまして、2.3GHz帯で国内向けのサービスの免許を
オークションで付与したところでございます。ITUでは事前公表済みと
いうことになっております。
欧州におきましては、イギリス、キプロス等が同じことを計画しており
ます。周波数は少し違いますが同じようなことを計画しております。事前
公表まではいっておりません。資料をITUに送付しているという状況で
ございます。
アジアにおきましてはここに書いてありますような、インド、インドネ
シア、ベトナム等が同じように2.6GHz帯で計画しておりまして、I
TUに事前公表の資料を送付しております。このような状況でございます。
1ページ目にもう一度お戻りいただきたいと思います。このような背景
のもとに、以上の状況を踏まえて2.6GHz帯衛星デジタル音声放送に
おける技術的条件の審議開始をお願いするものであります。
審議の重点事項でございますが、2630〜2655MHz、これは国
際的にとりあえずこの25MHzの間を使おうということになっておりま
すが、使用する衛星デジタル音声放送方式及び補助的な地上デジタル音声
放送方式の技術的条件です。
答申を希望する時期でございますが、本年末を予定しております。
答申が得られたときの行政上の措置といたしましては、関係法令の整備、
技術開発政策及び標準化政策に資するというふうに考えております。
以上でございます。よろしくお願いいたします。
○西澤会長 どうもありがとうございました。ただいまの説明に関しまして、
ご意見、ご質問をお願いいたします。
(暫時)
ございませんでしょうか。それでは、類似の項は既にお認めいただいて
おりますので、多分ご質問がないんだろうと思います。本日の審議を踏ま
えましてデジタル放送システム委員会でのご審議をよろしくお願いしたい
と思います。
(5)報告
「平成10年度情報通信行政関係予算(案)の概要等について」
○西澤会長 それでは、議事の5番目に入らせていただきます。「平成10
年度情報通信行政関係予算(案)の概要等」につきまして、省側からご説
明をお願いしたいと思います。
○岡田主計課長 主計課長の岡田でございます。まず私から予算関係の全体
的事項につきましてご説明させていただきまして、その後、寺崎の方から
科学技術関係の予算、その後、濱の方から税制関係についてご説明をさせ
ていただきたいと思います。
私の説明は、資料104−11に基づいて行わさせていただきたいと思
います。
郵政省の予算のうちの情報通信行政関係部分でございますが、資料の1
ページをお開きいただきたいと思います。
一般会計の欄でございますが、政府の全体的な予算は、ご案内のように
財政構造改革を平成10年度は進めるということでございまして、一般歳
出は政府全体で44兆5,362億と1.3%の減ということでございま
すが、郵政省は、ここにございますように881億4千万円で5.3%の
増となりました。そのうち一般財源の方は601億5千万円で2.5%の
減でございまして、電波利用料を財源とした施策関係の予算が280億円、
27%の増ということでございます。
この後、科学技術関係の予算で各省庁別の伸び率等が出てまいりますが、
全体を見ましても、省庁別に見ますと、ここには資料がございませんが、
選挙等で自治省に予算が増えているといったようなその特別の事情を除き
ますと、郵政省の情報通信行政の関係は最も高い伸び率となっております。
続いて2ページでございますが、2ページは、ただいまご説明いたしま
した881億4千万円の予算の内訳でございまして、主な歳出項目といた
しましては、電波監視業務等の経費が187億5千万円。通信総合研究所
の研究開発経費が176億5千万円。電気通信格差是正事業は84億3千
万円。通信・放送機構の関係経費が76億9千万円といった状況でござい
ます。人件費の割合は28.4%でございます。
続きまして、3ページに郵政省の一般会計予算の推移をお示ししてござ
います。郵政省の一般会計も予算額は非常に小さいわけでございますが、
少しずつ増えてきておりまして、平成6年度では政府の一般歳出に占める
シェアは0.1%でしたが、10年度では0.2%まで。少しずつ大きく
はなってきております。
それから4ページをお開きいただきたいと思います。4ページは平成1
0年度予算で特別措置が2つございまして、そのうちの一つが環境・科学
技術・情報通信等経済構造改革特別調整措置ということでございます。
もう一つの特別措置は、ここに載っておりませんが、公共事業の配分の
重点化ということでございまして、そちらは物流ですとか、生活関連に重
点化措置がとられておりますが、郵政は公共事業関係の予算を持っており
ませんので、ここには載っておりません。
環境・科学技術・情報通信等経済構造改革特別調整措置は、政府全体で
総額1,500億円の予算が設けられておりまして、官邸主導で配算が行
われております。これは各省別に枠が決まっておりまして、人件費を除く
関係予算の3%ということになっております。郵政は大体600億ぐらい
の人件費を除く経費がございましたので、ここにありますような17億6
千万円が上限ということでございますが、17億6千万円の予算を使いま
して、ここに載っておりますような6つの施策を要求いたしまして、結果
的には17億8千万円ということで、2千万円の増査定を認めていただき
ました。
電気通信システム共同開発事業は3億2千万円の要求に対して3億5千
2百万円ということで10%の増査定が認められております。
成層圏無線プラットフォームに関する研究開発が満額の査定ということ
でございます。
そのほか、マルチメディア中心市街地再活性化事業、高齢者・障害者の
ための「情報バリアフリー」環境の整備、地球変動観測高度化のための情
報通信技術の開発、地理情報システム構築の推進。これらの4つの施策に
つきましても、数字を見てご理解いただけますように、ほぼ満額に近い金
額を確保することができました。割と高い評価をいただいたわけでござい
ますが、それはこれらの施策が経済構造改革に資するとか、新規施策であ
るとか、官邸の方で各省との連携施策を重視しておりまして、これらの施
策すべて各省との連携施策になっているといったことが評価されているも
のと考えております。
5ページ以降は10年度予算における主要施策を並べておりますが、4
つの大きな柱のもとに要求しておりまして、第1の柱でございます次世代
ネットワークインフラの構築では、光ファイバ網の整備促進が29億7千
3百万円。地上デジタル放送パイロット実験が2億4千2百万円。それか
ら成層圏プラットホームは特別調整措置絡みの施策でございます。
それから大きな柱の2つ目が情報通信利用の普遍化・高度化絡みでござ
いまして、ここには次のページまで施策が並んでおります。6ページをお
開きいただきたいと思いますが、1から5までは先ほどご説明いたしまし
た経済構造改革絡みの施策でございまして、6番目が移動通信用鉄塔施設
整備事業、これが30億7千1百万円が認められております。
それから大きな柱の3つ目が創造的研究開発の充実・強化でございまし
て、ここでは公募研究制度の拡充と戦略研究開発プロジェクトの推進を載
せてございます。公募研究制度の拡充では、従来の公募研究制度は大学で
ございますとか国立研究機関を対象にいたしまして基礎的な技術の研究開
発を公募していたわけでございます。これまでの制度では企業を対象外と
しておりましたが、今回認められました国際標準実現型研究開発制度でご
ざいますとか、地域提案型研究開発制度では、民間企業の公募も認めるこ
ととしております。
それから、当審議会で取り組まれております情報通信研究開発基本計画
の関係でございますが、この関係の予算が17億5千3百万円でございま
して、新規研究開発テーマの例としてプラスチック光ファイバの開発を載
せてございます。
それから4つ目の大きな柱といたしまして、グローバルな情報流通の促
進関係でございまして、ここでは沖縄マルチメディア特区構想の推進が1
億1千9百万円ということで計上されております。
以上が主な施策でございまして、そのほかの重要施策につきましては、
7〜13ページまで。主な施策、9年度の予算額、10年度の要求予定額、
それからその施策内容についてまとめてございます。
資料の17ページ以降には、ご参考に郵政事業特別会計、郵政事業関係
の予算を載せてございます。
全体的な説明は以上にさせていただきます。
○寺崎技術政策課長 それでは続きまして、資料104−12、科学技術関
係予算(案)の概要についてご説明させていただきます。
いま、平成10年度の一般会計予算の説明がございましたが、その関係
とあと科学技術関係につきましてご説明いたします。
まず1ページ目でございますが、政府全体の科学技術関係予算は、総額
で平成10年度が3兆309億円ということで、9年度が3兆26億円で
したから0.9%増という数字になっておりまして、その3兆309億円
の内訳が下の表になっております。総額としては郵政省は多い方ではござ
いませんが、伸び率でいきますと一般会計の分野では9.1%増というこ
とで、一番伸ばしていただいております。
それから特別会計、これは産業投資特別会計等の一般会計以外の分野で
ございますが、これを合わせますと、郵政省科学技術関係予算605億円
ということになりまして、ちょうど特別会計予算が昨年度と同額でしたの
で、全体の伸び率は一般会計だけの場合に比べますと下がりますが、5%
増ということで、これもほかの省庁に比べますと、かなり伸ばしていただ
いているということでございます。
それからよく科学技術関係予算を5%増にするという話がありますが、
これは科学技術振興費といわれるもののことで、いわゆる国の国立試験研
究機関の経費、このようなものを指しておりますが、政府全体では3兆3
09億円のうち、科学技術振興費が8,907億円ということで、これに
つきましては4.9%の伸びを示しているという状況でございます。
次のページに移りまして、2ページ目でございますが、郵政省の科学技
術関係予算等について説明してありまして、一般会計につきましては、通
信総合研究所が約210億円、通信・放送機構に76億円、本省に60億
円といったような内訳になりまして、合わせて345億4千7百万円とい
う数字でございまして9.1%増となります。
それから先ほど申し上げました産業投資特別会計、これは基盤技術研究
促進センターへの産投出融資でございますが、昨年度と同様260億円と、
こういう数字でございます。
そのほか税制関係につきましては、次の資料で税制関係全部の説明がご
ざいますが、研究開発関連という点で説明しますと、平成10年度新しく
ネットワーク産学共同研究促進税制ということで、企業等が大学等との間
に高速ネットワークを結んで共同してネットワークを対象とした試験研究
を行う場合につきましては、その共同試験研究にかかわる試験研究費の6
%が税額控除といった制度の創設にも成功しております。
組織関係につきましても、通信総合研究所で地球環境計測部データ応用
技術研究室の設置等が認められているような状況でございます。
3ページ目に移りまして、通信総合研究所、通信・放送機構、本省は、
先程それぞれ210億円、76億円、60億円とお話し申し上げましたが、
それぞれの主な施策を載せさせていただいております。
特に通信・放送機構76億円の中で、戦略研究開発プロジェクトは17
億5千万円と書いてありますが、我が国の技術水準の向上、国際競争力の
確保等を念頭に置きつつ、複数の重点研究開発プロジェクトを統合し、産
学官の研究開発を推進するということで、昨年の4月本審議会でご答申い
ただいた「今後力を入れるべき分野」といったものが予算化されている状
況でございます。
なお、本審議会の答申でも、80の研究プロジェクトについて昨年4月
にご答申いただきましたが、この10年度の予算措置を講じたというとこ
ろで、80項目のご指摘を受けた点のうち、60項目に手がついたという
状況になりますので、また引き続き残りの20項目につきましても検討を
進めてまいりたいと考えているところでございます。
それから4ページ目でございます。これは情報通信分野の研究開発施策
について示したものでございます。縦軸の左上に国が推進すべき研究開発、
例の80プロジェクトが入っておりまして、その下に大学、民間の研究開
発があります。それぞれの研究開発に対して国が支援していくスキームと
して、税制だとか助成金などの制度があり、かなりいろいろな助成のスキ
ームが整ってきたという状況でございます。特に網かけしてあります分野
が平成10年度新しく新設できた部分でございます。
先ほど主計課長の方から説明しましたほかにも、国際共同研究助成制度
ということで、外国と共同研究をやる場合につきまして、先進的な共同研
究を行っていただく場合には、それもまた助成金をつけさせていただくよ
うな制度とか、これは公募になりますけれども、そういったような制度も、
かつて補正予算でやらせていただいたことがありますが、これも予算化に
成功しているところでございます。
5ページ目が宇宙通信関連の予算案の状況でございます。ご説明は省略
させていただきたいと思います。
6ページ目が先ほど申し上げました80のプロジェクトのうちの進ちょ
く状況でございます。ご説明は省略させていただきたいと思います。
参考資料でございますが、昨年9月予算要求させていただいたとき、来
年度の予算要求の重点ということでご説明をさせていただきましたものを、
12月に予算措置されたものについて再整理しまして、個別テーマごとの
金額等を平成10年度政府予算に合わせたものでございます。ごらんいた
だければと思います。
ありがとうございました。
○西澤会長 次、またお願いいたします。
○濱通信事業振興課長 それでは、続きまして資料104−13、平成10
年度テレコム税制改正要望の結果についてご説明をいたします。
テレコム税制と申しますのは、電気通信放送分野の振興を図るために設
けられている税制上の特別措置を総称してテレコム税制と呼んでおりまし
て、昭和60年の電気通信改革以降、例えば情報通信利用の高度化である
とか、あるいはニュービジネスの支援であるとか、研究開発を促進する等
のために、順次この制度の拡大をしてきているところでございます。
平成10年度におきましては、政策的必要性から、新しい税制について
要望をするとともに、平成9年度末で期限が参ります税制についての延長、
あるいは税制の対象設備の拡充等を要望したところでございまして、その
結果、新しい税制の創設につきましては4項目。それから、対象設備の拡
充等につきましても4項目認められたところでございます。
まず、創設された税制につきましては、1ページ目の1番、ネットワー
ク産学共同研究促進税制の創設ということで、先ほども少し話がございま
したが、企業と大学との間で高速ネットワークを結んで実施を行います研
究でございまして、ネットワークを対象として産学共同で研究をする場合
に、郵政大臣の認定というのを条件にしておりますが、研究開発費の6%
を税額控除するという措置が行われることになっております。これにより
まして、情報通信技術の向上とか、あるいはひいてはニュービジネスの振
興に寄与するものではないかというふうに期待をしております。
続きまして、2ページ目でございますが、テレワーク促進税制の創設と
いうことで、テレワークにつきましては、高齢者やあるいは障害者の方、
女性の方の就業機会を拡大をしたり、あるいは通勤負担を軽減をいたしま
して、ひいては環境に寄与できるものということで、郵政省としていろい
ろな推進施策を講じておるところでございますが、税制につきまして、平
成10年度から、そこに対象として挙げてございますように、企業等がサ
テライトオフィス勤務形態のテレワークを実施するために取得した設備で
あって、これを郵政大臣が認定したものにつきまして、固定資産税の課税
標準を3分の2にするという措置が行われることになったところでござい
ます。テレワーク関係の税制が創設されるのは、これが初めてでございま
す。
続きまして3ページ目、中心市街地の再活性化税制でございますが、空
洞化が進んでおります中心市街地の再活性化、これは政府として各省連携
して取り組んでおる課題でございまして、この中心市街地の再活性化につ
きましては、そこの対象にございますように、第3セクターが整備いたし
ます電気通信機能支援中核施設に対しまして、税制措置として特別償却、
それから事業所税の新増設分についての事業所税につきまして非課税とい
う措置が行われることになったところでございます。
創設の4番目は、沖縄情報通信産業振興税制でございます。沖縄の振興
ということは非常に大きな課題になっておるわけでございまして、情報通
信産業振興地域という地域内に立地をする情報通信産業を行う者が整備す
る設備につきまして、そこにございますように、法人税、特別土地保有税、
事業所税等につきまして税制措置が認められたわけでございます。これに
よりまして、一番下に書いてございますように、沖縄を情報通信ハブとし
て形成するための支援になるだろうというふうに考えております。
それから、延長・拡充の関係でございます。4ページ目でございますが、
高度有線テレビジョン放送施設整備促進税制につきましては、これまでC
ATVに関しまして、加入者系の光ファイバケーブルというのが税制の措
置の対象になっておったわけでございますが、今回これに加えまして、デ
ジタル伝送装置が特別償却の対象として加えられることになるということ
で、光ファイバ化、デジタル化のための支援措置でございます。
それから2番目は、新世代通信網促進税制の関係でございまして、これ
まで光ファイバケーブルとか、そこにございますように同期多重デジタル
伝送装置とか、光化、デジタル化の支援の税制でございましたが、今回こ
れにつきまして、そこにございますように、複合通信用交換機、高機能I
Pルータが固定資産税の特例措置が認められることになったところでござ
います。
それから、次の5ページ目、電気通信システム信頼性向上促進税制に関
しましては、従来シールド式とう道、非常用電源装置等が対象になってお
ったわけでございますが、今回固定資産税につきまして、非常用の無線装
置が対象になることになったところでございます。
拡充の4番目はストックオプション税制の拡充でございまして、昨年の
商法改正によりまして、ストックオプションが企業一般に利用できるよう
になりました。ストックオプションと申しますのは、会社が取締役や従業
員に自社の株式を、株式が例えば公開等によりまして上昇した際に、あら
かじめ定めた安い価格で買い取れるという権利を付与するものでございま
して、有能な人材の確保とか、あるいは勤労意欲を促進をするという非常
に大きな効果が期待されているものでございます。このストックオプショ
ンについては、権利を行使した時点では現金が手に入っていない状態です
ので、経済的利益について非課税といたしまして、株式を売却した時点に
おいて、申告分離課税を適用するということが認められたところでござい
ます。
6ページ目はその他の改正項目ということで、これは9年度末に期限が
来るものを延長するということを要望いたしまして、それが認められたと
ころでございます。
テレコム税制関係、以上でございます。
○西澤会長 どうもありがとうございました。ただいまの3つのご説明に関
しまして、ご意見、ご質問お願いいたします。
○坂田委員 郵政省関係の予算がかなりふえたということで、非常に皆さん
方のご努力に敬意を表します。
先ほど財政投融資の1兆3,650億という、この情報通信の振興施策
のイメージ、当郵政省の予算との関連がどういうふうになっているのかと
いう点について教えていただきたいということが1点。
それから第2点として、郵政省と共同研究について、共同というか省庁
間協議でやっておられるITSというのが、かなり諸外国でも動いている
という点について、省とのかかわり合いというところを差し支えない範囲
で2つほどお伺いいたします。
○濱通信事業振興課長 財政投融資につきましては、郵政省関係は、日本開
発銀行であるとか北海道東北開発公庫であるとかから、例えば第一種電気
通信事業用の設備等々、情報通信の関係の必要な設備資金等につきまして、
財政投融資の融資が受けられることになっておりまして、この1兆3,6
50億円の内数として、そういう設備に対してご希望に応じて融資を行う
ということになっておるところでございます。
○田中電波部長 電波部長でございますが、ITSの関係につきましては、
これにつきましては5省庁プロジェクトということでご承知かと思います
が、当省も無線の分野から非常に貢献をさせていただいております。具体
的には、ワイヤレスカードで高速道路の自動料金徴収システムでございま
すとか、それから将来に向けましては、車と道路側とのいわゆる路車間通
信、そういったもの。あるいは車車間通信とか、そういった場合に大変車
の前後関係をレーダー的に位置を測りながら、安全運転のために位置を確
認するといったシステムでございますとか、いろいろなことを研究開発し
おりまして、既に相当部分が実用化のレベルに達しておりますし、国際的
にも標準化が進められているところでございます。
それから、さらに将来には、ただいま申し上げたものをベースとした、
より一層の高度情報ネットワークについて予算措置しております。この重
点施策の資料中には細かく出てきておりませんが、私どもとしては予算措
置を講じておりまして、さらにネットワークの高度化に向けて研究を進め
ているというところでございます。もちろん建設省におかれましては、道
路行政の延長から情報化を考えておられますし、通産省にあっては自動車
のエンジンとか、そういった制御の方からやはり情報化とのドッキングを
考えているということで、非常にトータル的な各省庁が連携をとらないと
ころにはなかなか高度な道路交通情報網というのはでき上がりませんので、
うまく連携を図りながら進めているというところでございます。
○坂田委員 ありがとうございました。
○西澤会長 ほかにございませんでしょうか。大蔵も自民党も情報通信技術
の研究開発、情報通信関係がこれから伸びるということで了解しているよ
うであります。この間、去年でしたか、幾らか特別出資やったわけでござ
いますね。この方面の振興資金が大分出たわけですね。あの成果が大変上
がったということでまた継ぎ足したんだと思いますが、多分今後とも、こ
の分野というのは投資効果の回りが大変早いと思うんですね。そういうこ
とがいま自民党や政府には大変大きな魅力になっているようでございます。
○坂田委員 波及効果も多いわけですね。
○西澤会長 そうです。それから21世紀になればもっと発展するわけです
から、いま投資したことが決してむだにならないということだと思います
ね。引き続き、お忙しいと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
(6)報告
「国際電気通信連合(ITU)無線通信総会(RA−97)及び世界無線
通信会議(WRC−97)の結果について」
○西澤会長 それでは、次に入らせていただきたいと思います。
議事6番目であります。「国際電気通信連合(ITU)無線通信総会
(RA−97)及び世界無線通信会議(WRC−97)の結果」につきま
して、省側からご説明をお願いいたします。
○久保田標準化推進室長 標準化推進室長の久保田でございます。報告事項
の前半でございます国際電気通信連合の無線通信総会、レディオコミュニ
ケーション・アセンブリー97、RA−97の関係につきましてご報告申
し上げます。
資料104−14でございます。このRA−97への対処につきまして
は、昨年9月に本審議会におきましてご答申をいただきました対処方針に
基づきまして対応してきたところでございます。簡単にご説明申し上げま
す。
期間はこちらにございますように、昨年10月20日から10月24日
まで、後ほどご説明いたしますWRC−97に先立って開催されておりま
す。場所、出席者につきましては省略いたします。
概要でございますが、大きく分けまして3点ございます。まず、95年
から97年の会期における研究結果を最終的に勧告として承認したわけで
ございます。主な勧告を3件ほど挙げてございます。
まず地上デジタルテレビジョン放送の変調方式等ということでございま
す。これはもう既にご案内かと思いますが、米欧の方式に合わせまして、
本審議会で審議中の地上デジタルテレビジョン方式につきましても、審議
中のシステムということで記述をされたところでございます。
それから2件目でございますが、次世代移動通信システム(IMT−2
000)でございますが、このインターネット接続、移動マルチメディア
等の基本的な機能、概念的な枠組みでございますが、これにつきましても
勧告ができたということでございます。
3点目でございますが、低軌道周回衛星(LEO)等の移動衛星通信シ
ステムが地上の固定無線通信システムに及ぼす電波干渉の計算法でござい
ます。こういった勧告が今回承認されたわけでございます。
大きな2点目でございますが、次の研究会期97年から99年になりま
すが、研究課題399件が承認されております。主な研究課題がございま
すように、IMT−2000につきましては、より詳細な検討が継続して
行われる、あるいは移動衛星通信システムと地上の無線通信システムにつ
きましても、具体的な周波数共用基準等につきまして継続して検討される
わけでございます。
大きな3点目でございますが、各研究委員会、SGと申しておりますが、
この議長、副議長の選出が行われました。詳細につきましては、次のペー
ジに全体像がございます。今回我が国から議長2名、副議長2名が選出さ
れまして、特に議長につきましては、従来1名だったのが2名になったと
いうことで、大きな成果を上げたと思っております。
以上、簡単ではございますが、ご報告にかえさせていただきます。
○西澤会長 どうもありがとうございました。次の説明をお願いいたします。
○田中電波部長 続きまして資料104−15につきましてご説明させてい
ただきます。
これは国際電気通信連合(ITU)世界無線通信会議(WRC−97)
と呼んでおりますが、これの結果でございます。
このWRCにつきましては、世界の無線通信システムに対する周波数分
配でございますとか、あるいは電波に関する国際的な秩序を記述しており
ます無線通信規則、RRといいますが、これらの改正等を任務とする会議
でございまして、2年に1回開催されております。
この会議と我が国の国内における電波行政との関連を簡単にご紹介致し
ます。
4ページ目の参考資料1をご覧頂きたいのですが、ITUの全体の会議
で、世界無線通信会議の位置づけを網かけで示しております。
それから5ページ目の参考資料2に周波数割当のプロセスをフローチャ
ートで示しております。これはRRの決定と、日本国内における行政との
関連性を示したものでございます。まず、新しいシステム、周波数の開発
が行われ実用化レベルに達しますと、国際的な周波数分配を決めてまいり
ます。例えば、左の方にございます放送、移動通信、あるいは固定業務と
いったものに使うということで国際的な分配が決定されます。
この決定に基づきまして、我が国ではRRに決められた規定の範囲内で、
我が国の需要動向、利用動向、あるいは技術動向を踏まえ周波数の割当原
則を策定し、電波法の趣旨にのっとり公開することにしているわけでして、
最近ではインターネット等も通じて、和文、英文、両方で示しているとい
う状況でございます。
また、これらを受けまして、デジタル系の携帯電話、自動車電話、ある
いは航空機の電話といったさまざまな利用分野ごとに、さらに細かな審査
基準等を明定しまして、具体的な電波の免許を出していくということでご
ざいます。免許のプロセスにつきましては、参考資料の3に示してござい
ますが、時間の都合で省略させていただきます。
次に、今回の会議の主なトピックスをご紹介させていただきたいと思い
ます。WRC−97は、昨年の10月27日から11月27日までの4週
間、ジュネーブで開催され、148カ国から約2,200名の方々が出席
したということでございます。主なテーマとしては、放送衛星(BS)プ
ランの見直し、非静止衛星による衛星通信サービスへの周波数の分配等で
ございます。
BSプランの見直しに関しましては、1977年に現在の放送衛星のプ
ランが策定され、我が国が所属するアジア・大洋州には11.7から12
.2GHzまでが割り当てられており、このうち我が国には東経110度
に8チャンネルが割り当てられております。このような中、プラン策定後、
既に20年が経過し、その後、技術も大変進歩しているなかで、アラブ諸
国等を中心に発展途上国から全面的な見直しの要求が強く出てきているこ
と。それから、ご承知のとおり、旧ソ連が崩壊いたしまして、新しい国々
が相当数できておるということで、新たな割り当ての必要性が出てきたと
いったバックグラウンドのもとに、今次会合で見直しを行ったということ
でございます。その結果については、2ページ目に整理してございますが、
さまざまな技術基準の見直しが行われております。
なお、放送衛星先進国としての我が国、さらには韓国やフランス、イギ
リスといった衛星放送を行っている国々におきましては、現在のプランが
そのまま継続することの権利を確保したところでございます。
また、成果としては、新規加盟国へのチャンネル割り当てとしまして、
第1地域、ヨーロッパ、アフリカ地域に対して最低5チャンネルが今回割
り当てられました。それから第3地域、アジア・大洋州では最低4チャン
ネルが新規加盟国に割り当てられたということでございます。また、アラ
ブ等はこれに対して大変不満を表明しておりまして、さらに全面的な見直
しを要求するということで、それの妥協として、さらにWRC−99で、
1999年でございますが、技術的な可能性を検討した上で、可能性があ
れば、2001年頃にBSの割当ての全面見直しをするということが決議
をされているところでございます。
それから、2点目の主要議題であります非静止衛星による衛星通信サー
ビスの周波数分配につきましては、さまざまな周波数帯がございますが、
1から3GHzの、主として音声移動衛星業務といったものに対しまして
は、我が国の領土内に限り、航空移動衛星業務にも使えるようになったと
いうことが、我が国にとっては大きな成果であったということでございま
す。
それから3GHz以上の固定衛星業務につきましても、これが今回の会
議のハイライトになったわけでございますが、WRC−95、1995年
の会議でテレデシックがすい星のごとくあらわれ、当時500MHz幅を
要求してもめた結果、400MHz幅までは分配されました。残り100
MHzが上り下りで200MHzがリザーブバンドになりますが、今回追
加分配されたということでございます。また、アメリカ主導の周回衛星に
よる固定衛星業務に対して、今回、ヨーロッパが巻き返しを図っておりま
して、特にフランスのアルカテル社を代表とするグループがKu、Kaバ
ンドにおいて共用を求めてきたというところでございます。これが土壇場
までもめたわけでございますが、暫定的に技術的な共用の条件を地表面で
の電力束密度で規定した上で共用化を図ったということでございます。こ
の共用されたバンドにつきましては、2ページの下の方に網かけで図に示
してございますが、これがKuバンドの上り下りでございます。
それから、3ページ目の頭の方にKaバンドの上り下りが示してござい
ますが、上り下りKu、Kaバンド合わせますと7GHzという大変な領
域にわたっているわけでございます。
それから3点目は、成層圏プラットフォームのための周波数分配で、先
ほど予算のところでも出ておりましたが、こういった電波の利用の面でも
今回手当てをしたということで、都合上り下り300MHzが47GHz
帯で分配されております。
また4点目はペーパー衛星対策ということで、これも権利だけを取得し
実際には衛星を打ち上げないいわゆる書類上の衛星、ペーパーサットと国
際的にも認知された用語になっておりますが、こういったものについても
調整手続、あるいは事前公表資料の簡素化、あるいは衛星の真正性の証明
といったさまざまな見直しを行いまして、ペーパー衛星対策にもなるとい
うような成果が今回得られているところでございます。
またWRC−99に持ち越したものもございます。IMT−2000の
周波数の追加分配。非静止衛星システムと静止衛星システムのさらなる共
用基準の見直し。BSプランの全面見直し。これら大変重要な議題がさら
に先送りされたという状況でございます。
以上でございます。
○西澤会長 どうもありがとうございました。ただいまの2つの説明に関し
まして、ご意見、ご質問をお願いいたします。
○羽鳥委員 最後のところでご説明のありましたIMT−2000への周波
数の追加分配というのは、簡単に言うとどんなことなんでございましょう
か。
○田中電波部長 現在、既に230MHzが、2GHz周辺で分配されてお
りますが、これではさらに需要が足りなくなるんじゃないかという前提、
国際的なコンセンサスがございます。その中で、その前後でさらに追加の
可能性について2年後に検討しようと、こういう動きになってございます。
どの辺にするか我が国も関係機関ともよくお諮りしながら、さらに今後に
向けて対応してまいりたいと、このように思っているところでございます。
○羽鳥委員 ありがとうございました。
○坂田委員 IMT−2000について、継続になっている設定目標、周波
数帯、標準化の目途というのはいつごろ大体に固まっているんですか。実
際2001年とかいろいろ議論かございますね。この辺のことをお聞かせ
下さい。
○田中電波部長 さっとラフスケッチいたしますと、先般、12月から1月
に向けて、ヨーロッパの方で我が国の提案しておりますワイドバンドCD
MA等、相当大幅な妥協をいたしまして、日欧の間では一つのブリッジ体
制ができたと見ているわけでございます。今後の大きな流れといたしまし
ては、6月がITUへの各国提案の締め切りになっておりますので、我が
国といたしましても、標準方式について提案することを考えております。
もちろん、日欧の間での話し合いが進んでおりますから、それを軸にしな
がら、アメリカの少しコンセプトの違うワイドバンドCDMA方式とさら
なる妥協ができないかどうか、電波産業会を中心にいま汗を流していただ
いております。その結果を受けまして、6月頃に本審議会において、我が
国のコントリビューションペーパーを検討し、日本としてのペーパーをI
TUに提出し、1999年の12月までにITUを中心に世界の標準方式
をつくり上げると、こういう動きになっておりますので、またその時点で
いろいろとご相談申し上げたいと思います。
○西澤会長 ほかにございませんでしょうか。よろしゅうございますか。
(7)報告
「通信放送技術衛星(COMETS)の打上げについて」
○西澤会長 それでは、次に入らせていただきます。
議事の7番目、報告、「通信放送技術衛星(COMETS)の打ち上げ」
について、でございます。これも省側からご説明お願いいたします。
○竹内宇宙通信政策課補佐 宇宙通信政策課課長補佐の竹内でございます。
課長の松本が所用で出席できませんので、代わってご説明させていただき
たいと思います。
資料104−16でございます。先般、本審議会でもご紹介申し上げま
したが、COMETSの打ち上げは、本来、昨年の夏、7月ないし8月に
打ち上げになる予定でございました。しかし、ADEOSという衛星の太
陽電池パネルに故障がございまして、その対策をCOMETSにも講じた
上で打ち上げるということで、打ち上げが延期になってございまして、来
週の金曜日、2月20日の夕方に種子島宇宙センターから打上げるという
スケジュールになりましたので、その点について本日ご紹介を申し上げた
いということでございます。
COMETSにつきましては、平成2年度から郵政省と科学技術庁が共
同で開発してきた衛星でございまして、開発の目的は主として3点ござい
ます。一つはKaバンド/ミリ波帯の新しい移動体用の周波数を開拓をし
ようとことが1点目でございます。
それから2点目としましては、衛星放送用の新しい周波数帯である21
GHz帯を開拓しようということでございます。
それから3点目としまして、観測衛星等の周回衛星との間で、常にリア
ルタイムで情報を送れるようにということで衛星間通信技術を開発しよう
ということでございます。このような3つの目的で開発を行ってきた衛星
でございます。
衛星の概要につきましては、一番最後のページに衛星の概要図をつけて
ございますが、かなり大きな衛星でございまして、太陽電池パネルの両端、
一番長いところで約31メートル。それから重量につきましては、静止軌
道上初期で約2トンということで、特に大きな衛星でございます。静止軌
道位置は、東経121度でございます。
それでは1枚おめくりいただきまして、実験の概要についてご紹介申し
上げたいと思います。実験の体制につきましては、郵政省におきまして、
この図にございますような推進会議を設置いたしまして、基本方針を検討
をいたしております。その中で開発を担当いたしました郵政省の通信総合
研究所と宇宙開発事業団が基本実験を行うこととしております。あわせま
して、公募によりましてさまざまな実験機関にご参加いただいて、利用実
験をやっていただくということで準備を進めておりまして、利用実験につ
きましては、参考ということで書いてございますが、現在9社にご参加を
いただくということで準備を進めております。COMETSが打ち上がり
ましたら、また改めて公募を行いたいということでございまして、できる
だけ多くの方にご参加をいただいて、さまざまなアプリケーションの開発
等を進めていただきたいというふうに考えております。
それから、2枚おめくりいただいて、4ページ目の移動体の通信実験に
つきましてはKaバンドがビームを2つ持ってございますが、関東ビーム
と東海ビーム。それからミリ波帯につきましては、関東ビームのみを持っ
ております。これは実験衛星ということで、本来は実用衛星でございます
と、日本すべてをカバーできるようにもちろん考えるわけですが、実験衛
星で技術の実証を目的としておりますので、開発コスト等も勘案いたしま
して、このような最低限の2つのビームで構成しております。
それからもう1枚おめくりいただきまして、放送の実験に関しましては、
関東ビームと九州ビームをつけてございまして、これは高精細な映像を、
衛星放送でも地域別でやれるようなものを目指しております。このような
地域別のビームを持った技術を開発しているということでございます。
そのほか宇宙開発事業団を中心に衛星監視システムをやっていく上で必
要なサービスも考えていきたい。こういった衛星を来週の金曜日の夕刻に
打ち上げを予定しております。気候等の関係で延期になりました場合には、
2月27日まで打ち上げ期間がありますので、この間に万全を期して打ち
上げまして、実験を進めてまいりたいということでございます。
以上でございます。
○西澤会長 それでは、ただいまのご説明に関しまして、ご意見、ご質問、
お願いいたします。
(暫時)
よろしゅうございましょうか。
(8)報告
「熱帯降雨観測衛星(TRMM)及び技術試験衛星VII型(ETS−VII)
の運用状況について」
○西澤会長 それでは8番目の「熱帯降雨観測衛星(TRMM)及び技術試
験衛星VII型(ETS−VII)の運用状況」について、省側からご説
明をお願いいたします。
○竹内宇宙通信政策課補佐 それでは資料104−17についてご説明申し
上げます。
昨年の11月28日に、二つの衛星、TRMMとETS−VIIが種子
島から同時に打ち上げられました。この2つの衛星ともに科学技術庁、そ
れから郵政省が関係しております衛星でございまして、現在までのところ
ほぼ正常に運用されておるということでございます。本日は、これらの運
用状況の概要をまとめたものにつきまして簡単にご紹介をさせていただき
たいと思います。
まず、TRMMは熱帯降雨を観測する衛星でございまして、エルニーニ
ョ現象でございますとか、気象変動、そういったものの原因解明をしてい
く上で非常に大きな武器になる衛星であると考えております。もともとこ
の衛星自身は、アメリカのNASAが中心になって開発をしておりますが、
そこに搭載をされております降雨レーダーにつきましては、通信総合研究
所が世界に先駆けて研究を行いまして、その成果をもとに宇宙開発事業団
と共同開発したものが、今回衛星に搭載をされておるところでございます。
先月の末までに軌道上での初期機能確認試験が終了いたしまして、すべ
て正常でございましたので、2月になりましてから経常的にデータを取得
をしております。
今後でございますが、1ページ目の(3)の[2]でございますが、今
後約6カ月間たちまして、データの検証を行いまして、その後実際に校正
されたデータを一般研究者にインターネットを通じて広く配付をしていく、
というようなスケジュールになっております。この衛星自身は平成13年
の1月まで運用予定となっております。
通信総合研究所におきましては、このTRMMで取れたデータの精度を
さらに高めようということで、航空機に搭載をしましたレーダー、CAM
PRと言っておりますが、これによる観測データ・観測実験を踏まえ、よ
り精度の高めていこうという計画でございます。
この資料の一番後ろの2枚をごらんいただきたいんですが、カラーの資
料といたしまして、TRMM衛星で実際に観測されました画像を何枚か添
付しております。この図1といいますものが、実際にこのTRMMがどの
辺の軌道を飛んでいるかというものでございます。全地球の平面図のよう
なものがございまして、この一つの帯の縦幅が約200キロでございまし
て観測をしているということでございます。これは気象衛星で撮りました
絵とそれからTRMMで撮りました絵を重ねて表示しております。白く見
えておりますのが、実際に雲がある部分で、その中に、一部、赤色とか、
黄色とか、青色などの色がついておるところが実際に雨が降っておるとこ
ろでございます。赤くなるほど雨が強い。それから青いところは弱い雨と
いうことでございます。
次のページでございますが、これは日本周辺で昨年12月、台風28号
を観測した際の映像でございます。これは日本南方の約1,500キロで
観測されたものでございます。図2の左上にございますのは、地上高度約
2キロの時点での水平断面での降雨強度を表示したものでございます。A
BCDという線がございますが、そのA−B面、C−D面、それぞれカッ
トした形での降雨の垂直分布図を、それぞれC−D面につきましては上の
方に、それからA−B面でカットした降雨強度につきましては、その下側
に添付をいたしております。これを見ますと、台風の渦巻き構造とそれか
ら降雨強度が左右非対照になっております。特に東側に降雨が強くなって
おると、こういうことが観測をされております。また、降雨の高さにつき
ましては、台風の目の近くでは高さ12キロ近くに達しているということ
が、この絵から読み取れます。薄い水色の高さが約12キロということで
ございます。
それから次のページでございますが、図の3といたしまして、アマゾン
域の雨の画像がございます。こういった熱帯地域では、地上ではなかなか
観測ができないため、いままでほとんどデータがなかったものでございま
す。これは実際のアマゾン上流のボリビアの国境近くの画像でございます。
ここでの観測結果から見ますと、降雨の高さは約15キロに達していると
いうことで、先ほどの画像よりも若干高くなってきておるということが特
徴としてございます。
今後、このような立体構造が経常的にとれるということになってまいり
ますと、熱帯地域での降水のモデル化ですとか、降水内部での熱の収支が
どうなっているのかといったことが判明してまいりまして、気象変動、あ
るいは気候変動の、大変貴重なデータになるのではないかということで、
科学者から非常に期待されております。
最後に図4でございますが、これは先般の日本国中が大変大騒ぎした関
東地方の大雪の際の画像でございます。ひまわりの画像と重ねてございま
すが、九州地方から関東地方にかけて、同時にデータを示しております。
この際、九州地方から近畿地方にかけましては実際には雨でございまして、
東海から関東にかけては雪でございます。絵の下側の垂直分布をごらんい
ただきますと、九州地方では赤い絵が若干高いところまで来るわけでござ
いますが、それが東海から関東地域になりますと、高さ方向が低くなって
きているということです。雪の場合には構造的に下の方が強いということ
がこの絵からわかりますので、絵では雨と雪を色分けできないわけですが、
実際にはエコーの強さがかなり異なっていることから、雨と雪を推測でき
るということで、気象科学の解明のための非常に大きなツールとして期待
されているわけでございます。
それから恐縮でございますが、2ページ目にお戻り頂きまして、ETS
−VIIという衛星、もう一つの衛星でございますが、これにつきまして
は、ランデブ・ドッキング技術とそれから宇宙ロボット技術の開発を目的
としておりまして、現在正常に飛行をしておるところでございます。
3月の中旬まで、軌道上での初期機能確認を実施いたしまして、その後
いろいろな実験をやっていくという予定になっております。こちらは実験
期間が約1年半ということになっております。
郵政省の関係では、将来の大型アンテナ組み立て技術に関連して、アン
テナ結合機構の基礎実験を実施するということになっております。これは、
先ほど紹介いたしましたCOMETSのデータ中継機能を用いまして実験
を行っていくことになっておりますので、そういった意味からもCOME
TSの打ち上げは万全を期していきたいと思います。
長くなりましたが、以上でございます。
○西澤会長 どうもありがとうございました。それでは、ただいまのご説明
に関しまして、ご意見、ご質問をお願いいたします。
(暫時)
よろしゅうございましょうか。
それでは、どうもありがとうございました。
(9)その他
○西澤会長 では、最後のその他の項に移ります。
無線通信委員会等に所属する専門委員を資料104−18に示すとおり
に変更いたしましたので、ご承知おきください。
そのほか、何か事務局の方からございますでしょうか。
○渡辺審議会室長 特にございません。
○西澤会長 先生方の方から何かご意見ございますでしょうか。
3 閉会
○西澤会長 それでは、本日は大変ご熱心なご審議をいただき、また休会の
ために特に件数が多かったわけでございますが、どうもありがとうござい
ました。
これをもちまして、本日の会合を終了させていただきます。どうもあり
がとうございました。
第6 議決事項
(1)一部答申 諮問第74号「デジタル放送方式に係る技術的条件」のうち
「11.7GHzを超え12.2GHz以下の周波数の電波を
使用する衛星デジタル放送方式の技術的条件」
(2)新規諮問 「宅内の高度情報化の将来像と研究開発の推進方策」(諮問第
97号)
(3)新規諮問 「デジタル放送導入のための地上放送の置局に関する技術的条
件」(諮問第98号)