発表日 : 5月22日(金)
タイトル : 5/22付:「航空機と衛星が共同で、沖縄の梅雨前線を観測」
熱帯降雨観測衛星(TRMM)は、昨年11月末種子島宇宙センターから打ち
上げられ、現在順調に地球規模での降雨観測が進められています。
郵政省通信総合研究所(CRL)では、宇宙開発事業団と協力してTRMM衛
星に搭載している降雨レーダを開発するとともに、そのデータの検証を目的とし
た航空機搭載用の多機能降雨レーダ(略称:CAMPR)を開発してきました。
今回CRLでは、TRMM衛星で取得されたデータの検証のため、CAMPR
を小型飛行機(ビーチクラフトB200)に搭載して、宇宙開発事業団、気象庁、
海洋科学技術センター、名古屋大学大気水圏科学研究所などの各機関と協力して、
5月23日から6月初旬までの間、石垣島、宮古島などの南西諸島周辺において、
降雨の集中観測実験(石垣・宮古TRMMキャンペーン実験、Ishigaki
/Miyako Campain Experiment for TRMM;
略称:IMCET)を行うこととなりました。
IMCETにおける衛星、航空機および地上からの総合的レーダ観測により世
界で初めての宇宙からの降雨レーダデータの精度が確認され、その有用性が実証
されるとともに、これまでデータの乏しかった海洋上における梅雨前線の降雨構
造など、科学的に重要なデータが取得できるものと期待されます。
なお、衛星及び航空機による観測実験は、CRL、宇宙開発事業団などが共同
で実施。気象庁からは、陸上レーダ、海洋観測船(啓風丸、長風丸)により取得
されるデータなどが提供される予定です。
参考のため、TRMM、IMCETの概要を添付資料に示します。
連絡先
郵政省通信総合研究所 企画部広報係
〒184−8795 小金井市貫井北町4−2−1
電話:042−327−7465、FAX:042−327−7587
添付資料1
熱帯降雨観測衛星
(TRMM:Tropical Rainfall Measuring Mission)
[1]熱帯・亜熱帯地方の降雨の観測
[2]衛星による降雨リモートセンシング技術の検証・確認の実施。
[3]日米共同プロジェクトとして実施。
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打上げ
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・ 平成9年11月28日(金)
・ 技術試験衛星VII型(ETS−VII)と相乗りで打上げ。
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形状
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・ 全長 約14.0m(太陽電池パネルを含む)
・ 全高 約4.4m
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重量
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・ 打上げ時 3.5トン
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設計寿命
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・ 約3年
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軌道
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・ 高度約350km、傾斜角35度の円軌道
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搭載機器
(主な観
測内容)
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[1]降雨レーダ
・ 熱帯降雨の3次元構造(特に垂直構造)の定量的観測。
[2]TRMMマイクロ波観測装置
・ 海洋上での降雨強度の定量的観測。
[3]可視赤外観測装置
・ 大気中の赤外線から可視光線までの放射量測定。
[4]雲及び地球放射エネルギー観測装置
・ 地球及び大気中から放射されているエネルギーの測定。
[5]雷観測装置
・ 光学センサにより、雲の中から地表までの雷の観測。
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下線は、郵政省関連
日 本 降雨レーダ 郵政省通信総合研究所/NASDA
米 国 TRMMマイクロ波観測装置 NASA
可視赤外観測装置 NASA
雲及び地球放射エネルギー観測装置 NASA
雷観測装置 NASA
添付資料1−2
熱帯降雨観測衛星(TRMM)の運用状況について
郵政省通信総合研究所
TRMMは、平成9年11月28日、宇宙開発事業団種子島宇宙センターから
H−IIロケット6号機で、技術試験衛星VII型(ETS−VII)と同時に
打上げられ、現在、順調に観測を続けている。
(1)衛星による熱帯・亜熱帯地方の降雨の観測が目的。
(2)衛星は、日米が共同で開発したものであって、5つのセンサを搭載し、
降雨、雷などの観測が可能。
(降雨レーダ(CRL・NASDAが開発)、マイクロ波センサ、可視赤
外センサ、雲・地球放射エネルギーのセンサ、雷センサ)
11月29日 衛星の三軸姿勢を確立。
12月 1日 初期機能確認試験を開始。
12月 8日 運用軌道を定常高度の350kmに変換。
1月30日 初期機能確認試験の終了。以降、定常的な観測を実施。
6月中旬頃より、外部の研究者にも観測データを公開する予定である。(一般
への公開は、8月中旬を予定)
降雨等の観測実験は平成13年1月頃まで実施される予定。