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発表日  : 1998年 6月 9日(火)

タイトル : 第106回電気通信技術審議会議事録(平成10年6月9日公表)






第1 開催の日時及び場所
  平成10年4月21日(火) 午後2時00分から 於、郵政省3階第2特別
  会議室

第2 出席した委員(敬称略)
 1 委員
  西澤 潤一、徳田 修造、青木 利晴、金子 尚志、川田 隆資、北城 恪太
  郎、倉内 憲孝、小舘 香椎子、坂田 浩一、名取 晃子、羽鳥 光俊、安田
  靖彦
 2 専門委員
  安藤 真(標準電波委員会委員長)、中川 正雄(FM放送置局技術委員会委
  員長)

第3 出席した関係職員等の所属及び氏名
 1 大臣官房
  甕 昭男(技術総括審議官)、高祖 憲治(専門調査官)
 2 電気通信局
  谷 公士(局長)、田中 征治(電波部長)、竹田 義行(計画課長)、稲田
  修一(移動通信課長)
 3 放送行政局
  品川 萬里(放送行政局長)、小林 哲(放送技術政策課長)、浅見 洋(有
  線放送技術システム室長)
 4 通信総合研究所
  箱石 千代彦(次長)
 5 事務局
  渡辺 信一(審議会室長)

第4 議題
  (1)答申    「FM放送局の置局に関する技術的条件」(諮問第92号)
  (2)答申    「標準電波の高度利用のための技術的諸方策」(諮問第96号)
  (3)新規諮問  「5GHz帯の周波数を利用する広帯域移動アクセスシステ
          ムの技術的条件」(諮問第99号)
  (4)新規諮問  「PHSの高度利用の促進に資する技術の導入方策」(諮問第
          100号)
  (5)新規諮問  「高度道路交通システム(ITS)における情報通信システ
          ムの在り方」(諮問第101号)
  (6)新規諮問  「有線テレビジョン放送事業用無線局の技術的条件」(諮問第
          102号)
  (7)その他


第5 審議の概要
1 開会
  ○渡辺審議会室長 定刻になりましたので、第106回電気通信技術審議会を
   開催いたします。
    初めに、議事の確認をいたします。本日の議事は、議事次第にありますと
   おり、答申として、「FM放送局の置局に関する技術的条件」、「標準電波
   の高度利用のための技術的諸方策」、以上の2件。次に新規諮問といたしま
   して、「5GHz帯の周波数を利用する広帯域移動アクセスシステムの技術
   的条件」、「PHSの高度利用の促進に資する技術の導入方策」、「高度道
   路交通システム(ITS)における情報通信システムの在り方」、「有線テ
   レビジョン放送事業用無線局の技術的条件」、以上4件、計6件について審
   議を予定しております。
    次に配付資料の確認をいたします。お配りしております資料は、上から順
   に、議事次第、次に本日の説明資料でございますが、資料106−1、FM
   放送置局技術委員会報告概要、資料106−2、委員会報告、資料106−
   3、参考資料、資料106−4、答申書(案)でございます。次に資料10
   6−5、標準電波委員会報告概要、資料106−6、委員会報告、資料10
   6−7、答申書(案)でございます。次に新規諮問の関係でございますが、
   資料106−8、諮問第99号諮問書、資料106−9、委員会の設置につ
   いて、資料106−10、委員会の委員長及び所属委員、専門委員の指名、
   資料106−11、諮問第100号諮問書、資料106−12、委員会の設
   置について、資料106−13、委員会の委員長及び所属委員、専門委員の
   指名、資料106−14、諮問第101号諮問書、資料106−15、委員
   会の設置について、資料106−16、委員会の委員長及び所属委員、専門
   委員の指名、資料106−17、諮問第102号諮問書、資料106−1 
   8、委員会の設置について、資料106−19、委員会の委員長及び所属委
   員、専門委員の指名、資料106−20、委員長の変更について、以上でご
   ざいます。
    大変量が多くなってございますが、配付資料で漏れているものはございま
   せんでしょうか。
    よろしければ、早速ですが、西澤会長、よろしくお願いいたします。

2 議事

  ○西澤会長 それでは、議事に入らせていただきます。
   前回会合の議事録案が事務局から示されております。後でご覧いただきまし
  て、ご意見などございましたら、今週中に事務局までご連絡をお願いいたしま
  す。その後、公開ということにさせていただきたいと思います。

(1) 答申
  「FM放送局の置局に関する技術的条件」(諮問第92号)

  ○西澤会長 それでは、議事の(1)答申、「FM放送局の置局に関する技術
   的条件」の審議に入らせていただきます。
    最初に、FM放送局置局技術委員会の委員長をお願いしております中川専
   門委員から、FM放送置局技術委員会での検討結果について、ご報告をいた
   だきたいと思います。
    中川専門委員、よろしくお願いいたします。
  ○中川専門委員 報告させていただきます。資料の方は、先ほどご説明があり
   ましたように、106−1から106−2、106−3が非常に参考資料と
   して分厚いんでございますけれども、106−4ということになっておりま
   す。それでは、報告概要をもとにご説明させていただきたいと思います。
    まず、1ページ目でございますけれども、FM放送置局技術委員会報告概
   要として、1として審議事項がございます。
    委員会の構成は別表のとおりでございまして、5ページ、それから、次の
   6ページということでございます。特に6ページの分科会には非常に多数の
   方に参加していただきまして、また、FM実用化から30年経過しておりま
   して、今回技術的条件を見直すということでございます。大変多くの方に非
   常に多くの回数をかけて検討していただきました。
    3番目に、審議の背景でございます。FM放送は実用化より約30年経過
   しております。その30年間には大きな社会的な環境の変化、また技術的な
   変化がございましたが、その30年の中で、FM放送局を置局する際の技術
   的条件は余り変わっていないため、見直しの必要があるということで、検討
   した結果でございます。
    それで、特にそういう環境の変化に対応しながら、今後のFM放送局の置
   局動向を踏まえて、周波数を有効に利用していこうということ、利用効率を
   さらに高めること、が必要になってまいりました。
    1番目として、30年を経て、メディアとしてはFMは非常にポピュラー
   な、皆さんどこでも受信のできる成熟メディアになってまいりました。例え
   ば、普通のFM放送局として、NHKの総合放送、それから、放送大学学園
   による大学教育放送、こういう新しいメディアも発達してまいりました。そ
   れから、一般放送事業者による県域放送、外国語放送も出てまいりました。
   また、少ないパワーで、エリアとしては狭いんでございますけれども、コミ
   ュニティ放送、それから、一時的なイベントだけに使われるイベント放送に
   及ぶような多様な放送が実施されて、局数についても合計800局、これは
   中継局を含んでおりますけれども、800局以上に達するという現状がござ
   いまして、国民生活に欠かせない基幹的な放送メディアに育っております。
    2番目に、近年では、新たな放送形態としてFM放送に文字多重を入れ込
   む、「見えるラジオ」という形も出てまいりました。
    3番目に、FM放送の受信環境もこの30年間に非常に発達、変化を遂げ
   ております。30年前といいますと、余りモータライゼーションが発達して
   おらず車で移動する人も少なかったということでございますが、この30年
   間には、FM放送を車の中で聞くのは当たり前になっております。また、特
   に受信機の発達は、半導体技術の進歩によって小型化されております。価格
   が安くなって、操作性能も大幅に向上している。さらに、ステレオセット。
   当初は、ステレオセットのチューナーによる固定受信が中心でございました
   けれども、現在はポータブルなラジカセ、カーラジオ等による携帯・移動受
   信を中心とする受信形態に変化してございます。こういう技術的環境、社会
   環境が大幅に変化しています。
    4番目に、こういうFM放送の関心の高まりを背景に、難視聴地域の解消
   等を目的とした県域放送の中継局の新設や地域のニーズに応えるためのコミ
   ュニティ放送局の急増、コミュニティ放送はそんなに古くはございませんけ
   れども、100局ぐらいということで全国で非常に増えております。そうい
   うコミュニティ放送も含めて、周波数の事情は非常に厳しくなっておりまし
   て、特に東京23区及びその周辺については既に飽和状態に達していると言
   われております。
    5番目に、FM放送局の置局に関する技術的条件については、電波技術審
   議会、現在の電気通信技術審議会の前身でございますけれども、昭和36年
   度から38年度までの審議結果による答申をもとに作成されています。30
   年以上基本的にそのまま使用されている状態でございます。
    これが審議の背景でございます。
    審議経過としては、平成9年6月より平成10年4月まで、約1年弱とい
   う間、委員会は計5回、分科会の方は計8回開催してございます。
    5番目に審議概要でございます。FM放送の現状を把握して、現行の技術
   的条件における受信関係項目及び送信・伝搬関係項目を見直すため、次の3
   項目に分けて調査を行っております。
    1番目として、FM放送の現状でございます。FM放送単独ということで
   はなくて、例えば、ケーブルテレビまで調査を広げております。例えば、 
   ケーブルテレビでは、FM放送の電波をとらえて、その地区にサービスをし
   ているというのが現状でございます。
    2番目、受信関係。これは、先ほども言いましたように、受信機が非常に
   発達しておりまして、いろいろなパターンが出てきてございますので、その
   調査もしております。それから、FM放送評価用の受信機及び受信空中線を
   考えていこうと、その調査をしております。あとは、FM放送のみならず、
   FM放送の電波がテレビに及ぼす影響というものも考えなければならないの
   で、テレビ受像機性能調査ということも行っております。
    3番目に、送信・伝搬関係として、アの送信・中継装置がありますが、こ
   の中で、放送波を受信して、それをまた中継に用いる装置、それから、送信
   空中線の偏波、水平偏波、垂直偏波、円偏波等、それから、俯角、アンテナ
   から輻射するチルト、そういうものも調査しております。それから、イの電
   界強度の測定方法及び計算方法、それから、ウの都市から人工的に出される
   ような都市雑音。エとしてFMの同期放送。オとして干渉検討の方法。以上
   のような調査を実施いたしました。
    6番目、審議結果についてでございますが、1の基本的考え方として、以
   上の調査を踏まえまして技術的条件を見直すため、周波数の効率的利用方法
   を推進するとともに、FM放送の利便性の向上を図ることができるよう、技
   術的条件の見直しが及ぼす影響に関する以下の点に留意いたしました。
    アとして新たな技術的条件に適応するための既設局の設備等の変更につい
   ては、(ア)、既設局の現行の放送区域内の受信状況を悪化させることがな
   いようにする。(イ)、既設局の現行の放送区域内の受信状況を改善するた
   めのものであって、現行の放送区域外の受信状況を改善することが、ここで
   の目的ではない。(ウ)、他の既設局に与える影響を考慮し、必要最小限の
   変更にとどめる、ということでございます。
    それから、イとして、新たな技術的条件に適応することが既設局に与える
   影響等に配慮し、既設局の設備及び新設局の設備への適用時期について十分
   考慮する、ということでございます。
    それから、2番目に主な技術的条件でございます。
    アとして、FM放送評価用の受信機及び受信空中線の規格でございます。
   先ほども言いましたけれども、30年間に固定の受信機、アンテナはもちろ
   ん固定という形の受信機から、携帯・移動というふうになってまいりまし 
   て、ここでは代表的なものを取り上げて、ラジカセ、並びに最も普及してい
   る受信機一体型空中線を想定し、7ページの別紙1のとおり変更することが
   望ましいといたしました。FM放送評価用の受信機及び受信空中線の新規格
   として、(1)として受信機、(2)として受信空中線がございます。
    次に、イとして、受信形態。置局に関する検討を行う際の受信形態は、先
   ほども言っておりますように、移動受信を中心とする受信形態の変化に踏ま
   え、FM放送評価用の受信空中線を屋外の地上高2mの位置に設置し、FM
   放送評価用の受信機で受信する形態を想定することが望ましいとしておりま
   す。これは、従来、屋外は4mということでございましたが、これを2mの
   高さにしてございます。
    次に、ウとして、計算による電界強度の求め方でございますが、従来の 
   「放送区域等を計算する電界強度に基づいて定める場合における当該電界強
   度の算出の方法」というのは、グラフを参照して計算してきたということで
   ございますけれども、コンピュータ時代に適合しないということで、数値表
   に変更すべきであるということが述べられています。
    エとして、潜在電界強度の測定でございますが、周波数の有効利用を促進
   し、測定結果の信頼性を向上させるため、潜在電界強度測定方法の標準化に
   向けた必須項目を、8ページの別紙2のとおりにすべきであるといたしまし
   た。必須項目として、1から8までリストアップしてございます。測定器の
   選択度特性、検波方式及び外部出力等の技術的諸元、あと、そこに出ている
   8番は、標準方法以外の方法により測定した場合の取扱いという8つの項目
   でございます。
    次に、3ページに戻りますが、オの送信空中線の偏波面。今回、新しい条
   件として、FM放送評価用の受信空中線の新規格について偏波面を考慮しな
   いという方向になっております。これは、先ほどもご説明致しましたよう 
   に、技術的な発達によって、最近はポータブルな受信機が主流になってきた
   ことから、水平偏波というのは非常に少なくなって、むしろ垂直偏波に近い
   であろうということで、偏波の重要性というのは余りなくなってきたという
   ことでございます。それについては、送信側についてもそれに対して適用さ
   せるようにしようということでございます。
    カ、送信空中線の俯角。これは、アンテナを下に引くということの角度で
   ございますけれども、多段空中線の使用などにより俯角を調整できる場合な
   ど、放送区域外に必要以上の電波を発射しないための措置を講ずるべきであ
   るということになります。
    最後の4ページ目でございます。キでございますけれども、送信場所の制
   限の緩和。送信空中線の設置場所の制限を緩和するため、放送局の開設の根
   本的基準第7条第1項第2号による送信空中線を設置する場合については、
   同一場所に設置するようにということでございましたが、他の場所に設置し
   た方が、周波数の有効利用をさらに促進すると認められる場合には、他の場
   所にも設置できるようにということでございます。
    ク、送信規模の上限の設定。送信規模について、関係者の間で十分な理解
   が得られてございませんで、ここで送信規模が空中線電力、送信空中線の利
   得、設置の高さ、この3要素になるということを確認する。それから、一定
   の上限を設定することにより必要以上の電波を発射しないようにすることが
   望ましいとしております。
    ケとして、放送波中継方式の制限でございます。中継局への番組中継回線
   として放送波を用いる方式、これを放送波中継方式と言っております。これ
   は非常に経済的な中継方式でございますけれども、ある面で周波数有効利用
   の低下につながります。そのために、放送波中継方式は、他局の置局が著し
   く困難になる場合もあります。他の方法により周波数の有効利用を促進でき
   るものと認められる場合には、原則として使用しないことが望ましい。ただ
   し、中継局の受信設備に干渉除去のための措置を施すことにより他局の置局
   が可能となる場合は、この限りではないとしております。
    コ、放送区域を定めるための各地域別電界強度。「超短波放送を行う放送
   局の地上波電界強度の値」について、これは昭和43年でございますけれど
   も、昭和43年から世帯数の変化や行政区域の変更等がございまして、この
   電界強度の値を変更することが望ましいわけであります。世帯数の変化によ
   って、かなり都市雑音の値なども変わってきてございます。
    サとして、FM同期放送。これは、先ほどの放送波中継の一つでございま
   すけれども、この場合は、同期をすることによって、同じ周波数を使えると
   いうことで、周波数有効利用のためには大変好ましい方法であって、その場
   合に、その搬送波周波数の差及び最大周波数偏移の差が、それぞれ2Hz及
   び1kHzを超えないこととすべきであるとしてございます。
    シ、干渉検討の方法でございますが、以上の結果を考慮し、置局に関する
   検討を行う際の干渉検討の方法は、別紙3に基づき策定することが望ましい
   としております。別紙3は9ページから11ページにございます。
    以上で、FM放送置局技術委員会報告をさせていただきました。
  ○西澤会長 どうもありがとうございました。ただいまのご報告につきまし 
   て、ご審議をお願いいたします。
  ○安田委員 直接の関連した問題ではないんですが、ちょっと教えていただき
   たいんです。この中に「放送区域」という言葉がよく出てきますね。それ 
   は、行政上の必要とか、あるいは、商業上といいますか、そういうことで、
   あらかじめこれだけの地域で放送するというのを決めて、それを満たすよう
   な電界強度を出せるような送信電力なり何なりを出すのか。それとも、先に
   送信電力の制限が何かあって、それによって自動的に放送区域というのが決
   まるのか。ちょっとその辺のところはどうなっているのか、教えていただけ
   ないでしょうか。
  ○中川専門委員 「放送区域」というのは、かなり技術的な区域だと思ってお
   りますけれども、事務局の方から説明していただいた方が正確だと思います
   ので、よろしくお願いします。
  ○小林放送技術政策課長 放送技術政策課長の小林でございます。
   資料106−2の報告書の中に少し記載がございまして、これの6ページを
   ご覧いただきたいと思います。エのところに、『「放送区域」とは、放送局
   の開設の根本的基準第2条第11号で、』ということで記載がございますけ
   れども、基本的には、4行目にありますように、『電界強度が郵政大臣が告
   示する値以上である区域をいう』ということで、技術的に告示しておりま 
   す。例えば0.25mV/m以上の電界強度の地域をいうと、純粋に、技術
   的に定まってくる地域でございます。このほかに、放送局の免許の際に、放
   送対象地域という概念がございます。それは、県域の放送を行う局を、私ど
   もでは「県域FM局」とか言っておりますが、その場合、放送のサービスを
   行う県域、県境の中、それが放送対象地域という概念です。サービスの面か
   らとらえた地域の概念と、単純に電界強度の値から決まってきます放送区域
   という概念、2つの概念をもって監理をしている状況にあります。
  ○安田委員 そうすると、ちょっと関連して、いまのお話ですと、放送対象地
   域が必要に応じて決められて、それをきれいに覆うように放送区域を決めて
   いくということでよろしゅうございますか。
  ○小林放送技術政策課長 原則そういうことでございますが、地形等の制限が
   あって、必ずしもそのとおりにいかない状況も生じている状況にあります。
  ○西澤会長 有効利用ということで言えば、マージンが減ってくるというのは
   当然だろうと思うんですが、品位が低下するというところは出ているんでし
   ょうか。
  ○中川専門委員 この見直しによってでございますか。
  ○西澤会長 要するに、利用度を上げるわけですね。
  ○中川専門委員 そういうことでございます。
  ○西澤会長 そうなったときに、マージンが減るのは問題ないだろうかという
   ことです。
  ○中川専門委員 この精神としては、区域内の品質はキープすると。区域外 
   に、できるだけ電波を出さないようにする。その方向で技術的条件を見直し
   たと。そういうことでございます。
  ○西澤会長 つまり、よその放送が聞こえなくなるということですね。
  ○中川専門委員 それは、区域外はしようがないと。
  ○西澤会長 しょうがないということですね。それはマージンと考えればいい
   わけですね。
  ○中川専門委員 はい。
  ○西澤会長 ほかに何かございますでしょうか。
   それでは、他にご意見、ご質問はないようでございますので、FM放送置局
   技術委員会報告を了承することにいたしまして、資料106−4に示してお
   ります答申書(案)にありますように、諮問第92号に対する答申としたい
   と思いますが、ご異議ございませんでしょうか。
    (「異議なし」の声あり)
  ○西澤会長 どうもありがとうございます。それでは、本件を答申することに
   させていただきます。
    中川専門委員、FM放送置局技術委員会での検討と取りまとめに関しまし
   て、大変ご努力をいただきまして、どうもありがとうございました。
    ただいまの答申に関しまして、答申後の行政上の措置につきまして、省側
   からご説明を伺えるということでございますので、よろしくお願いいたしま
   す。
  ○品川放送行政局長 このたびは、「FM放送局の置局に関する技術的条件」
   につきまして、ご答申、まことにありがとうございました。
    顧みますと、このFM放送も、1969年に始まりまして30年を経過す
   るわけでございまして、この間、超短波放送につきましては、いろいろな形
   の放送なり、技術発展もあったわけでございます。とりわけFM放送は、固
   定受信というよりは携帯型受信という形が中心になっておりまして、この点
   は、置局基準を考える上で大変大きな変化かと存じます。
    したがいまして、今回、技術的条件につきましてご答申をいただきまし 
   て、早速、これを受けた関係省令の改正に向けまして、迅速に取り運びたい
   と存じております。現在、放送全体のデジタル化ということでいろいろ議論
   を進めておりますけれども、このFM放送につきましても、そうした中で今
   回の答申を踏まえまして、適切な関係法令、省令に努めたいと存じます。ま
   ことにありがとうございました。
  ○西澤会長 どうもありがとうございました。

(2) 答申
  「標準電波の高度利用のための技術的諸方策」(諮問第96号)

  ○西澤会長 それでは、次に議事の(2)答申、「標準電波の高度利用のため
   の技術的諸方策」の審議に入らせていただきます。
    最初に、標準電波委員会の委員長をお願いしております安藤専門委員か 
   ら、標準電波委員会での検討結果について、ご報告をお願いいたしたいと思
   います。
    安藤先生、よろしくお願いいたします。
  ○安藤専門委員 安藤でございます。標準電波委員会の報告をさせていただき
   ます。諮問第96号「標準電波の高度利用のための技術的諸方策」につい 
   て、審議を行いました。
    この委員会での審議項目は、現在使われております標準電波の現状の動 
   向、あるいは外国の動向を調査すること、それから、標準電波の高度化、あ
   るべき姿を探ること、そして、高度利用のための諸方策を提案することであ
   ります。
    委員会、分科会は、報告書の別表1、2にあるような構成で審議を行いま
   した。
    まず、審議の背景について述べさせていただきます。「郵政省は、標準時
   及び周波数標準の維持を行っており、」ということで、昭和15年から、短
   波帯の標準電波によって、周波数、それから、時間の標準を供給しておりま
   す。これとはまた別に、長波帯を使って、40kHzですけれども、昭和5
   2年から、24時間のサービスとして、こちらを使う実験も並行して行って
   おります。これらを使っている中で、短波帯の電波が認められた標準電波で
   はあるんですけれども、西日本において、外国、近隣諸国との混信が非常に
   多く、また、本質的に電波の伝搬の特性上、精度が不十分であるという問題
   がありました。一方、これとは別に、実験局として運用しております長波 
   帯、40kHzという電波ですけれども、この電波は短波帯の電波に比べ精
   度が1,000倍から、あるいは1万倍程度向上し、その利用もより容易で
   あるということが実験的に確認されております。それで、そのような背景 
   で、今後、標準電波の高度化及び安定的供給をしていく上で、運用をどのよ
   うな形にすればいいかということを検討いたしました。このような背景で、
   技術的諸方策について審議を行いました。
    審議の経過でありますが、報告書の方の一番最初のページ、2枚をめくり
   ますと書いてありますが、2回の委員会を行いました。この間で関係者から
   意見聴取の機会も設けましたが、特段の意見はありませんでした。そのほか
   に、分科会を構成しまして、計5回の分科会を開きまして、具体的には、こ
   の審議と並行しまして行われている測定実験の結果の検討とか、数値的なシ
   ミュレーションの検討も踏まえて、参考の情報を全部まとめていただきまし
   た。
    それでは、答申の概要について説明させていただきます。
    標準電波の現状ということで、現在は、茨城県名崎の送信所から、短波帯
   が正式にオーソライズされた標準電波ですけれども、これが送信されており
   ます。その諸元が、この概要の方の2ページの下にあります表1に書いてあ
   るものです。JJYという呼出符号で親しまれている電波であります。これ
   は精度が、先ほど述べましたように、大体10のマイナス8乗程度の精度 
   で、現在求められる精度から見ると若干不足があるという状況です。これに
   加えて、長波帯ということで、同じ場所から、やはり表1にありますような
   40kHzの長波帯の電波が発射されております。これは、実験局というこ
   とですが、実際には多くの方が利用しているという状況です。
    これらの電波は、具体的には周波数標準ということで、水晶振動子の安定
   度の計測とか、周波数較正とか、測定器の較正等に使われております。それ
   から、時刻標準としては、時報サービス用の基準、あるいは、既に日本でも
   かなり使用されていますけれども、電波時計の基準の信号等に使用されてお
   ります。
    これが、日本における標準電波の使用の現状ですけれども、国際的にはど
   ういう状況かといいますと、ほとんどのエリアで短波帯、短波帯といいます
   のは、先ほど言い忘れましたが、日本では、5、8、10MHzです。アジ
   アでも5MHzとか10MHzを使っておりますが、ここら辺の周波数から
   40kHz、あるいは60kHzといった長波帯へ移行するというような状
   況であります。
    この内容は、報告書の11ページに詳しく記載してあります。例えば、 
   ヨーロッパでは、ドイツ、イギリス、スイス、チェコなどによって長波帯が
   標準電波として既に使われています。短波帯は、例えば、3局を除いて停止
   されたというような状況で、世界の状況も短波帯から長波帯へ移っている。
   その理由は、短波というのが、電離層を使って電波を長距離飛ばしますの 
   で、非常に気候とか時間の影響によって精度が落ちる。長波帯はそれに比べ
   まして、飛ぶ距離は短いんですけれども、短波帯に比べ精度が10の3乗か
   ら10の4乗ぐらい高いということで、先進国は主に長波帯の方に力を注い
   でいる状況です。それに加えて、欧州では、長波の標準電波にタイムコード
   という付加情報を加えまして、より高度利用を図っている状況であります。
   国際機関であるITU−Rの方でも、短波に関しては非常に混信の問題が、
   状況が厳しいというような情報を発信しておりまして、それに加えて、タイ
   ムコードを有効に付加して、有効活用すべきだというような勧告を出してい
   る状況であります。
    次に、3ページの方に移りますが、そういうような国際的な背景も踏まえ
   まして、高度利用のための諸方策ということで、まず長波帯への移行を提案
   しております。この下の表2に要求精度と書いてありますが、現在、測定器
   とか一般の使用に対しても、時刻の精度として10ms程度、周波数精度と
   して10のマイナス10乗から10のマイナス12乗程度の周波数の精度が
   要求されていますが、可能なものとしては、先ほど言いました理由により、
   短波帯は時刻精度はまあまあとれるんですが、周波数精度で10の2乗から
   4乗ぐらい不足しております。長波帯をうまく使えば、これを十分にカバー
   できると考えられ、約10の3乗から4乗ぐらいの精度が、時刻、周波数と
   もに向上するという状況であります。
    現状の問題は、日本では、この長波帯がまだ実験局ということで正式な認
   可を受けていないということ。送信出力も不十分で、日本全国をカバーする
   までに至っていないということがあります。そこらに対して議論を重ねたわ
   けであります。
    現在使っている40kHzを継承した形で、これを実験局からこういうよ
   うな標準電波にしていくのがいいだろうというのが、我々の検討した結果の
   内容であります。長波帯への移行に際しては、従来長く使われていました短
   波帯の利用者に対して代替手段を提供する必要があります。それと、これを
   代替するために、また移行期間を設ける必要があります。報告書の32ペー
   ジに表4−3として、これまで長く使われてきました短波帯で提供していた
   それぞれのサービスが、このような周波数を長波に移行するに伴って、どう
   いう手段で代替できるかという一覧の表を示してあります。この表をご覧に
   なってわかりますように、基本的には、移行期間を設けさえすれば、特段の
   支障はなく移行が可能であるというのが結論であります。
    高度利用するために必要なものとして、2番目に受信の高度化ということ
   で、これは現状の標準的な受信装置の仕様を表3に示してあります。現状考
   えられる技術を駆使しますと、さらに10倍ぐらい感度をよくすることは可
   能だという検討も結果として出てきております。
    それから、長波を有効活用する場合、その中にタイムコードを付加して、
   いろいろ使えるようにするんですけれども、その中で、どういうような情報
   を含んだらいいか、どういう情報を削除したらいいかという検討を行いまし
   た。これは報告書の22ページの方に詳細な検討結果を示してあります。結
   果としまして、現状は、時、分、通算日というものを付加しているんですけ
   れども、これに加えて、年、曜日、うるう秒、予備ビット、それから、特に
   重要な時と分に対応するパリティを加える。それから、電波をとめるときの
   情報、事前に流す情報を加える。これを追加するのに対して、現状、国際的
   にも必要度の下がっている世界時補正値という値、これを削除するというの
   が提案であります。
    4番目、送信設備の高度化ということで、先ほど申しましたように、長波
   帯はメリットがたくさんあるんですが、現状の送信の設備では、名崎の送信
   所では、日本全国をカバーはできません。大体1,000kmぐらいのとこ
   ろで若干問題が生じてくるというところです。それで、これの出力を現状の
   10kWを50kWに上げて、アンテナの効率を2倍に上げる。結果とし 
   て、実効輻射電力を10倍に増強して送信するということを書いてありま 
   す。報告書の33ページに、福島県に現在建設中の長波の送信局の概要を述
   べてあります。このようなものを標準電波の送信局として使えば、ほぼ日本
   全国を覆うことが可能であると。
    それから、電波の中身ですが、周波数のキャリブレーション等を考えます
   と、現在の断続波から10%程度の残留搬送波方式に改善することが適当で
   あるという内容になっております。
    この報告書の概要の最後のページには、標準電波、先ほど述べてきました
   ような内容の施策によって、これは福島の大鷹鳥谷山(おおたかどややま)
   というところに置きました新しい送信局から、ほぼここに書いてあるような
   地域全体を覆って、長波での標準の供給が可能になる。精度の向上、タイム
   コードが高度化される。エリアが広がる。これによって利用がますます広が
   るというのが、我々の見通しであります。
    以上述べましたような形で、骨子となりますのは、長波へ移行して、短波
   を巻き取ってしまうという形。それから、中身としては、タイムコードに、
   先ほど述べました項目を追加していくということをまとめて述べておりま 
   す。
    説明は以上です。
  ○西澤会長 どうもありがとうございました。ただいまのご説明に関しまし 
   て、ご審議をお願いいたします。
    (暫時)
  ○西澤会長 全く見当違いで、素人の質問なんですが、電波の伝搬遅れがあり
   ますね。ですから、それはどういうふうに補正していらっしゃるんですか。
   そのままなんですか。
  ○安藤専門委員 補正自身は、私はわからないんですが、例えば、電離層とか
   何かでの影響を受けて、較正した後の位相の飛び等が出てくるのが、先ほど
   言いました精度劣化、短波の場合には、電波を出したときの精度に比べまし
   て4けたぐらい、例えば、遠く離れて受けた電波から見ると、4けたぐらい
   精度がばらついているという状況があるのは、その位相の飛びが一番影響す
   る。具体的に、そこの基準をどこでとるかという点がわからないんですけれ
   ども。
  ○西澤会長 では、長波の方が、その飛びなんかは出ないんですね。だから、
   真ん中だけはいいけど、それから外れるにつれて、だんだん情報が遅れてく
   るわけですね。
  ○箱石通信総合研究所次長 短波の場合、周波数の依存性もありますから、か
   えって近いところがだめとか、そういうことが起こることもあります。
  ○西澤会長 見当違いの質問で申しわけありません。
   ほかにございませんでしょうか。
  ○安田委員 長波の方が周波数が低いわけでありますから、単純に考えると精
   度がとりにくい面もあると思うんですね。その辺のところが1,000倍も
   高いというのを、もうちょっと素人にわかるように説明していただくとあり
   がたいんですが。
  ○稲田移動通信課長 移動通信課長の稲田ですけれども、短波帯については、
   電離層伝搬ということで、伝搬経路がいろいろと違っておりますので、そう
   いった意味で精度に「ゆらぎ」があるんですけれども、長波については、地
   表面に沿って伝搬しますので、それが少ないということで、出したときの精
   度がそのまま保ちやすいという、そういったことで精度が保たれるものでご
   ざいます。
  ○安田委員 相当長い時間、受信側では周波数をカウントするんですか。
  ○稲田移動通信課長 どの程度の時間、カウントするのかは、私も覚えており
   ませんけれども、受信側では一定時間それをカウントして、その中で、要は
   平均をとることで、誤差を防ぐような仕組みになっているところでございま
   す。
  ○安田委員 そうすると、40kHzでも、相当たくさんの波が入る程度の十
   分な時間をとっているということですね。そうでないと10のマイナス10
   乗なんていう精度を、40kHzというようなところで、実現するためには
   物すごい細かい位相まで見ないと無理だろうという感じがするものだから。
  ○安藤専門委員 先ほどの一番上の精度をとるためには、何日とか・・・1日
   だったかと思いますけれども、資料には、そういう平均が必要だと。ただ 
   し、精度を少し落として、もっと短くする手法がたくさんあるように聞いて
   おります。
  ○西澤会長 ほかにございませんでしょうか。
    それでは、どうもありがとうございました。いろいろ今後の問題もあるよ
   うではございますが、標準電波委員会報告を了承することにさせていただき
   まして、資料106−7に示す答申書(案)にありますように、諮問第96
   号に対する答申としたいと思います。よろしゅうございましょうか。
    (「異議なし」の声あり)
  ○西澤会長 どうもありがとうございました。本件を答申することにさせてい
   ただきます。
    専門委員の安藤先生、標準電波委員会での検討と取りまとめ、大変ありが
   とうございました。
    ただいまの答申に関しまして、答申後の行政上の措置につきまして、省側
   から、これもご説明をいただけるということでございますので、よろしくお
   願いいたします。
  ○谷電気通信局長 電気通信局の谷でございます。ただいまは、「標準電波の
   高度利用のための技術的諸方策」として、長波帯への移行、タイムコードの
   高度化等について、ご答申をいただきまして、まことにありがとうございま
   した。
    標準電波は、日本標準時を全国に通報する手段といたしまして、また周波
   数標準として広く利用されておりますが、現在の標準電波は精度が低いなど
   不十分な点がありますことから、標準電波の高度利用に向けた技術的諸方策
   についてご審議をお願いしていたところでございます。
    郵政省といたしましては、ただいまちょうだいいたしましたご答申に基づ
   きまして、新たな標準電波施設を整備していく所存でございます。これによ
   りまして、今後、電波時計の普及、パソコン等の家電製品への応用など、標
   準電波が広く国民に利用されていくものと考えております。
    委員の皆様、専門委員の皆様におかれましては、大変ご多忙中にもかかわ
   りませず、ご熱心にご審議をいただき、ご答申をお取りまとめいただきまし
   て、そのご尽力に対しまして、改めて厚くお礼を申し上げる次第でございま
   す。どうもありがとうございました。

(3) 新規諮問
  「5GHz帯の周波数を利用する広帯域移動アクセスシステムの技術的条件」
 (諮問第99号)

  ○西澤会長 それでは、(3)の項に入ります。新規諮問、「5GHz帯の周
   波数を利用する広帯域移動アクセスシステムの技術的条件」でございます。
    まず、省側から、これについてご説明をお願いしたいと思います。
  ○稲田移動通信課長 移動通信課長の稲田です。資料106−8に基づきまし
   て、ご説明申し上げたいと思います。
    諮問第99号でございますけれども、「5GHz帯の周波数を利用する広
   帯域移動アクセスシステムの技術的条件」ということでございます。4ペー
   ジを開けていただければと思いますけれども、4ページに、「5GHz帯を
   使用する広帯域移動アクセスシステムの利用イメージ」ということで図がご
   ざいます。オフィスでは多様な用途に活用できるような無線アクセスネット
   ワークということで、パソコンを接続するようなイメージ、無線LANに近
   いようなイメージを考えております。また、家庭では、パソコンを使った 
   り、電話系をつないだりするような、いわゆる最近のはやりの言葉で言いま
   すと、無線ホームリンクというような言葉を言っておりますけれども、そう
   いった用途も考えられるということでございます。あと、構内網を通して、
   専用線、公衆回線に出ていきまして、こういったものを別の事業所、例え 
   ば、これは本社から支社に行ったときに、同じようなシステムが提供されて
   いると、そこでもパソコンを使えるという、そういったイメージでございま
   す。また、昼休み、オフィスの周りにうろうろしているときも、電波が届く
   範囲だったら使えるという、そういったイメージを想定しておりますのが、
   広帯域移動アクセスシステムでございます。
    それで、2ページに戻っていただければと思いますけれども、近年、イン
   ターネット利用等がどんどん進んできておるわけでございますけれども、ど
   うしても配線というものが有線関係では必要でございますので、例えば、レ
   イアウト変更するたびに配線工事をしなければいけない。あと、パソコンの
   置き場所についても、線があるところにしか置けないという、そういったと
   ころが課題になってきているわけでございますけれども、こういったものに
   対応するために、既に2.4GHz帯、これは伝送速度からすると2Mbi
   t/sぐらいの速度を持つ無線LANでございますし、あと、19GHz帯
   を使用する無線LAN、これは大体伝送速度が10Mbit/sぐらいのも
   のでございますけれども、こういったものによりまして、ワイヤレスアクセ
   ス環境というものが実現されつつあるわけでございます。こういったものに
   加えまして、現在、欧米におきましては、5GHzの周波数を使ったような
   システムについても検討が進められているところでございます。
    これにつきましては、詳しくは5ページ以降にまとめてございますけれど
   も、アメリカ、ヨーロッパでは5GHz帯の周波数を使いまして、アメリカ
   の方ではIEEE(米国電気電子技術者協会)を中心に標準化を検討してお
   りますし、欧州の方では、欧州電気通信標準化機構(ETSI)というとこ
   ろで、HIPERLANということで標準化を検討しているところでござい
   ます。
    そういった検討の中には、もちろん日本企業も入っておりまして、こうい
   ったものの進展に伴いまして、我が国においてもこういったシステムという
   ものを導入してほしいというような要望が高まっているところでございま 
   す。
    我が国で、こういったシステムを導入するに当たって一番の問題点という
   のは、周波数をどうするかという話なんですけれども、実はこの5GHz帯
   の周波数でございますけれども、さまざまなシステムが使っております。例
   えば、移動衛星サービスでございますけれども、このフィーダリンクの周波
   数にもなっておりますし、そのほかにも気象レーダですとか、飛行機が着陸
   するときに自動的に操縦するような、そういった電波を使ったシステムに利
   用されたり、これから利用するという計画があったりしているところでござ
   いまして、こういったシステムとの周波数共用条件についても明確にするこ
   とが、こういったものを導入する一つの前提になるものでございます。
    そういったことで、こういった5GHz帯の周波数を利用する広帯域移動
   アクセスシステムを導入するために必要な技術的条件、それと周波数の共用
   条件につきまして、電気通信技術審議会の方に審議をお願いしようというも
   のでございます。
    答申を希望する事項としては、2として書いてございますように、5GH
   z帯の周波数を利用する広帯域移動アクセスシステムの無線設備に関する伝
   送方式と一般的条件、それから、送信設備及び受信設備の技術的条件、それ
   と周波数の共用条件、こういったものについて答申を希望しておりまして、
   答申を希望する時期としては、平成11年3月くらいをお願いしたいと思っ
   ているところでございます。
    また、答申を受けた場合の行政上の措置でございますけれども、こういっ
   たシステムを商用化するために必要な関係省令等の整備に使っていきたいと
   いうふうに考えているところでございます。
    以上でございます。
  ○西澤会長 どうもありがとうございました。ただいまのご説明に関しまし 
   て、ご意見、ご質問をお願いいたします。
    (暫時)
  ○西澤会長 ございませんでしょうか。
    それでは、ご質問はないようでございますので、省側からのご説明を了承
   いたしまして、本件諮問をお受けすることにさせていただきたいと思いま 
   す。
    この諮問に対する審議体制につきましては、お手元にお配りしております
   資料106−9に示しましたとおり、広帯域移動アクセスシステム委員会を
   設置することとしたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
    (「異議なし」の声あり)
  ○西澤会長 それでは、そうさせていただきたいと思います。
    本件の調査、審議に当たっては、専門的な事項について調査をすることが
   必要と考えられますので、さらに分科会などを置くことができることとした
   いと思います。これもよろしゅうございましょうか。
    (「異議なし」の声あり)
  ○西澤会長 それでは、ご異議ないようでございますので、広帯域移動アクセ
   スシステム委員会を設置することとさせていただきます。
    ただいま設置いたしました委員会の委員長及び所属委員、専門委員のご指
   名につきましては、既にお手元に配付してございますが、資料106−10
   のとおり、ご承知おきお願いをいたします。

(4) 新規諮問
  「PHSの高度利用の促進に資する技術の導入方策」(諮問第100号)

  ○西澤会長 それでは、次、新規諮問でございますが、議事の(4)として、
   「PHSの高度利用の促進に資する技術の導入方策」でございます。
    これも、省側からご説明をお願いいたします。
  ○稲田移動通信課長 引き続き、移動通信課長の稲田からご説明申し上げま 
   す。
    資料106−11が、「PHSの高度利用の促進に資する技術の導入方 
   策」の諮問書でございます。
    1枚めくっていただいて、諮問第100号として考えているところでござ
   います。
    それでは、4ページをちょっと開けていただければと思います。4ページ
   にPHS(パーソナル・ハンディーホン・システム)の概要ということでま
   とめさせていただいております。3番目のところの項でございますけれど 
   も、PHSの技術基準につきましては、屋内基地局用の無線設備の技術的条
   件を平成4年6月に答申していただいております。屋外基地局用無線設備に
   つきましては、平成5年4月に答申をしていただいているところでございま
   す。それから、昨年の4月でございますけれども、PHSにつきまして加入
   者がどんどん増えてきまして、周波数がだんだんと不足してきたということ
   で、所要周波数の追加、あるいは公衆用PHSによる自営用の周波数の利 
   用、あるいは周波数有効利用方策、こういったものにつきましても、電気通
   信技術審議会の方から答申をいただいているところでございます。
    そういったことで、PHS加入者としては、今年の3月末現在で約683
   万加入、それから、最近の動向としては、32kbit/sのデータ通信 
   サービスなんかがかなり伸びてきているようなところでございますし、ま 
   た、PHSはエリアが狭いものですから、加入者のいる位置がわかるという
   ことで、位置情報サービスなども提供されているような状況になってきてい
   るところでございます。
    また、海外につきましても、詳しくは7ページでございますけれども、ア
   ジアを中心とする各国でいろいろと導入されているところでございます。海
   外の導入事例につきましては、ワイヤレスローカルループといいます、いわ
   ゆる加入電話の交換機までに張る線を、有線のかわりに無線で構築という方
   法での導入が多いところでございます。
    それでは、2ページに戻っていただければと思いますが、こういったPH
   Sサービスは、より広範囲な地域で利用したいというニーズがございます。
   例えば、PHSは現在都市部を中心にサービスが展開されておりますが、電
   波が届きにくいようなビル内の閉塞地域等でも利用したい、あるいは郊外で
   も利用したいというような要望がございます。また、PHSの導入以降、よ
   り高感度、高性能のアンテナが開発されたり、高性能の送受信設備等が開発
   されているという状況がございますので、こういったものも活用したいとい
   う要望が出されているところでございます。
    それで、8ページの方をちょっと見ていただければと思うんですけれど 
   も、これが今回の諮問で、PHSの高度利用の促進に資する技術として考え
   られる例を挙げたものでございます。1点は、PHSの地域展開の促進とい
   うことで、PHSの基地局の実効輻射電力を向上させるような技術が出てき
   ているわけでございます。これは、よりビームをシャープに絞るというよう
   なことで、遠くまでPHSの電波を届かせるようなアンテナが開発されてお
   りまして、1基地局当たりのカバーエリアの拡大というのが可能になろうか
   と思います。
    また、より高感度なアンテナを端末側に利用いたしますと、端末側の性能
   が向上し、通信が切れにくくなったり通信品質がよくなるなどといったこと
   が見込めるものでございます。
    また、屋内利用につきましては、3番目になりますけれども、窓際に簡易
   型レピータ(中継器)のようなものを置きますと、屋内にISDN回線を張
   らなくても、外からの電波を取り込んで屋内に再発射することで、ビル内で
   もサービス可能になるということで、こういったものを中心として、PHS
   の高度利用について考えようというものでございます。
    2ページ目に戻っていただきまして、答申を希望する事項でございますけ
   れども、1点目として「PHSの高度利用を促進する上で導入すべき技  
   術」、2点目として「PHSの高度利用技術によるシステムの技術的条  
   件」、こういったものをご審議をお願いしたいと思っております。
    答申の時期としましては、今年の9月を希望いたしますが、より早く結論
   が得られるようでしたら、ありがたいというふうに思っているところでござ
   います。
    答申が得られたときの行政上の措置としては、こういったものの技術的条
   件等、関係省令を決めたいと考えております。
    以上でございます。
  ○西澤会長 どうもありがとうございました。ただいまのご説明に関しまし 
   て、ご質問、ご意見をお願いいたします。
    ございませんでしょうか。では、よろしゅうございましょうか。
    それでは、省側からのご説明を了承いたしまして、本件諮問をお受けする
   ことにさせていただきたいと思います。
    この諮問に対する審議体制につきましては、資料106−12に示すとお
   りでございますが、PHSの高度利用促進技術委員会を設置することにさせ
   ていただきたいと思います。よろしゅうございましょうか。
    (「異議なし」の声あり)
  ○西澤会長 それでは、本件の調査、審議に当たりましては、さらに専門的な
   事項について調査をすることが必要と考えられますので、分科会などを置く
   ことができることにしたいと思います。これもお認めいただいて、よろしゅ
   うございましょうか。
    (「異議なし」の声あり)
  ○西澤会長 どうもありがとうございました。それでは、PHS高度利用促進
   技術委員会を設置いたすことにさせていただきます。
    また、設置いたしました委員会の委員長及び所属委員、専門委員の指名に
   つきましては、既にお手元に配付してあります資料106−13のとおりに
   させていただきたいと思っております。ご承知おきいただきたいと思いま 
   す。

(5) 新規諮問
  「高度道路交通システム(ITS)における情報通信システムの在り方」(諮問
 第101号)

  ○西澤会長 では、次に入ります。(5)新規諮問、「高度道路交通システム
   (ITS)における情報通信システムの在り方」についてでございます。
    これも、省側からご説明をお願いいたします。
  ○稲田移動通信課長 それでは、106−14に基づきまして、ご説明申し上
   げます。
    1ページをめくっていただければと思います。諮問第101号として、 
   「高度道路交通システム(ITS:Intelligent Transport Systems)におけ
   る情報通信システムの在り方」ということで諮問させていただきたいという
   ふうに考えております。
    実は、ITSにつきましては、郵政省のほかに、警察庁、通産省、運輸 
   省、建設省の5省庁が協力していろいろなプランをやっております。7ペー
   ジに平成8年7月にまとめましたITSの全体構想がございます。これは、
   今後20年間のITSのマスタープランとしてつくったものでございます 
   が、7ページに概要がございまして、8ページにITSの利用者サービスと
   いたしまして、ナビゲーションシステムの高度化等9項目の開発分野、それ
   から利用者サービスの種類とその主な利用者についてまとめておりまして、
   9ページにそれぞれの分野ごとに、実用化の時期、研究開発等に関する努力
   目標などを定めておるわけでございます。郵政省は、こういった中で情報通
   信技術の開発ですとか、国際標準化というものを担当しておりまして、IT
   Sを推進しているところでございます。
    2ページに戻っていただければと思いますけれども、ITSにつきまして
   は、既に一部のシステムが実用化されているところでございます。例えば、
   VICSと言われております道路交通情報通信システム、こういったものに
   つきましては、現在、東京、埼玉、千葉、神奈川、大阪、愛知、京都、長 
   野、兵庫の9都府県と高速道路でサービスが行われておりまして、VICS
   端末の出荷台数でございますけれども、昨年の12月までの累計で大体36
   万台ぐらい出ているところでございます。大体、昨年の4月から12月に出
   荷されたカーナビゲーションシステムの35%ぐらいが、こういったVIC
   S対応になるくらいにまで普及してきているところでございます。
    また、あと、自動料金収受システム、これは高速道路で車を停めることな
   く、料金の受け渡しができるようなシステムでございますけれども、こうい
   ったものにつきましては、道路公団等を中心に平成11年の春くらいから導
   入予定ということでございまして、実用化が間近に迫っているところでござ
   います。
    こういったITSに使用される情報通信システムでございますけれども、
   現在使われているものだけ挙げましても、電波ビーコンに代表されるような
   狭帯域通信システム、あるいは物流事業者なんかによく使われておりますM
   CAと言われる業務用無線システム、あるいは携帯電話、それから、VIC
   SではFM多重放送技術などが使われているところでございます。
    また、今後につきましても、次世代の携帯電話、これはIMT−2000
   ということで現在検討されております、非常に高速度の伝送ができる次世代
   の携帯電話でございますとか、あるいはワイヤレスカードと言われておりま
   すICカードを無線化したもの、あるいはGPSのようなものが、どんどん
   使われていくようなことが予想されているわけでございます。
    このように、いろいろな情報通信メディアがITSに利用されるというこ
   とがだんだんと明らかになっておりますが、多少こういったものの交通整理
   をする必要があるのではないかということが産業界から出されているところ
   でございます。ITSサービスにどういった電波メディアが使われるのか、
   こういったところを少しビジョンとしてまとめていただきたいといったこと
   でございますので、この中でITSにおける情報通信システムの将来像を明
   らかにするとともに、関連技術の高度化、汎用化、こういったものに対しま
   して技術開発ですとか、標準化の在り方、あるいは、電波メディアの使い分
   けですとか、あるいは、ワイヤレスカードなんかにつきましては、汎用化と
   いうことが言われておりますので、そういった各種システムというものがワ
   イヤレスカードを中心として連動するような、そういった各システム間の連
   携方策、こういったものについてご審議をお願いしたいというふうに考えて
   いるところでございます。
    答申を希望する事項でございますけれども、1点目に、ITSにおける情
   報通信システムの将来像、2点目に、ITS関連情報通信システムの技術開
   発課題、標準化の在り方、こういったものを答申いただければというふうに
   思っております。
    答申を希望する時期としては、平成11年1月でございますけれども、こ
   れにつきましては、ITSにかかわる情報通信技術の開発、あるいは標準化
   に使いたいというふうに思っているわけでございます。今回いただきますご
   答申を、政府全体のITSに関する取り組みの中に反映させるためには、大
   体、政府全体の取り組みのフォローアップというのを3月ぐらいにやってお
   りますので、その前に答申をいただきまして、その中に反映させていきたい
   というふうに考えているところでございます。
    以上でございます。
  ○西澤会長 どうもありがとうございました。ただいまのご説明に関しまし 
   て、ご質問、ご意見をお願いいたします。
    (暫時)
  ○西澤会長 現在、これは海外ではどんな調子なんですか。日本が先行してい
   るか、遅れているんですか。
  ○稲田移動通信課長 日本が先行している部分と遅れている部分がございまし
   て、例えば、日本が一番先行しておりますのは交通管制のようなものです。
   日本の都市というのは、世界の中でも渋滞が一番ひどい部類でございます。
   そういった渋滞をうまくさばいていくためには、やはり、例えば、交通管制
   のシステム、あるいは一般の車に対するナビゲーションシステムに対する情
   報提供、こういったものについては日本の方が進んでいるというふうに認識
   しております。
    ただ、よくこれは言われるんですけれども、自動運転なんかについては、
   アメリカの方が進んでいるのではないかという方がいらっしゃることは認識
   しております。これは、ある方から聞いた話ですが、アメリカというのは、
   トラック運転手が数日間寝ないで運転する必要があるので、そういったこと
   を効率的にやるのには、やっぱりアメリカとしては自動運転が必要なんだけ
   れども、日本は半日で着いてしまうから、そういった必要性がないねという
   ようなことをおっしゃる方もございます。
  ○坂田委員 別紙のグラフが非常に鮮明ではないせいか、展開がかなり、20
   10年とか2015年というのは、非常にずれているような感じがするんだ
   けど、この辺は、ちょっとこの図が悪いからなのかなという感じがするんで
   すが。
    それと、現在、私が聞いている範囲ですと、結構、ゲートの混雑のところ
   がむしろほかの国で進んでいるというふうに聞いている面もありまして、そ
   の辺は、だから、もう少し早まらないのかなという感じがしないでもないと
   いう感じがします。ちょっと図が鮮明でないので、何とも言えないんです 
   が、そのあたりはいかがでしょうか。
  ○稲田移動通信課長 ゲートの関係というのは、多分、高速道路、あるいは有
   料道路の料金収受システムのことではないかと思いますけれども、実は、こ
   れ、日本では高速道路の料金が高いということもございまして、ある意味で
   は、間違いがないような、より優れたシステムというのをつくったというと
   ころがございまして、そういった理由で多少時間がかかった面はあろうかと
   思います。ただ、ヨーロッパ等につきましても、現在、ヨーロッパで統一し
   たシステムにしようということをやっているんですけれども、現在の状態で
   は各国がばらばらのシステムになっておりまして、これを統一したシステム
   にするのは、さらにこれから時間がかかるというようなことを聞いていると
   ころでございます。
  ○西澤会長 それでは、ご質問ございませんでしょうか。
    (暫時)
    どうもありがとうございました。
    それでは、省側からのご説明を了承いたしまして、本件諮問をお受けする
   こととさせていただきたいと思います。
    この諮問に関する審議体制としましては、既にお手元にお配りしてござい
   ます資料106−15に示しましたとおり、ITS情報通信システム委員会
   を設置することとさせていただきたいと思います。よろしゅうございます 
   か。
    (「異議なし」の声あり)
  ○西澤会長 また、本件の調査、審議に当たりましては、専門的な事項につい
   て調査をすることが必要と考えられますので、分科会などを設置させること
   もあわせてお認めいただきたいと思いますが、よろしゅうございましょう 
   か。
    (「異議なし」の声あり)
  ○西澤会長 どうもありがとうございました。それでは、ITS情報通信シス
   テム委員会を設置させていただくことにさせていただきたいと思います。
    ただいま設置いたしました委員会の委員長及び所属委員、専門委員の指名
   につきましては、既にお手元に配付しております資料106−16のとおり
   でございます。ご承知おきいただきたいと思います。

(6) 新規諮問
  「有線テレビジョン放送事業用無線局の技術的条件」(諮問第102号)

  ○西澤会長 それでは、議事の(6)に入らせていただきます。新規諮問、 
   「有線テレビジョン放送事業用無線局の技術的条件」でございます。
    これも、省側からご説明をお願いいたします。
  ○浅見有線放送技術システム室長 有線放送技術システム室長の浅見でござい
   ます。
    諮問第102号「有線テレビジョン放送事業用無線局の技術的条件」でご
   ざいます。
    2ページ目に諮問理由がございますが、ケーブルテレビは、ご存じのとお
   り、地域情報番組の自主放送、それから、地上波テレビの再送信、さらに、
   衛星放送の再送信ということで、放送の多チャンネル化、高度化に非常に貢
   献しておりまして、地域情報化の推進ということで、我々としても非常に期
   待しているメディアでございます。現在、加入者は約500万世帯を超えて
   いるところでございます。
    こういうケーブルテレビがございますが、ケーブルテレビ事業者がケーブ
   ルを敷設する場合、よく問題になりますのは、河川、あるいは鉄道を横断す
   るという場合、なかなか線を引く場所が確保できない、あるいは物理的に確
   保できない、あるいは管理者の同意が得られない、そういう問題がございま
   す。また、都市部では集合住宅が多いわけですが、加入者回線を引くに当た
   りまして、当然、マンションの場合ですと、入居者のある程度の合意がない
   とケーブルの敷設ができない。こういうことで、需要はありますが、なかな
   か、いざ線を引こうとすると障害になるという場合が幾つかございます。
    こういうケースがありまして、地理的な要因でケーブルテレビが敷設でき
   ないという場合、こういうところに無線で送りたいという需要がございま 
   す。3ページ目にイメージの絵がありますが、ケーブルの無線利用イメージ
   ということで、例えば、住宅が点在していて、線を引くにはなかなか費用的
   に、あるいは距離的に大変だとか、それから、真ん中に集合住宅の例がござ
   います。それから、下には河川等の横断ということで、最後の河川等の横断
   というのは、ケーブルの幹線の途中に入れるシステムですので、上2つは直
   接、加入者端まで送るというイメージで、若干イメージは違いますが、基本
   的には、ケーブルシステムの中に無線を入れていくというものでございま 
   す。
    これらのことから、ケーブルテレビの一部を補完する無線伝送の利用とい
   うことで、地理的要因によりケーブル敷設ができなかった地域に、ケーブル
   テレビのサービスが提供できることになるということで、地域における情報
   通信格差の是正、ケーブルテレビの普及・発展に寄与するものと期待してい
   るわけでございます。
    以上のようなことから、ケーブルテレビ網の一部を補完する無線伝送の利
   用を踏まえ、有線テレビジョン放送事業に用いる無線局の技術的条件につい
   て審議を求めるものでございます。
    ケーブルテレビの無線利用というものは、日本はまだ少ないわけですが、
   欧米、あるいはアジアでは既に進んでおりますので、外国の状況を踏まえま
   して、それから、外国の製品を入れてみたいという要望もございますので、
   そういうものの検討もお願いしたいと思っております。
    答申を希望する事項として、(1)、有線テレビジョン放送事業に用いる
   固定局の無線設備に関する伝送方式等の一般的条件、(2)、有線テレビジ
   ョン放送事業に用いる固定局の送信設備及び受信設備の技術的条件でござい
   ます。
    3番、答申を希望する時期といたしまして、今年の6月に一部答申という
   ことを考えております。これにつきましては、既にケーブルテレビ用に割り
   当てております23GHz帯というのが400MHzの幅がございまして、
   ここの有効利用を急いで図りたいというのがございますので、大変短い期間
   でございますがご審議のほど宜しくお願いいたしたいと考えております。そ
   れから、ほかの周波数、外国でもいろいろなシステムが出ておりますので、
   全デジタル化も踏まえた検討は、その後に十分ご審議いただければと考えて
   おります。
    答申が得られたときの行政上の措置としましては、関係省令等の整備に資
   するものでございます。したがいまして、6月にご答申をいただきましたも
   のは、今年の秋から実用化できるような体制をとることを考えております。
    以上でございます。
  ○西澤会長 どうもありがとうございました。ただいまのご説明に関しまし 
   て、ご意見、ご質問をお願いいたします。
    ございませんでしょうか。
    私は素人ですが、既に23GHzが使われていると聞いておりますけれど
   も、それとあわせて併用されることになるわけですね。
  ○浅見有線放送技術システム室長 23GHzを用いて数チャンネル分だけの
   伝送は一部で実用化されておりますが、今回は、同じ周波数を使いまして、
   数十チャンネルを一度に伝送する、そういうシステムを検討していただけれ
   ばと思っております。
  ○西澤会長 ほかにございませんでしょうか。
    (暫時)
  ○西澤会長 それでは、ご質問はないようでございますから、本件諮問をお受
   けすることにさせていただきたいと思います。
    この諮問に対する審議体制につきましても、既にお手元に配付してござい
   ます資料106−18に示すとおり、有線テレビジョン放送事業用無線委員
   会を設置することとさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございま
   しょうか。
    (「異議なし」の声あり)
  ○西澤会長 ありがとうございます。それでは、本件の調査、審議に当たりま
   しては、専門的な事項について調査をすることが必要と考えられますので、
   分科会などを置くことができるようにさせていただきたいと思います。これ
   もお認めいただきたいと思います。よろしゅうございましょうか。
    (「異議なし」の声あり)
  ○西澤会長 どうもありがとうございました。それでは、ご異議がないようで
   ございますので、有線テレビジョン放送事業用無線委員会を設置することに
   させていただきます。
    ただいま設置いたしました委員会の委員長及び所属委員、専門委員の指名
   につきましては、既にお手元に配付してございます資料106−19のとお
   りにさせていただきたいと思います。ご承知おき願いたいと思います。

(7) その他

  ○西澤会長 それでは、その他の項に入らせていただきます。議事の(7)で
   ありますが、CISPR委員会の委員長を、資料106−20に示すとお 
   り、変更させていただきたいと思いますので、ご承知おき願いたいと思いま
   す。
    そのほか何か事務局の方からございますでしょうか。
  ○渡辺審議会室長 特にございません。
  ○西澤会長 委員の先生方から何かご発言ございますでしょうか。

3 閉会

  ○西澤会長 大変たくさんの審議が始まるわけでございますが、ある意味から
   言えば、社会の重要性がこれだけ通信に向いているんだと考えてよろしいか
   と思います。
    それでは、以上でございます。大変ご熱心なご審議をいただきまして、あ
   りがとうございました。
    本日の審議会は、これで終わらせていただきます。

第6 議決事項
  (1)答申    「FM放送局の置局に関する技術的条件」(諮問第92号)
  (2)答申    「標準電波の高度利用のための技術的諸方策」(諮問第96号)
  (3)新規諮問  「5GHz帯の周波数を利用する広帯域移動アクセスシステ
          ムの技術的条件」(諮問第99号)
  (4)新規諮問  「PHSの高度利用の促進に資する技術の導入方策」(諮問第
          100号)
  (5)新規諮問  「高度道路交通システム(ITS)における情報通信システ
          ムの在り方」(諮問第101号)
  (6)新規諮問  「有線テレビジョン放送事業用無線局の技術的条件」(諮問第
          102号)



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