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発表日  : 1998年11月19日(木)

タイトル : 郵政審議会総会議事要旨(平成10年11月19日公表)





1 日 時
  平成10年10月29日(木)15:30〜16:55

2 場 所
  郵政省第二特別会議室(郵政省 3 階)

3 出席者(敬称略)
 (1) 委員
   森下洋一(会長)、小山森也(会長代理)、石川博志、岩田一政、上原恵美、
  佐野真理子、篠沢恭助、田尻嗣夫、藤堂裕、永山武臣、濱中昭一郎、福原義春、
  溝口敏行、三宅純一、若杉敬明
 (2) 事務局
   小野寺審議会室長
 (3) 郵政省
   高田官房長、鍋倉総務審議官、有村首席監察官、戸澤人事部長、是枝財務長、
  田代施設部長、吉崎国際部長、濱田郵務局長、松井貯金局長、足立簡易保険局
  長、ほか

4 議 題
 (1) 新任委員紹介
 (2) 部会報告
 (3) 報告事項

5 会議経過
 (1) 新任委員紹介
   事務局から、前回平成10年7月31日会合以降の新任委員(10月18日
  付け任命 石川博志委員、濱中昭一郎委員、笹森清委員、田部長右衛門委員)
  の紹介があった。

 (2) 会議の公開・非公開
   本日の会議は、諮問案件の審議ではなく、郵政省と委員、委員相互間で忌憚
  のない意見交換を行うことを目的とすることから、会議は非公開とし、議事要
  旨を作成、公開することとした。

 (3) 部会報告
  ア 郵便部会報告(藤堂部会長)
    平成10年8月26日、「平成11年用寄附金お年玉付郵便葉書等の発 
   行」について審議を行い、諮問のとおり適当である旨の答申をした。
  イ 為替貯金部会報告(若杉部会長)
    平成10年10月2日、「郵便振替の料金の改定」について審議を行い、
   諮問のとおり適当である旨の答申をした。

 (4) 報告事項
  ア 郵政審議会答申「郵便局ビジョン2010」のフォローアップについて
   ・ 昨年6月に答申された「郵便局ビジョン2010」のフォローアップとして、
    郵便局ビジョンを実現するため、特記すべき郵便局の改革として抽出され
    た答申第6章「郵便局の改革 7つの提言」に係るもののうち、「効率 
    化・サービス水準の目標と実績の公表」、「ワンストップ行政サービス」、
    「郵便局のオープンネットワーク化」、「自治体、インターネット等と接
    続した情報端末の全郵便局配置」、「生活設計コンサルティングの充実」、
    「ひまわりサービス」、「郵便局舎におけるコミュニティースペースの確
    保と地域への開放」、「郵便貯金資金の自主運用の仕組みの見直し」の取
    組状況について報告があった。
   ・ 郵政省としても、「郵便局ビジョン2010」に基づき、これからも郵便局
    改革を推進して参りたい旨発言があった。

  イ 平成11年度特別会計予算概算要求について
   ・ 郵政事業特別会計の歳入・歳出要求額は、7兆8,899億円。業務外収
    入・支出を除く歳入歳出要求額は、5兆932億円。
     郵便事業損益は、824億円の赤字となり、累積では1,975億円の黒
    字となる見込みとの報告があった。
   ・ 郵便貯金特別会計は、一般勘定で、歳入要求額が13兆4,254億円。
    歳出要求額が9兆9,720億円。損益は、1兆5,907億円の赤字とな
    り、累積では2兆7,822億円の黒字となる見込み。
     金融自由化対策特別勘定では、歳入要求額が13兆6,432億円。歳出
    要求額が13兆6,331億円。損益は、311億円の黒字となり、累積で
    は4,073億円の黒字となる見込みとの報告があった。
   ・ 簡易生命保険特別会計は、歳入要求額が19兆6,718億円。歳出要求
    額が15兆3,822億円。歳入歳出差額は、4兆2,896億円となる見
    込みとの報告があった。
   ・ 予算重要施策の柱は、1)安心と信頼のための郵便局サービスの充実、2)
    国民に身近な郵便局ネットワークの積極的活用、3)安心して生活できる地
    域社会への貢献、4)次世代を展望した事業運営基盤の整備、であるとの報
    告があった。
  
  ウ 郵便事業の現況について
   ・ 最近の郵便業務収入について、9月末累計で対前年度1.5%減の9,0
    18億円。景気の影響等により前年度下半期以降厳しい状況。
     反転の一大契機として「9・10月期郵便販売強化キャンペーン」を実施。
    平成8年10月から連続で小包トータルの数が前年度同月比でマイナスを
    続けていたが、今回24ヶ月ぶりに水面下から水面上に浮上し1.5パーセ
    ントの増となった。
     また「冊子小包」、「翌朝10時郵便(モーニング10)」、「EMS」、「チ
    ルドゆうパック」については重点商品として取組みを強化、9月期の引受
    物数についても順調に伸びているとの報告があった。
   ・ 郵便の情報化の推進について、本省・郵政局LANと郵便局の情報系共
    用端末パソコンをオンラインネットワークで結び、郵便POSシステム、
    普通局における賃金・超勤日別把握を実施。また10月からは物数調査シ
    ステムの変更を実施し、物数の把握についてもスピードアップを図った。
     その他、郵便営業企画課等用の情報系共用端末については年度内に全て
    配備。集荷用の移動無線についても改善・拡大。また大口利用者への追跡
    情報提供の改善。郵便計画担当者全員へのパソコン配備を年度内実施する
    との報告があった。
   ・ 平成11年度郵便事業関係予算重要施策については、安心と信頼のため
    の郵便局サービスの充実として「ハイブリッドメールサービスの実施」、
    国民に身近な郵便局ネットワークの積極的活用として「ワンストップ行政
    サービスの推進」、次世代を展望した事業運営基盤の整備として「郵便 
    トータルネットワークシステムの構築」についてそれぞれ報告があった。
   ・ 櫻井よしこ著「日本の危機」(第5刷)について、同書の中で郵便事業
    についていくつか事実誤認の記述があった。
     特に、国民の皆様が郵便事業に寄せられている信用に関わる大きな問題
    として、平成5年の「北海道南西沖地震」、平成7年の「阪神・淡路大震
    災」のとき郵便局が無料でお預かりした救助用小包を地方公共団体の災害
    対策本部に配達せずに捨てたとの事実誤認があった。
     これについて、櫻井よしこ様と発行元の新潮社へ内容証明郵便物を9月
    25日に差し出し、櫻井よしこ様からは10月16日付けで同書の新バー
    ジョンの中で回答する旨の回答をいただいた。
     新バージョンの再追記の中で、事実誤認の箇所は配達後の取扱いに関す
    る記述であることがはっきりしたことから、これ以上、櫻井様とのやりと
    りは差し控えるとの報告があった。
    【主な質疑応答は次のとおり】
   ・ 平成11年度はかなりの郵便事業赤字になるとのことだが、去年、20
    05年まで手紙・はがき料金は値上げしないよう郵政審議会として提言し
    たが、このような赤字でこの提言が果たせるのかとの質問があった。
     これに対し、当時の安定した経済状況が続くという前提が昨年6月の答
    申の主旨であり、実際7年度、8年度のGDP成長率は、2〜3%の対前
    年度増であった。そういう前提のもとで、2005年までの料金の据置と
    いう形で答申をいただいた。私どもとしては答申は真摯に受け止めている
    が、郵便事業は景気の影響を受けるのも事実と思う。しかし、それはそれ
    として努力していくとの回答があった。
   ・ 今年の2月から、郵便番号の7桁化を実施し長期的な費用の節減につな
    がるということだったが、その効果が平成11年度予算の郵便事業赤字に対
    してきちんと現れているのかとの質問があった。
     これに対し、郵便番号の記載率は約9割で国民の皆様に記入していただ
    いており、これを前提に機械化を進め、すでに9年度で2,513人の郵便
    事業定員を削減。今後、10年間で8,000人程度の労働力節減、金額的
    にはトータルで2,000億円の経費削減に向け、さらに国民の皆様のご協
    力を無にしない形で頑張って行きたいとの回答があった。
   ・ 平成11年度の郵便業務収入は、景気の影響等により落ち込むと予測さ
    れているが、景気が悪いのは、平成11年度に限ったことではなくこの間
    続いており、需要予測に誤りはないかとの質問があった。
     これに対し、平成11年度の郵便業務収入の予測については、9年度上
    半期まではそれほど問題はなかったが、11月からは大きな金融機関の破
    綻なども起こり、収入が対前年度比で減少し、平成10年度に入っても一
    段と厳しいという状況の下で行った。しかし、もう景気が悪いとは言って
    おられず、反転攻勢に移りたいということで、郵政本省をあげて今回初め
    て販売強化キャンペーンを9月から実施し増収を図るとともに、経費節減
    に努めているとの回答があった。

  エ 為替貯金事業の現況について
   ・ 当せん金付証票法について、10月15日、改正法が成立(来年4月1日施
    行)、民間の宝くじ売場のない市町村に所在する郵便局において、宝くじ
    を受託販売することとなったとの報告があった。
   ・ 国鉄債務処理法について、10月15日成立し、郵便貯金特別会計において
    は、平成10年度から5年間、毎年2,000億円ずつ、合計1兆円を一般会計に
    特別繰入れをするという措置がとられることとなり、平成14年度において、
    その時の社会情勢等を踏まえて、必要と認める場合には経営の健全性確保
    のために、適切な措置を検討することとなっているとの報告があった。
   ・ 平成11年度の為替貯金事業の重要施策について、「インターネットホー
    ムサービス」、「郵便貯金の契約内容のお知らせ」、「ATMの提携サー
    ビスの円滑化」及び「資産担保証券への運用」について説明があった。
    【主な質疑応答は次のとおり】
   ・ 宝くじの販売、再受託について、手数料収入はどの程度になるのかとの
    質問があり、売上の約7%であるとの回答があった。
   ・ 宝くじやスポーツくじのように俗に射幸心をあおるといわれているもの
    を取り扱うことと、小額の貯蓄を大事にする郵便局の精神とは矛盾するの
    ではないかとの質問があり、宝くじは昭和20年以来ある程度定着してい
    ること、また、郵便局は国の公的な窓口としての機能を併せ持っているこ
    とから、宝くじ売場空白市町村の解消のため実施するものである旨の回答
    があった。
   ・ 郵貯特別会計から一般会計への特別繰入れについて、どうして返しても
    らわないで済むことがあり得るのか分からないとの質問があり、国鉄の債
    務引き受けに伴う一般会計の苦境を応援するため、やむを得ず協力させて
    いただいているとの回答があった。

  オ 簡易保険事業の現況について
   ・ 平成10年度(上半期)簡易保険の経営状況について、平成10年度上
    半期の新契約状況をみると、保険は件数で若干減、保険金額でも依然減少
    傾向にあるが、年金保険は、件数、年金額とも若干増となった。月別にみ
    ると、保険は対前年同期比で回復基調にあるが、年金保険は、一時払年金
    の保険料の見直しに伴い、9月は減少に転じた。
     失効・解約状況については、失効は改善しているが、解約は増加してお
    り、保有契約件数は、これらの影響を受け、保険は微減、年金保険は増加
    となっているとの説明があった。
   ・ 資金運用状況については、市中金利の低下の影響により、運用利回りは
    低下傾向にあり、厳しい運用環境が継続しているが、国債等の有価証券及
    び地方公共団体に対する貸付等を中心とした安定的な運用を行っていると
    の説明があった。
   ・ 平成11年度予算重要施策として、「一病息災の時代に対応した保障 
    サービスの提供」や「簡保加入者福祉施設のバリアフリーの充実・高度 
    化」など、安心と信頼のための郵便局サービスの充実、安心して生活でき
    る地域社会への貢献及び次世代を展望した事業運営基盤の整備のため、各
    施策の実現に向け努力しているとの説明があった。

  カ 郵貯・簡保資金運用研究会での検討状況について
   ・ 郵貯・簡保資金運用研究会での検討状況について、若杉座長より、9月14
    日、29日、10月20日と3回研究会が開かれ、郵貯・簡保資金の運用原則、
    運用対象に関する意見交換等が行われており、今後も引き続き自主運用の
    制度的枠組のあり方等について検討していくとの報告があった。


(文責:郵政審議会事務局。速報につき、事後修正の可能性あり。)



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