発表日 : 1999年 3月15日(月)
タイトル : 郵政審議会総会議事要旨(平成11年3月15日公表)
1 日 時
平成11年2月18日(木) 15時02分〜16時31分
2 場 所
郵政省第二特別会議室(郵政省3階)
3 出席委員(敬称略)
(1) 委員
森下洋一(会長)、小山森也(会長代理)、石川博志、奥谷禮子、神津カン
ナ、五代利矢子、佐野真理子、篠沢恭助、高橋温、藤堂裕、濱中昭一郎、福原
義春、三村優美子、三宅純一
(2) 事務局
小野寺審議会室長
(3) 郵政省
有村首席監察官、戸澤人事部長、是枝財務部長、田代施設部長、濱田郵務局
長、松井貯金局長、足立簡易保険局長、ほか
4 議 題
(1) 部会報告
(2) 報告事項
5 議事模様
(1) 会議の公開・非公開
会議の内容は、議事要旨を作成し公開する。しかし、本日は、郵政省と委員、
委員相互間で忌憚のない意見交換を行うことから、会議は非公開とした。
(2) 部会報告
ア 郵便部会報告(藤堂委員)
平成10年11月17日(火)、「平成11年用寄附金付お年玉付郵便葉
書の追加発行」について審議を行い、諮問のとおり適当である旨の答申をし
た。
イ 保険部会報告(五代部会長代理)
平成10年12月7日(月)「簡保事業の現状と営業に関する今後の取組
について」、平成11年2月8日(月)「簡保資金運用及び加入者福祉事業
の現状と今後の取組について」、省側からの説明の後、意見交換を行った。
・ この報告に対して、コンサルティング機能の充実、相談の強化とはどう
いうことかとの質問があり、事務局から、簡易保険事業の営業の在り方と
して、保険の保障機能を前面に出した販売を全職員に徹底する必要があり、
ファイナンシャルプランナーのような資格の取得など、コンサルティング
機能の強化を打ち出し、今後の政策を展開していきたいとの説明があった。
(3) 報告事項
ア 平成11年度郵政省所管予算(案)の概要(特別会計)について
・ 平成11年度郵政事業特別会計予算の歳入・歳出予定額は、7兆6,1
70億円。収入印紙等の通り抜けの部分を除くと5兆738億円。
・ 郵便事業の単年度損益は742億円の赤字の見込み。10年度の郵便事
業損益見込み978億円の赤字と比べ、若干改善。9年度末において2,
504億円あった累積利益金は、11年度末においては784億円となる
見込み。
・ 郵便貯金特別会計のうち、一般勘定の歳入は13兆4,931億円、歳
出は10兆751億円。11年度における単年度損益は1兆5,619億
円の赤字となる見込みであるが、11年度末における累積利益金は2兆8,
156億円確保できる見込み。
金融自由化対策特別勘定については、歳入が13兆6,316億円、歳
出が13兆6,286億円。11年度における単年度損益は251億円の
黒字となる見込みであり、11年度末における累積利益金は4,013億
円となる見込み。
・ 簡易生命保険特別会計については、歳入が19兆6,560億円、歳出
が15兆2,946億円であり、1,230億円の剰余金が発生する見込
み。
・ 予算重要施策のうち、主な施策は次のとおり。
1) 安心と信頼のための郵便局サービスの充実を図る施策として「一病息
災の時代に対応した保障サービスの提供」、「ハイブリッドメールサー
ビスの実施」、「インターネットホームサービスの実証実験の実施」な
どを予定。
2) 国民に身近な郵便局ネットワークの積極的活用の観点から、「ワンス
トップ行政サービス」を引き続き推進していくとともに、「ATM提携
サービスの提供の円滑化」を図る。
3) 安心して生活できる地域社会への貢献の観点からは、「郵便局舎及び
簡保加入者福祉施設のバリアフリー化の充実」を図るとともに、「ハイ
ブリッド自動車の導入」等地球環境保全に資する施策を実施。
4) 次世代を展望した事業運営基盤の整備としては、「資金運用制度の改
善」や「郵便局セキュリティの充実・強化」などの施策を実施。
イ 郵便事業の現況
・ 最近の主なサービス改善
「料金別後納郵便の広告表示(11月27日(金)実施済)」、「料金
後納の月100通から50通への引下げなど、利用条件の緩和(1月29
日(金)実施済)」、「小包の配達時間帯指定サービスの開始(3月1日
(月)実施予定)」、「一般小包の16kgから20kgへの取扱拡大(3月
1日(月)実施予定)」、「翌朝10時郵便(モーニング10)の全国展開
(4月1日(木)実施予定)」についてそれぞれ報告があった。
・ 郵便事業の情報化の推進(POSTONS−フェーズI)
POSTONSとは郵便事業経営の情報化・スピード化による経営基礎
体力の飛躍的充実を実現する郵便トータルネットワークシステムで、平成
13年度から運用開始。
POSTONSの構築に先行して、別後納郵便引受情報システムの機能
改善を行い、大口顧客別・郵便局別の通数・金額(日別、重量帯別)のき
め細かい情報をスピーディーに集計・フィードバック・分析を行うPOS
TONS−フェーズIを平成11年4月1日から運用開始するとの報告があ
った。
・ 20世紀デザイン切手
20世紀の締めくくりに当たり、我が国の20世紀を象徴し、21世紀
に向けての夢と希望のある題材を、芸術・文化、スポーツ、科学技術、社
会事象等、各種ジャンルに求めて、楽しいデザインの切手を発行。
現在、国民の皆様から題材のアンケートを実施しており、2月17日現
在で16万通を超える応募数があり、相当な反響をいただいているとの報
告があった。
【主な質疑応答は次のとおり】
・ 情報化・スピード化による経営基礎体力の飛躍的充実ということだが、
届けられる郵便物の配達時間が一定していないのは、郵便番号が7桁に増
えたことが影響しているのではないかとの意見があった。
これに対し、昨年2月2日の郵便番号7桁化に伴い、機械化による効率
化を見込んで定員を削減しているが、トータルとして郵便配達時刻が遅く
なるようなシステムはとっておらず、もしあるとしたなら今後対応してい
きたいとの回答があった。
・ 最近の主なサービス改善の中で、料金別後納郵便の広告表示の掲載につ
いて、広告表示とは誰の広告を掲載するのか、また広告表示は無料なのか
との質疑があった。
これに対し、差出人の広告を掲載、料金は無料との回答があった。
・ 郵便物が紛失した場合、仮にこれが見つからなくても、依頼人に対して、
どこまで調査し、どこまでは分かっているのか説明すべきではないかとの
意見があった。
これに対し、不着を申し出ていただくと、郵便局、郵政局、郵政監察局
が連携を取り合って不着郵便物の追跡に取りかかる。事務もコンピュータ
化により迅速に対応しているが、引き受けたという記録が残らない普通の
手紙やはがきについては把握しにくいところがある。しかし一通一通徹底
的に捜しており、仮に見つからなかった場合も、郵政省の努力をよく理解
していただけるよう、依頼人へのご説明に努めていきたいとの回答があっ
た。
・ サービス改善もよいが、郵便物が届くということが一番の基本なので、
サービス改善により郵便局が混乱をしないよう郵便局職員への周知、教育
をして欲しいとの意見があった。
これに対し了解したとの回答があった。
ウ 為替貯金事業の現況について
・ 1月18日から、民間金融機関115社と郵便貯金のATM・CDをお
互いに利用し合えるサービスがスタートし、取扱い開始から4週間で1日
平均で約1万1,900件のご利用があったとの報告があった。
・ また、3月29日には新たに273社が加わる予定であり、3月に間に
合わなかった金融機関は5月に実施し、その後は10月の実施を予定して
いるとの報告があった。
・ 1月4日から、キャッシュカードを使ってオンラインショッピングがで
きるデビットカードサービスを実施。8加盟店、1万822店舗、端末台
数1万3,774台でスタートし、取扱い開始から1月末までで、利用件
数は約4万件、利用金額は、約7億5,000万円、1件当たりの利用金
額は、約1万9,000円であったとの報告があった。
・ 郵便貯金のICカードの実証実験については、既に昨年の2月から埼玉
県の大宮市周辺においてICカード7万枚を発行して展開しているが、早
ければ、この秋から、第2フェーズとして、クレジットカード機能、デビ
ットカード機能、電子マネー機能の3つの機能を持ったマルチカードの展
開をしていくとの報告があった。
【主な質疑応答は次のとおり】
・ 民間金融機関とのATMの提携が随分と進み、利用者は確かに便利に
なってくるが、決済システムが日銀のほかにできるというのは無駄ではな
いか、今後どういうふうに考えていくのかという質問があり、将来的には、
日銀を通じた決済にするということが望ましいので、そういう方向で検討
していくとの回答があった。
・ 郵貯ICカードのマルチ化について、提携の仕方などをどのように考え
ていくのかとの質問があり、アメリカのVISAや日本のJCBなど、み
んなが相乗りできるようにし、もしそれが実現すれば、世界で初めての画
期的なことであるとの回答があった。
エ 簡易保険事業の現況について
・ 平成11年1月末現在の新契約状況を保険の件数でみると、対前年3.
7%増となっているが、保険金額でみるとマイナス8.2%となっている
こと、また、失効がマイナス4.4%と減っているのに対し、解約が4.
3%増えていることから、最近の傾向として、契約の小口化と解約の増加
があげられる。これは長引く不況で家計のリストラが進んでいることがあ
らわれていると考えられる。
・ 平成11年1月末現在の保有契約を保険の件数でみると、新契約として
入ってくる契約が若干増えているが、解約、満期として出ていく契約も増
えている。結果的に対前年マイナス0.8%となったが、これは簡易保険
の置かれた厳しい状況をあらわしている。
・ 最近の運用利回りは低下の一途をたどり、平成9年度には4.02%だ
ったが、平成10年度には3%台に突入する見込みであるなど、資金運用
面においても非常に厳しい状況にある。
・ このような状況の中、簡易保険の剰余金は、平成9年度が3,107億
円、平成10年度予算では2,021億円、平成11年度予算では1,2
30億円となっており、年々減少している。
・ 昨年12月及び本年2月に開催された郵政審議会保険部会において、簡
易保険事業の現状と今後の在り方について、ご議論いただき、委員からア
ドバイスをいただいたが、コンサルティングセールスや資金運用面におけ
る体制の整備を図り、今後とも健全な経営に当たっていきたいとの説明が
あった。
オ 郵貯・簡保資金運用研究会での検討状況について
・ 郵貯・簡保資金運用研究会での検討状況について、11月20日、12
月11日、1月19日に、第4回から第6回までの研究会が開催され、郵
貯・簡保資金の地方還元やディスクローズのあり方などについて、活発な
意見交換が行われ、今後は、リスク管理のあり方や人材育成等について検
討を進めていくとの報告があった。
カ 中央省庁等改革に係る大綱(郵政省関連部分)について
・ 1月26日に決定された中央省庁等改革に係る大綱のうち、郵政省に関
連した次ぎの部分について説明があった。
1) 総務省の官房及び局の名称及び主な所掌事務の概要
2) 現業の改革
3) 廃止、民営化、民間委託等
4) 独立行政法人化
5) 審議会等の整理合理化
(文責:郵政審議会事務局。速報につき、事後修正の可能性あり。)