発表日 : 1999年 4月27日(火)
タイトル : インターネット活用のカギは情報発信
− インターネットにおけるコミュニケーションの調査研究結果 −
郵政省郵政研究所は「インターネットの利用に関する調査研究」1を実施し、こ
のたび結果を取りまとめました。これによると、電子掲示板等2への書き込みを行
っている人は、書き込みをしない人よりもネット上で多くの友人を作っていま
す。また、ホームページを開設している人は、開設していない人と比較してイン
ターネットの情報が課題解決に役立つと感じています(詳細は別紙参照)3。
電子掲示板等の利用実態に関する大規模な調査研究は、今回が日本で初めてで
す。
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1 電子掲示板への書き込みは交友関係を広げる
インターネットを通じてできた友人の数を比較すると、電子掲示板等へ書き
込む人は書き込まない人の約4倍(図1)。また、電子掲示板等から得られる情
報が課題解決により役立つとしている(図2)。
<書き込みの有無で比較>
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書き込み有
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書き込み無
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友人の数(平均)
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11.5人
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3.2人
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課題解決への満足度
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77.9%
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69.9%
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2 ホームページの開設は課題解決に役立つ
ホームページの開設者の方が非開設者よりもWWW(World Wide Web)から
得られる情報が課題解決に役立つと満足している(図3)。また、インターネッ
トを通じてできた友人の数も約5倍(図4)。
<ホームページの有無で比較>
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ホームページ有
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ホームページ無
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友人の数(平均)
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11.3人
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2.3人
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課題解決への満足度
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79.3%
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67.8%
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3 電子メールは人との付き合いを強める
電子メール利用後に日頃連絡を取り合う友人の数が増加したという人は利用
者の約51%(表1)で、友人と実際に会う回数が増加したという人は約25%(表
2)。また、連絡を取り合う頻度が増加したという人は約55%(表3)。
4 匿名発言はトラブルを生じやすい
電子掲示板等で匿名やハンドルネーム(ネットワーク上のペンネーム)を使
って発言している人は、実名で発言する人に比べて嫌がらせや非難等のトラブ
ルに遭遇する頻度が高い(図5〜7)。
連絡先:郵政研究所情報通信システム研究室
(担当:小笠原研究官)
電 話:03−3224−7356
1 本調査研究は、インターネットの私的利用に関するデータ(5,122件)をもとに
実施したものです。データは委託先である株式会社野村総合研究所が、ホーム
ページ上で本年1月に収集しました。
2 本調査研究での「電子掲示板等」とは、電子掲示板、ネットニュース、メーリ
ングリスト及びチャットを指します。
3 郵政研究所ホームページで調査研究結果及びデータを公開しています。(URL
http://www.iptp.go.jp/)
別紙
「電子掲示板等」とは
本アンケートでは、電子掲示板、ネットニュース、メーリングリスト及びチャ
ットを「電子掲示板等」と総称し、主な調査対象としている。
それぞれの具体的なイメージは下図の通り。
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掲示板のように自由にメッセージを書き込んだり読んだり
して情報交換できるサービス
参加しているメンバー全員にメールを送ることができるサービス
※配信リストは随時登録。
数千のメンバーが登録されているものもある。
様々なテーマについて情報交換できるサービス。書き込んだ
メッセージは世界中に転送される。
参加者同士が文字によりほぼリアルタイムにおしゃべりできるサービス
※同時にアクセスしているメンバーA〜Dがおしゃべりできる。
1 電子掲示板への書き込みは交友関係を広げる
<図1> インターネットを通じてできた友人数
(電子掲示板等への書き込み有・書き込み無)
※「電子掲示板等参加者全体」には、書き込み有無に無回答の407サンプルも含ま
れる。
<図2> 電子掲示板等で抱えている課題を解決でるか
(電子掲示板等への書き込み有・書き込み無)
※「電子掲示板等参加者全体」には、書き込み有無に無回答の407サンプルも含ま
れる。
2 ホームページの開設は課題解決に役立つ
<図3> WWWで抱えている課題を解決できるか
(ホームページ開設者・非開設者)
<図4> インターネットを通じてできた友人数
(ホームページ開設者・非開設者)
3 電子メールは人との付き合いを強める
プライベートでの電子メール利用開始後における付き合いの変化
(回答者のうち、電子メールをプライベートにも利用している3,930人が対象)
表1:1週間に連絡を取る友人の数(N=3,930)
表2:1週間に友人と会う回数(N=3,930)
表3:1週間に人と連絡を取る回数(N=3,930)
※最も頻繁にメールをやりとりする相手との連絡回数について質問した。
4 匿名発言はトラブルを生じやすい
ネットワーク・コミュニケーションで生じる主なトラブルの頻度について、電子
掲示板等で発言する際の「名乗り方の違い」別に調査した。
a)匿名で発言する人
b)ハンドルネーム(ネットワーク上で名乗るペンネーム)で発言する人
c)実名で発言する人
<図5> 電子メールや電話で嫌がらせを受ける頻度
※「電子掲示板等参加者全体」には、名乗り方に無回答の309サンプルも含まれる。
<図6> 非難されたり根拠のない噂を流されたりする頻度
※「電子掲示板等参加者全体」には、名乗り方に無回答の309サンプルも含まれる。
<図7> 自分の発言が誤解されて、相手の気分を害したと感じる頻度
※「電子掲示板等参加者全体」には、名乗り方に無回答の309サンプルも含まれる。