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情報通信審議会総会(第4回)議事録




第1   開催日時及び場所
平成13年7月19日(木) 午後2時00分から3時10分 於、総務省8階第1特別会議室
 
第2   出席した委員等(敬称略)
秋山 喜久(会長)、齊藤 忠夫(会長代理)、有吉 孝一、生駒 俊明、大山 永昭、國井 秀子、醍醐 聰、中川 正雄、根岸 哲、根元 義章、羽鳥 光俊、原島 博、藤井 義弘、藤原 まり子、村井 純、村上 政敏、安田 靖彦、吉岡 初子
(以上18名)
 
第3   出席した関係職員等
(1)   総務副大臣及び大臣官房
小坂 憲次(副大臣)、天野 定功(総務審議官)、稲村 公望(政策統括官)、田中 征治(技術総括審議官)、森 清(官房審議官)、藤岡 道博(官房審議官)、坂田 紳一郎(官房参事官)、森 隆政(官房参事官)、小笠原 倫明(官房参事官)
(2)   情報通信政策局
高原 耕三(情報通信政策局長)、中田 睦(総合政策課長)、服部 高明(情報流通高度化推進室長)
(3)   総合通信基盤局
鍋倉 真一(総合通信基盤局長)、鈴木 康雄(電気通信事業部長)、鬼頭 達男(電波部長)、内田 幸一(国際部長)、貝沼 孝二(総務課長)、吉田 靖(料金サービス課長)、阪本 泰男(データ通信課長)
(4)   事務局
桜井 俊(情報通信政策局総務課長)
 
第4   議題
本会議は、情報通信審議会議事規則第9条の規定により、公開にて行われた。
(1)   諮問事項
  諮問第3号「21世紀におけるインターネット政策の在り方について」
  電気通信審議会諮問第47号「電気通信事業法の一部を改正する法律(平成9年法律第97号)附則第15条を踏まえた接続ルールの見直しについて」
(2)   総務副大臣あいさつ
(3)   報告事項
「情報通信を活用した地球環境問題への対応」のフォローアップについて








秋山会長  ただいまから、情報通信審議会総会(第4回)を開催いたします。
秋山会長  はじめに、総務省の幹部に人事異動がありましたので、異動があった方のみ順に自己紹介をお願いしたいと思います。
   
  総務省幹部紹介(異動者のみ自己紹介)
   
高原情報通信政策局長  政策統括官をやっておりましたが、このたびの異動で、情報通信政策局長を拝命しました高原でございます。よろしくお願いいたします。
稲村政策統括官  稲村でございます。よろしくお願いします。
石原技術総括審議官  このたびの異動で、電波部長から技術総括審議官になりました石原でございます。よろしくどうぞお願いします。
森官房審議官  このたびの異動で、官房審議官情報通信政策局担当となりました森でございます。よろしくお願いします。
藤岡官房審議官  官房審議官藤岡でございます。よろしくお願いします。
坂田官房参事官  坂田でございます。稲村政策統括官のもとで仕事をさせていただきます。
小笠原官房参事官  官房参事官を拝命いたしました小笠原でございます。この半年、情報通信政策局の総務課長といたしまして、この審議会の事務局を担当させていただきました。秋山会長ほか委員の皆様には大変ご指導いただきまして、ありがとうございました。引き続きよろしくお願いいたします。
桜井情報通信政策局総務課長  情報通信政策局総務課長の桜井でございます。事務局を担当させていただきます。よろしくお願い申し上げます。
鍋倉総合通信基盤局長  情報通信政策局長から、今度は総合通信基盤局長になりました鍋倉でございます。よろしくお願いいたします。
鬼頭電波部長  電波部長になりました鬼頭でございます。よろしくお願いいたします。
貝沼総合通信基盤局総務課長  総合通信基盤局の総務課長の貝沼でございます。よろしくお願いします。
中田総合政策課長  総合政策課長になりました中田と申します。よろしくお願いします。
阪本データ通信課長  データ通信課長の阪本でございます。よろしくお願いいたします。
吉田料金サービス課長  料金サービス課長の吉田です。よろしくお願いいたします。
服部情報流通高度化推進室長  情報流通高度化推進室長の服部でございます。よろしくお願いいたします。
秋山会長  それでは、本日の議題に移りたいと存じます。
  本日は、委員31名中17名が出席されておりますので、定足数を満たしております。
  本日の会議は、情報通信審議会議事規則第9条の規定によりまして公開といたします。傍聴者の方々は、傍聴に当たりましては、留意事項をお守りいただきますようお願いいたします。
  それでは、お手許の議事次第に従いまして、議事を進めてまいりたいと思います。  

議題

(1) 諮問事項
  ア 諮問第3号「21世紀におけるインターネット政策の在り方について」
 
秋山会長  はじめに、諮問第3号「21世紀におけるインターネット政策の在り方」について審議いたします。
  本件は、3月28日の総会において諮問されたことを受けまして、専門的な知見が蓄積されております情報通信政策部会において精力的に、かつ専門的にご審議いただき、中間答申案を取りまとめていただきました。
  それでは、答申案につきまして、有吉情報通信政策部会長からご報告をお願いいたします。
有吉委員  通信政策部会の有吉でございます。私のほうから、通信政策部会で取りまとめられました答申案についてご説明いたします。
  本答申は、3月28日の諮問「21世紀におけるインターネット政策の在り方」を受け、情報通信政策部会のもとに2つの委員会を設けて、専門的知見から検討していただいたものでございます。1つは、村井臨時委員を主査とするインターネット利用高度委員会、もう1つが大山委員を主査とするインターネット基盤委員会でございます。両委員会では、3か月の間に合わせて12回の委員会が開催され、その検討をもとに、6月7日と7月13日の通信政策部会の議論を受けまして、答申案として取りまとめられたものであります。
  全体の要点は、配付されました資料1、A3のペーパー1枚でございますが、これに取りまとめてございますので、これをご覧いただきながら、説明をお聞きいただきたいと思います。
  答申本体は3部構成になっておりますが、第1部の前半で、資料1の上段右に「現状」とありますとおり、規制改革と競争促進によって我が国のインターネットが急速にブロードバンド化、低料金化している現状の整理と分析。それとモバイル・サービスの高度化、放送・通信の融合、インターネットプロトコルのv4からv6へのシフト等々、インターネットの飛躍的高度化と利用の多様化を可能とする技術革新の実態がここに要約されております。
  このような情報通信分野の進展と技術革新の恩恵を広く国民に還元するという観点から、今後急速な展開が予想される様変わりに高度化するインターネット網を、だれでもいつでもどこでも多面的多様な活用ができるインターネットとして我が国内に具体化する。このためには何が課題か、それが答申の第1部後半に、基本的な考え方、検討の視点という整理で各委員会別に要約されております。資料1で申し上げますと、中段に「戦略目標の実現に向けた基本的な考え方」として2行にまとめられているところでございます。この基本的な考えに基づく両委員会の検討は、いわば車の両輪の関係にあると存じます。高速で低廉なインターネット網が実現した上に、最終的に目指すところは、優れたコンテンツが豊富に流れて広く利用されることであり、安心してこれが利用されるためには、プライバシー、セキュリティ確保などの環境整備が必要であると、これが利用高度化委員会のテーマでございます。
  そして、それが実現した暁には、利用の形も多様化して、通信網を流れる情報量は飛躍的に増大いたします。それに耐えられるように、今から検討すべきインターネット基盤の問題点は何か。これが基盤委員会のテーマですが、逆に言えば、例えば日本全国やアジアに固有のコンテンツが開発されて域内に流通すること、また、域外からのアクセスが盛んになるには、この基盤の拡大・強化が前提になければならないという関係になろうかと思います。これは答申の第3部の中で触れられているところでございます。
  各委員会の問題提起・提言は、資料1の下段に、それぞれ2つの箱の中に整備されて、列挙されているとおりでございます。インターネット利用高度委員会で検討された結果の問題点提言は、資料1の下の段の左にまとめてございます。答申では第2部としてまとめられておりますが、今後、豊富なコンテンツが流通するためのアプリケーションの開発技術を、IPv6、モバイルインターネット、通信と放送の融合を戦略分野として、あるべき姿を整理した上で、技術面と環境整備面に章を分けて課題とその対応の提言をまとめているところでございます。資料1では、これを「技術開発とルールの形成」という仕分けで整理して提示されております。
  答申2部の技術面の課題と対応では、モバイルIP技術などの基本的な要素技術の開発の必要性、並びに実利用を想定した技術開発は著作権保護技術等の情報流通技術の開発の必要性等々に触れているところであります。環境整備面の課題と対応では、著作権管理、セキュリティ、個人情報の保護などについて、技術的システムと社会的なルールの形成の必要性と、その方法論が提言としてまとめられているところでございます。これが利用高度化委員会の提言の大まかなポイントでございます。
  次に、インターネット基盤委員会の検討結果は、概要資料の下の段の右にまとめられているとおりでございますが、インターネットに焦点を当てた通信ネットワークの運用技術にかかわる問題を対象といたしまして、特に迅速に対応すべき政策課題として、インターネットのインフラ構造の整備とドメインネームの制度整備に分けて、問題提起と提言が行われておるところであります。インフラ構造の整備につきましては、IXの分散化、バックボーンコストの低廉化、接続の円滑化を実現することで、国内全域におけるコンテンツ等の充実が期待され、また広く汎アジアブロードバンドの実証実験による技術的課題を解決すべきであるという問題提起もこの中で行われているところでございます。また、それらの裏付けとしてのトラフィックデータの整備の必要性、それからこれがインフラ構造の問題提起、ドメインネームにつきましては、インターネット利用の急速な拡大と、技術的・制度的な信頼性の向上が課題でございます。また、より利用しやすい日本語利用の環境整備を検討課題として、多言語ドメインネームへの貢献、技術的・制度的変革期における国際的提言によるガバナンスに関する問題等が整理され、提言されているところでございます。
  次に、両委員会にまたがる問題として、以上、第2部、第3部、各委員会の問題提起・提言の中で随所に触れられておりますけれども、また、委員会、部会においても議論が集中したところの提言の基本的な考え方を4つに整理して申し上げます。
  1つは、実証実験の重要性でございまして。資料1の左下の箱の「技術開発」の下に、特に四角で囲って書いてございますが、これは各提言の中に基調として主張されているところでございます。技術開発コンセンサスルールの形成については、実用化の実証実験を推進することが大変重要であるということで幾つかの提言がまとめてございます。
  第2点目に、利用者の視点でございます。以上の実証実験は、技術が利用者に受け入れられる安全性・操作性・安定性を備えることの検証・実証を目的とするものでありますけれども、特に議論の中では、あらゆる分野の利用者の参加、理解を得ることの重要性が強調されたところでございます。
  3つ目に、グローバル展開についてでございます。以上の基本的考えに基づいて、広く国民が利用・活用するアプリケーションの実現、安心して利用できるルールの確立の実現が期待されるわけですが、更にこれはグローバルスタンダードの形成への貢献、国際インターネット網への高度化への貢献を視野に入れて、それに沿った活動の重要性が随所に触れられているところでございます。
  4つ目に、政府の役割についてでございます。これも、第2部、第3部の各委員会の提言の各章に書き込まれておりますが、政府の役割について、従来の基礎的要素技術の開発は民間にまかせるべきという考えから、かなり踏み込んだ提言がまとめられているところでございます。
  以上、ごくかいつまんだ説明ではございますが、全体として、高度化するインターネット網の技術・ルールをできるだけ広い範囲の利用が実現する技術的問題、それからルール、コンセンサスの形成についての提言をまとめることによって、e−Japan戦略の目標の大きな分野の具体化に資するというのが、この答申の基本的な考えであると、このように思っております。
  以上、簡単ではございますが、説明を終わります。
秋山会長  どうもありがとうございました。
  ただいまの答申案の報告につきまして、ご意見、ご質問がございましたら、よろしくお願いいたします。
齊藤会長代理  大変よくまとめられていて、勉強をさせていただきたいと思いますが。IPv6という話がございますね。これは今のままで2005年ぐらいまでは大丈夫だとか、2003年ぐらいには危ないとかそんな話もあると思うし、現に、もうプロバイダによっては、アドレスが取れないので事業が拡張できないところが出てきているとか、何かそんな話もところどころ聞くような気がするのですが。この中で、まだ研究開発・技術開発すべきであると書いてあって、当然やらなければいけないのですが、タイムシリーズ的にどれぐらいの普及をしたら、どれぐらいでだれが足りなくなるとか何かそんな議論はあったのでしょうか。
村井臨時委員  この未来のプロジェクションは大変難しい分野でもございまして、いろいろな国際的な組織、ICANNやIABでも、ALE(アドレス・ライフタイム・エスティメーション)という形で、いつまで枯渇のときが来るかということをグローバルに一般的に検討した結果がありまして。これの最悲観的な見方といいますか、枯渇が一番早い状況でのエスティメーションをこういったものの中から取り上げますと、2004年いっぱいぐらいから、かなり枯渇の深刻な状況が来るという予想があります。
  それに対して、日本の場合は、この1〜2か月で急速にブロードバンドのインターネットが普及してまいりました。ブロードバンドの普及が進みますと、2つの理由でアドレスの枯渇が進みます。1つはブロードバンドは常時接続ですので、そこにアドレスを付与し放しである要求があります。ダイヤルアップの従来の電話の接続は変わりまして、各家庭の機械、接続ボックスなどにアドレスが必要になるということです。また、そこに最近のブロードバンドはVOIPというアプリケーションが急激に期待されていまして、これは電話機が付けられるようなメカニズムです。これも、できればアドレスを個別に振りたいという状況がある。これが急激に進んだので予想が早まったというのが1点。
  もう1つは、ブロードバンドになると、今アドレスの枯渇をごまかすためのNATという技術がありますが、これは一個一個のパケットを全部見ますので、この性能が高速化によって機器として間に合わなくなったという、これも比較的予想を上回る速さで起こってきています。というわけで、もうちょっと早く枯渇危機は訪れるだろう。つまり、どこからかというご質問に関しては、ブロードバンドインターネットをきっかけとして、できるだけ早くIPv6への移行の加速が来ているような気がしています。これは私自身の専門家としての予想をもちょっと上回る発展がブロードバンド化で進んでいますので、これに関する対応は、この両方の基盤としての委員会でも、高度化利用の委員会でも、大変深刻な課題であるという議論はありました。これに関しての産学官を挙げての大きな努力が必要だと考えています。
齊藤会長代理  ありがとうございました。
  これを拝見すると、今からゆっくり技術開発すればいいような感じに、これをちょっと見ると見えるもので。このレポートはこのレポートでいいかと思いますが、何かご当局も含めてアージェントにそういうのが危機が起こらないようにする施策とかいうようなことも別途お考えいただく必要があるような感じも。ITに関する別の委員会も決まってくると思いますので、ここら辺のところで、今の予想を上回るのが、ブロードバンド3000万とか4000万とかいう話になると、おそらくこの問題が相当早く解決しておかないと、今、村井さんがおっしゃったようなことで、いろいろな問題が。家電製品にはアドレスを付けるまでは要らないような感じもしないでもないような言い方もあるかと思いますが、そうではないということですよね。
村井臨時委員  そうですね。やはり常時接続になってまいりますと、その家庭に付いているいろいろな機器や、新しいもののインターネットの上での役割が大変大きくなってまいりますので、やはりグローバルアドレスの付与という大変強い要求が出てきているのは、先ほどのVOIPの例もそうなんですけれども、これは技術的には健康な発展だとは思うのです。それの妨げにならないような十分な準備が必要であると考えています。ただ、あんまりこれ枯渇枯渇と言いますと、パニック状態のようなことが起こるのも避けなければならない事態であり、そういう意味で非常に慎重な議論の中で、かつ迅速に動かなければならない分野だと考えています。
秋山会長  大山委員から、ただいまの補足をしていただきたいと思います。
大山委員  関連するものですので、私のほうからも補足をさせていただきたいと思います。
  先日開かれました政策部会等でもお話がございましたが、基本的にe−Japan戦略の流れから見れば、5年以内にという話がございますけれども、確かにインターネットのアドレスの枯渇の問題もありますけれども、もう1つ大事なのは、将来に向かって戦略的に考えるという観点であるかと思います。その意味では、確かに情報家電を含めてインターネット接続がどうかという議論もありますけれども、流れとしてこういう姿が一個人あるいはその利用者から見ても利便性が高いのが見えてくるのがございますので、その観点からは、家電製品であれば、今インターネットのアドレスを十分に持っていない国に対する輸出を含めて考えなければいけないと。その観点も非常に重要なポイントだと思います。したがって、現時点でこういうことをはっきりと方向性を出して、そのための努力をすることが、私は戦略上極めて重要ではないかと思っております。
  それと同時に、IPv6と今のv4とがあるわけですので、これも政策部会で指摘されて回答申し上げたのですけれども、今回、インターネットの基盤の高度化の委員会では、十分な議論ができておりませんけれども、やはり両者が共存することは、国内のみならず世界的に見ても必ず起こる状況がございます。したがって、ここに対する技術的な安定性を含めたさまざまな観点での実証試験を含めたやり方を早急に開始する必要があるだろうと。そうでないと、我々が言っている戦略は絵に描いた餅になってしまうという気がいたします。この辺のところの議論を、委員の皆様方のご意見を参考にさせていただきまして、前回の政策部会等でもお話をさせていただいた状況でございます。
秋山会長  どうもありがとうございました。
  そのほかは特に?
生駒委員  ご承知のように、現在欧米は非常に通信業界は不況で、それがトリガーになって全体の景気を下げているという状況ですけれども、そのかなりの部分がインターネットインフラの整備への非常に過大な設備投資に耐えかねているという状況なのですが、日本はその轍を踏まないように何らかの対策をしていかなければいけないということで、ご質問は、その辺の経済効果というか、経済・財政的な側面の設備投資と、それが民間に耐えられるか回収できるか。それから政府がその中でどういう役割を演じていくかというような観点のご議論はどのくらいされたのでしょうか。
有吉委員  直接そういう議論が出たと聞いておりませんけれども、これは間違っておりましたら、両主査に訂正していただきたいと思いますが。この答申の基本的なスタンスは、利用活用が大いに進む技術的水準がまず目的でございまして、それを民間がどう受けとめて実現するかは今後に委ねられるべきではないかという気がしております。ちょっとお答えになったかどうかはわかりませんが。
秋山会長  村井委員、何か補足はございますか。よろしゅうございますか、今の答えで。
村井臨時委員  はい、結構でございます。
中川委員  先ほどのIPv6へ戻るのですが、技術的なことで教えていただきたいのは、インターネット利用の高度化委員会では、セキュリティの確保技術が入っています。IPv6とセキュリティというのは、素人考えでよくわからないのですが、かなり関連があるんじゃないかと。たぶん、IPv6でアドレスが増えると、セキュリティは落ちていくのか、逆に上がるのか、その辺はどうなんでしょうか。
村井臨時委員  よく言われている危機感の1つは、まず技術的にはセキュリティの機能が組み込まれているIPv6は、セキュリティを向上させる、あるいは確保するといういろいろなテクノロジーに対しての貢献はすると考えていいと思います。しかしながら、グローバルなアドレスが付与されるということは、いろいろなものに直接、基本的にはすべてのIPv6のアドレスが付いているものは、情報を発信する権利と受信する権利ができると、こういうことになるわけですから、いろいろな家電とか、今お話があった携帯電話とか、それが情報を自分で発信し、受けることができるような、あるいはセンサーなんかもターゲットになっているわけです。そういうふうになってきた場合に、今度はそのプライバシーの問題を非常に慎重に扱う必要があるんじゃないかということが一方では出てまいります。したがって、このプライバシーを守るためのセキュリティの技術を応用面あるいはそういったリテラシーのような、人間がどうやって使っていくかという、こういうような問題も含めて考えていかなければならないと。
  同様なことが著作権の保護の技術に関連した、通信の部分に関することにもありまして。つまり、守る技術は向上するけれども、いろいろなプライバシーに関する考え方、個人情報の保護に対する考え方、こういったような考え方の社会的な取り組みに関する人間の意識も含めた基盤を向上させて、その技術を上手に使うというのが高度な利用ということではないかと思います。
根元委員  現状、それから将来に対して、よくおまとめいただいたと思うわけです。
  今後やるべき方向も、ただいまご説明いただいたような方法でいくべきだとは思っているのですが、例えば実証実験とかルールの形成とかグローバル展開、そうゆっくりはしていられないことは事実だと思うのですね。それで、インターネットの発展を見ますと、村井先生だいぶご努力なさいましたけれども、やはり日本は後追いになっているのは確かでございまして、国としてどこかでリーディングカントリーにならなければいけないと思うわけです。そういう意味でその今後の進め方は大いに結構ですけれども、その目標とする期間で、5年間のうちにすべて終わるのか、それともこれは何年計画でいったらいいとかいう、そのタイムスパンですね。ただ、こうあるべきだとかというのではなく、そういう観点からのご議論はあるのでしょうか。
村井臨時委員  未来に向けて、今先生がおっしゃったような力をつけるためには、インターネットそのものが大変グローバルな空間ですので、そこに対する大きな貢献、あるいはリーダーシップ、こういったものが取れていくような力を本質的に持たなければいけません。そのための戦略的な方法が幾つかあるわけですが、基本的に大変重要な基盤技術あるいは応用技術、そして、その著作権を通じたコンテンツの流通、こういったところでのリーダーシップを持たなければいけません。これに対して、また未来の予測ということは、最初にお話ししたプロジェクションの問題ですから、いろいろな議論があるということではありますが、これは幾つかの大変厳密な議論の中である予想を立てたのが、このIT戦略会議の諮問の中で出てきた、e−Japan戦略のもとになるあれだったと思いますけれども。これが2005年というターゲットにした理由は幾つかのことがあるのですが、基本的には、今のブロードバンド技術等々、IPv6がレディーになるのが今年、そこからいろいろな技術の入れ換え等が起こるのに、これは2年間かかるだろうと思います。そうなってくると、あと1年間のいろいろな発展と成熟ということの中で、やはり5年で世界に対して貢献ができ、あるいはさまざまな技術の普及・発展に関する基盤ができ、そして、その結果が出るという辺りの目標設定が2005年になったのは、そういった経緯の議論からでございました。
  したがって、今この全体の答申に関しまして、IT戦略会議から出てきた、この5年以内の世界最先端のIT国家の実現というターゲットは、今でもちょうどいいターゲットだなと私は個人的には思っております。ただし、これは今のIT戦略本部でも議論されていますのは、今この時点でこれがいいと思います。これが来年になったときに、これがもうちょっと前倒すべきなのか、先に時間かかるのかということは、またそれぞれ出てくる、非常に変動の多いことですので、これを慎重に見極めつつ、やはり定期的に見直しながら、このターゲットを決めていくのが大事だという議論も背景にあって今回の答申になっているということでございます。
根元委員  ありがとうございました。
秋山会長  そのほかございませんか。
  副大臣、どうぞ。
小坂副大臣  ただいまの村井委員から、考え方をまとめたような形でお話をいただきましたが、IPv6の現状につきまして、今、村井先生からお話ありましたように、少し前倒しが必要なのではないかという根元さんのご指摘もありますので、そういった点につきましては、今までも、村井先生初め戦略会議の皆さんのご提言もありまして、日本はIPv6に関しては世界に今最も先駆けて取り組んでいると思うわけでございますが、さらにICANNとか、あるいはITの側面的な支援も得ながら、日本としてIPv6の導入に向けて、まずは国内の整備、そして対外的な対応についてなお一層力を入れていきたい、こう思いますし、村井先生ご指摘のように、グローバルアドレスを持ったとたんに、家電を買ったら、今度はその人が引っ越しても、引っ越した先がわかっちゃうというようなことにもなるわけでしょうから、そういった意味のいろいろな意味のセキュリティをあわせて考えていかなければいけないという問題も同時発生すると思いますので、そういった問題にも的確に対応するように、また答申については、後ほどコメントいたしますが、とりあえずそんなことで、認識を新たにさせていただきたいと思いました。
秋山会長  どうもありがとうございました。
  それでは、諮問第3号につきまして、原案どおり答申させていただいてよろしゅうございますか。
(「異議なし」という声あり)
○秋山会長  それでは、ご異議がないようでございますので、本案をもちまして中間答申とすることといたします。

電気通信審議会諮問第47号「電気通信事業法の一部を改正する法律(平成9年法律第97号)附則第15条を踏まえた接続ルールの見直しについて」

秋山会長  続きまして、電気通信審議会諮問第47号「電気通信事業法の一部を改正する法律(平成9年法律第97号)附則第15条を踏まえた接続ルールの見直し」について審議いたします。
  本件は、平成12年10月に電気通信審議会に諮問され、12月に第一次答申が出されましたが、本年1月以降は情報通信審議会に引き継ぎ、専門的知見が蓄積されております電気通信事業部会において精力的に、かつ専門的にご審議いただき、第二次答申案を取りまとめていただいたものでございます。
  それでは、答申案につきまして、齊藤電気通信事業部会長からご報告をお願いいたします。
齊藤会長代理  それでは、資料2に従いまして、諮問第47号の第二次答申ということでご報告させていただきたいと存じます。答申そのものは、「接続ルールの在り方について」という二次答申ということで大変分厚いものが、これはパブリックコメントの状況も踏まえまして整理されているものでございます。大変厚うございますので、それにつきましては、二次答申の概要を基本的に参照しながらご説明させていただきたいと存じます。
  今、会長からお話がございましたように、これについては、昨年の12月に電気通信審議会に諮問が行われたものでございます。そこにございますように、もともとは1997年の電気通信事業法に記述されました接続ルールに従いまして、接続ルールを具体化する省令を平成9年につくったわけでございますが、その省令の中に、3年後に見直しをすることが定められているわけでございまして、附則第15条というのはそのことでございます。その諮問を受けまして、昨年じゅうに第一次答申を郵政大臣にこの審議会から提出したということでございます。第一次答申では、指定通信設備の範囲を、今まで局間設備に関しては電話に限っていたということでございますが、それをデータ伝送設備に入れるとか、移動体通信設備について市場支配力に着目したルールを導入する、あるいは光ファイバ設備についてダークファイバの提供を行う、そういったことについて提言が行われたわけでございますが、第一次答申では、とりあえず12月までにまとまったことのほかに、更に継続的審議をするべき事項が列挙されておりまして、それについて本年1月から審議を行ってきたものでございます。それで、第二次答申案を草案として5月にまとめたわけでございますが、それを電気通信事業部会で審議し、取りまとめたものにつきまして、2回にわたり意見招請をいたしまして、その結果に基づきまして幾つかの修正を加えまして第二次答申にしたものでございます。
  第二次答申はお配りしているとおりでございますが、この答申の前半は、今申し上げたようなことも含めて接続制度の現状というようなことにつきまして、かなり長いページ数を割いて、問題の整理、あるいは今までの経緯などについての解説が加えてございます。接続制度はどういうふうになっているのかということを改めて振り返りますときには、大変いい教科書になっておりますので、ぜひ、これを保存版にしていただいて、教科書にしていただくとよろしいんじゃないかと思います。1〜72ページが大変よくまとまった教科書になっております。73ページ以降が、新たなものでございます。いろいろなことがございますが、非常に多岐にわたりますので、主な点だけを説明させていただきたいと存じます。
  1つは、光ファイバ設備にかかわる地域別の接続料の設定に関してどう考えるのかということでございます。現在、接続料はほとんどのもので全国均一料金になっておりますが、光ファイバについてそれをどうするのかということでございます。これについての結論は、当面は全国均一料金を維持し、地域別接続料設定については、将来の検討課題とするというのが、第二次答申の結論でございます。その理由は、光ファイバ設備については、平成12年度末から暫定的に開始されたばかりであるということでございます。要望者である東・西NTTも将来課題として考えると表明しておられます。それから、今回の2001年の電気通信事業法で導入される卸電気通信役務の中で、この光ファイバは非常に重要なコンポーネントを成すと考えられるわけでございますが、その実施状況を見守る必要があるということでございますし、また、こういったことが、将来の電話のユニバーサルサービスに対してどういうふうに与えるかを検討する必要があるということでございます。
  もう1つのテーマは、第III章の第2節でございますが、78ページの「定額的な接続料の導入」についてのいろいろな議論がございました。定額的接続料と申しますのは、現在の接続料は、電話に相当して1回幾ら、1秒幾らという接続料でございます。そういたしますと、接続料は時間に比例して上がるわけでございます。これに対して、東・西NTTがi・アイプランのような定額的な料金で販売しているわけでございます。そうしますと、コンペチターは絶対に定額的な通信サービスをできないということでございます。この中で提言いたしておりますのは、接続料にはそれぞれの算定の仕方があるわけでございますが、やはり競争者も定額的な通信サービスができるようにということでございまして、現在のi・アイプランのような定額的エンドユーザサービスができるということであるならば、それから販売活動、商品広告等の営業費を除いたような定額的な接続料を制度としてつくっていただくことは妥当ではないかということで、そういう提言をいたしております。
  それから第III章の第3節でございますが、「公衆網への事業者向け割引料金の導入」でございまして、これはいわゆるキャリアズレートが専用線のみに設定されているわけでございますが、公衆網についてもこれを設定することを提言いたしております。アメリカ辺りでも、地域競争の導入が進んでいるわけでございますが、地域競争事業者の大部分は、それ以前の事業者から卸売で回線を仕入れてそれを再配しているということでございまして、地域サービスの競争の活性化についても、これは非常に重要であるということでございます。
  それから第IV章でございますが、網機能計画制度についての見直しでございます。網機能計画制度と申しますのは、東・西NTTの指定電気通信設備においてネットワークの改造を行うときには、競争事業者がそのネットワークの改造に十分対応できるように、新しい機能を入れるときには、着手の原則200日前に網機能計画の届出と公表をしなければいけないという制度でございます。これについては、競争という観点からは重要なのではありますが、見直しの契機といたしましては、200日間そこで新しい技術が氷漬けになるということで、本来必要でないものについても、このルール上の200日というのがありますと、それだけサービスの導入が遅れるということでございまして、項目によっては、この200日を置かなくてもいいのではないかという議論が、これはNTTからも競争事業者からもそういう意見が出されております。これにつきましての提言でございますが、原則は今後も継続するということでございますが、一部の設備、例えば世の中に普通に売っていルータ等をNTTが導入してサービスするという場合には、運用の簡素化を図る必要があるであろうということで、例えば1か月程度の意見募集期間を設け、その間に意見がなかった場合には、公表期間の短縮を図るというようなことを提言することといたしました。
  それから、第V章の「機能の更なる細分化(アンバンドル)」でございます。100ページ。網機能のどこをアンバンドルとするかについては、技術の進展に応じてアンバンドル要素を増やしていくことが今まで行われているわけでございますが、いわゆるサブループのアンバンドル化。加入者線をNTTの局舎からお客さんのところまでまとめて売るのが今まででございますが、その一部RTまでの機能を使いたいとか、あるいはその先を使いたいとか、NTTの加入者ループの一部をうまく組み合わせてサービスを行ないたい。そういうようなことを含めましてサブループのアンバンドル化が必要であるということで、ルール整備を行うことが適当である旨の提言をいたしました。
  以上が主なところでございますが、更に事務局から、何か補足があれば、よろしくお願いいたします。
秋山会長  事務局お願いいたします。
吉田料金サービス課長  内容については、特に補足することはございませんが、本案が答申されました後の今後の作業見込について、一言ご説明させていただきたいと思います。
  概要で申し上げますと、9〜10ページ、本体で申し上げますと、131〜133ページに書いてございますが、大きく分けて3つの種類がございまして。1つは省令改正をしていくという話でございまして。より具体的に申しますと、会計規則あるいは接続料規則、事業法施行規則と3つございまして。項目によって、それぞれどの省令を直すかというのは移動がございますが、この3つの省令を直していくということで、そこに13年末と書いてございますが、これはこれから、もし仮に本日ご答申いただきましたら、その後、原案を作成し、また事業部会に諮問をし、パブリックコメントをやっていくと。そういう手続を経ますと大体年内ということで書いてあるわけでございます。それから一部14年度にかけてと書いてあるのがございますが、これは、その後、実際に接続料を算定することになりますと、また、その省令改正を受けまして、NTT東・西が実際の接続約款なりを改正しないといけないということで、少し年をまたぐことがあり得るということでございます。
  それから2つ目は、いわゆる7月目途ということで、文書指導となっておりますが、これにつきましては、早々にでも総務省から、NTT東・西に対して文書指導をしていきたいと考えております。
  ただ、3つ目は、いわゆる継続検討ということで、更に研究会を設けるなりして研究をしていくことになっている事項でございまして。これは秋以降、また研究会を立ち上げて検討を進めていきたいと考えているところでございます。
  以上でございます。
秋山会長  どうもありがとうございました。
  それでは、ただいまの答申案につきまして、ご意見、ご質問がございましたら、よろしくお願いいたします。
  特にご意見ございませんでしょうか。
  それでは、ご意見がないようでございますので、電気通信審議会諮問第47号につきましては、本案のとおり答申することとしてよろしゅうございますか。
(「異議なし」という声あり)
秋山会長  ありがとうございました。
  それでは、本案をもちまして第二次答申とすることといたしたいと思います。
  これからカメラ撮りのために報道機関が入室いたしますので、しばらくお待ち願いたいと思います。
(漸次)
  それでは、諮問第3号「21世紀におけるインターネット政策の在り方について」、及び諮問第47号「電気通信事業法の一部を改正する法律(平成9年法律第97号)附則第15条を踏まえた接続ルールの見直しについて」のそれぞれについて、答申をいたしたいと思います。
  副大臣、よろしくお願いいたします。
  答申書。
  平成13年3月28日付けの答申第3号をもって諮問された事案について、審議の結果、別添のとおり中間答申をいたします。
  答申書。
  平成12年12月11日付け電気通信審議会諮問第47号をもって諮問された事案について、審議の結果、別添のとおり第二次答申をいたします。
(秋山会長「答申書」を小坂副大臣に手交)
  
(2) 総務副大臣あいさつ
  
秋山会長  それでは、小坂副大臣よりご挨拶をお願いいたします。
小坂副大臣  総務副大臣の小坂憲次でございます。本日は、片山総務大臣在籍いたしませんので、代わってご挨拶を申し上げる段お許しをいただきたいと存じます。
  ただいま、2件のご答申を賜ったわけでございますが、秋山会長初め情報通信審議会の委員の先生方には、日頃から情報通信行政につきまして、大変ご指導とご支援を賜っておりまして、この機会に心から感謝を申し上げる次第でございます。
  3月28日に諮問させていただきました「21世紀におけるインターネット政策の在り方」につきましては、お話もございましたように、5年以内に世界最高水準のインターネット網の整備促進という国家目標の実現に向けまして、政策の骨格ともなるべきものでありますが、インターネット利用高度化委員会の村井主査、インターネット基盤委員会の大山主査を中心に積極的にご審議をいただきまして、IPv6の利用普及、著作権の保護・利用管理・セキュリティ確保、そしてIXの地方分散、バックボーンコストの低廉化、日本語利用環境整備等具体的な事項につきまして、短期間に大変充実したご答申を賜りました。
  また、5月に草案が提示されました接続ルールの見直しの第二次答申案につきましては、IT時代の潮流に則した接続政策の在り方を規定するものでありまして、電気通信事業部会の齊藤部会長を中心にご審議をいただくなど、所要の手続を経まして、本日あわせてご答申をいただきましたことに、心から御礼を申し上げる次第でございます。
  ご提言いただきました内容を踏まえまして、我が国のインターネット利用環境の高度化や、超高速インターネットの普及促進及びIT時代にふさわしい競争政策の基盤整備に向けて、本答申が有効に機能するような適切な措置を講じてまいりたいと考えております。
  今後とも、一層のご指導とご支援をお願い申し上げますとともに、大変暑い夏でございますが、秋山会長初め委員の皆様におかれましては、どうぞご健康にご留意をいただきまして、ご活躍いただきますよう、心から祈念をいたしまして、私のご挨拶とさせていただきます。本日は誠にありがとうございました。
秋山会長  どうもありがとうございました。
  小坂副大臣におかれましては、所用があるとお伺いしておりますので、どうぞご退席いただきたいと思います。どうもありがとうございました。
  
(3) 報告事項
  「情報通信を活用した地球環境問題への対応」のフォローアップについて
  
秋山会長  それでは、引き続きまして報告事項に移らせていただきます。
  平成10年5月の電気通信審議会で答申いたしました「情報通信を活用した地球環境問題への対応」のフォローアップについて、総務省より報告をお願いいたします。
服部情報流通高度化推進室長  情報通信を利用した地球環境問題の対応のフォローアップにつきまして、お手許の資料3に基づきましてご報告させていただきます。
  このフォローアップは、平成10年度に答申を頂戴いたしました情報通信を活用した地球環境問題への対応の政策提言に基づき、年1回ご報告させていただくものでございます。
  頂戴いたしました政策提言の骨子8項目につきましては最後のページに掲載しておりますが、この8項目に従いつつ、主な平成12年度の実施状況、及び13年度に新たに実施する施策につきまして、初めの2枚に基づきましてご説明させていただきます。
  なお、詳細につきましては、3ページ目以降に掲載させていただいております。
  平成12年度におきましては、政策提言に従いまして27件の施策を実施しております。まず政策提言の1番目の項目でございます「CO2 排出削減効果の期待できる情報通信システムの普及の推進」のうち、情報通信が通勤交通を代替いたしますテレワークの推進につきましては、平成12年度におきましては、テレワークセンターの施設整備事業、スモールオフィス・ホームオフィス支援情報通信システムの開発、SOHOディレクトリ構築支援システムの開発、テレワーク促進税制の延長、パソコンなど特定情報通信機器の即時償却制度、テレワーク・SOHO支援融資制度、テレワークの周知活動を実施しております。
  今年度におきましては、新たなものとして、SOHOディレクトリ構築支援システムの機能高度化、電子計算機の法定耐用年数の短縮に当たっております。また、高度道路交通システム(ITS)の推進につきましては、平成12年度の実施状況は、ITS実現のための情報通信技術の研究開発、ITSスマートタウン研究会の実施、ETCに係る無線通信方式の国際標準化でございます。
  今年度におきましては、物流管理などに利用可能な狭域通信システムの実用化に向けた技術基準の整備を実施するとともに、地域ITS情報通信システムの調査開発、ITS情報通信技術の国際展開に関する調査研究に当たっております。
  次に、普及推進のための法制度の整備等につきましては、平成12年度におきましては、行政手続の電子化の推進、郵便局でのワンストップ行政サービスの推進、電子認証業務に関する制度整備を実施しております。今年度におきましては、新たに総務省申請・届出等手続の電子化推進アクション・プラン」の推進に当たっております。
  以上の施策は、政策提言にございました「物流の情報化の推進」、「環境負荷低減型情報通信システム導入の促進」にも寄与するものでございます。
  次に2ページ目でございます。
  政策提言の2番目の項目である「情報通信事業分野における自主的計画策定の支援」につきましては、これまで、通信・放送業界の6団体に対し、環境自主行動計画の策定を要請し、6団体すべてが自主行動計画を策定済みでございます。
  平成12年度におきましては、いずれの団体におかれましても、策定した自主行動計画に基づいて、エネルギー資源の利用節減、ペーパレス化やリサイクル化などが推進されております。今年度におきましても、各団体の自主行動計画に基づく活動についてフォローしていく所存でございます。
  また、3番目の「情報通信機器の省エネルギー対策及びネットワークの高機能化の推進」につきましては、エネルギー消費の低減に寄与する単電子論理デバイスに関する研究開発成果のとりまとめを実施いたしました。
  次に4番目の「情報通信を活用した地球環境に関する啓発・教育の推進」につきましては、「インターネットを活用した地球環境保護活動支援システム」の研究開発に当たっております。
  更に5番目の「情報通信システムのCO2 排出量や削減効果等に関するデータの蓄積」につきましては、情報通信とCO2 排出に関連するデータの収集・蓄積に当たっております。
  6番目の地球環境に関する観測・計測につきましては、平成12年度におきましては、光や電波を用いた地球環境計測技術の研究開発に取り組みました。今年度におきましては、オゾン層破壊の原因となります、いわゆるフロンなどの微量気体成分の衛星などによる総合的観測技術などの開発に当たっております。
  7番目の途上国との協力、途上国への支援につきましては、APECで作成した「テレワークハンドブック」の公開・周知に当たるとともに、中国と地球環境計測機器の開発などについて共同研究を実施しております。
  最後の「研究開発の推進」でございますが、これまでご説明させていただきました施策の推進に必要な技術の研究開発に取り組んでおります。
  ご報告は以上でございます。
秋山会長  どうもありがとうございました。
  それでは、ただいまの報告につきまして、ご意見、ご質問がございましたら、よろしくお願いいたします。
齊藤会長代理  テレワークというのは、電気通信がCO2 に最も寄与するのはここではないかと私は期待しているのですが。この中にテレワークというのがうまくいくと、110万炭素換算トンだとあるのですが、これは全体の目標のうちの1割ぐらいですか。どれだけ削減するのでしたっけ。どれぐらいこれが寄与できるのかとか。あとのほうのやつは、電気通信がCO2 を出すほうで、こっちはそれを削減しようというほうで、これは純粋に削減になると思うので、少しそこら辺の数字がわかると、電気通信というのはこんなにいいんだと宣伝するのにいいんじゃないかと思って、その勉強のために伺っているのですけれども。
服部情報流通高度化推進室長  1999年の我が国におきます排出量は12億トンでございます。先ほど数値というお話がございまして。例えば京都議定書におきましては、6%の削減。これは90年比でございますので、必ずしも比較はできないわけでございますが、そうしたものが1つの目安になるのではないかと思っております。
齊藤会長代理  そうすると、7000万トンぐらい削減しなければいけないのに、テレワークは110万トンしか削減しないのかと。残念ですね。あんまり期待できないということですね。
秋山会長  塵も積もれば山となりますから。
齊藤会長代理  もう少しいきそうな感じもするのですけど。
  ありがとうございました。
中川委員  大変魅力的なことで、私もぜひこういう方向にいってほしいと思っているのですが、最近のカリフォルニアの大停電とかいろいろ問題があった中には、結局、IT産業が非常に電力を使っているのではないかという話があって。これはどういうふうにプラスもあればマイナスのあるのかと、その辺はいかがなのでしょうか。
服部情報流通高度化推進室長  おっしゃられるとおりだと思います。そういう増やすような要素となる一方で、例えば我々専門誌等で、どういう事例があるのかといろいろ見ているわけでございますが、例えば物流でございますが、こういったものにつきましては共同配送することによって、帰りにほかの会社の積み荷を積むとか、こういったことで削減効果等も出ているようでございます。プラスの効果が大きいのか、マイナスの効果が大きいのかというのは、ちょっとまだ私どもはわかっておりませんけれども、削減効果というものもいろいろ出ているようでございます。
秋山会長  そのほかはございますか。
  それでは、ご意見がないようでございますので、本日の会議は、これをもちまして終了させていただきます。
  なお、次回の総会は、当初9月26日を予定しておりましたが、10月3日(水)午後2時からに変更させていただきたいと思います。場所は、この第1特別会議室で開催する予定でございますので、よろしくお願いいたします。
  
閉会
  
秋山会長  それでは、本日はどうもありがとうございました。
 



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