意見募集
別 紙

高速デジタルアクセス技術に関する研究会中間報告書(案)の概要


第1 中間報告書の意義

 東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社(2社を総称して、以下「NTT地域会社」という。)のMDF等で他事業者が試験的な接続を行うことにより、DSLサービスをはじめとする様々なサービスを提供することが可能かを確認するため、NTT地域会社は平成11年12月(予定)から1年間程度、MDF等における試験的接続を実施する予定である。
 「高速デジタルアクセス技術に関する研究会」では、このMDF等での試験的接続における技術的課題の検討を行い、その接続条件を規定した。
 本中間報告書がMDF等で試験的接続を行う場合のNTT地域会社が定める接続条件に反映されることが期待される。

第2 DSLの位置付けについて

 DSLを加入者回線の光ファイバ化計画完了までの間、高速化を実現する技術の一つとして位置付け、その技術的課題を解決し、早期導入と全国展開を推進することが重要であるととらえている。さらに、DSLの早期導入により、ユーザの加入者回線の高速化への需要を一層高め、光ファイバ化への移行を加速することが期待される。

第3 MDF等での試験的接続によるDSLサービスの実施に当たり規定する条件

1 基本的考え方

(1) 試験的なDSLサービスの実施に当たっての基本的方針
 ア  NTT地域会社は原則として、接続事業者から要望のある全ての接続箇所及びDSLの方式等について、特別な理由がある場合(注)を除き、これらを実施しなければならない。
 「特別な理由がある場合」とは、電気通信設備の接続に応ずるための電気通信回線設備の設置又は改修が技術的又は経済的に著しく困難な場合等のことである。

 イ  実施エリアについては、NTT地域会社が計画している実施エリアを基本とするが、接続事業者から要望があったエリアについては、NTT地域会社はDSLサービスの提供ができるように努めなければならない。

(2) DSLサービスの事業展開に必要な情報の開示について
 DSLサービスの事業展開は、ISDNの提供状況や加入者回線の光ファイバ化計画と密接な関係があることから、NTT地域会社は接続事業者の要求に応じて、その事業展開に必要となる情報について、可能な限り提供しなければならない。

(3) 試験的なDSLサービスの提供に当たっての公平性の確認について
 NTT地域会社が接続事業者に対して故意に芯線の収容環境を悪化させること等の公平性を欠く対応がないかを接続事業者が確認する方策について検討を行う必要がある。

(4) NTT地域会社の加入者交換局舎内への立入りについて
 接続事業者が、NTT地域会社の加入者交換局舎内にコロケーションをしているDSL装置等の点検や試験サービスの実施状況等を確認するために局舎内への立入りを要望する場合、NTT地域会社はこの要望に応じなければならない。

2 接続の条件

(1) 事業者間の接続条件について
 ア  電話品質の保証のための条件
 電話品質を保証するために規定すべき接続条件の項目として、スプリッタの入出力間における周波数特性、スプリッタの雷サージ耐量、直流抵抗等の電気的特性を定めた。

 イ  ユーザ宅内における事業者間接続の条件
 接続事業者がユーザ宅内のDSLモデムとスプリッタを設置する場合に規定すべき接続条件の項目として、インピーダンス特性、電気的特性を定めた。

(2) 芯線の収容について
 なるべく多くのユーザがDSLサービスを利用できるようにするため、原則として、芯線の収容制限は行わないが、芯線の収容が適正に行われたものであるかを接続事業者が確認する方策について今後検討を行う必要がある。

(3) 漏えいに関する対処について
 DSLサービスは線路設備環境や収容環境等によって、その提供が制限されたり伝送が低下する場合があることが一般的であるため、DSLサービスと他の回線サービスの間で漏えいが生じた場合には、DSLサービスの側において漏えい防止等の対処を行う。ただし、そのような場合、NTT地域会社は接続事業者からの要望に基づき、漏えいが最小限になるような可能な限りの措置を講じなければならない。

3 端末設備の接続の条件

 ユーザ宅に設置される端末装置は、DSLサービスを実施する電気通信事業者が自ら設置する場合と、電気通信事業者が指定するDSLサービス用の端末装置をユーザが直接購入する場合が想定されるが、いずれの場合も端末設備の接続条件はDSLサービスを提供する電気通信事業者ごとの技術的条件として規定するのが妥当である。

4 適正な接続料又はユーザ向け料金の設定等について

 DSLサービスを提供するにあたり、加入者回線に係る接続料又はユーザ向け料金並びにコロケーション料金等は接続事業者の事業計画や収益に与える影響が大きいことから、NTT地域会社がこれらの料金を設定する場合、以下の事項について算定根拠の情報開示又は検証がなされることが必要である。
(1) 加入者回線の費用負担
(2) ITU標準のAnnexC準拠の装置を使用する場合におけるISDNと同期をとるためのクロック利用料金
(3) MDF装置の新設又は改修費用
(4) 回線の収容変更費用
(5) コロケーション費用(委託保守・委託運用費用)
(6) DSLサービス提供にかかるその他の諸費用等

第4 今後検討すべき課題

 加入者回線の一部又は全区間が光ファイバ化されると、DSLサービスの提供は不可能となるため、DSLサービスを提供する接続事業者が光ファイバ化後もDSLサービスと同等以上のサービスを継続して提供できる仕組みが必要であり、以下のような方策等について今後早急に検討する必要がある。
(1) メタル・光ハイブリッドシステムで利用可能なDSL装置の開発(別添図参照)
(2) 光化後のアンバンドル化の速やかな実施



DSLサービス



加入者回線の光ファイバ化後の対応例


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