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平成10年2月 日
郵   政   省



WTO基本電気通信交渉について


     
  1. WTOの概要
    (1)  WTO(世界貿易機関:World Trade Organization)は、ウルグアイ・ラウンド妥結を受けて平成7年(1995年)1月1日に成立した、多角的貿易協定の実施のための国際機関。
    (2)  従来からモノの貿易を規律していた「関税及び貿易に関する一般協定」(GATT)に加え、新たに「サービスの貿易に関する一般協定」(GATS)を締結。
    (3)  いずれも、各国の貿易障壁を最小限とすることを目的とし、各国に残された貿易障壁を交渉の積み重ねを通じて縮減を図るもの。

     
  2. WTO基本電気通信交渉
    (1)  意義等
     ウルグアイ・ラウンド後の継続交渉の1つ
     電話事業等の基本電気通信サービスの世界的な自由化により、各国において競争の導入、料金の低廉化、サービスの多様化等を図るもの
    (2)  交渉経緯
     当初、平成8年4月30日とされていたが、各国の自由化約束の内容及び数が不十分であると米国が主張したため、平成9年2月15日に延期
    (3)  交渉結果
     平成9年1月、2月会合において、多くの国から自由化約束の提出、改善が行われ、最終的にWTO加盟130か国中69か国が自由化約束を提出し、交渉期限の昨年2月15日に合意が成立。
    (4)  我が国の取組み
     我が国は、第一種電気通信事業者(NTT、KDDを除く)について、無線局も含め一切の外資規制(直接・間接とも)の撤廃を平成8年4月の段階で率先して提案するなど、交渉の成功裡の終結に向け、積極的に貢献
    (5)  交渉成功の意義
    開発途上国も含め、自由化が電気通信分野の原則として確立
    電気通信分野も相互主義でなく最恵国待遇原則を適用
    適切な規制の在り方についての基準が確立
    マルチによるWTOの紛争解決の枠組みを適用

     
  3. 合意の発効
    (1)  一部の国の受諾の遅れから発効日の決定が遅れていたが、本年2月5日から発効。
    (2)  合意の発効に伴い、我が国は第1種電気通信事業者に係る外資規制を撤廃。
    (3)  各国においても、合意の内容に則して自由化を実施することが求められているところであり、各国の合意の履行状況をを注視していくことが必要。




WTO基本電気通信交渉 オファー提出国・地域


1 アンティグァ・バーブーダ    36 グァテマラ
2 アルゼンティン 37 香港             
3 オーストラリア 38 ハンガリー
4 バングラデシュ 39 アイスランド
5 ベリーズ 40 インド
6 ボリヴィア 41 インドネシア
7 ブラジル 42 イスラエル
8 ブルネイ 43 ジャマイカ
9 ブルガリア 44 日本
10 カナダ 45 韓国
11 チリ 46 マレイシア
12 コロンビア 47 モーリシァス
13 コートジボアール 48 メキシコ
14 チェコ 49 モロッコ
15 ドミニカ 50 ニュー・ジーランド
16 ドミニカ共和国 51 ノールウェー
17 エクアドル 52 パキスタン
18 エル・サルヴァドル 53 パプア・ニューギニア
  (EU) 54 ペルー
19   オーストリア 55 フィリピン
20   ベルギー 56 ポーランド
21   デンマーク 57 ルーマニア
22   フィンランド 58 セネガル
23   フランス 59 シンガポール
24   ドイツ 60 スロヴァキア
25   ギリシャ 61 南アフリカ共和国
26   アイルランド 62 スリ・ランカ
27   イタリア 63 スイス
28   ルクセンブルグ 64 タイ
29   オランダ 65 トリニダッド・トバゴ
30   ポルトガル 66 テュニジア
31   スペイン 67 トルコ
32   スウェーデン 68 米国
33   イギリス 69 ヴェネズエラ
34 ガーナ
35 グレナダ
  計 69ヶ国
  (EUを15ヶ国とする)

(注1) WTO加盟国:131か国・地域と欧州共同体 (97.10.22現在)
(注2) 太字は合意をまだ受諾していない国(98.1.30現在 12か国)
(注3) なお、上記の69か国のほかに、バルバドス、キプロス、スリナムの3か国が基本電気通信交渉終了後に自由化約束を提出。




WTO基本電気通信交渉の合意に伴う義務


1 各国共通の義務

「サービスの貿易に関する一般協定(GATS)」上次のような義務が発生。
但し、各国が個別にその義務を免除することが可能。
1)最恵国待遇・・・・・・・ どの国の事業者も平等に扱うこと。
2)市場アクセスの確保・・・ 市場を自由化し、外資を制限しないこと。
3)内国民待遇・・・・・・・ 外国事業者を内国事業者より不利に扱わないこと。
2 主要国の自由化約束の概要

国 名 概     要
日 本 第一種電気通信事業者(NTT、KDDを除く)について、無線局免許を含め、一切の外資規制(直接・間接とも)を撤廃
(NTT、KDDに対する現状の20%の外資規制を維持)
米 国 間接投資についての外資規制を撤廃
(無線局を利用する電気通信事業者に対する直接投資は20%まで)
外国政府、外国人、外国企業が自ら無線局を利用して電気通信事業を行うことは認められない。
インテルサット、インマルサットへのアクセスにつき、コムサット(特殊法人)経由を義務付け
E U 原則として1998年から自由化(外資規制も撤廃)。ただし、
フランス : 無線局を利用する電気通信事業者に対する直接投資は20%まで
ポルトガル: 25%の外資規制を維持。2000年から自由化
ギリシャ :2003年から自由化
アイルランド:2000年から自由化
カ ナ ダ 直接投資20%(間接投資を含めて46.7%)まで外資の出資が可能
1998年10月から国際通信を自由化
2000年3月から固定衛星通信を自由化
メキシコ 49%まで外資の出資が可能
オーストラリア テルストラは11.7%、ヴォーダフォンは49%まで外資の出資が可能
韓 国 33%まで外資の出資が可能(2001年からは49%)
韓国テレコムは20%まで外資の出資が可能(2001年からは33%)
国際単純再販は1999年から49%まで外資の出資が可能(2001年からは100%)
香 港 地域通信は4社のみ。追加免許を出すかどうか1998年に検討
シンガポール 直接投資49%(間接投資を含めて73%)まで外資の出資が可能
2000年4月から自由化