株式会社アソビズム
【目的】
株式会社アソビズムの教育事業、未来工作ゼミ(以下本報告書内では未来工作ゼミと記載)では、プログラミングをはじめとするICTを問題解決に役立てる発想そのものの育成が重要であると考えている。
本事業では、自分で開発したアプリケーションを使って身近な課題を解決することを、発想から開発まで一貫して行い、ものづくりの実践を通してプログラミングを学ぶ手法の検証と、実施できるメンターの育成を行う。
【背景】
一般的にプログラミング学習に関して、教育者や受講者、または受講者の保護者も、コーディングの技術のみに着目するパターンが多く見られている。アプリケーション開発の楽しさや、困難を達成した時の喜びを経験しないままに、構文や手順を暗記させるようなプログラミング学習では、興味関心を得る前に挫折してしまうのではないかと考えられる。
本来必要とされているプログラミング的な思考を養うためには、特定のプログラミング言語や、技術的な理論の学習からではなく、より身近な問題をICTの活用により解決したという幼少期の成功体験が必要なのではないかと考えた。
【実施内容】
本事業では開発講座として、メンターと受講生徒で数人ずつのチームを組み、アプリケーション開発を行う。また今回のモデル実施ではクラブ活動や放課後の教室などある程度時間を自由に使える教育課程外の運用を想定している。開催する期間や時間を調節することで教育課程内の運用も可能である。
受講生徒が属する学校の先生に「学校で困っていること」を無作為に上げてもらい、それをテーマとして、学校の困っていることを解決するアプリケーションを開発する。暑い、寒い、などの物理的なことも課題のスコープに入る可能性があるので、それをどのようにパソコンで解決するか。という発想が一番のポイントとなる。
1.メンター育成講座
教育用プログラミングツール『Scratch』を利用して演習を行い、メンター育成と受講生徒との親密化をはかる。
2.アイディアソン、アプリ開発
学校別に、3~5日(6~7コマ)をかけて、アイディアの発想から実際のアプリケーション開発。学校別に発表会までを行う。
3.全体発表会
対象の学校をすべてテレビ電話(Skypeを予定)でつなぎ、全体でどのようなアプリを開発したかを発表する機会を設ける
4.信州未来アプリコンテスト
作成されたアプリは、長野県長野市にて毎年末に行われる「信州未来アプリコンテストゼロ」へと応募する。
以下のスケジュールで進行した。
本モデルでは技術的なプログラミング講座よりも、アプリケーションを発想から開発まですることに重きを置いた。開発工程を体験することにより児童からプログラミングに対する抵抗を減らし、よりポジティブなイメージを持ちつつ、達成感を得てもらう事を目標としている。
さらに経験をしたことで興味関心が高まり。成長した際に、母校の小中学生を指導できるような、人材の循環が起きることも期待している。
本モデルでは、小中学生によるアプリケーション開発講座の効果的な運用方法と、それを運用するメンター育成の両面から目標を設定する。今回の実証における本モデルの達成基準は以下のとおりである。
<プログラミング講座>
<メンター育成>
本実証事業の採択前に、あらかじめ長野県内教育委員会より興味のある学校を抽出してもらった。
期間にして2017/1/31ころまでに内定していた。
実証の対象となる小中学校(以下実証校)の近隣にある情報系の授業のある学校を対象とした。
実証校は北信地域、南信地域にそれぞれあるため、地域ごとに選出した。
北信地域:長野工業高等専門学校 希望生徒3名
南信地域:飯田OIDE長姫高校 パソコン技術部 商業科10名 工学科10名
長野県内教育委員会にて、プログラミング学習に興味のある小中学校を抽出してもらい、その周辺の情報系の授業のある学校で、メンター輩出に興味のある高校、高専、大学に手を上げてもらった。
今回講座に参加する受講生徒が、将来的に情報系の道に進もうと考えた時、本事業での体験から、メンターがお手本となれるように、実証校の近隣に当たる高校、高専を対象とした。これにより、将来本事業で興味関心を持った生徒が、メンターとして母校に"凱旋”するような循環が生まれることも期待している。
メンターには極力、情報系のカリキュラムを受講し、また、適宜連絡事項など伝達を行うため同一の指導教員の下に所属する高校生・高専生を対象にしてもらった。
メンターの研修には「事前講習」、「事後講習」、「基礎ワークショップ」、「ハッカソン」を実施。(研修内容については2.3.2 研修教材参照)
日程については以下の通り。
【長野工業高等専門学校】
事前講習: 5月31日(14:30〜16:00)
事後演習: 5月31日〜7月15日まで
基礎ワークショップ: 6月27日(16:00〜18:00)
ハッカソン: 7月15日(10:00〜18:00)
【飯田OIDE長姫高校】
事前講習: 6月1日(15:50〜19:00)(全体20名)
事後演習: 6月1日〜7月1日まで
基礎ワークショップ: 6月3日(9:00〜11:30)(商業科10名)
6月24日(9:30〜11:30)(商業科10名)
6月30日(16:30〜17:40)、7月14日(16:30〜17:40)(工学科10名)
ハッカソン: 7月1日(10:00〜18:00)(全体20名)
以下の内容での研修を行った。
1.事前講習 | 未来工作ゼミスタッフが講師となり、3に準じた内容のワークショップを行う。 |
---|---|
事前知識としての、注意点や心得などの講義も同時に行う予定。 | |
2.事後演習 | 未来工作ゼミのScratchワークショップで利用しているテキストを各自に配布。各自自習をしてもらう。 |
同じくゼミでScratchの技量評価に使っているテストもオンライン受験してもらう予定。質問は随時受付 | |
3.基礎ワークショップ | 実際に担当する学校に出向き、Scratchでゲーム開発するワークショップを行い、交流を深める。 |
※サポートするチーム、メンターを未来工作ゼミ側で確定する。効果測定アンケートを行う。 | |
4.ハッカソン | メンター校生がScratchを利用したアプリケーション開発(発想→設計→開発)を1日で行う。 |
内容は実証校向けのアイディアソンに準じる。ルール設計、資料の用意は未来工作ゼミで行う。 |
1.事前演習の様子
▲未来工作ゼミで扱っているScratchでゲーム開発を行うテキストを使用。
2.事後演習の課題例
▲未来工作ゼミで使用しているテスト例。要求される要件をクリアすることが目的。
3.基礎ワークショップの様子
▲メンターと児童生徒間のコミュニケーションを円滑に行えるようアイスブレイクを行った。
▲基礎ワークショップではメイン講師を未来工作ゼミスタッフ、メンターは児童生徒のサポートを行った。
4.ハッカソンの様子
▲メンター人数により個人またはチームで、半日かけてアプリの企画から開発、発表までを行う。
▲開発するアプリは実際に学校の教員が抱えている身近な問題を解決できるものがテーマとなっている。
本育成においては、コミュニケーション計画を策定し、クラウドツールを活用。スケジュールや問題の把握が円滑になるよう調整した。
他地域で応用する際気をつけたい点として、長期的な期間で実施し、学生をメンターとする場合、学校行事や大会などにより講座の延期や欠席がしばしばあった。事業の取り組みや意義、参加のメリットを学校や保護者に対し充分に行う必要がある。
(以下、「アプリケーション」を「アプリ」と表記)
会場と日程については以下の通り。
【信濃町小中学校】
基礎ワークショップ:6月27日(16:00〜18:00)
開発講座: 8月7〜9日(各日程14:00〜16:30)
【鼎中学校】
基礎ワークショップ: 6月3日(9:00〜11:30)
開発講座: 8月17〜19日(各日程9:00〜11:30)
【緑ヶ丘中学校】
基礎ワークショップ: 6月30日、7月14日(各日程16:00〜17:40)
開発講座: 8月28日〜9月1日(各日程16:30〜17:40)
【天龍小学校・天龍中学校】
基礎ワークショップ: 6月24日(9:30〜11:30)
開発講座: 8月1日、2日、4日(各日程9:30〜12:00)
以下の内容で演習、講座を行った。
1.開発演習 | メンター研修として行った基礎ワークショップを受けて、Scratchワークショップ用テキストを配布。 | |
---|---|---|
自主的に学習してもらう。未来工作ゼミ側で質問は随時受け付け。内容はメンターにも共有。 | ||
2.開発講座 |
2-1 アイディアソン |
アイディアをまとめる会を実施する。チームと担当するメンターを割り当て、グループごとに参加。 |
メンターがチームの一員として参加する。各校1回程度開催。 | ||
2-2 アプリの開発 |
まとめたアイディアを実際に開発。ある程度の設計はメンターと未来工作ゼミで実施しておく。 | |
講座当日メンターは開発の補助を行う。合計で各校2回程度開催。 | ||
2-3 アプリの仕上げ |
アプリを仕上げる。実際はほぼ完成しているアプリを仕上げ、動作させる事が主目的。 | |
使用者や周りの人間が積極的にレビューして内容のブラッシュアップを行う。各校1回開催。 | ||
2-4 発表会 |
開発したアプリのプレゼン資料を作成する。テンプレートは未来工作ゼミで用意。 | |
作成後は実際に発表。各校1回開催。また後日テレビ会議を利用した全体発表会を予定。 |
2.開発講座の様子
▲学校の教員の身近な問題に対し、どういった糸口で解決し、どうアプリへ落とし込むかをチームで設計する。
▲チームで役割を分担しアプリを開発し、作品は最後に発表を行う。完成したアプリはコンテストにエントリーする。
▲アプリ制作において実際に利用したシート
(発表に用いたシートなどは別添参照)
●信濃町立信濃町小中学校
チーム「四太郎」 アプリ名「Bookナビゲーター7」
解決する課題:学校の図書館が暑い
解決方法:目的の本の位置を示すアプリを制作することで図書館にいる時間を短くする
1.「こんにちは、ジャンルを選んで下さい」のナレーションと共に探している本のジャンルを選択する
2.選択したジャンルのオススメや在庫のリストが表示される。
3.図書館の地図画面に移行し、出入り口から目的の本のある棚までのルートを案内する
チーム「ペン」 アプリ名「洒落凍LD(シャレコールド)」
解決する課題:学校の図書館が暑い
解決方法:図書館の入口に「寒い」ダジャレを言うアプリを置くことで図書館を涼しくする
1.画面左から、ダジャレを発言するキャラクターが画面右方向へ、歩くアニメーションと共に移動する。
2.ナレーションと共に「寒いダジャレ」が表示される。ダジャレを言われた画面右キャラクターがアニメーションで凍りつく。
3.時間経過とともに凍りついたキャラクターの氷が融解。その後1に戻り以降繰り返しとなる。
チーム「ペンギン」 アプリ名「ペンギンルーレット」
解決する課題:児童生徒たちに、もっと校庭など外で遊んでほしい
解決方法:外遊びの種類を楽しく決められるルーレットを制作し、外で遊びたくなるようにする
1.アプリ起動後、画面中央のイラスト、ペンギンのクチバシ部が回転を始める。
2.キー入力によってルーレットが停止、クチバシの先が示す遊びを、ナレーションにより発表する。
●飯田市立緑ヶ丘中学校
チーム「シアター」 アプリ名「提出物確認システムアプリ「カクテム」」
解決する課題:学校で生徒全員分の提出物の確認が大変
解決方法:クラスごとに提出率をカウントすることで、対抗心を出すことで全員が提出物を出すようにする
1.提出する課題の種類を確認し、学年やクラス、性別を入力する。
2.提出された課題に応じて、当該クラスの課題提出率が男女別に表示され、提出率に関し評価点が与えられる。
3.2の結果を受けて、クラス内で課題を提出した生徒の男女比を円グラフで表示する。
チーム「スカイピース」 アプリ名「ペンタゴン」
解決する課題:学校で生徒全員分の提出物の確認が大変
解決方法:提出物制を廃止し、自宅で楽しく勉強できるアプリを制作する
1.国語、数学、理科、社会、英語の5教科の内、挑戦したいゲームの教科を選択する。
2.教科ごとにゲームジャンルが分かれ、それぞれのゲームルール内で選択問題を回答する。
3.ゲーム終了後、正答数に応じて、スコアや、ゲームキャラクターの反応などが変動する。
チーム「トライアングラー」 アプリ名「奇跡の席替え〜運命的な出会い〜」
解決する課題:班決めを手早く行いたい
解決方法:わくわくする席替えアプリを制作し、現行のくじ引き方式よりも回転率を良くする
1.アプリ起動時にルール説明がされる。
2.ダーツとルーレットによって、まずユーザの所属する班を決定する。
3.最後にサイコロによって班内の席順を決定する。男女を入力することで、席順が男女交互になるよう設定。
●飯田市立鼎中学校
チーム「エビフライ」 アプリ名「クスッと笑えるおしゃべりtalk」
解決する課題:席替え後、同じ班の人とお互いを知り仲良くなりたい
解決方法:質問やクイズなどを提供する司会者の役割を持つアプリを制作し、オリエンテーションを円滑に行う。
1.タイトル画面。アプリからの提案を、質問、クイズ、話題提供の3種から選択できる。講座では「質問」のみ制作。
2.アプリより提供される少し変わった質問(「好きな毛布は?」など)を中心にユーザ全員が回答する。
3.全ての質問が終了後、一番面白かったと思うメンバ、「MVP」をユーザに投票させる。
チーム「βチーム」 アプリ名「漢字テストβ」
解決する課題:教員の漢字テストの作成が大きな負担である
解決方法:漢字テストをアプリで行うことでプリント作成の手間を大きく省く
1.タイトル画面。漢字テストの出題範囲を、級別に選択する事が出来る。講座では「一級」のみ制作。
2.読みや書きなどの問題がランダムに出題される。画面右上の時間内に出来るだけ多く正解できるよう回答する。
3.一定時間経過後、漢字テストの正解数と、テスト受験者のランキングに応じたユーザの順位が表示される。
チーム「Cチーム」 アプリ名「ランダナゾロ」
解決する課題:席替え後、同じ班の人とお互いを知り仲良くなりたい
解決方法:参加者の自己紹介を面白おかしく変換することで、楽しく、多くのテーマでの自己紹介を誘う。
1.タイトル画面。アプリタイトル「ランダナゾロ」は本アプリによって生成された。
2.アプリ起動後テーマがルーレットによって決定する。参加者はテーマに沿った単語を1人ずつ入力していく。
3.参加者全員が入力したそれぞれの内容を混合し、単語化する。その後参加者全員で単語の面白さを評価する。
(画像では好きな動物に対し「ウサギ」「ライオン」「マントヒヒ」を入力後、『ウオンヒ』が生成された。)
●天龍村立天龍小学校、天龍中学校(合同開催)
チーム「strong」 アプリ名「図形電太くん」
解決する課題:児童生徒の持つ図形問題に対する苦手意識をなくしたい
解決方法:図形の問題や公式を教えてくれるアプリを制作し、児童生徒に親しみを持ってもらう
1.平面/立体や直方体/円柱など、求めたい図形の種類を分類から選択していく。
2.、3.選択した図形に応じて、表示されるキャラクターや公式が変わり、数値入力で面積や体積を求める事が出来る。
チーム「テンリュウ」 アプリ名「かいけつろ」
解決する課題:学校の廊下で結露する場所がすべりやすく、危ない
解決方法:天候や気温によって変わる結露しやすい場所を記録し、ハザードマップを表示することで事故を防ぐ
1.アプリ利用日または調べたい日の天気をアイコン選択によって入力する。
2.アプリ利用日または調べたい日の気温をスライドバーによって入力する。
3.1.、2.で入力された情報に基づき、結露しやすい場所を地図上で表示し、目的地までの安全なルートを案内する。
チーム「ビューティフルセブン」 アプリ名「はかるちゃん」
解決する課題:屋外が強風時に窓を開けると、風にあおられたり、プリント類が飛び散ったりする
解決方法:屋外が強風時、警告を鳴らし風の強さを伝えるアプリを制作することで事故を防ぐ。
1.児童生徒たちによって制作されたデバイス。風を受けると2本の扇型のアンテナ部同士が接触し、PCに信号を送る。
2.1のデバイスから信号が送られていない際の画面。
3.1のデバイスが風を受け信号を送っている際の画面。
上記の4校より、計12チームによるアプリが開発された。そこで、11月5日に、実証校児童生徒全員による合同発表会を行った。
合同発表会では全ての実証校より児童生徒を地域の会場へ集め、各会場を中継拠点としテレビ会議で繋ぎ、作ったアプリを児童生徒により発表を行った。テレビ会議にはインターネット電話サービスSkypeを利用した。発表に向けた発表練習は任意とした。
各中継拠点とメンター校、発表校の組み合わせは以下の通り。
中継拠点 | 飯田OIDE長姫高校 | 天龍中学校 | 信濃町総合会館 | |
---|---|---|---|---|
メンター校 | 飯田OIDE長姫高校 | 飯田OIDE長姫高校 | 長野高専 | |
発表校 | 緑ヶ丘中 | 鼎中 | 天龍小・天龍中合同 | 信濃町小中 |
合同発表会は2時間半、休憩を挟みながら1チーム当たり8分程の発表時間とし進行を行った。
各チーム、自作したアプリの説明を、実際に動かしながら行い、アプリのポイントや今後の展望などを発表した。
▲合同発表会の様子 テレビ会議で会場をつなぎ、全チーム分発表を行った。
(上段・天龍中学校、下段・飯田OIDE長姫高校)
全チーム発表終了後、各会場に集まった全員による、全てのアプリからグランプリを決定する人気投票を行った。グランプリは3種、児童生徒による生徒賞、メンターによるメンター賞、教員・教育委員会による先生賞を用意し、それぞれレーザーカッターを用い作成した木製のトロフィーを賞品とした。
投票による審査の結果、各賞を受賞したアプリ(チーム)は以下の通り。
上記のとおり、チームスカイピースによる「ペンタゴン」は2重受賞となった。受賞の理由として、チームスカイピースでは、所属するコンピュータ部において事前に発表練習を行われており、寸劇を交えた発表は特に評価が高かった。
これに対しチームスカイピースのメンバからは、「コンピュータ部での活動を3年行ってきた中で、今回の活動は一番楽しかった。発表練習もがんばってきたので、受賞できて嬉しい。」とコメントを受けた。
育成講習 | 開発講座 | 全体発表会 |
---|---|---|
日経新聞 | 南信州新聞 | 中日新聞 |
日経産業新聞 | 信濃毎日新聞 |
(※画像割愛)
児童生徒からは「自分でもアプリを作ってみようと思った」「難しいところはメンターの人が教えてくれて良かった」と、自分から能動的にアプリ制作を行う姿勢が見られるようになったことや、開発講座における自力でやった部分と手助けを受けた部分があったことなどの意見があった一方、「家でやってみたけど難しかった」という、家庭学習におけるプログラミングの利用に関して課題がある事を示唆する意見もあった。
本モデルを普及させる際には、家庭での学習または学校における自習が手軽に行えるようなカリキュラムを組む必要がある。但しその際、家庭におけるPCやインターネットなど普及についても視野に入れなければならない。
メンターからは「生徒が固まっているときにうまく説明やサポートができなかった」「自分も理解していない部分の質問が来るとうまく答えられなかった」等、指導面における反省の意見があったが、「生徒がだんだんと自分で気づけるようになった」「生徒が話し合って解決に向かっていて良かった」と、開発講座を通して児童生徒をよく観察している意見が最終的に得られた。今回の講座を通して、メンターと児童生徒の満足感・達成感に関しては得られたように思う。しかし指導においては、メンターに依る箇所が多く、初めての指導としてメンターが難度を感じる部分があった。これに対しては指導の方法をより一般化し、複雑さを減らすことを目指したい。
保護者に関しては、今回は学校単位での参加となり、保護者によるアンケート回答や参観はなかったため、反応を見る事が出来なかった。
実証校の教員からは、児童生徒の完成させた作品に対し高評価であり、メンターのサポートがあったとはいえ作品を完成させられた点に感心している様子であった。文化祭においてクラブ活動の成果とし完成品を展示するチームも見られた。
また、講座参加児童生徒を募集した緑ヶ丘中学校と、メンターを募集した飯田OIDE長姫高校は、同じ地域の近隣に位置し、今回の講座を通じて、活動としてパソコンクラブ同士の継続的な交流を図るなど、プログラミング講座やチーム制作などの活動に対し意欲的で、今後の展開も様々に考えられる結果となった。
校長や教育委員会からは特に、本モデルの現状の運用方法に対し継続的な運用が可能かどうか疑問に思う意見が多かった。実際に今回の場合であればメンターの力によるものが大きく、専門的な知識をある程度有するメンターが有力であったため、ほとんどの小中学校単体での実施は困難である。学校の教員や地域の人材でも容易に指導ができる運用方法を検討する必要がある。
実施したプログラミング講座において、信州大学教育学部村松浩幸教授協力のもと、長野市のFabLab長野で開発されたデバイスを利用した。当デバイスは電位差を利用してPCへキー入力信号を送るもので、指やアースの接触を検出する事が出来る。
天龍村立天龍小学校のチーム「ビューティフルセブン」が開発したアプリ「はかるちゃん」では、屋外で強風が吹いている際窓を開放すると危ない、という問題を解決するため、屋外で風が強く吹いたとき警告をするアプリを制作した。ここで当デバイスを利用し、2本の扇形のアンテナが風に吹かれたわみ、接触することでPCに信号が送られ警告を発する。本事例などを含めて、FabLab長野でも当該デバイスを学校教育に生かす手段が模索されている
1-8
2-1
2-4
3-1
3-2
3-4
3-3
3-6
3-7
5-1
5-2
5-3
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以上よりメンターは児童生徒への技術的なアドバイスや課題の解決までを導く事が出来たと感じている事が分かる。実際に本モデルにおける講座の目標である、課題を解決する点を満たす事が出来た。この点では本モデルの目的である「メンターが自身の指導対象となる小中学生に対し、充分なまとめ役・先導者として活躍できること。」を満たす事が出来たと考えられる。
同時に、児童生徒の集中を切らせてしまった、ファシリテートやアドバイスがうまくできなかったという回答もあり、これは児童生徒との関わりの持ち方、あるいは年下・後輩への態度の取り方に戸惑いを感じているのではと考えられる。
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以上より継続的なメンターとしての活動に意欲的であることが分かる。
しかし、講座におけるメンターとしての関わり方という点では、未だ1人でメインメンターとしての活動には不安を感じているメンターが多く、本モデルの目標である「今後持続的に講座の指導や運営を行う際のノウハウを会得していること。」に対しては、アプローチが不足していたと考えられる。
本モデルの実施により、<プログラミング講座>の目的、IT機器の仕組みの想像ができるようになったか、課題に対し意欲的にプログラミングに取り組めたか、プログラミングによって課題解決できる可能性に気付けたか、をそれぞれ測定するため、独自にアンケートを実施した。
【アンケート1】
開発講座を受講した3校の児童生徒に対し、開発講座受講前(以下:受講前)と開発講座受講後(以下:受講後)それぞれで、同一内容のアンケートを独自に実施した。
実施したアンケートの各質問項目は以下の通り。
問1. 身の回りで困っている人がいたら、自分で作ったアプリで助けてみたいと思いますか。
4段階評価:(とてもそう思う:4点〜全くそう思わない:1点)
問2. 困ったことがあったら、自分で作ったアプリで問題を解決できると思いますか。
4段階評価:(とてもそう思う:4点〜全くそう思わない:1点)
問3. もし、アプリを作るとしたら、誰のためにどんなアプリを作ってみたいですか。
(自由記述)
問4. あなたの家にある家具や家電製品を、プログラムを使って改造できれば、どんな改造をしてみたいですか。
(自由記述)
【結果】
問1の平均値(有効桁数3桁)
受講前:2.77点
受講後:3.10点
問2の平均値(有効桁数3桁)
受講前:2.47点
受講後:2.93点
問3の回答数
受講前:24個
「自動で宿題をやってくれるアプリ」
「ARを使って体調管理や予定の管理が出来る」
など
受講後:21個
「席替えで互いを理解でき、早く仲良くなるアプリ」
「忘れていたことをスマホと機械で連動してやってくれる」
など
問4の回答数
受講前:18個
「電子レンジの秒数が自動で言ってくれるようにする」
「蛇口が勝手に開いて勝手にしまる」
など
受講後:18個
「お母さんが忙しくてご飯が作れないときに自動でごはんが出てくる」
「着る服を自動的に選んでくれるクローゼット」
など
【考察】
問1「身の回りで困っている人がいたら、自分で作ったアプリで助けてみたいと思いますか。」では、プログラミングに対し意欲的に取り組む姿勢が見られるようになったかを調査した。
受講前と受講後を比較し、0.33点の上昇がみられた事より、プログラミングに対し意欲的に取り組む姿勢が見られるようになったと言える。
これには講座においてメンターを介しチームで課題に対し取り組み、ひとつの制作物を実際に仕上げる事が出来た成功体験、達成感によって得られた結果であると考察する。
問2「困ったことがあったら、自分で作ったアプリで問題を解決できると思いますか。」では、課題に対しプログラミングで解決できる可能性に気付けたかを調査した。
受講前と受講後を比較し、0.46点の上昇がみられた事より、課題に対しプログラミングで解決できる可能性に気付けたといえる。
これには受講前ではプログラミングはよくわからない、自分には難しいと感じていた考えを、チームでアプリを制作し、実際に困っていた学校の先生や身近な人々の課題を解決したことによって、克服あるいは緩和する事ができた結果によるものだと考察する。
問3「もし、アプリを作るとしたら、誰のためにどんなアプリを作ってみたいですか。」では、プログラミングに対する意欲的な姿勢と課題に対しプログラミングで解決できる可能性に気付けたかを調査した。
受講前と受講後を比較し、回答数が3つ減少した。
ここで回答数が減少した事に関しては、プログラミングに対する意欲や気付きが減った、あるいは得られなかったというよりも、書く事が無くなってしまったという印象を受けた。
受講前と受講後で同一のアンケートを取ったため、講座前に、ある程度アイディア等を書ききってしまった児童生徒は講座後回答欄を省くようになってしまったと考えられる。
そこで、モデル実証後半においては講座後に取得するアンケート内容を見直し、設問内容を変更したアンケートを使用した(後述)。
問4「あなたの家にある家具や家電製品を、プログラムを使って改造できれば、どんな改造をしてみたいですか。」では、講座を通して身の回りのIT機器などがどういった仕組みで動いているかを想像できるようになったかを調査した。
受講前と受講後を比較し、回答数に違いは見られなかった。
講座受講前より、本講座に参加するという希望を持っていた生徒であったため、身の回りの品物とプログラミングに対し少なくとも興味を持っていたものと考えられる。
【アンケート2】
8月28日より講座を開催した緑ヶ丘中学校の生徒14名にのみ、より具体的な回答を得られるよう、受講後アンケートの質問項目を変更した。受講後アンケートの内容については以下の通りである。
問1. 開発講座を通して、あなたのアプリやゲームに対する興味についてどう変わりましたか。(複数選択可)
□自分で作ってみたいと思った □アプリやゲームの仕組みに興味がわいた □変わらなかった
問2. 開発講座前と比べて、アプリ開発についてどのように思うようになりましたか。(複数選択可)
□自分でもできそうだと思った □難しかったができるようになりたいと思った □変わらなかった
問3. 今後、身の回りで困ったことがあったら、自分で作ったアプリで解決してみたいと思いますか。(ひとつ選択)
□とてもそう思う □そう思う □そう思わない □全くそう思わない
問4. 開発講座を経験したことで、プログラミングに対する考え方は変わりましたか。(複数選択可)
□好きになった □嫌いになった □もっとやりたくなった
□やりたくなくなった □プログラミングの勉強をしたくなった □将来の仕事にしてみたくなった
問5. 身の回りで困っている人がいたら、自分で作ったアプリで助けてみたいと思いますか。(ひとつ選択)
□とてもそう思う □そう思う □そう思わない □全くそう思わない
問6. もしまた、アプリを作るとしたら、誰のためにどんなアプリを作ってみたいですか。(自由記述)
【結果】
問1. 開発講座を通して、あなたのアプリやゲームに対する興味についてどう変わりましたか。(複数選択可)
□自分で作ってみたいと思った 5点
□アプリやゲームの仕組みに興味がわいた 10点
□変わらなかった 0点
問2. 開発講座前と比べて、アプリ開発についてどのように思うようになりましたか。(複数選択可)
□自分でもできそうだと思った 3点
□難しかったができるようになりたいと思った 11点
□変わらなかった 0点
問3. 今後、身の回りで困ったことがあったら、自分で作ったアプリで解決してみたいと思いますか。(ひとつ選択)
□とてもそう思う 3点
□そう思う 9点
□そう思わない 1点
□全くそう思わない 1点
問4. 開発講座を経験したことで、プログラミングに対する考え方は変わりましたか。(複数選択可)
□好きになった 9点
□嫌いになった 0点
□もっとやりたくなった 5点
□やりたくなくなった 4点
□プログラミングの勉強をしたくなった 2点
□将来の仕事にしてみたくなった 1点
問5. 身の回りで困っている人がいたら、自分で作ったアプリで助けてみたいと思いますか。(ひとつ選択)
□とてもそう思う 2点
□そう思う 10点
□そう思わない 1点
□全くそう思わない 1点
問6.もしまた、アプリを作るとしたら、誰のためにどんなアプリを作ってみたいですか。(自由記述)
「学校生活でいろんな人が困っていることを解決するアプリを作りたい」
「友達のための勉強アプリ」
など
【考察】
問1、問2の結果に関し、受講後、アプリやゲームの仕組みに興味がわいた、難しかったができるようになりたいと思った、という意見が多く得られた点から、児童生徒がプログラミングに対する興味関心を持ち、意欲的な態度を取る事が出来るようになったと考えられる。
また、問3、問5の二問において、「そう思わない」「全くそう思わない」に対し1点ずつ回答が得られている事に対し、問4で「嫌いになった」と答えている生徒が一人もいない事に関して、これは、生徒自身が自分自身のプログラミングによって何かの問題を解決できるという考えまで至る事が出来ていないものと考えられる。そのため、本モデルの目標である、「今後問題や課題に突き当たった際、プログラミングによって解決できる可能性に気づけること。」という点でアプローチ出来なかった、あるいは不足していたと言える。
メーリングリストは各校の関係者に分けたものと、本事業に参加する全校および関係者に送られるメーリングリストの2種を用意し、用途に応じて使い分けるようにした。
各校のメールやインターネットのセキュリティで利用できない場合も考慮して、メーリングリストとクラウドストレージは事前の打ち合わせ時点でメールアドレスの登録やダウンロードの試験などを行い、利用開始ができることを確認してから事業を開始した。
クラウドストレージにより講座時の写真やチラシや資料などのPDFデータもスムーズに受け渡しできた。必要に応じて実証校がアップロード・ダウンロード、編集が自由にできる共有ストレージ(googleドライブ)と、参加校のダウンロード専用であるストレージ(アソビズムファイル共有サーバ)の2種を用意した。
共同で参照できるgoogleドライブは、個別の学校の担当者が利用に慣れていない場合、ファイルの受け渡しに関しては、URLをメールで指定してダウンロードしてもらう様な方法の方が分かりやすかった。
メーリングリストに対し、返答のほしい内容のメールを送信したが一部連絡担当の教員にメールでは伝わらない。という事が序盤に頻発した。受信者が多いメーリングリストの様な情報伝達方法では実証校やメンター校の教員の方が当事者として意識してメールを確認できなかったためだと考えられる。
決定した事項や講座の報告にはメーリングリストを利用し、日程や人数の確認など、個別の連絡には電話を使う事が多かった。
またメールや電話以外のコミュニケーション方法としてチャットツールなどインターネットを用いたコミュニケーションの活用も考えられるが、教員の普段扱うツール以外では定着はしがたいと思われる。
メンター育成の一環として行ったハッカソンでは半日でアプリケーションの構想から設計、開発までを行った。机上では認識できない時間の管理や、アプリケーションの完成をイメージしながら作業を割り振って進める必要がある事などを学ぶ事が出来たため、必要な経験の他にメンターに自信を付けることができた。
メンターを行う際に、特に児童生徒の指導経験がない場合、会話の糸口を探したり、指導の際にどのように導けばいいか気おくれしてしまうような場面が散見された。対処として開発講座開始前に10分ほど時間をとり、アイスブレイクを行った。俗にネームチェーンと呼ばれる、互いの名前を呼ぶ事を目的としたゲームを行う事で、目論見通り自然に名前を呼ぶ事ができるようになり、メンターの堅さが幾分とれたように感じた。
児童生徒に相対した時、教える前にまずお互いに打ち解けられる工夫が重要だと考えられる。
開発講座の各回では、その日のうちに決めることや、取りまとめることを「設計シート」「中間シート」「発表シート」として記載する様にうながすシートを作成した。これにより、どの程度まで作業を進めるべきか、受講生徒も意識でき、また指導するメンターもシートに記入を促す、書き入れるべき事を聞きだす、というやり方をすることで受講生徒と話しだすきっかけにもなった(シートに関しては添付資料参照)。
講座の区切りとなるタイミングでシートを利用してその日の進捗を発表することで、全体に進みや内容をある程度共有できたもの良かった。
発表のシートは有用であると考える。小学生に対しては穴埋め式にすることで、読み上げるだけで発表できるようにする工夫などもすると良い。
実証校となった小中学校では、個別の先生がメールアドレスを持つ事がなく、メールによるコミュニケーションには即応性がないため、電話での連絡が多くなった。クラウドツールなどの利用を準備したが、全体としては活発に利用されなかった。ファイルの送付は、メールの添付が喜ばれる傾向にあった。
クラウドを活用してコミュニケーションや情報共有を図ろうと試みたが、ソフトウェアやリテラシーの問題で活用しきれたとは言いづらい。反面、セキュリティの制約などで問題となった事は無かった。
メンターに高校や高専の生徒などの学生をあてる場合、学校行事や部活動の都合などで講座に不参加となってしまうケースが多々あった。学校やメンターの保護者の協力も必要になってくるため、メンターの家庭にも本事業の内容を説明するチラシを配布する様な、積極的に協力してもらう努力が必要であったと考える。
メンターの属するチーム毎に指導内容や進捗にばらつきが生じたのは、育成過程で技術や経験の習得に個人差があったためと考えられる。必要な技能を習得できているかを定量的に計測できる仕組みを考えられれば良かったと感じる。
また、あいさつやScratch操作の指導法など、基本的なことはマニュアル化して事前に渡すなど、メンターの経験を必要としない部分は簡略化し、本質的な部分の育成に注力できるともっと良かったと考える。
講座において、児童生徒のモチベーションにばらつきがあり、メンターの指導面で負担となる部分があった。これは、児童生徒が本活動の話題に触れる機会が少なく、講座を通してのみの関わり方となってしまった点が反省として挙げられる。そのため、特に長期間の講座になる場合、情報の共有や、メディアで取り上げられた時の成果の協調など、参加者のモチベーションを高く維持する工夫が必要だった。また実証校の教員にも協力を要請し、学校内でもモチベーションを維持できるよう声かけなど行い全体で盛り上げられるような工夫が出来ればなお良かった。
自主学習としての課題の効果を量る事が出来なかった点については、家庭で行ったかどうかを知る手段や、そもそもパソコンを児童生徒が自宅や学校で利用できる状態かどうか不明な場合もあった。
自主学習の様な仕組みを盛り込む場合、定期的に進捗を確認できるようにするなど、コミュニケーションは逆に密にする必要がある。
本モデルでは、アプリ開発講座を経験した実証校の児童生徒たちが継続的に活動を行うことで、将来的にメンターとしての技能を身に付け、高校・大学へと進学した際に母校への「凱旋」を目標として講座を行った。
そのため、今回参加したメンターがさらに経験を積むことで、「メンターを育成するメンター」となり、将来のメンター候補に指導が出来るよう、さらに長期的な活動を継続できる小・中学校等と協力していきたい。
メンターの資質として、本モデルにおいては、高校生・高専生をメンターとしたが、情報系のカリキュラムを履修している学生は、開発するアプリの完成形までの流れを想像することが出来ていたためスムーズに進められていた。また、情報系を履修せずとも、児童生徒と積極的に会話を務めようとしたメンターも、密なコミュニケーションを通じてチームの役割分担などが良くできていた。またどのメンターも共通して、年齢が児童生徒と近く、一度のアイスブレイクで良い関係を築けたようであった。年齢の離れたメンターについても、同様の結果が得られるかは検討の余地がある。
本モデルでは、プログラミングの技術的な指導ではなく、課題解決のための考え方の指導を重点的に取り扱った。
特にメンター・児童生徒共に本番となる開発講座では、最初の2コマはプログラミングをするのではなく、チーム内の話し合いでアプリケーションを設計することに重点を置いた。
今回、問題解決のテーマが「学校の先生の困った事」として講座を扱ったが、地域の問題や家庭の問題、あるいは算数や理科など学校の教科における問題をテーマとして扱うことでも、さらなる展開が期待できる。
今後、課外活動や課内における授業において、未来工作ゼミとして講座を依頼された際には、今回の教材を用いカリキュラムを進め、その後学校の教員や受講した生徒たちが指導できるよう循環を生み出していきたい。
今回実施したモデルは、弊社の事業未来工作ゼミで群馬県の私立中学校・高等学校に横展開を予定している。
中学1年〜2年の間で基本的なツールの操作・アプリの開発を経験し、中学3年生で本事業相当のプログラミング講座を実施。今回のモデルにおけるメンターを弊社スタッフと学校の教員が担当し、チームでの課題解決に挑みつつ、県内外のプログラミングコンテストへの応募を目指す予定である。講座の進行状況によっては、以降、中学3年生以上をサブメンターとして講座を運用できるかを検討する。
現在、プログラミング教育が広まる中、本モデルの実証やその他の活動を長野県内の小中学校に注目頂いている。弊社としては、長野県においてはまだプログラミングを始めとする情報技術への抵抗感があると考え、学校の教員、保護者、児童生徒に対し、手段としてのプログラミングの考え方を浸透させていきたい。
また、学校によってはPCの管理を外部の業者、あるいは近隣の情報系の専門学校等に一任し、学校内部の教員はPCについて殆ど関わっていない・詳しくないケースも見られた。アプリのインストールにはそうした仲介を挟む必要があり、今回の実施に支障はきたさなかったが、場合によっては細やかな対応が難しくなり運営に支障をきたす可能性がある。管理を一律で行えるようにするか、手順が一般化されていると、より地域の人材が携わりやすくなるかと思われる。