(1) 申告の受付状況
平成23年度の申告受付総件数は269件であり、昨年度と比べて8.2%減少し、重要無線通信妨害申告(携帯電話、海上関係、航空関係、消防・救急等の重要無線に対する混信妨害など)は48件で増加傾向にあります。
一般申告(一般無線局に対する混信妨害など)は148件、電波環境申告(電話機、音響機器などへの障害など)は73件となっています。
(2) 申告種別の内訳
ア 重要無線通信妨害申告
重要無線通信に対する混信妨害では、消防無線や防災行政無線に対する申告が多くなっています。
重要無線通信妨害申告に基づき、48件の調査を行いました。妨害源を特定した34件については、原因者に対して速やかに措置するよう指導しました。また、妨害源を特定するまでに自然消滅した9件については、申告のあった周波数と、その近傍の周波数も確認した上で、調査を終了しています。
残る5件のうち、4件は緊急用周波数の発射に関して航空関係機関から発射位置の確認依頼があったもの、1件は調査継続中のものとなっています。
なお、重要無線通信妨害申告に係る主な事例は、次のとおりです。
妨害源特定 |
自然消滅 |
確認依頼 |
調査継続 |
合 計 |
34件 |
9件 |
4件 |
1件 |
48件 |
【主な事例】
・ 屋外用のテレビ受信ブースターからの発振電波により、携帯電話基地局、消防などの無線局の運用に支障を来した。
・ 簡易無線局やアマチュア局からのスプリアス発射(※1)により、ガス事業や消防の無線局の運用に支障を来した。
・ 電気機器(ゴルフ場の電気式カート、AC電源アダプター)や電子機器(電話交換機)からの不要電波(※2)により、防災行政無線や漁業用海岸局の運用に支障を来した。
※1 スプリアス発射とは、送信周波数以外に副次的に発射される不必要な電波です。
※2 不要電波とは、電気機器や電子機器等から漏えいする不必要な電波です。
イ 一般申告(「重要無線通信妨害」以外の申告)
一般無線局に対する混信妨害では、アマチュア無線に対する混信が多く、全体の84.5%を占めています。
アマチュア無線に関しては、運用方法(使用区分、識別信号不送出など)に係る申告が多く、電波監視により違反を確認した場合は、電波規正用無線局(※3)を活用し、正常化を図っています。
なお、一般申告に係る主な事例は、次のとおりです。
【主な事例】
・ 各種業務、簡易無線・・・ 無線機の整備不良等により生じた電波の連続発射により、他の無線局の運用に支障を来した。
・ アマチュア無線・・・・・・・・ 周波数等の使用区別に違反した運用により、レピーター局(※4)の運用に支障を来した。
・ その他・・・・・・・・・・・・・・・・ 不法市民ラジオ(不法CB無線)や日本国内での使用が認められていない外国規格無線機(FRS等)の開設・運用に関する情報提供など。
※3 電波規正用無線局は、総務省が自ら開設する「特別業務の局」で、違法な運用をしている無線局に対し、電波の規正(注意・警告)に関する通報を送信し、違反行為の早期是正を図ります。
※4 レピーター局とは、アマチュア無線のための中継用無線局です。
ウ 電波環境申告
電話機、音響機器などへの障害など、73件の申告があります。その内1件の申告で事例が複数にわたる場合があるため、電波環境申告事例数は78事例になります。
事例の内容としては、電波防護指針や電波による人体への影響(生体電磁環境)に関する相談が最も多い結果となっています。
また、生体電磁環境に関する相談事例を除いた場合、電波環境申告事例数は34事例となり、家電機器(インターホン等)に関するものが一番多い結果になります。
なお、電波環境申告に係る主な事例は、次のとおりです。
【主な事例】
・ 家電機器(インターホン等)・・・ インターホンにアマチュア無線の電波が混入し、インターホンのスピーカーから無線の音声が聞こえる障害が発生した。
・ 電子機器等(微弱機器等)・・・ リモコンエンジンスタータ−のアンサーバック機能(装置は車両内に設置され、リモコン向けにアンサー信号を送信。)が故障して無変調キャリアが連続発射状態となり、その車両が駐車している付近において、同一周波数を使用しているカーセキュリティーの各種機能が作動しない状態が発生した。(いずれも特定小電力無線局(免許を要しない無線局)である。)
・ 電波防護指針・人体への影響・・・ 携帯電話基地局に係る電波の安全性に関する問い合わせ。
(1) アマチュア無線の違反に対する対応
電波監視により違反行為を確認した場合には、電波規正用無線局を活用して、違反行為を早期に是正するよう注意・警告を行っています。(平成23年度は411回、平成22年度は167回。)
また、電波規正用無線局による注意・警告に応じないもの(特に車両に開設されているもの)については、違反車両を特定し、違反行為者が所属する会社等の協力を得て、運転者等の違反行為者に対して文書注意を行っています。(平成23年度は45件82局、平成22年度は21件58局。)
なお、違反内容が悪質である等必要な場合には、違反の経緯等について調査を行った上で、違反行為者に対して行政指導を行っています。(平成23年度は29件29局、平成22年度は1件2局。)
(2) 業務用無線(各種業務、簡易無線)の違反に対する対応
電波監視により確認した違反に対しては、調査を行った上で、行政指導を行っています。(平成23年度は4件55局、平成22年度は10件99局。)
(3) 外国規格無線機の使用に対する対応
日本国内での使用が認められていない外国規格無線機は、観光で来道する外国人が家族や仲間同士の連絡手段として使用する事例や、日本人がインターネットオークションなどで購入して業務通信や私的通信に使用する事例が増加しています。
電波監視により確認した違反に対しては、調査を行った上で、文書注意を行っています。(平成23年度は27件100局、外国人に対する注意なし。平成22年度は51件153局、外国人に対しては口頭注意。)
【外国規格無線機の指導状況】
指導内訳 |
平成23年度 |
平成22年度 |
||
外国規格無線機(注) |
27件 |
100局 |
51件 |
153局 |
(内訳) 法人(国内) |
11社 |
54局 |
10社 |
54局 |
個人(日本人) |
16名 |
46局 |
30名 |
74局 |
個人(外国人) |
0名 |
0局 |
11名 |
25局 |
その他(国内・任意団体) |
0団体 |
0局 |
0団体 |
0局 |
注:行政指導は、すべてFRS又はGMRSに対するもので、UHF-CB及びPRSに対するものはなかった。
<外国規格無線機>
FRS : Family Radio Service(主として、アメリカで使用されている)
GMRS : General Mobile Radio Service(主として、アメリカで使用されている)
UHF-CB : Ultra High Frequency – Citizen Band(主として、オーストラリアで使用されている)
PRS : Personal Radio Service(主として、ニュージーランドで使用されている)
不法無線局の対策として、路上や港湾等において、捜査機関(北海道警察や第一管区海上保安本部)と共同で取締りを実施しています。(平成23年度は20名20局を摘発し、21名22局を行政指導。平成22年度は37名40局を摘発し、5名5局を行政指導。)
なお、主な不法無線局の概要及び妨害事例は、別紙のとおりです。
(1) 電波利用環境保護周知啓発強化期間における周知啓発
電波利用環境保護周知啓発強化期間(6月1日から6月10日まで)において、テレビCMの放映(民放テレビ、ケーブルテレビ)、新聞広告の掲載及び公共交通機関の中吊り又は額面広告の掲出を行うとともに、官公庁など関係団体に対するポスター等の掲示依頼や、自治体及び関係団体の広報誌への掲載依頼を行うなど、集中的な周知・啓発活動を行っています。
(2) 公共工事、ビート輸送及び除排雪関係者に対する周知啓発
官公庁や精糖会社などに対し、不法無線局排除に関する協力依頼のほか、公共工事、ビート輸送及び除排雪の請負業者を対象とした安全大会(8か所)に当局の職員を派遣し、延べ565名に対して、電波法令遵守に係る説明を行っています。
(3) 外国規格無線に係る周知啓発
・ FRS、GMRSの国内使用禁止に係る周知啓発として、札幌市内の観光案内センター(2か所)に5か国語リーフレットを配置するとともに、さっぽろ雪まつり期間には、札幌市営地下鉄(全378両)の額面広告スペースに「外国規格無線機の使用禁止に関する外国語ポスター」を掲出しています。また、地下鉄駅構内フリーボード(13駅19か所)に同様のポスターを掲出しています。
・ UHF-CB、PRSの国内使用禁止に係る周知啓発として、ニセコ地区を中心に外国人観光客が多く利用する施設などに対して、ポスターの掲示やリーフレット(2種類)の配置についての協力を要請するとともに、冬期間(12月から3月)には、ニセコ地区のスキー場(3か所)において、5か国語による外国規格無線機の使用禁止に係る注意喚起のアナウンス(1日3回)のほか、屋外広告やバスステッカー広告を実施しています。また、インターネット広告として、アドワーズ広告とバナー広告を実施しています。
北海道総合通信局 電波監理部 電波利用環境課
電話 011-737-0099
(受付時間は、土曜日、日曜日、祝日を除く8時30分から12時まで、13時から17時までです。)
国内で使用が認められている市民ラジオの空中線電力は0.5ワット以下であり、技適マークが貼付されています。
不法市民ラジオ(不法CB無線)は、この技適マークがありません。空中線電力が数ワットもので国内では免許を受けることができず、また、電力増幅器を付加して、数千ワットの出力を出す悪質な事例もあります。
<妨害事例>
不法パーソナル無線機は、適法なパーソナル無線機を改造し、指定されたチャンネル以外の周波数の電波を発射したり、定格以上に空中線電力を増力した無線機です。
一般的に「チャンネル固定可能」、「スペシャル機能付き」等として販売されており、この改造機にも技適マークがそのまま貼付されています。
技適マークが貼付されていても何らかの改造を施したパーソナル無線機は、すべて不法パーソナル無線となり、国内では使用することができません。
<妨害事例>
アマチュア無線局を開設するには、無線従事者資格及びアマチュア無線局の免許が必要です。
これらの資格及び免許がないと不法アマチュア無線となります。
アマチュア無線局は、運用する周波数帯が決められていますが、不法アマチュア無線の中には、この周波数帯以外の周波数を使用できるように改造して、他の無線局に妨害を与える悪質な事例が多発しています。
<妨害事例>
重要無線通信(防災行政無線、消防・救急無線など)を妨害し、 人命の安全等に支障を来す。
「無線局を開設しようとする者は、総務大臣の免許を受けなければならない。」
「電波法第4条の規定による免許がないのに、無線局を開設した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。」
「国民生活に重要な影響を与える重要無線通信を妨害した者は、5年以下の懲役又は250万円以下の罰金に処する。」