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資料1
「テラヘルツ波帯の情報通信利用に関する調査検討会」 開催趣旨(案)
テラヘルツ波は光と電波の境界にあり未踏の領域といわれてきたが、平成17年1月、科学技術立国再生に向けた国際競争力強化のため、日本が重点的に開発に取り組むべき国家基幹技術のひとつとして、テラヘルツ波による計測・分析技術が位置づけられた。総務省では、テラヘルツテクノロジー動向調査委員会を設置してテラヘルツ技術の現状と課題を整理するとともに、戦略的情報通信研究開発推進制度によりテラヘルツ波の研究開発に対し支援等を行ってきたところである。
テラヘルツ波は、(1)紙やプラスチック等非金属を透過する、(2)物質等固有の吸収スペクトルを測定できる、(3)エックス線に比べて人体への影響が少ない等の特性を有している。この特性に着目して、近年、非破壊検査、セキュリティ(禁止薬物・危険物検査等)、医療(皮膚癌診断等)、農業・食品(残留農薬検査等)などの分野では、テラヘルツ波の新産業への応用に向けた研究開発・実利用が進められている。
一方、情報通信分野では、高精細度映像や立体映像といった超臨場感コミュニケーション技術等が進み、更なる大容量伝送へのニーズが高まるとともに、家庭内においても光ファイバーが利用されパソコン、テレビ、DVDレコーダー等ホームネットワークの大容量・高速化が進んでいる。現在、ホームネットワークのワイヤレス化として無線通信も利用されているが、無線の伝送容量が光ファイバーの伝送容量に至っていないため通信のボトルネックを招いており、テラヘルツ波を利用した無線での大容量伝送が期待されるとともに、そのデバイスの小型化により今後のホームネットワーク等通信への利用が期待されている。
昨年度は、本調査検討会では、テラヘルツ波の研究開発・実利用が周波数の低い方から高い方に向かって進んでいる中、近未来を念頭に置いて100ギガヘルツから500ギガヘルツ程度までを対象とし、産学官連携により、当該周波数帯(以下「テラヘルツ波帯」という。)の現状課題とニーズを整理し、テラヘルツ波帯を利用した社会のすがたについて検討するとともに、今後一層大容量化が進む有線系情報通信ネットワークと、情報家電や通信機器等へのテラヘルツ波帯利用の可能性及び課題を探り、報告書としてまとめた。
本年度も引続き、産学官連携により、テラヘルツ波帯利用の可能性及び課題を整理する。本年度は、特にテラヘルツ波帯利用によって解決できるライフ分野(医療、ワーク、高齢化等)・グリーン分野(エコ)への貢献と課題、諸外国の動向及び標準化の動向、電波干渉の諸問題、各種要素技術の動向等について検討を行う。これにより、テラヘルツ波を利用した通信技術の進展を促し、将来の具体的な利活用につながる手掛かりを導いていくこととしたい。