平成19年版 情報通信白書(資料編)

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付注3 マクロ生産関数の推定におけるダミー変数及び使用データ


1 ダミー変数
 1980年代中盤以降の日本経済を整理すると、いわゆる「バブル景気」は一般に1986年11月から91年2月までの51箇月にわたる景気拡大期を指す。図表はそのバブル景気以降における財政・金融政策と日本経済の状況について主な出来事をまとめたものである。マクロ経済のパフォーマンスに影響を与えると考えられる円、債権、株式のトリプル安が始まったのは1990年であり、景気基準日における景気の山以前のことである。また失われた10年といわれる90年代は、その前半が不良債権処理の先送り時期であり、不良債権処理が本格化するのは90年代半ば以降であった。そして2006年11月には、2002年初めから始まった景気回復がそれまで戦後最長であったいわゆる「いざなぎ景気」における景気回復期間(1965年10月〜1970年7月:景気拡張期間57箇月)を超えた。(なお、これは月例経済報告の基調判断における回復期間を示したものであり、政府として景気拡張期間を公式に示したものではない。)

図表 バブル景気以降における主な財政・金融政策及び日本経済の状況
図表 バブル景気以降における主な財政・金融政策及び日本経済の状況

 長期にわたる経済の不況期は当然ながら生産関数の推定結果に影響を及ぼす。1990年から96年の時期はバブル崩壊後の不良債権処理が進展しなかった時期であり、マクロ経済のパフォーマンスに影響を与えていた可能性があり、また、1990年ないし1991年以降はバブル崩壊からその後の長期停滞の時期でそれ以前とは構造変化が起きていると考えられる。そこで今回はバブル崩壊以前とバブル崩壊後で日本経済が大きく変わったことを前提に、1990年以降を1とするダミー変数を採用した。

2 モデル推定に使用したデータ
(1)実質GDP
 実質GDPは、内閣府より発表されている2000年基準連鎖方式の系列のデータを用いた。この系列は94年までしかないため、93年から80年までは95年固定基準実質GDPの値を、それ以前については90年基準の実質GDPの値を用いて遡及した。

(2)労働
 労働投入量については、就業者数×就業時間とした。
 ア 就業者数
  就業者数は、労働力調査の長期時系列データを使用した。1年間の月次データから年平均の就業者数を算出し、それを就業者数とした。
 イ 実労働時間
  実労働時間は、毎月勤労統計調査の総実労働時間(事業所規模30人以上)を用いた。

(3)民間総資本ストック
 民間総資本ストックについては、内閣府経済社会総合研究所『民間企業資本ストック年報』の進捗ベースの数値を用いた。
 資本ストックは1年間の投資がすべて期首に行われ、1年間を通じて生産に使われるわけではなく、期首のストック量から期末のストック量に徐々に増大していく。そのため分析に用いる際は、稼働資本ストックとして期首と期末のストック量の平均値を用いた。これは情報通信資本ストック、一般資本ストックともに同様の方法を用いた。
 ア 情報通信資本ストック
  情報通信資本ストックは、篠崎(2003b)に従い作成された数値を利用した。今回利用した情報通信資本ストックは民間総資本ストックが粗ベースであることに合わせた。情報通信資本ストックは好不況にかかわらず稼働率は常に100%を想定した。
 イ 一般資本ストック
  民間総資本ストックのうち、情報通信資本ストック以外のストックのことである。一般資本ストック系列は、民間総資本ストックから情報通信資本ストックを差し引くことによって求めた。一般資本ストックは好不況の影響でその稼働率が変化すると考え、分析に使用する際は下記稼働率を乗じた。
 ウ 稼働率
  稼働率は経済産業省『能力・稼働率指数』の業種別季節調整済指数の製造工業の月次データから年平均値を算出し用いた。

(4)ユビキタス指数
 ユビキタス指数は推計により算出した数値を利用した。

(5)ダミー変数
 ダミー変数は90年以降を1、それ以前を0とした。

 

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