昭和61年版 通信白書

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2 郵便ネットワーク

 郵便ネットワークは,郵便物を差し出す郵便ポスト,書留郵便物や小包郵便物等を引き受ける郵便局の窓口,郵便物をあて先へ区分し又は中継するための郵便局,郵便局相互を結ぶ郵便線路及び配達された郵便物を受け取るための郵便受箱等から構成されている。
 郵便ネットワークは,集配ネットワークと輸送ネットワークから構成されている。
 (集配ネットワークの構成)
 集配ネットワークは,郵便物の取集と配達を取り扱うネットワークである。集配ネットワークは,取集と配達を行う集配郵便局,郵便ポスト・郵便局窓口及び郵便受箱・郵便私書箱から構成されている(第2-2-3図及び第2-2-4表参照)。
 郵便物は,原則として各戸に設置された郵便受箱に配達される。また,配達回数は,通常1日1度であるが,ビジネス地域等通信力の高い地域においては2度配達を行っている。
 (輸送ネットワークの構成)
 輸送ネットワークは,集配郵便局相互間で郵便物を輸送するネットワークである。輸送ネットワークは,郵便物の区分・中継を行う郵便局と郵便線路と呼ばれる郵便物の輸送路から構成されている(第2-2-5図参照)。
 (地域区分局と継越局)
 地域区分局は,区分運送上重要な拠点となる郵便局であり,おおむね郵便番号の上2けたに対応して設置されている。地域区分局の機能は,他地域から送付された郵便物を受持地域内の郵便局に発送すること,あるいは受持地域内の郵便局から送付された郵便物を他地域又は受持地域の郵便局に発送することである。
 また,継越局は,集配郵便局相互間で,郵便物の中継輸送を行う郵便局である。
 (郵便線路の変遷と現状)
 郵便線路は,集配郵便局相互間の郵便物の輸送路である。現在,郵便物の輸送には,自動車,航空機等が用いられている。郵便線路は,輸送機関の特徴,運行頻度,迅速性,経済性等を総合的に考慮して選択される。郵便線路の輸送機関別の構成比の推移は,第2-2-6図のとおりである。
 自動車による輸送は,鉄道の補助的手段としてスタートした。自動車輸送のメリットは,出発時刻,経路,便数等について弾力的なダイヤの設定が可能であることなどである。自動車輸送は,高速道路を中心とした道路ネットワークの整備が進んだことにより,今日では大量高速輸送手段として郵便輸送の主力を占めるようになった。
 航空機による輸送は,従来,速達郵便物についてのみ利用されていたが,41年には郵便物の航空搭載が普通通常郵便物に拡大され,東京,大阪,福岡,札幌の主要大都市間の翌日配達が実現された。航空機輸送のメリットは,長距離を短時間で輸送できることである。航空機輸送は,年々拡大し,最近では,全国54空港を結ぶ郵便輸送の一つの大きな柱となっている。
 鉄道による郵便の輸送は,明治5年の新橋一横浜間の鉄道開通と同時に開始され,鉄道ネットワークの拡充とともに発展し,最近まで郵便輸送の根幹であった。しかし,日本国有鉄道の相次ぐ合理化により鉄道が郵便輸送に適さなくなったため,鉄道郵便車による郵便輸送は昭和61年10月に廃止され,114年にわたって続いてきた鉄道による郵便輸送に終止符が打たれた。
 (郵便物の区分)
 郵便物をあて先へ届けるために,引受と輸送,輸送と配達の間で区分が行われる。集配郵便局に取り集められた郵便物は,送付すべき地域区分局等ごとに区分が行われ,さらに,到着地の地域区分局で,受持区域内の配達郵便局ごとに区分が行われる。
 郵政省では,郵便物の区分の合理化・効率化を図って,郵便物を速く確実に届けるという郵便サービスの向上に資するため,郵便番号制度の実施と郵便業務の機械化を行ってきた。
 郵便番号制度は,全国を100の地域に分け,さらに,配達区域ごとにすべての郵便局に3けた又は5けたの番号を付し,これに従って区分・輸送を行うための制度であり,43年から実施されている(第2-2-7図参照)。この制度によって,利用者はあて名のうち都道府県名を省略できるようになり,利便性が向上した。
 郵便業務の機械化については,43年に導入された郵便番号自動読取区分機及び郵便物自動選別取りそろえ押印機をはじめとして,各種の機械の導入が図られている。
 (外国郵便ネットワークの構成)
 外国郵便ネットワークは,第2-2-8図のとおりである。外国あての郵便物は,国内の郵便ネットワークを通って交換局に送られ,交換局において,あて先の外国交換局ごとに区分・発送される。外国来の郵便物は,交換局に到着し,そこで配達局ごとに区分され,国内の郵便ネットワークを通じて配達される。
 我が国の交換局と外国交換局との間は,航空機又は船舶により郵便物の輸送が行われている。両者の構成比の推移は,第2-2-9図のとおりであり,航空機の比率が年々増加している。
 (郵便ネットワークの充実)
 区分・輸送システムの改善により郵便ネットワークの充実が図られた今日では,郵便サービスも向上し,全種別の郵便物について翌日配達地域が拡大され,翌日配達が困難な地域についても,一部離島地域を除き,全国的に翌々日配達が確保されている。
 さらに,多様化するニーズにこたえて,従来の郵便ネットワークの枠を越えた電子郵便,ビジネス郵便,超特急郵便等の一層のスピードアップを図ったサービスも提供されている。

第2-2-3図 集配ネットワークの構成

第2-2-4表 郵便局・郵便ポスト等の現状(60年度末現在)

第2-2-5図 輸送ネットワークの構成

第2-2-6図 郵便の輸送路の変遷

第2-2-7図 全国の郵便番号地域区分

第2-2-8図 外国郵便ネットワークの構成

第2-2-9図 外国郵便物の輸送路別構成比の推移
 

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