第2章 平成9年情報通信の現況


第1節 情報通信産業の現状

 情報通信産業の成長が続いている。
 情報通信産業は我が国経済の構造改革を進める原動力であり、リーディング産業として経済活動に大きなインパクトを与えている。ここでは、主に産業連関分析の手法を用いて、経済全体の中に占める情報通信産業の位置、及び経済全体に対し情報通信産業が果たす役割を、米国との比較等を踏まえながら明らかにする。
 本項の分析における情報通信産業の範囲は、情報を生産、収集、加工、蓄積、提供、伝達するためのサービスを市場に供給する「情報通信サービス部門」、情報通信サービスの提供に際し、直接的に必要とされる情報通信機器あるいは施設を市場に供給する「情報通信支援財部門」、情報の生産活動を含む「研究部門」とする(第2−1−1表参照)。
 産業連関分析を行うに当たっては、我が国産業の部門分類について、情報通信産業を郵便、国内電気通信、国際電気通信、放送、情報ソフト、情報関連サービス、情報通信機器製造、情報通信機器賃貸、電気通信施設建設、研究の10部門に整理統合し、情報通信産業を除いた産業を非情報通信関連部門として、「平成2年産業連関表」(総務庁)統合大分類32部門を基に再分類し、合計で74部門とした。



  1. 成長を続ける情報通信産業
  2.  ここでは、情報通信産業の実質国内生産額、名目GDP(名目粗付加価値)及び設備投資額を推計し、これらの推移を定量的に分析、検証することで、リーディング産業として成長を続ける情報通信産業の現状を明らかにする。

    (1) 情報通信産業の実質国内生産額の動向
     我が国の情報通信産業の実質国内生産額は、8年には100兆円を突破して103.3兆円(全産業に占めるシェアは11.4%)となった。また、5年から8年の間の年平均成長率は6.42%と、同期間の全産業の年平均成長率(1.68%)を大きく上回っている(第2−1−2図参照)。




    (2) 情報通信産業の名目GDPの動向
     我が国の情報通信産業の名目GDPは、8年には45.0兆円(全産業に占めるシェアは8.8%)となり、5年から8年までの3年間で約4.5兆円増加した。また、この期間の年平均成長率は3.55%と、同期間の全産業の年平均成長率(1.41%)を大きく上回っている(第2−1−3図参照)。



    (3) 情報通信産業の設備投資の動向
     情報通信産業の設備投資額は、4年度から6年度まで漸減傾向をたどった後、7年度から大きく増加し、8年度には11.1兆円(対前年度比1.6兆円増)と、初めて10兆円を超えた。
     また、情報通信産業の設備投資が、全産業の設備投資に占めるシェアは、8年度には14.5%となっている(第2−1−4図参照)。






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