第2章 平成9年情報通信の現況


第7節 情報通信と社会経済構造の変革

  1. 地域の情報化
  2. (2) 都道府県の地域情報化
     都道府県の情報化の取組状況について、アンケート(注29)を基に行政の情報化、住民サービスの情報化、情報化政策に分けて分析を行った。

    ア 行政の情報化
     行政の情報化に関し、更に、「業務の電算化」、「庁内のOA化」及び「行政のネットワーク化」に3分類して分析する。
    (ア) 業務の電算化
     法人事業税や自動車税等の10の税金収納業務について見ると、税項目のすべてについて電算化している都道府県は33、9項目を電算化しているのは8あり、ほとんどの都道府県で電算化が進んでいる(第2−7−30図参照)。
     人事給与関係や財務関係等のデータベースの構築比率は、100%の都道府県が7、50%以上が34となっている(第2−7−31図参照)。



    (イ) 庁内のOA化
     本庁職員に対するパソコン配備率を見てみると、香川県が100%、栃木県が97.8%、群馬県が88.2%と高い配備率であるが、50%未満の都道府県が36あり、職員へのパソコン配備はあまり進んでいない(第2−7−32図参照)。
     庁内LANを設置している都道府県で電子メールや電子掲示板等八つのアプリケーションの導入率について見ると、栃木県、岐阜県、愛媛県及び熊本県で六つのアプリケーションを導入している。また、LANを整備していない都道府県も13あった(第2−7−33図参照)。



    (ウ) 行政のネットワーク化
     本庁とネットワーク接続されている出先機関の割合を見ると、10都道府県で100%完了しているが、12都道府県がまだまったく行っていない(第2−7−34図参照)。
     また、庁内ネットワークの光ケーブル敷設率の割合は、岡山県、宮崎県で100%、大阪府で80.0%、滋賀県、和歌山県で75.0%と高い割合であるが、それ以外の都道府県は50%未満であり、まったく導入されていない都道府県も31あり、全般にあまり進んでいない。これらは庁舎の建て替え時などにインテリジェント化を図るものと思われる(第2−7−35図参照)。



    イ 住民サービスの情報化
     住民サービスの情報化を、「教育」、「医療・福祉・防災」及び「生活情報サービス」に3分類して分析する。
    (ア) 教育
     都道府県におけるパソコン設置の小中学校、高等学校の割合を見ると、46の都道府県において80%以上の学校に設置されており、100%設置されている都道府県も5あり、学校へのパソコン普及が進んでいる(第2−7−36図参照)。
     一方、インターネットが接続できる小中学校、高等学校の割合は岐阜県が98.0%と進んでいるが、それ以外の都道府県は50%以下である(第2−7−37図参照)。
     パソコンを操作できる教員数の割合は、40の都道府県で40%以上であり、ほとんどの都道府県で半数近くの教員が操作が可能である(第2−7−38図参照)。




    (イ) 医療・福祉・防災
     遠隔医療実験実施病院数の割合を見ると、高知県が5.2%と最も高く、次いで和歌山県が2.1%となっている。しかし、実施している病院がない都道府県も31ある(第2−7−39図参照)。
     遠隔医療実験実施病院数については、都道府県下の実験実施病院数の割合と65歳以上の人口構成比との間で正の相関が見られ、65歳以上の人口構成比が高い都道府県ほど遠隔医療実験を積極的に行っており、特に高知県が際立っている(第2−7−40図参照)。
     医療・保健関係のICカードを発行している市町村数の都道府県下の市町村に占める割合では、山梨県が4.69%と最も高く、次いで兵庫県の4.40%となっている。しかし、市町村がまったくICカードを採用していない都道府県も34ある(第2−7−41図参照)。




    (ウ) 生活情報サービス
     行政情報や保健医療情報、道路・交通情報等17の住民向けアプリケーションの導入率を見ると、山口県が88.2%、大阪府及び鳥取県が82.4%で導入が進んでいる。また、50%以上導入している都道府県が23ある(第2−7−42図参照)。





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