株式会社ロジコモン
●モデルの意義・目指そうとしていることや、特徴(特異性、利点)
今回の実証事業において大きな目的として、「九州でのプログラミング教育の普及」・「大学生をメインメンターとして起用」・「子供たちへのコーティング的支援を目的とした教職員や保護者等のサブメンターとしての起用」がある。
また、今回の実証事業においての特色としては、「1.大学生ベンチャー企業と大学の連携による実施」・「2.九州工業大学と連携しメインメンターの大学生には単位を付与」・「3.教職員や保護者などを子供たちの精神面のサポートを中心に行ってもらう」の3点がある。
この3つの利点に関して述べると、1つ目については、大学生ベンチャー企業である“ロジコモン”が実証事業を行い、成果を示すことで他の学生・大学間でも同様の活動を促していく目的があり、今後の国内でのプログラミング教育の普及に繋がっていくものであると考える。
2つ目については、メインメンターとして大学生を起用しさらに大学から単位を付与する(九州工業大学では前年度の実証でも同様の単位付与を実施済み)ことで、今後のプログラミング教育の教え手として、単位という学生のモチベーションを保てるとともに大学付近の小学校に出向くことで大学と小学校などとのつながりが強くなり、大学の地域貢献や大学の知名度向上なども目指せる。また、大学生が小学生に“教える”という活動を通して今まで教えられてきた学習について教える側に立つことで新たな目線で学ぶことを見直してもらう目的もある。
3つ目については、教職員や保護者をあえて「子どもたちの精神面のサポート」を主体としたサブメンターに起用し、技術的面ではない箇所のサポートに徹底することでプログラミング教育の教え手としてのハードルを下げるとともに、プログラミングが普及していない地域において少しずつプログラミング教育の普及を進めていける利点がある。また、保護者に子供との接し方(コーティングの活用)を指導することで、この活動を通じて家庭内での子供への教育方法の改善も目指した。
●なぜそのモデルを設計・採用するに至ったか
このモデルを採用したきっかけとしては、昨年度の同事業で、九州工業大学の一学生で参加し、その時に九州のでプログラミングの認知度が都心に比べ非常に低いということを知り、どうにかしてもっと九州で広めていきたいと思い株式会社ロジコモンを設立した。そこでプログラミング教室を何度か実施している際に、子供たちの楽しくプログラミングに触れ学ぶ姿を見て、プログラミング教育が既存の教育より考える力や自分の考えを仲間に伝える力を育成するうえで大きな可能性を感じたことと、見学に来ている保護者側がプログラミングに対して理解が進んでなく難しそうというイメージが独り歩きしていることを感じ、この経験から子供たちへのプログラミング教育と保護者などへの認知度の向上の両立を目指した本モデルを考案した。また、教育する人として大学の教授や教員が行うより、年齢的にも小学生と近い大学生が行った方が、話を聞く姿勢や質問をする回数等、生徒自身の積極性が高い傾向があるように見受けられたため前年同様大学生をメインメンターとして起用することで、さらなる小学生の自主的に学ぶ環境を提供できるようなモデルを採用した。
また今回の実証モデルでは、教育課程内での活用を意識し、図形問題や身近な信号機などを題材にした実証モデルとした。
実証校と北九州とは場所が離れていたため、数回のみ九工大の責任者の教授と共に挨拶及び打ち合わせを行うために各小学校へ訪れた。ほかの主な連絡はメールを使い行った。大分明野北小学校においては、教職員への研修を行った際に授業内容についてのフィードバックを頂けたので、意見を参考にカリキュラム内容の改善を行った。また、両校とも事前の打ち合わせでは教材についての質問を受けたが、今回は大学側がすべて用意できたので学校側も安心していた。
教育委員会とは小学校側で連絡を取って頂けた。
また九州工業大学とは、前年度に同様の単位付与の体制を整えていたので、スムーズに取り仕切ることが出来た。また、大分明野北小学校において、ICT支援員のサポートを明野北小の計らいで受けることが出来、非常に円滑な実証授業を行うことが出来た。
●メンターの属性、なぜその属性なのか、母集団がいればなぜその母集団を選択したのか
メインメンター:大学生(九州工業大学)
大学生を起用したのは、年齢的にも小学生に近くお兄さんとして接してくれるため、授業に対しての自主性や質問を気軽に行ってもらえるために起用した。また、大学生に教える側を体験してもらうことで、学生に新しい視点で学習について考えてもらう狙いもある。
サブメンター:教職員 保護者 地域ボランティア
サブメンターには技術的支援ではなく子供たちの精神的支援を目的としたため、小学校の生徒らにとって身近な人々を対象に選んだ。また、教職員や保護者等を選んだもう一つの理由に、プログラミング教育について理解してもらうきっかけにもなるようにこの属性を選んだ。
●育成人数
メインメンター:大学生9名
サブメンター:教員:6名 ICT支援員:17名 地域ボランティア:1名
メインメンターについては、昨年度同様、「理数体験教室T・U」の大学内で募集をかけた。しかし、去年は学部1年生〜3年生から多くの講義履修があったが、今回は前年度履修した生徒は履修できないため履修者は少なかった。選考としては簡単な面談を行ったのみで全員採用した。
島原におけるサブメンターは学校側から呼びかけを行ってもらった。しかし、プログラミングについての認知度が低いためか「プログラミングは難しいから自分にはできないのでは」といった考えから希望者は少なかった。また、多くの保護者が共働きをしているようで、実施時間帯に参加できないことも要因として考えられる。希望者については選考等は行わず、簡単な説明のみで採用とした。
大分におけるサブメンターは、学校教員およびICT支援員に参加していただけるとのことで、保護者への呼びかけは行わなかった。また、選考についても面談等は行わず全員採用とした。
●実施形態
株式会社ロジコモンから指導講師を出し、九州工業大学の学生に対して大学内で研修を行った。また、同様に別日に大分明野北小学校で教職員向けに研修を行った。研修内容としては実際の実証授業で使うカリキュラム内容に加えて、使用する機材の設定方法やブロックの組み立ても行ってもらいより深い理解をしてもらえる様に実施した。また、メンターに対して講師が説明しながら実践することで、授業の流れを把握してもらいながらその都度フィードバックを貰いながら進め、カリキュラムを改善しつつ、九州工業大学ではメインメンターを行う学生がしやすいようなカリキュラム構成をしながら研修を進め、大分では小学生視線を理解している教職員の方々から意見を頂きカリキュラムの改善を行った。
保護者・地域ボランティアに対しては、授業実施前に全体の大まかな流れを説明し、子供がつまずくと予想される個所を教え、その時に積極的に生徒たちへ声掛けを行ってもらうような説明を行った。
●研修にかけた時間
大学生への研修:2時間
大分明野北小学校の教職員:2時間
保護者・地域ボランティア:実証授業実施前に15分程
●習熟具合をはかる仕組み・工夫
メインメンターについては、学生を教師役と生徒役に分けて実際の授業時間に沿ってシミュレーションを行い実際の流れや話し方などを確認するとともに、その学生の理解度などを判断することが出来た。また本番でもしっかり時間通りに行うことが出来た。
島原についての研修カリキュラムは、実際に生徒にする使用するカリキュラムと同じものをメンターに実施してもらい、講義の流れをつかんでもらった。その際、参加した大学生には小学生にちゃんと伝わると思うか、を意識してもらいながら取り組んでもらった。そこで指摘を受けた部分は適時修正した。
サブメンターに関しては、実証事業当日の開始前に10分〜15分ほど今回の授業でどういったことをするのか、困っている、悩んでいる生徒がいたら声をかけてあげるようにする、一緒に考えてあげる。答えを簡単に教えない、といった説明のみ行った。
第1回目の研修資料一部
第2回目の研修資料一部
第3回目の研修資料一部
第4回目の研修資料一部
大分についての研修カリキュラムは、まず明野北小学校の教員とICT支援員に向けて研修を行った。実施内容としては実際の実証授業で使うカリキュラム内容に加えて、使用する機材の設定方法やブロックの組み立ても行ってもらいより深い理解をしてもらえる様にした。また、受講者に対して講師が説明しつつ実践することで、授業の流れを把握してもらいながらその都度フィードバックを貰い進めた。その際に教師側からの目線で見た生徒に伝わりやすいような言い回しなどの改善点を受けカリキュラムを改善した。また、九州工業大学ではメインメンターを行う学生が実際に45分間で行えるか時間を計測しながらの予行練習を行った。その際ほかの学生が生徒役となり、説明の仕方などの改善点の指示を行った。
今回長崎と大分で実施カリキュラムを違うものとした。別にした理由として大分の学校側の都合があったためであるが、よかったことに5年・6年の各学年全員に実際の授業時間である45分で実施できた。共通部分としては、プログラミングが使われているものが身の回りにたくさんあることを伝えることであり、島原では初回に、大分では歩行者信号機を題材にすることで行った。
また、授業は両校とも2人一組のペアで実施し、プログラミング授業を通じて、自分の考えを相手に伝える、相手の考えを受け入れ一緒に考えるといったコミュニケーション能力の育成を目指した。
●講座の実施日程、会場
長崎 島原市立第五小学校(会場:島原市立第五小学校の多目的ホール)
9月28日 9月29日 10月5日 10月19日
大分 大分市立明野北小学校(会場:大分市立明野北小学校の各教室)
10月16日 10月30日
●講座各回の内容、ねらい
長崎 島原市立第五小学校
ロボカーの制御を中心に全4回の講座を実施した。
・第1回目(9月28日)
PCなどを使わないアンプラグド型学習のみを行った。この講座では身の回りにプログラミングが使わせている製品が多くあることを知ってもらい、実際にプログラミング的思考を「床に落ちているペンを拾う動作」を児童達に考えてもらった。さらにその動作を紙に順番通りに記入してもらうことでプログラムの基本的な逐次処理について体験し今後の講座の基礎を身に付けてもらう狙いもある。この活動を通じ人間同士では一言で理解してもらえるが、ロボットなどの機械相手では動作を分割して考える必要があること、相手に分かるような言葉を考えて命令文をかんがえることを学ぶことを目指した。また、第2回目以降ではロボットの目線で考えるクセをつけるように児童に伝えるようにした。
・第2回(9月29日)
アーテック社のロボカーを使い、実際にプログラミングを使ってロボカーの動きを制御してもらった。また、対象が4・5年生だったため予習復習を兼ねて図形(正方形・正三角形)を直進・回転の時間制御のみでトレースしてもらった。この活動でロボカーが1秒に進む距離から目的の距離を進むのに何秒必要になるかの関係を発見してもらい、計算で求めることが出来るという算数の実用性を体験し、プログラミング教育を通じて算数への興味関心を持ってもらう狙いもある。
また、図形のトレースから四角形や三角形の内角・外角の関係やほかの複雑な図形(五角形、凸型、星型)にもチャレンジしてもらい、自分ではなくロボカーの目線でプログラミングを行うことを学習してもらい、加えて幾何学の面白さにも興味を持ってもらえればとの期待も込めて作成した。
・第3回目(10月5日)
アーテック社のロボカーを使い、こちらで用意したマス目状の迷路をプログラミング制御で動きを制御しゴールを目指してもらった。また、どのようなルートで行けばよいかしっかり考えて“カギ”と“ドア“のギミックも用意した。この狙いとしてはゴールへたどり着くためのルートをまず考えてそれをプログラミングによって再現することを学んでもらう狙いがある。この、「目的を達成するためにはどのような手順が必要かを考えること」を本講座の中心に据えて子供が興味を持って取り組みやすいカリキュラムを準備した。
・第4回目(10月19日)
本講義では前回の迷路脱出の“カギ”と“ドア“のギミックも含めて、最初に時間を使って迷路の問題を考えてもらい各生徒のグループ間で交換し他生徒に考えた迷路を攻略してもらった。これは、いかに難しいゴールまでのルートを考えることが出来るかの練習で、これを通じてゴールまでのルートの仮説を立て、検証し、ペアと吟味し改善点を探すということを、“迷路を考案する”ことで体験してもらう狙いがある。また、他人が作成した迷路を攻略してもらうことで、今までの講座で身に付けてきたロボカーの目線で考えることに加えて、“クラスメイトが考えた迷路“から相手の気持ちになりどういった意図でこの迷路を作成したのかという「製作者の目線」で考えるきっかけになればとの狙いもある
大分 大分市立明野北小学校
2回実施したが、どちらとも同じ歩行者信号機の作成を行った。
・10月16日 10月30日
児童達にプログラミングが身近にあることを知ってもらうために、歩行者信号機を教材として選んだ。また、本講座の目的である歩行者信号機の動作を再現してもらうために、実際の歩行者用信号機の映像を生徒たちに見てもらいその動作を文章で記入してもらい、そのシートをもとにプログラミングを組んでもらった。これは、今回の講座で歩行者信号機のみがプログラミングで再現できるわけでなく、他の色々な電化製品も同様に観察することで再現することが出来るということを知ってもらうためにあえて動作を観察し文章に起こしてもらうようにした。
ただし、大分での実証授業に関しては3会場に分かれて実施した。
●長崎 島原市立第五小学校
第1回講義風景 ペンを拾う動作を細かく考え、ロボットに見立てた学生へ命令を出していた
はじめてプログラミング的な考え方を、“床に落ちているペンを拾う”という今まででは当たり前に出来る動作を細かく分解して考えて、命令文(プログラム)を考えた。5人一組で男女関係なく話し合い、一人が試しに命令文に従って試している風景も多くみられた。
第2回目の講義風景 初めてプログラミングでロボカーの制御を行った。
ロボカーを使い図形のトレースを行ってもらったが、正三角形のトレースで多くの児童が正しくは120度回転しなければならないのに60度と間違っている姿が見受けられた。サブメンターなどが質問をしながら誘導することで多くの児童は「分かった!」と声を上げてプログラムの作成に取り掛かっていた。
島原市立第五小学校 第3回目の講義風景
普段の授業では見られないようなリラックスした雰囲気でのびのびとプログラミング講座を受けていた。
また、ペアとの積極的に相談しあいながら、分からないことがあれば近くの大学生のメンターに気軽に質問をしている姿が見受けられた。また、地域ボランティアの方が悩んでいる子供たちに声をかけてあげ、躓いていたグループが無事ゴールまでロボカーを動かすことが出来た姿も見られた。このときサブメンターは技術的なサポートはせず、褒めたり、一緒に悩んであげるといった支援のみであった。
児童たちが自らワークシートを使い迷路のコースを考えた
第4回講義風景 児童自身で迷路のコースを考えグループで交換し互いにゴールを目指した。
児童がいかに難しい迷路のコースを考えるために、ワークシートでコースを考えたら近くの学生メンターに「どうですか?」と試してもらうために何度も声をかけながら、試行錯誤を繰り返していた。
●大分 大分市立明野北小学校
1回目の講義風景
3教室に分かれて並列進行で実施された。子供たちにプログラミングを理解してもらうために作成したプログラムの動作を予想してもらいワークシートに記入してもらっていたが、45分間の実施時間では足りなくなるとの意見が上がり、次回の実施では改善点とした。また、“LEDの点滅“という動作をワークシートに記入してもらうときに、「チカチカと光る」という表現を使う生徒が大半だったが、「1秒点灯 1秒消灯 1秒点灯・・・」と細かい動作で観察できる生徒も一部見られた。この動作を細かく部活して捉えることが出来る能力は、小学校段階におけるプログラミング教育の在り方における「学びに向かう力・人間性等」へつながるものなのではないかと考えた。このように、普段全体でとらえている動作を分割して捉える習慣をつけてもらうため、次回実証では事前に歩行者信号機を観察し、その動作を細かく記入する課題を与えることとした。
2回目の講義風景
1回目で出された改善点を取り入れて実施を行った。動作の予想をワークシートへ記入する作業は、挙手による発表へと変更し、最後の歩行者用信号機の動作映像のみワークシートへ記入をするように変更した。これにより歩行者用信号機のプログラムを考える時間を確保でき、再現できた生徒が多くみられた。最後みんなの前で動作させ教室からは歓声が上がっていた。
大分市立明野北小学校 | TOSテレビ大分 |
大分市立明野北小学校 島原市立第5小学校 |
OBS大分放送 |
なし |
【島原市立第5小学校】
最初はなかなか話せなかったけど、ロボットを動かしているうちに仲よしになれた。
プログラミング教育をして考えることが楽しいと思えるようになった。
自分でよく考えて友達と話し合いをするのがとても楽しかった。
どういった順番でしたら成功できるか?などを考えるのが楽しかった。出来たら達成感があって嬉しく思った。
今あるプログラミングがどのような仕組みになっているか他も知りたくなった。
授業にもっとプログラミングを使いたい
私がパソコンで「命令」を送った時動いたのが楽しかった。もう少し難しいものにもチャレンジしたい。
車いすもプログラミングで動かしたらいいと思う。
【大分市立明野北小学校】
1つのゲームでもいろいろな工夫をして考えて作られているのがわかった。
○○をやったら○○するように作っているんだなと思うようになった。
先のことを考えるようになった。
身近に使われているプログラミングがこんなに簡単に出来ることが面白かった。失敗してもやり直すと成功したのが 楽しかった。
ぼくはこういうのが大好きなので大人になったらその会社に行きたいです。
エレベーターやエスカレーターなどのプログラミンもしてみたいと思いました。プリントなどがロボットを使って楽にできたらなと思いました。
プログラミングをしてゲームの考え方がいろいろ変わりました。
親がそれ系の仕事をやっているので教えてもらって一緒にやりたい。
自分で想像が出来て、それを実行するのが面白かった。頭脳の体操になるし、協力行動ができてたのしかった。
今までやったことがなくて何もわからなかったけど、初めてやってみて楽しかった。少しできないところがあったからまたやりたいです。
人がちゃんとプログラムして作っていることが実感できました。
ケータイのAPPを閉じるときのボタンの仕組みが知りたくなりました。
家でやってうまくなりたい
ロボットをプログラミングして生活をもっと楽にしたい。
うまく動かないときにそれがどうしたら解決できるか考えるのが面白かった。
プログラミングかとても楽しかったのでまたしたい。
プログラミングの講座を受け前は何も思っていなかったが受けてやっている途中でプログラミングが使われていると思うようになった。
信号機以外もプログラミングでやってみたい。
【島原市立第5小学校】
生徒の変化について最初は初めて聞くことやすることで戸惑っている生徒もいたが、時間や実施回数を重ねるごとに楽しそうに笑いながら作業していたのが印象的だった。また、ロボットの制御で「あと何秒増やす」といった微調整が上手になっていることも印象的だった。
実証講座で実際にプログラミングを使い動かすあたりから、どんどん取り組み方が積極的になっているように感じた。
実施回数を重ねるごとに、生徒の好奇心や問題を考える力が大きくなっているように見受けられた。
プログラミング教育を通じて、普段使っている算数などが役に立つということを理解してくれて、プログラミングと他の教科を絡めて学ぶ姿勢を持ってくれたこと。
【大分市立明野北小学校】
生徒があきらめずになども挑戦する大切さを、プログラミングを通じて理解してくれたこと。
受講生徒の中にプログラミングの経験者がおり、その子は自分がするのではなく友達に教えながら行っていたのが印象的だった。
先生
【島原市立第5小学校】
参加した生徒は興味関心が高く、プログラミングソフトで戸惑う子が少なかった。また、プログラミング的思考に繋がる模擬ロボットへの指示が、通常の指示との違いが分かりやすかった。
【大分市立明野北小学校】
自分自身、今回の体験によってプログラミングを理解し自分でも出来るようになりそうだという気持ちを持つことが出来た。
保護者
【島原市立第5小学校】
子供たちが柔軟な発想で楽しそうにロボットカーを動かしているのを見てプログラミングはあまり難しく考えず気軽に触れ合えるものなのだと思った。
楽しいときは笑顔で声をだして笑い、パソコンに取り組むときには真剣な顔で取り組んでいたので実のある時間だったと思う。
実証講座を終えて自宅で車のラジコンを分解して中身を見ていました。もともとエンジンやラジコンなどが大好きなので今回のプログラミングは興味がありすごく嬉しそうに見ていました。さらに、最初にパソコンではなく体を使って楽しみながら教えてくれたので、子供も毎回すごく楽しそうでした。
娘もとても楽しく学べて満足してました。一緒に見学に来ていた2年生の弟も体験したくてうずうずしていました。今回の教材と似たものを通販で購入し、家庭でも体験させたいと思っておいます。子どもの心を掴んでくれてありがとうございました。
教育委員会
【大分市立明野北小学校】
実証内容をみて、実際にプログラミング教育が始まっても実施できるような可能性を感じた。しかし、どの科目のどの単元に組み込んでいくかはしっかり検討した方が良いと考える。
校長先生
【大分市立明野北小学校】
今回の実証講座では、新学習指導要領で導入されるプログラミング養育を、教師自身に活動のイメージをつかませたい期待があった。また、子どもたちがプログラミングに対してどうゆう反応をして取り組むかを確認したい気持ちもあった。
実証講座では、意欲的に学習に取り組んでおり、目的通り動くと歓声が上がっていた。
ただ、もう少し時間をかけて進めなければついていけてない子が多くみられた。
2020年に向けてはまず、教師が体験できる研修などを充実してほしいことと、ハード面今回でいえばブロックロボットなどの確保についても未だ不十分であるように感じる。
プログラミングを経験したことがあるのは全体の1/4だった。またプログラミングについてよく知らないと答えた生徒も全体の6割を超えていた。
やはり、九州でのプログラミングの認知の低さが表れていると考えられる。
今回のプログラミング講座は両校含めて8割近くの生徒がプログラミングも講座も楽しいと回答してくれた。
ただ、プログラミングは楽しかったが講義はあまり楽しくなかった と答えた生徒が一定数いたので、ここは改善すべき点なのではと考える。
今回の講座で使用した教材について少し難しい・とても難しいと答えた生徒が4割近くいた。ここで利用した教材を難しいと感じた生徒は大分 明野北小学校に多く見られた。おそらく短時間で信号機を再現するため駆け足で基本的な操作方法を伝えたためにプログラムの組み方を理解できず少し難しいと思う生徒が多くあらわれたのだと考えられる。
実証事業のカリキュラム内容にゲームを作成したりする事はなかったのにも関わらず、8割近い生徒が理解できたという点は素晴らしいことだと思う。やはり、プログラミングということについて子供たちは知らないまま使っているが、少し学ぶだけで十分理解することが出来る分野なのではないかと考える。
今回のカリキュラムでは大まかな流れやすることは提示したが、配布物を一切配らなかったためにこれをしなさいといった縛りがなかったため、子供たちがちょっと工夫してみようと思った時にすぐ行えた環境だったのではないかと考えられる。
これが、自分なりのアイデアを取り入れたり、工夫したりするようになった生徒が7割近くいた結果につながっているのではないかと考察する。
この質問も前述した通りに、カリキュラムの自由度から得られたものなのではないかと考察する。
解決策を試すようになった生徒が8割近くいることも、指導役が大学生であったことや、コーティング的なサポートがあったために生徒自身が自ら試行錯誤を行いやすい環境を提供できた結果なのではないかと考える。
この結果についても、実証講座は原則2人1組で行ったので、うまくお互いの好奇心や集中力を維持することが出来、ペアと相談しながら自分の考えを試しに行ってみるといった行動が多くあらわれたためではないかと考えられる。
前述したように、ペアでの活動だったのでお互いに協力しながら口座に取り組めた結果であると考える。
今までのアンケート結果に比べて出来た児童が少ないのは、大分では生徒の大半が最後まで行くことが出来す、数組だけが前で発表を行ったため、自分たちは“作品”を発表できなかったと考えた生徒が多くあらわれた結果であると考えられる。
今回の実証カリキュラムは、少し技術的にも時間的にも難しいところがあったと反省していたが、多くの生徒があきらめずに取り組むことが出来ていたので少し安心した。
また、あきらめずに取り組めた生徒が8割近くいることも非常にうれしい結果となった。
アンケートから、大分 明野北小学校の生徒からは信号機以外のものをプログラミングで作ってみたいとの感想が多く見受けられた。
また、長崎 第五小学校では第1回の講座で身の回りのプログラミングが使われている製品を発表してもらったので、こういったことから7割ほどの生徒が自分で作ってみたいと思ったのではないかと考えられる。
アンケートからも、プログラムはすぐ書き直すことが出来る 失敗してもすぐ直せる といった感想が上がっており、生徒は自分自身でとにかく思考錯誤を繰り返していたのではないかと考察できる。
このことから、トライ&エラーといったような習慣を身に付けるのにプログラミングは非常に高い可能性があると考えられる。
7割の生徒が、今後もプログラムを続けたいと回答してくれた。しかし、続けたくないと回答した生徒や分からないといった生徒も3割いて、その理由として
といった感想が上がっておりこれらはプログラミングへの理解度が不足しているだけのように感じられた。また、第1回目にプログラミングについて講習を行った長崎 第五小学校についてはこういった意見は出ていなかったことから、まずはプログラミングへの理解・認知を進めるべきだと考えられる。
短時間の研修だったが、分野(技術的支援と精神的支援)を最初から分割し最初に説明することで、きちんと理解することが出来たのではないかと考える。
今回のこういった研修モデルは、広範囲への普及において有効なのではないかと考察する。
同様に、担当分野を分けておき、さらに実施内容に沿ってロールプレイングを行ったことで今回のような結果が得られたのではないかと考える。
今回初めてメンターとして参加する学生が多かったのでそういった経験の不足からくる不安要素だと考えられる。
メインメンターについては、ロールプレイングを行い、事前に流れや時間配分などを確認しておいたので10割のメンターが実施できたと回答したのだと考えられる。
時間配分等は確認できたが、やはり生徒に対しての接し方や、急なトラブルなどは初めて行うメンターおいて非常に大きなストレスになったと予想できる。
これが難しいと感じたメンターが8割近くでた要因であると考えられる。
2つのアンケートからは、うまく実施できた点と、膜実施できなかった点がちょうど反転しているように見受けられるので、うまく実施できなかったことを中心にサポートを行うことで、より安心してメンターは講座を行えるのではと考える。
この結果からも、初めてのメンターが多かったことが、経験あるサブメンターやサブメンターとしての参加は行いたいとの回答が多い要因なのではないかと考察する。
よって、メンターとしての経験を積んでいけるシステムを構築できれば安定したメインメンターの輩出が出来る可能性がある。
大分 明野北小学校においては当初計画していなかったICT支援員の協力を得ることが出来、非常に円滑な講座運営を行うことが出来た。
メンターの育成については、今回大学生をメインメンターとして実証講座における技術的支援を主な役割に、教職員、保護者・地域ボランティアなどを生徒の精神的支援を主な役割に分割することで、それぞれの苦手な分野をうまくカバーしつつ短期間のメンター研修で満足のいくメンターの運営を行うことが出来た。
本来は一人で技術面も精神面も支援できることが理想であるが、未だ普及途中であり、多くに成人から苦手なイメージが持たれているプログラミング教育においては初期段階として役割を分割することで早急なメンターの確保を目指していける可能性があるように考えられる。また、今回のアンケート結果からメインメンター、サブメンターどちらにおいても経験不足な面による不安要素が多くみられたので、会巣を重ねていくことで両方の支援を行えるメンターを育成していけるのではないかと考える。
今回の講座内容において、長崎では「複数回の実証講座からプログラミングについて知ってもらい、ロボカーの制御を通じて実用的なプログラミングを身に付けてもらう」、大分では「現実的な人材、時間をとおして、身近なものからプログラミングを知ってもらいそれを再現することが出来る」といった大きなテーマを掲げて考案した。
成果としては互いに狙った通りの成果を得ることが出来たとともに、予想外の成果も見られた。
その成果として、長崎における第1回目に行った自社考案のアンプラグド型学習を行ったところ、今までに触れたことがないようなプログラミング的思考を体験できるとともに、次回の実証講座へスムーズな接続の役割を果たすことが出来た。
予定していなかったICT支援員のご協力を頂けたが、そちらへの長期的なつながりを構築することが難しく、このような支援団体との良好な関係を構築していくことがこれから必須になってくる課題であるように感じた。
本モデルの特直でもある大学による単位付与であるが、継続的な生徒の確保が困難という課題が見られた。昨年度は多くの受講者がきたが、今回すでに取得した単位であることと、実証校が遠いことからスケジュール調整の困難など2年目だからこそ表れる問題点も見られた。この改善策としては難しいが大学による継続した単位付与を行えるようなシステムの構築や、各大学間で連携することで実証交付金等の大学からメンターを派遣できるようなシステムを構築していく必要があると考えられる。
弊社で作成したカリキュラムは生徒のプログラミング教育を通じて身に付けてもらいたい能力などの面は達成できたと考えているが、我々が考える時間配分と、生徒たちの実際の時間配分が異なっていたために、実証時間内に最後まで達成できる生徒が少数であった。また、学校へ実際に導入していくうえで、少数の生徒が最終目標まで達成でいればいいという我々が考えていたカリキュラム構成では、小学校の教育方針と多少ずれがあることを知り、みんなが誰も遅れることなく前進することが、小学校が求めるカリキュラム構成であったので、そういった双方間でのズレを解消していく必要もあると感じた。また、小学生に伝えるための言葉遣いなどもあり、そういった教育面への経験が乏しい弊社において改善すべき課題であると感じる。
メンター育成においては、最初から技術的な支援を目的としたメンター「メインメンター」の教育と、精神的支援を目的としたメンター「サブメンター」の教育の2本柱で行うことで、業務の分担やプログラミング教育の参加へのハードルを下げるきっかけになるのではないかと考える。実際に同モデルを行うのであれば、メインメンターを大学生やICT支援員に行ってもらい、サブメンター教職員や地域ボランティアなどに行ってもらうことで円滑な人材提供を行えるのではないかと考えている。
また今回の実証事業より、若年層(特に小学生)に対するプログラミング教育において、メンターに必要な資質として、プログラミングに関する専門知識ではなく、子供への接し方が重要であると考えた。これは、島原での実証授業でも大分の実証事業でも、サブメンターについてはあまり専門な知識はなくとも十分に生徒に教えることができていたためである。つまり、子どもの集中力の維持や困っている子を見つける力、子どもへの声掛けなど、そういった方面の能力・資質が小学生のプログラミング教育においては必要なのだと考える。もちろん、メインメンターとして専門知識を持った人材は必要になると思うが、若年層に対してのプログラミング教育に必要な人材は、子どもと接することが慣れている「保育士」や「母親」「教員・保育士等を目指す大学生・専門学生」といった人材なのではないかと考える。もちろんこれは、簡略化されたプログラミングツール(Scratchなど)がブロックを繋げ、文章としての整合性がとれているかどうかで判断できる点も要因しているためで、中学・高校と内容が高度化してくる専門知識を有する人材が求められてくると考える。
各学校によって、目指すべき教育方針が異なる可能性を考慮し、実際に実証する小学校などの教員と一度使用カリキュラムについて打ち合わせを行い、授業内でも利用できることを前提とした意見交換を行っていく必要があることが考えられる。また、教材についても「安価」・「高耐久性」・「愛着が持てる」といった要素が必要になってくると思うので、性能的には制限されたものでもこれらの3つの要素を満たす、新たな教材の開発が必要であるように感じられた。
今後の予定として、ロジコモンによる実証校への無償教室や教員向けのプログラミング研修の開催を予定している。
また、九州工業大学側から、ロジコモンのような同様の活動を活性化するために、各県に存在する国立大学とも連携を図り(毎年開催される国立大学54工学系学部長会議を通じて連携)、各大学を拠点とした広範囲での活動を目指す。
また、地域のプログラミング教育推進コーディネーターとしてロジコモンは、小学生に焦点を当て、その年代にプログラミングを教えることができる人材(教員・保育士等を目指す大学生・専門学生、母親など)をサブメンターとして育成していく。これに関して、簡単な認定制度を導入するともっとスムーズかつ信頼性を持った展開を行えるのではないかと考える。
学校のICT環境に対する課題としては、今回両校とも使用機材は九州工業大学のものを利用した。これは、学校でのPC等の設備の不足や、外部のソフトをセキュリティの観点からインストールできないためで、これからICT教育を普及させていくためには、「機材の充実」・「プログラミングツールを国で指定する」といったことが必要になると思う。