別紙1 主な論点
1 料金水準(別紙2 2、3) 接続事業者等の意見・再意見 NTTの再意見 考え方 ○ NTTの提案するPSTN相互接続料 金は高く、料金引き下げにも時間がかか っている。 ○ NTTの改正案には、日本の料金をその他 の市場の料金と同レベルにするという点 において、ほとんど進展が見られない。 ○ NTTは、最大限の効率化により、アナ ログの接続料金については着実な低減を図 ってきており、今後も継続して効率化に努 め、コストの低廉化を図っていく。 ○ 諸外国とNTTの接続料金は、各国の制 度、課金方式、物価水準の差異等により一 概に比較は困難。あえて比較すればオーバ ム社資料によると、日本の接続料金は発 信、着信ともに平均レベルである。 ○ NTTの接続料は「指定電気通信設備接 続会計規則」及び「指定電気通信設備の接 続料に関する原価算定規則」に基づき算定 され、着実に低廉化していることは一定の 評価をすべきであるが、効率化を更に進め ることにより、なお一層低廉化が進められ ることが期待される。 ○ NTTの接続料の諸外国との比較につい ては、各国の事情が異なることから一概に は困難であるが、諸外国に比べて遜色ない とする資料もある。 ○ いずれにせよ、諸外国との接続料につい ての比較をできるだけ正確に行う必要があ り、その手法の確立等につき、各国の行政 当局等で連携するなどにより研究を行って いくことが必要である。
2 利用者向け料金との関係(別紙2 13) 接続事業者等の意見・再意見 NTTの再意見 考え方 ○ ユーザー料金(市内料金)と接続料と は、値下後もなお逆転状態にある。 ○ NTTの相互接続料金とユーザ向け料 金(特にISDNの短距離料金)が連動 していない。 ○ NTTの料金でも、適切な顧客割引を 行った個人利用者向け料金が、ネットワ ーク・コスト(相互接続料金は一律)と 適正な個人利用者向けコストの合計を上 回っていなければならない、というスタ ック・テスト類似のテストを実施した方 が良い。 ○ 接続料金は、実績コストを基礎とした料 金を他事業者と自社の小売り部門に同一に 適用するもので、ユーザ料金の水準との関 係で設定するものではない。 ○ 日本の接続料金は、使用する設備単位に その使用コストを反映させるために、セッ トアップ付秒課金の料金体系であるのに対 し、ユーザ料金は、競争戦略を考慮に入れ た距離段階別、単位時間毎の課金方式(カ ールソン方式)の料金体系であり、算定期 間においても、接続料金は過去1年の実績 原価に基づき設定されるのに対して、ユー ザ料金は将来の総括原価に基づき算定され るという相違点があり、一概に比較できる ものではなく、「スタックテスト」と類似 のテストによりユーザ料金と接続料金を比 較することはあまり意味がない。 ○ 利用者向け料金と接続料との関係が小売 り料金と卸料金との関係に類似しており、 一般には後者の方が安くなるはずだという 意見には合理性があり、利用者向け料金は 全体として接続料金を含むネットワークコ ストを上回ったものとなるべきと考えられ る。 ○ ただし、利用者向け料金と接続料とでは 算定のベースやその体系が異なっており、 また、利用者向け料金の設定は、各事業者 の経営戦略等に基づき行われるものである ことから、一部分をとらえて両者を比較す ることは適切でない。 ○ ISDNについては、全般的に必ずしも 市内料金において利用者向け料金が接続料 を下回っている訳ではない。
3 中継伝送機能(専用型)(別紙2 21) 接続事業者等の意見・再意見 NTTの再意見 考え方 ○ 中継伝送機能(専用型)の接続料金が、 現状では6Mb/sの容量を1回線でもオーバ ーすると50Mb/sの約款料金が適用となっ ているので、容量に対して最も安い品目 の組み合わせにより算定することを認め るべき。 ○ 速度区分の細分化は、専用線全体の料金 体系の整合が図れないことやシステム対応 ができないことを考慮し、行わない。 ○ 局内に終始する中継伝送機能(専用型) については、6メガビット毎秒を僅かで も超えると接続料が約7倍になるというの では接続事業者が効率的ネットワークを構 築することの妨げになるので、接続事業者 のニーズに対応した相当伝送速度(回線 数)区分とすることが望ましい。 ○ 従って、当座の間は料金システム対応上 の問題から現在の区分でやむを得ないとし ても、接続事業者のニーズも踏まえた区分 とすることを早急に検討し、次回の接続料 の再計算までに相当伝送速度区分を見直す 等の措置を行うことが必要である。
4 利用者向け料金等の準用(別紙2 23、25、26) 接続事業者等の意見・再意見 NTTの再意見 考え方 ○ ユーザー約款の準用の実態において は、長期継続割引の提供がなく、実額とし てユーザーよりも高額になっている。 ○ 端末回線線端接続について、営業費用等 を考慮すれば、接続料金とエンドユーザ料 金とが同一になることは理解しがたい。早 期に、他の接続料と同様の基準によって算 定を行い、料金を定めるべきである。 ○ 端末回線の線端において接続した場合に は、ユーザー向け約款が準用されることと なっているが、休止が認められず、実際に はユーザーよりも条件が悪くなっている。 コスト的な説明ができない以上、提供条件 はユーザーへの条件を下回ることがあるべ きでない。 ○ 交換伝送機能及び中継伝送機能(専用 型)の接続料金については、平成10年度 の接続会計が出るまでは専用サービス約款 の料金表を準用している。端末回線線端接 続については、ユーザ約款による一般ユー ザへの提供形態と全く同様であることか ら、接続会計が出た後でもユーザ料金を準 用する。 ○ 長期継続利用割引については、契約期間 を長くすることによる増収の範囲内で一定 率を還元しているものであり、営業費等の 控除とは性格が異なることから、準用しな いこととしている。 ○ 接続約款に基づく提供設備は、事業者の 要望に基づきNTTが個別に専用の設備を 建設して提供していることから、遅滞なく コスト回収すべきであるため、休止等につ いては準用していない。 ○ 中継伝送機能(専用型)、交換伝送機能 については、接続会計結果が出るまでの 間、暫定的に現行の接続専用回線料金が準 用されている。接続会計結果が得られた後 にはその結果を基礎として算定されること になる。 ○ 一方で、端末回線線端接続については今 後とも利用者向け約款・料金の準用を見直 すことが予定されている訳ではない。この 準用については、当該接続に係るトラヒッ ク及び使用する設備を契約者と区別して把 握することが困難であること等からやむを 得ない面もあるが、接続料と利用者向け料 金との対応する費用範囲の違いについて配 慮しつつ、他の接続料と同様な考え方とす ることを基本に、利用者向け料金等の準用 の範囲の在り方につき更に検討される必要 がある。 ○ なお、利用者向け約款・料金を準用しな がら、利用者よりも条件が悪くなっている ことに必ずしもコスト論からの十分説得力 のある説明がなされているとは考えられな い点があるので、接続事業者のニーズを踏 まえ、そのあり方について更に検討される 必要がある。
5 将来需要・将来原価による算定(別紙2 11、28) 接続事業者等の意見・再意見 NTTの再意見 考え方 ○ 今回、NTTがISM交換機能に係る接 続料金算定に際し、9年度実績ではなく 10年度見込値を利用したことは評価。 ○ ISM交換機能の網使用料について、 どのような理由により今回の申請では1 年間の将来原価にて算定することにしたの か教えていただきたい。 ○ 実績原価と将来原価の適用選択及び将 来原価を適用する場合の算定期間等につ いて、NTTが恣意的に設定するのでは なく、一定の基準を明確化するとともに 継続性についても配慮する必要がある。 ○ 将来原価での算定を『例外的』な扱い とせずに、ISM交換機能の網使用料以 外の接続料金についても、将来原価にて 算定することを検討いただきたい。 ○ (番号案内接続機能について)今回の 算定において、将来のコスト低減を合理 的に折り込んでいただくようご検討をお 願いしたい。 ○ 料金算定を実績原価方式で行うのか、 将来原価方式で行うかは、基本的には、 新規サービスであり、かつ今後相当の需 要の増加が見込まれるかどうかにより、 判断するものと認識。 ○ 今回、ISM交換機能については、以 下の理由により1年間の将来原価方式に より料金算定を行った。 1) ISM機能を利用するトラヒック極め て顕著な伸びが見込まれ、実績原価方式 とした場合、翌年度のタイムラグ精算額 が多額となることが想定された。 2) 番号案内接続機能については、ISD Nサービスと同様に将来原価方式を採用 することは、コスト未回収の危険性があ る。 ○ ISMを利用するISDNの需要の伸 びが平成9年度において特に顕著であ り、実績需要・原価による算定を行った 場合には「指定電気通信設備の接続料に 関する原価算定規則」第14条の精算分 も含めた接続事業者からNTTへの支払 総額が、平成10年度の需要・原価ベー スから著しく乖離することを回避するた め、今回、将来需要・原価により算定し たことは評価される。 ○ また、その際に予測誤差の生じにくい 平成10年度1年間について予測がなさ れたことについても妥当と認められる。 ○ ISM交換機能以外にも将来需要・将 来原価による算定の考え方を適用すべ き、との主張がある。現行省令の考え方 では実績需要・実績原価によることが原 則となっているが、それでは精算分も含 めた支払額が実績ベースから大きく乖離 する場合がある。そういったときで、需 要や原価の妥当な見込みが可能であると きには、将来需要・将来原価の考え方が 採られることが適当と考えられる。 ○ 番号案内サービス接続機能の接続料の 原価は「指定電気通信設備の接続料に関 する原価算定規則」に則り、当該機能に かかる費用の実績から算定され適当と認 められるが、費用の大幅な変更の要素も あるので、将来原価の適用の可否につい て、今後検討すべきである。これも含め て、将来需要・将来原価による算定の考 え方について整理を行い、具体的機能毎 にその適用可能性を検討すべきである。
6 作業単金(別紙2 47) 接続事業者等の意見・再意見 NTTの再意見 考え方 ○ 作業単金については、世間一般で適用 される作業単金と比較して、非常に高い 水準にあると思われる。外部に委託する 場合の費用も加味して算定することによ り、単金は低減すると考える。 ○ 算定根拠上では、平均年収10,28 9千円の社員が工事等の作業を行ってい ることとなるが、この年収レベルの人員 が中心で保守作業を行うことはないと思 われる。 ○ 作業単金については、継続して有識者 等により検討いただきたい。 ○ NTT殿の1人1日あたり労務費単金 が昨年度と比べ4%程度上昇しており、 この伸びは世間一般と比べて非常に高い。 ○ 弊社の単金水準は必ずしも突出した水 準にあるものではない。当社が委託する 会社は主に当社からの業務切り出し会社 であり、その設立の経緯から直営による 作業と同等と見なすことができる。 ○ 「平均年収10,289千円の社員」 という指摘があるが、算定根拠に記載し た年間労務費1人当たり平均額10,2 89千円は、当社の超過勤務手当を除く 人件費(法定福利費・退職金等を含む) の1人当たりの平均値であり、年収を表 すものではない。 ○ 割増率の算定に当たって割増率を乗ず る対象には、諸手当、賞与、法定福利 費、退職金等を控除した超過勤務手当支 給の基礎となる部分のうち、管理者に対 し支出される部分を除いた一般社員分を 適用しており、算定上問題はない。 ○ 作業単金については、これを構成する 労務費単金、物件費、管理共通費、報 酬、利益対応税の区分毎にその算定根拠 が示されており、その内容に一定の合理 性は認められるが、割高ではないか、と の意見が多く出されている。 ○ 意見・再意見を通じて各社より提起さ れたものには、内容に亘る質問的なもの も多く、今後の継続的な検討を希望する 意見も多かったところであり、まずは議 論を通じて必要な情報を得ることで、そ の論点の抽出等の作業が必要と考えられ る。 ○ 論点について一定の整理を行った上 で、作業単金をめぐる実態の把握、適切 な水準の在り方、低減化策等について検 討することが必要である。
7 預かり保守契約(別紙2 50、51、53) 接続事業者等の意見・再意見 NTTの再意見 考え方 ○ (とう道使用料について)全国一律の 単価としていただきたい. ○ NTTは通信サービスの多様化に効果 が大きい二種事業者POIについてはコ ロケーションができるようにすべきであ る。 ○ コロケーション内での利用目的に制限 を加えることのないようにして頂きたい。 ○ 管路・とう道等については、その建設コ ストが場所毎に大きな差があり、本来は場 所毎に算定する方法とすべき。指定電気通 信設備が県域を単位に指定されていること 等から、行政単位である県域ごとの使用料 金を算定した。 ○ 他事業者が一般ユーザの立場で他事業者 設備を当社の局舎内に設置したいという要 望については、私的自治の原則による契約 で対応。 ○ 他事業者が接続事業者の立場で他事業者 設備を設置したいという要望に対しては、 「接続に必要な装置等」の定義について個 別に当社が判断する。過去の事例では、線 長制限がある等のPOIに隣接して設置し なければならない技術的な制約がある装置 等が該当する。 ○ NTTの局舎は有限資産であり、義務的 提供以外のケースにおいては、私的自治の 原則により解決されるべき。 ○ 管路・とう道は個別契約で提供されてき たものであり、またその資産価額について は地域によって格差があることから、当面 地域ごとに料金を算定することには一定の 妥当性は認められる。しかし今後、その公 平性の面からも、料金格差の是非も含めて 更に検討を行うべきである。 ○ 接続約款上、第二種電気通信事業者につ いても通信用建物は提供されることになっ ているので、一般ユーザの立場とは異なる 申込みについては承諾すべきである。 ○ 個別の問題において、電気通信事業法施 行規則第23条の4第3項第2号の「接続 に必要な装置」の範囲について事業者間で 争いがあるときには郵政大臣の裁定を求め ることができることとなっているが、あら かじめその範囲を明確化しておくことが望 ましいので、そのための検討を行うことが 必要である。 ○ 本件は接続約款上の問題ではないが、N TT局舎内にコロケーションした接続事業 者について、合理的な理由がないにも関わ らず利用目的に制限が加えられることは適 当でない。従って、NTTの通信用建物の ボトルネック性に配意しながらNTTが設 置に応ずべき設備の設置条件が明確になる よう検討すべきである。
8 減価償却(別紙2 68) 接続事業者等の意見・再意見 NTTの再意見 考え方 ○ 郵政省がNTTの機器購入、交換、そし て減価償却のやり方を徹底的に見なおし、 NTTがこういったやり方を修正してコス トを削減し、それによって接続料金も下げ ることができないか、詳しい監査を行うべ き。交換機、伝送装置、光ファイバーケー ブルはNTTの設備投資の大きな部分を占 めるので、NTTがこれらの設備に使って いる減価償却期間は特に注意して精査すべ き。 − ○ NTTは税法上の耐用年数と同じ耐用年 数を用いているが、これは平成9年にNT Tが設備の利用実態を調査し、実態とかけ 離れたものではないとの報告がなされてい る。 ○ しかしながら、減価償却費は接続料にお けるウェイトも高く、常時その実態につい て注視する必要があり、郵政省において、 設備の効率的配置や減価償却期間の適正化 についてその実態を把握しながら必要な研 究を行うべきである。戻る