『地域おこし協力隊』は、都市地域から過疎地域等の条件不利地域に住民票を移し、生活の拠点を移した「地域おこし協力隊員」が自治体の委嘱を受け、地域ブランドや地場産品の開発・販売・PR等の地域おこしの支援や農林水産業への従事、住民の生活支援などの「地域協力活動」に携わりながら、その地域への定住・定着を図る取組です。隊員の任務期間は1〜3年ですが、65%の人は任務終了後もその地域に定住しており、地域での起業につながるケースも数多くあります。
隊員として愛媛県砥部町に移住し、現在は砥部町役場地域振興課のコミュニティ支援係で活躍している佐伯靖治さんの例をご紹介します。
愛媛県のほぼ中央に位置する砥部町は、江戸時代から続く焼き物の町。現在も「砥部焼」を産する100あまりの窯元があり、焼き物の里らしい風情を漂わせています。また、温暖な気候を生かして育てられる「みかん」や、高原野菜、自然薯などの栽培が盛んです。
佐伯さんが砥部町を移住先に選んだ決め手は「砥部焼」でした。佐伯さんは、信楽焼で有名な滋賀県信楽町の信楽高校デザイン科出身のため、焼き物の里・砥部町に親近感を持ったそうです。
砥部町の良さは、四国一の都市である松山市に隣接しながら、豊かな自然が残されていること。それでいて町内にも近隣の市町にも商店が多く、生活しやすい点も長所です。現在は鉄道は通っていませんが、インターチェンジや松山空港が近く、愛媛県の南予地方や、香川県、高知県へのアクセスも良い場所です。さらに、砥部焼に関連した施設はもちろん、動物園やジップラインなどのレクリエーション施設も充実しています。
佐伯さんは現在、移住や、都市部の人との交流をミッションとして活動し、主に移住者へ住居を提供するための「空き家バンク」の業務に携わっています。 空き家バンク業務では、それまでは物件の平面図(間取り図)はエクセルを使用した簡易なものだったのを、Jw_cadというソフトを取り入れて独学で習得し、間取りをよりわかりやすく提示できるようにしました。
また、町内の空き家の把握は行われていたものの、そこからのアクションを起こせていなかったため、佐伯さんは把握している空き家へ案内文のポスティングを行ったそうです。そして、自治体の一員になったからこそできることとして、所有者へコンタクトを取り、空き家バンクへの登録を勧奨して、登録件数を増やし、売買契約にも携わりました。
東京で行われた移住フェアでは、移住希望者の招致が成功し、体験ツアーへの参加を経て、移住に結びつきました。
佐伯さんは、医療従事者としての経験があるため、地域のサロンなどに参加して健康アドバイスをしたり、また、趣味のギターの弾き語りを披露したりもしています!
移住前は、時間的な余裕なく働いていた佐伯さんですが、移住後は余暇活動の時間が増え、運動や趣味も充実して、健康的な生活を送れているそうです。今後は、退任後の生業の創出を見据えて、空き家を活用した事業も提案していきたいとのこと。
また、隊員として培った経験を、砥部町や愛媛県、地域住民に還元できるような活動で貢献していきたいと考えているそうです。
佐伯さんから、地域おこし協力隊として活動を考えている人へのアドバイスは、「自分自身の夢を叶えるだけでなく、地域への感謝、尊敬、奉仕の気持ちがあるからこその協力隊員。その気持ちを忘れないでほしい」ということ。
その土地におのずと感謝や尊敬の気持ちを抱き、「役に立ちたい」という気持ちがわき上がるような「地域」と「人」との出会いが、地域おこし協力隊を成功させるのかもしれません。
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