和歌山県すさみ町 × ソフトバンク株式会社
物流ドローン(写真提供/ソフトバンク)
『地域活性化起業人』は、地方自治体が三大都市圏に所在する企業等の社員を一定期間(6カ月~3年)受け入れ、そのノウハウや知見を活かしながら地域独自の魅力や価値の向上等につながる業務に従事してもらい、地域活性化を図る取り組みです。
ソフトバンク株式会社から出向し、和歌山県すさみ町役場の地域未来課で活躍する木村篤さんの例をご紹介します。
紀伊半島のほぼ南端に位置する和歌山県すさみ町は、「自然と共に生きる町」というキャッチフレーズのとおり、熊野古道のある山々や、透明度の高い海など、美しい自然に囲まれた町。キャンプ場を備えた海水浴場があり、「ケンケン漁」という漁法で1匹ずつ釣り上げるブランド魚の「ケンケン鰹」なども有名です。
地域活性化起業人としてすさみ町で暮らすようになった木村さんは、「青空、緑の山、夕日の赤など、色彩が豊かな町」と感じているそうです。
すさみ町が抱える課題のひとつに、今後、発生が予測されている「南海トラフ地震」への対策があります。大地震が発生した際、すさみ町には1mの津波が約3分で海岸線に到達すると予想されています。
ソフトバンクの関西IoT技術部から出向した木村さんが取り組んでいるのは、3Dマップとドローンを活用した危険作業の低減、災害対応の効率化や、デジタル避難訓練、防災イベントの実施による住民の防災意識向上など。これらは、国土交通省都市局の『スマートシティ実装化支援事業』のプロジェクトとして行っています。
具体的には、まず、ドローンの映像で津波浸水区域を点検することにより、危険作業の低減と効率化を図ります。また、ドローンを使った音声放送により、高台への避難を促します。さらに、避難所の孤立化も予想されるため、ドローンによる物資輸送も重要になります。そこで、3Dマップを活用してドローン航路を作成し、遠隔操作ドローンで点検、放送、物資輸送が可能か検証する実証実験を行いました。
物流ドローン航行の様子(写真提供/ソフトバンク)
防災イベントは、地震体験車を体験してもらったり、津波高を示すタペストリーを掲示して高さを実感してもらったりというアナログ的体験と、デジタル避難訓練とを組み合わせて実施し、「住民の防災意識が30%向上」という成果を上げることができました。
ソフトバンクでは、さまざまな産業分野において最新技術を活用した革新的サービスを創出することで、社会に貢献することを目指しており、自治体との連携においては、課題の検証や先進的な取り組みを安定的に継続させるため、スマートシティの推進やDX(デジタルトランスフォーメーション:デジタル変革)の推進などを実施しています。
「すさみ町での実証実験では、国土交通省、町役場、消防署、消防団、地元住民と連携して、3Dマップによる可視化、ドローンによる効率化などICT技術やデジタル技術を活用することで、社会課題解決への一定の効果が見込めるという経験を得られました」と木村さん。
何よりも、地元の人たちと連携して課題解決に取り組める点が『地域活性化起業人』の良さであり、課題解決の近道にもなり得る制度といえそうです。
ケンケン鰹もドローンで輸送してお刺身に!
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