政策評価・独立行政法人評価委員会(第11回)議事録



1. 日時 平成13年12月21日(金)14時00分から16時30分
2. 場所 中央合同庁舎第2号館 第1特別会議室
3. 出席者
  (委員会)
       委員   村松岐夫委員長、丹羽宇一郎委員長代理・政策評価分科会長、富田俊基独立行政法人評価分科会長、伊藤元重、樫谷隆夫
       臨時委員   宇賀克也、高木勇三、田辺国昭、新村保子、黒川行治、黒田玲子、宮脇淳
       専門委員   木村陽子、中山正邦、稲継裕昭、梶川融、武田尚仁、山本清、山谷清志
  (総務省)
片山総務大臣、遠藤総務副大臣、新藤大臣政務官、塚本行政評価局長、鎌田行政評価局総務課長、新井政策評価官、讃岐評価監視官、堀田法施行準備室長、加藤評価監視官 ほか
4. 議題
   (1)「政策評価に関する基本方針」の取りまとめ方針に関する審議
   (2)独立行政法人評価結果の評価に関する方針について
   (3)行政評価局が行う主要な政策評価の調査計画の審議


○村松委員長
  議事時間がまいりました。これより政策評価・独立行政法人評価委員会の第11回会合を開会いたします。
  本日は公務御多忙のところ、片山総務大臣、遠藤副大臣及び新藤大臣政務官に御出席いただいております。
  それでは、片山総務大臣より御挨拶をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○片山総務大臣
  総務大臣の片山でございます。御苦労様でございます。
  委員の先生方におかれましては、本年1月の発足以来、御多忙の中、精力的に御審議をいただき、誠にありがとうございます。
  特に、政策評価に関する基本方針に関しましては、9月28日の本委員会で遠藤副大臣から幅広く御意見を賜りたい、こういうお願いをいたしたところでありますが、委員の先生方からは全般につきまして貴重な御意見を多数いただいてまいりました。改めて、皆様の御協力に感謝申し上げたいと思います。
  本日は法律の規定に基づき、基本方針の案について正式に諮問させていただくこととしております。お諮りする案は、委員の皆様方からいただいた御意見を踏まえつつ、各省と必要な調整を行って作成したものであります。何卒慎重御審議の上、御答申いただきますように、よろしくお願い申し上げます。
  基本方針は本日いただく御答申を踏まえ、年内に閣議決定することとしており、来年1月からこれに基づき、各府省における基本計画の策定準備等が本格化することとなると思います。私といたしましては、法を所管する立場から、その円滑な施行に万全を期してまいる所存でありますので、引き続き、委員各位の御指導と御協力を賜りますようお願い申し上げます。
  それでは、諮問させていただきます。
(資料1「政策評価に関する基本方針の案について(諮問)」の諮問文を読み上げ)
  よろしくお願いいたします。
○村松委員長
  ありがとうございました。
  それでは、ただいまの片山大臣からの諮問を受けまして、政策評価に関する基本方針の取りまとめについての審議に移ります。
  片山大臣、遠藤副大臣におかれましては公務のため、ここで御退席になられます。
○片山総務大臣
  どうぞよろしくお願いいたします。
(大臣、副大臣退席)
○村松委員長
  それでは、まず事務局より諮問案について資料に沿ってご説明をいただきたいと思います。
○堀田法施行準備室長
(資料1「政策評価に関する基本方針の案について(諮問)」の本文を読み上げ)

○村松委員長
  ありがとうございました。
  本案に関しましては、先ほど大臣の御挨拶にもありましたが、9月28日の第8回委員会以来、審議を重ねてきたところでございます。委員の皆様からいろいろな御意見をいただいたわけですが、これらを十分に踏まえた上で案文が出来上がったということでございます。
  本案について何か御意見があれば、どなたからでも御発言をいただきたいと思います。
○田辺臨時委員
  この文章がどうこうということではなくて、2点ほど確認的な御質問をさせていただきたいと思います。
  1点目は8ページでございますが、20条から22条までの規定、つまり制度を実際に生かすための能力やシステムを開発するということですが、一つは20条のところで手法の共通化のための調査及び研究等について重点的に取り組むことにしている。21条に関しましては活用の促進のためのシステムの整備を図るものとすると書いてありますが、今、具体的にどういうことが動いているのか。ここ数年ぐらいでどういうところまで達成しようとしているのか、具体的な計画等がございましたらお教えいただきたいというのが1点目の質問でございます。
  2点目の質問は10ページ目の(3)の総務省の評価活動に関しての文章でございます。なかなか微妙な文章ですので、そこの解釈について若干お伺いしたいというのが質問の趣旨です。
  一つはアの(ア)に「政府として指向すべき一定の方向性を踏まえ」という言葉がございますが、あまり聞き慣れないものですから、これは具体的に何を意味しているのか。例えば、各省が法律で何か書いて、その下に政令、それから長期計画等、かくかくしかじかの目的がある。その目的以外にやってはいけないということではないと思いますが、他方で政府全体として閣議了解等がなければ総務省の側が動けないというものでもないと思います。そこのところの幅というのでしょうか、そこの判断等の広がりはどういうふうに考えているのか、もしくは了解されているのかということであります。
  同じアの(ア)の「一括して、全体として評価するものとする」というところですが、これも各省の課の特定の政策を狙い撃ちするということではないということは分かりますが、例えば共管の政策の中でも、あまり重要ではない、という言い方はひどいですけれど も、部分を抜かして、他の関連省庁の8ある中で6ぐらいは非常に重要だけれども、というようなやり方もやってはいけないという、意味ではないと思いますが、そこはどういうふうに理解されているのか。以上、2点質問です。
○村松委員長
  事務局からお願いしたいと思います。
○堀田法施行準備室長
  まず、8ページの手法の開発についての調査、研究の進め方でありますが、具体的には例えば規制インパクト等の分析については現在、一部の省では若干の研究も進められているというように聞いております。また、私ども総務省としてもこれから取り組んでいかなければいけないなという、まだそういう段階でございます。
  IIの2の21条の部分ですが、システムにつきましては、具体的に総務省としまして13年度予算でデータベース等の整備についての予算を頂戴しておりまして、これについて現在、システム開発を進めているところであります。取りあえず文献情報から始めまして、各省の評価結果についていずれデータベースに入れて相互に利用できるということを考えているところでございます。
  10ページの「一定の方向性を踏まえて」につきましては、単に閣議決定、閣議了解ということばかりではなくて、例えば昔でありますと臨調の答申等で言われているようなこと等も含めて、この幅を考えているところでございます。
  それから、「一括して、全体として評価する」ということについては、田辺委員の御指摘のとおり、例えば共管法でありますと、その共管法自体の目的を達成するために各省の政策がそこにパッケージとして用意されている。総務省としてはそのパッケージに組み合わされている政策を主なものとか軽いものであるということを問わず、全部一括して、そして全体の目的に照らして、それぞれの政策がどういう機能を果たしているのかという形で評価をしていきたいと思っているところでございます。
○村松委員長
  よろしいでしょうか。
  その他御発言はございますでしょうか。
  それでは、特段の御意見がないということでございまして、当委員会といたしましては、本日示された案については適当と認めるということで、御異議はございませんでしょうか。

(「異議なし」という声あり)

○村松委員長
  どうもありがとうございました。
  それでは、そのように決定させていただくこととし、委員の方々からは後ほど御決裁をいただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
  答申につきましては、本日委員会の終了後に委員会を代表させていただきまして、私から大臣にお渡しをするというように考えております。
  また、答申に当たりましては委員会を代表いたしまして、委員長名で談話を発表したいと思います。委員長名の談話ということでございますが、その組織を代表してということでございますので、お手元に資料をお配りしておりますが、このような内容で行いたいと思っております。念のため、事務局から読み上げていただきたいと思います。
○堀田法施行準備室長
  それでは、読み上げます。
「政策評価に関す基本方針」の答申に当たっての委員長談話(案)を読み上げ)
○村松委員長
  以上でございます。よろしいでしょうか。
  それでは、次の議題といたしまして、独立行政法人評価結果の評価に関する方針について審議を行います。まず、資料に基づきまして事務局から説明していただきます。その上で少し休憩を取りまして、その後、審議を進めてまいりたい、そのような順序で考えております。よろしくお願いいたします。
  それでは、事務局から御説明ください。
○讃岐評価監視官
  それでは、資料2というところでお願いいたします。「独立行政法人評価結果の評価に関する方針(事務局素案)」というものでございます。2か月前、10月26日の当委員会において論点の整理に基づいて審議をいたしました。今後、今年度中に当委員会として、これまでガイドライン的なものと言っておりましたが、評価結果の評価に関する方針を策定する、こういうスケジュールで審議を進めたいと考えております。今回の審議におきましては、独立行政法人評価結果の評価に関する方針、これは事務局の素案ということで提出させていただきまして、こういうものを土台といたしまして、御議論いただければということで資料を提出いたしました。
  今回の事務局素案については、括弧書き、これは事務局の注でございますが、ここにあるとおり「今回の当委員会の審議を踏まえ、また、各省の評価委員会の動向をも勘案しつつ、取りまとめていくこととしたい」というものであります。以下、順次読み上げます。
  1として「総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会の任務」といたしまして、「総務省に置かれる当委員会は、全政府レベルの評価機関として、各府省評価委員会から『通知された独立行政法人の業務の実績の評価の結果について、必要があると認めるときは、当該評価委員会に対し、意見を述べる』」『 』でくくってある部分は独立行政法人通則法の規定でありますが、それを当委員会は任務としております。
 2といたしまして、それでは当委員会における、各府省評価委員会が行った独立行政法人評価結果に関する評価の方法としてどのように考えるかということですけれども、
  「当委員会が意見を述べるに当たっては、各府省評価委員会が行う評価の結果、すなわち独立行政法人について」、(1)は各事業年度ごとの評価、(2)は中期目標期間終了時の評価で、独立行政法人通則法の書きぶりにしたがって記述しておりますが、法律の書きぶりは(1)(2)はパラレルですので、(1)をまず読みます。
  「当該事業年度における中期計画の実施状況の調査をし、及び分析をし」、ここまでが通則法の規定の前段であり、後段として、「並びにこれらの調査及び分析の結果を考慮して当該事業年度における業務の実績の全体について総合的な評定」をして行う、というのが通則法の規定による各事業年度ごとの評価であります。(2)は各事業年度というところを中期目標の期間に読み替えているものです。
  「当該中期目標の期間における中期目標の達成状況の調査をし、及び分析をし、並びにこれらの調査及び分析の結果を考慮して当該中期目標の期間における業務の実績の全体について総合的な評定」をして行うという規定です。
  当委員会として、各府省がこれらの評価を行った結果について必要な評価の作業を行い、その結果、「必要があると認めるときに、当該評価委員会に対し、意見を述べる」という方法で、当委員会の作業を考えていこうということであります。
  3として、それでは当委員会における評価の作業、意見を述べるに当たっての評価の作業ということであります。
  「(1)基本的枠組み」といたしまして、「当委員会の評価の作業においては、まず、各府省評価委員会の評価結果が、当該評価委員会において定められた評価基準に適合したかたちで適切に評価を行ったものとなっているか、また、評価基準を踏まえた評価の内容は妥当なものとなっているか」について確認を行うこととしています。
  基準適合性というものを1階部分で確認し、2階部分で基準を踏まえた評価の内容の妥当性について確認し、「必要な意見を述べることを基本とする。」としています。
  「その上で、当委員会が、全政府レベルの評価機関として、必要かつ有効であると認める場合には、各府省評価委員会の評価結果を横断的にとらえることによる評価の作業を行う。」としています。これは、当委員会の固有の役割として、全政府レベルの評価機関であるという位置付けがあることから、各省各評価委員会の評価結果を横断的にとらえることによる評価の作業を行うという方法で進めていくこととしているものです。
  (2)といたしまして、それではこの基本的な枠組みに沿った具体的な評価の作業の進め方ということですが、「当委員会における具体的な評価の作業は、各府省評価委員会の評価結果に関して、以下の手順に沿って行うこととする。」としています。
  ここでは手順の基本的な着眼点を書いています。事務局の注としての括弧書きですが、「なお、今後、以下の着眼点に沿った具体的な項目の設定」、もう少し個別のチェックリストのようなものを考えていますが、それについて「さらに検討することとして、最終的には一体的に」公表するというふうに考えていきたいと思います。
  まず、「各事業年度に係る事業の実績に関する評価結果」の評価ということですが、左側の欄が各府省評価委員会の評価結果がどのような構造になるかということです。まず、先ほどの独法通則法の規定ですが、「当該事業年度における中期計画の実施状況の調査をし、及び分析をし、これらの結果を考慮し」という前段部分に係る部分です。
  先に次のページの左側の欄だけ御覧いただきますと、「(上記の結果を考慮して)『当該事業年度における業務の実績の全体について総合的な評定をする』」、そういう後段部分に係る部分があるわけです。
 前段に係る部分は中期計画の各個別の項目ごとにその実施状況を調査、分析し、実施状況、達成状況の判定をして、その結果を出し、後段に係る部分はその結果を考慮して、業務の実績の全体について総合的な評定を行うということになります。こういう独立行政法人通則法の構成に従って、各府省評価委員会の評価の結果が通知されることになるであろうという認識であります。
  それでは、当委員会における評価の着眼点をどのように考えるかということです。前段部分に係る部分でありますが、先ほどの基本的な枠組みに沿って書いています。まず、「定められた評価基準に適合したかたちで評価が行われているか」。基準適合性といいますか、1階部分といいますか、極めて外形的なチェックということになると思いますが、そういう確認がまずあります。
  具体的には、「基準に適合したかたちで、中期計画の実施状況の把握が行われているか」という点と、「基準に適合したかたちで、中期計画の実施状況の判定が行われているか」等について確認するということがまずあるということになります。各府省評価委員会がそこで定めた基準に基づき、把握をし、判定をする。ABCDEとか○とか×とか、そのようなものをどのように判定するのか。それは、どのような実績データに基づいて判定するのか。そうしたことが基準に書かれることとなると思いますが、実際の判定がその基準に適合したかたちで行われているのか、そういうことを確認するということになります。
  「また」以下ですが、「評価基準を踏まえた評価の内容は妥当なものとなっているか。」ということです。具体的には、「中期計画の実施状況の把握は妥当なかたちで行われているか。」ということがまずあると思いますが、これは、「例えば、中期計画で示された各項目全てについて、何らかのかたちで実施状況が把握されているか」あるいは、中期計画で示された各項目の実施状況の把握の手法としまして、指標によって評価をする場合に、その選択・設定が妥当なものとなっているか。これは例でありますが、こうしたことを具体的な項目の設定の中で、これから整理をしていこうということを考えています。
  その次ですが、「中期計画の実施状況の判定は、妥当なものとなっているか」。ABCDの判定が行われたときに、その判定は妥当なものとなっているのかについて確認するということであります。
  次に、「中期計画の実施状況の把握の結果は、検証可能なものとなっているか」、ということについて確認する、こういう形で基本的な着眼に沿って確認作業を進めていこうということであります。
  次のページですが、「(上記の結果を考慮して)『当該事業年度における業務の実績の全体についての総合的な評定』」を行う部分ということであります。まず、「定められた評価基準に適合した評価が行われているか。基準に適合したかたちで業務の実績の全体について総合的な評定が行われているか」ということです。これは先ほどの一つ目の○と同じです。
 次の○ですが、資料を読み上げる前にこういう考え方であるということを御説明しようと思います。通則法の書きぶりに戻りますと、前段部分は、中期計画の実施状況を調査、分析しとあり、その結果を考慮してとなっておりまして、後段部分は、その結果を考慮して、業務の実績の全体について総合的に評定を行うということになっています。
  前段部分と後段部分をつなぐ言葉として「考慮して」とありまして、「踏まえて」という書きぶりになっているわけではない。総合的な評定の結果を有効で実効あるものとするために、前段の実施状況の調査分析の結果を後段の総合的な評定の間で何らか勘案される余地を認めているという、そういう法律の規定の書き方であります。
  それでは、何を勘案すべきなのか、こういうものも勘案した上で評価しないと有効な評価とならないということについて、当委員会として先見的に言い得るかというと、当委員会は評価結果に対して意見を言うという所掌を有しているのみでありますので、これが合理的であるとか、これが客観的であるとかを先見的に言うのは難しかろうと考えられます。
  しかし、全政府レベルの評価機関であるという当委員会の固有の立場、役割があり、各府省評価委員会の評価結果を横断的にとらえることにより、ある評価においてとられているある手法、例えば効率性の向上について何か有効なやり方で評定を行っていて、それが他の法人の評価にも有効なものであれば、そういう観点からさらに横断的に他法人の評価結果について確認を行う。そういう作業の方法をとっていくことは考えられるし、また、それにより、横断的な評価を行うという役割を果たしていくことになろう。
  そこで資料に戻ります。「また、業務の実績の全体について総合的な評定を行うときに考慮される事項に関し、上記の作業を通じて、全政府レベルの評価機関である当委員会として、各府省評価委員会の評価結果を横断的にとらえ、一部の法人について採られているある一定の視点、手法が他の法人に関する評価においても、その実効性確保のため必要かつ有効と考えられるものがある場合には、これらの点を勘案した評価が行われているのかという観点から、横断的な確認を行う。」ということであります。
  具体的にはどのようなものが横断的な確認作業の対象としてあるかということですが、これは各省の評価基準がどのように定められているのかを見ていかないと分かりませんし、まだ全て定められているわけではない段階ですので、「現実の各府省評価委員会の評価基準の定め方によるが、」とした上で「効率性」、これは、これまで当委員会で御議論いただきました。生産性という言葉で言うことがより適切かもしれないということですが、その向上に関して、「単位費用の設定等、費用と効果の関係について何らか適切な指標を設定し、当該法人における当該指標の経年推移、同種類似業務を担う他法人・民間法人等との比較を行うことにより、効率性(生産性)の向上を把握しているか」について、横断的な評価作業の枠組みでとらえるということです。
  次に、「自己収入の増加に関して、当該法人における経年推移、同種類似業務を担う他法人の比較等を行うことにより、自己収入の増加を把握しているか」。
  さらに、より発展的な一般的なかたちとして、「何らかの一定の業務の実績に関して、必要かつ有効と考えられる場合に、当該法人における当該事業の実績との経年的な比較、同種類似業務を担う他法人や民間法人の業務実績との比較により、その業務の実績を把握しているか」。そういうことについて、当委員会として府省評価委員会の評価結果を横断的な評価の作業の枠組みでとらえ、その評価結果に基づいて必要と認めるときに意見を述べるその前提作業ですが、そういう枠組みでとらえていくことが考えられるのではないかということです。
  横断的な枠組みによる評価の作業に関して具体的な取り組みとして書いたものは、これまでこの委員会で御審議を頂いてきた中で、御提案、御意見を頂いていたものについて、こういう枠組みで取り組むことを検討し得ると考えたものにつきまして挙げたものであります。
  次に、下の括弧書きであります。「なお、独立行政法人通則法の規定の趣旨を踏まえれば、当委員会としては、独立行政法人の業務の実績を直接に評価することは想定されていないと考えられる。」ということであります。
  次の4ページにいきます。これまでは各事業年度の評価の枠組みでしたが、「『中期目標期間に係る業務の実績に関する評価結果』に関しても、上記評価の作業に準じて」、同様の枠組みで「当委員会における評価の作業を行うこととする」と考えていこうかということであります。
  (3)といたしまして、「府省評価委員会の評価結果に関する評価に関連して当委員会として注視すべきもの」、評価に関連して「注視すべきものと考えられる事項」を列挙してございます。
  事務局の注として「これらの注視の結果は、必要に応じ、中期目標の期間の終了時において、当該独立行政法人の主要な事務及び事業の改廃に関し、当委員会が主務大臣に対して行うことができる『勧告』の検討に反映させていく」ということを検討していくということであります。
  ○の一つ目は、「各府省評価委員会が評価を行った結果、独立行政法人通則法32条3項に基づき、必要があると認めるときに、当該法人に対して行った業務運営の改善その他の勧告の実施状況と、それに基づく措置状況」。
  次の○ですが、「中期目標期間終了の前年度において、各府省評価委員会が行う、次期中期目標の策定等についての検討の実施状況」。次の中期目標に反映させるためには、中期目標期間が終わる前の評価結果、5年の中期目標期間であれば4年目の評価が大事であるが、そういう考え方によって各府省の評価委員会が行っている評価の結果について注視しようということであります。
  次の○ですが、「主務大臣が独立行政法人通則法35条に基づき」、各府省の主務大臣自体が「独立行政法人の中期目標期間終了時において、当該独立行政法人の業務を継続させる必要性、組織の在り方その他その組織及び業務の全般にわたる検討を行い、その結果に基づき、所要の措置を講ずる」という規定がありまして、その措置を講ずる場合にあっては、その検討に際して府省評価委員会の意見を聴かなければならないわけでありまして、その府省評価委員会に対してどのような意見聴取がなされているのかを注視する。これによって、その検討状況、その成り行きをとらえていくことができる。
  その次の○として、「各府省評価委員会の評価結果を踏まえ、中期目標又は中期計画を一層適切なものとするとの観点から見直し、修正を行う」という各府省評価委員会の評価の取り組みも出てくると思います。その場合、中期目標の変更ですと主務大臣が行いますし、中期計画の変更ですと各独立行政法人が行い、主務大臣がそれを認可します。その変更あるいは変更の認可に対して評価委員会の意見を聴かなければならないということですので、その意見聴取の状況を見ることによって、その状況をとらえていく。こういったことを注視していくということを行っていこうということであります。
  4番といたしまして、「独立行政法人評価結果に関する当委員会の評価の結果の取りまとめ」ということであります。「個別の法人について、必要があると認めるときに述べる『意見』はその都度、公表する。
  また、当委員会における評価の作業の結果を全体的に取りまとめるとともに、当委員会が独立行政法人評価結果に関連して注視した結果として、独立行政法人の評価制度の実効性の一層の向上に結び付くと考えられる事項についても、併せて取りまとめて公表する」ということにしようということであります。
  今後の評価のスケジュールですが、これは必ずしも法令等で決まっているわけではありませんので、想定するとこういうことになろうかと思います。来年の3月で最初の事業年度が終わるわけですが、来年の6月には各府省、各独法は業務実績報告書を財務諸表と併せて主務大臣に提出しなければならないとされています。それをもって評価の作業が実質的に始まると考えられます。それから夏にかけて各府省の評価委員会の評価が行われ、早いものは夏に出てくるかもしれませんし、あるいは相当多くの独法を所管する委員会においては秋口になるかもしれませんが、各府省評価委員会で評価の結果を出し、それを当委員会に通知することとなります。その評価結果に対して当評価委員会は評価の作業を行う。それぞれの評価結果の確認作業を行うとともに、横断的な確認作業を行う。
  そして、全部の評価結果が果たしてどの程度の時間的なスパンで出てくるのか、初年度ですのでよく分からないところがありますが、一応全部を取りまとめて、例えば来年の今ごろには全部できているか、あるいは次の年の初めぐらいになるか。少なくともその次の年度が始まる前にはその次の年度計画などを策定しなければならなくなりますから、そういったタイミングを見ながら当委員会としての評価結果を取りまとめていくことになろうかと思います。これは想定でございます。
  関連する資料といたしまして、参考1と参考2を用意いたしました。参考1は前回の委員会で提出いたしました資料と同じものであります。各府省の評価委員会の評価基準がどのようなかたちでまとまっているのかというものです。参考2は今既に策定されている評価基準です。参考1では、まだ検討中のものについても、各府省の評価委員会に提出されているものは全て取りまとめておりますが、参考の2は既に評価の基準を策定しているところ、これは経済産業省の所管の5法人だけでありますが、その実際のものを用意いたしました。
  よく御覧いただければと思いますが、一番上に製品評価技術基盤機構の業務の実績に関する評価基準というものがあります。1には、「中期目標期間における業務の実績」とあって、2が各事業年度における業績評価ですが、立て方は基本的に同じでございます。
  1の(1)に評価方法とあり、その1)に業務実績とあります。中期目標あるいは中期計画に書かれた項目ごとに、その実施状況を調査、分析する。そして、それが達成されたかどうかを把握するという、先ほど説明した、通則法第32条第2項の前段部分に対応するものということになります。
  3)に総合評価があります。これは、後段部分に対応する総合的な評定ということになります。1)と3)の間に2)とありまして、コストの妥当性、分野ごとの費用対効果は妥当かについても評価していこうということが書かれています。
 (2)には「評価基準」とあります。1)が業務実績ですが、能動型業務、これは試験、研究業務のようなものです。AA(優れて達成)からDまでの5段階で判定します。
  受動型業務、これは検査検定の仕事を行っておりますが、それはAかBか、○か×かで判定します。
  コストの妥当性については、ここに書いてあるような考え方で評価されることになります。
  次の2ページ、3)は総合評定ですが、総合評定はABCで評定します。ここは基本的な考え方が書いてあるだけで、これに基づく個別の評定の方法につきましては具体的には記載されていません。今後、細目を検討することを考えているのではないかと思います。
  もう一つだけ説明します。次の経済産業研究所中期目標評価基準というものであります。左右対照になっておりますが、右側の欄が評価基準になっています。まず、評価方法といたしまして[1]が項目別評価、[2]が総合評価です。通則法の規定による前段部分を項目別評価、後段部分を総合評価として分けています。このように通則法の規定に沿って、前段部分と後段部分を分けるというかたちのものが一般的です。判定基準ですが、ABCDEの5段階で判定することとしています。
  次のページをお開きいただきますと、左側が評価対象項目という欄になっておりますがここは中期目標あるいは中期計画で書いてあることを要約して書いています。業務運営の効率化に関する事項として、ここは中期目標で示されている事項が、最後の行ですが、「毎年度平均で、前年度比1%程度の効率化を図るものとする」と記載されていて、それではそれをどのように評価するのかというのが右の欄ですけれど、評価基準として「左記相当の効率化のための活動が、業務運営プロセスにおいて、実現されているかを評価する」となっています。
  評価対象項目として、質的な側面での効率化度と、指標類が挙げられています。指標については、四つ示されています。こういう質的な側面と指標によって評価して、先ほどのABCDの判定を行うということになると考えられます。このような評価結果を想定した上で当委員会の作業を考えると、このような基準にあてはめて指標や数値データを使ってABCDの判定を行ったのかということを確認することが1階部分の基準適合性の確認ということになると思います。
  次にこの評価基準に沿っていきますと、3番が「国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項」ということです。ここはこの法人の本来業務ということでありまして、調査・研究についてインパクトを与えるような水準で行うとか、政策立案に対して円滑に寄与するような研究成果を出すといったことが、中期目標等で示されています。
  右側の欄は評価基準ですが、研究所の特質が発揮されているか、質的側面を含めて中期計画が達成されているかを評価するということです。「また」のところですが、中期目標期間において効果を計測する観点から、もともとの通産研究所時代と比較してどの程度か、経年的な推移も見ることとされています。
  評価対象項目として、質的な充実度としていくつか挙がっている中では、現下の政策当局では発想できないような中長期的な改革の視点をもって研究成果を提出することができたのか、斬新な政策研究・提言活動によって、分析的基礎を提供したのか、等が挙がっています。
  指標類としてはここで15挙がっております。論文発表数ですとか、出版数ということがあります。そういう基準で業務の実施状況を把握して、その結果をABCで判定することになる。その判定は基準に適合して行われたのかを確認することが当委員会の1階部分の確認作業になります。
  また、評価の内容の妥当性の確認につきましては、例えばセミナー等を開催したとき、その内容の充実度を図るといったものでは、参加者によるアンケートが有効なものであって、それによって充実度が図られているのか、そういったことを確認することになると思います。具体的なチェックリストはこれから検討したいと考えています。
  一番最後のページ、7ページを御覧いただきますと、「評価表」という様式が示してあります。それぞれ項目別に評価項目があって、それぞれごとにABCDの判定、評定が行われ、その理由・背景をも記載されたものが評価結果として示され、当委員会に通知されてくるということになります。この評価結果に対して意見を述べるというのが当委員会の役割であります。以上、今の段階で策定されている評価基準をいくつかサンプルをとって御説明いたしました。
  以上、説明を終わらせていただきます。
○村松委員長
  どうもありがとうございました。
  それでは、ここで休憩したいと思います。5分間でございまして、5分後に再開いたします。

(休憩)

○村松委員長
  再開したいと思います。独立行政法人評価結果の評価に関する方針という名称で、文章にまとめていただいているわけであります。いつものようにといいますか、非常に短い文章でありますし、どこから御議論いただいても全てに関連があるでしょうし、特に議論の順序を決めずに、どなたからでも御発言いただきたいと思います。
  どうぞよろしく。
  稲継さん、どうぞ。
○稲継専門委員
  今、休憩時間にも話をしていたのですが、この方針は一般的なものとして、これから他の独立行政法人が誕生したとしても、それにも掛けていくということだと思います。現在までの議論は主として57、60の独立行政法人をイメージしつつ進めてきたと思います。32の研究、検査・検定を主体として、規模としても大体 200人から 300人程度のイメージ、それから運営交付金としてもトータルで 3,800億ほどで議論してきたと思います。
  ただ、今週、閣議決定されました特殊法人の整理合理化計画を見ておりますと、私は数を勘定しておりませんが、30とかそれ以上の数の新たな独立行政法人が誕生することが閣議決定されているわけでございます。今、このタイミングでそれをどうこう言うのは時期尚早かもしれませんが、それを見ておりますと、例えば大きな公団、緑資源公団とか水資源開発公団とか、あるいは大きな事業団とか相当程度含まれています。今まで我々がイメージしてきた検査・検定とか、試験・研究機関とはかなり業種とか対応、規模が異なるものが相当程度入ってくることが予想されるわけでございまして、それに関連しまして1点確認と、質問させていただきたいと思います。
  確認としまして、この方針は先ほども申し上げましたようにこれから新たな独立行政法人が入ってきても、それに対応するものとして考えていくべきものなのかどうかということでございます。
  質問は、もし事務局の方でとらえておられるようでございましたら、どれぐらいの数の法人が入ってくることが閣議決定されているのかということ。もし規模なども分かっておりましたら、御教示いただきたいなと思っております。
○村松委員長
  事務局の方、よろしいですか。
○讃岐評価監視官
  一昨日、閣議決定された整理・合理化計画では独立行政法人化されるのは36法人になっております。
  規模あるいは業務形態も非常に多様でございますし、借入金を得ているものとか、仕事のやり方についても違うものがあると思います。
  それから、計画では既に決まっている国立病院であるとか、国立大学の法人化もこれから出てくるわけでございます。
  さて、そういった今ないものについて今の方針がどこまで適用可能なものなのかどうか。それについては十分精査をしなければいけないと思いますが、基本的にできる限り一般的なものということで、しかし確かに今、中期目標、中期計画を我々が頭の中に思い描いているのは、今の57、60の法人であるということです。閣議決定された法人の内容がどうであるのかもよく考えて整理しなければいけないと思います。そういうことも含めて検討すべきであるという御意見ということで承って、それに関して何か御提案なりございましたら、承りたいと思います。
○村松委員長
  山本さん、どうぞ。
○山本専門委員
  今の話とも関連しますが、事務局案に対して若干注文があります。政策評価と独立行政法人の評価の最大の違いは組織全体に対する評価です。したがって、意識的に落とされたかどうか分からないのですが、組織体全体としての財務的な構造なり、内容がどうであったかを入れないといけないと思います。組織が行ういくつかのメニューを評価する場合と全然違うわけです。主要な独立行政法人の中期計画なり中期目標の中に財務内容の改善が含まれているのは、まさしくそこにあると思います。それは1点、やはり入れないといけないのではないか。
  それと、短期的な面と長期的な面がございまして、組織ということからいきますと、当面、改廃もあり得るのですが、組織全体の能力といいますか、職員の能力の向上が一番重要になってくると思います。総合的な評価ということから言えば、やはり職員のスキルであるとか、研修なりトレーニングにどれぐらい力を入れているか。私は飴とムチという表現はあまり好きではないのですが、一方で効率化を言うわけですから、それに対するスキルを確保しなければいけない。
  自由な労働市場が必ずしも日本においてはできているわけではないですから、当面は職員のスキルを充実することによって長期的な効率改善も図っていかないといけない。いろいろな学者がよくおっしゃっていますが、研修費用であるとか人件費のフリンジなところを削減することによって効率化目標を短期的には達成できるけれど、長期的には組織的なポテンシャルが落ちることもありますので、効率性の向上がトップに上がってくる事務局案でも問題はないと思いますが、これはセットでする必要があるだろうと思います。
  もう1点は、他の独立行政法人にも入っていますが、国民に対するサービスの質の向上は法的にも謳われていますから、サービスの質を必要かつ有効と考えられる場合に云々というよくわからない表現ですね。ここで読むことになると思いますが、当委員会としては効率性とサービスの質の向上は両輪で両方とも向上させなければいけない。片方だけでは駄目なんだということを明確に打ち出すことが、是非とも必要ではないか。このように当面思います。
○村松委員長
  今お答えいただけることはありますか。
○讃岐評価監視官
  いろいろ貴重な御提案、御指摘をいただいたと思います。評価結果の評価を行うに当たって、どのような評価の枠組み、評価の作業を行うかということでまとめたわけですが、まず評価結果について意見を述べるというのが我々評価委員会の所掌であるところから、何を成し得るのかということを考えていく。そういう中で考えているスキームでございまして、その中で取り組むことができるものについては可能な限り取り組んでいくことを考えていきたい。
  また、我々もよく整理しなければいけないのですが、トレーニングとかスキルの向上とか、マネジメント全般について、それが組織のマネジメント自体の判断の問題なのか、業務の実績についての評価の中で取り入れられる問題なのか、そこの区分けをよく考えていかなければならないと思います。評価と言っても評価を一次的にするのが、各府省評価委員会であって、それに対して意見を述べるのが当委員会で、その中で何がどのように取り入れられていけるのか。そういうことを踏まえて、よく検討していかなければいけないと思います。
  また、財務的な面につきましては、財務の中で何を有効な指標として取り出して評価ができるのかについて、今ここで費用と効果の関係、単位費用の設定などをあげております。また、自己収入ということも挙げてございますが、その他評価の中でどのような有効な指標なりとらえ方があって、それを当てはめていくことができるようなものがあるのか。そういったことをこれからの作業、評価の中で、あるいはこの基準を考えていく中でよく検討していかなければいけないということで御意見を承りたいと思います。
○村松委員長
  梶川委員。
○梶川専門委員
  本日のこの評価の対象になるのかどうか、その点からお聞きして、もしなるとすればということですが、財務の評価の一環としての剰余金の処分に関する剰余金の内容の分析というか、剰余金の経営努力の認定という問題が評価委員会の役目としてあると思います。剰余金の経営努力の認定に関する評価を今日の御議論の対象に含まれるのでしょうか。それは質問でございます。
 もし含まれるとすると、3ページ辺りの業務の実績の全体的、総合的評価という中にその内容を組み込んでいく部分になるのか。また、できれば剰余金、経営努力とはいかなるものを具体的にさせていくのか等々を御検討する時間なり、御検討していただければと思います。今日の対象でなければ、また別に考えさせていただくということだと思います。
○讃岐評価監視官
  私自身も法律の仕組みをもう1回よく読んだ上で、また正式にはこういう考え方だということでまとめなければいけないと思います。それが果たしてマネジメントの判断の問題になっているのか。業績が出たから、これを剰余金として使うんだというマネジメントの問題になっているのか。その前段としての評価というものがあるわけですが、その評価結果自体が適切なものか、合理的なものかというのがおそらく評価であると思います。その評価結果が果たして適切なものであるのかについて確認をして、必要な場合に意見を述べるというのが当委員会の役割であるわけですから、果たして直接的な剰余金をいかなるときに、どのように使うかということを評価の中に取り入れるものなのか、考え方を整理したいと思います。
○梶川専門委員
  ただ、府省の評価委員会には剰余金について、その内容が経営努力であるかどうかを評価、認定しなければいけない役目があるのではないかと思います。各府省がやられる経営努力であるかどうかの評価の方法論に対する二次的評価はこの評価委員会の使命というか、多少その職責に入るのかなという気がしたのですが。
○讃岐評価監視官
  各府省の評価委員会は必ずしも評価だけではなくて、評価に関連して中期目標、中期計画の認可から始まりまして、例えば役員の報酬の基準とか財務諸表が主務大臣に出されたとき、その承認の意見を述べるとか、運営自体に係わる意見を述べるという権能も与えられているわけでございまして、剰余金の使途の承認もそうした府省評価委員会の態様の一つであるわけです。そのような府省評価委員会の権能の一つとして独立行政法人の評価を行う。そして、評価結果を当委員会に通知するというものがあるわけです。
  各府省の評価委員会の様々な活動のうちの方法の一つとして、業務の実績の評価があり、その結果が当委員会に通知されるものであり、その通知された結果について当委員会は評価結果が適切であるのかということについて意見を述べていく。そういう中で剰余金の内容、使途についてどこまでとらえ得るものなのか。御指摘は大変よく分かりましたので、承った上で整理させていただきたいと思います。
○村松委員長
  私自身もまだしっかりとイメージができていないところがありますが、メタ評価というのか、第一次評価でない次の評価を担当するわけです。そのときに今おっしゃられたような剰余金とか、それをマネジメントでどう運用したとかということが第一次的な評価を行う評価委員会の情報として利用されていて、それが情報としてこちらに来て、我々の判断の材料になるということは十分ありそうなことだと今の枠組みでも感じますが、法律に従ってメタ評価であることを押していくと、この横断的という仕組みをどういうふうに具体化するかということだということを強調されておられたのかなと聞いていましたが、また検討していただきたいと思います。
○高木臨時委員
  政策評価の方の臨時委員ですが、コメントさせていただきます。
  まず、3ページの四角の真ん中あたりのマルポツ3つのうちの真ん中の「自己収入の増加に関して」というところですが、これを見ますと全ての独立行政法人において自己収入の増加が必要だ、あるいは望ましいと考えた上での記述と思われます。たしかに今現在の自己収入より増加するのは望ましいかと思いますが、ある程度のところにいきますと、平原状態になるのではないかとも思いますので、この素案のような記述のされ方はいかがかなと思います。特に今現在の独立行政法人です。博物館とか美術館とかそういうところになりますと、自己収入といいましてもおのずと限度があると思いますので、その辺のところは御検討いただければというのが1点です。
  次が2ページの記述に関連して、2ページの一番最後のところで「中期計画の実施状況の把握の結果は、検証可能なものとなっているか」と記述されております。これはこの委員会が検証可能かという意味に受け取られますが、この委員会は検証機関であるのかどうかという確認をさせていただきたいと思いますが。
○村松委員長
  讃岐さん、よろしいですか。
○讃岐評価監視官
  検証可能なものとしてオープンな形になっているのかということで、それを着眼の際の一つの確認点にしようかということです。
○高木臨時委員
  少々表現が強いかなという気もします。
  あと、今日お見せいただいた各独立行政法人の評価基準と事務局の方で素案としてまとめられた2ページの評価の着眼点のところで記述されている評価のされ方を考えますと、評価委員会でやる作業とこちらの委員会でやる作業とあまり違いがなくなるのではないか。もちろん3ページの一番下に「独立行政法人の業務の実績を直接に評価することは想定されていないと考えられる」と書かれていますので、個々の独立行政法人の評価委員会が直接的に評価している部分があるならば、その部分だけの違いは出てくると思いますが、各独立行政法人の評価基準を見ていますと、果たしてそこまで予定されているのかなと思います。
 もし、この評価委員会として直接的な調査を必ずやらなければならないということを想定するのであるならば、各評価委員会に対しての評価のガイドラインみたいなものがまずあってということがよろしいのではないかというのが思うところです。
○村松委員長
  ガイドラインという言葉の意味によるかもしれないのですが、この方針が我々の中で作られて、これでメタ評価をやりますということになると、これが自然にある種のガイドラインの役割を果たすということが起こってしまうと思います。おっしゃっておられるのは、もっと個別的にいろいろ横断的にやってみれば、いくつかチェックポイントが上がってくる。それらについて我々がどういう項目で見るかをあらかじめ具体的に設定しておいた方がいいということですか。
○高木臨時委員
  この委員会におけるガイドラインではなくて、各府省に設置される個々の評価委員会における評価基準についてのガイドラインが。
○村松委員長
  あらかじめ?
○高木臨時委員
  はい。
○村松委員長
  それは法律的に見てどうなんですか。
○讃岐評価監視官
  厳密な話になりますが、当委員会には、各府省の評価委員会の評価結果に対して必要と認めるときに意見を述べるという所掌事務が与えられているのみです。政策評価の場合には、政策評価の基本的事項の企画立案を行うというのが総務省に与えられている設置法上の所掌事務としてありますが、この委員会においては各府省評価の評価結果に関して、必要があると認めるときに意見を述べるという、この1項だけの規定がございまして、評価制度全体をこのように運用しなければいけないという企画立案的な機能が与えられているわけではない。そういう限定性があります。そういった所掌事務の枠組みの中で考えていかなければいけない。
 その中で今、各府省も評価基準を作っておりますが、当委員会で評価のガイドライン的なもの、当委員会の評価基準、評価の方針ですが、そういったものを作り、それに個別の様々なチェックリストを示す。チェックリストで当委員会が評価結果を評価して、必要があると認めるときに意見を述べるというのが各府省に伝わる。それが各府省の評価委員会に対する実質的なメッセージとして伝わる、そういうことを想定して、いま評価方針を作っているのだ、そういう考え方です。
○村松委員長
  しかし、おっしゃられた趣旨も感じることがありますので、更に検討する部分もあるかと思います。
○樫谷委員
  今のことにも関連しますが、今日の答申の基本方針と評価に関する基本方針で、こちらは評価結果の評価に関する方針ですから、中身が違うのは当然ですが、基本方針の方が各府省との関係の整理をかなりきちっとしています。権限の問題も。評価結果の評価といえども、ある程度指針を示さないと、各府省も動けない。
  例えば中期目標を達成するとか中期計画の達成というのがありますが、中期目標を達成したということはどういうことなのでしょうか。つまり、通常、企業でいうと目標はかなり高く、相当努力しないと達成できないという部分と、普通どおりやれば目標どおりいく、計画どおりいくというのと二つあると思います。そのときにこの長い表を見ますと、厚生省の方は中期目標を概ね達成しているというのがB、真ん中です。
  ところが経済産業省、二つ目ですがBとあって、中期計画の実施状況として計画達成に向け順調である。つまり計画達成というのはBランクで、ちょっと上です。5段階と4段階の違いもあるかもしれませんが、計画達成というのは一体何なんだ。ものすごく努力した結果なのか、それとも普通のことなのか。しないことがとんでもないことなのか。その辺のことがきちっと整理されていない。こういうことも中身を検討するとあります。
  それから、私も法律の趣旨をよく理解しているわけではないのですが、独立行政法人の業務を直接評価することは想定されていないと書いてありますので、想定されていないのかもわかりませんが、ある程度突っ込まないと評価の結果を評価するといって書類審査をやってもそんなに……。これから特殊法人が行政改革で独法にどんどん入ってくる。相当期待されているわけです。その中で各府省の評価委員会の結果を受けて、それについて並べてみてコメントを言うというだけでは、これは何だとなるのではないか。
  法律違反をしてはいけないが、法律違反にならない範囲内でもうちょっと積極的に独立行政法人の評価を高めるという趣旨から方針なりを作っていかないと、評価結果の評価ができないのではないか。また、しても評価されないのではないかと思いますが、いかがですか。
○村松委員長
  現在のところ、事務局としてどうお考えですか。
○讃岐評価監視官
  独立行政法人の評価が実効ある評価になっているのか、例えば効率性の向上ということは大変重要なことです。もちろん効率性だけではないのですが、そういったものが十分に実効ある評価として評価されているのかということを当委員会として確認することにどのように取り組んでいき得るのかということで、横断的な評価の枠組みの中で、また法律の書き方の解釈の下で取り組んでいく、こういう考え方を示しているわけです。
  もう1点、前回の議論でもございましたけれども、各府省の評価委員会も第三者機関で、当委員会も第三者機関である。第三者機関である評価委員会が評価したものについて、当委員会がまた第三者機関として意見を述べるという極めて珍しい制度になっています。一次的な評価を行う各府省の評価委員会も第三者機関であって、客観性とか中立公正性が当然ながら要請されているし、その機能を果たしているということは、やはり一応の前提としては考えなければいけない。そういう評価の制度の仕組みの下で考えていかなければいけない。その上で2段階目を担当する全政府レベルの当評価委員会として、この委員会で指摘のあった効率性とか、あるいは先ほどサービスの質の向上ということもございましたが、そういったものをどのようにとらえて、より実効ある評価としていくのか。そういうものをとらえていくための仕組みを工夫していかなければいけないということであると考えています。
  今日は事務局の素案ということで資料を提出しましたが、できる限り評価の実効性を高めたいという問題意識の下に、しかし法律とか今の仕組みを前提にして、どこまでできるのか、することが適切なのか。そういったことをよく勘案しながら検討を進めていかなければいけないと思いますし、そのための建設的な御提案を是非この場でいただきたいという趣旨でございます。
○村松委員長
  鎌田課長。
○鎌田総務課長
  補足させていただきたいと思います。説明の本質は讃岐評価監視官が申し上げたことと変わらないのですが、実は樫谷先生の示されている御意欲と讃岐君が言っていること自体、私はほとんど変わらないと思っております。同じ人間でありながら体温に差があるようなもので、ほとんど一緒のことを言っていると理解されるのではないかと思います。
  と申しますのは、結局のところ、我々として冷静でなければいけないと思っていますのは、事務局としてもそうですが、この評価委員会の外観性として、所掌事務の範囲内で事柄をきちんと処理するのだということが枠組みとしてあると思います。ここは制度設計ですので、それは前提にある。
  しかしながら、樫谷委員がおっしゃっているように、新しい制度である独立行政法人の評価の世界において府省の評価委員会を超える立場から、より実りある評価を行っていかなければならない。この使命感ですね。これも当然のことながら枠組みの中で達成していくべきなのではないか、そのように思っております。
  そういう中で、枠組みの府省委員会の評価結果を評価する、こういうシナリオの中で今まで何回かにわたって御議論いただいた幅広い観点をどのようにとらえていくか、盛り込んでいくか。そういう工夫を今、若干不備はありますが、このペーパーでお示ししたと御理解いただきたいと思います。
  したがいまして、突っ込めという話もありましたが、独法について調査していくこと自体は独法通則法上は想定されておりませんが、これに近い形で何らかの工夫をしていくことは、例えば資料収集という一環で可能なのではないかと思います。それはそれとして、まず府省の評価委員会がまず評価をして、その評価結果を評価するというときに、府省の評価委員会が行った評価についてまずチェックしていく。それは外観性もそうですし、質的内容についてもそうであろう。そこが必ず通らなければいけない道なのではないか。それを2ページ目の評価の着眼点という形で整理しています。これは粗っぽいものですから、さらに山本先生をはじめ、いろいろな方々からの御意見をさらに盛り込んで、これの右側の方に詳細な項目を設定していかなければならないなと思っております。
  それがまず一つ目の土台になります。さらに評価基準というものを彼らが前提にして評価して、その外観、質、それに加えて本当に必要な総合的な判断がなされているか。つまり必要な期待される上乗せがされているかについて、さらに我々としてきちんと詰めていくべきだろう。この世界にこそ、皆様方にいろいろ言っていただいたいろいろな観点が入り込めるのではないかと思っております。
  そういう意味では、先ほど剰余金の話がありましたが、インセンティブ付与の問題であるとか、前回来、富田先生がおっしゃっているユニットコストの問題とか、そんな話も工夫して入れてみたわけでございます。
  そういう気持ちを是非ともお酌み取りいただきまして、こういった枠組みの中で、さらに右側に評価項目みたいなものを付け加えていく議論の中でさらに建設的な意見を頂き、それを我々がちゃんと箱の中に収まるように整理していきたい。そういう気持ちでございます。
○村松委員長
  樫谷委員。
○樫谷委員
  私が言いましたのは、各府省の評価委員会を飛ばしていきなり行け、そこまでの乱暴なことを言っているわけではないんです。少なくとも出てきたものをチェックするには、行くかもしれないという武器を持ってないと、絶対に行けませんということになりますと、それも問題なのではないか。だから、十分行けますよという権限ぐらいはどこかに……。権限が法律的にあるのかどうか分かりませんが、どこかに謳っておく必要があるのではないか。
  実際、政策評価の方については客観性の担保ということの中で、かなり突っ込んでやれることになっているという説明を受けておりますが、この独立行政法人の評価につきましても同じではないかと思いますので、権限行使をするかどうかはこちらサイドの話ですから、初めから無い、想定しないということを言う必要はないのではないかと思っております。
○村松委員長
  それはそのとおりで、法に規定されたことを我々はやらなければなりませんから、そこはそうですが、関心があったのは、法律の規定に基づきながら着眼点とか、4ページで通則の35条を引用して、「注視すべきもの」という言葉で書き分けているところがあります。これは羅列してしまうと同じように見えないことはないように思いますが、どういうふうに書き分けているんですか。
 それは35条だから注視という言葉で考えられることを今までの議論に沿って指摘したということですか。
○讃岐評価監視官
  注視ですから、これ自体は評価結果の評価ではないのですが、それを実効あらしめ、またもう一つの仕事である主要な事務、事業の改廃の勧告をどのように考えていくのか。それを検討していくに当たっては幅広く各府省の独立行政法人の業務について、どのような点が指摘され、それに基づいてどのような措置がとられているのか。それは各府省の評価の中でどのような措置がとられていくるのか。そういったことを幅広く注視していくという、そういうスパンを持って、これは法律上の権限ではございませんが、そういう問題意識の下に注視していくことが我々の活動をより効果的に、実効ある成果を上げるために必要ではないかということでございます。
○村松委員長
  木村委員。
○木村専門委員
  2点ほど申し上げたいと思います。第1点は2ページのことについてです。「中期計画で示された各項目全てについて、何らかのかたちで実施状況が把握されているか」ということがありますが、先ほどどなたか委員がおっしゃったこととの関連で考えましても、目標水準自体の妥当性を問うということがあってもいいのではないかと思います。
 2番目は山本先生がおっしゃったことと関連しますが、私も政策評価と独法の評価の一番大きな違いは、一つの組織体についていま議論されている方は見ることができる。また、見る必要があるというところにあるのではないか。だから、マネジメントと行政評価は必ずしも分離する必要がないのではないか。かなり重複してもいいのではないかと思います。
 例えば財務内容あるいは評価の結果が具体的にどのように生かされているかとか、組織体全体のマネジメントの向上を図る観点も入れる必要があるのではないかと思います。以上です。
○村松委員長
  ありがとうございました。
  武田委員。
○武田専門委員
  資料2の4ページのところで、先ほどの村松委員長のお話とも関係しているかもしれませんが、下から2番目の○のところで、主務大臣が35条に基づきまして、当該独立行政法人の業務を継続させる必要性だとか、そういったものに対して検討を行って、措置を講ずるのに対して注視をしていこうということで書かれていますが、先ほどの議論の中で独立行政法人はいろいろなところが入ってきますよねという話がありました。その中には存続の是非が議論の対象となった組織も入っているのではないかと考えるわけです。当面、すぐに問題にならないかもしれませんが、ゆくゆくはどうなんだという評価といいますか、白黒をつけていく事項に当たるのではないかと思います。
  そういう意味で、今の御説明でスパンを持って見ていこうというのは非常に分かりますが、一つ着眼点といいますか、そういったものを考えておかないと困る事態になるのではないかという心配をしておりますが、その辺はいかがでしょうか。
○村松委員長
  ありがとうございました。それでは、どなたか手を挙げているかどうかわかりませんが、上を見ないようにしまして、予定でもう一つ議題がございます。行政評価局が行う主要な政策評価の調査計画についての審議に移らせていただきたいと思います。
  まず資料に基づきまして、いつものように事務局から御説明を願いたいと思います。よろしくお願いします。
○加藤評価監視官
  資料3でございます。平成13年度の第3期に実施を予定しております政策評価の計画でございます。「政府金融機関等による公的資金の供給に関する政策評価」というタイトルをつけてございます。これは政策評価の中でも統一的評価に該当するものでございます。
  資料の1ページ、目的のところを読ませていただきます。
  「政府金融機関等による公的資金の供給は、民間金融の補完の見地から、国民経済的にみて重要であるが市場原理に基づく民間金融のみでは適切に対応することが困難な分野に、長期安定的な資金を適正かつ有効なコストで供給するものであり、これら資金の供給を通じて、民間部門の自主性を慎重しながら、国民経済・生活の健全な発展に寄与するものである」。
  ここは政策金融機関等による公的資金の供給についての定義のようなものでございます。次の段落でございます。
  「こうした政府金融機関等による民間金融の補完は、融資や保証・保険等の方式により実施されているが、融資についてみた場合、平成13年3月期の貸付資産合計額は約 166兆円であり、民間金融機関も含めた国内融資残高に対する割合では2割程度を占めている状況にある」。
  次に資料の2ページ目になりますが、お開き願いたいのですが、ここで今回調査の対象といたしました機関の国内融資残高に対する割合を示してございます。民間金融機関の全体の融資残高が 685兆でございます。それに対しまして政府金融機関等が 166兆でございます。この全体に対する比率は19.5%、約20%を占める状況になっております。
  次に真ん中の資料でございますが、政府金融機関等の融資についての推移ということでございます。合計のところを見ていただきますと、平成3年度 112兆円でございます。それが12年度では 166兆と5割増程度に増加しております。
  ついでに資料の方を若干御説明いたしますと、一番下のところでございますが、後ほど出てきますが、政府金融機関はそれぞれ金融を実施していく上でリスクを抱えております。補給金であるとか、補助金という形で財政負担が行われております。その状況を見ましたのが2ページの一番下の表でございます。平成3年度では 5,829億の補助金等が出ております。これに対しまして12年度、一番右側でございますが、 7,457億に増加してきている。
  ついででございますので、次のページの資料をお開き願いたいのですが、日本と外国とを若干比較してみるとどうなるのかということでございます。日本は先ほど申し上げましたとおり政府金融機関のシェアは19.5%でございます。これに対しまして例えばアメリカの場合、政府支援企業というのがございます。これは民間企業ではございますが、それぞれの設立法の下で運営されておりまして、暗黙の政府保証があると言われているものでございまして、言ってみれば日本の特殊法人等に該当するのかなと思います。この政府支援企業で民間債権の買取・証券化 10.2 %、その他 2.4%という状況になっております。その他の 2.4%が保証であり、融資でありというものでございます。
  また、ドイツの方を見ていただきますと、特殊課題金融機関というものがございます。これが日本の特殊法人に相当いたします。約 14機関ほどあると聞いております。そのうち、直接融資されているものが 3.2%ということになっておりまして、この下のグラフの方で見ていただきましても、日本の政府金融機関等の直接融資の残高は全体に占める割合がアメリカ、ドイツに比べて高いという状況になっております。
  恐縮でございます。また1ページに戻っていただきたいのですが、第3段落のところでございます。
  「これら公的資金の供給については、金融自由化の進展等金融・経済環境の変化を踏まえ、公的部門に求められる補完機能を適切に果たしていく必要があると同時に、政府の財政負担に留意しつつ効率的なものとすることが求められている」。
  最後の段落でございます。「この政策評価は、政府金融機関等による公的資金供給に関する現状と効果の発現状況等を調査・分析し、金融環境の変化等を踏まえつつ、民業補完機能の在り方とその効率性について統一的に評価を行い、関係行政の今後の在り方の検討に資するために実施するものである」、ということでございます。
  調査対象機関といたしましては7府省。関連調査対象機関、11法人を予定しております。11法人を見ますと、公的資金の供給を行っている特殊法人等を合わせまして、全体の融資残高の80%を超える分をカバーするという形になります。
  次に資料の6ページをお開き願いたいのですが、既に御承知のこととは思いますが、若干御説明をいたしますと、政府金融機関等による公的資金の供給の脈絡図でございます。
  一番左側を見ていただきますと、政府がある政策を実行に移そうという場合、極めて政策性の高い分野、具体的に言えば自助努力が期待される政策分野とか、市場メカニズムになじまない政策分野とか、民間の経済活動を補完奨励すべきような政策分野であって、民間金融機関からの資金の供給がなかなか難しい分野につきましては、金融による支援という方策がとられることになろうかと思います。
  ただ、その場合には金融による支援のみならず、そこの上のところで「他の政策遂行手段(補助金、税制等)」と書いてございますが、こういったその他の政策遂行手段と併せて行われるというものもございます。そこで、金融による支援ということで政策金融を実施していくことになれば、次の段階としましては機関の選定ということになろうかと思います。国が直営で行うのか、特殊法人で行うのかという、そういった機関の選定が行われると同時に、今度は手段、金融手段の選択が行われる。直接融資、保証、保険、それからリファイナンス、証券の買い取りと記載しておりますが、先ほど申し上げましたとおり、日本の場合はここの直接融資が多いという状況になっております。
  具体に資金を供給する際には、当然のことながら資金計画の策定、資金の調達という作業に移るわけでございますが、先般の財投改革によりまして、現在は財投機関債の発行という形、ないしは財投債を通じて資金を調達してきている。
 次のところでございますが、資金の供給に当たっては、まさに公的資金の供給であることからきます長期であり、固定であり、低利という貸付条件の設定になるわけでございます。こういった長期、固定、低利ということで金利リスクないしは信用リスク、上のところに書いてございますが、諸々のリスクが発生することから、出資金、交付金という形で政府の財政援助が出されているという状況になっております。
  最後の7ページを見ていただきますと、ただいま申し上げました政策のスキームなり金融環境の変化という条件の下で評価のスキームということで、今回、金融に関する政策評価を行う際に当たっての設問といいますか、評価の観点といいますか、4点ほど挙げてございます。
  まず、評価のスキーム等というところでございますが、第1番目の政策目的に応じた資金供給の事業設計なり、社会経済情勢の変化に対応したその変遷がどうなっているのか。ここの1の項目は次の2から4の項目を調査、評価するに当たっての基礎的な調査、実態把握ということに位置付けられる項目でございます。
  1の2番目のポツですが、公的資金の供給による効果の発現状況はどうなっているのか。ここのところは定性的、定量的な形で把握ができればなと思っております。
  かつ3番目のポツですが、その効果は他の政策手段による効果との係わりでどのように位置付けられているのかということで、その全ての公的資金の供給について、全てが他の政策手段が講ぜられているとも限りませんが、ものによれば他の政策手段がございますので、ケース・スタディ的な分析をここで行いたいと思っております。
  2番目の枠でございますが、各分野を取り巻く金融環境の変化の中で公的資金の供給による民間金融の補完機能の発現状況はどうか。ここのところは今回の政策評価の中で大きなウエートを占めるものでございますが、政府の補完機能といった場合に、質的な補完と量的な補完があるわけですが、※のところに書いてございますように、企業等の資金調達に占める政府系、民間の貸出比率の推移も見てみたい。
  いま申し上げましたのは量的補完に相当するものでございますが、質的補完ということでは企業等の借り入れ期間別の政府系と民間との比率、ないしは民間金融の貸出条件との比較といった比較もここで行ってみたいと思っております。
  それ以外にも補足的にここに書いてございますが、インタビューなり、その関係機関等に対するアンケートという調査手法も使ってみたいと思っております。
  次は3番目の枠の中でございますが、現在の公的資金供給のあり方は、民間金融の補完機能を適切に発揮していく上で効率的に機能しているか。※のところですが、公的資金の供給に要する政策コストと、それにより生じる便益との関係を調査・分析。
  ここでいいます政策コストは、出資金とか補給金といったものになろうかと思います。そういったものの機会費用等がコストになろうと思いますが、便益を何で把握するのか。民間金融機関と政府系金融機関との利差などもある意味では借り手に対する便益として把握が可能なのかなと考えております。ただ、ここら辺の具体の分析の仕方は更に検討していかなければならないと思っておりますが、可能な限り数値情報で分析していきたい。
  それから、ここのところで主要な財務指標や資金調達コストの推移等により云々と書いてございますが、例えばリスク管理債権の比率だとか、貸倒比率というものについても実態を把握して、分析をしていきたいと思っております。
  最後になりますが、上記の2及び3を踏まえて、現在の公的資金供給のあり方は他の代替手段と比べ効率性の面等で優位であるかという観点でございます。ここでは先ほど申し上げました他の代替手法との比較検証をすると同時に、諸外国との比較ということで外国の制度についても勉強をした上で調査を進めていきたいと思っております。
  公的金融自体がかなり専門的かつ技術的な分野でございます。これからは具体の指標について更に検討を重ねた上で、立派な計画にしていきたいなと思っております。御指導、御助言の程をよろしくお願いいたします。
○村松委員長
  ありがとうございました。ただいま説明いただいた調査計画の内容につきましては、何か助言などがございましたら御発言をいただきたいと思います。大変有益だろうと思います。
○樫谷委員
  政府金融機関等によると、「等」と書いてあるのですが、いわゆる公的資金を供給しているというのでしょうか、貸し出しをしているというのは、ここに言う関連調査等の対象と、ここに「等」と入っているのですが、これ以外にもいろいろな資金が融資という形であると思います。そういうトータルは今つかめているのでしょうか。
○加藤評価監視官
  トータルと申しますか、例えば特殊法人と認可法人のトータルという意味合いでございますでしょうか。
○樫谷委員
  特殊法人、認可法人の中でここに上がっていないけれども、いろいろな融資制度がいっぱいありますね。それぞれの特殊法人等がそれを実行しているわけですが、そういうもの全体をつかむ必要はないんですか。取りあえず金融機関と言われるものだけをつかんでおけばいいのか。
○加藤評価監視官
  融資業務をやっている機関は特殊法人で28機関、認可法人で8機関という状況になっておりまして、全部で36機関の融資残高なり、保証債務、投資残高等につきましては一応把握はしております。
 ただ、調査を実際に行う機関につきましては関連調査対象機関としてございますが、資料に記載してありますとおり11機関に限定させていただいております。
○村松委員長
  高木委員でしたでしょうか。
○高木臨時委員
  1点だけでございます。民業の補完機能というのはなかなか測定が難しいのではないかと思っているところです。存在そのもの自体が民業の健全な発達を阻害するという可能性もあるかと思います。そういう意味でこの辺の調査手法については事前からの検討は必要ではないかと思います。
  ここで「補足的にインタビュー及びアンケート」と書かれていますが、補足的ではなくて並列的に実施された方がよろしいのではないかと思います。アンケートなどの分析が民業の補完と言えるかどうかというところに係わってくるのではないかと思います。
○村松委員長
  ありがとうございました。
  富田委員。
○富田分科会長
  いま高木委員がおっしゃったこととも関係しますが、政策金融についての研究は我が国の中に随分蓄積があります。これを総務省の中で行うことの意義は、先ほど来議論がある各省横断的な観点ということがあると思います。もう一つは、政策評価を行うということは目的が何であって、手段がどうでという、まさに今日の基本方針のような議論を踏まえた枠組みが重要になってくるように思います。その際に今、高木委員が御指摘の民業補完というか、あるいは民業圧迫というか、そういうものが非常に大きな議論になっているわけですので、その点をどう把握するかということが非常に大事なのだろうと思います。
  加えまして保証と直接融資との対比です。アメリカでも議論になっていましたのは、政府が保証することによって極めて大きな債務を実態的に国が抱えてしまうわけでして、代替的な手段ということでは補助金とか税に加えて、直接融資と保証についても考えていく必要があろうかと思います。
  いずれにしても目的と手段という観点を強調しながら調査していくことが大事だと思います。ただ、このテーマは極めて重要なテーマであって、是非とも政策評価の観点から遂行する必要があろうと思います。
○加藤評価監視官
  ありがとうございます。代替手段としての諸外国の制度、保証と融資との比較等につきましては、私どもやっていきたいと考えております。
 それから、高木委員からは存在するのが民業圧迫云々というお話がございました。私どもは政府金融機関を通じて横断的にものを見ていくということで、縦割りで個別の金融機関の存続に焦点を当ててみるという観点はむしろ各府省自体がやるお話です。私どもとしましては各政府金融機関を通じて、共通的にあてはまるものの見方をしていきたい。そこはなかなか難しいのですが、やっていきたいなと思っております。
○丹羽委員長代理
  これが今回の調査の対象に入るかどうか分かりませんが、例えば郵貯とか簡保とか国民の金が公的な金融機関に入ってくる、あるいはそこに預かっている金額は膨大なものがあると思います。我々が知る限りでは 600兆ぐらいあるだろう。そのうちの50%ぐらいが住宅金融公庫とか政策投資銀行とか、政府系の金融機関への貸付に回り、あとの50%ぐらいが一種の運用で国債を買ったり地方債を買ったりしている部分があるのではないか。これの収支は一体どうなっているのかというトータルな資金の絵を、あるいはその実態を調査する。あるいは情報を収集するということはやはり必要ではないかと思います。
  特に郵貯のお金がどういうふうに運用されて、一体どれぐらいの収支になっているかということは、政府が足りない部分を保証すればいいということではない。権限規定がどうなっているか分かりませんけれども、一番の問題は何の考えもなく、自動的に国債とか地方債にある膨大な金額が流れていく。そういうことを誰もチェックしない。この機会にその辺までもメスを入れて、一度実態を調べていくことが大事ではないか。ここまで調査されるのではあれば、そこまで踏み込んでおやりいただいたらどうかなと思いますが、それは権限逸脱になりますか。
○加藤評価監視官
  権限逸脱ではございませんが、いま私どもが考えておりますこのスキームからいきますと、そこまで手を広げるのは荷が重いなという感じがしております。もちろん必要に応じて資金調達の仕組みといいますか、どのような形で資金が調達されているかという事項との絡みにおいて、実態をお聞きするということはあろうかとは思いますが。
  ただ、いまおっしゃられましたようなかたちで郵貯資金全体の出口の問題といいますか、使途の問題まで間口を広げるのは正直申し上げましてしんどい。かつ、今回企画しております計画と若干ずれるといいますか、幅が広すぎるなという感じを持っております。
○丹羽分科会長
  しかし、その辺はどこかがチェックする必要があるのではないかと思います。それが今こういうかたちで行われるのがいいかどうか分かりませんけれど、非常に大きな問題を含んでいます。
○木村専門委員
  私も二つ要望として意見を述べたいと思います。
  第1点は、政府系の金融機関の中で利子の構造は妥当なものなのかということも考えていただきたい。例えば長期固定の25年の利子が現在でも必要なのかどうか。メリットもあれば、そのために起こっている弊害もあるわけですから、そういうところも考慮していただきたいということが第1点です。
  第2点は、個々の借り手あるいは金融機関において財政規律がどこで働いているのか。それをずっと比較していただいたらありがたいと思います。以上です。
○村松委員長
  ありがとうございました。新村委員、どうぞ。
○新村臨時委員
  タイミング的には大変いいテーマだと思いますが、先ほど全機関に共通的なことをとおっしゃいました。おそらくこれは評価するのが非常に難しい部分だと思いますが、各機関の政策目標の妥当性の変化をきちっと詰めない限りは評価ができないということを言いたいと思います。
 例えば97年以降、貸し渋り対策で政府金融が非常にたくさん出ました。あれは国会決議であったか閣議決定だったか忘れましたが、何かでそういうことをしました。今一つの反省として、退出すべきものを温存したのではないかという議論も起きているわけです。それは中小企業金融とかを考えたとき、非常に長期の視点と短期の政策要請との間の問題ですので、おそらく結論は出ないのではないかと思いますが、議論はきちっと整理していただけたら嬉しいです。
○加藤評価監視官
  ありがとうございました。政策目標の妥当性等につきまして、おっしゃったのは融資対象分野の話だろうと思います。融資対象分野の変遷の実態等は、各府省が行う評価の範疇ですが、調査はしていこうと思っております。ただ、それが個別の結論になるということは無いかとは思いますが。
○村松委員長
  山谷委員。
○山谷専門委員
  今の御意見に若干関連しますが、ミクロの評価とマクロの評価という考え方でいくと、これは多分マクロの評価の方に入っていくのだろうと思います。ただ、あまりざっと流してしまうと、非常に重要なポイントが抜けていくような気がします。
 例えば個別の融資の対象、お客さんが全部違っている。それぞれがいろいろな設立の経緯を持っていて、お客さんに政治的な問題が絡んでくる。それをどうやってクリアするのか。下手をすると単なるお勉強に終わってしまう可能性があるわけです。だから、スキームのところでマクロの議論をするときの入念な仕組みか何をを一つきちんと入れ込まないと、学者の勉強みたいな話で終わる可能性がある。そこは用心していただきたい。
○村松委員長
  どうもありがとうございました。
  樫谷委員。
○樫谷委員
  いま政策評価して、結論がどの程度出るか分からないとおっしゃいましたが、政策評価をする以上は結論は出すんですね。
○加藤評価監視官
  いえ。そういうふうにお聞き取りになったら、私の言い方が悪いわけです。個別の政策目標の妥当性についてというつもりで申し上げたつもりです。
○樫谷委員
  個別についてというのは、政策投資銀行がいいとか悪いとか、そういう話ではなくてということですか。
○加藤評価監視官
  はい。
○村松委員長
  予定より時間をオーバーしておりまして、よろしければこの辺りで本日は終わりにさせていただきたいと思います。
  次回の委員会の開催などにつきまして。
○鎌田総務課長
  次回は1月25日、金曜日、14時からこの場所で開催したいと思っております。議題につきましては、平成14年度以降、3年間の政策評価のテーマにつきまして御議論いただきたいと思っておりまして、それが一つです。
  二つ目は今日に引き続きまして独法評価の方針につきまして御議論いただきたいと思っております。以上です。
○村松委員長
  どうもありがとうございました。先ほど申し上げましたように、政策評価に関する基本方針の案に関する答申及び談話につきましては、私の方で対応させていただきます。よろしくお願いいたします。
 それでは、本日はありがとうございました。
〔了〕