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高齢者・障害者によるICT活用の推進に関する研究会
(ICTユニバーサル研) 第3回 議事要旨


【日時】    平成15年2月21日(金)1700分〜1900
【場所】   総務省5階第4特別会議室
【出席者】
    (研究会構成委員)
       高橋座長、安藤委員、内山委員、えとう委員、大坂委員、片岡委員(水島代理)、阪本委員、関根委員、y谷委員、松木委員、松森委員、望月委員、山田委員、吉永委員、渡辺委員
 (オブザーバー)
    厚生労働省 中村老健局振興課課長補佐

【議事内容】
(1)開会

(2)総務省清水政策統括官挨拶

(3)議事
 1 えとう委員によるプレゼンテーション「ICTとバリヤフリー・その方法論序説」
  ・   最近は多方面でバリアフリーに関する取り組みが行われるようになりつつある。実証実験や製品設計等の最初の段階から障害者に声をかけてもらえれば、適切なアドバイスを行えるので、結果的にバリアフリーでないサービスや製品が出来上がってしまうことを避けられる。
  ・ テンキーによるかな入力方式で日本語入力ができる装置tagtype(タグタイプ)を紹介。
  ・ バリアフリーの観点からみて優れた製品の開発例がある。しかし、その普及・発展を図ることはなかなか難しい。行政にも是非力を貸していただきたい。
  議事概要
  ・ 技術者がデザインを考える際にも、最初にきちんと製品を使うユーザーのことを考えてデザインすることが大切だ。
  ・ 障害者は同じ動作を長時間続けることが苦痛だったり、片手より両手を使って複数の動作で入力した方が勝手がよい場合もある。

 2 松森委員によるプレゼンテーション「聴覚障害者とICT」
  ・   聴覚障害者はこれまで「情報障害者」と言われてきたが、インターネットやPCの普及によって聴覚障害者の本来のコミュニケーション能力を十分発揮できるようになり、情報収集能力も飛躍的に高まった。
  ・ 電子メールのおかげで1対1のコミュニケーションが取れるようになり、仕事もしやすくなった。オンラインなら買い物や旅行等の各種予約手続きも自力で出来る。情報保障という意味でも、パソコン要約筆記や字幕挿入ソフト等、ICTの活用によって格段に改善されつつある。
  ・ 今後望まれるのは、現在地域ごとに異なる110番などの緊急通報システムの統一化や、テレビの字幕挿入装置の義務化等である。
  議事概要
  ・ IT講習会等の場を、企業のマーケティングや技術開発者の勉強の場として活用してはどうか。
  ・ メーカー側でも、一般的なユーザーの声を吸い上げるとともに、携帯電話の利用講習会等に参加した障害者からの声もできるだけ吸い上げていくよう取組んでいる。
  ・ "情報保障"という概念は特別な人のためのものではなく、全ての人に対して必要なものである。
  ・ 聴覚障害者のために開発されたものの多くは高齢者のためにも応用できる。

 3 望月委員によるプレゼンテーション「ICTと視覚障害者」
  ・   視覚障害者がICTから受けるメリットは、健常者に比べてはるかに大きい。例えばワープロによって「人に読んでもらえる文章が書ける」ようになったことは突然英語がしゃべれるようになる程の格差である。
  ・ 視覚障害者にとってインターネットが便利なのは「電子データである」ことであり、新聞も読めるようになった。電子メールの普及によってダイレクトに意見交換が出来るようになり、仕事もかなりしやすくなった。
  ・ 課題としては、キーボードが使えないとそれらのメリットを享受できないこと、漢字教育を受けていない視覚障害者もいること等である。また、PDFファイルは電子的に編集ができないので、文書ファイルはWORD等で提供して欲しい。
  議事概要
  ・ 障害者にとって紙の新聞が読みづらいのは、紙面が大きくて扱いづらいことに加えて「見出しがない」からである。その点新聞社のサイトでは見出しがあるし、検索もできるので利用しやすい。
  ・ 障害者にとって利用しやすいということを考える際には、今あるものにどう手を加えるかを考えるよりも、新しい技術の開発・普及を考えた方がよいのではないか。
  ・ 総務省や経済産業省は「先端事例」を対象に政策を考えてきたが、そろそろより一般的・具体的な保障を考えるべきではないか。
  ・ 行政でICTの推進策や電子政府のあり方を考えるにあたっても、アクセシビリティやユニバーサルデザインといったことについて十分配慮していただきたい。
  ・ 今はまだ「皆が使うものを使いやすく」という段階だが、ユビキタス社会においては、各自が自分にとって必要な、あるいは使いやすい情報端末を選択できる技術と仕組みが出来ていくはずである。更にカスタマイズされた情報端末と万人用の機械のインタフェースが統一されるような方向に技術開発が進むことを期待したい。

(4)その他
  次回研究会は3月25日(火)15時開催に決定。

(5)閉会

以上


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