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その他

電気通信事業者のネットワーク構築マニュアル

[接 続]


VI 接続

  1. 制度の内容
  2.  電気通信事業者は、その電気通信設備を相互に接続することにより、通信可能な範囲を広げるとともに、利用者に対して総合的なサービスを提供することが可能となります。

     特に、第一種電気通信事業者の電気通信回線設備は、国民の日常生活及び産業経済活動に不可欠な電気通信サービスを提供する基盤として、公共的役割を担っていると考えられるので、接続の円滑化のため、第一種電気通信事業者は、正当な理由がある場合を除き接続協定の申込を受けた場合には、これを締結する義務を負うこととしています。

    ○電気通信事業法
     (第一種電気通信事業者の電気通信設備との接続)
    第三十八条 第一種電気通信事業者は、他の電気通信事業者から当該他の電気通信事業者の電気通信設備をその電気通信回線設備に接続すべき旨の請求を受けたときは、次に掲げる場合を除き、これに応じなければならない。
     一 電気通信役務の円滑な提供に支障が生ずるおそれがあるとき。
     二 当該接続が当該第一種電気通信事業者の利益を不当に害するおそれがあるとき。
     三 前二号に掲げる場合のほか、郵政省令で定める正当な理由があるとき。

    ○電気通信事業法施行規則
     (電気通信設備の接続の請求を拒める正当な理由)
    第二十三条 法第三十八条第三号の郵政省令で定める正当な理由は次のとおりとする。
     一 電気通信設備の接続を請求した他の電気通信事業者がその電気通信回線設備の接続に関し負担すべき金額の支払いを怠り、又は怠るおそれがあること。
     二 電気通信設備の接続に応ずるための電気通信回線設備の設置又は改修が技術的又は経済的に著しく困難であること。


  3. 指定電気通信設備との接続
  4.  電気通信サービスの利用者は、加入者回線で電気通信事業者のネットワークとつながっており、利用者間で通信を行う場合、途中でどのようなネットワークを経由しても、最終的には加入者回線を経由しなければ当該利用者にはつながらない構造となっています。

     したがって、利用者の拠点と電気通信事業者の拠点を結ぶ加入者回線を相当な規模で有する者との接続が円滑に行われない場合には、利用者にとって通信を行い得る範囲及び選択肢が相当程度の制限を受けることとなります。また、その接続条件は我が国の電気通信サービス全体の料金水準、サービス品質等へも影響を及ぼすこととなります。そこで、そのような電気通信設備との接続については特別な接続ルールを設け、約款作成義務等の追加的義務を課すこととしています。

    (1)指定電気通信設備

     現在のところ、指定電気通信設備には東日本NTT及び西日本NTTの地域網が指定されています。

    【指定電気通信設備の範囲(電話の場合)】

    指定電気通信設備の範囲(電話の場合)

    (2)指定電気通信設備との接続

     指定電気通信設備を設置する第一種電気通信事業者は、当該指定電気通信設備と他の電気通信事業者の電気通信設備との接続に関する条件等について、約款を定め認可を受けることが義務付けられています。指定電気通信設備との接続に関する接続料や接続条件については、この接続約款に詳細に規定され、公開されています。この接続約款に基づき、指定電気通信設備と接続を行う場合には、接続協定の届出をすることになります。

     ただし、この接続約款により難い特別な事情があるときは、指定電気通信設備との接続に関する接続協定を指定電気通信設備を設置する第一種電気通信事業者との間で締結することができます。この場合、指定電気通信設備を設置する第一種電気通信事業者は郵政大臣の認可を受けることを要します。

  5. 接続協定
  6. (1)制度の内容

     指定電気通信設備以外の電気通信事業者の電気通信設備との接続について接続協定を締結したり、変更する場合には、その場合に応じて、当該協定の内容が一方当事者に不当な不利益を与えることを防止するため、認可を受けるかまたは届出をすることになります。

     なお、第一種電気通信事業者は、他の電気通信事業者との接続について、接続約款を定めたり、変更する場合は、認可(一定の条件に該当する場合は届出)を受けることになります。認可を受けた(又は届け出た)接続約款に拠り接続協定を締結する場合は、当該協定を郵政大臣に届け出ることとなります。

    ○電気通信事業法
     (電気通信設備の接続に関する協定)
    第三十八条の三 第一種電気通信事業者及び特別第二種電気通信事業者は、他の第一種電気通信事業者又は特別第二種電気通信事業者と電気通信設備の接続に関する協定(指定電気通信設備に関するものを除く。)を締結し、又は変更しようとするときは、郵政大臣の認可を受けなければならない。ただし、次号の規定により認可を受け若しくは同項ただし書の規定により届け出た接続約款により当該協定を締結し若しくは変更しようとするとき又は当該協定の当事者の双方が、特別第二種電気通信事業者であつて本邦外の場所との間の通信を行うための電気通信設備を他人の通信の用に供する第二種電気通信事業を営むもの以外の者(以下「国内特別第二種電気通信事業者」という。)であるときは、この限りでない。
    2 第一種電気通信事業者は、当該第一種電気通信事業者の電気通信設備(指定電気通信設備であるものを除く。)と他の電気通信事業者の電気通信設備との接続に関する当該第一種電気通信事業者が取得すべき金額及び接続の条件について接続約款を定め、または変更しようとするときは、郵政大臣の認可を受けなければならない。ただし、その取得すべき金額及び接続の条件が前条第四項の郵政省令で定める接続料及び接続の条件に該当するものであるときは、郵政大臣に届け出ることをもつて足りる。
    3 第一種電気通信事業者は、前項の規定により認可を受け又は同項ただし書きの規定により届け出た接続約款により他の電気通信事業者と電気通信設備の接続に関する規定を締結し、又は変更したときは、遅滞なく、その旨を郵政大臣に届け出なければならない。

    (2)認可基準

     接続協定が認可されるためには、以下の条件を満たしていることが必要となります。

    審査基準第15条の2
     1 一方の当事者に対して、不当な条件を課すものでないこと。
     2 接続約款を定める第一種電気通信事業者の取得すべき金額が、接続に要する適正な原価に照らし公正妥当なものであること。
     3 当事者間の責任に関する事項が適正かつ明確に定められていること。
     4 当事者が当事者以外の者との間で締結している協定と比べて、不当な差別的取扱いをするものでないこと。
     5 その他協定の内容が、公共の利益の増進を阻害するものでないこと。

     接続約款が認可されるためには、以下の条件を満たしていることが必要となります。

    審査基準第15条の3
     1 他の電気通信事業者に対して、不当な条件を課すものでないこと。
     2 接続約款を定める第一種電気通信事業の取得すべき金額が、接続に要する適正な原価に照らし公正妥当なものであること。
     3 接続約款を定める第一種電気通信事業者と他の電気通信事業者との間の責任に関する事項が適正かつ明確に定められていること。
     4 特定の者に対して不当な差別的取扱いをするものでないこと。
     5 その他接続約款の内容が、公共の利益の増進を阻害するものでないこと。

  7. 接続命令・裁定
  8.  第一種電気通信事業者には、正当な理由がある場合を除き、他の電気通信事業者からの接続の請求に応じる義務が課されています。しかしながら、個別のケースについて、「正当な理由」に該当するか否かは、必ずしも明確ではない場合もあり得ます。

     したがって、接続義務の有無を明確化するため、接続協定締結を拒否する「正当な理由」がないと考えられる場合には、当該第一種電気通信事業者に対しその協議の開始又は再開を命じることを郵政大臣に申し立てることができます。

    ○電気通信事業法
     (電気通信設備の接続に関する命令等)
    第三十九条 郵政大臣は、電気通信事業者が第一種電気通信事業者に対し電気通信設備の接続に関する協定の締結を申し入れたにもかかわらず当該第一種電気通信事業者がその協議に応じず、又は当該協議が調わなかつた場合で、当該電気通信事業者から申立てがあつたときは、第38条各号に掲げる場合に該当すると認めるときを除き、当該第一種電気通信事業者に対し、その協議の開始又は再開を命ずるものとする。

     第一種電気通信事業者との接続に関して、細目について当事者間で協議が調わない場合には、郵政大臣の裁定を申請することができます

    ○電気通信事業法
     (電気通信設備の設備に関する命令等)
    第三十九条
    3 第一種電気通信事業者の電気通信設備との接続に関し、当事者が取得し、若しくは負担すべき金額又は接続の条件その他の協定の細目について当事者間の協議が調わないときは、当該電気通信設備に接続する電気通信設備を設置する電気通信事業者は、郵政大臣の裁定を申請することができる。
    4 前項に規定する場合のほか、第一項(中略)の規定による命令があつた場合において、当事者が取得し、若しくは負担すべき金額又は接続の条件その他協定の細目について、当事者間の協議が調わないときは、当事者は、郵政大臣の裁定を申請することができる。




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