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IRUの要件


要件1)  使用権を取得する電気通信事業者の同意なしに契約を破棄することができないこと。

  光ファイバ等の使用権の設定を受ける電気通信事業者の同意なしに、当該光ファイバ等の所有者が一方的に契約を解除できる破棄可能な契約の場合、当該光ファイバ等を電気通信事業者が安定的に支配・管理しているとはいえません。安定的なサービス提供を確保するためには、電気通信事業者の同意がなければ契約を解除できないことが契約書等で確認されていることが必要です。

  ただし、使用権の設定を受ける電気通信事業者が債務不履行又は契約違反を行い、かつ、一定期間を定めて催告等をしてもなお支払いをしない場合又は契約違反の是正をしない場合について、当該光ファイバ等の所有者が契約の解除を行うことが可能である旨を契約に定めることを妨げるものではありません。

IRU契約書の例】
(提供原則)
○条 甲による本物件の使用は、甲の書面による同意なしに乙から一方的に中断あるいは終了し得ないものとし、この原則に基づき、乙は本物件を提供し、甲はこれを電気通信事業用として長期安定的に使用することができる。
(注)甲:電気通信事業者、乙:設備の所有者


要件2)  使用期間全体にわたる合理的な使用料金の設定がされていること。

  契約途中における禁止的使用料金の設定により当該光ファイバ等の継続的な支配・管理に支障をきたさないことを提供料金面から担保するものです。

IRU契約書の例】
(提供料金)
○条 本物件の提供料金は、減価償却費、支払利息、公租公課、保守管理費、施設の移設費、障害復旧費、送電施設使用料、ならびに乙が負担する道路・河川占用料および占用手続に要する費用等の経費を基礎に算定するものとする。


要件3)  電気通信回線設備所有者によって対象物件に第三者担保権が設定されていないこと。

 当該光ファイバ等について第三者の担保権の設定がなされた場合、担保権の実行により電気通信事業者の使用権が消滅するおそれがあり、当該光ファイバ等を電気通信事業者が安定的に支配・管理しているとはいえません。
 ただし、その特殊性から第三者担保権の設定が通常想定されない電気通信回線設備(通信衛星等)や契約期間内に当該担保権が実行され電気通信事業者の使用権が消滅する可能性が著しく低い等、当該電気通信事業者の安定的な支配・管理が確保されると認められる場合には、この限りではありません。

IRU契約書の例】
(権利の譲渡)
○条 甲及び乙は、相手方の書面による事前の承認を得ずに本契約に定める自らの権利義務を第三者に譲渡・転貸し、または第三者のために権利を設定してはならない。


要件4)  使用契約期間について、使用契約が安定的であると認められる以下のいずれかの要件を満たしていること。

 使用契約期間が10年以上であること。
 使用契約期間が1年以上であり、かつ、契約書等において、以下の点が確認されていること。ただし、使用契約期間の累計が10年を超える場合における当該超える部分に相当する契約については、この限りでない。
A 契約の自動更新の定めがあること
B 電気通信事業者の同意がない限り、更新を拒否することができないこと
 その他ア、イに類する特別の事情があると認められるものであること。

 電気通信事業者が、サービスの提供のために必要とする期間中、当該光ファイバ等を継続的に支配・管理できることを担保するための事項です。

 使用契約期間については、光ファイバの法定耐用年数を参考として、「10年」を目安としています。

 なお、イのBについては、使用権の設定を受ける電気通信事業者が債務不履行又は契約違反を行い、かつ、一定期間を定めて催告等をしてもなお支払いをしない場合又は契約違反の是正をしない場合について、当該光ファイバ等の所有者が契約の更新の拒否を行うことが可能である旨を契約に定めることを妨げるものではありません。

IRU契約書の例】
(契約の有効期間)
○条 本契約の有効期間は、前条の発効の日から、15ヶ年間とする。

(契約の有効期間)
○条 本契約の有効期間は、前条の発効の日から3ヶ年間とし、甲及び乙が、契約満了の6ヶ月前までに、更新しない旨を書面により合意した場合を除き、同一条件で本契約が更新されるものとする。以降も同様とする。



IRUに関するQ&A


  以下は、IRUの制度に関し、お問合せの多い事項をQ&Aにまとめたものです。

Q1   光ファイバ等の所有者が、電気通信事業者に対し、光ファイバ等を「IRU」方式で提供する行為は、電気通信役務に該当しますか。
  該当しません。

Q2   光ファイバ等の所有者が、電気通信事業者に対し、「IRU」方式により、1条のケーブルのうち一部の余剰芯線を提供することは可能ですか。
A1   余剰芯線を、芯線単位で提供することは、可能です。
  ただし、ケーブルの所有者が自ら使用する芯線と、「IRU」方式により提供する芯線とが、明確に区別されている必要があります。
  当然ながら、芯線の所有者は、後者の芯線を自ら使用することはできません。

Q3   光ファイバ等の所有者が、他者に対し、「IRU」方式により光ファイバ等を提供し、当該他者が、電気通信事業者に対し、「IRU」方式により当該光ファイバ等を提供することは、可能ですか。
  可能です。

Q4   光ファイバ等の所有者が、電気通信事業者でない者(例:地方公共団体)に対し、「IRU」方式により光ファイバ等を提供し、当該地方公共団体等が,提供を受けた光ファイバ等を用いて自営通信網を構築することは、可能ですか。
A1   可能です。
  ただし、この場合、当該地方公共団体等は、自営通信網を「設置」(有線電気通信法第3条第1項)していると認められるため、有線電気通信法の適用を受けることとなります。

Q5   光ファイバ等の所有者が、電気通信事業者に対し、「IRU」方式により、芯線ベースではなく、波長・帯域ベースで光ファイバ等を提供することは、可能ですか。
A1   光ファイバ等を波長・帯域ベースで提供する場合は、電気通信事業法の適用を受けることとなり、電気通信事業者となっていただく必要があります。
  光ファイバ等を波長・帯域ベースで提供する場合は、当該光ファイバ等の所有者が、波長・帯域を発生させるWDM装置等を含め、伝送路設備の全体を支配・管理している状態にあると認められます。
  したがって、この場合は、IRUの設定を受ける事業者側ではなく、所有者側が、電気通信事業者となり、その伝送路設備について、設備の損傷等の防止、利用者の通信内容の漏えいの防止といった技術基準への適合を維持しなければなりません。


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