第1章 デジタルネットワーク社会の幕開け
   〜変わりゆくライフスタイル〜


第2節 生活と通信

  1. 地方行政サービス
  2. (1) 一般的動向

    ア 行政分野における情報化の流れ
     行政における情報化は昭和40年代に始まったといえる。当時のシステムは、業務の効率化を主目的とし、ホストコンピュータを中心とした財務会計システム、税金収納システム、住民記録システムといったシステムに代表される。昭和60年代に入り、情報機器が高性能化するとともに低価格化し、個人利用が可能となり、「ニューメディア」が注目され、住民サービス向上を目的として行政情報提供の充実が図られた。また、リアルタイムで証明書類の更新・発行を可能にするため、既存システムのオンライン化も進められた。
     さらに、近年では、技術的発展を踏まえ、通信ネットワークを利用し、多様な住民ニーズにこたえる様々な行政サービスが展開されている。具体的には、行政への申請・届出等の手続を一か所で行うワンストップサービス、更には24時間手続が可能なノンストップサービス、インターネットを活用した情報発信などが挙げられる。

    イ 国としての取組
     国においても、「行政情報化推進基本計画」の改定を始めとして、法制度の見直しが進められている。具体的には、書類の電子データによる保存、申告・申請手続の電子化・ペーパーレス化など、政府全体として行政の情報化を積極的に推進することとしている。

    (2) 行政サービスにおける情報通信メディアの利用実態

    ア 行政における情報システムの整備状況
     8年11月現在、地方公共団体においては、第三セクター等で導入されているものも含め、全国で4,457の情報システムが導入されている。システム区分別に見ると、「行政窓口オンラインサービスシステム」が最も多く整備されており、また、「図書館情報ネットワークシステム」のほか、阪神・淡路大震災以来の防災意識の高まりから、気象情報の伝達や避難対策の指示などを早急に行うための「防災情報提供システム」の整備が増加している(第1−2−72表参照)。


    イ 地方公共団体のホームページ
     近年、行政分野ではインターネットの活用が本格化しており、都道府県では100%、市町村では18.4%がホームページの開設(注14)を行っている。
     当初、地方公共団体のホームページは、インターネットのグローバル性に着目し、対外的な情報発信手段として利用されることが多かったが、近年では、インターネットの双方向性に着目し、地域のコミュニケーション手段として活用する取組が多く行われている。更に住民サービスの向上を目指し、ホームページにより、単なる情報提供にとどまらず、行政サービスの提供を模索する取組もなされている。
     地方公共団体がホームページで提供している情報の利用状況について見ると、特に生活情報について、利用状況及び利用意向がともに高いことが注目される(第1−2−73図参照)。
     課題として、防災、保健・医療、教育等の情報は、住民の利用ニーズは高いものの利用状況は低い状況にあり、今後、これらの分野については、住民ニーズに応じた情報の提供や情報内容の充実化が求められる(第1−2−73図、第1−2−74図参照)。
     また、地方公共団体のホームページの利用は、インターネット利用者の2割程度にとどまり、自分の居住地の自治体のホームページの存在を知らない者も多く、ホームページ上で提供されている行政情報は他の情報と比較して住民の満足度が低いといった状況もあり、今後自治体の更なる取組が求められる(第1−2−75図、第1−2−76図参照)。








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