第2章 平成9年情報通信の現況


第7節 情報通信と社会経済構造の変革

  1. 地域の情報化
  2. (1) 条件不利地域の情報化
     「平成9年通信に関する現状報告」では、全国3,255市町村(東京都23区を含む。)の情報化の現状について、電気通信事業者及び放送事業者によって整備されてきた情報通信インフラやサービスの現状を利用環境指標(注22)、各地方公共団体によって整備されてきた情報化の現状を開発整備指標(注23)として、これらを合わせて地域情報化指標(注24)を作成し、評価と分析を行った。
     今回は、地理的または気象的に条件の不利な地域のうち、特に、山村地域、離島地域、豪雪地帯に着目し、これらの地域の地域情報化指標の平均点を見てみると、全国平均を下回っており、情報化が遅れていることが分かる(第2−7−24図参照)。
     そこで、今年度は昨年の指標を用いて、条件不利地域の情報化の現状について分析を行った。


    ア 条件不利地域の現状
    (ア) 運用中のアプリケーション
     9年4月1日現在、過疎地域は1,231、山村地域は1,195、離島地域は184、豪雪地帯は962市町村が指定されている。
     これらの市町村のアプリケーションの運用状況について、地方自治体に対して昨年行ったアンケート(注25)で見ると、いずれの地域においても、「緊急通報システム」、「行政窓口オンラインサービス」、「防災情報提供システム」といったアプリケーションが多く運用されている(第2−7−25図参照)。
     なお、全市町村について見ても、緊急通報システムは37.2%、行政窓口オンラインサービスは30.5%、防災情報提供システムは18.9%の高い割合で運用されており、これらのシステムはどの地方自治体にとっても積極的に取り組んでいるアプリケーションである。


    (イ) 地域住民及び地方自治体の情報化ニーズ
     今回は、条件不利地域の地方自治体と住民に対し、アンケート調査(注26)を行い、地域情報化に関する意識調査を行った。
     それによると、住民は、情報通信ネットワークを使い、離れた場所からでも利用できると良いと考えている行政サービスについて、「行政窓口オンラインサービスシステム」、「保健医療・福祉情報提供システム」、「緊急通報システム」及び「遠隔保健医療・福祉支援システム」を挙げており、行政事務や、医療・福祉サービスについての利用意向が高い(第2−7−26図参照)。


     また、地方自治体は、すべての地域で上位に、「保健医療・福祉情報提供システム」、「緊急通報システム」、「遠隔保健医療・福祉支援システム」の医療・福祉関連のアプリケーションを挙げている(注27)、(第2−7−27図参照)。その理由については、「過疎化・高齢化の進展、独居老人の増加」、「集落が点在」、「交通が不便(行政サービスや医療サービスが不十分)」、「医療体制の不備」等、共通の項目が挙げられている。


     しかし、「緊急通報システム」以外の「保健医療・福祉情報提供システム」と「遠隔保健医療・福祉支援システム」を運営している地方自治体は、それぞれ3.2%、0.9%と少なく、これらのシステムについては、住民のニーズがあり、地方自治体においても必要性を感じているものの整備が進んでいない。
     また、条件不利地域で適用されている制度及びこれら地域が関心のある制度について見ると、「電気通信格差是正事業(郵政省)」、「自治体ネットワーク施設整備事業(郵政省)」、「ふるさと交流拠点事業(農林水産省)」の順となっており、条件不利地域にとって電気通信格差是正事業が有益であり、また、アプリケーションを重視した制度に関心がある(第2−7−28図参照)。


    (ウ) 地域情報化を推進する上での問題点
     これらの市町村が地域情報化を推進する上での問題点を、地方自治体に対して行ったアンケート(注28)で見てみると、「情報通信インフラの整備が不十分」、「情報通信関連機器・施設・システムの開発整備コストが高い」、「専門知識が不足」の順となっている(第2−7−29図参照)。


    イ 条件不利地域における取組
    (ア) 山村地域の取組
     西会津町(福島県耶麻郡)は人口9,845人(7年国勢調査)、振興山村と過疎地域及び特別豪雪地帯の指定を受けている。西会津町では6年度から在宅健康管理システムの導入を行った。町民は貸与された端末を用いて、自宅で体温、血圧、心電図等の健康管理データを測定し、電話回線又はケーブルテレビ回線を通じて保健センターへ送信する。保健婦はデータをチェックし、必要に応じて医師がアドバイスを行うというものである。
     西会津町が当該システムを導入した経緯は次のとおりである。
     西会津町は、地域における生涯を通じた健康づくりと適切な保健医療の確保に努めるなど、町民のための総合的な健康づくりのための施策を従来から展開してきた。しかしながら、町民の平均寿命は福島県内でも下位に低迷していることから、原因究明のため住民健康調査を行った結果、脳卒中による死亡が多いことが判明し、脳疾患等の成人病予防対策のために食生活の改善や日常の健康チェックの重要性が明らかとなった。このような状況の中で、町長がある健康管理に関する講演会に参加した際に、在宅健康管理システムが住民の健康管理に有用であると紹介され、当該システムの導入を発案した。
     導入に当たっては、当該システムを先行して導入している岩手県の病院の協力を得ながら進めた。情報システムの専門家の必要はなかったが、医師会や住民への説明には十分時間をかけ、最終的には町内の医師全員の協力が得られた。
     システム導入後の町民の反応を見ると、健康管理への意識が向上し、食事に気を付ける人が増えており、成人病の予防に対して効果を挙げている。
     なお、町では利用者の利便に考慮して、町営のケーブルテレビ回線でもデータ送信を行っている。当該ケーブルテレビは加入率が8割で、地域情報や、行政情報を提供しており、町の情報化に寄与している。町では行政情報の充実を図るため、役場内の各課に2名の番組作成チームとカメラを配置して、週1本の番組を各課で順に持ち回って作成している。町民の番組に対する反応は良い。
    (イ) 離島地域の取組
     美津島町(長崎県下県郡)は人口8,609人(7年国勢調査)、対馬の中央部に位置し、離島地域と過疎地域の指定を受けている。美津島町では離島における町民の情報格差是正のため、4年4月からケーブルテレビを導入しており、全世帯で視聴することができる。昭和50年ころは、新聞を取っていない家庭も多く、テレビが主要な情報源であったが、そのテレビも画像が乱れることもあった。そこで、町長はケーブルテレビを導入することを発案したが、住民、職員とも知識がないので、職員でプロジェクトチームを作り検討し、長崎県の民間のケーブルテレビ等を視察し検討を重ねた。自主財源での設置は厳しいので、国の補助スキームの適用を受け(1/2補助)、更に過疎債の適用を受けた。過疎債は昭和62年度までは有線ラジオしか対象にならなかったが、交渉の結果、昭和63年度から新たにケーブルテレビも対象となり、本町のケーブルテレビは最初の適用を受けた。
     運営の円滑化を図るため、運用担当者として、町の出身者で技術面に詳しい人を特に採用した。ケーブルテレビでは、現在1日6回、約20分間の自主制作番組を放送しており、これの視聴率は90%以上にのぼるという。町では今まで、広報誌や回覧板により行っていた周知を、ケーブルテレビでの周知に切り替えている。住民に行ったアンケートによると、70.6%の住民が行政情報の入手方法としてケーブルテレビを挙げており、十分な成果を挙げていることが分かる。
     今後は、ケーブルテレビを使い、水道や電気メーターの検針、真珠養殖に関した水産関連情報の提供等も検討している。
    (ウ) 豪雪地帯の取組
     大森町(秋田県平鹿郡)は人口8,371人(7年国勢調査)、特別豪雪地帯のほか振興山村と過疎地域の指定を受けている。大森町では、高齢化社会における「福祉の町」として、情報通信を活用した保健・医療・福祉の在宅サービスの実現を目指しており、緊急通報装置とテレビ電話を活用した老人福祉システム、テレビ電話等を活用した寝たきり等介護が必要な家庭の在宅医療支援システム、発信器をつけた老人の所在地を確認する徘徊老人システム、町立病院と大学病院を結んだ遠隔医療システム、災害時の緊急連絡に、電話や屋外装置を使い、一斉に通報を伝達する緊急通報伝達システム、農業、行政、福祉保健、生涯学習情報等の情報提供をする営農情報システム、町の公共施設を結んだテレビ会議システムの整備を進めている。
     大森町は昭和50年後半より「福祉の町」を目指し、昭和63年に「秋田県南部老人福祉総合エリア」に在宅介護老人センター等を開所し、秋田県南部の福祉活動の拠点となった。このような状況の中で、町は、先進の福祉施設を利用することが困難な人のための手段として情報化に着目した。大森町の町長は、自らインターネットを駆使するなど情報通信の有用性に対する造けいが深く、県内の電気通信事業者に協力を求めてISDN回線の整備を図るとともに、国に対して情報化のための財政支援を要望して、町の情報化を積極的に推し進めた。  保健・医療・福祉のシステムに対する住民の反応は良く、更にアプリケーションの多様化や広域化等を要望する意見も見られる。システム開発に当たっては役場内に専任の職員を1名配置し、電気通信事業者等の協力を得ている。また、町民のパソコン操作能力向上のために、教育センターでは、専門家によるパソコン教室(ボランティア)を開催している。

    ウ 不利な条件を克服するための方策
     以上のように、条件不利地域における情報化の取組は、首長の意欲、アドバイザーの有無、国や都道府県の助成制度の有効な活用、住民や関係団体の理解等が必要となる。また、これらの市町村は財政的な問題により単独の取組が難しいので、複数の市町村による広域・連携化が重要となってくる。

    (2) 都道府県の地域情報化
     都道府県の情報化の取組状況について、アンケート(注29)を基に行政の情報化、住民サービスの情報化、情報化政策に分けて分析を行った。

    ア 行政の情報化
     行政の情報化に関し、更に、「業務の電算化」、「庁内のOA化」及び「行政のネットワーク化」に3分類して分析する。
    (ア) 業務の電算化
     法人事業税や自動車税等の10の税金収納業務について見ると、税項目のすべてについて電算化している都道府県は33、9項目を電算化しているのは8あり、ほとんどの都道府県で電算化が進んでいる(第2−7−30図参照)。
     人事給与関係や財務関係等のデータベースの構築比率は、100%の都道府県が7、50%以上が34となっている(第2−7−31図参照)。



    (イ) 庁内のOA化
     本庁職員に対するパソコン配備率を見てみると、香川県が100%、栃木県が97.8%、群馬県が88.2%と高い配備率であるが、50%未満の都道府県が36あり、職員へのパソコン配備はあまり進んでいない(第2−7−32図参照)。
     庁内LANを設置している都道府県で電子メールや電子掲示板等八つのアプリケーションの導入率について見ると、栃木県、岐阜県、愛媛県及び熊本県で六つのアプリケーションを導入している。また、LANを整備していない都道府県も13あった(第2−7−33図参照)。



    (ウ) 行政のネットワーク化
     本庁とネットワーク接続されている出先機関の割合を見ると、10都道府県で100%完了しているが、12都道府県がまだまったく行っていない(第2−7−34図参照)。
     また、庁内ネットワークの光ケーブル敷設率の割合は、岡山県、宮崎県で100%、大阪府で80.0%、滋賀県、和歌山県で75.0%と高い割合であるが、それ以外の都道府県は50%未満であり、まったく導入されていない都道府県も31あり、全般にあまり進んでいない。これらは庁舎の建て替え時などにインテリジェント化を図るものと思われる(第2−7−35図参照)。



    イ 住民サービスの情報化
     住民サービスの情報化を、「教育」、「医療・福祉・防災」及び「生活情報サービス」に3分類して分析する。
    (ア) 教育
     都道府県におけるパソコン設置の小中学校、高等学校の割合を見ると、46の都道府県において80%以上の学校に設置されており、100%設置されている都道府県も5あり、学校へのパソコン普及が進んでいる(第2−7−36図参照)。
     一方、インターネットが接続できる小中学校、高等学校の割合は岐阜県が98.0%と進んでいるが、それ以外の都道府県は50%以下である(第2−7−37図参照)。
     パソコンを操作できる教員数の割合は、40の都道府県で40%以上であり、ほとんどの都道府県で半数近くの教員が操作が可能である(第2−7−38図参照)。




    (イ) 医療・福祉・防災
     遠隔医療実験実施病院数の割合を見ると、高知県が5.2%と最も高く、次いで和歌山県が2.1%となっている。しかし、実施している病院がない都道府県も31ある(第2−7−39図参照)。
     遠隔医療実験実施病院数については、都道府県下の実験実施病院数の割合と65歳以上の人口構成比との間で正の相関が見られ、65歳以上の人口構成比が高い都道府県ほど遠隔医療実験を積極的に行っており、特に高知県が際立っている(第2−7−40図参照)。
     医療・保健関係のICカードを発行している市町村数の都道府県下の市町村に占める割合では、山梨県が4.69%と最も高く、次いで兵庫県の4.40%となっている。しかし、市町村がまったくICカードを採用していない都道府県も34ある(第2−7−41図参照)。




    (ウ) 生活情報サービス
     行政情報や保健医療情報、道路・交通情報等17の住民向けアプリケーションの導入率を見ると、山口県が88.2%、大阪府及び鳥取県が82.4%で導入が進んでいる。また、50%以上導入している都道府県が23ある(第2−7−42図参照)。


    ウ 情報化政策
     情報化政策を「産業支援」、「県・市町村の情報化支援」及び「企業の情報化支援」に3分類して分析する。
    (ア) 産業支援
     産業の情報化のうち、農林漁業関連情報化予算の全体の予算に対する比率は、愛知県が0.987%と最も高い。また、予算化を行っていない都道府県も28ある(第2−7−43図参照)。
     産業の情報化のうち、商工業関連情報化予算の全体予算に対する比率は、岐阜県が0.201%と最も高い。また、予算化を行っていない都道府県も26ある(第2−7−44図参照)。



    (イ) 県・市町村の情報化支援
     市町村の情報化支援予算の全体予算に占める比率は、岐阜県が0.462%と最も高い。また、予算化を行っていない都道府県は14であり、70%の都道府県は何らかの支援を行っている(第2−7−45図参照)。


    (ウ) 企業の情報化支援
     都道府県内企業への情報化支援予算の全体予算に占める比率は、岐阜県が0.318%と最も高い。また、予算化を行っていない都道府県も33ある(第2−7−46図参照)。


    エ 都道府県の情報化指標
     都道府県に行ったアンケートを基に、行政の情報化(注30)(業務の電算化、庁内OA化、行政のネットワーク化)、住民サービスの情報化(注31)(教育、医療・福祉・防災、生活情報サービス)、情報化政策(注32)(産業支援、県・市町村と企業の情報化支援)の3項目について、各項目ごとに点数化して情報化指標を作成し、都道府県の情報化の現状について見ると、
     
    行政の情報化指標は、全般的に高得点の県が多い(第2−7−47図参照)。
     
    住民サービスの情報化指標は、平均点付近に集中している(第2−7−48図参照)。
     
    情報化政策の情報化指標は、全般的に低得点の都道府県が多い(第2−7−49図参照)。


     これらの三つの指標を合計したのが総合指標であり、岐阜県、大阪府、京都府の順に情報化が進んでいる(第2−7−50図参照)。


     この総合指標と2年から6年までの県内総生産経済活動別内訳第二次産業構成比増加率との相関を見ると、負の相関が見られ(第2−7−51図参照)、また、総合指標と県内総生産経済活動別内訳第三次産業構成比増加率との相関を見ると、正の相関が見られる(第2−7−52図参照)。これらのことから、合計指標が高い都道府県ほど二次産業から三次産業へ産業構造の転換が行われていることが分かる。



    (3) 都道府県の情報化の取組

    ア 岐阜県の地域情報化
     岐阜県は、従来、繊維産業に代表される第二次産業が基幹産業であったが、情報通信産業を次世代産業の目玉に据えて、集積を図ってきた。大垣市の「ソフトピアジャパン」や「情報工房」等は情報ネットワークの拠点として機能している。
     岐阜県の2年度から6年度の第二次産業の構成比率の推移を見てみると、全国よりも二次産業の構成比率は高いものの、構成比の対前年度減少率では全国平均を上回り、一貫して減少傾向にある(第2−7−53図参照)。また、第三次産業の構成比率は全国より低いものの、構成比の対前年度増加率は全国平均を上回っており、三次産業への転換が急速に図られていることが分かる(第2−7−54図参照)。
     また、岐阜県の産業別生産額の構成比の推移を見ると、製造業が減少しており、逆に運輸・通信業やサービス業といった三次産業が増加していることが分かる(第2−7−55図参照)。
     岐阜県では情報社会で地方が生き延びるためには、情報価値の創出力を高め、「情報都市」となることが必要であると考え、その実現のために、情報環境の整備、インフラ整備、住民・企業・行政の創造力向上等の様々な取組を早期に実施してきた結果が現れているものと考えられる。





    (ア) 県民情報ネットワーク
     県民情報ネットワークは、インターネットを活用して県民に幅広い行政情報を発信するとともに、県と県民間、県民相互のコミュニケーションを促進し、また、県民の情報リテラシーの向上促進を目的としている。事業内容は、情報提供サービス、情報交流サービス、情報基盤の整備の三つで構成されている。情報提供サービスは、県における報道発表資料や報告書等を可能な限り提供しており、情報交流サービスは、県民相互又は県民と行政とが意見交換できる「電子会議室」の開設を目指している。また、情報基盤の整備では、県民の情報リテラシーの向上を目指し、病院、福祉施設、図書館等の主な公共施設(42か所)や県内小中学校(606校)に端末を設置している。
    (イ) ソフトピアジャパン、情報工房
    (ソフトピアジャパン)
     岐阜県では、マルチメディア関連産業の育成や地域産業の高度化、また、県民生活にかかわりの深い医療、福祉、教育等の民生分野の情報化を目指すため、国際的なソフトウェアの研究開発の中核拠点となる「ソフトピアジャパン」を大垣市に創設した。ソフトピアジャパンは産学官が一体となり、いわゆる岐阜県版シリコンバレーを構築し、21世紀を拓く高度情報通信社会の形成を目指している。なお、ソフトピアジャパンの中核施設であるソフトピアジャパンセンターは、国際的なソフトウェアの研究開発拠点となっている。
    (大垣市情報工房/ソフトピアジャパン・アネックス)
     10年2月にソフトピアジャパンセンターに隣接し、センター機能を補完・拡充する「ソフトピアジャパン・アネックス」と大垣市の地域情報化の受発信拠点としての「大垣市情報工房」が完成した。ソフトピアジャパン・アネックスはベンチャー企業等の育成・支援の充実を図るとともに、産業分野のみならず、民生分野、行政分野の情報化を進めるため、研究開発を行う拠点としての機能を担っている。

    イ 高知県の地域情報化
     高知県は全国に比べ過疎化・高齢化が急速に進展し、基幹産業の不振等の、様々な問題を抱えている。それらの問題を解決するために、地域情報化に積極的に取り組んでいる。高知県では、産業界、学術研究機関、行政が連携して10のモデル実験からなる「KOCHI 2001 PLAN」を積極的に推進している。主な施策は次のとおりである(第2−7−56図参照)。


    (ア) 高知県情報スーパーハイウェイ
     県内どこでも格差なく公共情報や公共サービスが受けられる通信環境の実現を目指し、多様な公共的情報システムと民間の先進的な情報化プロジェクトを実現する前提となる通信基盤の整備を行う。
    (イ) 幡多地域保健・医療・福祉モデルシステム
     幡多地域の各市町村を広域でネットワークする保健・医療・福祉モデルシステムを構築するとともに、11年に開院する幡多総合病院を中核として同地域に医療情報ネットワークを構築する。また、大月町をモデルに選定し、過疎地域等における保健・医療・福祉の情報通信システムの研究開発を実施している。
    (ウ) DREAM NET
     情報リテラシーの向上には小中学校等の教育分野における取組が重要である。そこで、今後の指導者となる教員約200人の自宅をインターネットで結び、学校の情報化に関する研修を行っている。また、熱意と計画のある小中学校、高等学校に対してパソコンやLANの導入を促進する。
    (エ) 行政情報窓口サービスネットワーク
     県庁内の起案文書等の電子登録及び文書検索データベースシステムの開発、電子メール等を活用して事務の効率化・高度化を推進する。また、「ワンストップ行政サービス」や「ノンストップ行政サービス」等を目指し、行政窓口サービスの情報化に関する検討を市町村とともに行う。

    ウ 北海道の東アジア・メディアプロモーション事業
     北海道では東アジア地域との交流を積極的に進めることとしており、その一環として9年4月から、東アジア・オセアニア地域を対象に、北海道の観光や産業等を幅広く紹介する番組を、JET−TV(Japan Entertainment TV)のネットワークを使用し配信している。紹介番組は北海道の民間放送会社が制作し、週6回、30分番組と1時間番組を延べ6時間(再放送含む。)、衛星を経由して各国のケーブルテレビ等に配信されている。放送は「日本語」、「中国語」、「英語」及び「タイ語」の4か国語でなされ、9年11月現在、タイ、フィリピン、台湾及びニュー・ジーランドの約437万世帯で受信されている。




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