インターネットビジネスには大きく分けて、「インターネットコマース」と「インターネット関連ビジネス」がある。本白書では、インターネットビジネスを「TCP/IPを用いたネットワーク上の商取引及びそのネットワーク構築や商取引に関わる事業」と定義した。このうち、特に11年から新たに開始されたマイクロブラウザ内蔵の携帯電話端末等を接続端末とするビジネスについてはモバイルビジネスと定義し、内数として計上した。11年における、これらの市場規模は、合計で21兆1756億円となっている( 図表5 )。
インターネットコマース調査によれば、我が国における11年のインターネットコマース最終消費財市場の市場規模は、3500億円(対前年比約2.1倍)となっている。これは全産業の最終需要の0.06%に相当し、インターネット人口一人あたりに換算すると約12934円に相当する。また、同市場は、2005年には7兆1289億円に達するものと予想される。なお、米国IDC社の調査によれば、米国の1999年の最終消費財市場は340億ドル(3.9兆円)となっており、これは我が国の11.1倍の規模となっている( 図表6 )。
インターネットコマース調査によれば、11年(1999年)の我が国におけるインターネットコマース中間財市場の市場規模は、14兆4298億円と推計された。これは、全産業の中間需要の3.3%に相当する。今後は、インターネット技術が急速に普及したことに伴い、現在中間財の取引を電子化していない企業や、EDIで実施している企業がTCP/IPを用いたインターネットやエクストラネットにおける取引に移行していくことが予想される。そのため、インターネット中間財市場規模については、2005年には103兆4219億円に達するものと推計される。
インターネット関連ビジネスは、(1)インターネット接続ビジネス市場、(2)インターネット接続端末市場、(3)インターネット構築関連市場、(4)インターネット周辺ビジネス市場、の4つに分類される。11年におけるこうしたビジネスの市場規模の総額は、6兆3958億円(対前年比60.3%増)となっている。また、今後もインターネットの普及に伴い、17年(2005年)には31兆2500億円まで拡大するものと予想される。
モバイルビジネスの市場は、(1)マイクロブラウザ内蔵の携帯電話・PHS又は携帯情報端末(単体)から、C-HTML等の言語で記述されたインターネット上のコンテンツにアクセスして有料情報の提供を受けたり、商取引を行う「モバイルコマース市場」、(2)モバイルコマースに関連して発生する端末、通信料金、移動通信事業者が提供するインターネット接続サービスの利用料等の「モバイルコマース関連ビジネス市場」の2つに分類される。郵政省が実施した事業者に対するヒアリング等の調査から推計した、我が国における11年のモバイルビジネスの市場規模は1729億円であり、17年(2005年)には4兆5206億円まで拡大すると予想される。