電波監理審議会(第838回)議事要旨(平成12年9月14日公表)
1 日 時
平成12年9月6日(水)10:00〜11:58
2 場 所
郵政省審議会会議室(郵政省12階)
3 出席者(敬称略)
(1) 電波監理審議会委員
塩野 宏(会長)、秋山 喜久(会長代理)、岩男 寿美子、辻井 重男
常盤 文克
(2) 電波監理審議会審理官
石田 義博
(3) 幹事
濃添 隆(官房秘書課総括専門官)
(4) 郵政省
金澤放送行政局長、鈴木官房審議官ほか
4 議 事 模 様(審議順)
(1) 放送法施行規則及び放送局の開設の根本的基準の各一部を改正する省令案並
びに東経110度CSデジタル放送に係る委託放送業務の認定に係る認定方針
案について (12.6.9諮問第29号)
東経110度CSデジタル放送の委託放送業務の認定に係る標記案について、
意見の聴取の手続を主宰した審理官から提出された調書及び意見書(参照:第
349回電波監理審議会意見の聴取意見書)に基づき審議した結果、適当であ
る旨、答申した。
なお、答申に際し、以下のとおり、審議における委員の主な発言等に関して
質疑応答を行うとともに、今後の審査に当たっての適切な対応を要請した。
・ 東経110度CSデジタル放送におけるサービスの高機能化については、
(7月の審議会において)「サービスの高機能化の実現とその推進に十分配
慮する」という放送普及基本計画の一部変更について了承(答申)したとこ
ろであり、審議の過程において本件についての異議はなかったものの、一般
論として、視聴者の立場からは必ずしも高機能化だけが好ましいサービスと
は限らないのではないかという意見もあり、施策の推進に当たっては、視聴
者の選択の幅をせばめることのないよう十分な配慮をされたい旨を要請した。
・ サービスの高機能化を実現する放送を優先するという比較審査基準の具体
例について、審議の過程においては、その内容は申請者が考えるべきであっ
てその具体例を行政が提示することは好ましくないという意見とともに、も
う少し具体的に提示できないものかという両方の意見があったが、申請予定
者に対しては(例えば、事前に省に相談した者のみが有利となるような事態
の生じないよう)公平に対応されたいこと、及び具体的な審査に当たってこ
の基準を用いる際には、申請者が十分納得できるような運用を心がけられた
い旨を要請した。
・ マスメディア集中排除原則の今後の検討・運用に際しては、いいものを伸
ばせるような環境整備に配意する必要があるのではないかとの意見があり、
郵政省から、「CS放送については、地上波やBSと比べてかなり緩くして
いるが、もともとマスメディア集中排除原則は多様な者に言論の機会を提供
することを通じてその質・量ともに高めていこうという趣旨があり、必ずし
も競争政策に立脚したものではないが、産業政策的視点も必要であると考え
ている」旨の回答があった。
・ 昨年12月のBSデジタル・データ放送の委託放送業務の認定の比較審査
の際に考慮対象の一つとした「外国性」について、今回の比較審査基準には
明示されていないが、考慮対象とはしないという趣旨でいいのか、という確
認の質問があり、郵政省から、「東経110度CSデジタル放送については、
多彩な企業がデジタル技術を活用して高機能サービスを提供していくことを
想定しており、企業がグローバル化していく中で、外資性を一般的な比較審
査基準とすることは(明らかに現行法の趣旨を逸脱しているような申請を除
き)適当ではないと考えている」旨の回答があった。
(2) 東経110度CSデジタル放送に係る受託放送事業者の放送衛星局の予備免
許について (諮問第39号)
東経110度CSデジタル放送に係る受託放送事業者の放送衛星局の予備免
許について、次のとおり郵政省の説明及び質疑応答があり、審議の結果、適当
である旨、答申した。
ア 郵政省の説明
本件は、宇宙通信株式会社及びジェイサット株式会社から、東経110度
CSデジタル放送を実施するために必要な放送衛星局(高精細度テレビジョ
ン放送、標準テレビジョン放送、超短波放送及びデータ放送ごとに申請。二
社で計8局。)について、無線局免許の申請があったものである。
電波法第7条及び行政手続法に基づく審査基準により審査した結果、いず
れも適合していると認められるので、予備免許を付与しようとするものであ
る。
イ 主な質疑応答
受託放送事業における新規参入・競争政策に関して質問があり、郵政省か
ら、受託放送業務に係る無線局免許の申請は衛星の使用権を有することが前
提でありその意味で事業者が限られることはやむを得ない面があるが、本件
2社の間でもサービスの提供条件は異なっており、競争環境にないわけでは
ない旨の回答があった。
(3) 放送普及基本計画及び放送用周波数使用計画の各一部変更案について
(諮問第40号)
宮崎県における一般放送事業者のテレビジョン放送用周波数の変更(削除)
に係る放送普及基本計画及び放送用周波数使用計画の一部変更案について、次
のとおり郵政省の説明があり、審議の結果、適当である旨、答申した。
○ 郵政省の説明
本件は、宮崎県の一般放送事業者のテレビジョン放送の数の目標を3から
2へ変更し、当該放送用に割り当てた周波数(チャンネル番号21)を削除
しようとするものである。
本件周波数は、平成2年1月に割り当て、これに対し計399件の免許申
請があったが、いずれも事業化の見込みが得られなかったこと等から、これ
までに全ての申請が取り下げられており、また、本件措置(周波数の削除)
について宮崎県に意見を求めたところ、異議はなかった。
(4) 日本放送協会の株式会社放送衛星システムに対する出資の認可について
(諮問第41号)
日本放送協会の株式会社放送衛星システムに対する出資の認可について、次
のとおり郵政省の説明があり、審議した結果、適当である旨、答申した。
○ 郵政省の説明
本件は、NHKが、BS−4後発機により受託国内放送を行う株式会社放
送衛星システム(略称B−SAT)に対して、NHKの委託国内放送業務の
円滑な実施を確保する観点から、トランスポンダの使用割合に応じた応分の
出資をしようとするものである。
本件について審査した結果、B−SAT社はNHKの委託国内放送業務に
密接に関連する者であり、本件出資はNHKの同業務の円滑な実施を確保す
るために必要なものと認められた。また、本件出資はNHKの平成12年度
の収支予算等に定められている。
よって、認可しようとするものである。
(文責:電波監理審議会事務局)