接続の基本的ルール案(本文)/第2章
第II章 基本的な考え方
1 接続の基本的ルール
現行制度の枠組みの下で生じている第I章で述べたような現状や問題に対処
し、今後電気通信サービスの多様化・高度化、料金の一層の低廉化を実現して
いくためには、原則として事業者間の協議に委ねる現行制度を見直し、接続に
関し利用者利益及び公正有効競争条件を制度的に確保するための措置を講じる
必要がある。
接続の基本的ルールとは、このような措置の総称と考えるべきである。
2 接続の基本的ルールの策定に当たっての基本的な考え方
(1)基本原則
接続の基本的ルールとして定めるべき具体的な内容を検討するに当たって
は、上記1で述べたような接続の基本的ルールの性格にかんがみ、
1. 利用者利益を増進させるものであること。
2. 公正かつ有効な競争を促進させるものであること。
を、基本的な原則とすべきである。
(2)具体的な目的
上記(1)の基本原則に則り、接続の基本的ルールは、次の具体的な目的
を実現するものであるべきである。
1.利用者利益の増進
(ア)料金の低廉化につながるものであること。
(イ)エンドエンドのシームレスサービスの提供を確保するものであるこ
と。
(ウ)マルチメディア化に対応した新しいサービスの提供を可能とするも
のであること。
2.公正かつ有効な競争の促進
(ア)透明、公平、迅速かつ合理的な接続を実現するものであること。
(イ)円滑な接続を阻害する反競争的な行為を防止するものであること。
(3)情報の非対称性への対応
事業者間において接続費用や技術情報などの接続条件に関する情報の非対
称性が存在する場合には、合理的な接続条件を設定することが困難となる。
したがって、接続の基本的ルールにおいては、情報を公開させることや、
挙証責任を情報を有する事業者が負うこととするなどにより、情報の非対称
性に可能な限り対応するための措置を講じるべきである。
(4)国際的な調和
今後、我が国の電気通信市場に外国事業者が参入し、また、我が国の電気
通信事業者が外国の電気通信市場に参入するといったグローバルな競争が展
開されていくことを念頭に、WTOにおける議論や、我が国と同様に競争原
理を導入している米国及び英国の接続ルール化への取組み、更には、EUに
おける欧州レベルでの接続ルール化に関する動向を踏まえつつ、可能な限り
国際的に調和のとれた制度を構築していくべきである。
(5)接続の基本的ルールの柔軟な見直し
電気通信市場は、急速な技術革新等による変化の激しい分野であり、接続
の基本的ルールについても、具体的事例を積み重ねる中で、このような変化
に対応して柔軟に見直していくべきである。
3 接続の基本的ルールの概要
以上の基本的な考え方に基づき、以下の内容を骨子とする基本的な接続ルー
ルを策定することが適当である。
(1)一般的なルールと特別なルール
第一種電気通信事業者すべてについて適用されるルールを定めるとともに、
NTT地域通信網のような他事業者のサービス提供に不可欠な設備を有する
事業者に対する特別なルールを追加的に定める。
(2)一般的な接続ルール
第一種電気通信事業者に対し接続を義務づけるとともに、接続協定の閲覧
等の措置を行う。
(3)特別な接続ルール
他事業者のサービス提供に不可欠な設備を有する事業者に対し、以下を義
務づけることとする。
1.接続条件の料金表・約款化
(ア)技術的に可能なすべての不可欠設備上のポイントにおける接続が提
供されること。(接続のための建物・管路等の提供等を含む。)
(イ)接続料金が、接続会計の結果に基づき、適正に算定されていること。
(ウ)不可欠設備の構成要素や機能のアンバンドル(細分化)された形態
及び接続料金による接続の提供。
(エ)不可欠設備との接続条件は、自己の同様なサービスより不利でない
条件であること。
(オ)接続の技術的条件を記載すること。
(カ)番号ポータビリティの提供。
(キ)番号案内サービス、番号データベース等へのアクセス。
(ク)緊急通報の提供。
2.接続に関する会計報告書の作成・公表
3.網機能提供計画の作成・公表
4.不可欠設備との接続に必要な情報の提供 等