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接続の基本的ルール案(本文)/第3章
第III章 第一種電気通信事業者に関する一般的な接続ルール 1 接続の義務化 第I章で述べたように、多数の事業者が複雑に接続する競争環境下において は、事業者間の協議のみでは、必ずしも公共の利益に適う接続が確保されない 可能性がある。 したがって、利用者利便の増進及び公正かつ有効な競争の促進の観点から、 いわゆる公益事業特権を認められて構築される公共的なインフラストラクチャ ーである第一種電気通信事業者のネットワークについては、利用者に対する役 務提供義務(電気通信事業法第34条)と同様に、正当な理由がある場合を除 き、他事業者に対する接続協定の締結を義務づけることが適当である。 接続を拒否し得る正当な理由については、具体的事例に則して判断されるべ きであるが、典型的な例としては、自らのネットワークを損傷し、又はその機 能に障害を与えるおそれがある場合や不当な条件での接続の提供を求められる 場合が該当する。 接続を義務化する趣旨にかんがみ、その違反に対しては、他事業者からの申 告等に基づき、行政措置としての業務改善命令による対応を行うこととすべき である(業務改善命令の見直しについては第IV章第10節参照)。 正当な理由を示さずに接続の申入れを拒否することは、その行為そのものが 業務改善命令の対象となり得る。 2 接続協定の公開 第I章で述べたように、多数の事業者が複雑に接続する競争環境下において、 不当な差別的取扱いを防止し、透明、公平、迅速かつ合理的な接続を確保する 観点から、認可された接続協定は、閲覧に供されることとすべきである。 3 裁定手続の活用の容易化 現行制度においては、接続条件に関して事業者間で協議が調わないために接 続協定を締結できない場合でも、接続協定の締結命令の申立てを行い、当該命 令を受けた後でなければ接続条件に関する裁定の申請ができない仕組みとなっ ている。 このような仕組みにおいては、裁定手続に要する期間に加えて、接続命令手 続に相当の期間を要することとなり、事業者間の紛争の迅速な解決を図り、迅 速な接続を確保することにより競争を促進するという裁定制度の趣旨が十分生 かされないおそれがある。 この点については、上記1の接続の義務化により、接続条件に関して事業者 間で協議が調わない場合に直ちに裁定の申請が可能となることから、事業者間 の紛争の迅速な解決のために裁定手続を活用することが容易となる。 4 第ニ種電気通信事業者の取扱い 第ニ種電気通信事業者が、第一種電気通信事業者から電気通信回線設備を調 達して構築しているネットワークについても、利用者利便の増進及び公正かつ 有効な競争の促進という観点からは、第一種電気通信事業者のネットワークと 区別して取り扱うべき合理的な理由はないので、第ニ種電気通信事業者も第一 種電気通信事業者のネットワークに対して、他の第一種電気通信事業者と同様 に自己のネットワークの接続を求めることができることとすべきである。 他方、第ニ種電気通信事業者は、電気通信回線設備を第一種電気通信事業者 に依存していることや、第一種電気通信事業者のサービスとの差別化を図りな がら、多種多様なサービスを提供するところに事業としての特性があることか ら、第ニ種電気通信事業者に対してまで接続を義務化する必要性は乏しいもの と考えられる。 なお、第ニ種電気通信事業者が、以下で述べる接続ルールに従って接続する 場合のほか、利用者約款により接続する場合も想定されるが、この場合におい ては、一般の利用者向けサービスとのコスト上の相違を考慮した第ニ種電気通 信事業者向けの卸料金の導入を検討する必要がある。
