第2節 情報通信分野の課題と対応
世界的な大競争時代を迎えており、一大変革期にある情報通信分野が今後一層の発展を遂げるためには、以下の諸課題への対応が必要である。
本節においては、情報通信分野を展望し、課題と対応について述べる。
(1) 情報通信産業の展望
(注) |
CALS 文書データ、取引データ、図面データ及び製品データの標準化を行い、調達側と供給側で情報通信を利用してデータのやり取りを円滑化することにより、開発期間の短縮、品質向上、コスト削減等様々な効果を目的とするものである。その概念も徐々に拡大してきており、何の略記であるかについても数度の変遷を経て、最近ではCommerce At Light Speed(光速の商取引)の略とされている。 |
(注) | 光ファイバ網の整備については、「高度情報通信社会推進に向けた基本方針」(高度情報通信社会推進本部1995(平成7)年2月21日決定)」等において、その整備目標として、2010(平成22)年を念頭において早期の全国整備を目指す旨を政府の方針として明確化している。そして、「21世紀を切りひらく緊急経済対策(1997(平成9)年11月18日、経済対策閣僚会議)」 においては、「全国整備の2005(平成17)年への前倒しに向けて、できるだけ早期に実現できるよう努力する」とされている。 |
(注) | 米国の映画会社であるウォルト・ディズニー社は、テレビ3大ネットワークの一つであるABC社を買収することにより、自社の所有する映像コンテントの配給網の強化を図っている。また、豪のニューズ社は、衛星放送、地上波、ケーブル網等のネットワークを世界に張り巡らせることにより、自社のコンテントを世界人口の3分の2までに到達させることを可能としている。 |
(注) |
NASDAQ(National Association of of Securities Dealers Automated Quotation) 米国の店頭市場で、銘柄の売買に関する情報を自動表示するシステム |
(注) | 我が国においても、教育現場において、生徒が様々な環境の測定とネットワークを通じた環境問題への世界的貢献を体験的に学習するという取り組みが見られる。 |
(3) 通信・放送の融合
例1: | パソコン通信の電子掲示板、インターネットのホームページ上で動画像・音声を提供するいわゆる「インターネット放送」等、通信としての基本的特性は有しながら実質的に通信内容の秘匿性がない、いわゆる「公然性を有する通信」 |
例2: | VICS(Vehicle Information Communication System:道路交通情報通信システム)におけるFM多重放送等、放送としての基本的な特性は有しながら、限定された視聴者に対してのいわゆる「限定性を有する放送」 |
(注1) | 「21世紀を切りひらく緊急経済対策」(1997(平成9)年11月18日経済対策閣僚会議決定)に盛り込まれている事項を措置するものとして、放送する番組の内容からみて放送番組準則に抵触するおそれが客観的かつ明白に少ないものとして具体例が示され、放送番組審議機関の設置義務、放送番組基準の策定義務及び放送番組の保存義務の適用除外の措置がなされている。 | ||||
(注2) |
「高度情報通信社会に向けた環境整備に関する研究会」報告書(1998(平成10)年3月)では、融合サービスに限定した議論ではないものの、「利用者間での苦情の解決には、電気通信事業法上「通信の秘密」とされている発信者情報の開示が前提となるが、
|
||||
(注3) |
「通信ネットワークの放送事業への利用に関する研究会」報告書(1998(平成10)年2月)では、ケーブルテレビ事業者による通信ネットワーク利用の制度的位置付けに関し、「放送施設の管理運用責任を負うことなくケーブルテレビ事業への参入を容易にするため、
|
||||
(注4) | 例えば、米国通信法第628条では、「ビデオ番組配信における競争及び多様性の実現」を定め、同653条「オープンビデオシステム」では、番組事業者への差別を禁止し、チャンネル保有数の制限等を定めている。 |
サービスの融合 (中間領域的サービス) |
|
伝送路の融合 |
|
事業体の融合 (兼営・相互乗り入れ) |
|
(注1) |
「電気通信における利用環境整備に関する研究会」(1996(平成8)年12月取りまとめ) 「電気通信における情報ルールに関する研究会」 (1997(平成9)年12月取りまとめ) |
(注2) | 電気通信技術審議会諮問第55号(1998(平成10)年3月答申) |
(注3) | 「通信ネットワークの放送事業への利用に関する研究会」(1998(平成10)年2月取りまとめ) |
(注4) |
「マルチメディアホームリンクの研究開発に関する研究会」(1998(平成10)年4月取りまとめ) 電気通信技術審議会諮問第97号(1998(平成10)年6月答申予定) |