資料2 三位一体の改革について
三位一体の改革については、「地方にできることは地方に」という方針の下、平成18年度までに、4兆円程度の国庫補助負担金改革、3兆円規模を目指した税源移譲、地方交付税の見直しの確実な実現を図るため、検討を進めてきた。
政府・与党は、昨年11月の「政府・与党合意」及び累次の「基本方針」を踏まえ、かつ、地方の意見を真摯に受け止め、平成18年度までの三位一体の改革に係る国庫補助負担金の改革及び税源移譲について、下記のとおり合意する。
なお、地方交付税の見直しについては、今後の予算編成を通じて具体的な調整を行う。
地方分権に向けた改革に終わりはない。
政府・与党としては、18年度までの改革の成果を踏まえつつ、国と地方の行財政改革を進める観点から、今後とも、真に地方の自立と責任を確立するための取組を行っていく。
記
1.国庫補助負担金の改革について
(1) 総額
国庫補助負担金の改革については、平成18年度において、上記「政府・与党合意」において同年度に行うことを決定済みの改革に加え、別紙1のとおり、税源移譲に結びつく改革(6,540億円程度)を行う。
昨年度までの決定分(3.8兆円程度)に加え、今回の税源移譲に結びつく改革、さらにスリム化の改革及び交付金化の改革を進めることにより、4兆円を上回る国庫補助負担金の改革を達成する。
(2) 各分野
イ.文教
義務教育制度については、その根幹を維持し、義務教育費国庫負担制度を堅持する。その方針の下、費用負担について、小中学校を通じて国庫負担の割合は三分の一とし、8,500億円程度の減額及び税源移譲を確実に実施する。
また、今後、与党において、義務教育や高等学校教育等の在り方、国、都道府県、市町村の役割について引き続き検討する。
ロ.社会保障
児童扶養手当(3/4→1/3)、児童手当(2/3→1/3)、施設費及び施設介護給付費等について、国庫補助負担金の改革及び税源移譲を実施する。
生活保護の適正化について、国は、関係者協議会において地方から提案があり、両者が一致した適正化方策について速やかに実施するとともに、地方は生活保護の適正化について真摯に取り組む。
その上で、適正化の効果が上がらない場合には、国(政府・与党)と地方は必要な改革について早急に検討し、実施する。
ハ.施設費
建設国債対象経費である施設費については、地方案にも配慮し、以下の国庫補助負担金を税源移譲の対象とする。その際には、廃止・減額分の5割の割合で税源移譲を行うものとする。
また、上記の施設費について廃止・減額し、税源移譲を行う場合には、関連する運営費等の経常的経費についても併せて見直しを行う。
消防防災施設整備費補助金 等(総務省)
公立学校等施設整備費補助金(文部科学省)
地域介護・福祉空間整備等施設整備交付金 等(厚生労働省)
資源循環型地域振興施設整備費補助金 等(経済産業省)
ニ.その他
公営住宅家賃対策等補助の減額に当たっては、年度間や地域間の変動に対応した支援を国として的確に行うとともに、社会的弱者への住宅セーフティネットを実現するという国の責務を確実に果たすことができる仕組みを整備することとする。
なお、今後の予算編成過程において検討される制度改正については、適切に対処する。
2.税源移譲について
(1) 税源移譲は、上記1.及びこれまでの国庫補助負担金の改革の結果を踏まえ、別紙2のとおり、3兆円規模とする。
(2) この税源移譲は、平成18年度税制改正において、所得税から個人住民税への恒久措置として行う。平成18年度予算においては、別紙2の税源移譲額の全額を所得譲与税によって措置する。
別紙1
平成18年度における国庫補助負担金改革
|
改革額 |
概要 |
---|---|---|
総務省 |
10億円程度 |
消防防災施設整備費補助金、電気通信格差是正事業費補助金 |
文部科学省 |
170億円程度 |
公立学校等施設整備費補助金 |
厚生労働省 |
5,290億円程度 |
児童扶養手当給付費負担金、児童手当国庫負担金、介護給付費等負担金、地域介護・福祉空間整備等施設整備交付金、次世代育成支援対策施設整備交付金(公立分)、医療施設等施設整備費補助金(公立分) 等 |
農林水産省 |
340億円程度 |
農業・食品産業強化対策推進交付金、農業共済事業事務費負担金、農山漁村地域活性化推進交付金、水産業振興等推進交付金、米需給調整総合対策事業推進費補助金 等 |
経済産業省 |
70億円程度 |
小規模企業等活性化補助金、資源循環型地域振興施設整備費補助金、新事業支援施設整備費補助金 |
国土交通省 |
620億円程度 |
公営住宅家賃対策等補助 |
環境省 |
40億円程度 |
産業廃棄物適正処理推進費補助金、交付地方債元利償還金補助金 |
合計 |
6,540億円程度 |
(注) 上記は、昨年11月の政府・与党合意において18年度に行うことが決定済みのもの(暫定措置とされた義務教育費国庫負担金を含む)以外で、税源移譲に結びつく改革に該当するもの
別紙2
1.これまでの国庫補助負担金改革を踏まえ、3兆円規模の税源移譲を行う。
2.上記1.の税源移譲は、次のとおりとする。
(1) 今回決定分 | 6,100億円程度 |
・厚生労働省 | 5,020億円程度 |
・文部科学省 | 90億円程度 |
・農林水産省 | 300億円程度 |
・経済産業省 | 50億円程度 |
・国土交通省 | 610億円程度 |
・環境省 | 30億円程度 |
・総務省 | 5億円程度 |
|
|
(2) 既決定分 | 2兆3,990億円程度 |
税源移譲額 合計 | 3兆0,090億円程度 |
(注) 既決定分は、昨年の政府・与党合意で決定済みのもの(暫定措置とされた義務教育費国庫負担金分8,500億円程度を含む。)及び平成16年度分の合計額。
3.平成18年度予算においては、上記2.の税源移譲額の全額を所得譲与税によって措置する。